金沢大学 十全 医学会雑誌 第
8 4
巻 第2・3
号21 1 ‑2 2 6 ( 1 9 7 5 )
マ ウ スにお け る ブ レオ マ イ シ ン肺 線 維 症 の 電子顕微鏡的研究
金沢大学 医学 部病理学第一 講座 (主任 :梶川欽一郎教授 )
木 田 厚 瑞
(昭和
5 0
年1
月9
日 受付 )本論文 の一部 は
, 1 9 7 4
年7
月 第6
回結合組紙研究会総会 において発表 した。ブ レオマ イ シン (以下
BLM
と略 す ) は抗 癌 剤 と して塩床的 に広 く使 用 されて い るが ,副作用 と して肺 線維症 が発生 す ることが知 られて い る.BLM
に よ る 肺病 変 は,その使用 量 ,使 用 期 間 によ り,又 .人体例 と動物 実験 とで は若干 の差異 はあ るが .一般 に胸膜下 の肺胞壁 に最 も強 く発生 し,初期 には間質及 び肺胞腔 の焚液性水 腫 が お こ り,次第 に線維化 に導 かれ る一種 の間質性肺 炎 で あ るとされて い る1 )〜 1 0 )
. しか し. ブ レオマ イシ ン肺線維症 の電子 顕微鏡的研究 は甚 だ少 な い .最近, Be dr os s i a n
ら9 ) は3
例 の剖検例 につ い て 電顕的観察 を行 い , これ まで の光顕的所見 を裏付 ける 成績 を報告 して い る.いずれ に して もBLM
に よ る 肺病変 は問質 の水 腫 に続発 す る間質性肺炎.であ ること は多 くの研 究者 の一 致 した見解 で あ るが ,線維化 の機 序 に関 す る解析 はほ とん ど行 なわれ て い な い . そ こ で ,著者 は マ ウスにお け る ブ レオマ イ シン肺線維症 の 電顕的観察 を行 い ,その発生 機序 を解 明 しよ うと試 みた .
本研究 で は
BLM
注射 によ って ,胸 膜 及 び そ れ に 近接 す る肺 胞 中隔 の水 腫 につづ いて胞 隔細胞( S e pt a l
c e
ll) が増 殖 し, コラゲ ン線 維 と弾力 線 維 の 形 成 が お こることが観察 され た . これ らの所 見 に基 いて ,特 に胞隔細胞 が線維形成 に果 たす役割 につ いて考察 を加 え る.実験材料 および実験方法
I CR
系嘘 マ ウス (体重3 0 ‑4 0 g)
を2
群 に分 け,第1
群( 5 5
匹) にはBLM
生 食水溶液 を1 0 〃g/g
連続1 0
日間腹腔内注射 し,第 Ⅱ群( 2 5
匹 )には同様 な処置 を 施 し2‑3
ケ月後 .さ らに同 じ量 を1 0
回注射 した .両 群 とも対照 と して生食水 のみ を腹腔 内注射 した .Ⅰ,
21 1
Ⅲ群 と も最終注射後
,1,2,4,6,8,2 0.4 8
週 目に屠殺 した .光 顕的観察 の ため ,‑側 の肺 を1 0%
中 性 ホルマ リンで固定 ,パ ラフ ィ ン切片 と し.ヘマ トキ シ リン ・エオ ジン, アザ ン. エ ラスチ カ ・ワ ンギー ソ ン染色 を施 した .電顕試料作 成 のためには.別 出肺 を I直 ちに
2. 5%
グル タル アルデ ヒ ド( 0. 0 5 M
カ コ ジル酸 ソー ダ緩 衝液,pH7, 4)
に浸 溝 ,細 切 し,同固定液 で1
時 間固定 し,さ らに2%
オ ス ミウム酸( 0. 0 5 M
カ コ ジル酸 ソー ダ緩 衝液,pH7. 4)
doc,1
時 間 ,後 固 定 し,エ タノール系列 で脱水 ,Epon8 1 2
で包 埋 した . 一 部 の組織 はLuf t
の変法1 0 )
によ りル テ ニ ウ ム レ ・シド処理 を行 った .
試料 は
LKB
ウル トロ ト‑ ムで ガラスナ イフを用 い て超薄切片 を作 製 し. ウラニール,鉛 の垂染色 を行 っ た .超 薄切片 はHU‑1 1 D
s型( 7 5 kV) ,J EM‑1 0 0 B
型( 8 0 kV)
電子 顕微鏡 を使用 し直接倍率2, 7 0 0‑24, 0 0 0
倍 で観察 した .成 績
Ⅰ.対照群
ブ レオマ イ シン肺線維症 は胸膜下 に最 も著明 に発生 す るので , ここで は主 と して胸膜 とそれ に接 す る肺実 質 の構造 につ いて記 載 す る.
臓側胸膜 は一層 の中皮細 胞 で被 われ ,中皮細胞基底 膜下 に連続性 の弾 力板 が存在 す る.弾力板 と肺実質 と の問 には狭 い疎性結 合織 が介 在 し,肺胞 中隔 に移行 し て い る (写 真
1
). この よ うに ,マ ウスにお い て は胸 膜固有組織 と肺実 質 との境 界 は不 明瞭 であ るが ,ここ で は便宜上 ,中皮細 胞 と弾力坂 を 含 め て 胸 膜 と み な し.弾力板 と肺実質 間 の結 合組 織 を胸膜下結 合 組 織 . 肺胞 問 の結 合組 織 を肺胞 中隔 と呼 ぶ ことにす る.El e c t r on mi cr os c opi c s t udi e s on Bl e omyc i n・ i nduc e d pul monar y nbr os i s ofmi c e
Ko uz uiKi d
a,Depar t me ntofPa t hol ogy (Ⅰ) ,( Di r e c t or :Pr of .K.Ka j i ka wa ) ,Sc hool
ofMe di c i ne ,Ka na z a wa Uni ver s i t y.
2 1 2
胸膜 : 胸膜 の外側 は一層 沿南平 な車皮細胞 で 被 わ れ る.巾皮細 胞 の遊離縁 に は多数 の微繊毛 が 存 在 し . 隣接 す る細 胞 の 接 着 血 に は 処 々
' ' t i ghtj unc t i on"
様 の構造が みち れ る.核 は楕 円形 で陥入 を示 す .細胞 質 は滑 面′ト胞 体 に富 み .その ほか糸 粒 体 . 粗 血 小 胞 悼 , ゴ・レジ装 置 .遊離 リポ ゾーム,細 胞質 フ ィラメ ン
トや微細小 管 な どが同定 され る.基底 蘭 は連続 した基
ご
底 膜 (幅約
1 0 O O A)
で被 われ . 甚 底 面 と の 間 に 狭 いC )
Li uc i da
(幅 約2 5 0 A)
が識別 され る.境底 陳 に接 して弾 ノJ板 (幅
的5 0 0 1 1 1 1 1 )
が存 在 す る . その 下に弾 力板 にi'dって胞隔細 胞 の細 長 い突起 かみ と 池 られ る,究起 と弾 力線維 との間 に時 々mi cr of i br i l
かみ とめ られ る. 巾皮細 胞 と弾 力 板 と uT)問 に は細 胞成分 はみ とめ られ ない .胸膜下結 合組織 二 胸膜 弾 力板 と肺胞壁 の問 を 責 め る狭 い空間 で .少数 の紡 錘 形 細 胞 . コ う ナ ン線 維 .
mi cr of i br i
l及 び聴 覚 か ら成 る.紡 錘形細胞 は弾力 板 に沿 って配 列 し,下方 の コラJTJ'ン線維 束 を囲 む よ うに 細 長 い突起 を延 は して い る. この細胞 は後述 の肺胞 中 隔 に散在す る胞 隔細 胞( S e pt a lc e
ll)と同様 な構造 を 有 す るので .本論 文 で は胞 隔細胞 と同 .‑の細胞 と して 取 り扱 うことにす る. コラゲ ン線維 は礎質 の中 に散在 性 にみ とめ られ るが ,処 々線 維束 が形成 きれ る.線維 束 の周囲 にはmi cr of i br i
lが集在 す る.礎質 は微 粒 子 と微細 フ ィラメ ン トか らな る綿状構造 と してみ とめられ る.
肺胞及 び肺胞中隔 : 肺気腔 の構造 につ いては こ れ までの報告 と同様 で あ るので
7 2 ) 1 3 )
. ここで は特 に付 言 す ることはな い .肺胞 は連続性 の基底膜 で包 まれ .上 皮細胞には Ⅰ型 及 び m型 の細 胞 が区別 され る.肺胞 中 隔 の広 さは場 所 に よ って様 々で .狭 い処 で は肺胞基底 膜 と毛細 血管基底膜 が融合し.
胞 隔細 胞 や線維成 分 は 介 在 しない .肺胞 中 隔 の広 い部分 には毛細血管 ,胞隔 細胞 . コラケ ン線維 .弾 力線維 及 び礎質 が存 在 す る . 肺胞管 よ り末梢部 分 に平滑 筋細 胞 がみ られ ることはな い.胞 隔細胞 は細 長 い紡 錘形細胞 と してみ と め られ . 肺胞及 び毛細 血管 の基底膜に沿 って突起 を延 ば して いる.核 は楕 円形 で ,細 胞小器官 の発育 は乏 しく.少数 の粗面′ト胞 体 .滑 面′ト胞体 . ゴル ジ装 置 .糸粒休 が同 定 され るが .脂肪滴 の存在 は特 徴的 であ る.又 .細胞 質 フ ィラメ ン トがか な り しば しばみ とめ られ る.
毛細 血管 は互 いに密 着 す る扇平 な内皮細胞 で披 われ 基底暁 で包 まれて い る.処 々に基底膜 で包 まれた周細 胞 が存在 す るが .上述 の胞 暗細 胞 の突起 の断面 と区別
しに くい場 合 が あ る.
田
Ⅲ.
ブ レオマイ シン投与群実験王,Ⅱ∵群 を病理組織学 的 に比較 す ると
,
迂群 に お いて線維症 が やや高度 にみ とめ られ たが .本質的 に は両群 と も同様 で あ ったので ,一括 して記載 す る.光顕的観察 によ ると肺線維症 は胸膜 下か らそれ に接 す る肺実 質 に散 在性 に.発生 す ることが示 され る (写真
2)
.その程度 は一 般 に Ⅱ群 に強 い傾 向が あ ったが 個 体 差がか な り著 しく.長期 観察例 にお いて も線維症 は 顕著で ない例 が あ り.病 変 の進展 と注射 量 や観察期間 とは必 ず しも平 行 しない .そ こで .電艶的研究 におい て は多数 の症 例 の観察結 果 を総 合 ,整理 す ることによ って .線 維症 の過程 を推定 した .1.初期変化
ブ レオマ イシン投 与・によ る抑靭 変化 は間質の水 唾で あ る.水 腫 は細 胞 間 を満 たす低 電車 密度 の架状物質 と して み とめ られ る.水腫 は胸膜 に近 い肺胞 中隔か ら中 皮細胞直下 まで広 が る,特 に胸膜 及 び胸膜下結 合組織 の水腫 は著明 で あ る.処 々中皮細 胞直 下 に水泡状 の水 澄液の貯 潜 がみ られ る ことが あ る.申皮細胞 は高 率 化 し ,微 繊毛 は減少 す る.基底膜 は非 薄 となり
, 1 .1 uc i da
は拡大 し.基底膜 の剥離 又 は消失 が み られ る (写 真3)
.弾力 板 は処 々に断裂 が お こる.水腫 の 比 較 的 軽 度 な部,//)で は中皮細 胞 は多 少 と も腫大 し.滑 面′ト抱体 と粗面小胞休 が増加 す る.細 胞 表面 には多数 の突起 や 陥 凹 が生 ず る.特 に細胞基底 面 の小突起 が 目立 ち,塞 底膜 は肥厚 又 は多 層 化 を示 す .肺 胞中隔 も.水 腫 によ って拡大 しコラナ ン線維 の疎 散 が み られ る. しか し.肺胞 が近接 し,基底膜 が融合 した部分 で は肺胞 中隔 の拡 大 はみ られ fJ:い .毛細 血管 及 び肺胞 の基底 膜 は様 々な程度 に肥厚 す る.毛細 血管 内皮細 胞 は腫大 し.血管陸 が 著 しく挟 め られ る.唖大 した内皮細 胞 に は滑 面小胞体 と粗面 ′ト胞休 の増 加がみ られ る (写真
4
). しか し.内皮細 胞 問 の開 孔 は 見 出 され ない .一方 .毛細 血管 の あ る もの は拡大 し.血管 腔 に血茨 を満 た し.栓球 か らfJ:る血栓 かみ とめ られ る ことが あ る.肺胞上皮細胞 の変化 は乏 しく.処 々Ⅲ型 上皮細 胞 の腫大 とcyt os ome
の増 加 がみ られ る.胸膜下結 合組 織 の水 腫状 間質 に は大 食細胞 が散在性 にみ とめ られ .断 裂 した弾 力板 を通 って .胸膜 に浸潤 す る (写真 5).大 食細胞 は細 胞 表 面 の 偽 足 様 突 起 . 豊富 な
dens e body
と滑 面小胞体 によ っ て 同 定 さ れ る.その はか . リンパ球 や プ ラ ズマ細胞 が み とめ ら れ ることが あ るが .好 中球 の浸潤 はほ とん どみ られな い.2
.線維症 の進展 1)細 胞反応ブ レオマイシ ン肺線維症の電子顕微鏡的研究
水腫の減退 と共 に胞隔細胞 の増殖 が次第 に顕著 とな る.胸膜下結合組織 とそれに近接 す る肺胞中隔 に増殖 した抱隔細胞 は,後述 のよ うに.活 発 な線維形成 を営 み胸膜弾力板 を破 って胸膜内 に侵入す る.
増殖初期 の胞 隔細胞 は延長 した細胞 と してみ とめ ら れ .胸膜弾力板及 び肺胞 や毛細血管 の基底膜 に沿 って 長 い突起 をのば してい る.その表面 は処 々基底膜様物 質 で被われ る.正常 の胞隔細胞 に比 べ て細 胞 質 は広 く,小器官 は豊富 で .と くに粗面小胞体 ,滑面小胞体 及 び ゴル ジ装置 の発育 が 目立 ち,ポ リゾームが増加す る.少数 の
de ns e body
がみ られ る こ とが あ る . 数個 の脂肪滴 の存在 が この細胞 を同定 す る有力 な形態 学的特徴 を与 え る (写真5,6) .
細胞突起 は小 器 官 が乏 しく,少数 の小胞 と遊離 リポゾームが散在性 にみられ るにす ぎない.
胸膜下結 合組織 に増殖 した胞隔細胞 は. Lは しは相 互 に,又 は,大食細胞 や未分化 な間糞細胞 と接着 して 存在 す る (写真
6
)∴未分化 な間葉細胞 は楕 円形 又 は 陥 入のあ る核 を有 し.核小 体が明瞭 で .細胞質 には
小器官 の発育 が乏 しい (写真
7
).このよ うな細 胞 は未 熟 な大食細胞 か ,胞隔細胞 か を決定す ることは困難で あ る.細胞間物 質 の増加 とと もに .胞隔細胞 は粗面小胞体 の発育 が よ り顕著 とな り.線維 芽細胞様 の構造 を示す ことがあ る (写真
8
).粗面小胞体 は互 いに吻 合 したci s t er na e
を形成 し,ポ リゾームが豊富 で ゴル ジ装 置 の発育 も良好 で あ る.粗 面小胞体 と ゴル ジ空胞 の中 に 無定形物質 をいれ .粗面小胞体 と ゴル ジ小胞 との連続 がみ られ ることが あ る.脂肪液 は減 少 ま た は消 失 す る.一方 ,胞 隔細胞 のあ る もので は, 粗 面 小 胞 体 の減 少 .滑面小 胞体 の相対的増 加及 び細胞質 の中心部か ら
mi cr of i l ament
の集束 が増 加 す る こ と に よ って , 平滑薪細胞株 の細胞 に変形す る.脂肪滴 は完全 に消失 す る (写真 9,1 0) .
このよ うな胞隔細胞 か ら変 化 し た細胞 と定型的 な平滑筋細胞 との間 にさまざまな中間 型 を追求す ることがで きる (写真9‑l l ) .
す な わ ち . 胸隔細胞の細 長 い細胞突起 は次第 に失 われ ,不規則 な 乗 出を示す延長 した細胞 か ら紡錘 形 の 細 胞 へ と変 形 し.細胞 は基底暁 で被 われ るよ うに な る . 細 胞 質 のmi cr of i l aやe nt
はます ます増加 し・細胞 の長軸 に平 行 に走 る集束 をっ くり,遂 に細胞 質 の大 部 分 を 占 め る.集束 の処 々にいわゆ るdens e body
が出現 し, 筋原線維 の形態 を備 え るよ うにな る.同時 に,他 の小 器官 は減少 し.核周観及 び細胞質周辺 に糸粒体 ,小胞 体 . リポゾームが限局性 に存在 す る.細胞膜 に接 して21 3
pi nocyt i c ve s i c l e
がみ とめ られ る. 時 々. 細 胞 質周辺 に滑面小胞体 の増加 や (写真1 0 )
,粗 面 小 胞 体 の拡大 がみ られ ることがあ る (写真1 1 ) .
2)細胞 間質
水腫の消退 とと もに,増殖 した胞 隔 細 胞 の 周 囲 に
mi cr of i br i
lと濃厚 な無定形物 質 の集積 が注 目 され る (写真1 2,1 3 ).
無定形物質 は構造的 に基底 膜 と類 似 し. しば しば中皮細胞 .毛細 血管又 は肺胞の肥厚 した 基底膜 と連続 して い る (写真1 2) . mi cr of i br i
lは0 (
)直径約
1 5 0
Aの細線維 で ,処 々7 0 11 0 0 A
の間隔で濃淡が み られ る.横断面 で は中空状 にみえ る.空 の直径 は約1 0 0 A 0
で ,壁 は最高5
個 の粒子状物質 (直径約3 0 Å)
か ら構成 されてい るよ うにみえ る (写真1 5 ).
胞隔細胞 の表面 には .上述 の無定形物質 の車 に細 い
⊂ )
弾力線維 (直径
4 0 0 ‑8 0 0 A)
が散在性 にみ とめ られ る (写真1 3 ).
これ らの線維 はその大 きさ及 び位置か ら.新生 初期 の弾力線維 と考 え られ る.弾力線維 の表面 は
mi cr of i br i l
で囲 まれ ることが多 いが , 細 い線維 で は無定形物質 の率 に包埋 され, mi cr of i br i
lを 欠 い て いる (写真1 3 ).
成熟 す るとと もに,弾力 線 維 は細 胞表面か ら離 れ ,直径 を増 し,その周奴 は無定形物質 の代 りにmi cr of i br i
lで囲 まれ る.一方 .
mi cr of i br i
l内 に周期性構紋 を示 す コラゲ ン 線維 が形成 され る. コラナ ン線維 は細胞表面か ら少 し(
⊃ く離 れた部位 に散在性 に出現 す る. 直径 は約4 0 0 A
で5 0 0 ‑7 0 0 A 0
周期 の桟紋 がみ られ る(写真1 4,1 6 ) .
線 維 の数 と直径が増加 す るに従 って .線維 は互 いに平行に 配列 して線維束 を形成 す る. コラゲ ン線維 の直径 は約6 O O A 0
で約7 0 0
呈周期 の境紋 がみ られ る. コラ ゲ ン線 維 の成熟 とと もにmi cr of i br i
lは減少 す るが ,線維 束 の周囲 笹はmi cr of i br i
lが残存 してい る.胸膜下結合組織 に増殖 した胞隔細 胞 は胸膜弾力板 を 破 っそ胸膜 内 に侵 入 し.水 腫状 の胸膜 間質 は下方 か ら 次第 に線維成分 で置換 され る (写真
1 6,1
7),線維化 が 進行す ると,胸肢弾力板 は分断 され ,車皮細胞直下か ら肺胞 に覚 る間質 は弾力線維 を ま じえ た多量 の コラゲ ン線維 で 占め られ る (写真1 7 ) .
線維成分 の新生 と成熟 は.既述 の胞隔細胞 の平滑筋 細胞 への変形 とほぼ平行 して行 な わ れ る よ うに み え る.無定形物 質 .
mi cr of i br i l.
弾 力線 維 及 び コ ラ ゲ ン線維 の新生 は .胞隔細 胞又 は胞隔細胞 と平滑筋細 胞 との中間型 の細胞 の表面 に最 も活発 にみ とめ られ る (写真6,9‑ l l .1 3.1 4.1 6 ).
細胞 が平滑 筋 細 胞 の 特徴 を備 え るに従 って ,無 定 形 物 質 やmi cr of i br i l
は減少 し.細胞表面 には
mi cr or i br i
lを伴 った弾 力 線維 が存在 し,細 胞間 は成熟 した コラゲ ン線維束で満21 4
木た され る (写真
1 0.l l.1 4,1 6,1 7 ) .
考 察
Ⅰ/.ブ レオマイ シン肺線維 症 の進展の様式 本研究 にお け る主 要 な所 見 は. ブ レオマ イ シン注射 によ って .胸膜 .胸膜下結合組織及 びそれ に近接 す る 肺胞壁 の水 腫が お こり.次 いで胞隔細 胞 の増殖 に伴 っ て コラゲ ン線維 と弾 力線維 が形成 され線維症 へ と進展 す るとい うことで あ る.この成績 は従 来 の報告 とはぼ 一 致 す る
2 )
‑4)6卜 1 0 )
.従 来 の研 究 で は病 変 の程 度 が 一 般 に強 く,初期変化 と して問質 の水 腫 の ほか .肺胞内の 湊 出 ,上皮細胞 の反応 ,問質 の炎症性細胞 の遊走 など が観察 されてお り,線維化 は これ らの彦 出物 の器質化 の結果 で あ ると解釈 されて い る. Fl ei s chman
ら2)は イ ヌを用 いた実験 的 ブ レオマ イ シン肺線維症 の観察 に お いて ,初期 にお こる肺胞大 食細胞 の反応 を重視 して い る.本研究 で は,問質 や肺胞 内 の炎症性 反応 は甚 だ乏 し く,問質 の水 腫 につづ いて緩 慢 に進行 す る間質線維症 が お こることが観察 された .す なわ ち .ここにみ られ た ブ レオマ イ シン肺線維症 は炎症 に続発 す る肉芽性病 変 の結果 で はな く,いわ ゆ る水 腫性硬化
( Odems kl e ‑ r os e)
に類似 した病 変 と して進展 す る もの と理解 さ れ るので あ る.この よ うな差異 はBLM
の 使 用 量 . 鶴 察期 間及 び動物種 の差異 に基 づ くもの と思 われ る.剖
検例 にお いて も,軽症 例 で は病 変 は胸膜下 に沿 った部 位 に限局 し,間質水 腫か ら線維症 に発展 す ることが観 察 されて い る4).
ブ レオマ イ シン肺線維症 が胸膜下 に強 く発生 す るこ とは光顕的研究 によ って明 らか に されて い るところで あ る
3
)4)6、7).本研究 にお いて も初期 変化 と しての水腫 は 胸膜 及 び胸膜下結 合組織 に特 に顕 著 であ り,線維症 は 胸膜下 に限局 して発生 す ることが確 め られ た.胸膜下 水 腫 の発生原因 は明 らかで はないが ,様 々な肺病 変 に お いて , しば しば胸膜下 水 腫 が お こる ことが報告 され てお り1 4 )‑1 6 )
. この現 象 はおそ らく,胸膜下 の リンパ管 系 の解剖学 的分布 と密接 な関係 が あ る もの と推定 される
1
7).水 腫 の高度 な場 合 に は,礎 質 の 正 常 構 造 は破 壊 さ れ .中皮細 胞 の
1 . l uci da
の 関 大 , 基 底 膜 の 非 薄 化 ,剥離 ,断裂及 び消失 が み られ た .急性 期 には問質 の水 腫液 は基底 膜 を通過 し ,1 . 1 uci da
に貯 溜 す る 結 果 .基底 膜 が破壊 され る もの と思 われ る.水 腫 の比 較 的軽度 な部分 で は中皮細 胞基 底膜 の肥厚 や多層化 が み られ る. この現 象 は胞 隔細 胞 の胸膜 への侵 入が ない 時期 に既 にみ とめ られ るので ,中皮細胞 によ る基底膜田
の産生 が冗進 した結果 で あ る と解釈 され る.中皮細胞 に リポ ゾーム.粗面小胞体 の増加 がお こり.基底面 に 多数 の細胞質突起 が み られ る ことは,細胞 の活性 の元 進 を示唆 して い る.同様 の現 象 は肺胞毛細血管 に もみ られ る. この よ うな基底膜 の肥厚 や多層化 は,水腫 に よ って障害 され た基底膜 の再生 を表 わ しているもの と 解釈 され る.
胞 隔細 胞 は水 腫 の消 退 と共 に増殖 を始 め ,後述 のよ うに線維化 の時期 まで増殖 をつづ け る唯一 の細胞 であ り.細胞 間 マ トリックスの形成 に最 も密接 な関係 を も つ細胞 であ ると考 え られ る.お そ らく,水腫 によ って 障害 され た細 胞 間 マ トリックスの修復現象 と して胞隔 細 胞 の増殖 が促 進 され る もの と推定 され る.ブ レオマ イ シン肺線維症 が胸膜下 に限局性 に発生 す るのは.こ こに最 も強 い水 腫 がお こるため ,胞隔細胞 の活発 な増 殖 が要求 され る結 果 や あ ろ う.大 食細胞 は病 変の初期 に増加 す るが .線維症 の進展 とと も に急 速 に減 少 す る.初期 に増殖 す る大 食細胞 は水 腫 によ って破壊 され た細胞 間 マ トリックスの処理 にあずか る もの と考 え ら れ る.
Ⅱ.
胞 隔細 胞胞 隔細 胞 は正常動物 にお いて は肺胞中隔及 び胸膜弾 力板直下 に ,小 器官 に乏 しい細 長 い細胞 と して存在 す る. この細 胞 の生理 的機 能 や起源 につ いて はほとん ど 解 明 されて いない .形態学 的頬似性 か ら,漠然 と線維 (芽 )細 胞 と して取 り扱 われて い る
1 8 卜2 0 )
.胞隔細胞 は, 正常 の肺胞 中隔 ,胸膜下 結 合組織 にお ける主要 な細胞 成分 で あ り, コラゲ ン線維 や弾 力線維 との密接 な位置 関係 か ら.細 胞 間 マ トリックスの産生細胞 であろ うと 推定 され る.cur r y
ら2
日は胞 隔細 胞 に .脂肪滴 を もっ 線 維 芽 細 胞様細 胞 と.脂 肪滴 を もたない淡明 な細胞 の2種類 が 区別 され ることを報告 して い る.同様 に.Yu
ら22)
は 生下時 ラ ッ ト肺 の発育 過程 を電顕的 に観察 し,胞隔細 胞 は立方 形 の淡明 な細 胞質 を もっ未分化 間葉細胞 か ら 分化 し.紡 錘形細 胞 に変形 す ると共 に脂 肪 滴 が 出 現し, コラゲ ン線維 や弾力線維 の形成能 を もっ よ うにな ることを述 べて い る.本研究 にお いて も,胞 隔細胞 の 増殖 初期 に胞 隔細胞 と接触 しなが ら増殖 す る未分化 な 間葉細胞 が観察 され た . しか し. このよ うな未分化 な 細胞 は胞 隔細 胞 へ分化 す るのか ,又 は他 の細胞 ,例 え ば大食細 胞 へ分化 す るのか は未決定 であ る.
間質性肺 炎 にお いて胞 隔細 胞 が増殖 す ることは多 く の研究者 によ って指摘 されて い る
2 3
卜25).本研究 におい て も胞隔細 胞 の増殖 が観察 され たが ,最 も注 目すべ き 点 は この細 胞 が線維 芽細 胞様細胞 か ら平滑筋細胞様 のブ レオマイ シ ン肺線維症の電子 顕微鏡的研究
細胞 に変形 し,同時 に コラゲ ン線維 と弾力線維 とが形 成 され る ことで あ る.増殖初期 の胞 隔細胞 は粗面小胞 体 と ゴル ジ装 置 の発育 が良好 で線維 芽細胞 に規似 した 形態 を とる. しか し,脂肪滴 が残存 し,粗面小胞体 の 拡大 が少 な く,時 々細胞 表面 に基底膜様物 質 がみ とめ られ ることか ら定型 的 な線維 芽細胞 と区別 され る.細 胞 間 に線維 形成 が進行 す るに従 って ,細胞 は延長 した 紡 錘形細胞 に変 り , 粗 面 小 胞 体 の 減 少 と細 胞 質 の
mi cr of i l amentの増加 及 び基底膜 の出現 と共 に , 吹
第 に平滑筋細 胞 に類似 した形態 を示 す よ うにな る.線 維化 が進 んだ胸膜下結 合組織 に しば しば定型的 な平滑 筋細胞 が見 出 され る.肺 の様 々な慢性疾患 ,例 えば肺 気 腫 にお いて ,平滑筋細胞 が増殖 す ることはよ く知 ら れ た事実 で あ るが2 6 )
,その起源 につ いて は十分明 らか に されて はいない .生理 的 に存在 す る血 管 , 細 気 管 支 , リンパ管周 囲 の平滑筋 細胞 が増殖 す る可能性 は否 定 されない . しか し,正常 マ ウスの胸膜及 び胸膜下結 合組 織 に は平滑筋細 胞 は見 出 され ないので , ブ レオマ イ シン肺線 維症 にお いて増殖 した胸膜下 の平滑筋細胞 の大部分 は上述 の胞 隔細 胞 に由来 す る もの と推定 され る .Kapanci
ら27)は胞 隔細 胞 に含 まれ る細 胞 質 フ ィ ラ メ ン トが ア クチ ン様 タンパ クか ら成 ることを述 べて い る.さ らに ,肉 芽組織 に増殖 す る線維 芽細胞 に も蛍光 抗体法 や薬理 学的反応 の 結 果 か らact omyosi n
が 含 まれてい る ことが推定 されて い る28 ) ‑ 3 0 )
.超徴構造的 に も,平滑 筋細 胞 と線維 芽細 胞 との中間型 を示 す細胞 が .幼若動 物 の大 動 脈3 1 )
, 動 脈 硬 化 症3 2 )
, 卵 巣 のt he ca ext er na3 3 )
ェス トロゲ ンで刺激 され た子宮筋層3 4 )
,肉 芽組 織28 )
な どに見 出 され' ・ myo凸br obl ast " 2 8
,13 0
)3 日3 3 )叉 は ' t i nt er medi at e smoot h mus cl e cel
l‑32) と呼 ばれて い る.これ らの所 見 を総合 す ると,線維 芽細胞 と平滑筋細 胞 は形態学 的 に も機能 的 に も近縁 の関係 にあ る細胞 で あ ると考 え られ る.一 般 には組織 の生理 的機能 の要求 に応 じて ,線維 芽細 胞又 は平滑筋細胞 の性格 のいずれ かが よ り優勢 で あ るが ,刺激 が加 わ ると両者 は互 いに 移 行 しうる もの と考 え られ る.胞 隔細胞 は生理 的状態 において も線維 芽細 胞 と平滑筋細胞 との中間的性格 を もつ いわゆ る
● ' myof i br obl ast
''に属 し . 刺 激 に よ って線維 芽細胞 又 は平滑筋細 胞 に分化 し.細胞間 マ ト リックス形成 にあず か る細胞 と して働 くもの と考 え ら れ る.平滑 筋細胞 は線維 芽細 胞 と同様 に コラゲ ン線維 と弾力線維 を形成 す る能 力 を もって い るが .特 に弾力 線 維の有力 な形成細胞 で あ る ことが知 られて い る35)
ブ レオマ イ シン肺線維症 にお いて は コラゲ ン線維 と同
21 5
時 に多量 の弾力線維 の新生 が お こるの は,そ こに増殖 す る胞 隔細胞 が平滑筋細 胞 の性格 を持 って い ることに 起因 す る もの と思 われ る.
Ⅲ.
線維形 成増殖 初期 の胞隔細 胞 の表 面 には基底膜様 の無定形物 質 と
mi cr of i br i lの集積 が み られ ,次 いで弾力線 維
と コラゲ ン線維 が ,その中 に形成 さ れ る . こ の 過 程 は.胞 隔細胞 が平滑筋細 胞様 に変形 す る問 に最 も活発 にみ とめ られ る.堀1 1
)は創傷治 癒 に増殖 す る線維 芽 細 胞 の表面 に基底膜様 の無定 形物 質 が集積 し,その中 にmi cr of i br i
l, 次 いで コラゲ ン線維 が 出 現 す る と共 に無定形物 質 が減少 す る こと,及 び ラ ジオオー トグラ フ ィによ りH 3
‑プ ロ リンの ラベ ルが み とめ られ る こ と か ら. この無定形物 質 の中 に コラゲ ン前駆物 質 が含 ま れて い る もの と推定 して い る.本研 究 において もはぼ 同様 な コラゲ ン線維 の形成過程 が観察 された . コラゲ ン線維 はmi cr of i br i
lとと もに出現 し,線維 の成 熟 とと もにmi cr of i br i
lが減少 す るので, mi cr of i b‑
r i lの少 な くと も一 部 は コ ラ ゲ ン性 で あ る と思 わ れ
る. しか し,mi cr of i br i
lの総 てが コラ ゲ ン性 で あ るか否 か は甚 だ疑 問で あ る.成熟 した コラゲ ン線維束 は しば しばmi cr of i bri lで包 まれ ,又 ,次 に述 べ る
弾力線維 の周 囲 に もmi cr of i br i
lの著明 な集在 が み られ る. これ らのmi cr of i br i
lは コラゲ ン線維 と の 問 に形態的 な移 行 はな く, コラゲ ンと異 な った物質 で あ る可 能性 が大 きい .手塚 ら
3 6 )
は培 養線維 芽細 胞 の コラゲ ン合成能 は ブ レ オマ イ シンによ って増 強 す る ことを示唆 して い る.一 方 ,市橋 ら3
7'はBLM
処 置 マ ウス皮 膚 か ら培養 した線 維 芽細胞 につ いて , コラゲ ン合成 能 は正常 で あ る が ,コラゲナー ゼ活性 が低 下 して い る こ と を 報 告 して い る. ブ レオマ イ シン肺線維症 が コラゲ ン産生 の瓦進 に よ るめか ,分解 の低 下 によ るのか は形態学的 には決定 で きないが
,BLM
と コラゲ ン代謝 との関係 は今 後 に 残 された興 味 あ る問題 で あ ろ う.ブ レオマ イ シン肺線維症 にお いて注 目 され る所見 は 弾力線維 の形成 で あ る.弾 力線維 は平滑筋細 胞様細胞 に変形 したの胞 隔細 胞 の表 面 に 多 数 の
mi cr of i br i l
と共 に新生 され る. micr of i br i lとェ ラ ス チ ンと の
関係 は現在未解 決 で あ る . 幼 君 弾 力 線 維 は多 量 のmi cr of i bri lで包 まれ ,弾 力線維 が成熟 す るとと もに
mi crof i br i
lが減少 す るの で, mi cr of i br i lに エ ラ
スチ ン前駆物 質 が含 まれて い るとす る見解 が あ る38 )
しか し. Bouissou
ら39 )
は生化学 的検 査 か ら弾 力 線 維周囲 のmi crof i br i lは エ ラスチ ンと もコラゲ ンと
も異 な った糖 タンパ クか ら構成 されてい ることを報告21 6
木して い る.
著者 の観察 で は,平滑筋細 胞様細胞 の表面 に出現 す る微小 な弾 力線維 が細胞 表面 の無定形物質 の中 に包埋 されて い る像 に遭遇 した .同様 な所見 はニ ワ トリ陸大 動脈 中膜 の平滑筋細 胞 か ら新生 され る弾力線維 にお い て も観察 されて い る
3 5 )
.これ らの所見 か ら細胞表 面 の 無定形物 質 の中 に エ ラスチ ン前駆物 質 が含 まれて い る 可能性 が考 え られ る.以上 の よ うに コラゲ ン線維 も弾力線維 も胞 隔細胞 及 びそれか ら変化 した平滑筋細 胞様細胞 によ って産生 さ れ ることが示唆 され るが . この
2
っの相異 な る タ ンパ クが それぞれ どの よ うな機構 で合成 ,分泌 され るか に っ いて は不 明 で あ る. コラゲ ン線維 と弾力線維 は同一 の細 胞 か らほ とん ど同時 に形成 され るよ うに み え る . しか し.1個 の細 胞 表面 の あ る部 分 で は コ ラ ゲ ン線 維 .他 の部分 で は弾力線維 の新生 が優勢 で .両種 の線 維 が混在 して形成 され る ことはほ とん どない. この理 由 につ いて は明 らかで はないが , コラゲ ンとェ ラスチ ンの前駆物 質 が 別 々 の 細 胞 内pa t hwa y
を もつ の か ,又 は分泌 の時期 が異 な るのか ,さ らに.細胞表面 で一方 の線維 の形成 が進行 す ると.他方 の線維 の形成 が抑制 され るのか . さまざまな可能性 が考 え られ る .これ らの諸 問題 の解 明 は今 後 の研究 にまたなければ な らない .
結 翰
ブ レオマ イ シ ンの腹腔注射 によ るマ ウスの肺線維症 の発生過程 を電 顕的 に観察 した. ブ レオマ イ シンによ る肺線維症 は主 と して胸膜 ,胸膜下結合組織及 びそれ に近接 す る肺胞 中隔 に発生 した .初期変化 と して これ らの部位 にお け る間質 水 腫が注 目 され た .炎症性反応 は一般 に乏 しく,大 食細 胞 の浸潤 がみ とめ られ たに過 ぎない .水 腫 の消 退 と共 に ,中皮細胞 ,毛細血管及 び 肺胞 の基底膜 が肥厚 し,胞 隔細胞 の増殖 がみ とめ られ た .増 殖 した胞 隔細胞 は始 め は線維芽細胞 に輯似 した 構造 を示 す が ,次第 に平滑 筋細胞様 の細胞 に変形 す る ことが示 唆 され た . これ らの胞 隔細胞 の表面 には基底 膜 様 の無定形物 質 と
mi cr or i br i l
の集積 を伴 って ,コ ラゲ ン線維 と弾 力線維 の新 生 が観察 された .以上 の所 見か ら, ブ レオマ イ シン肺線維症 は問質水腫 に続発 す る胞 隔細 胞 の増殖 によ って形成 され る間質 のf i br o・
e l a s t os i s
で あ ると結論 され た .田
稿を終 るにあたり,御指導 と御校閲を賜りました梶川 欽一郎教授に深謝の意を捧げます.また,終始御親切な 衡助言を頂きました北川正信助教授に心から感謝の意を 表 します.また本研究遂行に瞭 して御協力を頂きました 第‑病理学教室旦各位 ,第三内科教室員各位ならびに電 子顛徽鏡技術員の方々に厚 く御礼申し上げます.
本研究は文部省科学研究費 (課題番号8
3 7 0 0 5 )
の援助を受 けた .
文 献
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1).21 7
写 真 晩 明
写真
1.
対照群 の胸膜( P
l) 及 び 胸 膜 下 結 合 組 織( SP).
中皮細 胞( Me)
直下 に連続性 の弾力板(El )
が存在 し,′ト器官 の乏 しい胞 隔細胞( . Se)
が 処 々 でコラゲ ン線維
束 ( C
l) を取 りまいて い る.Ca p:
毛 細 血管,Al:
肺胞腔×1 0, 80 0
写真
2.
第1
群4
週 目の肺 線維症 (光顕写真 ). 胸 膜 下 か らそれ に接 す る肺 実質 に及 ぶ結 合組織 の増殖 がみられ る.
Pl:
胸膜 .H,E
染色×4 Q O
写真
3.
第2
群6
週 目にみ られ た初期変化 .胸膜( P
1)及 び胸膜下結 合組 織
( Sp)
にお け る水 腫(Ed).
中皮細胞
( Me)
は東平化 し,基底膜 (Bl) は非 薄 と な る.×2 0. 7 0 0
写真
4
.第2
群6
週 目 .毛 細 血管 内皮細 胞( En)
の 腫 大及 び基底膜 (Bl) の肥厚 が あ り.胞 隔細胞( Se)
の 増殖 がみ られ る.×8, 6 00
写真
5.
第1
群8
週 目 .断 裂 した弾力板( E
l)の問 を 通 って大 食細 胞( Mc)
,胞 隔細胞( Se)
が胸膜 の水腫 状 問質( Ed)
に浸潤 .Me
:申皮細 胞,L :脂肪 滴×9, 6 0 0
写真
6
.第2
群6
週 目 .増 殖 初期 の胞 隔細 胞(Se).
小器官 の発達 が 目立 ち脂肪滴 (L)が存在 .細 胞 表 面 は基底膜様 の無定形物 質
( Am)
で被 われて い る . 脂 隔細胞 は大 食細 胞( Mc)
と接 して い る.×7, 4 0 0
写真7.
第 1群8
過 臥 未分化 な問責細胞( X)
と胞 隔細胞( Se)
.胞 隔細 胞 の周 囲 にはmi cr of i br i l( M
f) を伴 って弾 力線維 (El) と コラゲ ン線維 (Cl) が 形 成 .Me
:中皮細 胞×1 1, 0 0 0
写真
8.
第1
群1
週 目 .線維 芽細胞様 の胞 隔細胞( Se)
.粗 面小 胞体( r E)
の発 達 が著明,L
:脂 肪 滴 ,Ca p:
毛細 血管×1 8, 5 0 0
写真
9‑ l l.第
1群8
過 臥 平滑筋細胞 へ の移 行 を 示 す胞 隔細胞( Se)
. 写真9
:胞 隔細胞 の拡大 した粗 面小胞体 と細胞 質 のmi cr of i l ame nt( Ml
)の増 加 . 細胞 の周 囲 は新生 コラゲ ン線 維 (Cl).弾力線維 (El) によ って包埋 され る.Mf:mi cr of i br i l x1 3, 0 0 0
写真1 0:
細 胞 中 心 部 か らmi cr of i l ame nt( Ml
)の集 束 が増加 .細胞質 に滑 面 小 胞体( s E)
の増加 がみ ら れ る.El:
弾力線維,C1
:コラゲ ン線維×1 2, 0 0 0
写 真1 1
:細 胞周辺 には拡大 した粗 面小胞体 ,糸粒体 ,滑 面小胞体 が集在 す る. 細胞 質 の大 部分 は
mi cr o‑
f i l ame nt( Ml
) で 占 め られ . 処 々‑ ● dens e body"
が出現 L
myof i l a me nt
の 形 態 に変 わ る.El:
弾 力 線維,C
l:コラ ゲ ン線 維×9, 1 0 0
写真
1 2.
第2
群4
過 日 .胞 隔細 胞( Se)
周 閲 の 無 定2 1 8
木形物質
( Am)
は中皮細 胞( Me)
の基底膜 (Bl) と連 続 して い る. ×2 4, 0 0 0
写
寛1 3.
第2
群6
週 目 .胞 隔細 胞 (Se)表 面 の 無 定 形物質( Am)
の中 にmi c r ムf i br i
lと弾力線 維 (矢 印 )がみ られ る.増加 した弾 力線維 (El) の周囲 に はmi c r of i br i l( Mf
)が増加 .×2 0, 0 0 0
写 真
1 4.
第1
群8
週 目 .胞 隔細 胞( Se)
の 裏 面 に集 積 す るmi c r of i br i l( Mf
)内 に コ ラ ゲ ン線 維( Cl )
が増加 す る.胞 隔細胞 は平滑 筋細 胞 への移行 を 示 す .
Ml:mi c r of i l a me nt x1 4, 4 0 0
田
写 真
1 5.
第2
群6
過 臥mi c r of i br i
lの強 拡 大 . 中 空状 の壁 は最高5個 の粒子 状物 質 か ら構成 され る (矢 印).×1 2 4, 8 0 0
写 真
1 6.
第1
群8
週 目 . 肺 胞 問 質 はmi c r o f i br i l ( Mf
)と共 に新生 された弾力線 維 (El), コラゲ ン線 維(
cl)で満 た され る.. Se
:胞 隔細胞×1 8. 0 0 0
写 真
1 7.
第1
群8
週 目 .胸膜 下結合組織 .線維成分 の 増加 と胞 隔細胞( Se )
に接 して弾 力線維 (El)が み ら れ る.Me:
中皮細 胞 .Mc:
大 食細胞 .Cl
: コ ラ ゲ ン線維 ,×1 2. 0 0 0
Abstract
El e c t r on mi cr os copi cobs er va t i onwas made on t he de vel opme nt of pul monar y 凸br os i sofmi c ef ol l owi ngi nt r a per i t one ali nj e ct i on ofBl e omyci n.Pul monar y l e s i ons wer el ar gel yl oc a t e da tt hes ubpl eur aland adj a c e nti nt er al veol ar conne ct i ve t i s s ue.
Thepr omi ne ntf e at ur ei nt hei ni t i als t agewasi nt er s t i t i ale de ma wi t houtr e mar ka bl e i naa mma t or yr e s pons e . I nt er s t i t i ale de mawasf ol l owedbyt hi c ke ni ngoft heba s al l a‑
mi naofme s ot hel i alc el l s ,bl oodc a pi l l ar i esandal veol i ,a ndbypr ol i f er a t i onofs ept al c el l s .Thepr ol i f er a t e ds e pt alc el l ss howe di ni t i al l yf ibr obl as t ‑ l i kes t r uc t ur e .a ndwere gr a dual l yt r a ns f or me di nt os moot hmus cl e‑ l i kec el l s .
Concomi t antwi t h t he c el l ul ar t r ans f or ma t i on a mor phous ma t er i al s a nd mi cr o‑
f
ibr i l swer ea c cumul a t e dont hec el ls ur f a c e.ands ubs eque nt l yt he s es ubs t anc e s wer e r e pl a c e d by ne wl y f or me d c ol l agen a nd el as t i c Rber s .
Fr om t he s ef indi ngsi ti s c oncl ude d t hatpul monar y l es i on f ol l owi ng Bl e omyc i n
i nj e c t i on i s i nt er s t i t i alBbr oel a s t os i s pr oduc e d by s e pt alc el l s whi c h ar e s ubj e c t
t o be t r a ns f or me d i nt o s moot h mus cl e‑ l i ke c el l s .
木
ブ レオ マイ シン肺線維症 の電子顕微鏡的研究
2 2 1
2 2 2
木ブ レオマイ シ ン肺線維 症の電子顕微鏡 的研究 223■