博 士 学 位 論 文
ヒト耳介軟骨細胞と複合型吸収性スキャフォールド
(nanoPGA / PCL)を用いた耳介形状軟骨の
再生誘導
平
野
成
彦
ヒト耳介軟骨細胞と複合型吸収性スキャフォールド ( nanoPGA / PCL ) を用いた耳介形状軟骨の再生誘導 平 野 成 彦近 畿 大 学 大 学 院
医 学 研 究 科 医 学 系 専 攻
博 士 学 位 論 文
ヒト耳介軟骨細胞と複合型吸収性スキャフォールド
(nanoPGA / PCL)を用いた耳介形状軟骨の
再生誘導
平 成 29 年 11 月
平
野
成
彦
医学系専攻(指導:磯貝典孝 教授)
近 畿 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科
ヒト耳介軟骨細胞と複合型吸収性スキャフォールド (nanoPGA / PCL) を
用いた耳介形状軟骨の再生誘導
近畿大学医学部 形成外科学教室 平 野 成 彦
(指導:磯貝 典孝 教授)
Tissue engineering of the ear-shaped cartilage by human auricular chondrocytes seeded on nanoPGA / PCL composite scaffold
Narihiko Hirano
Department of Plastic Surgery, Kindai University Faculty of Medicine
(Director : Prof. Noritaka Isogai) 要 約
耳介形状軟骨の再生において,生体内で 3 次元形状を維持する事が困難であった.3 次元耳介形状を維持す る方法を確立するために,PGA ナノファイバー (nanoPGA) とポリ -ε- カプロラクトン (PCL) を組み合わせ た,複合型吸収性スキャフォールドを作製した.この研究では,nanoPGA における播種細胞の生存率を検討 した.さらに複合型吸収性スキャフォールドをエタノールで処理して親水性を高め,軟骨の再生に対する効果 を検討した.まず軟骨細胞をヒトたち耳から単離し,in vitro で増殖させ,吸収性複合足場 (nanoPGA / PCL) 上に播種した.これらの細胞を播種した複合型吸収性スキャフォールドを無胸腺マウスに移植した.移植後 10 および 20 週で,肉眼的形態,組織学および,PCR を用いて試料を解析した.その結果,培養 5 日目の nanoPGA 群における生細胞数の割合は,従来の PGA 群に比較して有意に高い値を示した.生体内に移植後, エタノール処理群では白色光沢を帯びた軟骨組織で覆われていたのに対し,対照群は薄い結合組織と軟骨再生 が散発的に局在していた.エタノール処理による複合型吸収性スキャフォールドの改質は,SOX5 の発現を促 進した.20 週間後,エタノール処理により有意に高い SOX5 遺伝子発現が誘導され,サフラニン O 陽性染色 はスカフォールド内部に拡大していることが分かった.以上の結果より,エタノールによる複合型吸収性スカ フォールドの改質は,経時的に軟骨マトリックスの産生を促進し,耳介形状軟骨の再生に対するエタノールの 有効性が示唆された. Key words:軟骨再生,ヒト耳介軟骨,耳介形状軟骨,ナノファイバー
緒 言 生体組織工学 (Tissue engineering) とは,生分解性ポリマーに細胞および成長因子を組み合わせて生体に 移植可能な組織を再生誘導する技術であり,1988 年 Vacanti らによってその基本概念が提唱された1.1997 年 Cao らはこの基盤技術をさらに発展させ,ヒト耳介形状を有する軟骨を再生誘導し,耳介形成手術におけ る新しいオプションとして生体組織工学が将来重要な役割を果たすことを示唆した2. 本技術をヒトへ臨床応用するためには,小動物実験および前臨床試験となる大動物を用いた自家移植モデル における軟骨再生が不可欠であるが,それらによる実験成績は未だ不良である3−5.小動物モデル (免疫不全 マウス) では,移植後 10 か月において耳輪・対耳輪・舟状窩など耳介の特徴的構造が部分的に消失する.ま た大動物自家移植モデルでは,強い炎症反応などにより,移植後 3 か月において耳介構造全体が消失し,有 効な軟骨再生を来しえない6. 組織再生誘導においては,(1) 播種細胞の種類7−11および細胞密度12−14,(2) 軟骨細胞増殖や基質産生を誘 導するするサイトカイン15−18,(3) 細胞の分化増殖に必要な微小環境あるいは 3 次元形状を付与する足場材 料 (スキャフォールド) の性状・力学的強度・組織親和性7, 8, 18−30などの諸問題を解決せねばならない. 近年,ナノファイバーを用いて,本来の細胞外基質に近い微細構造をもつ足場材料を作製することが可能と なり,軟骨組織再生用の新規素材として注目されている.これまで我々は,ナノファイバー化した生分解性ポ リマー polyglycolic acid (PGA) を,生体親和性と力学的強度を兼ね備えた非分解性ポリマーであるプロリン と組み合わせて,ヒト耳介形状を有する複合型非吸収性性スキャフォールドとして用い,軟骨再生を試みてき た.その結果,播種軟骨細胞の接着効率は著しく向上し,大動物 (イヌ) を用いた自家移植モデルにおいて良 好な軟骨再生を示し得た 31, 32.しかしプロリンでは正常耳介が持つ複雑な三次元形状・薄さ・しなやかさを長 期間維持することは不可能であり,これらが臨床応用していく上での目下の問題点となっている. そこで本研究では,Tissue engineering における 3 要素の中で,特にスキャフォールドの改良に焦点を絞ることと した.長期間三次元形状を維持するため,充分な剛性を持つ poly-ε-caprolactone (PCL) を使用した.耳介形状 PCL の表面をナノファイバー化した PGA (nanoPGA) で被覆し,複合型吸収性スキャフォールド (nanoPGA / PCL) を作製した.この新規足場材料にヒト軟骨細胞を播種し,ナノファイバーにおける播種細胞の細胞分布および 生存率を検討した (実験 1).さらに細胞接着を高めるため,複合型吸収性スキャフォールドの疎水化表面を親 水化し,ヒト耳介軟骨細胞を播種した後に無胸腺マウス皮下に移植し,耳介形状軟骨の再生誘導を行った (実 験 2).本研究結果より,従来困難であった複雑な耳介立体構造を,生体内で長期維持し得ることが示された. 材料および方法 実験動物
実験動物は,4−6 週齢無胸腺マウス (平均体重 28 g,雄 24 匹 ; Harlan Sprague Dawley,Indianapolis, IN) を用いた.飼育はクリーンラック内で室温 22oC,湿度 50%,12 時間明暗サイクルの条件下に行った.飼料は
放射線 (3 mG) にて滅菌された固形飼料を与え,飼料用水は制限なく与えた.全ての実験は Protecting Human Research Participation および the Northeastern Ohio Universities College of Medicine and Pharmacy 実験動物取扱規約を遵守して行われた.
ナノファイバー PGA シートの作製 メルトブロー法を用いてナノファイバー PGA を作製した.溶融 PGA を多細孔より押し出して繊維形状と し,さらに熱風により延伸交絡させ,平均繊維径 1.2μm のポリグリコライドからなるナノファイバー PGA 不織布 (nanoPGA, 厚さ 80μm) をシート状に作製した32.nanoPGA 不織布における体積密度 (0.10 − 0.14 g/cm3) および空隙率 (90.5−93.4%) は,従来径 PGA 不織布の体積密度 (0.23 g/cm3) および空隙率 (84.4%) と比較して高値であった. ヒト耳介軟骨細胞の単離 ヒト耳介形態異常中,対輪の湾曲が不十分なため側頭部からのしょう立度が大きいたち耳 (図 1; 6 例,男女 = 3 : 3,平均年齢 5.6 才) の手術時に採取したヒト耳介軟骨組織を実験に使用した.各々の軟骨組織から皮膚・ 皮下組織・筋肉・軟骨膜を除去し,軟骨を無菌的に採取した.採取軟骨は,1 x 1 mm から 2 x 2 mm の大き さに細切し,0.3% コラゲナーゼ (collagenase type II; Worthington, Lakewood, NJ) にて 37℃,12 時間酵素処 理した33.孔サイズ 300μm のナイロンメッシュを用いてろ過した後,10% 仔牛胎児血清 (fetal bovine serum
/ FBS; Sigma-Aldrich, St.Louis, MO) 含有 DMEM / F-12 細胞培養液 (Cellgro, Manassas, VA) を用いて酵素 反応を停止させた.得られた細胞浮遊液を 4oC,2,420 rpm,8 分間遠心分離した.細胞数の測定には色素排除
法を用いた.0.4% トリパンブルー液 (Lonza, Walkersville, MD) にて細胞染色した後,倒立顕微鏡 (Model TMS, Nikon,東京) にて血球計算盤上の生細胞数を算定した.採取した細胞は,細胞培養用フラスコに 0.01 x 104 / cm2 の濃度で播種し,37oC,CO
2 濃度 5%,湿度 50% で 1 週間培養した.培地には 0.25% L- アスコル
ビン酸および 0.001% basic fibroblast growth factor (b-FGF, trafermin; 科研製薬,東京) を添加した.その後, 0.1% EDTA 入りトリプシン (Gibco, Grand Island, NY) 処理し,得られた培養細胞を再度色素排除法にて算定 し,以下に使用した. ヒト耳介軟骨細胞の播種 ヒトたち耳軟骨より単離した軟骨細胞を nanoPGA 不織布 (長さ 1 cm,幅 1 cm,厚さ 80μm) に播種した. コントロール群の足場材料として従来径 PGA を用い,同様に播種した.軟骨細胞の播種濃度は 1 x 108 / ml ヒトたち耳軟骨 年齢 (歳) 男:女 軟骨質量 (g) 軟骨質量あたりの 細胞収率 (x10x6/g) 5.6 ± 2.4 3 : 3 0.3 ± 0.1 9.5 ± 2.1 平均値 ± 標準偏差
図
1
図 1.ヒトたち耳の耳介軟骨検体背景に調整した.細胞を播種させた PGA は,37oC,CO 2 濃度 5% のインキュベーター内に 6 時間静置し,播種細 胞が PGA 表面に細胞接着させた.その後,細胞培養液を追加し,細胞を播種させた PGA を同条件にてさら に 7 日間培養した.培養液の交換は週 2 回行った. 生軟骨細胞数の測定 培養開始後 1 週目に,培養軟骨細胞を 10% ホルマリンにて固定し,トルイジンブルー染色を行った.また 倒立および偏光顕微鏡を用いて細胞および PGA を観察した.さらに培養開始より 1 週間の培養過程における 播種細胞の継時的な生存率を検討した.培養液に 1.5 ml PrestoBlue 液 (Invitrogen, Frederick, MD) を加えて 20 分間処理し,プレートリーダー (Synergy MX, Bio Tek, USA) にて吸光度を計測後,総播種細胞に対する 生軟骨細胞の割合を算出した (図 2). 耳介形状 PCL の作製 あらかじめ準備したヒト耳介の鋳型 (1 歳女児より採型) にポリマー溶液 (5% 1, 4- ジオキサンおよび PCL ) を穏やかに注入し,−40oC で 1 時間静置した.次にポリマーを鋳型より取り出し,40 Pa,−40oC,12 時間 の条件下に凍結乾燥処理した (TF10-80ATA; 宝製作所,Tokyo,Japan).最後に真空乾燥 (60oC,12 時間) にてモノマーおよび溶媒除去を行い,耳介形状を有する PCL (長さ 35 mm,幅 20 mm,厚さ 6 mm) を作製 した.作成した PCL の内部構造は格子状,かつ各々の格子が構成する小孔サイズ (直径) は約 300−500μm となるように作製した. 播種 5 x 106/ 50 μl 耳介軟骨 nanoPGA (1 x 1 cm) PGA (1 x 1 cm)
細胞培養
(1~7 日) 1.5 ml Presto Blue 溶液 に浸漬させる(10倍希釈) Incubation 20 minutes吸光度測定
スキャフォールド図
2
図 2. 実験 1 概要.(nanoPGA 群および従来の PGA 群のにおける播種細胞の細胞分布および 生存率の検討複合型吸収性スキャフォールドの作製 複合型吸収性スキャフォールド (nanoPGA / PCL) の作製では,耳介形状 PCL の表面および裏面を nanoPGA 不織布で被覆し,5−0 ポリグラクチン 910 (バイクリル ; エチコン,東京) で縫合固定した.スキャ フォールドの弾力性を評価するために,オートグラフ (AG-IS, 島津製作所,京都) を用いて折り曲げ応力を計 測した26.作製した複合型吸収性スキャフォールドは,エチレンオキサイドにてガス滅菌した. 複合型吸収性スキャフォールドのエタノール処理 ナノファイバー PGA シートおよび耳介形状 PCL の表面性状はともに疎水性であるため,エタノールを用 いて複合型吸収性スキャフォールドの疎水性表面を親水性に改質した33.スカフォールドを段階的に漸減した エタノール (100%,70%,50%) で 15 分ずつ処理し,続いて蒸留水およびリン酸緩衝生理食塩水 (PBS) にて 15 分ずつ洗浄,最後に 10% FBS 含有 DMEM / F-12 培養液に 60 分間浸漬した. 細胞・複合型吸収性スキャフォールドの生体内移植 無胸腺マウス背部皮下に軟骨細胞を播種した複合型吸収性スキャフォールドを移植した.前麻酔としてトル ブタミド (3 mg / kg) および硫酸アトロピン (0.04 mg / kg) を皮下注射し,15 分後にイソフルラン (Pitt-mann and Moores, Mundelein, IL, USA) にて麻酔導入および麻酔維持を行った.次に,無胸腺マウス背部を ポビドンヨード (The Purdue Frederick Company, Stamford, CT) にて消毒し,約 2 cm の皮下切開を加えた. 皮下剥離にて形成した皮下ポケット内に複合型吸収性スキャフォールドを挿入し,5−0 バイクリル縫合糸 (シ グマ,Tokyo,Japan) にて閉創した (図 3). 播種 100 x 106/ ml 細胞培養 5 日間 耳介軟骨
スキャフォールド
nanoPGA (外骨格) PCL (内骨格) 1 cm移植
エタノールに浸漬させる
10, 20週後に標本採取図
3
図 3.実験 2 概要.複合型吸収性スカフォールドの表面改質による,耳介形状軟骨再生誘導の検討組織染色 細胞を播種した複合型吸収性スキャフォールドの移植後 10 週目 (n = 18) および 20 週目 (n = 6) に標本採 取を行った.採取組織を 10% 中性ホルマリンにて 24 時間浸漬固定し,エタノール系列により脱水,その後 パラフィン包埋し,厚さ 6μm の切片を作成した.軟骨細胞一般的性状を調べるためにトルイジンブルー染色 を行った (キシレン 5 分 x 3 回,100% エタノール 2 分,95% エタノール 2 分,70% エタノール 2 分 x 2 回, 蒸留水 2 分,0.1% トルイジンブルー液 1 分,蒸留水 1 分,95% エタノール 2 分,100% エタノール 2 分,キ シレン 5 分 x 3 回).またプロテオグリカン産生を調べるために Safranin O 染色を行った (キシレン 5 分 x 3 回,100% エタノール 2 分,95% エタノール 2 分,70% エタノール 2 分,蒸留水 2 分,ヘマトキシリン 7 分, 流水蒸留水 3 分,0.2% Light Green working solution 3 分,1% 酢酸 1 分,蒸留水 1 分,Safranin O 6 分,1% 酢酸 1 分,蒸留水 1 分,95% エタノール 1 分 x 2 回,100% エタノール 1 分 x 2 回,キシレン 5 分 x 3 回). また弾性線維の産生を調べるために Verhoeff 染色を行った (キシレン 5 分 x 3 回,100% エタノール 2 分, 95% エタノール 2 分,70% エタノール 2 分間,Verhoeff 染色液 10 分,流水 1 分,蒸留水 2 分 x 2 回,Tar-trozine citric acid 2 分,95% エタノール 3 分,100% エタノール 1 分 x 2 回,キシレン 5 分 x 3 回).
リアルタイム PCR
採取された再生組織における軟骨関連遺伝子 (Type II collagen,Elastin,SOX 5) およびアポトーシス関連 遺伝子 (Caspase 8,Caspase 9),炎症関連遺伝子 (IL-1α) の発現を,リアルタイム PCR 法にて解析した.ま ず摘出した再生軟骨から凍結検体を作成し,E.Z.N.ATM MicorEluteTM Total RNA Kit (OMEGA, Norross, GA) により,軟骨細胞成分から全 RNA を抽出した.抽出した RNA 1μg に対し,10X Reaction Buffer (2μl), RNAse 阻害剤 (20 unit /μl,0.5μl),ランダムヘキサマー (1μl),オリゴ dT プライマー (1μl),10 mM Deoxynucleotide triphosphate (dNTP : 2μl)を加えた.コントロール RNA には,ハウスキーピング遺伝子 である large ribosomal protein P0 (以下 P0 と略す) を用いた.試薬には TaqMan® Gene Expression Assays (Applied Biosystems, Waltham, MA) を用いた.PCR 条件は以下のように設定した.逆転写を 50oC で 2 分間,
変性を 95oC で 10 分間,アニーリングを 95oC で 15 秒間,伸長反応を 60oC で 1 分を 1 サイクルとし,40 サ
イ ク ル 行 っ た. 使 用 プ ラ イ マ ー は,P0: Hs99999902_m1,Type II collagen: Hs00264051_m1,Elastin: Hs00355783_m1,SOX 5: Hs00374709_m1,Caspase 8: Hs01018151_m1,Caspase 9: Hs00609647_m1,Interleu-kin 1 alpha: Hs00174092_m1 (TaqMan® Gene Expression Assays) を用いた.
軟骨基質および軟骨被覆率の定量的評価
画像解析ソフトウェア (Image J; National Institutes of Health) を用いて Safranin O 染色した軟骨基質の産 生領域に関する画像解析を行った.軟骨基質の面積比は以下のように評価した.まず,軟骨基質の産生領域を, Safranin O 染色画像の陽性領域 (Image J にて画素値 R: 180 ~ 255,G: 0 ~ 100,B: 0 ~ 50 を満たすもの) と 設定した.Safranin O 染色画像の陽性領域を選択し,平方ピクセル単位で示された表示値を求めた.次に表 示値がスキャフォールド全体のピクセル値に占める割合を軟骨基質面積比として算出した.また軟骨基質によ るスキャフォールド被覆率 (軟骨被覆率) は以下のように評価した.前述同様,スキャフォールド外周を選択
し,スキャフォールド全体の周囲長に対する軟骨基質が観察された長さ (ピクセル距離) の割合を軟骨被覆率 とした.
統計処理
有意差検定は,One-way analysis of variance (ANOVA) および Bonferroni’s multiple comparison test によ る多重比較検定 (Post-hoc test) を行った.リアルタイム PCR データ比較には,Wilcoxon test を行った.統 計用ソフトウェアは GraphPad Prism (GraphPad Software Inc., San Diego, CA, USA) を使用した.
結 果 ナノファイバー化 PGA における播種細胞の分布,接着能,および生存率の評価 培養開始後 7 日目における nanoPGA 群 と PGA 群 (図 4) のポリマー性状およびポリマー内部の細胞分布 を鏡検にて評価した.倒立顕微鏡による観察では,nanoPGA 群は薄いポリマーの両面に播種細胞が集積し, 細胞質の好塩基性に強く染色されていた.またポリマー内部への細胞浸潤像は認められなかった (図 4 A). 偏光顕微鏡による観察では,nanoPGA 群には薄く密なナノファイバー構造が観察された (図 4 B).一方,従 来 PGA 群では,倒立顕微鏡による観察では播種細胞がポリマー繊維束の周辺に散在して観察され,ポリマー 間の空隙に細胞成分は認められなかった (図 4 C).また,偏光顕微鏡による観察では,厚いポリマー内部に 散在するポリマーが観察された (図 4 D).これらの結果より,nanoPGA 群の細胞分布は,ポリマーの外部に 高い細胞密度で集積するが,ポリマー内部における細胞密度は nanoPGA および PGA の両群で低いことが判 明した. 100 µm 100 µm
nanoPGA
PGA
図
4
A
B
Toluidine blue
染色像
偏光顕微鏡像
100 µm 100 µmC
D
図 4. nanoPGA 群の Toluidine blue 染色像 (A) と偏光顕微鏡像 (B),PGA 群の Toluidine blue 染色像 (C) と,偏光顕微鏡像 (D).nanoPGA 群ではポリマー両面に播種細胞が集積して いる.
次に培養期間中の総播種細胞数に対する生細胞数の割合を検討した (図 5).その結果,培養1日目におけ る生存率は nanoPGA 群で約 39%,PGA 群で約 17% であり,nanoPGA 群で有意に高値であった (P = 4.893 x 10−5 ).その後の培養経過において,両群ともに生細胞数は急速に増加し,培養 2 日目に平衡状態に達した.
培養経過中の生存率は nanoPGA 群において有意に高く,培養 5 日目の nanoPGA 群における生存率は,PGA 群に比較して,約 1.5 倍高い値を示した (P = 0.02). 複合型吸収性スキャフォールドの表面改質が軟骨基質の産生および軟骨被覆率に及ぼす影響 次に,エタノール処置した複合型吸収性スキャフォールドとエタノール処置を行っていないスキャフォール ド (対照群) にヒトたち耳より単離した軟骨細胞を播種し,無胸腺マウスの背部皮下に移植した.移植後 10 週に標本採取し,複合型吸収性スキャフォールドの表面改質が軟骨基質の産生および軟骨被覆率に及ぼす影響 について,肉眼所見,組織所見,遺伝子発現を検討した. まず肉眼所見および組織学的検討を行った.エタノール処理群ではスキャフォールドの表面は白色光沢を帯 びた軟骨組織で覆われていた (図 6 A).一方,対照群では,スキャフォールドが薄い結合組織に覆われ,軟 骨再生はスキャフォールドの一部に限局して観察された (図 6 B).組織学的には,エタノール処理群では nanoPGA 領域に一致して再生軟骨が観察された (図 6 C).対照群における軟骨形成はスキャフォールド表面 部に限局的に認められたが,全体的に不良であった (図 6 D).両群ともに,スキャフォールド内部は,Safr-anin O および Verhoeff 染色に陰性であり,軟骨再生は認められなかった (図 6 C,図 6 D).スキャフォール ド表面部の再生軟骨組織を比較したところ,エタノール処理群および対照群において,組織学的差異は認めら れなかった (図 7). ** ** * * * ** *
*
: P < 0.05,**
: P <0.01図
5
生細胞量
図 5. 総播種細胞数に対する生細胞数の割合.生存率は nanoPGA 群で有意に高く,培養 5 日目 に PGA 群に対して 50% 高い値を示した1 mm Safranin O
エタノール
処理群
対照群
1 mm 肉眼所見図
6
B
A
C
D
Safranin O Verhoeff Toluidine blue
100 μm
エタノール
処理群
対照群
図
7
図 7. エタノール処理群およびコントロール群における表面の組織像.Safranin O (左),Ver-hoeff (中),Toluidine blue (右) 染色.組織学的差異は認められない.図 6. エタノール処理群の肉眼所見 (A) および Safranin O 染色像 (C) と,コントロール群の肉 眼所見 (B) および Safranin O 染色像 (D) の比較.コントロール群は肉眼的にも組織学的 にも再生軟骨で表面が覆われている.
さらにリアルタイム PCR 法により,再生組織における軟骨関連遺伝子 (Type II collagen,Elastin,SOX 5; 図 8) およびアポトーシス・炎症関連遺伝子 (Caspase 8,Caspase9,IL-1α; 図 9) の発現を解析した.その結果, エタノール処理による表面改質により,検討した全ての軟骨関連遺伝子発現は亢進する傾向を示した.特に, エタノール処理により有意に高い SOX 5 の遺伝子発現が認められた (図 8 右).アポトーシス関連遺伝子の発 現に変化は認められなかったが (図 9 左および中央),炎症関連遺伝子である IL-1α の発現はエタノール処理 により有意に低下した (図 9 右). 複合型吸収性スキャフォールドの表面改質が軟骨基質の産生および軟骨被覆率に及ぼす経時的な影響 続いてエタノール処置により表面改質された複合型吸収性スキャフォールドと軟骨組織との親和性を評価 した.まず肉眼所見および組織学的検討を行った.移植後 10 週目では,スキャフォールドの一部に足場の小 孔が透見された (図 10 A).この所見に比較して,移植後 20 週目では,スキャフォールド表面に白色色調や 光沢が観察され,耳介特有の輪郭形状がより明瞭に表現された (図 10 B).組織学的には,移植後 10 週目では, スカフォールドの表面部に Safranin O 染色陽性領域を認めた.スキャフォールド内部における陽性反応は不 十分であった (図 10 C).移植後 20 週目において,スカフォールドの辺縁部の Safranin O 染色陽性領域 (図
TypeII collagen
Elastin
SOX 5
*
*: P < 0.05図
8
エタノール処理群 対照群 エタノール処理群 対照群 エタノール処理群 対照群 Normalized expression (P0)IL-1α
Caspase-8
*
*: P < 0.05Caspase-9
図
9
エタノール処理群 対照群 エタノール処理群 対照群 エタノール処理群 対照群 Normalized expression (P0) 図 9.アポトーシス・炎症関連遺伝子の発現量.エタノール処置により IL-1α は有意に低下している. 図 8.軟骨関連遺伝子の発現量.エタノール処理により SOX 5 が有意に増加している.11) は内部に向けて拡大し (図 10 D),表面のみでなくスキャフォールド内部においても陽性領域が観察され た (図 12).この結果,エタノール処理を行ったスキャフォールドの表面に生じた軟骨再生は,経時的に進行し, スキャフォールド中心部に向かって軟骨再生が促進することが示唆された. 95.7% 98.2% Safranin O
10 週
20 週
肉眼所見 1 mm 1 mm図
10
C
B
A
D
Safranin O Verhoeff Toluidine blue
10 週
20 週
100 μm
図
11
図 11. 移植後 10 群および 20 週群における表面の組織像.Safranin O (左),Verhoeff (中), Toluidine blue (右) 染色.20 週群では Safranin O 染色で陽性反応が強くなっている. 図 10. 移植後 10 週群の肉眼所見 (A) および Safranin O 染色像 (C) と,20 週群の肉眼所見 (B)
および Safranin O 染色像 (D) の比較.移植後 20 週群ではスカフォールド内部へ軟骨再 生が経時的に進行している.
次に,軟骨基質の産生と軟骨被覆率の検討を行った.Safranin O 染色された軟骨再生の面積比およびスキャ フォールドが再生軟骨により被覆される軟骨被覆率を調べた.その結果,軟骨再生面積比は,移植後 10 週目 (約 20%) に比較して,移植後 20 週目において有意な高値 (約 40%) を示し,経時的な軟骨基質の増加が認め られた (図 13).一方,軟骨被覆率は,10 週目において 63% であったが,20 週目には 88% に有意に増加した (図 14).これらの結果より,表面改質した複合型吸収性スキャフォールドは,経時的な軟骨基質産生を促進 し,耳介形状を長期維持するための芯材として適していることが判明した. 24
10 週
20 週
1 mm 1 mm 500 μm 500 μm PCL PCL図
12
図 12. 移植後 10 群 (上) および 20 週群 (下) の Toluidine blue 染色像.20 週群では内部の PCL 周囲にまで軟骨再生が及んでいる. 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 **
: P < 0.0510 週
20 週
50 40 30 20 10 0図
13
軟骨基質面積
/
総面積
(%
)
図 13. 移植後 10 群および 20 週群における軟骨再生面積比.20 週群では有意に軟骨量が増加し ている.考 察 本研究では,ヒト軟骨細胞を新たに開発した複合型吸収性スキャフォールドに播種して,耳介形状軟骨の再 生誘導を試みた.その結果,播種細胞のスキャフォールドへの接着はナノファイバー化した PGA を使用する ことで,従来の PGA と比して明らかに良好であることが判明した (図 5).また,複合型吸収性スキャフォー ルドの表面性状をエタノール処理にて改質する事で,軟骨基質の産生が経時的に促進されることが判明した (図 10). 近年,軟骨組織を対象として再生医療的手法 (軟骨細胞,間葉系幹細胞移植) を用いた新規治療法が研究さ れ,臨床応用への展開が盛んに模索されている.出発原料となるヒト耳介由来の軟骨細胞は,体外培養すると 脱分化する傾向やその表現型を変化させる傾向を持つことが知られている.臨床応用する上で,ドナーの年齢 や長期の培養などの条件により増殖速度が低下することも予測される.従来の報告では,ヒト由来軟骨細胞で は継代培養によって早期に脱分化し,細胞表現系が失われることが示されている34.このため,本研究におい ては細胞増殖を目的とした体外での継代培養は1回に限定した. 本研究では,ナノファイバー化 PGA の足場材料における播種細胞の分布および生存率について検討した (図 2).生分解性足場材料として,PGA,PLLA,PCL が広く知られている.特に PGA は,高い細胞接着性 と早い分解・吸収性によって優れた生体適合性を有している.このため,小動物を用いた三次元組織の再生誘 導実験において,理想的な支持体として応用されてきた.しかし,ポリエステル系の生体内分解性合成高分子 である PGA は分解の過程でグリコール酸を放出するため,PGA 使用量が多い場合は局所の pH 上昇によっ て炎症が惹起され,過度の炎症は再生遅延や組織破壊を引き起こすことが報告されている35, 36.一方,ナノファ イバー化された PGA では空隙率 (単位体積あたりに繊維が占める割合) が 90% 以上であり,PGA 重量は少 ない.また,極細化により足場材料の生体吸収時間は短縮され,局所的炎症が生じにくいことが報告されてい る32.さらにナノファイバーは,細胞外マトリックスに類似したサイズと構造を有するため,軟骨細胞の増 殖・分化過程に促進的に作用し得る可能性が報告されている32, 37. 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 *
*
: P < 0.0510 週
20 週
100 80 60 40 20 0図
14
軟骨被覆率
(%
)
図 14.移植後 10 群および 20 週群における軟骨被覆率.20 週群では有意に被覆率が増加している.また組織染色により,PGA への播種細胞の分布を検討したところ,nanoPGA 群ではポリマー外部に高い細 胞集積がみられた (図 4).通常のファイバーでは塊 (cluster) 化して細胞増殖する.一方ナノファイバーは, エレクトロンスピニング法により作製され,足場の多孔性,孔サイズおよび厚さが厳密にコントロールされて いる.そのため,ナノファイバー上に播種された細胞は三次元的ではなく二次元的,すなわち線維の配列に 沿って増殖し,しばしば脱分化や繊維芽細胞様の形態変化をきたす16, 17.このため,ナノファイバーの配列, 構造および厚さは,播種細胞の接着,増殖,分化に直接影響する37.本研究では,ヒト耳介軟骨細胞の足場材 料として厚さ 80μm のナノファイバー化した PGA (nanoPGA) を選択した.軟骨細胞は分化すると,プロテ オグリカン合成が盛んとなり細胞質が好塩基性に強く染色される.この現象はメタクロマジー (異染色性) と 呼ばれる.nanoPGA に播種された細胞では,メタクロマジーの顕著な増強が観察され,播種細胞は三次元環 境を有する足場で増殖・分化していることが示唆された. 本研究では,エタノール処置による軟骨基質の産生および軟骨被覆率の経時的変化の及ぼす影響について検 討した (図 10−14).これに関して,エタノール処理群において,移植経過に伴う再生軟骨組織によるポリ マー材料の被覆は経時的に進行し,移植 20 週目において,足場材料の約 90% が再生軟骨により被覆された. 軟骨再生は,足場材料の周囲と中心に向けて同時進行しており,このことから,最終的に足場材料は再生軟骨 に置換され得る可能性が示唆された. 本研究では,疎水性ポリマー材料の表面に親水性を付与する表面改質の手法として,OH 基をもち,水との 親和性が高いエタノール浸漬処理を行ってポリマー材料の疎水性表面に親水性を付与した (図 3).一般に, 細胞は適度な疎水性表面に付着しやすく,親水性表面には付着しない性質を持っている.また,ポリマーは疎 水性物質であることが広く知られている.しかし,細胞が人工材料に播種された場合,細胞は材料表面に直接 接着することはなく,材料表面に吸着するフィブロネクチンやコラーゲンなどの細胞接着性たんぱく質を介し て細胞接着する42と考えられている.このため播種細胞が生存するためには,これらのタンパク質が構成す る細胞外基質への接着が不可欠であり,細胞と材料表面との間に形成される接着性タンパク質 (バイオイン ターフェイス) に関する研究は,再生医療に必須な基盤技術と考えられる.このようなタンパク質は,培地に 添加する血清に含まれており,培養時にポリマー材料の表面に吸着し,細胞接着の足場を提供している.この タンパク質の吸着現象は,材料表面の親水性と密接に関係している.このため,ポリマー材料を生体環境で使 用する場合には,ポリマー表面の親水性が求められる. またエタノール処置群と対照群の軟骨関連遺伝子およびアポトーシス関連遺伝子の発現を比較検討した (図 8−9).一般に軟骨組織は,機械的刺激(伸張刺激と圧迫刺激)を受けている.伸張刺激に対しては,軟骨基 質の中で II 型コラーゲンが,また,圧迫刺激に対してはアグリカンが深く関与して軟骨構造を維持すると考 えられている.この軟骨基質の維持は,基質再生と基質分解のバランスに影響され,軟骨細胞代謝に関与する さまざまな転写因子が重要な役割を担っている.近年,SOX 系転写因子は,間葉系幹細胞から軟骨細胞に至 る分化制御において重要な働きをしていることが明らかとなった40.特に SOX 5 および SOX 6 は,SOX 9
により分化誘導された間葉系細胞の凝集を促進し,前軟骨芽細胞より軟骨芽細胞への分化を決定づける重要な
役割を担っている40, 41.一方,エタノール処理によって親水性がスキャフォールドに付与された場合,アポ
α) 発現は有意に低下していた.軟骨細胞と細胞外基質との相互関係において,細胞外基質が欠如した場合, 軟骨細胞の生存・分化は阻害され,アポトーシスによる細胞死が示唆されている18, 43−46.一方,IL-1α は, 炎症性サイトカインとして知られ,血管内皮細胞やマクロファージなどを活性化し,メタロプロテアーゼ (MMP) やコラゲナーゼなどの器質分解酵素の発現を促進する.この結果,IL-1α は軟骨破壊に関与すること が明らかとなっている47.本研究では,親水化した複合型吸収性スカフォールドの移植後 10 週目において, IL-1α 発現の低下と伴に SOX 5 の発現が有意に亢進していた.この結果より,三次元足場の表面改質によっ て軟骨基質産生が良好に進んだ可能性が示唆された. 耳介の形状は,耳輪・対耳輪・耳珠など,特有な曲率をもつ複雑な形状をもつ軟骨が組み合わさって構成さ れている.このため,耳介の再建手技では,これらの形状が詳細に再現される必要である.一方,再生軟骨の 臨床応用においては,この三次元形状が単に再現されるのみでなく,長期的に形状が維持され,成長や経年変 化についても考慮されねばならない.特に耳介は,体表から突出し,薄い皮膚に覆われる特徴を持っている. このため,日常的に加わる皮下組織圧や突発的に強い外力を受けた場合においても,三次元構造を維持できる 力学的強度が再生軟骨には必須と考えられる.これまでの報告によると,皮下組織内圧は 6 N であり48,スキャ フォールドは,一定期間 (少なくとも皮膚の収縮に耐える物理学的強度を再生軟骨が獲得するまでの期間), 分解されずに耳介形状が維持される必要がある.今回の実験で開発した複合型吸収性スキャフォールドでは, 内部構造が格子状であり,折り曲げ応力は 137N を示した.この結果より,スキャフォールド本来の三次元形 状は,移植後の長期間にわたり良好に維持され得ると考えられた48. 軟骨形成において血管網の発達は密接に関連していることが推測されている.未分化な間葉系幹組織は増殖 した後,細胞凝集塊を作る.この凝集領域内には毛細血管網が多数分布しているが,軟骨分化に先立って血管 網は退縮し,無血管の軟骨性骨原基が形成されることが報告されている49.軟骨性原基が形成された後には,
血管侵入を阻止する種々の抑制因子 (Chondromodulin-1,Tissue Inhibitor of Metalloproteinase など) が放出 され,周囲に発達した血管網があるにも関わらず,軟骨自体は無血管に保たれることが知られている24, 50−52. 再生誘導した軟骨においても,同様な血管網の形成過程が生じると考えられ,血管形成を介した栄養拡散は播 種細胞の増殖・分化に必須と考えられる.この血管網の誘導に関して,スキャフォールドの内部構造を多孔質 とし,小孔サイズを 200μm 以上に設計することにより,スキャフォールド内部へ侵入する新生血管数を増加 し得るとの報告がなされている39.また,多孔性および孔サイズに着目したこれまでの報告によると,足場の 孔サイズが 500μm では播種細胞の増殖が,200μm においては分化が促進される53.本研究で用いた耳介形 状 PCL の内部構造は格子状であり,その小孔サイズは 300−500μm に設計されている.このため,スキャ フォールド内部への血管侵入は容易であり,播種細胞の増殖・分化を誘導する上で,良好な足場環境となって いることが推察される. 表面改質した複合型吸収性スキャフォールドは,高い軟骨再生能と三次元形状を維持するために必要な高い 力学的特性を有しており,今後,本技術は三次元形状軟骨の再生誘導を臨床応用する上で有用な基盤技術にな ると考えられる.
謝 辞
本稿を終えるにあたり,御指導,御校閲を賜りました近畿大学医学部形成外科学 磯貝典孝教授,細菌学教 室 藤田貢准教授,ならびに本研究を行うにあたりご協力いただきました米国 Akron 大学 Polymer Science Center William J. Landis 教授に深謝いたします.また著者に開示すべき利益相反はありません.
文 献
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