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博 士 ( 理 学 ) 大 貫

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 理 学 ) 大 貫    圭

     学 位 論 文 題 名

Asymmetric Total Synthesis of 工 ngenol      ( イ ン ゲ ノ ー ル の 不 斉 全 合 成 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  イン ゲノ ール はト ウダ イグ サ科の植物から単離されたジテルペンであり、その 誘導体 が 発癌 プロ モー ター 作用 、抗 白血 病作 用、 およ び 抗HIV活性などの生理活性を示 すこと から広く注目されるとと もに、四環性炭素骨格に極めてユニークなinside‑outside構造を 含 むこ とか ら多 くの 有機 合成 化学者の関心を集めてきた。これに対し東京工業大 学の桑 嶋 らは 、下 式に 示す 独自 の「 連続的環化/転位反応」によるインゲナン骨格の効 率的な 構築法を開発している。

  イン ゲノ ール の全 合成 を達 成す るためには、高度に歪んだインゲナン骨 格の構築とと も に、 数多 くの 酸素 官能 基を い かに してAB環 部に 高立 体選 択的 に導 入す るか が最 重要 課 題と なる 。本 研究 では 、エ ポキ シアルコールの転位反応を利用する新た なインゲナン 骨 格構 築法 を開 発す ると とも に 、A環お よびB環の 双方 に酸 素官 能基 を有 する 鍵中 間体 を 設計 し、 さら にAB環部 への 官 能基 の立 体選 択的 導入 を経 由す るイ ンゲ ノー ルの 全合 成 ルー トを 立案 した 。

  まず 、市 販の2,2ージ メト キシ シク ロヘ キサ ノー ル1か ら15工程を経て 合成したデカ リ ノ ー ル 誘 導 体2の 分 子 内 環 化 反応 によ り三 環性 アリ ルア ルコ ール3を得 た。3か ら数 工 程 を 経 て エ ポ キ シ ア ル コ ー ル4へ 変換 後、 転位 反応 に付 しA環 およ びB環に 各カ 酸素 官 能基 を有 する 鍵中 間体5の 構 築に 成功 した 。

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  引き続き、A環およぴB環部への官能基導入を行った。5からA環上に19位メチル基 およびCl‑C2二重結合を導入した後、ケトン6ヘ変換した。このものを塩基で処理した ところ、メタノールのB脱離に続いて二重結合の異性化が起こルエノン7が得られた。次 いで、7の6位のケトン部位を立体選択的に還元後、水酸基を保護して得たジェン8に 四酸化オスミウムを作用させたところ、2つのオレフイン部位が一挙に酸化され、テト ラオール9が立体選択的に得られた。

7

OllPS

8 ´oTES

O

9

  続いて、3,4およぴ5位の水酸基を選択的に保護した後、3級アルコールの脱水反応 を行いA環部に二重結合を導入した。さらに、アセタール保護基の除去および位置選択 的酸化反応により合成したケトール10に臭素を導入後、エポキシ.ド11へと変換した。

最後に、ブロモエポキシドの還元的開裂反応により三置換アリルアルコール部を構築し、

脱保護を行ってイングノールヘ導いた。

9

SOCI2 pyridine

  一方、リパーゼを用いたラセミ体エステル12の速度論的分割により得られた光学活性 中間体(+)‑13をラセミ体インゲノールの全合成スキームに従い光学活性インゲノールヘ     −1311

(3)

と導き、不斉全合成を達成した。

0V丶丶c

OMe

Br        Iipase PS OTES phosphatebuffer

   12 racemic form

聡/ヽc

OMe

Br    十 OTES

(‑)‑12 50% (94% ee)

132

―二ニーnat‑lngenol

(4)

学位論文 審査の要旨 主査

副査 副査 副査 副査

教 授    宮 教 授    辻 教 授    澤 教 授    鈴 助教授   谷

下 正 昭      孝 村 正 也 木 孝 紀 野 圭 持

     学位論文題名

Asymmetric Total Synthesis of Ingenol      ( イ ン ゲ ノ ー ル の 不 斉 全 合 成 )

   インゲノールはトウダイグサ科の植物から単離されたジテルペンであり、その誘導体 が発癌プ口モーター作用,抗自血病作用および抗HIV などの生理活性を示すことから 内外から非常に注目されている化合物である。このように特異な生物活性に加え,構造 的にも極めてユニークなinside‑outside 構造を含む高度に歪んだ四環性の炭素骨格を有 し て い る こ と か ら 多 く の 有 機 合 成 化 学 者 の 関 心 を 集 め て き た 。    申請者は,アセチレンジコバルト錯体の特性を利用した全く新しい7 員環構築法なら びにエポキシアルコールの転位反応を利用する独創的なインゲナン骨格構築法を立案 し,世界で二番目となるインゲノールのラセミ体合成を達成した。また,リパーゼの速 度論的光学分割により得られた光学活性中間体を用いて内外で最初となるインゲノール の不斉全合成に成功した。

   これらの成果は有機合成化学,天然物化学のみならず薬理学や医薬品化学に大きく貢 献するもので,内外から非常に高い評価を得ている。

   よって著者は、北海道大学博士(理学)の学位を授与される資格あるものと認める。

参照

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