2021. 1 日本医療・病院管理学会誌 23 編 集 後 記 この度,日本医療・病院管理学会誌第58 巻第1 号を無事発刊する運びとなりました。投稿・査読の労をお 取りいただいた諸先生方,そして学会活動をご支援いただいている全会員の皆様に深くお礼申し上げます。 本号では,2 編の研究資料を掲載させていただくことができました。病院職員の定着はすべての医療機関 が抱える重大な病院運営の課題ですが,大分の事例研究では,「職員同士の人間関係」,「仕事のやりがいと 教育や生活への支援」,「尊重の風土」という3 つのキーワードを示していただきました。また,東京都での 在宅療養課題に関する研究では,議事録の計量テキスト分析の有用性を示していただきました。 そういえば最近,マスメディアでも DX(デジタル・トランスフォーメーション)という用語をよく耳に するようになりました。もともとは2004 年にスウェーデンで生まれたビジネス用語で,IT 浸透による根底 からの企業変革を指します。本邦では2018 年,経済産業省が「DX 推進ガイドライン」を発表したことでそ の概念が注目されるようになりました。DX は単に情報をデジタル化するということではなく,情報技術の 力で文化と風土を変革し,企業が競争力を確立することを意味します。 今,情報ガバナンスの遅れは日本社会の大きな足枷となっています。2015 年に OECD(経済開発協力機 構)は,日本の医療情報のガバナンスと活用のレベルが加盟国中最下位と評価し,私たちに衝撃を与えまし た。残念ながら現在もこの状況は解決したとは言えません。コロナ禍での飲食店休業支援金の配布などでも 露呈したように,日本の情報ガバナンス力は,世界の情報先進国と比較して大変見劣りがします。医療情報 の世界でもこの遅れは同じです。予防接種者のデータ管理体制などでは,デジタル化の遅れがこれほど社会 に不利益を与えることに多くの人が唖然としたことと思います。 デジタルデータを向こう側において付き合う時代はもう終わらせなければならないと考えます。日本の医 療も,「デジタルデータの上で知り,考え,決め,進む」生き方を当たり前とする DX 時代へと,大きく舵 をきらなければなりません。ポストコロナの医療管理学はどこへ向かうべきか,しっかりと見据えながらこ の分野の発展を見守りたいといつも願っています。 (根東 記)
編集後記
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