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電子顕微鏡的研究

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Academic year: 2021

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(1)

金沢大学 十全 医学会雑誌

8 4

2・3

21 1 ‑2 2 6 ( 1 9 7 5 )

マ ウ スにお け る ブ レオ マ イ シ ン肺 線 維 症 の 電子顕微鏡的研究

金沢大学 医学 部病理学第一 講座 (主任 :梶川欽一郎教授 )

(昭和

5 0

1

9

日 受付 )

本論文 の一部 は

, 1 9 7 4

7

6

回結合組紙研究会総会 において発表 した。

ブ レオマ イ シン (以下

BLM

と略 す ) は抗 癌 剤 と して塩床的 に広 く使 用 されて い るが ,副作用 と して肺 線維症 が発生 す ることが知 られて い る.

BLM

に よ る 肺病 変 は,その使用 量 ,使 用 期 間 によ り,又 .人体例 と動物 実験 とで は若干 の差異 はあ るが .一般 に胸膜下 の肺胞壁 に最 も強 く発生 し,初期 には間質及 び肺胞腔 の焚液性水 腫 が お こ り,次第 に線維化 に導 かれ る一種 の間質性肺 炎 で あ るとされて い る

1 )〜 1 0 )

. しか し. ブ レオマ イシ ン肺線維症 の電子 顕微鏡的研究 は甚 だ少 な い .最近

, Be dr os s i a n

9 ) は3

例 の剖検例 につ い て 電顕的観察 を行 い , これ まで の光顕的所見 を裏付 ける 成績 を報告 して い る.いずれ に して も

BLM

に よ る 肺病変 は問質 の水 腫 に続発 す る間質性肺炎.であ ること は多 くの研 究者 の一 致 した見解 で あ るが ,線維化 の機 序 に関 す る解析 はほ とん ど行 なわれ て い な い . そ こ で ,著者 は マ ウスにお け る ブ レオマ イ シン肺線維症 の 電顕的観察 を行 い ,その発生 機序 を解 明 しよ うと試 み

た .

本研究 で は

BLM

注射 によ って ,胸 膜 及 び そ れ に 近接 す る肺 胞 中隔 の水 腫 につづ いて胞 隔細胞

( S e pt a l

c e

ll) が増 殖 し, コラゲ ン線 維 と弾力 線 維 の 形 成 が お こることが観察 され た . これ らの所 見 に基 いて ,特 に胞隔細胞 が線維形成 に果 たす役割 につ いて考察 を加 え る.

実験材料 および実験方法

I CR

系嘘 マ ウス (体重

3 0 ‑4 0 g)

2

群 に分 け,第

1

( 5 5

匹) には

BLM

生 食水溶液 を

1 0 〃g/g

連続

1 0

日間腹腔内注射 し,第 Ⅱ群

( 2 5

匹 )には同様 な処置 を 施 し

2‑3

ケ月後 .さ らに同 じ量 を

1 0

回注射 した .両 群 とも対照 と して生食水 のみ を腹腔 内注射 した .

Ⅰ,

21 1

Ⅲ群 と も最終注射後

,1,2,4,6,8,2 0.4 8

目に屠殺 した .光 顕的観察 の ため ,‑側 の肺 を

1 0%

性 ホルマ リンで固定 ,パ ラフ ィ ン切片 と し.ヘマ トキ シ リン ・エオ ジン, アザ ン. エ ラスチ カ ・ワ ンギー ソ ン染色 を施 した .電顕試料作 成 のためには.別 出肺 を I

直 ちに

2. 5%

グル タル アルデ ヒ ド

( 0. 0 5 M

カ コ ジル酸 ソー ダ緩 衝液

,pH7, 4)

に浸 溝 ,細 切 し,同固定液 で

1

時 間固定 し,さ らに

2%

オ ス ミウム酸

( 0. 0 5 M

カ コ ジル酸 ソー ダ緩 衝液

,pH7. 4)

doc

,1

時 間 ,後 固 定 し,エ タノール系列 で脱水 ,

Epon8 1 2

で包 埋 した . 一 部 の組織 は

Luf t

の変法

1 0 )

によ りル テ ニ ウ ム レ ・

ド処理 を行 った .

試料 は

LKB

ウル トロ ト‑ ムで ガラスナ イフを用 い て超薄切片 を作 製 し. ウラニール,鉛 の垂染色 を行 っ た .超 薄切片 は

HU‑1 1 D

s型

( 7 5 kV) ,J EM‑1 0 0 B

( 8 0 kV)

電子 顕微鏡 を使用 し直接倍率

2, 7 0 0‑24, 0 0 0

倍 で観察 した .

Ⅰ.対照群

ブ レオマ イ シン肺線維症 は胸膜下 に最 も著明 に発生 す るので , ここで は主 と して胸膜 とそれ に接 す る肺実 質 の構造 につ いて記 載 す る.

臓側胸膜 は一層 の中皮細 胞 で被 われ ,中皮細胞基底 膜下 に連続性 の弾 力板 が存在 す る.弾力板 と肺実質 と の問 には狭 い疎性結 合織 が介 在 し,肺胞 中隔 に移行 し て い る (写 真

1

). この よ うに ,マ ウスにお い て は胸 膜固有組織 と肺実 質 との境 界 は不 明瞭 であ るが ,ここ で は便宜上 ,中皮細 胞 と弾力坂 を 含 め て 胸 膜 と み な し.弾力板 と肺実質 間 の結 合組 織 を胸膜下結 合 組 織 . 肺胞 問 の結 合組 織 を肺胞 中隔 と呼 ぶ ことにす る.

El e c t r on mi cr os c opi c s t udi e s on Bl e omyc i n・ i nduc e d pul monar y nbr os i s ofmi c e

Ko uz uiKi d

a,De

par t me ntofPa t hol ogy (Ⅰ) ,( Di r e c t or :Pr of .K.Ka j i ka wa ) ,Sc hool

ofMe di c i ne ,Ka na z a wa Uni ver s i t y.

(2)

2 1 2

胸膜 : 胸膜 の外側 は一層 沿南平 な車皮細胞 で 被 わ れ る.巾皮細 胞 の遊離縁 に は多数 の微繊毛 が 存 在 し . 隣接 す る細 胞 の 接 着 血 に は 処 々

' ' t i ghtj unc t i on"

様 の構造が みち れ る.核 は楕 円形 で陥入 を示 す .細胞 質 は滑 面′ト胞 体 に富 み .その ほか糸 粒 体 . 粗 血 小 胞 悼 , ゴ・レジ装 置 .遊離 リポ ゾーム,細 胞質 フ ィラメ ン

トや微細小 管 な どが同定 され る.基底 蘭 は連続 した基

底 膜 (幅約

1 0 O O A)

で被 われ . 甚 底 面 と の 間 に 狭 い

C )

Li uc i da

(幅 約

2 5 0 A)

が識別 され る.

境底 陳 に接 して弾 ノJ板 (

的5 0 0 1 1 1 1 1 )

が存 在 す る . その 下に弾 力板 にi'dって胞隔細 胞 の細 長 い突起 かみ と 池 られ る,究起 と弾 力線維 との間 に時 々

mi cr of i br i l

かみ とめ られ る. 巾皮細 胞 と弾 力 板 と uT)問 に は細 胞成分 はみ とめ られ ない .

胸膜下結 合組織 二 胸膜 弾 力板 と肺胞壁 の問 を 責 め る狭 い空間 で .少数 の紡 錘 形 細 胞 . コ う ナ ン線 維 .

mi cr of i br i

l及 び聴 覚 か ら成 る.紡 錘形細胞 は弾力 板 に沿 って配 列 し,下方 の コラJTJ'ン線維 束 を囲 む よ うに 細 長 い突起 を延 は して い る. この細胞 は後述 の肺胞 中 隔 に散在す る胞 隔細 胞

( S e pt a lc e

ll)と同様 な構造 を 有 す るので .本論 文 で は胞 隔細胞 と同 .の細胞 と して 取 り扱 うことにす る. コラゲ ン線維 は礎質 の中 に散在 性 にみ とめ られ るが ,処 々線 維束 が形成 きれ る.線維 束 の周囲 には

mi cr of i br i

lが集在 す る.礎質 は微 粒 子 と微細 フ ィラメ ン トか らな る綿状構造 と してみ とめ

られ る.

肺胞及 び肺胞中隔 : 肺気腔 の構造 につ いては こ れ までの報告 と同様 で あ るので

7 2 ) 1 3 )

. ここで は特 に付 言 す ることはな い .肺胞 は連続性 の基底膜 で包 まれ .上 皮細には Ⅰ型 及 び m型 の細 胞 が別 され る.肺胞 中 隔 の広 さは場 所 に よ って様 々で .狭 い処 で は肺胞基底 膜 と毛細 血管基底膜 が融合

し.

胞 隔細 胞 や線維成 分 は 介 在 しない .肺胞 中 隔 の広 い部分 には毛細血管 ,胞隔 細胞 . コラケ ン線維 .弾 力線維 及 び礎質 が存 在 す る . 肺胞管 よ り末梢部 分 に平滑 筋細 胞 がみ られ ることはな い.胞 隔細胞 は細 長 い紡 錘形細胞 と してみ と め られ . 肺胞及 び毛細 血管 の基底に沿 って突起 を延 ば して い

る.核 は楕 円形 で ,細 胞小器官 の発育 は乏 しく.少数 の粗面′ト胞 体 .滑 面′ト胞体 . ゴル ジ装 置 .糸粒休 が同 定 され るが .脂肪滴 の存在 は特 徴的 であ る.又 .細胞 質 フ ィラメ ン トがか な り しば しばみ とめ られ る.

毛細 血管 は互 いに密 着 す る扇平 な内皮細胞 で披 われ 基底暁 で包 まれて い る.処 々に基底膜 で包 まれた周細 胞 が存在 す るが .上述 の胞 暗細 胞 の突起 の断面 と区別

しに くい場 合 が あ る.

Ⅲ.

ブ レオマイ シン投与群

実験王,Ⅱ∵群 を病理組織学 的 に比較 す ると

,

迂群 に お いて線維症 が やや高度 にみ とめ られ たが .本質的 に は両群 と も同様 で あ ったので ,一括 して記載 す る.

光顕的観察 によ ると肺線維症 は胸膜 下か らそれ に接 す る肺実 質 に散 在性 に.発生 す ることが示 され る (写真

2)

.その程度 は一 般 に Ⅱ群 に強 い傾 向が あ ったが 個 体 差がか な り著 しく.長期 観察例 にお いて も線維症 は 顕著で ない例 が あ り.病 変 の進展 と注射 量 や観察期間 とは必 ず しも平 行 しない .そ こで .電艶的研究 におい て は多数 の症 例 の観察結 果 を総 合 ,整理 す ることによ って .線 維症 の過程 を推定 した .

1.初期変化

ブ レオマ イシン投 与・によ る抑靭 変化 は間質の水 唾で あ る.水 腫 は細 胞 間 を満 たす低 電車 密度 の架状物質 と して み とめ られ る.水腫 は胸膜 に近 い肺胞 中隔か ら中 皮細胞直下 まで広 が る,特 に胸膜 及 び胸膜下結 合組織 の水腫 は著明 で あ る.処 々中皮細 胞直 下 に水泡状 の水 澄液の貯 潜 がみ られ る ことが あ る.申皮細胞 は高 率 化 し ,微 繊毛 は減少 す る.基底膜 は非 薄 となり

, 1 .1 uc i da

は拡大 し.基底膜 の剥離 又 は消失 が み られ る (写 真

3)

.弾力 板 は処 々に断裂 が お こる.水腫 の 比 較 的 軽 度 な部,//)で は中皮細 胞 は多 少 と も腫大 し.滑 面′ト抱体 と粗面小胞休 が増加 す る.細 胞 表面 には多数 の突起 や 陥 凹 が生 ず る.特 に細胞基底 面 の小突起 が 目立 ち,塞 底膜 は肥厚 又 は多 層 化 を示 す .

肺 胞中隔 も.水 腫 によ って拡大 しコラナ ン線維 の疎 散 が み られ る. しか し.肺胞 が近接 し,基底膜 が融合 した部分 で は肺胞 中隔 の拡 大 はみ られ fJ:い .毛細 血管 及 び肺胞 の基底 膜 は様 々な程度 に肥厚 す る.毛細 血管 内皮細 胞 は腫大 し.血管陸 が 著 しく挟 め られ る.唖大 した内皮細 胞 に は滑 面小胞体 と粗面 ′ト胞休 の増 加がみ られ る (写真

4

). しか し.内皮細 胞 問 の開 孔 は 見 出 され ない .一方 .毛細 血管 の あ る もの は拡大 し.血管 腔 に血茨 を満 た し.栓球 か らfJ:る血栓 かみ とめ られ る ことが あ る.肺胞上皮細胞 の変化 は乏 しく.処 々Ⅲ型 上皮細 胞 の腫大 と

cyt os ome

の増 加 がみ られ る.

胸膜下結 合組 織 の水 腫状 間質 に は大 食細胞 が散在性 にみ とめ られ .断 裂 した弾 力板 を通 って .胸膜 に浸潤 す る (写真 5).大 食細胞 は細 胞 表 面 の 偽 足 様 突 起 . 豊富 な

dens e body

と滑 面小胞体 によ っ て 同 定 さ れ る.その はか . リンパ球 や プ ラ ズマ細胞 が み とめ ら れ ることが あ るが .好 中球 の浸潤 はほ とん どみ られな い.

2

.線維症 の進展 1)細 胞反応

(3)

ブ レオマイシ ン肺線維症の電子顕微鏡的研究

水腫の減退 と共 に胞隔細胞 の増殖 が次第 に顕著 とな る.胸膜下結合組織 とそれに近接 す る肺胞中隔 に増殖 した抱隔細胞 は,後述 のよ うに.活 発 な線維形成 を営 み胸膜弾力板 を破 って胸膜内 に侵入す る.

増殖初期 の胞 隔細胞 は延長 した細胞 と してみ とめ ら れ .胸膜弾力板及 び肺胞 や毛細血管 の基底膜 に沿 って 長 い突起 をのば してい る.その表面 は処 々基底膜様物 質 で被われ る.正常 の胞隔細胞 に比 べ て細 胞 質 は広 く,小器官 は豊富 で .と くに粗面小胞体 ,滑面小胞体 及 び ゴル ジ装置 の発育 が 目立 ち,ポ リゾームが増加す る.少数 の

de ns e body

がみ られ る こ とが あ る . 数個 の脂肪滴 の存在 が この細胞 を同定 す る有力 な形態 学的特徴 を与 え る (写真

5,6) .

細胞突起 は小 器 官 が乏 しく,少数 の小胞 と遊離 リポゾームが散在性 にみ

られ るにす ぎない.

胸膜下結 合組織 に増殖 した胞隔細胞 は. Lは しは相 互 に,又 は,大食細胞 や未分化 な間糞細胞 と接着 して 存在 す る (写真

6

)∴未分化 な間葉細胞 は楕 円形 又 は 陥 入のあ る核 を有 し.核小 体が明瞭 で .細胞質 に

器官 の発育 が乏 しい (写真

7

).このよ うな細 胞 は未 熟 な大食細胞 か ,胞隔細胞 か を決定す ることは困難で あ る.

細胞間物 質 の増加 とと もに .胞隔細胞 は粗面小胞体 の発育 が よ り顕著 とな り.線維 芽細胞様 の構造 を示す ことがあ る (写真

8

).粗面小胞体 は互 いに吻 合 した

ci s t er na e

を形成 し,ポ リゾームが豊富 で ゴル ジ装 置 の発育 も良好 で あ る.粗 面小胞体 と ゴル ジ空胞 の中 に 無定形物質 をいれ .粗面小胞体 と ゴル ジ小胞 との連続 がみ られ ることが あ る.脂肪液 は減 少 ま た は消 失 す る.

一方 ,胞 隔細胞 のあ る もので は, 粗 面 小 胞 体 の減 少 .滑面小 胞体 の相対的増 加及 び細胞質 の中心部か ら

mi cr of i l ament

の集束 が増 加 す る こ と に よ って , 平滑薪細胞株 の細胞 に変形す る.脂肪滴 は完全 に消失 す る (

真 9,1 0) .

このよ うな胞隔細胞 か ら変 化 し た細胞 と定型的 な平滑筋細胞 との間 にさまざまな中間 型 を追求す ることがで きる (写真

9‑l l ) .

す な わ ち . 胸隔細胞の細 長 い細胞突起 は次第 に失 われ ,不規則 な 乗 出を示す延長 した細胞 か ら紡錘 形 の 細 胞 へ と変 形 し.細胞 は基底暁 で被 われ るよ うに な る . 細 胞 質 の

mi cr of i l aやe nt

はます ます増加 し・細胞 の長軸 に平 行 に走 る集束 をっ くり,遂 に細胞 質 の大 部 分 を 占 め る.集束 の処 々にいわゆ る

dens e body

が出現 し, 筋原線維 の形態 を備 え るよ うにな る.同時 に,他 の小 器官 は減少 し.核周観及 び細胞質周辺 に糸粒体 ,小胞 体 . リポゾームが限局性 に存在 す る.細胞膜 に接 して

21 3

pi nocyt i c ve s i c l e

がみ とめ られ る. 時 々. 細 胞 質周辺 に滑面小胞体 の増加 や (写真

1 0 )

,粗 面 小 胞 体 の拡大 がみ られ ることがあ る (写真

1 1 ) .

2)細胞 間質

水腫の消退 とと もに,増殖 した胞 隔 細 胞 の 周 囲 に

mi cr of i br i

lと濃厚 な無定形物 質 の集積 が注 目 され る (写真

1 2,1 3 ).

無定形物質 は構造的 に基底 膜 と類 似 し. しば しば中皮細胞 .毛細 血管又 は肺胞肥厚 した 基底膜 と連続 して い る (

真1 2) . mi cr of i br i

lは

0 (

)

直径約

1 5 0

Aの細線維 で ,処 々

7 0 11 0 0 A

の間隔で濃淡が み られ る.横断面 で は中空状 にみえ る.空 の直径 は約

1 0 0 A 0

で ,壁 は最

高5

個 の粒子状物質 (直径約

3 0 Å)

ら構成 されてい るよ うにみえ る (写真

1 5 ).

胞隔細胞 の表面 には .上述 の無定形物質 の車 に細 い

⊂ )

弾力線維 (直径

4 0 0 ‑8 0 0 A)

が散在性 にみ とめ られ る (写真

1 3 ).

これ らの線維 はその大 きさ及 び位置か ら.

新生 初期 の弾力線維 と考 え られ る.弾力線維 の表面 は

mi cr of i br i l

で囲 まれ ることが多 いが , 細 い線維 で は無定形物質 の率 に包埋 され

, mi cr of i br i

lを 欠 い て いる (写真

1 3 ).

成熟 す るとと もに,弾力 線 維 は細 胞表面か ら離 れ ,直径 を増 し,その周奴 は無定形物質 の代 り

mi cr of i br i

lで囲 まれ る.

一方 .

mi cr of i br i

l内 に周期性構紋 を示 す コラゲ ン 線維 が形成 され る. コラナ ン線維 は細胞表面か ら少 し

(

く離 れた部位 に散在性 に出現 す る. 直径 は約

4 0 0 A

5 0 0 ‑7 0 0 A 0

周期 の桟紋 がみ られ る(写

真1 4,1 6 ) .

線 維 の数 と直径が増加 す るに従 って .線維 は互 いに平行に 配列 して線維束 を形成 す る. コラゲ ン線維 の直径 は約

6 O O A 0

で約

7 0 0

呈周期 の境紋 がみ られ る. コラ ゲ ン線 維 の成熟 とと もに

mi cr of i br i

lは減少 す るが ,線維 束 の周囲 笹は

mi cr of i br i

lが残存 してい る.

胸膜下結合組織 に増殖 した胞隔細 胞 は胸膜弾力板 を 破 っそ胸膜 内 に侵 入 し.水 腫状 の胸膜 間質 は下方 か ら 次第 に線維成分 で置換 され る (写真

1 6,1

7),線維化 が 進行す ると,胸肢弾力板 は分断 され ,車皮細胞直下か ら肺胞 に覚 る間質 は弾力線維 を ま じえ た多量 の コラゲ ン線維 で 占め られ る (写真

1 7 ) .

線維成分 の新生 と成熟 は.既述 の胞隔細胞 の平滑筋 細胞 への変形 とほぼ平行 して行 な わ れ る よ うに み え る.無定形物 質 .

mi cr of i br i l.

弾 力線 維 及 び コ ラ ゲ ン線維 の新生 は .胞隔細 胞又 は胞隔細胞 と平滑筋細 胞 との中間型 の細胞 の表面 に最 も活発 にみ とめ られ る (写真

6,9‑ l l .1 3.1 4.1 6 ).

細胞 が平滑 筋 細 胞 の 特徴 を備 え るに従 って ,無 定 形 物 質 や

mi cr of i br i l

は減少 し.細胞表面 には

mi cr or i br i

lを伴 った弾 力 線維 が存在 し,細 胞間 は成熟 した コラゲ ン線維束で満

(4)

21 4

た され る (写真

1 0.l l.1 4,1 6,1 7 ) .

Ⅰ/.ブ レオマイ シン肺線維 症 の進展の様式 本研究 にお け る主 要 な所 見 は. ブ レオマ イ シン注射 によ って .胸膜 .胸膜下結合組織及 びそれ に近接 す る 肺胞壁 の水 腫が お こり.次 いで胞隔細 胞 の増殖 に伴 っ て コラゲ ン線維 と弾 力線維 が形成 され線維症 へ と進展 す るとい うことで あ る.この成績 は従 来 の報告 とはぼ 一 致 す る

2 )

‑4)6

卜 1 0 )

.従 来 の研 究 で は病 変 の程 度 が 一 般 に強 く,初期変化 と して問質 の水 腫 の ほか .肺胞内の 湊 出 ,上皮細胞 の反応 ,問質 の炎症性細胞 の遊走 など が観察 されてお り,線維化 は これ らの彦 出物 の器質化 の結果 で あ ると解釈 されて い る

. Fl ei s chman

ら2) イ ヌを用 いた実験 的 ブ レオマ イ シン肺線維症 の観察 に お いて ,初期 にお こる肺胞大 食細胞 の反応 を重視 して い る.

本研究 で は,問質 や肺胞 内 の炎症性 反応 は甚 だ乏 し く,問質 の水 腫 につづ いて緩 慢 に進行 す る間質線維症 が お こることが観察 された .す なわ ち .ここにみ られ た ブ レオマ イ シン肺線維症 は炎症 に続発 す る肉芽性病 変 の結果 で はな く,いわ ゆ る水 腫性硬化

( Odems kl e ‑ r os e)

に類似 した病 変 と して進展 す る もの と理解 さ れ るので あ る.この よ うな差異 は

BLM

の 使 用 量 . 鶴 察期 間及 び動物種 の差異 に基 づ くもの と思 われ る.

検例 にお いて も,軽症 例 で は病 変 は胸膜下 に沿 った部 位 に限局 し,間質水 腫か ら線維症 に発展 す ることが観 察 されて い る4).

ブ レオマ イ シン肺線維症 が胸膜下 に強 く発生 す るこ とは光顕的研究 によ って明 らか に されて い るところで あ る

3

)4)67).本研究 にお いて も初期 変化 と しての水腫 は 胸膜 及 び胸膜下結 合組織 に特 に顕 著 であ り,線維症 は 胸膜下 に限局 して発生 す ることが確 め られ た.胸膜下 水 腫 の発生原因 は明 らかで はないが ,様 々な肺病 変 に お いて , しば しば胸膜下 水 腫 が お こる ことが報告 され てお り

1 4 )‑1 6 )

. この現 象 はおそ らく,胸膜下 の リンパ管 系 の解剖学 的分布 と密接 な関係 が あ る もの と推定 され

1

7).

水 腫 の高度 な場 合 に は,礎 質 の 正 常 構 造 は破 壊 さ れ .中皮細 胞 の

1 . l uci da

の 関 大 , 基 底 膜 の 非 薄 化 ,剥離 ,断裂及 び消失 が み られ た .急性 期 には問質 の水 腫液 は基底 膜 を通過 し ,

1 . 1 uci da

に貯 溜 す る 結 果 .基底 膜 が破壊 され る もの と思 われ る.水 腫 の比 較 的軽度 な部分 で は中皮細 胞基 底膜 の肥厚 や多層化 が み られ る. この現 象 は胞 隔細 胞 の胸膜 への侵 入が ない 時期 に既 にみ とめ られ るので ,中皮細胞 によ る基底膜

の産生 が冗進 した結果 で あ る と解釈 され る.中皮細胞 に リポ ゾーム.粗面小胞体 の増加 がお こり.基底面 に 多数 の細胞質突起 が み られ る ことは,細胞 の活性 の元 進 を示唆 して い る.同様 の現 象 は肺胞毛細血管 に もみ られ る. この よ うな基底膜 の肥厚 や多層化 は,水腫 に よ って障害 され た基底膜 の再生 を表 わ しているもの と 解釈 され る.

胞 隔細 胞 は水 腫 の消 退 と共 に増殖 を始 め ,後述 のよ うに線維化 の時期 まで増殖 をつづ け る唯一 の細胞 であ り.細胞 間 マ トリックスの形成 に最 も密接 な関係 を も つ細胞 であ ると考 え られ る.お そ らく,水腫 によ って 障害 され た細 胞 間 マ トリックスの修復現象 と して胞隔 細 胞 の増殖 が促 進 され る もの と推定 され る.ブ レオマ イ シン肺線維症 が胸膜下 に限局性 に発生 す るのは.こ こに最 も強 い水 腫 がお こるため ,胞隔細胞 の活発 な増 殖 が要求 され る結 果 や あ ろ う.大 食細胞 は病 変の初期 に増加 す るが .線維症 の進展 とと も に急 速 に減 少 す る.初期 に増殖 す る大 食細胞 は水 腫 によ って破壊 され た細胞 間 マ トリックスの処理 にあずか る もの と考 え ら れ る.

Ⅱ.

胞 隔細 胞

胞 隔細 胞 は正常動物 にお いて は肺胞中隔及 び胸膜弾 力板直下 に ,小 器官 に乏 しい細 長 い細胞 と して存在 す る. この細 胞 の生理 的機 能 や起源 につ いて はほとん ど 解 明 されて いない .形態学 的頬似性 か ら,漠然 と線維 (芽 )細 胞 と して取 り扱 われて い る

1 8 卜2 0 )

.胞隔細胞 は, 正常 の肺胞 中隔 ,胸膜下 結 合組織 にお ける主要 な細胞 成分 で あ り, コラゲ ン線維 や弾 力線維 との密接 な位置 関係 か ら.細 胞 間 マ トリックスの産生細胞 であろ うと 推定 され る.

cur r y

2

日は胞 隔細 胞 に .脂肪滴 を もっ 線 維 芽 細 胞様細 胞 と.脂 肪滴 を もたない淡明 な細胞 の2種類 が 区別 され ることを報告 して い る.同様 に

.Yu

22)

生下時 ラ ッ ト肺 の発育 過程 を電顕的 に観察 し,胞隔細 胞 は立方 形 の淡明 な細 胞質 を もっ未分化 間葉細胞 か ら 分化 し.紡 錘形細 胞 に変形 す ると共 に脂 肪 滴 が 出 現

し, コラゲ ン線維 や弾力線維 の形成能 を もっ よ うにな ることを述 べて い る.本研究 にお いて も,胞 隔細胞 の 増殖 初期 に胞 隔細胞 と接触 しなが ら増殖 す る未分化 な 間葉細胞 が観察 され た . しか し. このよ うな未分化 な 細胞 は胞 隔細 胞 へ分化 す るのか ,又 は他 の細胞 ,例 え ば大食細 胞 へ分化 す るのか は未決定 であ る.

間質性肺 炎 にお いて胞 隔細 胞 が増殖 す ることは多 く の研究者 によ って指摘 されて い る

2 3

卜25).本研究 におい て も胞隔細 胞 の増殖 が観察 され たが ,最 も注 目すべ き 点 は この細 胞 が線維 芽細 胞様細胞 か ら平滑筋細胞様 の

(5)

ブ レオマイ シ ン肺線維症の電子 顕微鏡的研究

細胞 に変形 し,同時 に コラゲ ン線維 と弾力線維 とが形 成 され る ことで あ る.増殖初期 の胞 隔細胞 は粗面小胞 体 と ゴル ジ装 置 の発育 が良好 で線維 芽細胞 に規似 した 形態 を とる. しか し,脂肪滴 が残存 し,粗面小胞体 の 拡大 が少 な く,時 々細胞 表面 に基底膜様物 質 がみ とめ られ ることか ら定型 的 な線維 芽細胞 と区別 され る.細 胞 間 に線維 形成 が進行 す るに従 って ,細胞 は延長 した 紡 錘形細胞 に変 り , 粗 面 小 胞 体 の 減 少 と細 胞 質 の

mi cr of i l amentの増加 及 び基底膜 の出現 と共 に , 吹

第 に平滑筋細 胞 に類似 した形態 を示 す よ うにな る.線 維化 が進 んだ胸膜下結 合組織 に しば しば定型的 な平滑 筋細胞 が見 出 され る.肺 の様 々な慢性疾患 ,例 えば肺 気 腫 にお いて ,平滑筋細胞 が増殖 す ることはよ く知 ら れ た事実 で あ るが

2 6 )

,その起源 につ いて は十分明 らか に されて はいない .生理 的 に存在 す る血 管 , 細 気 管 支 , リンパ管周 囲 の平滑筋 細胞 が増殖 す る可能性 は否 定 されない . しか し,正常 マ ウスの胸膜及 び胸膜下結 合組 織 に は平滑筋細 胞 は見 出 され ないので , ブ レオマ イ シン肺線 維症 にお いて増殖 した胸膜下 の平滑筋細胞 の大部分 は上述 の胞 隔細 胞 に由来 す る もの と推定 され る .

Kapanci

ら27)は胞 隔細 胞 に含 まれ る細 胞 質 フ ィ ラ メ ン トが ア クチ ン様 タンパ クか ら成 ることを述 べて い る.さ らに ,肉 芽組織 に増殖 す る線維 芽細胞 に も蛍光 抗体法 や薬理 学的反応 の 結 果 か ら

act omyosi n

含 まれてい る ことが推定 されて い る2

8 ) ‑ 3 0 )

.超徴構造的 に も,平滑 筋細 胞 と線維 芽細 胞 との中間型 を示 す細胞 が .幼若動 物 の大 動 脈

3 1 )

, 動 脈 硬 化 症

3 2 )

, 卵 巣 の

t he ca ext er na3 3 )

ェス トロゲ ンで刺激 され た子宮筋層

3 4 )

,肉 芽組 織2

8 )

な どに見 出 され

' ・ myo凸br obl ast " 2 8

,1

3 0

)

3 日3 3 )叉 は ' t i nt er medi at e smoot h mus cl e cel

l32) と呼 ばれて い る.

これ らの所 見 を総合 す ると,線維 芽細胞 と平滑筋細 胞 は形態学 的 に も機能 的 に も近縁 の関係 にあ る細胞 で あ ると考 え られ る.一 般 には組織 の生理 的機能 の要求 に応 じて ,線維 芽細 胞又 は平滑筋細胞 の性格 のいずれ かが よ り優勢 で あ るが ,刺激 が加 わ ると両者 は互 いに 移 行 しうる もの と考 え られ る.胞 隔細胞 は生理 的状態 において も線維 芽細 胞 と平滑筋細胞 との中間的性格 を もつ いわゆ る

● ' myof i br obl ast

''に属 し . 刺 激 に よ って線維 芽細胞 又 は平滑筋細 胞 に分化 し.細胞間 マ ト リックス形成 にあず か る細胞 と して働 くもの と考 え ら れ る.平滑 筋細胞 は線維 芽細 胞 と同様 に コラゲ ン線維 と弾力線維 を形成 す る能 力 を もって い るが .特 に弾力 線 維の有力 な形成細胞 で あ る ことが知 られて い る

35)

ブ レオマ イ シン肺線維症 にお いて は コラゲ ン線維 と同

21 5

時 に多量 の弾力線維 の新生 が お こるの は,そ こに増殖 す る胞 隔細胞 が平滑筋細 胞 の性格 を持 って い ることに 起因 す る もの と思 われ る.

Ⅲ.

線維形 成

増殖 初期 の胞隔細 胞 の表 面 には基底膜様 の無定形物 質 と

mi cr of i br i lの集積 が み られ ,次 いで弾力線 維

と コラゲ ン線維 が ,その中 に形成 さ れ る . こ の 過 程 は.胞 隔細胞 が平滑筋細 胞様 に変形 す る問 に最 も活発 にみ とめ られ る.堀

1 1

)は創傷治 癒 に増殖 す る線維 芽 細 胞 の表面 に基底膜様 の無定 形物 質 が集積 し,その中 に

mi cr of i br i

l, 次 いで コラゲ ン線維 が 出 現 す る と共 に無定形物 質 が減少 す る こと,及 び ラ ジオオー トグラ フ ィによ り

H 3

‑プ ロ リンの ラベ ルが み とめ られ る こ と か ら. この無定形物 質 の中 に コラゲ ン前駆物 質 が含 ま れて い る もの と推定 して い る.本研 究 において もはぼ 同様 な コラゲ ン線維 の形成過程 が観察 された . コラゲ ン線維 は

mi cr of i br i

lとと もに出現 し,線維 の成 熟 とと もに

mi cr of i br i

lが減少 す るので

, mi cr of i b‑

r i lの少 な くと も一 部 は コ ラ ゲ ン性 で あ る と思 わ れ

る. しか し,

mi cr of i br i

lの総 てが コラ ゲ ン性 で あ るか否 か は甚 だ疑 問で あ る.成熟 した コラゲ ン線維束 は しば しば

mi cr of i bri lで包 まれ ,又 ,次 に述 べ る

弾力線維 の周 囲 に も

mi cr of i br i

lの著明 な集在 が み られ る. これ らの

mi cr of i br i

lは コラゲ ン線維 と の 問 に形態的 な移 行 はな く, コラゲ ンと異 な った物質 で あ る可 能性 が大 きい .

手塚 ら

3 6 )

は培 養線維 芽細 胞 の コラゲ ン合成能 は ブ レ オマ イ シンによ って増 強 す る ことを示唆 して い る.一 方 ,市橋 ら

3

7'

BLM

処 置 マ ウス皮 膚 か ら培養 した線 維 芽細胞 につ いて , コラゲ ン合成 能 は正常 で あ る が ,

コラゲナー ゼ活性 が低 下 して い る こ と を 報 告 して い る. ブ レオマ イ シン肺線維症 が コラゲ ン産生 の瓦進 に よ るめか ,分解 の低 下 によ るのか は形態学的 には決定 で きないが

,BLM

と コラゲ ン代謝 との関係 は今 後 に 残 された興 味 あ る問題 で あ ろ う.

ブ レオマ イ シン肺線維症 にお いて注 目 され る所見 は 弾力線維 の形成 で あ る.弾 力線維 は平滑筋細 胞様細胞 に変形 したの胞 隔細 胞 の表 面 に 多 数 の

mi cr of i br i l

と共 に新生 され る. mi

cr of i br i lとェ ラ ス チ ンと の

関係 は現在未解 決 で あ る . 幼 君 弾 力 線 維 は多 量 の

mi cr of i bri lで包 まれ ,弾 力線維 が成熟 す るとと もに

mi crof i br i

lが減少 す るの で

, mi cr of i br i lに エ ラ

スチ ン前駆物 質 が含 まれて い るとす る見解 が あ る3

8 )

しか し. Boui

ssou

ら3

9 )

は生化学 的検 査 か ら弾 力 線 維周囲 の

mi crof i br i lは エ ラスチ ンと もコラゲ ンと

も異 な った糖 タンパ クか ら構成 されてい ることを報告

(6)

21 6

して い る.

著者 の観察 で は,平滑筋細 胞様細胞 の表面 に出現 す る微小 な弾 力線維 が細胞 表面 の無定形物質 の中 に包埋 されて い る像 に遭遇 した .同様 な所見 はニ ワ トリ陸大 動脈 中膜 の平滑筋細 胞 か ら新生 され る弾力線維 にお い て も観察 されて い る

3 5 )

.これ らの所見 か ら細胞表 面 の 無定形物 質 の中 に エ ラスチ ン前駆物 質 が含 まれて い る 可能性 が考 え られ る.

以上 の よ うに コラゲ ン線維 も弾力線維 も胞 隔細胞 及 びそれか ら変化 した平滑筋細 胞様細胞 によ って産生 さ れ ることが示唆 され るが . この

2

っの相異 な る タ ンパ クが それぞれ どの よ うな機構 で合成 ,分泌 され るか に っ いて は不 明 で あ る. コラゲ ン線維 と弾力線維 は同一 の細 胞 か らほ とん ど同時 に形成 され るよ うに み え る . しか し.1個 の細 胞 表面 の あ る部 分 で は コ ラ ゲ ン線 維 .他 の部分 で は弾力線維 の新生 が優勢 で .両種 の線 維 が混在 して形成 され る ことはほ とん どない. この理 由 につ いて は明 らかで はないが , コラゲ ンとェ ラスチ ンの前駆物 質 が 別 々 の 細 胞 内

pa t hwa y

を もつ の か ,又 は分泌 の時期 が異 な るのか ,さ らに.細胞表面 で一方 の線維 の形成 が進行 す ると.他方 の線維 の形成 が抑制 され るのか . さまざまな可能性 が考 え られ る .

これ らの諸 問題 の解 明 は今 後 の研究 にまたなければ な らない .

ブ レオマ イ シ ンの腹腔注射 によ るマ ウスの肺線維症 の発生過程 を電 顕的 に観察 した. ブ レオマ イ シンによ る肺線維症 は主 と して胸膜 ,胸膜下結合組織及 びそれ に近接 す る肺胞 中隔 に発生 した .初期変化 と して これ らの部位 にお け る間質 水 腫が注 目 され た .炎症性反応 は一般 に乏 しく,大 食細 胞 の浸潤 がみ とめ られ たに過 ぎない .水 腫 の消 退 と共 に ,中皮細胞 ,毛細血管及 び 肺胞 の基底膜 が肥厚 し,胞 隔細胞 の増殖 がみ とめ られ た .増 殖 した胞 隔細胞 は始 め は線維芽細胞 に輯似 した 構造 を示 す が ,次第 に平滑 筋細胞様 の細胞 に変形 す る ことが示 唆 され た . これ らの胞 隔細胞 の表面 には基底 膜 様 の無定形物 質 と

mi cr or i br i l

の集積 を伴 って ,コ ラゲ ン線維 と弾 力線維 の新 生 が観察 された .以上 の所 見か ら, ブ レオマ イ シン肺線維症 は問質水腫 に続発 す る胞 隔細 胞 の増殖 によ って形成 され る間質 の

f i br o・

e l a s t os i s

で あ ると結論 され た .

稿を終 るにあたり,御指導 と御校閲を賜りました梶川 欽一郎教授に深謝の意を捧げます.また,終始御親切な 衡助言を頂きました北川正信助教授に心から感謝の意を 表 します.また本研究遂行に瞭 して御協力を頂きました 第‑病理学教室旦各位 ,第三内科教室員各位ならびに電 子顛徽鏡技術員の方々に厚 く御礼申し上げます.

本研究は文部省科学研究費 (課題番号8

3 7 0 0 5 )

の援助

を受 けた .

1 )

森久博司 :米子医誌

.21,1 25( 1970) ・ 2)Fl ei s chman,氏.W. ,Baker ,∫ .R

,Thomps on

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,U.H. ,I l l i e vs ki ,V.

. .Coor ey

,

D.A.and Davi s ,R.I ) .:Thor ax 26,675 ( 1 97

1).

3)

金子 仁 :臨婦産

,25,449( 197

1).

4)

岡村 明治 :目胸 疾 会誌

,

l

l, 270( 1973) ・

5)

大和 田英美 , 香月 秀雄 , 林 鼻 : 肺癌

,1 0

,

170( 1970) .

6)

岩井和郎 ,初鹿野浩 :日病 会誌 .

59.1 31 ( 1 970) .

7)

高頭正長 ,伊 藤康夫 .近藤有 好 ,木下康民 ,岡村 明 治 .菊地 情夫 .山崎雅 司 :日胸

,3

1

,481( 1972) .

8)

近藤有好 ,高 頭正 長 ,荻 聞 勇 ,木下 康 民 .菊 井 邦夫 ,岡村 明治 ,山崎 雅司 .菊地 隔夫 : 日胸

,31

,

111( 1972) .

9)Be dr o s s i an,C.W.M. ,Luna,M.A. ,Mac kay

,

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,L

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功 :十全医会誌

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13) K8r r er ,H.E.:∫ .Bi ophys i c .Bi o c he m.

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15) Doni ach .J

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17) LauWer yn

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(7)

ブ レオ マ イ シン肺線維症 の電 子顕微鏡 的研究

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24) Kapl an.H.P. .Robi ns on,F.a. .Kapa nci , Y.and Wei be l ,E.R.:La b.I nves t . ,20,94 ( 1969) .

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,G.:J .Ce l lBi o

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28) Gabbi ani ,G. ,Hi r s ehe l

,B

.∫ . ,Rya n,G.B. , St a t kov,P.R.and Ma j no.G.:

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.Exp.Me d. , 135,71 9 ( 1972) .

29) Hi r s ehe l

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Me d. , B8,466 ( 197

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30) Ma j i no,G. ,Gabbi an i ,G

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,Hi r s che I

,B

.I . , Ryan, G.a.and St at kov,氏.氏.:Sci e nc e .173, 548 ( 197

1).

31 ) Mos s

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32) Scot t ,氏.F. ,Jones ,氏. ,Daoud,A.S. , 芝umbo,0. ,Coul s t on,F.a nd Thomas ,W.A.

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.Mo

l

.Pa t hH 7,34 ( 1967) .

33)0' She a,∫ .P.:Ana t .Re c り1 67.127 ( 1970) . 34)Ros s ,R.andKl ebanof f ,S.I .:

I

.Ce l lBi o

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29

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37)

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, I14.

217( 1 972) .

38) Wai s man,I .and Car n es

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W.H.:Ame

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∫.Pat hH 51,117 ( 1967) .

39) Boui s s ou,H.a nd Fab一 e ,班.T.:Eu

r.∫.

Bi oc he mり 2

1

,507 ( 197

1).

21 7

写真

1.

対照群 の胸膜

( P

l) 及 び 胸 膜 下 結 合 組 織

( SP).

中皮細 胞

( Me)

直下 に連続性 の弾力板

(El )

が存在 し,′ト器官 の乏 しい胞 隔細胞

( . Se)

が 処 々 で

コラゲ ン線維

束 ( C

l) を取 りまいて い る.

Ca p:

毛 細 血管

,Al:

肺胞腔

×1 0, 80 0

写真

2.

1

4

週 目の肺 線維症 (光顕写真 ). 胸 膜 下 か らそれ に接 す る肺 実質 に及 ぶ結 合組織 の増殖 がみ

られ る.

Pl:

胸膜 .

H,E

染色

×4 Q O

写真

3.

2

6

週 目にみ られ た初期変化 .胸膜

( P

1)及 び胸膜下結 合組 織

( Sp)

にお け る水 腫

(Ed).

中皮細胞

( Me)

は東平化 し,基底膜 (Bl) は非 薄 と な る.

×2 0. 7 0 0

写真

4

.第

2

6

週 目 .毛 細 血管 内皮細 胞

( En)

の 腫 大及 び基底膜 (Bl) の肥厚 が あ り.胞 隔細胞

( Se)

増殖 がみ られ る.

×8, 6 00

写真

5.

1

8

週 目 .断 裂 した弾力板

( E

l)の問 を 通 って大 食細 胞

( Mc)

,胞 隔細胞

( Se)

が胸膜 の水腫 状 問質

( Ed)

に浸潤 .

Me

:申皮細 胞,L :脂肪 滴

×9, 6 0 0

写真

6

.第

2

6

週 目 .増 殖 初期 の胞 隔細 胞

(Se).

小器官 の発達 が 目立 ち脂肪滴 (L)が存在 .細 胞 表 面 は基底膜様 の無定形物 質

( Am)

で被 われて い る . 脂 隔細胞 は大 食細 胞

( Mc)

と接 して い る.

×7, 4 0 0

写真

7.

第 1群

8

過 臥 未分化 な問責細胞

( X)

と胞 隔細胞

( Se)

.胞 隔細 胞 の周 囲 には

mi cr of i br i l( M

f) を伴 って弾 力線維 (El) と コラゲ ン線維 (Cl) が 形 成 .

Me

:中皮細 胞

×1 1, 0 0 0

写真

8.

1

1

週 目 .線維 芽細胞様 の胞 隔細胞

( Se)

.粗 面小 胞体

( r E)

の発 達 が著明

,L

:脂 肪 滴 ,

Ca p:

毛細 血管

×1 8, 5 0 0

写真

9‑ l l.第

1群

8

過 臥 平滑筋細胞 へ の移 行 を 示 す胞 隔細胞

( Se)

. 写真

9

:胞 隔細胞 の拡大 した粗 面小胞体 と細胞 質 の

mi cr of i l ame nt( Ml

)の増 加 . 細胞 の周 囲 は新生 コラゲ ン線 維 (Cl).弾力線維 (El) によ って包埋 され る.

Mf:mi cr of i br i l x1 3, 0 0 0

写真

1 0:

細 胞 中 心 部 か ら

mi cr of i l ame nt( Ml

)の集 束 が増加 .細胞質 に滑 面 小 胞体

( s E)

の増加 がみ ら れ る.

El:

弾力線維

,C1

:コラゲ ン線維

×1 2, 0 0 0

写 真

1 1

:細 胞周辺 には拡大 した粗 面小胞体 ,糸粒体 ,

滑 面小胞体 が集在 す る. 細胞 質 の大 部分 は

mi cr o‑

f i l ame nt( Ml

) で 占 め られ . 処 々

‑ ● dens e body"

が出現 L

myof i l a me nt

の 形 態 に変 わ る.

El:

弾 力 線維

,C

l:コラ ゲ ン線 維

×9, 1 0 0

写真

1 2.

2

4

過 日 .胞 隔細 胞

( Se)

周 閲 の 無 定

(8)

2 1 8

形物質

( Am)

は中皮細 胞

( Me)

の基底膜 (Bl) と連 続 して い る

. ×2 4, 0 0 0

寛1 3.

2

6

週 目 .胞 隔細 胞 (Se)表 面 の 無 定 形物質

( Am)

の中 に

mi c r ムf i br i

lと弾力線 維 (矢 印 )がみ られ る.増加 した弾 力線維 (El) の周囲 に は

mi c r of i br i l( Mf

)が増加 .

×2 0, 0 0 0

写 真

1 4.

1

8

週 目 .胞 隔細 胞

( Se)

の 裏 面 に集 積 す る

mi c r of i br i l( Mf

)内 に コ ラ ゲ ン線 維

( Cl )

が増加 す る.胞 隔細胞 は平滑 筋細 胞 への移行 を 示 す .

Ml:mi c r of i l a me nt x1 4, 4 0 0

写 真

1 5.

2

6

過 臥

mi c r of i br i

lの強 拡 大 . 中 空状 の壁 は最高5個 の粒子 状物 質 か ら構成 され る (矢 印).

×1 2 4, 8 0 0

写 真

1 6.

1

8

週 目 . 肺 胞 問 質 は

mi c r o f i br i l ( Mf

)と共 に新生 された弾力線 維 (El), コラゲ ン線 維

(

cl)で満 た され る

.. Se

:胞 隔細胞

×1 8. 0 0 0

写 真

1 7.

1

8

週 目 .胸膜 下結合組織 .線維成分 の 増加 と胞 隔細胞

( Se )

に接 して弾 力線維 (El)が み ら れ る.

Me:

中皮細 胞 .

Mc:

大 食細胞 .

Cl

: コ ラ ゲ ン線維 ,

×1 2. 0 0 0

Abstract

El e c t r on mi cr os copi cobs er va t i onwas made on t he de vel opme nt of pul monar y 凸br os i sofmi c ef ol l owi ngi nt r a per i t one ali nj e ct i on ofBl e omyci n.Pul monar y l e s i ons wer el ar gel yl oc a t e da tt hes ubpl eur aland adj a c e nti nt er al veol ar conne ct i ve t i s s ue.

Thepr omi ne ntf e at ur ei nt hei ni t i als t agewasi nt er s t i t i ale de ma wi t houtr e mar ka bl e i naa mma t or yr e s pons e . I nt er s t i t i ale de mawasf ol l owedbyt hi c ke ni ngoft heba s al l a‑

mi naofme s ot hel i alc el l s ,bl oodc a pi l l ar i esandal veol i ,a ndbypr ol i f er a t i onofs ept al c el l s .Thepr ol i f er a t e ds e pt alc el l ss howe di ni t i al l yf ibr obl as t ‑ l i kes t r uc t ur e .a ndwere gr a dual l yt r a ns f or me di nt os moot hmus cl e‑ l i kec el l s .

Concomi t antwi t h t he c el l ul ar t r ans f or ma t i on a mor phous ma t er i al s a nd mi cr o‑

f

ibr i l swer ea c cumul a t e dont hec el ls ur f a c e.ands ubs eque nt l yt he s es ubs t anc e s wer e r e pl a c e d by ne wl y f or me d c ol l agen a nd el as t i c Rber s .

Fr om t he s ef indi ngsi ti s c oncl ude d t hatpul monar y l es i on f ol l owi ng Bl e omyc i n

i nj e c t i on i s i nt er s t i t i alBbr oel a s t os i s pr oduc e d by s e pt alc el l s whi c h ar e s ubj e c t

t o be t r a ns f or me d i nt o s moot h mus cl e‑ l i ke c el l s .

(9)
(10)

(11)

ブ レオ マイ シン肺線維症 の電子顕微鏡的研究

2 2 1

(12)

2 2 2

(13)

ブ レオマイ シ ン肺線維 症の電子顕微鏡 的研究 223

(14)

2 2 4

(15)
(16)

2 2 6

参照

関連したドキュメント

Zlehen(ユ934)57>の記載を参考して,両原形質突起閥

本研究は、tightjunctionの存在によって物質の透過が主として経細胞ルー

しかしながら生細胞内ではDNAがたえず慢然と合成

の多くの場合に腺腫を認め組織学的にはエオヂ ン嗜好性細胞よりなることが多い.叉性機能減

に時には少量に,容れてみる.白.血球は血小板

 肺臓は呼吸運動に関与する重要な臓器であるにも拘

MIP-1 α /CCL3-expressing basophil-lineage cells drive the leukemic hematopoiesis of chronic myeloid leukemia in mice.. Matsushita T, Le Huu D, Kobayashi T, Hamaguchi

 Schwann氏細胞は軸索を囲む長管状を呈し,内部 に管状の髄鞘を含み,Ranvier氏絞輪部では多数の指