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学位論文審査の要旨主査副査副査副査

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 工 学 ) 白 石    悟

学 位 論 文 題 名

港 湾 の 係 留 施 設 の 信 頼 性 設 計 法 に 関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  構 造 物 に 作 用 す る 荷 重 は 変 動 性 を 有 す る が 、 こ れ ま で 構 造 物 の 設 計 法 と し て 採 用 さ れ て き た 許 容 応 力 度 法 に お い て は 、 設 計 荷 重 は 再 現 期 待 値 な ど を 考 慮 し て 求 め ら れ た あ る 一 定 位 、 す な わ ち 確 定 値 と し て 取 り 扱 っ か わ れ て い る 。 例 え ぱ 、 港 湾 構 造 物 の 設 計 に お い て も 、 設 計 波 高 は あ る 再 現 期 間 に 対 す る 波 高 の 再 現 期 待 値 を 極 値 分 布 を 用 い て 求 め て お り 、 設 計 に お い て は こ れ を 確 定 値 と し て 取 り 扱 っ て い る 。 一 方 、 構 造 物 を 構 成 す る 一 材 訟 ら び に コ ン ク リ ー ト な ど の 部 材 の 強 度 に っ い て も 、 本 来 、 ば ら っ き を 有 す る が こ れ ら に っ い て も 、 あ る 信 頼 区 間 で 定 め た 設 計 強 度 を 用 い 、 確 定 値 と し て 取 り 扱 っ て 綬 計 計 算 を 行 な っ て い る 。 こ の よ う に 許 容 応 力 度 法 に よ る 確 定 諭 的 設 計 で は 上 述 し た 荷 童 お よ び 強 度 の 不 確 実 性 に よ る 変 動 を 直 接 考 慮 で き な い こ と か ら 、 こ れ ら を 考 慮 す る 信 頼 性 設 計 法 の 導 入 が 各 分 野 で 進 め ら れ て い る 。 こ れ1ま 、構 造物 の安 全性 を 破 壊 確 率 ま た は 安 全 性 指 標 で 評 価 す る も の で あ る 。

  近 年 、 構 造 物 の 設 計 法 と し て は 、 世 界 的 に 荷 重 係 数 設 計 法 ま た は 限 界 状 態 設 計 法 を 導 入 す る こ と が 主 流 と な っ て お り 、 現 在 、 我 が 国 に お い て も 、 構 造 物 の 設 計 法 が こ れ ら の 方 法 に よ る 設 計 体 系 に 移 行 し っ っ あ る 状 況 に あ る 。 例 え ば 、 昭 和61年 制 定 の コ ン ク リ ― ト 示 方 書 は 、 限 界 状 態 設 計 法 の 設 計 フ ォ ー マ ッ ト に 移 行 し て お り 、 こ れ を 受 け て 各 種 の 構 遣 物 に お い て 設 計 基 準 の 改 訂 作 業 が 進 め ら れ て い る 。 港 湾 コ ン ク リ ― ト 構 造 物 の 設 〓 ヤ に お い て も 、 限 界 状 態 設計 法の 導 入作 業が 、現 在実 施さ れて いる 。限 界状 態 設 計 法 に お い て は 、 荷 重 係 数 な ど の 安 全 係 数 を 用 い て 構 造 物 の 安 全 性 を 照 査 す る が

、 荷 重 係 数 は 構 造 物 の 特 性 、 荷 重 の 変 動 性 、 構 造 物 の 重 要 度 な ど を 適 切 に 評 価 し て 設 定 さ れ な け れ ぱ な ら な い 。 そ こ で 、 本 論 文 で は 、 港 湾 構 造 物 の 設 計 に お け る 主 要 な 外 カ で あ る 地 震 荷 重 、 波 浪 荷 重 、 風 荷 重 の 荷 重 係 数 を 信 頼 性 設 計 手 法 に 基 づ い て 、 安 全 性 指 標 を 用 い る 手 法 に よ っ て 求 め 、 提 案 す る 。 次 に 、 本 論 文 で は 、 構 造 物 の 最 適 安 全 性 に っ い て 考 察 す る 。21世 紀 に 向 け て 我 が 国 周 辺 に お い て は 、 今 後 ま す ま す 海 洋 空 間 の 有 効 利 用 が 促 進 さ れ 、 各 種 の 海 洋 施 設 の 建 設 が 進 捗 し 、 ま た 、 港 湾 施 設 も よ り 大 水 深 海 域 に 建 綬 さ れ て い く も の と 思 わ れ る 。 施 設 の 建 設 地 点 が 大 水 深 海 域 に な り 、 ま た 、 施 設 が 大 規 模 に な る こ と に よ り 、 構 造 物 の 破 壊 に よ る 損 害 は こ れ ま で 以 上 に 甚 大 と な り 、 ま た 、 破 壊 し た 場 合 の 復 旧 も こ れ ま で 以 上 に 困 難 に な る こ と が 予 想 さ れ る 。 し か し な が ら 、 構 造 物 に 対 し て 高 い 安 全 性 を 確 保 し 、 構 造 物 の 破 壊 確 率 を 小 さ く し よ う と す れ ば 、 そ れ に 伴 い 構 造 物 の 断 面 が 大 き く な り 、 建 設 費 用 の 増 大 に っ な が り 、 建

(2)

設プロジェクト自体の実現が困難とナょることもある。このように構造物の安全性と建 設費用の関係はトレードオフの関係にあるので、大水深海域に建設される港湾構造物 および海洋構造物の安全性の検討においては、これまで以上に、詳細な検討を行い、

設計に用いる遣切な荷重レベルを決めることが必要になる。そのための方法として、

耐用年数中の構造物の破壊確率を計算し、構造物の初期建設費、維持費、構造物の破 壊に伴って生ずる復旧費などと、構造物の供用による開発効果、破壊または損傷によ る構造物の機能停止または機能低下に伴う負の経済効果などとを計算し、その双方を 考慮することによって、耐用年数中に要する総費用が最小となる、あるいは便益と費 用 の 差 が 最 大 と な る よ う 構 造 物 を 設 計 す る 手 法 を 確 立 す る 必 要 が あ る 。

  

本論文においては、以上示したことを研究の目標として、第1 章では本研究の目的 と既存の研究のレピューを行っている。

  

第2 章では、構造物の安全性を照査する際に必要となる荷重の耐用年数中における 最大値の確率分布、およびその平均値、変動係数を明らかにすることが必要であるの で、その計算法を提示した。また、港湾構造物を設計する際に支配的な外カである地 震荷重、波浪荷重、風荷重について、我が国で取得されたデータに基づいて、耐用年 数中における最大荷重の平均値および変動係数の計算結果を示し、考察を行った。耐 用年数中の最大荷重の変動係数にっいては、地域的な差異がみられたことから地域特 性を考慮して検討する必要性を示した。

  

第3 章では、このようにして得らた耐用年数中の最大荷重の平均値および変動係数 を用いて既設の港湾構造物の安全性指標を計算し、これに基づいて目標とする安全性 指標を設定し、港湾構造物の限界状態設計法における地震荷重、波浪荷重、風荷重の 荷重係数を提案した。これらの数値は、コンクリート 標準示方書で提案されている数 値 とお おむ ね同 一で あり たが 、一部にやや大きいものがあることを明らかにした。

  

第4 章では、港湾の係留施設の安全性を破壊確率によって評価するための数値シュ ミレーション手法にっいて述べた。本論文では単杭による接岸ドルフインを検討の対 象として取り上げ、耐用年数中の船舶の接岸荷重および係留中の荷重に対して、荷重 の繰り返し作用による単杭構造物の変位復元力特性の履歴特性を考慮し破壊確率を計 算する手法を一提案した。また、構造物の使用限界状態および疲労限界状態に関する検 討を行なうため、最大変位、残留変位および累積疲労損傷度の計算手法を提案した。

  

第5 章では、構遣物の建設に係わる構造物の初期建設費、維持貴、構造物の破壊に 伴って生ずる復1 日晝などの費用および構造物の供用による開発効果、破壊による損失 などの便益を勘寮し、合理的な構造断面を設計する方法にっいて提案した。この手法 を用いて、原油タンカーパースおよび製品出入荷バースにおける接岸速度の設計値に っ いて 費用 便益 分析 によ る観 点からの考察を行い、設計値の決定法に関する提案を 行った。

  

第6 章では、本研究の結諭をまとめた。

(3)

学 位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

佐 伯 五十嵐 角 田 三 田

    浩 日出夫 輿史雄 利之

    学 位 論 文 題 名

港 湾 の 係 留 施 設 の 信 頼 性 設 計 法 に 関 す る 研究

  構 造 物 に 作 用 す る 荷 重 は 変 動 性 を 有 す る が 、 こ れ ま で 構 造 物 の 設 計 法 と し て 採用 さ れ て き た 許 容 応 力 度 法 に お い て は 、 設 計 荷 重 は 再 現 期 待 値 な ど を 考 慮 し て 求 め られ た ー 方 、 構 造 物 を 構 成 す る 鋼 材 な ら び に コ ン ク リ ー ト な ど の 部 材 の 強 度 に つ い て も、 本 来 、 ぱ ら っ き を 有 す る が こ れ ら に つ い て も 、 あ る 信 頼 区 間 で 定 め た 設 計 強 度 を 用い 、 確 定 値 と し て 取 り 扱 っ て 設 計 計 算 を 行 な っ て い る 。 こ の よ う に 許 容 応 力 度 法 に よる 確 定 論 的 設 計 で は 上 述 し た 荷 重 お よ び 強 度 の 不 確 実 性 に よ る 変 動 を 直 接 考 慮 で き ない こ と か ら 、 こ れ ら を 考 慮 す る 信 頼 性 設 計 法 の 導 入 が 各 分野 で進 めら れ てい る。 これ1よ 、 構 造 物 の 安 全 性 を 破 壊 確 率 ま た は 安 全 性 指 標 で 評 価 す る も の で あ る 。   近 年 、 構 造 物 の 設 計 法 と し て は 、 世 界 的 に 荷 重 係 数 設 計 法 ま た は 限 界 状 態 設 計法 を 導 入 す る こ と が 主 流 と な っ て お り 、 現 在 、 我 が 国 に お い て も 、 構 造 物 の 設 計 法 がこ れ ら の 方 法 に よ る 設 計 体 系 に 移 行 し つ っ あ る 状 況 に あ る 。 港 湾 コ ン ク リ ー ト 構 造 物の 設 計 に お い て も 、 限 界 状 態 設 計 法 の 導 入 作 業 が 、 現 在 実 施 さ れ て い る 。 限 界 状 態 計算 法 に お い て は 、 荷 重 係 数 な ど の 安 全 係 数 を 用 い て 構 造 物 の 安 全 性 を 照 査 す る が 、 荷重 係 係 数 は 構 造 物 の 特 性 、 荷 重 の 変 動 性 、 構 造 物 の 重 要 度 な ど を 適 切 に 評 価 し て 設 定さ れ な け れ ぱ な ら な い 。 そ こ で 、 本 論 文 で は 、 港 湾 構 造 物 の 設 計 に お け る 主 要 な 外 カで あ る 地 震 荷 重 、 波 浪 荷 重 、 風 荷 重 の 荷 重 係 数 を 信 頼 性 設 計 手 法 に 基 づ い て 、 安 全 性指 標 を 用 い る 手 法 に よ っ て 求 め 、 提 案 し た 。 次 に 、 本 論 文 で は 、 構 造 物 の 最 適 安 全 性に つ い て 考 察 し て い る 。21世 紀 に 向 け て 我 が 国 周 辺 に お い て は 、 今 後 ま す ま す 海 洋 空間 の 有 効 利 用 が 促 進 さ れ 、 各 種 の 海 洋 施 設 の 建 設 が 進 捗 し 、 ま た 、 港 湾 施 設 も よ り 大水 深 海 域 に 建 設 さ れ て い く も の と 思 わ れ る 。 施 設 の 建 設 地 点 が 大 水 深 海 域 に な り 、 また 、 施 設 が 大 規 模 に な る こ と に よ り 、 構 造 物 の 破 壊 に よ る 損 害 は こ れ ま で 以 上 に 甚 大と な な り 、 破 壊 し た 場 合 の 復 旧 も こ れ ま で 以 上 に 困 難 に な る こ と が 予 想 さ れ る 。 し かし な が ら 、 構 造 物 に 対 し て 高 い 安 全 性 を 確 保 し 、 構 造 物 の 破 壊 確 率 を 小 さ く し よ う とす れ ぱ 、 ・ そ れ に 伴 い 構 造 物 の断 面が 大き く なり 、建 設費 用の 増大 にっ なが り、 建設 プロ ジ

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エクト自体の実現が困難となることもある。このように構造物の安全性と建設費用の 関係はトレードオフの関係にあるので、大水深海域に建設される港湾構造物および海 洋構造物の安全性の検討においては、これまで以上に、詳細な検討を行い、設計に用 いる適切な荷重レペルを決めることが必要になる。そのための方法として、耐用年数 中の構造物の破壊確率を計算し、構造物の初期建設費、維持費、構造物の破壊に伴っ て生ずる復旧費などと、構造物の供用による開発効果、破壊または損傷による構造物 の機能停止または機能低下に伴う負の経済効果などとを計算し、その双方を考慮する ことによって、耐用年数中に要する総費用が最小となる、あるいは便益と費用の差が 最 大 と な る よ う 構 造 物 を 設 計 す る 手 法 を 確 立 す る 必 要 が あ る 。

  

本論文においては、以上示したことを研究の目標として、第1 章では本研究の目的 と既存の研究のレビューを行っている。

  

第2 章では、構造物の安全性を照査する際に必要となる荷重の耐用年数中における 最大値の確率分布、およびその平均値、変動係数を明らかにすることが必要であるの で、その計算法を提示した。また、港湾構造物を設計する際に支配的な外カである地 震荷重、波浪荷重、風荷重について、我が国で取得されたデ一夕に基づいて、耐用年 数中における最大荷重の平均値および変動係数の計算結果を示し、考察を行った。耐 用年数中の最大荷重の変動係数については、地域的な差異がみられたことから地域特 性を考慮して検討する必要性を示した。

  

第3 章では、このようにして得らた耐用年数中の最大荷重の平均値および変動係数 を用いて既設の港湾構造物の安全性指標を計算し、これに基づいて目標とする安全性 指標を設定し、港湾構造物の限界状態設計法における地震荷重、波浪荷重、風荷重の 荷重係数を提案した。これらの数値は、コンクリート標準示方書で提案されている数 値とおおむね同一であったが、一部にやや大きいものがあることを明らかにした。

  

第4 章では、港湾の係留施設の安全性を破壊確率によって評価するための数値シュ ミレーション手法について述べた。本論文では単杭による接岸ドルフィンを検討の対 象として取り上げ、耐用年数中の船舶の接岸荷重および係留中の荷重に対して、荷重 の繰り返し作用による単杭構造物の変位復元力特性の履歴特性を考慮し破壊確率を計 算する手法を提案した。また、構造物の使用限界状態および疲労限界状態に関する検 討を行なうため、最大変位、残留変位および累積疲労損傷度の計算手法を提案した。

  

第5 章では、構造物の建設に係わる構造物の初期建設費、維持費、構造物の破壊に 伴って生ずる復旧費などの費用および構造物の供用による開発効果、破壊による損失 などの便益を勘案し、合理的な構造断面を設計する方法について提案した。この手法 を用いて、原油夕ンカーバースおよび製品出入荷バースにおける接岸速度の設計値に

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