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Alcadein の細胞内輸送を制御する

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Academic year: 2021

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博士(生命科学)佐久間めぐみ

学 位 論 文 題 名

Alcadein の細胞内輸送を制御する

ア ダ プ タ ー タ ン パ ク 質 XllL お よ び KLC の機 能 解 析 学位論文内容の要旨

Alcadein (Alc)はX11Lと結合するタンパク質として、当研究室で単離・同定された―回膜貫通型タンパク質である。Alc はこれまでに2段階の切断を受け、細胞外、細胞内に切断産物を放出すること、その細胞質領域とアダプタ―タンパク質 との結 合依存 的な機 能とし て、X11Lと の結合 よりAlcお よび複 合体を 形成するAPPの輸送、切断が制御されうること、

KLCとの結合より、kinesin一Iモータ―を活性化し、小胞輸送を積極的に制御していることが明らかとなっている。しかしな がら、Alcの詳細 な分子 メカニ ズムや 個々の 性質の 関連性については未だ解明されていない点が多く残されている。本 研究で は、Alcの 機能お よび制 御に重 要な役 割を担 ってい ると考 えられる これらの結合タンパク質X11LとKLCに焦点を あて新たな知見を得たのでここに報告する。

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ア ルツ ハ イ マ 一病 原 因 因 子の ― っ と され るApの前 駆 体 タ ンパ ク質APPおよびAlcはとも に細胞 質領域 にあるNP配列 を介し て、XllLのPTBドメインと結合する。一般的に競合すると考えられるこれらのタンパク質であるが、これまでの加 wvoにお いてAPP,X11L,Alcが 複合体 を形成す ること が明ら かとさ れてお り、ま た培養 細胞系 ではX11Lの解離により APPとAlcの 輸送お よび代 謝が協 調的に 制御され る可能 性が示 唆され ており 、これらの複合体の詳細な分子メカニズム を 解明 す る こ とは 興 味 深 い。APP/X11L/Alcの複 合体形 成モデ ルとし て APP、Alcがそれ ぞれXllLと 結合し 、X11L同 士 ある い は 内 在性 タ ン パ ク質 の 結 合 を介し て複合 体を形成 する@APP、Alcが1つのXllL PTBドメイ ンに結 合し、 複 合体を 形成す るいう 可能性 を考え 、以下 に検証 した。

1―1  X11L金 壬聞鑓 盒Q捻証

X11Lは 中 央部 にPTBド メイ ン 、C末 に2つ のPDZド メ イ ン を有 す る細胞 質タン パク質 である 。X11Lフん ミリー 分子の 最C末部 分が自 身のPDZ1ドメイ ンに結合 するこ とが報 告され ている 。この ことか ら、複 数のX11L存 在下においては分 ヱ内結 合だけ ではな く、分 子間結 合も起 こりう るのでは ないか と考え 、X11Lの 各部位の欠失体を用いてXllL同士の結 合を共 役免疫 沈降法 により 検証し た。そ の結果 、X11L WTは異 なるタ グを付 加したXllL WTと結合すること、その結合 にはXllLはPDZドメ インを 含むC末 側が必 要であ ること を明らか とした 。

1‑2 APP‑X1】 ヒAlc三量 儘形成 の検証

  X11L同 士 の 分 子間 結 合 が 消失 す る 欠 失体X11L N+PTBで のAPP―XllL―Alc複合 体形成 の可能 性を検証 した。 その 結果、X11L WT存在下と同様に、X11L N+PTBにおいてもAPP一X11L一Alc複合体を形成しうることを明らかとした。このこ とから 、APP,Alcが1分子 のX11Lと三 量体を 形成す る可能 性が示 唆され た。

X11L PTBドメ イン内 におけ るAPP,Alcの結合 様式が異 なる可 能性を 考え、PTBドメイ ン内に おける 欠失体、および変     ―1351−

(2)

異 体を 用 いて 結合 を検 証し た 。そ の結 果、APPの結 合に 必 要なPTBドメ イン 内のps,a2部位 はAlcと の結 合には必須 ではな いことを明らかとした。こ のことから、APPとAlcはPTBドメイン内で異なる部位を介して結合するため、競合しな いこと が示唆された。

PTBド メ イ ン と の 結 合 がXllLの 他 の 領 域 か ら 及 ぼ さ れ る 影 響 がAPPとAlcで 異 な る か を 検 証 し た 。 そ の 結 果 、 APP−X11Lにお い てはN末領 域 が安 定な 結合 に 必須 であ り、C末部位が あることでその結合は弱まる ことを確認した。

ー 方、Alc一X11Lの結 合に はPTBドメインが 含まれていればほぼ同様の 結合の強さを示すことがわか った。これらのこ と か ら 、APPと Alcで は 結 合 様 式 が 異 な る た め 他 の 領 域 に よ る 影 響 も 異 な る こ と が 示 唆 さ れ た 。 これら の結果よルモデル@、@と もに起こりうることが考えら れ、APPとAlcがXllLを介し 互いに影響を与えうる距離で 複 合体 を 形成 する こと でXllLの解離シグナ ルによりこれらのタンパク 質が協調的に制御されうるこ とが示唆された。

護嚢毒襲鋤羃K鸞1ぬ 鑛鸞妻.鷦薦制御饗繊鹹韆 燕

KLCはKHCと 結合 するcoiled−coilドメイン、Alcと結合するTPRドメインによ り成り立っている。KLCは主 に神経系に発 現す るKLC1とユ ビキ タス な 発現 のKLC2か らな り 、TPRド メイ ンよ りC末側 の相 同性が低い。kinesin−Iモ―ターは2分 子のKHCおよ び2分子 のKLCに より 構 成さ れて おり 、微 小 管上 の順 行方 向ヘ カ ーゴ (小 胞) を 輸送 する 。Alcはこれま でにKLCと結合する ことで、不活性状態であったkinesin―Iモータ―を活性 化することで小胞輸送を積極的に制御してい ることが明らかとな っている。小胞輸送におい て、カーゴ(Alc)とモータ‑(KLC)の結合、解離はそれらの分子の局在だけ ではなく、カ―ゴ内 に含まれる膜タンパク質や 分泌タンパク質の輸送、局在 に影響を与えるため、これらの制御機構を解 明 す る こ と は 重 要 で あ る 。 そ こ で 、AlcとKLCの 結 合 、 解 離 が ど の よ う に 制 御 さ れ う る か を 以 下 に 検 証 し た 。 ニ―1リン酸化によ るAlcーKLC結合、解離劃御(Dto正

これまでにカ―ゴと モーターの結合、解離がり ン酸化により制御されるとい う報告が複数あることからAlcとKLCの結合、

解離 が りン 酸化 によ り制 御 され る可 能性 を検 証 した 。HEK293T細 胞にAlc,KLC1あるいはKLC2を共発現 させ、okadaic acidによルリン酸化 レペルを上昇させることで 、AlcとKLC1,KLC2との結合を共役免疫沈降法により検証した。その結果、

Alc―KLC2の結合がokadaic acid処理により減弱 すること、また、この条件下 ではAlc―KLC1の結合には変 化がないこと が明らかとなった。

AlcーKLC2の りン 酸 化に よる 解離 が どち らの タン パク 質 に依 存し てい るか を 検証するため、HEK293T細 胞にAlc,KLC2 を別 々に発現させ、 それぞれにokadaic acid処理 を行い、各細胞抽出液を混 合し、結合を検出した。その 結果、KLC2の りン 酸 化依 存的 にAlcと の結 合は 減 弱し た。 またKLC2を発現させた細胞の膜 画分をATPとともにインキュ ベートするこ とで 内 在性 のり ン酸 化酵 素 の活性化が起こり、KLC2がりン酸化され、その結 果、Alcとの結合が減弱し、APPaseにより 脱リ ン 酸化 処理 をす るこ と でAlcとの結合が顕著 に増大した。KLC1において はokadaic acid処理および脱 リン酸化処理 によるAlcとの結合 、解離に変化は見られなかっ た。

っ‑2リン酸化依存的 なAlcとの結盒童!ヒ!三応 筌主壷KLC領域の検証

KLC2の り ン 酸 化 依 存 的 なAlcと の 結 合 変 化 に 必 要 な 領 域 を 検 証 し た結 果、TPRドメ イン より もC末側 のKLC1,KLC2 とで 相 同性 の低 い部 位で あ ることがわかった。KLC1はC末部位の異なる数多 くのsplicing variantが存在 するためこれ らのKLClvariantを クロ―ニングしAlcとの結合 を検証した結果、C末部位の アミノ酸配列中のりン酸化されうるSer,Thr の 数 が 多 い も の はKLC2と 同 様 にokadaic acidに よ りAlcと の 結 合 が 解 離 す る こ と を 見 出 し た 。   こ れ らの 結果 からKLCのC末部 位の りン 酸化 状 態が 上昇 する こ とでAlcと 解 離すること、っまり、小胞 輸送の停止が KLCのりン酸化によ り制御されうることが示唆さ れた。

    −1352ー

(3)

  APP/X11 L/Alcの複合体は主にゴルジ体において観察され、小胞輸送中でこれらの3分子が共局在する割合は非常 に低いことがわかっている。このことから、AlcはkinesinーIモ―タ―による小胞輸送の前段階でX11LおよびAPPとの複 合体により輸送、代謝を制御され、その後、KLC1あるいはKLC2を含むモーターの選択によりAlcの担う小胞輸送の多 様性が生み出されている可能性が考えられた。

1353

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Alcadein の細胞内輸送を制御する

ア ダ プ タ ー タ ン パ ク 質 XllL お よ び KLC の 機 能 解 析

  Alcadein (Alcは、 家族 性アル ツハイ マー病 (AD) の原因 遺伝子 産物 であるAPPと 同様の 構造、 分布 、 機能 を持 つI型 膜夕 ンパク 質であ る。神 経細胞 では 神経特 異的ア ダプタ ータ ンバク 質Xn・丗 【e岱11L)を 介 し て 複 合 体 を 形 成 し 、XnLが 解 離 す る とAlcとAPPは 協調 的 な 代 謝 を受 け る 。 し かし な が ら 、Alc と 心 )Pが 複 合体 を形 成して いる詳 細な仕 組みやA1cが細胞 内を小 胞輸送 される 分子 機構は 未解明 であっ た 。 本 論 文 の 前 半 で は 、AlcとAPPがXnLを 介 し て 複 合 体 を 形 成 す る 分 子 機 構 を 解 明 し た 。APPと AlcはXnLのphosm蜘rosirleiIYteractionアTB)ド メ イ ン と 相互 作 用 す る 。著 者 は 、1つのPIヽBドメ イ ン に2つ の 膜夕 ン バ ク 質 が同 時 に 結 合 でき る こ と を 実 証し 、 こ れ ま で、1つ の 朋Bド メ イ ン は1つ の タ ン バ ク質 を 結 合 す ると い う 常 識 を覆 す新た な事例 を示 した。 本論文 の後半 では、Alc(特に3種 のAlc の う ちAlcd)の 細胞質 ドメ イン結 合夕ン バク質 であ るキネ シン軽 鎖(KLc)に 着目 し、Alcの細 胞内小 胞 輸 送 に お け るKLCとA1cの 結 合 制 御 機 構 の 解 析 を 行 っ た 。 複 合体 か ら 解 離 したAlcとAPPは 独 立し た 小胞 でキ ネシン ・1モータ ーによ り小胞 輸送さ れる ことが判明してしゝたが、その結合制御機構および幻℃

分 子 種 の役 割 は 未 解 明で あ っ た 。 キ ネシ ン .1は 、2つ の 重 鎖QくHの と2つ の 軽 鎖QmC) からな る4量体 で あ る 。A1cはKLCフ ァ ミ リ ー のKLC1お よ びKLC2と 結 合 す る が 、 著 者 は 結 合 制 御 機 構 がKLC1と KLC2で は 異 な る こ と を 見 い だ し 、KLC2とAlcの 結 合で は 、KLC2の り ン 酸 化がAlcを解 離 す る こ と を 見 い だ した 。 さら に多様 なKL( 沱の欠 失変異 体を作 成し、Akとの 結合に 必要な 領域 の同定 と結合 制御に 関 わ る りン 酸 化 サ イ トの 絞 り 込 み を 行い 、KLC1とKLC2のAlcへの 結 合 制 御 機構 の 違い を明確 にした 。 さ ら に 、KLC1とKLC2のA1cへ の 結 合 解 離機 構 の 違 い と 幻℃ 分 子 種 の 発現 ・ 分 布 様 式の 違 い か ら 、神 経 細 胞 の 軸 索 のよ う な 長 距 離の 順 行 輸 送 に はKLC1が機 能 し 、 細 胞体 の 短 距 離 小胞 輸 送 で はKLC2が 機 能す ると いう新 たな仮 説を提 示した 。

  本 論 文 の 成 果 は 、 (1)AlcとAPPが 細 胞 質XnLを 介 し て 複 合 体を 形 成 す る 分 子機 構 を 解 明 し、nB ド メ イ ンが 同 時に 複数の タンパ ク質を 結合 できる 新しい 事実を 見い だした 。また 、(2)Alcとキ ネシン モ ー タ ーと の 結 合 解 離機 構 が タ ン パク 質のり ン酸化 であ ること を実証 し、同 じKLCファ ミルー 扮子間 で も結 合解 離の制 御機構 が異な ること を初 めて示 した。 神経変 陸庚 患の原 因として、軸索の長距離小胞輸送 の 変 調 が考 え られ ており 、本研 究は代 表的 な神経 変陸疾 患であ るADの 発症原 因解明 と新 たな治 療法の 開 発 に 貢 献 す る も の で 、 薬 学 領 域 の 博 士 号 に 相 当 す る き わ め て 先 進 的 な 研 究 で あ る 。   こ れは、 要する に、著 者は アルツ ハイマ ー病(AD冫に 関連す る膜夕 ンパク質の輸送制御機構の分子メカ

1354

治 芳

雄 融

利 寛

木 賀

原 本

鈴 有

木 山

授 授

授 授

   

   

教 教

教 准

査 査

査 査

主 副

副 副

(5)

二ズムを解明し、新たな知見を見いだしたもので、ADをはじめとする神経変陸疾患の発症機構の解明と 新たな創薬夕ーゲットの創出に貢献するところ大なるものがある。

  よって著者は、北海道大学 博士(生衙泙糊の学位を括 を与される資格カゞあるものと認める。

参照

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