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〈 翻 訳 〉
ア メ リカ 合 衆 国 に お け る証 券 規 制 と ニ ユ ー デ ィ ー ル[1]
マ イ ケ ル ・E.・ パ リ ッ シ ュ 加 賀 譲 治(訳)
【 訳 者 ま え が き 】
わ が 国 の1日証 券 取 引 法(現 金 融 商 品 取 引 法)の 範 と な っ て い る の は 、 ア メ リ カ 合 衆 国 の1933年 証 券 法(SecuritiesAct1933)と1934年 証 券 取 引 所 法 (SecuritiesExchangeActl934)で あ る 。 こ れ ら 米 国 二 法 が 、1929年 に 発 生 した 大 恐 慌 の 克 服 の た め に 当 時 の ル ー ズ ベ ル ト大 統 領 が ニ ュ ー デ ィ ー ル 政 策 を 採 用 し て 相 次 い で 立 法 作 業 を 行 い 、 連 邦 議 会 が 制 定 した 証 券 関 係 諸 法 の 最 初 の 制 定 法 で あ る こ と は よ く知 ら れ て い る。
訳 者 が 大 学 院 生 の 時 代 に 、MichaelE.Parrish,SecuritiesRegulation
AndTheNewDeal,Ya置eUniversityPress,1970(マ イ ケ ル ・E.・ パ リ ッ シ ュ 『ア メ リ カ 合 衆 国 に お け る 証 券 規 制 と ニ ュ ー デ ィ ー ル 』 エ ー ル 大 学 出 版 局 、 1970年)が 出 版 さ れ て い る こ と を 知 っ た 。 こ れ ほ ど 詳 細 に か つ 生 き 生 き と ア メ
リカ 合 衆 国 の こ の 時 期 の 立 法 事 情 を 描 い た も の は 、 ほ か に は 見 当 た ら な い 。 今 も証 券 市 場 規 制 の 後 進 国 で あ り続 け て い る 日 本 に と っ て も 、 ア メ リ カ 合 衆 国 の 証 券 立 法 の 理 念 と経 緯 は ど う し て も 学 ば な け れ ば な ら な い も の と 思 わ れ る 。 い つ か 日 本 語 訳 を 施 そ う と 考 え 、 エ ー ル 大 学 出 版 局 と応 答 した 結 果 、 同 轡 の 中 心 部 分 で あ る 第3章 と第5章 を 翻 訳 す る 許 可 を い た だ い た 。 数 年 前 に 許 可 を 得 て い た に も か か わ ら ず 、 繁 多 に 紛 れ て こ れ ま で 手 付 か ず の 状 態 に あ っ た が 、 この た び 翻 訳 を 連 載 し よ う と 思 い 立 っ た 。 わ が 国 に お け る 証 券 取 引 規 制 を 考 え る…
助 に な れ ば と願 う 次 第 で あ る 。 な お 、 本 書 に つ い て は 、 神 崎 克 郎 先 生 に よ り紹
介 が な さ れ て い る[ア メ リ カ 法(1974年)101頁 以 下]。
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翻 訳 を 開 始 す る前 に 、 本 書 の 全 体 を 概 観 して お き た い 。1929年 大 恐 慌 が 発 生 し て 後 、1933年 に 大 統 領 に 就 任 し たF.ル ー ズ ベ ル トは 、1933年 証 券 法 、1934 年 証 券 取 引 所 法 、1935年 公 益 事 業 持 株 会 社 法 、1939年 信 託 証 書 法 、1940年 投 資 会 社 法 、1940年 投 資 顧 問 法 の 連 邦 証 券 諸 法 を 成 立 さ せ た 。 同 時 に 、 こ の よ う な 証 券 関 係 諸 法 を 運 用 す る 「証 券 取 引 委 員 会 」(SecuritiesandExchange
Commission,通 称SEC)の 委 員 を 任 命 して 発 足 さ せ て い る。 ニ ュ ー デ ィ ー ラ ー と し て の ル ー ズ ベ ル ト大 統 領 に と っ て 、 大 恐 慌 と そ の 後 の 経 済 大 不 況 の 立 て 直 し の た め に 、 証 券 に 対 す る 公 衆 の 信 頼 回 復 は ニ ュ ー デ ィ ー ル 政 策 の 中 心 と な る も の で あ っ た 。
本 書 の 第1章 「 改 革 の 基 礎 」(RootsofReform)で は 、1911年 カ ン ザ ス 州 か ら始 ま っ た1910年 代 に お け る 各 州 レ ベ ル で 証 券 規 制 、 い わ ゆ る ブ ル ー ・ス カ イ ・ロ ー(BlueSkyLaws)に よ る 規 制 が 行 わ れ た こ と に つ い て 、 そ の 動 機 、 規 制 内 容 を 述 べ 、 そ の 限 界 を 指 摘 した 後 、 合 衆 国 全 体 の 連 邦 規 制 を 模 索 した 経 緯 が 述 べ ら れ て い る 。 全 国 的 な 規 制 に は 至 ら な か っ た が 、 そ の 動 き と経 験 が 後 の 連 邦 証 券 規 制 に 反 映 さ れ た と指 摘 さ れ て い る 。
第2章 「自 主 規 制 の 崩 壊 」(TheCollapseofSelf‑Regulation)で は 、 い わ ゆ るIBA(lnvestmentBankersAssociation,投 資 銀 行 協 会 、1912年 設 立)
と して は 、 ブ ル ー ・ス カ イ ・ロ ー が 証 券 詐 欺 禁1ヒ法 以 上 の 規 制 を す る こ と を 阻 止 し よ う と し、 そ れ に よ っ て 結 局 ブ ル ー ・ス カ イ ・ ロ ー が 十 分 な 州 レ ベ ル で の 証 券 規 制 を な し え な か っ た 点 を 指 摘 し、1920年 代 に お い て 、 自 主 規 制 機 関 で あ
るlBAとNYSE(NewYorkStockExchange,ニ ュ ー ヨ ー ク証 券 取 引 所)の 怠 慢 を 追 及 して い る 。
第3章 「全 国 的 な 証 券 規 制 の 基 礎 」(FoundationsofNationalControD
は 、F.ル ー ズ ベ ル ト大 統 領 に よ る連 邦 証 券 立 法 の 最 初 の も の と な る1933年 証 券 法 の 成 立 経 緯 を 詳 述 す る 章 で あ り、 本 稿 で 翻 訳 す る 箇 所 で あ る 。
第4章 「 第2部 の 奇 妙 な 死 滅 」(TheStrangeDeathofTitleIDで は 、1920
年 代 の ア メ リカ 合 衆 国 に 流 れ 込 ん で い た 外 国 証 券 、 特 に ラ テ ン ア メ リ カ 諸 国 発
行 の 外 国 債 が 利 息 支 払 ・元 本 償 還 に つ き 履 行 遅 滞 と な っ て い た 状 況 に 鑑 み 、 証
券 法 に 第2部 と し て 「 外 国 証 券 の 保 有 者 の 保 護 」 を 追 加 立 法 し よ う と した が 、
そ れ が 実 現 さ れ な か っ た 経 緯 を 述 べ て い る 。
ア メ リカ 合 衆国 にお け る証 券 規制 とニ ュー デ ィ ール[日 i97
第5章 「証 券 取 引 委 員 会 の 誕 生 」(TheOriginsoftheSecuritiesand
ExchangeCommission)は 、1934年 証 券 取 引 所 法 と証 券 取 引 委 員 会 の 成 立 の 経 緯 を 詳 し く述 べ た 章 で あ り、 こ れ も 本 稿 で 翻 訳 す る 箇 所 で あ る。
第6章 「 権 限 の 拡 大 」(BroadeningtheMandate)で は 、 公 益 事 業 持 株 会 社(publicutilityholdingcompanies)が 発 展 し て き た 背 景 と 過 程 、 お よ び そ の 組 織 整 理 に 対 し て もSECの 規 制 権 限 を 及 ぼ す 必 要 が 生 じ て い っ た 経 緯 な ど に つ い て 述 べ て い る 。
第7章 「 行 政 政 策1」(ThePoliticsofAdministrationI)で は 、 ニ ュ ー デ ィ ー ル 時 代 に お け るSECに よ る 証 券 規 制 に 関 す る 基 本 的 な 態 度 と開 示 制 度 の 実 施 に つ い て 述 べ 、 第8章 「 行 政 政 策II」(ThePoliticsofAdministration
II)で は 、 同 時 代 のSECの 証 券 市 場 に 対 す る 態 度 と 公 益 衷 業 持 株 会 社 の 規 制 に つ い て 述 べ て い る 。
P終 章 の 第9章 「 証 券 規 制 とニ ュ ー デ ィ ー ル 」(SecuritiesRegulationand
theNewDea1)で は 、 総 括 的 に ニ ュ ー デ ィ ー ル 時 代 に お け る 証 券 規 制 を 取 り 扱 っ て い る 。 本 書 全 体 が 当 時 の 証 券 立 法 関 係 者 の 思 考 や 行 動 に つ い て 語 ら れ て い る が 、 最 終 章 で は 、 筆 者 は 冷 静 で は あ る も の の 、F.ル ー ズ ベ ル ト大 統 領 を は じ め と す る ニ ュ ー デ ィ ー ラ ー た ち へ 賛 辞 を 述 べ て い る 。
ア メ リ カ 合 衆 国 に お け る 証 券 規 制 と ニ ュ ー デ ィ ー ル
第3章 全 国 的 な 証 券 規 制 の 基 礎
1933年 連 邦 証 券 法 を 企 画 ・推 進 し た 主 要 人 物 た ち は 、 政 治 的 に は 中 立 の 立 場 の 人 々 で あ り 、 一 方 で 法 制 定 を 遅 延 さ せ る 慎 重 派 と対 抗 し 、 他 方 で 過 激 な 改 革 派 と対 抗 し た 。 こ れ ら の 人 物 た ち の 戦 い は 、 経 済 道 徳 の 堕 落 を 阻 止 し、 餓 骨 な 権 限 濫 用 を 攻 撃 す る と 同 時 に 、 激 烈 な 金 融 規 制 を 阻 止 す る も の で も あ っ た 。 ま ず 、 ハ ー バ ー ド ・ロ ー ・ス ク ー ル 教 授 で 、 フ ラ ン ク リ ン ・D・ ル ー ズ ベ ル ト大 統 領 の 下 の 最 初 の 訟 務 長 官(solicitorgenera1)と な っ た フ ェ リ ッ ク ス ・フ ラ
ン ク フ ァ ー タ ー(FelixFrankfurter)は 、 こ う説 明 した 。 「私 は 、 証 券 法 の 起
草 者 た ち に 中 立 的 な 影 響 を 与 え た 。 そ の 上 で 、 諮 問 や 通 過 を 求 め ら れ た 法 案 の
審 査 に つ い て は 、 起 草 者 た ち の 考 え る 通 り に す れ ば よ い と した 」。 つ ぎ に 、 下 院
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州 際 通 商 委 員 会(HouseInterstateCommerceCommittee)議 長 の 下 院 議 員 サ ム ・レ イ バ ー ン(SamRayburn)は 、 下 院 議 員 た ち に 同 法 案 を 通 過 さ せ る よ う に 促 し、 何 ら の 措 置 も と られ な い 場 合 の 結 果 に つ い て 、 次 の よ う に 警 告 し た 。 「 経 済 界 に 対 す る 国 民 の 信 頼 が 揺 ら い だ な ら ば 、 経 済 界 は き わ め て い び つ な も の と な ろ う 。 信 頼 が 破 壊 さ れ た あ と に 続 く も の は 、 社 会 主 義 、 ボ ル シ ェ ビ ズ ム 、 共 産 主 義 と い う 害 悪 で あ る 」 と 。 さ ら に 、 上 院 銀 行 通 貨 委 員 会(Senate BankingandCurrencyCommittee)議 長 の 上 院 議 員 ダ ン カ ン ・フ レ ッ チ ャ ー (DuncanFletcher)は 、 証 券 法 案 に は 三 つ の 目 的 が あ る と述 べ た 。 「 第1に 、 証 券 に 無 知 な 公 衆 が こ れ 以 上 食 い 物 に さ れ る こ と を 阻 止 す る こ と 、 第2に 、 疑
わ し い 証 券 を 供 給 す る 競 争 に 対 抗 し て 誠 実 に 資 本 を 収 集 し よ う とす る企 業 を 保
り
護 す る こ と、 第3に 、 健 全 な証 券 市 場 を形 成 して信 用 を回 復 す る こ とで あ る」。
1932年 か ら33年 に か けて の 冬 、 ア メ リカ の 資 本 主 義 と合 衆 国 の 産 業 組 織 を成 立 させ て い る証 券 の 過 渡 的 な保 有 形 態 は 、 危 機 に 直 面 した 。 そ の どん 底 で 、経 済 不 況 は ナ メ リカ の 証 券 経 済 制 度 及 び 証 券 自体 に 対 す る公 衆 の 信 頼 を 破 壊 す る 勢 い に あ っ た。 ニ ュー ヨ ー ク の ナ シ ョナ ル ・シ テ ィ ・バ ン クの前 社長 フ ラ ン ク ・ A・ バ ン ダー リ ッ プ(FrankA.Vanderhp)は 、 「 『 証 券 』 とい う言 葉 は ほ とん
ど廃 語 同 然 とな った 。 株 式 ・社 債 の 指 標 の 欄 に は 、 危 険 の 相 場 とい う見 出 しが つ け られ て い る。 株 式 や 社 債 の こ とをセ キ ュ リテ ィ ー ズ(安 全性)と 呼 ぶ の は 、 実 に 皮 肉 な こ とで あ る。 今 こ そ 、 わ が 国 の基 本 的 な投 資 理 論 と方 法 に つ い て 徹 底 的 に検 討 す べ きで はな い だ ろ うか。」 と述 べ た 。著 名 な エ コ ノ ミス トの ガ ー デ ィ ナ ー ・C・ ミー ンズ(GardinerC.Means)も 、合 衆 国 の半 数 以 上 の窩 が 株 式 、 社 債 、 ワ ラ ン ト、 債 券 、 手 形 、 モ ー ゲ ー ジ に 表 章 され て い る こ とに注 目 した上 で 、 「 証 券 に よ って 表 章 され て い る無 形 の 財産 は、 現 在 有 形 の 財産 に取 っ て代 わ られ て い る。 会 社 の 証 券 発 行 価 額 は1億6000万 ドル 以 上 に達 して い る。 馬 や 中 古 車 の 買 付 者 に証 券 の 買 付 者 が 取 っ て代 わ る た め に は、 関連 す る情 報 に ア クセ ス す る こ とが 必 要 で あ る。 近 年 の 出来=jFは、 た だ 強 制 の み が 投 資 者 の 情 報 獲 得
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を保 証 す る こ とを 示 して い る。」 と結 論 した 。
フ ラ ン ク リ ン ・ル ー ズ ベ ル ト新 大 統領 に とっ て 、 証 券 規 制 とは 、 経 済 問 題 ま
た は合 理 的 な金 融 規 制 の 問 題 で あ る と同 時 に、 道 徳 の 問題 で もあ った 。 「 害 悪 が
存 在 す る経 済界 に い る人 々 に よっ て その 害 悪 が 根 絶 さ れ な い の で あれ ば」、 立 法
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こそ が 必 要 と され る とル ー ズベ ル トは信 じた。 新 大 統 領 は よ く、 出 所 の は っ き りしな い ニ ュ ー ヨー ク州 の 小 さ な村 の話 を した 。 そ こで は、125世 帯 中110世tiiF の賃 金 労働 家族 が株 式 市 場 で 不 運 に遭 遇 した と。 実 際 は、1091コtiFが そ の 生 活 費 を 失 い 、 そ の過 半 数 が 家 屋 や 家 財 を 失 って い た の で あ る。 新 大 統 領 は、 この よ うな個 人 に 及 ん だ 被 害 につ い て ニ ュー ヨー ク証 券 取 引所 と投 資 銀 行 を非 難 した。
オ ー ル バ ニ ー 市 とコ ロ ンバ ス 市 に お け る大 統 領 の 選 挙 運 動 中 に、 ル ー ズ ベ ル ト は 、 「 証 券 市 場 に真 実 性 を 注 入 す る た め に、 州 を越 え て 証 券 を売 却 す る持 株 会 社 を規 制 す るた め に、 そ して 証 券 取 引所 を 監 督 す る た め に」、 連 邦 レベ ルで の立 法
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が 必 要 で あ る と説 い た 。
大 統 領 就 任 後 、 ル ー ズ ベ ル トは 、 今 な お そ の 尊 厳 性 と情 熱 を 失 わ な い プ ジ ョ ー 委 員 会 の サ ミ ュ エ ル ・ア ン タ ー マ イ ヤ ー(Samue[Untermcyer)調 査'i'‐cこ 証 券 立 法 の 起 草 を 依 頼 し た 。 過 去20年 間 ニ ュ ー ヨ ー ク 証 券 取 引 所 の 公 的 規 制 を 企 図 し て き た ア ン タ ー マ イ ヤ ー は 、 す ぐ に そ の 起 草 に 着 手 し た 。 レ イ モ ン ド ・モ リ ー(RaymondMoley)に よ れ ば 、 こ の 金 融 規 制 の ド ン ・キ ホ ー テ は 、 「 他 の い か な る 者 よ り も 証 券 改 革 に 関 す る 多 くの 知 識 と 建 設 的 な 意 見 を も っ て い た 」。
し か し 、 モ リ ー の こ の 考 え は 見 当 違 い で あ っ た 。 ア ン タ ー マ イ ヤ ー は 、 」二院 銀 行 通 貨 委 員 会 の 委 員 長 の 立 場 を 確 保 す る こ と に 多 くの 時 間 を 費 や し た 。 フ ロ リ
ダ 州 の 老 上 院 議 員 フ レ ッ チ ャ ー(Fletcher)の 下 に あ る 同 委 員 会 は 、 ア メ リ カ の 企 業 の 金 融 対 策 の 誤 りを 調 査 す る こ と に 長 い 時 間 を か け 、 そ の こ と を セ ンセ ー シ ョ ナ ル に 説 明 す る 準 備 を し た の だ っ た 。 結 局 、 ア ン タ ー マ イ ヤ ー は プ ジ ョ ー 委 員 会 流 の 行 動 を 繰 り返 し た に す ぎ な い 。 立 法 的 な 起 草 と い う の で は な く、 討 論 好 き の 彼 の 長 所 が 示 さ れ た と い う べ き で あ ろ う 。1933年3月 第2週 に 、 ア ン
タ ー マ イ ヤ ー は 、 郵 政 省 を 通 じ て 証 券 取 引 を 規 制 す る と い う彼 の1914年 の 提 案
の 修 正 版 以 上 の も の で な い 法 案 が 示 さ れ た 。 ル ー ズ ベ ル ト と モ リ ー は 、 特 に 証
券 規 制 の 分 野 の 専 門 家 を 自 認 して い た わ け で は な い に して も 、 こ の 重 要 な 規 制
機 能 を 郵 政 官 僚 に 委 ね る こ と は 賢 明 で は な い と考 え た 。 ル ー ズ ベ ル トは 、 こ の
有 名 な 急 進 派 を 攻 撃 す る こ と に は 気 は 進 ま な か っ た よ う で 、 ア ン タ ー マ イ ヤ ー
に 証 券 立 法 の 起 草 を 継 続 す る こ と を 許 し た 。 しか し な が ら 、 ル ー ズ ベ ル トは 、
よ り抜 本 的 で 急 激 な 立 法 化 の た め に 、 さ ら に 商 務 省 長 官 で サ ウ ス ・カ ロ ラ イ ナ
州 の 農 民 議 員 ダ ニ エ ル ・カ ル ホ ウ ン ・ロ ウ パ ー(DanielCalhounRoper)に
200
起 草 を 依 頼 し た 。 ロ ウ パ ー は 、 商 務 省 の 二 人 の 中 間 官 僚 、 外 事 部 長 ウ ォ ル タ ー ・ ミ ラ ー(WalterMiller)と 商 務 部 長 オ リ ー ・M・ バ ト ラ ー(OmeM.Butler)
に こ の 仕 事 を 委 任 し た 。 そ の 後 、3月13日 、 ロ ウ パ ー は 、 連 邦 取 引 委 員 会 前 委 員 長 ハ ス ト ン ・ ト ン プ ソ ン(HustonThompson)に 起 草 作 業 に 助 力 す る よ う
4)
に依 頼 した。
洗 練 さ れ た 西 部 人 の トン プ ソ ン は、 古 き ウ ィル ソニ ア ンで あ り、 い わ ゆ る州 権 論 者 と して の 偏 見 と大 規 模 な政 治 組 織 ・経 済 組 織 に 対 す る反 感 を もち 、 さ ら に経 済 行 為 の 私 的 自 治 を 立 法 上 の 基 本 に す べ きで あ る とい う強 い信 念 を も って い た 。1933年 以 前 の58年 間 、 トン プ ソ ン は第28代 ウ ィル ソ ン大 統 領 の 徒 弟 と し て仕 え、1907年 か ら1909年 の 間 、 コ ロ ラ ド州 とい う政 治 的不 毛 の地 域 で 州 司法 次 官 補 を務 め て い た。 そ の後 、1913年 に、 ウ ィ ル ソ ン(Wilson)大 統 領 か ら指 名 され て 合衆 国 の 司 法 次 官 補 とな り、 大 統 領 が 彼 を連 邦 取 引 委 員 会 委 員 に7年 任 期 で 指 名 す る1918年 まで その 地 位 に い た 。 トン プ ソ ン は、 連 邦取 引 委 員 会 の 委 員 長 を2回 務 め て い る(1920‑1921と1923‑1924)。
トン プ ソ ンの政 治 的信 条 は、ウ ィ リア ム ・ジ ェニ ン グス ・ブ ライ ア ン(William JenningsBryan)と ウ ィル ソ ンの農 民 的 か つ 州 政 重 視 の 民主 党政 権 下 に お い て、
ひ とつ の イ デ オ ロギ ー の形 態 に硬 化 した 。 加 え て 、 トン プ ソ ン は 、 経 済 ・社 会 組 織 に 対 して 、 洗 練 され て は い て も基 本 的 に は 州 政 重 視 の 態 度 を と る ル イ ス ・ ブ ラ ン ダ イ ス(LouisBrandeis)判 事 に よ っ て影 響 さ れ た。1919年 の 資 本 発 行 委 員 会 が 起 草 す るの に トン プ ソ ン が 助 力 した 当 時 の証 券 立 法 に 、 この よ う な見 解 を 見 出 す こ とが で き る。 当 時 トン プ ソ ン は 、 証 券 に 対 して連 邦 と して規 制 す る こ とに 反 対 して い た。 この 方式 を とる と大 量 の連 邦 の ス タ ッ フが 必 要 で あ り、
か つ 個 々 の 州 の 規 制 管 轄 権 と抵 触 す る と考 え た か らで あ る。 資 本 発 行 委 員 会 と して の トン プ ソ ン法 案 は 、 州 を超 え て 売 り出 され る証 券 す べ て に つ い て事 前 登 録 を 要 求 し、 その 登 録 の 管 理 の た め に財 務 省 に特 別 の 部 局 を設 置 す る こ と を盛 り込 ん で い た 。 しん し、 同制 定 法 の 現 実 の運 用 は 、各 州 に任 され て お り、 連 邦 官 吏 は そ れ 以 外 の残 りの 部 分 に つ き行 わ れ て い た に す ぎ な い 。
トン プ ソ ン は、 大 きな 政 府 と同様 に大 き な企 業 を心 底 嫌 って い た 。1926年 に
彼 は南 部 の 弁 護 士 の集 会 で この よ うに述 べ た。 「 連 邦 政 府 が よ り強 くコ ン トロー
ル す べ きで あ る と、 合 衆 国 の あ らゆ る所 か ら要 求 が あ る。 現 在 、 個 人 や 団 体 は
ア メ リカ合 衆 国 にお け る証 券規 制 とニ ュー デ ィー ル[1] zoi
そ の 権 利 を放 棄 して ワシ ン トン の 手 に委 ね て い るが 、 そ れ は連 邦 軍 部 が そ の 大 き さ に耐 え 切 れ な くな る まで 続 くで あ ろ う。」 トン プ ソ ン は続 けて 言 う。 「 経 済 界 の 人 々 は この よ うな 動 向 を推 し進 め て い るが 、 しか し、 こ う騒 い で い るの は 一 部 の 特 権 的 な 経 済 界 の 代 表 に過 ぎず 、彼 等は、政府 が産業界 の コン トロール や 方 向 付 け を 引 き受 け るの に代 わ って 、 巨大 な 独 占企 業 体 を形 成 しよ う と して い る。」 この 動 向 を 転 換 す るた め に、 トン プ ソ ンは 、 「 過 去 制 定 され た 立 法 の 中 で も っ とも偉 大 な 法律 」 で あ る シ ャー マ ン反 トラス ト法(ShermanAntitrust Act)を 厳 格 に適 用 すべ きで あ る と言 う。 シ ャー マ ン法 は 、経 済 的 な 競 争 を瀬 養
し、 企 業 間 の 自 由 を保 全 す る機 能 を果 た して き た。 政 府 と経 済 の 官 僚 組 織 の 拡 大 が 、 他 の ア メ リカ 人 と同様 に 、 トン プ ソ ン を 目覚 め させ た。 ブ ラ ン ダ イ ス 判 事 と同様 に 、 トン プ ソ ン もま た 、 個 人 の道 徳 心 、 尊 厳 、 独 創 力 を 想 起 させ る経 済 的 個 人 主 義 が 腐 食 す る こ と を恐 れ た。 トン プ ソ ンは 言 う。 「 会 社 に 対抗 す る百 人 の 個 人 が 、 あ る 巨大 独 占企 業 に 吸 収 さ れ る とき、 わ れ わ れ は 子 供 た ち が 経 済 界 の 各 単 位 の長 に な る機 会 を少 な く して しま っ て い る。 」 ア メ リカ 人 の 子 供 た ち は、 「 経 済界 や 専 門 職 世界 で 従 属 的 な 立場 に甘 ん じ る」 こ とに運 命 付 け られ て は
5)
な ら な い と 。
ミ ラ ー と バ ト ラ ー は 、 最 初 の 立 法 草 案 を 準 備 し た 。 トン プ ソ ン は 、 一 週 間 で こ の 草 案 を 学 習 し、 連 邦 銀 行 局 の チ ャ ー ル ズ ・ハ ン ム リ ン(CharlesHamlin)、
州 際 通 商 委 員 会 の 金 融 局 長 の オ リバ ー ・ス ウ ィ ー ト(OliverSweet)、 及 び ブ ラ ン ダ イ ス 判 箏 に ま で も諮 問 した 。3月19日 、 ト ン プ ソ ン は 、 こ の 法 案 を ル ー ズ ベ ル ト大 統 領 、 モ リ ー 、 ロ ウ パ ー 、 エ コ ノ ミ ス トの チ ャ ー ル ズ ・ ト ー シ グ (Charles'1,aussig)に 提 出 し た 。 ル ー ズ ベ ル ト大 統 領 は 、 法 案 が 長 文 で 詳 細 す ぎ る こ と を 批 判 し 、 特 に 「 外 国 政 府 証 券 の 売 出 に つ き 、 連 邦 取 引 委 員 会 が 直 接 的 に 拒 否 す る 権 限 が 与 え られ て い る 法 案 の 部 分 」 を 削 除 す る よ う に 依 頼 した 。 彼 等 全 員 が 、 こ の 法 案 が ア ン タ ー マ イ ヤ ー 法 案 と切 り離 さ れ る こ と に 同 意 した 。
ト ン プ ソ ン は 、 一 晩 か か っ て 必 要 な 修 正 を 施 し、 ル ー ズ ベ ル ト大 統 領 は 最 終 法 案 を 受 理 し た 。 トン プ ソ ン は 、 こ の 法 案 を 議 会 の リー ダ ー た ち に 示 し、3月21
日 、 ル ー ズ ベ ル ト大 統 領 は 証 券 立 法 が ま も な く提 示 さ れ る こ と を 新 聞 社 に 伝 え c)
た 。
翌 週 、 モ リー は 議 会 宛 に ル ー ズ ベ ル ト大 統 領 の 特 別 メ ッ セ ー ジ を 君 い た 。 大
zoz
統 領 は、 投 資 証 券 取 引 に対 す る連 邦 上 の監 督 を盛 り込 ん だ 立 法 を推 薦 した。 連 邦 政 府 は、 「 新 規 に発 行 され る証 券 が 、字 句 どお り安 全 で、 そ の価 値 が 維 持 され 、
か つ 証 券 の表 章 す る権 利 が 利 益 を生 む で あ ろ う とい う、 い か な る保 証 を す る こ とはで きな い し、 また す べ きで は な い。」 しか し、 連 邦 政 府 は 次 の よ うに主 張 す る。 「 新 しい 証 券 を発 行 す る 際 に は 、 完 全 開 示 と情 報 開示 が伴 う こ とに な り、発 行 に伴 う本 質 的 に 重 要 な要 素 は投 資 者 に 対 して 隠 蔽 され る こ とは な い 。 この 立 法 に よ り、 誠 実 な 取 引 を促 進 し、 そ れ に よ っ て 公衆 の信 頼 を取 り戻 す こ とが で
の