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自動車用大型ディーゼル機関の

高過給化と高圧縮比化による熱効率向上

学籍番号 : 12802205

氏名 : 橋本 宗昌

(2)
(3)

目次

第 1 章 序論

1.1 背景 ... 1

1.2 排出ガス規制動向 ... 2

1.3 燃費規制動向 ... 3

1.4 ディーゼル機関の技術動向 ... 4

1.4.1 ダウンスピーディング ... 4

1.4.2 過給システム動向 ... 5

1.4.3 可変動弁システム ... 5

1.4.4 燃料噴射システム動向... 6

1.4.5 燃焼技術動向 ... 7

1.4.6 後処理動向 ... 8

1.4.7 燃料の低硫黄化 ... 8

1.5 本論文の位置づけ... 9

1.6 本論文の目的 ... 9

1.7 本論文の構成 ... 10

第 2 章 二段過給による低速域の高トルク化と燃料消費率の同時改善 2.1 まえがき ... 30

2.2 エンジンの構成 ... 30

2.3 過給システムの変更による効果の検討... 31

2.3.1 低速域の状態量変化 ... 32

2.3.2 低速トルクの向上 ... 33

2.3.3 中・高速域の過給... 34

2.3.4 過給機の組合せによる過渡特性の変化... 35

2.4 低速域の定常試験結果 ... 36

2.5 まとめ ... 36

i

(4)

第 3 章 二段過給システムにおける低圧ループ EGR の効果

3.1 まえがき ... 48

3.2 エンジンの構成 ... 48

3.3 シミュレーション ... 49

3.3.1 シミュレーションとモデルの構成 ... 49

3.3.2 HP-EGR と LP-EGR の役割と HP-EGR 比率 ... 49

3.3.3 低速域の場合 ... 50

3.3.4 中速域の場合 ... 51

3.4 実験 ... 51

3.4.1 計測設備 ... 51

3.4.2 供試燃料と潤滑油... 52

3.4.3 LP-EGR の効果 ... 52

3.5 まとめ ... 54

第 4 章 広い機関速度域の高過給化と高圧縮比化の組合せ効果 4.1 まえがき ... 66

4.2 エンジンの構成 ... 66

4.3 実用走行燃費の改善の方策... 67

4.4 シミュレーション... 67

4.4.1 シミュレーションとモデルの構成 ... 67

4.4.2 過給ストラテジの比較 ... 67

4.4.3 過給機の組合せによる過渡特性の変化... 69

4.4.4 二段過給における HP-EGR と LP-EGR の効果 ... 70

4.4.5 高圧縮比化 ... 72

4.5 実験... 72

4.6 まとめ ... 73

ii

(5)

第 5 章 さらなる高圧縮比化と吸気弁遅閉じの適用と燃焼室形状の検討

5.1 まえがき ... 87

5.2 エンジンの構成 ... 87

5.3 幾何学的圧縮比の増大と有効圧縮比低減の効果 ... 87

5.3.1 幾何学的圧縮比の増大効果 ... 87

5.3.2 有効圧縮比の低減効果 ... 88

5.4 熱効率と排出ガスを改善する燃焼室形状の検討 ... 90

5.4.1 現状の問題点抽出 ... 90

5.4.2 燃焼室形状の予備検討 ... 91

5.4.3 供試エンジンへの適用・詳細検討 ... 92

5.5 燃焼室の確認実験 ... 93

5.6 まとめ ... 94

第 6 章 結論 6.1 本研究の概要... 122

6.2 二段過給による低速域の高トルク化と燃料消費率の同時改善 ... 122

6.3 二段過給システムの低圧ループ EGR の効果 ... 123

6.4 広い機関速度域の高過給化と高圧縮比の組合せ効果... 124

6.5 さらなる高圧縮比化と吸気弁遅閉じの適用と燃焼室形状の検討. 124 6.6 結言 ... 125

iii

(6)

記号・略語の説明

λ :空気過剰率 πt :タービン圧力比

ηv :体積効率 (%)

A/F :空燃比(空気質量流量/燃料質量流量)

BMEP :正味平均有効圧 (MPa)

BSCO :正味CO排出率 (g/kWh)

BSFC :正味燃料消費率 (g/kWh)

BSNOx :正味NOx排出率 (g/kWh)

BSTHC :正味HC排出率 (g/kWh)

C/R :幾何学的圧縮比

C/Reff :有効圧縮比

CA :クランク角度

CBPV :高圧段コンプレッサバイパスバルブ

DOC :ディーゼル酸化触媒

DPF :ディーゼルパティキュレートフィルタ

EGR :排気ガス再循環

EVO :排気弁開弁時期 (degCA)

FMEP :摩擦損失平均有効圧 (MPa)

HP-EGR :高圧ループEGR

HP-T/C :高圧段過給機

HP-VGT :高圧段VGT

HP/(HP+LP) :HP-EGR比率

HPC :高圧段コンプレッサ

HPT :高圧段タービン

I/C :インタクーラ

IMEP :図示平均有効圧 (MPa)

IVC :吸気弁閉弁時期 (degCA)

LNT :リーンNOxトラップ

iv

(7)

LP-EGR :低圧ループEGR

LP-T/C :低圧段過給機

LP-VGT :低圧段VGT

LPC :低圧段コンプレッサ

LPT :低圧段タービン

Ne :機関速度 (rpm)

Nhpt :高圧段過給機回転速度 (rpm)

Nlpt :低圧段過給機回転速度 (rpm)

Nt :過給機回転速度 (rpm)

O2in :吸気酸素濃度 (mol%)

Pb :過給圧 (kPa)

Pcyl :筒内圧 (MPa)

Pexm :排気マニホールド圧 (kPa)

Pmax :最高筒内圧 (MPa)

PMEP :ポンプ損失平均有効圧 (MPa)

q :噴射量 (mm3/st)

Regr :EGR率 (%)

Rfc :燃料消費割合

ROHR :熱発生率 (J/deg)

Rwhpc :高圧段過給仕事割合

SOC :燃焼開始時期 (degCA)

SOI :噴射開始時期 (degCA)

TBPV :高圧段タービンバイパスバルブ

Tcyl :筒内温度 (K)

TDC :上死点

VGT :可変容量式タービン

Whpc :高圧段過給仕事 (W)

Wlpc :低圧段過給仕事 (W)

v

(8)

vi

(9)

第 1 章 序論

1.1 背景

ディーゼル機関は,ガソリン機関に比べて熱効率に優れ,二酸化炭素(CO2;Carbon di-Oxidant)の排出は少ないことから高く評価がなされ,現在自動車用機関として多 く使用されている.

国内においては,1950年代の高度経済成長期から1970年代にかけて,急激に道 路整備と自動車普及がすすみ,輸送機関も自動車の分担率が高まってきた.図1.1 はトンキロベースのシェアである.トンキロベースとは,輸送量の指標で,輸送重 量・人数に輸送距離を乗じたものである.現在では,貨物輸送のうち,半分以上を 自動車が支えている.距離別でみても図1.2に示すように750 km未満に示す自動 車のシェアは高く,特に100 km未満については,90 %超のシェアを占める.これ は自動車以外の鉄道などの公共交通機関にはない小口多頻度の輸送や24時間対応 のニーズに対応可能であることが一因とされている[1].これらの貨物自動車には,

図1.3のようにディーゼル機関が多く用いられている[2].これは,前述のガソリン 機関に比べて,熱効率の面で優れるという理由だけでなく,1973年のオイルショ ック以降に,ガソリンと軽油の価格差が広がり,輸送にかかる経費節減のために,

ガソリン機関から軽油のディーゼル機関へと移行したと考えられている.

CO2排出が少ないとされるディーゼル機関であるが,酸性雨や光化学オキシダン トの原因とされる窒素酸化物(NOx;Nitrogen Oxides)と,ディーゼル車の排出ガ ス中に含まれる浮遊粒子状物質の発がん危険性は,ガソリン車の排出ガスよりも高 いことが指摘されている.この粒子状物質(PM;Particulate Matter)についても,

車両からの排出量の約90 %がトラックからの排出であるとされている.このよう にディーゼル機関は,CO2排出を抑制しつつNOxやPMの低減が必要である.

また,有限資源である石油の有効利用という側面では,現在のところ,図1.4に 示すように石油の生産量の減少は認められず安定供給がなされている[4].しかしな がら,石油の消費量は石油の生産量の増加に比べて年々増加していて,図1.5に消 費量の内訳を示す.先進国(OECD)の石油消費量はほぼ横ばいであるが,新興国

(non-OECD)の消費量が年々増加している[4].将来的には枯渇すると考えられてい

1

(10)

るため,燃料の確保とエンジンの燃料消費率の低減が必要である.

特に積載状態の車両重量が重く,1台当たりの石油消費が多い大型商用車におい ては,温暖化ガスであるCO2の低減,即ち燃料消費率の低減が特に望まれる.

このように現在の商用車に多く使用されているディーゼル機関の課題は,健康被 害をもたらす排出ガスの低減と,高効率化により,いかに少ない燃料で長距離を走 り,地球温暖化ガスCO2の排出量を低減させるかということである.

この章では,まず,排出ガス規制の動向と燃費規制と世界各国のディーゼル機関 の技術動向について述べる.

1.2 排出ガス規制動向

まず先進国においては,大きく日本,ヨーロッパ,アメリカで異なる排出ガス規 制を用いている.開発途上国や新興国においては,ヨーロッパの従来規制を用いて いる国が多い.このため,ここでは日欧米の3.5 t超の商用車のNOxとPM規制値 を図1.6,図1.7に示す.

まず,ヨーロッパにおいては,2000年からEURO III,2006年からEURO IV,2008

年からEURO V,2014年からEURO VIと,徐々にNOx,PMの排出率の規制を強

化している.

アメリカにおいても,車両総重量8500 lbs(約3.855 t)超の車両については,2004 年,2007年,2010年に,PM,NOxとも規制を強化している.

国内においても3.5 t超のトラックは1993年「自動車NOx法」とし大都市圏で車 種規制が導入され,1994年短期規制,1998年長期規制,2003年新短期規制,2005 年新長期規制,2009年ポスト新長期規制と,短期間で次々と厳しい規制が導入さ れてきた.

国内のNOx規制に関しては,ヨーロッパ圏よりも厳しい規制がなされてきたが,

PMに関しては新長期規制以前はヨーロッパより規制値が高かった.現行規制では 世界でもっとも厳しい規制値となっている.今後2016年に予定されているポスト ポスト新長期規制では,NOx =0.4 g/kWh,PM =0.01 g/kWhとなり,一層のNOxと PMの低減が必要である.

現在は,日米欧それぞれ試験モードが異なるが,世界統一基準GTR(Global

2

(11)

Technical Regulation)に排出ガス基準も含まれており, 2016年以降は重量車排出 ガス規制でも,世界統一の試験サイクルが採用される.

これらの厳しさを増す排出ガス規制に対して,過給システムや高圧燃料噴射シス テム,後処理システムなどの技術開発が進められている.

1.3 燃費規制動向

地球温暖化の原因となっている温室効果ガスの一つであるCO2の排出量に関し ては,国際社会全体で取り組む必要がある.

1997年の京都議定書の目標達成計画では,経済産業省の資料によれば,日本にお ける運輸部門のCO2削減対策目標値5490万tのうち4040万tが自動車であり,そ のうちの63 %にあたる2540万tが自動車単体の対策である.クリーン自動車の普 及を含むが,ほとんどは自動車単体の燃費改善によるところとなっている.

乗用車の燃費規制は,米国では,乗用車および,ライトトラック(車両総重量8500 lbs=約3.9 t)を対象に企業平均燃費(Corporate Average Fuel Economy)の基準値;

CAFÉ基準値を規定している.CAFÉ基準値は,運輸省道路交通安全局(National

Highway Traffic Safety AdministrationNHTSA)により毎年見直される.

欧州では,自動車製造業界団体が乗用車燃費の自主規制を行っている.欧州自工 会(ACEA)の発表によると,表のようになっている.

日本国内では,シャシダイナモ上で,排出ガス計測を実施し,その時のCO2,CO, THCの排出量から燃料消費量を算出する「カーボンバランス法」を用いて算出す る.評価モードは,従来図1.8の10・15モードが採用されていたが,2015年度燃 費基準値の測定方法は,図1.9のJC08モードに変更される[4]

一方,重量車については,海外において燃費規制を導入している事例がない.国 内の燃費規制動向としては,2007年7月に2015年度における燃費の目標値が設定 された(表1.1~表1.4)[4].日本においては段階的に規制が強化されると考えられ る.重量車は架装により車両バリエーションが多岐にわたるため、それぞれの燃料 消費量を計測することは,困難で燃費基準の設定が困難とされてきた.このため,

各運転条件での燃料消費量を計測し,車両種類と車両総重量によって区分けされた 代表車両諸元を用いたシミュレーションにより算出する方法により燃費基準の設

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(12)

定が可能とした[5][6]

燃費シミュレーションの走行モードとしては,渋滞路と高速走行路を模した都市 内走行モードと,重量車の走行量の多い高速道路である東名高速の往復を模した都 市間走行モードの2モードをシミュレーションする.都市内走行モードは,従来排 出ガス計測にも用いられてきたJE05モードであり,図1.10のような1830 secのモ ードである.また都市間走行モードは,3100 secの間,80 km/h一定で勾配の変化 が与えられる.

車両の区分によって,表1.5のようにそれぞれ2つの走行モードの比率が異なっ ており,それを用いて,複合走行モードの燃費を算出する.

燃費シミュレーションは,機関速度とトルクにおける燃料消費量を示す燃費マッ プと代表車両諸元,変速機の諸元(段数,各段の減速比,最終減速比),タイヤ諸 元などを用いて,走行燃費(km/L)を求める.

環境省の資料によれば,「これにより,自動車メーカは2015年度以降の各年度 に国内出荷するディーゼル重量車について,各区分の出荷車両の加重調和平均燃費 が目標値を達成することが求められている.この2015年度の目標値を達成した場 合,ディーゼル重量車は2002年度比で約12 %の燃費改善になる」[7]

1.4 ディーゼル機関の技術動向

このように世界的に厳しさを増す排出ガス規制と燃費規制に対して,自動車各社 で様々な取り組みが行われている.ここでは,学会などで報告されている過給シス テム技術,噴射システム技術,燃焼技術などの技術動向についてまとめる.

1.4.1 ダウンスピーディング

エンジン単体でのCO2の低減手法としては,摩擦損失の低減が手法として取り入 れられる.摩擦損失は,機関速度が高くなると増加する傾向があり,より摩擦損失 の少ない低速域での運転とすることで,高効率な運転となる.更に,多段変速機な どを用いて低速で相対的に摩擦損失が小さくなる高負荷域で高効率な運転を行っ ている[8]

4

(13)

1.4.2 過給システム動向

過給システムは従来の固定翼を用いたコンベンショナルターボや,高い流量域の 排気ガスの一部をバイパスするウェストゲートを用いたターボなどが用いられて きた.

広い機関速度域で使用する場合,広い排気ガス流量範囲が必要となるため,図1.11 のようなタービン欲の出口面積を変化させて広い流量域での使用が可能な可変容 量式のターボ(VGT;Variable Geometry Turbine) が用いられている[9].VGTは可変 機構を採用するために,ノズルとハウジング部の空隙を確保する必要があり,低流 量域では,空隙から排気ガスが漏れ,従来の固定翼のターボに比べてタービンの効 率が低いという問題がある[10]

広い流量域をカバーするために図1.12のような2つの過給機を用いたシーケンシ ャルツインターボ[8]に代表される,シーケンシャル過給システムがある.

シーケンシャル過給システムは,ターボを排気経路中に並列に配置していたが,

過給器の切り替えが困難であった[11].この問題を解決するために,図1.13のよう な高圧力比のターボチャージャ [12]や図1.14のような2つの過給機を同軸上に配置 したもの[13]などが提案されているが採用例が少なく,過給機容量の選定の自由度 が高い2つの過給機を用いたものが多く見受けられる.

また,切り替えの制御の問題を容易にするために,図1.15のように過給機を排気 経路中に直列に配置し,大容量の過給機を常に回転させるものが近年増加している.

さらに,過給機容量の選定によって,運転範囲の全域で2つの過給機を同時に使 用して,高い過給圧を得ることができるシリーズ過給システムがある[14]

国内においては,単気筒エンジンとシミュレーションを用いて高過給運転の必要 性が主張されており[15],さらに高過給を狙った図1.16のような3段過給システム についての試みもなされている[16].比較的小型高速のディーゼル機関のような機 関速度範囲の広いものには,シーケンシャル過給の採用が多く,機関速度域の狭い 大型期間には,シリーズ過給システムの採用が多い .

1.4.3 可変動弁システム

VGTや多段過給によって過給圧の自由度が増したことにより,吸気弁の操作によ

5

(14)

る吸入ガス量の積極的な制御も提案されており,吸気弁の遅閉じ(LIVC;Late Intake Valve Closure)や,早閉じ(EIVC:Early Intake Valve Closure)を行うことで,有効 圧縮比を操作する方法である.2段過給により容易に高過給が得られるが,最高筒 内圧が上昇するため,高過給を実現しながらEIVCを用いて最高筒内圧を抑制しな がら高トルク運転が可能という試算もある[17]

ディーゼルエンジンでは,ガソリンエンジンと異なり,基本的に空気が燃料より も多いリーンな燃焼であり, 低負荷域では噴射量が少ないことから,きわめてリ ーンである.これらの低負荷域では排気温度が低くなることから,活性化温度の高 い後処理装置を十分に昇温させることが難しい.このため吸気弁の操作により吸入 空気量を低減し,筒内温度,排気温度を上昇させ,後処理装置を昇温させる試みも みられる[18].現在,乗用車用のガソリンエンジンで普及している可変動弁システ ム(VVA;Variable Valve Actuation)は,今後大型ディーゼルへも転用されること が想像できる.

1.4.4 燃料噴射システム動向

燃料噴射系は従来の列型噴射方式は高圧噴射が困難であった.このため,図1.17,

図1.18のようなインジェクタ内部でさらに圧力を高めるユニットインジェクタな ども一部で採用されている[19].インジェクタ内部で燃料を高圧化することから,

高圧の燃料配管が必要ないことが特徴である.

しかしながら,カムにより高圧化する構造のため,燃料噴射時期の自由度が高く ない.従来の噴射ポンプに替わり,サプライポンプにより高圧化した燃料を,高圧 配管を用いて,蓄圧部(コモンレール)へ蓄え,そこから各シリンダのインジェク タへ均一に供給し,インジェクタのニードルバルブ(針弁)を操作することだけで 噴射するコモンレールシステムが主流になっている[20].ニードルバルブの操作だ けで噴射が可能なことから,噴射量の制御が容易なこと,複数回の噴射が可能であ り,噴射の形態を容易に変更が可能で,乗用車用の小型~大型まで採用が広く進ん でいる.噴射圧は徐々に高圧化し,現在では200 MPaより高圧での燃料噴射が可能 になっている[21][22][23]

図1.18はユニットインジェクタを用いた場合の構成図と,図1.19はコモンレー

6

(15)

ル噴射システムの構成図である.

また図1.20は,ユニットインジェクタの噴射率の波形である.ユニットインジェ クタは,列型ポンプを用いた噴射システムと同じくカム駆動方式であるので,噴射 率の波形は初期から後期にかけて徐々に増大しており,一方コモンレール噴射シス テムは,コモンレールで蓄圧されて,ニードルの動作だけで噴射を行うため,図 1.21のように噴射波型は矩形に近い台形になっている.

図1.22のように,コモンレールは機関速度や,噴射量に依存せずに圧力設定が可 能であり,ユニットインジェクタや,列型ポンプを用いた噴射システムは,カム速 度に依存した噴射特性となるため機関速度の増加に伴い噴射圧が増加する[24]

1.4.5 燃焼技術動向

燃料消費率と排出ガスの低減・改善を狙った場合,過給システムや,噴射システ ムの改良に加えて,近年の計算機の能力向上により,燃焼室内の流動,燃料と空気 の分布に着目し,燃焼室内の限られた空間の有効利用を行っている.

図23,図24に従来の高いスワールとリエントラント型燃焼室の組み合わせ

(SSCS;Swirl Supported Combustion System)と,極めて低いスワール流とトロイ ダル型燃焼室の組み合わせ(QCS;Quiescent Combustion System)をシミュレーシ ョンによる比較を行っている.SSCSは燃焼室領域に当量比の高い領域が燃焼室内 に残留し,燃焼室の中で燃焼が継続され,QCSは燃焼室の壁面で高当量比領域が 形成されたのち,ピストの下降によって発生する逆スキッシュ流によって,燃焼領 域は燃焼室の上部とスキッシュ領域へと広がり,広い空間を利用した燃焼になって いる.これらの燃焼の違いによって,図24に示されるように低スワールとトロイ ダル型燃焼室を組み合わせたQCSは,従来型のCCSCに比べて,NOxの生成に寄 与する火炎温度2600 K±50 Kの領域の体積(図24の中段)はCCSCより低く推移 し,NOxの生成速度(図24の上段)は低く抑えられている.また,ピストンが下 降している領域,たとえばクランク角度30 degでも火炎温度2400 K±50 Kの領域 の体積変化(図24の下段)は,高くなっていて,図23と併せて考えると燃焼室の 外側で燃焼が継続していることがわかる.燃焼期間は長期化するが,NOxの生成 抑制の手段として有効である[25]

7

(16)

近年では,一方で,図25のようにリエントラント型の燃焼室でありながら,噴 霧の衝突部と燃焼室の曲率を工夫することで強い流れを形成する燃焼室(EGG shape)によって当量比の高い領域を燃焼室の外へと導き,燃焼室内だけでなくシ リンダ内全体の空気をより効率よく使用する手法[26]も報告されている.

1.4.6 後処理動向

排気ガス中に含まれるNOx,PM,CO,HCの成分を低減するために,後処理装 置を組み合わせている.一般にディーゼル機関はHC,COの排出が少ないとされ ているが, ディーゼル酸化触媒(DOC;Diesel Oxidation Catalyst)により軽油を燃 焼させPM構成成分のHC,COを低減する.

PMについては,サブミクロンの粒子であるがフィルタで捕集することが可能で,

ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF;Diesel Particulate Filter)を装着する のが一般的となってきた.

NOxは,直接分解する選択還元触媒(SCR;Selective Catalytic Reduction)とNOx を吸蔵する吸蔵還元触媒(LNT; Lean NOx Trap)が存在する[27].SCRは還元剤 として尿素を用いる尿素SCRと炭化水素を用いるHC-SCRがある.尿素SCRは定 置用機関で採用されていたものであるが,大型商用車へ転用されている.尿素水を 別途必要とするため,タンクが必要であり,還元時はNOとNO2のモル数が1:1に なる時が好ましく制御が難しい.一方HC-SCRは還元剤の炭化水素は軽油を用いる ことができる.LNTでは通常運転時の燃料に対して空気が多い状態(リーン)で はNOxを触媒中に吸着させ,吸蔵量が増加するとリッチ状態でNOを放出させ過 濃状態中のCO,HCを還元剤として還元を行うものである[27]

今後規制される粒子数に関しては,DPFを採用し微粒子を捕集することで回避す る.DPFや,吸蔵還元触媒は,軽油中の硫黄分により被毒し,十分な機能を果たさ ないため,これらの後処理装置の利用には,低硫黄軽油を用いる必要がある.

1.4.7 燃料の低硫黄化

燃料中の硫黄分については,長期規制対応エンジンのEGR採用時の腐食問題解 決のため,従来硫黄分2000 ppmから500 ppmに低減させている.また2003年には,

8

(17)

石油連盟加入の石油精製事業者の自主的な硫黄分低減により,軽油の硫黄分は50 ppm以下になり,2005年から軽油の硫黄分は10 ppm以下で流通するようになった.

このため,新長期規制に対応するエンジンはDPFなどの後処理装置の使用が可能 になっており,ディーゼルエンジンの後処理装置の装着には,燃料の低硫黄化が不 可欠となっている.

1.5 本論文の位置づけ

ガソリン機関に比べて熱効率の高いディーゼルエンジンはCO2排出が少ないが,

将来的に枯渇すると考えられる石油の消費量低減と,酸性雨や光化学オキシダント の原因とされる窒素酸化物や,健康被害があるとされる浮遊粒子状物質の排出量抑 制というような,排出ガスと燃料消費の同時低減が必要である.

1.6 本論文の目的

技術動向からも,排出ガスの低減においては高過給システムと高圧噴射システム の採用が必要である.また,摩擦損失の少ない機関速度の低い領域を多く利用する ことがCO2低減に有利である.

ここでは,低い機関速度で高負荷運転を可能にするために,小型の過給機と大型 の過給機を追加した2段過給システムを採用し,過給条件を変更させるために大型 過給機の容量を変更し,その時の排出ガスの低減と燃料消費率の低減についてシミ ュレーションによる検討と実験による検証を行い,大型ディーゼルエンジンの過給 システムの在り方について考察する.

さらに燃料消費率の低減を目的として,高過給が実現可能なエンジンに可変動弁 機構の組み合わせを想定した,吸気弁の閉弁時期変更をおこない,積極的な有効圧 縮比と有効膨張比の操作を行った場合についても同様に考察する.

この際,幾何学的な圧縮比は高めておく必要があり,燃焼室の容積が低下する.

このような幾何学的な圧縮比を高めた際の問題点の抽出を行い,さらなる高効率化 の手法を検討する.

9

(18)

1.7 本論文の構成

第1章では本研究に関わるディーゼル機関の従来から行われてきた研究・技術動 向をまとめた.

第2章では多段変速機の使用を前提とした大型商用車向け単段過給機付きエンジ ンの実用域,主に低速域での燃料消費率の改善と高トルク化を目的とし,小型の過 給機を追加した二段過給システムを用いて低速域の高トルク化と燃料消費率の同 時改善についてシミュレーションによる検討と実験による検証を行った.

第3章では,二段過給に加え,高圧ループEGR(HP-EGR;High Pressure Loop EGR) と低圧ループ(LP-EGR;Low Pressure Loop EGR)の2系統あるEGRの使用による燃 料消費率の改善について,シミュレーションによる検討と実験による検証を行った.

第4章では,将来の二段過給機付き高BMEPエンジンにおいて,低排出ガスと低 燃費の両立を狙うために必要な過給機特性の選定の考え方と,燃費改善領域を拡大 するため高圧縮比化との組み合わせ効果を数値シミュレーションによる検討と実 験を用いた検証を行い明らかにした.

第5章では,さらなる燃料消費率の改善のために,幾何学的圧縮比の増大と,吸気 弁閉弁時期(IVC;Intake Valve Closure)を遅延することによる,有効圧縮比の低 減効果を実験により明らかにする.また,幾何圧縮比の増加により燃焼室容積が減 少するため,熱効率と排出ガスが改善可能な燃焼室形状について,数値シミュレー ションによる検討と実験による検証を行った.

第6章では,各章での結果をまとめる.

10

(19)

図1.1 貨物輸送の輸送機関別トンキロベースの分担率推移

(参考文献[1]をもとに作成)

11

(20)

図1.2 貨物旅客地域距離帯別輸送機関分担率(平成18年度)

(参考文献[1]をもとに作成)

図1.3 国内普通トラックの生産台数に占めるディーゼル車の割合

(参考文献[2]をもとにグラフ作成)

97.0 80.2 58.5 50.4 31.0 22.6

2.9 18.4 39.7 46.6 64.6 71.7

0.1 1.3 1.8 3.0 4.5 5.8

0 20 40 60 80 100

100㎞未満 100km以上

300㎞未満 300㎞以上

500㎞未満 500㎞以上

750㎞未満 750㎞以上

1000㎞未満 1000㎞以上

距離帯別分担率 %

距離帯

自動車 海運 鉄道

0 20 40 60 80 100

1985 1990 1995 2000 2005 2010

普通トラックの生産台数に占める ディーゼル車の割合%

暦年

12

(21)

図1.4 石油の生産量の推移

(参考文献[3]をもとにグラフを作成)

図1.5 石油の消費量の推移

(参考文献[3]をもとにグラフを作成)

OilProductionmilliontonnes

0 1000 2000 3000 4000 5000

year 1970

1970 1980 1990 2000 2010

Oil:Consumptionmilliontonnes

0 1000 2000 3000 4000 5000

year 1970

1970 1980 1990 2000 2010

non-OECD OECD

13

(22)

図1.6 NOxの規制値の推移

図1.7 PMの規制値の推移

N O x g /k W h

0 2 4 6 8

Year

1996 2000 2004 2008 2012

JAPAN US EU

P M g /k W h

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8

Year

1996 2000 2004 2008 2012

JAPAN US EU

EUROII

EUROIII

EUROIV EUROV 短期

長期

新短期

新長期 ポスト新長期 EUROII

EUROIII

EUROIV

EUROV 新短期

長期

新短期

新長期 ポスト新長期

14

(23)

表1.1 ディーゼルトラック(トラクタ以外)重量車の2015年度の燃費目標値

(参考文献[4]より引用)

区分 車両総重量 最大積載量範囲 燃費目標値(km/リットル)

1 3.5t超~7.5t以下 ~1.5 t以下 10.83

2 1.5 t超~2 t以下 10.35

3 2 t超~ 3t以下 9.51

4 3 t超~ 8.12

5 7.5 t超~8 t以下 7.24

6 8 t超~10 t以下 6.52 7 10 t超~12 t以下 6.00 8 12 t超~14 t以下 5.69 9 14 t超~16 t以下 4.97 10 16 t超~20 t以下 4.15

11 20 t超~ 4.04

表1.2 ディーゼルトラック(トラクタ以外)重量車の2015年度の燃費目標値

(参考文献[4]より引用)

区分 車両総重量 燃費目標値(km/リットル)

1 20 t以下 3.09

2 20 t超~ 2.01

表1.3 路線バス重量車の2015年度の燃費目標値

(参考文献[4]より引用)

区分 車両総重量 燃費目標値(km/リットル)

1 6 t超~8 t以下 6.97 2 8 t超~10 t以下 6.30 3 10 t超~12 t以下 5.77 4 12 t超~14 t以下 5.14

5 14 t超~ 4.23

表1.4 一般バス重量車の2015年度の燃費目標値

(参考文献[4]より引用)

区分 車両総重量 燃費目標値(km/リットル)

1 3.5 t超~6 t以下 9.04

2 6 t超~8 t以下 6.52 3 8 t超~10 t以下 6.37 4 10 t超~12 t以下 5.70 5 12 t超~14 t以下 5.21 6 14 t超~16 t以下 4.06

7 16 t超~ 3.57

15

(24)

表1.5 モード走行比率(参考文献[4]より引用)

貨物自動車 乗用自動車

種別 トラクタ以外 トラクタ 一般バス 路線バ ス 車両

総重量

20 t以下 20 t超 20 t以下 20 t超 14 t以下 14 t超 - 都市内 0.9 0.7 0.8 0.9 0.9 0.7 1.0 都市間 0.1 0.3 0.2 0.1 0.1 0.3 0.0

図1.8 10・15モード(参考文献[4]をもとにグラフ作成)

図1.9 JC08モード(参考文献[4]をもとにグラフ作成)

0 10 20 30 40 50 60 70 80

0 100 200 300 400 500 600 700

V elo cit y km /h

Time s

Velocitykm/h

0 20 40 60 80 100

Time s

0 500 1000 1500

16

(25)

Velocitykm/h 0 20 40 60 80 100

Time s

0 500 1000 1500 2000

図1.10 都市内走行パターン(参考文献[4]をもとにグラフ作成)

17

(26)

図1.11 可変容量タービン(VGT)の構造

(参考文献[9]より引用)

図1.12 シーケンシャルターボシステムの一例

(参考文献[11]より引用)

18

(27)

図1.13 高圧比ターボチャージャの一例

(参考文献[12]より引用)

図1.14 2つの過給機を同軸に配置したターボチャージャの例

(参考文献[13]より引用)

19

(28)

図1.15 二段過給システムの一例

(参考文献[14]より引用)

図16 三段過給システム(参考文献[16]より引用)

20

(29)

図1.17 ユニットインジェクタの例(参考文献[19]より引用)

21

(30)

図1.18 ユニットインジェクタシステムの例(参考文献[24]より引用)

図1.19 コモンレールシステムの例(参考文献[24] より引用)

22

(31)

図1.20 ユニットインジェクタの噴射率波形(参考文献[24]より引用)

図1.21 コモンレール噴射システムの噴射率波形(参考文献[24]より引用)

23

(32)

図1.22 噴射システムの最大噴射圧比較(参考文献[24]より引用)

24

(33)

図23 SSCS(右)とQCS(左)の当量比分布と速度分布(参考文献[25]より引用)

図24 SSCSとQCSの燃焼過程の比較(参考文献[25]より引用)

25

(34)

図25 従来型燃焼室(左)と新形状燃焼室(右,EGG shape)の当量比分布の比 較

(参考文献[26]より引用)

26

(35)

第1章の参考文献

[1] 貨物・旅客地域流動調査 貨物地域流動調査(平成18年分),国土交通省.

URL: http://www.mlit.go.jp/k-toukei/17/flow/ka1-10.xls

[2] 2011年世界自動車統計年報第10集,日本自動車工業会.

[3] Statistical Review of World Energy,BP(2014年現在)

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SAE2002-01-0161 (2002).

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[12] Steve Arnold, “Single Sequential Turbocharger: A New Boosting Concept for Ultra-Low Emission Diesel Engines”, SAE paper 20008-01-0298 (2012).

27

(36)

[13] Steve Arnold, ” Development of an Ultra-high Pressure Ratio Turbocharger”, SAE paper 2005-01-1546 (2005).

[14] Robert C. Griffith, “Series Turbocharging for the Caterpillar® Heavy-Duty On-Highway Truck Engines with ACERTTM Technology”, SAE paper 2007-01-1561.

[15] 徳丸武志,栗原浩一,高橋進,“”超低燃費を実現する過給システムの研究

第1報 二段過給システムの吸排気シミュレーション”,自動車技術会論文 集,Vol34, No.3, July,2003,p.55-60 (2003).

[16] Junichiro Nitta, “Performance Evaluation of Three-Stage Turbocharging System for Heavy Duty Diesel Engine”, SAE Paper, 2011-01-0374 (2011).

[17] F.Millo, F.Mallamo, G. Ganio Mego, ” The Potential of Dual Stage Turbocharging and Miller Cycle for Heavy Duty Diesel Engine”, SAE Paper, 2005-01-0221 (2005).

[18] Malin Ehleskog, “Effects of Variable Inlet Valve Timing and Swirl Ratio on Combustion and Emission in a Heavy Duty Diesel Engine”, SAE paper 2012-01-1719.

[19] 斎藤昭則,山田正俊,鳥谷尾哲也,堀内康弘,都築尚幸,渡部哲,佐味弘之,

“小型直噴ディーゼル機関用高圧噴射装置の開発とその燃焼改善効果 - 第1 報:ユニットインジェクタの試作とその噴射特性 –”,自動車技術会論文集,

Vo.25, No.2, p48-52,1994.

[20] Kohji Nagata, “Technology of DENSO Common Rail for Diesel Engine and Consumer Value”, SAE paper 2004-21-0075 (2004)

[21] Katsunori Furuta, “Study of the In-Line Pump System for Diesel Engines to Meet Future Emission Regulations”, SAE paper 980812 (1998).

[22] Mamory Oki, “180MPa Piezo Common Rail System”, SAE paper 2006-01-0274 (2006).

[23] Hitoshi Tomisita, “The Advanced Diesel Common Rail System for Achieving a Good Balance Between Ecology and Economy”, SAE2008-28-0017 (2008).

28

(37)

[24] 植木繁三,浦昭憲,“高圧燃料噴射方式の違いがHDDIディーゼルエンジン の排ガス性能に及ぼす影響”,自動車技術会学術講演会前刷集,No.981,p.41-44,

(1998).

[25] Kazutoshi Mori, “New Quiescent Combustion System for Heavy-Duty Diesel Engines to Overcome Exhaust Emissions and Fuel Consumption Trade-off”, SAE paper 2000-01-1811 (2000).

[26] 金尚奎,福田大介,志茂大輔,片岡一司,「ディーゼル機関における燃焼室

形状の改良による排気低減」,第21回内燃シンポジウム講演論文集,

p.135-140(2010).

[27] 高木信之,田中俊明,“NOx吸蔵還元触媒のディーゼルエンジンへの応用”,

自動車技術会誌,Vol.55,No.9,September,p.59-62(2001).

29

(38)

第 2 章 二段過給による低速域の高トルク化と燃料消費率の同時改善

2.1 ま え が き

積載状態の車両重量が重くまた長距離輸送が多い大型商用車では,発進時に高いトル クと燃料消費率の低減が望まれている.これまでの大型商用車ディーゼルエンジンは,6 段前後の変速機と組み合わせ,主に中速域での高いトルクと,高速域での高い出力を狙 って,過給機の適合を行ってきた.この場合,低速域ではタービン効率の低い領域を使 わざるを得ず,その結果低速域では十分な過給が得られず,高トルクでの運転は困難で あり,さらには燃料消費率の増加も伴うこととなった.

一般には低速域では摩擦損失が低いため[1]高トルク運転を行うことで,摩擦損失をさ らに相対的に低減でき,高熱効率を得ることが可能であるため,従来の6,7段変速機か ら12段変速機などの多段変速機の採用し,低速域の使用頻度を高めることで走行燃費の 改善が得られる[2]

このため低速トルク増大を狙い,従来のHP-EGRに加えLP-EGRを併用し,タービン を通過するガス量を増加させ,低速域においてもタービン効率のより高い領域での使用 や,高過給化が報告されている[3][4].しかしながらLP-EGRを多量に用いる場合には,

過渡時のEGRの応答遅れも問題視されている[5][6][7]

ここでは多段変速機の使用を前提とした大型商用車向け単段過給機付きエンジンの実 用域,主に低速域での燃料消費率の改善と高トルク化を目的とし,小型の過給機を追加 した二段過給システムを用いて低速域の高トルク化と燃料消費率の同時改善についてシ ミュレーションによる検討と実験による検証を実施した.

2.2 エンジンの構成

今回採用した過給システムでは,排気上流には低速域での使用を考慮した容量の小さ い過給機;高圧段過給機(HP-T/C;High Pressure Turbocharger)と,その下流には容量の 大きな過給機;低圧段過給機(LP-T/C;Low Pressure Turbocharger)を直列に搭載した.

過給されたガスが高温になることが予想されるため,各コンプレッサの下流にインタク ーラを装着している.またHP-T/Cのコンプレッサ側とタービン側にそれぞれバイパス 経路を持ち,バルブ開閉制御によりHP-T/Cのコンプレッサおよびタービンをバイパス

30

(39)

させ,LP-T/Cのみでの運転も可能なシステムとした.これにより,2つの過給機を同時 に用いて過給を行う「シリーズ過給モード」と,HP-T/CをバイパスさせてLP-T/Cのみ で過給する「シーケンシャル過給モード」の両方が可能な二段過給システムとした.

NOx排出低減を目的としたEGRシステムについては,排気マニホールドから直接吸 気マニホールド上流に排気ガスの一部を還流するHP-EGRシステムでは,低速高負荷で EGRを導入する際にはタービン通過ガス量が低下し,十分な過給圧;Pbが得にくく,エ ンジンのトルク不足を招く結果となった.

このため低速域ではタービン通過ガス量を増加させ,高過給化を行い,さらにタービ ン膨張後の冷却による低温高密度のEGRガスを導入することで,高い空気過剰率と高い EGR率;Regrの両立を可能とするLP-EGRシステムを追加した.LP-EGRはEGRガス

をLP-T/Cのターボ下流,後処理システムの上流からLP-T/Cのコンプレッサの上流に還

流し排気側の圧力をEGRガスの還流に有効利用するレイアウトである.LP-EGRの経路 にはコンプレッサの保護を目的とする酸化触媒付DPFと,EGRクーラを配置している.

後処理システムは上流からLNT,DOC,DPFを配置している.

実験,およびシミュレーションに用いたエンジン諸元を表2.1に示す.またエンジン に装着する主な装置を図2.1に示す.エンジンは最高噴射圧220MPa仕様のコモンレー ル式燃料噴射装置を搭載した直列6気筒,排気量10.5 Lのターボインタクーラディーゼ ルエンジンである.

国内での使用を想定し,目標排ガスレベルをポスト新長期規制(NOx=0.7 g/kWh,

PM=0.010 g/kwh)とした.採用した後処理装置の効率的な使用範囲で,前述の規制値レ ベルを満足させるため,エンジンアウトのNOx排出率,PMの排出率の目標値はそれぞ れ,(NOx=1.0 g/kWh,PM=0.10 g/kwh)とした.

2.3 過給システムの変更による効果の検討

大型ディーゼルエンジンに求められる低速トルクの増大,燃料消費率の低減,高トル ク領域までの過渡応答性の改善について,シミュレーションを用いて検討した.

検討では,従来の単段過給システムとの比較により,低速域での優位性を確認した.

過給システムの比較を行うため,比較条件として,幾何学的圧縮比は同一とした.また シミュレーションでは,NOx排出率を同一とするため,吸気マニホールド内ガス温度と

31

(40)

吸気酸素濃度,すなわちRegrを制御した.

さらに中・高速域でシリーズ過給モードとシーケンシャル過給モードの比較検討を行 い,小型過給機を追加した二段過給システムのPbと正味燃料消費率;BSFCの制御につ いても,検討を行った.

シミュレーションには一次元エンジンシミュレーションソフトRicardo社WAVEを用 いた.

まず単段過給システムのモデルを作成し,実機による性能試験データを基に単段過給 システムのモデル適合を行った.熱発生モデルはWiebe関数を用い,フリクションモデ ルにはWAVEに既設の機関速度と筒内圧の関数で表現されたChen-Flynnモデルを用い た.図2.2はモデルの妥当性について検証した結果を示す.

燃料流量の高い領域では,熱損失の評価が過少となり,Pbが高めとなっているが,最 高筒内圧;Pmaxについては,良い一致が得られた.

この単段過給システムのモデルに,HP-T/C,インタクーラ,バイパスなどを追加し,

二段過給システムのモデルとした.これにより,二段過給システムの性能予測について も精度を得られると考える.

2.3.1 低速域の状態量変化

低速域については高負荷と中負荷の2つの条件で検討した.まず高負荷代表条件とし て機関速度;Ne=800 rpm,噴射量;q=119 mm3/stを選択した.この条件は単段過給シス

テムの80%負荷相当である.

図2.3は単段過給システムとシリーズ過給モードの圧力比;πtを変化させた時の状態 量変化の比較である.ここでπtは単段過給システムではタービン入口圧とタービン出口 圧の比で示され, VGTの開度を変化させた時の様子である.シリーズ過給モードでは

HP-T/Cのタービン入口圧とLP-T/Cのタービン出口圧の比で表し,LP-T/Cは代表VGT

開度として20%,60%,100%に対して,HP-T/CのVGT開度を変化させた時のπtに対す る状態量の変化を示している.まず単段過給システムではπtを高めるとPbとA/Fの増 加を得ることができる.ここでA/Fは吸入空気質量流量と燃料質量流量の比である.一 方シリーズ過給モードでは,πtを単段過給システムよりも高くすることができ,単段過 給システムよりもさらに高いPbとA/Fを得ることができ,BSFCについても単段過給シ

32

(41)

ステムよりも良好な状態を得られる.FMEPは単段過給システム,シリーズ過給モード ともに,πtの増加により増大するが,PMEPは単段過給システムに比べてシリーズ過給 モードでは増大が少ない.このようにシリーズ過給モードでは,PMEPを大幅に増大さ せずにPbとA/Fを高くできるために,BSFCの改善と噴射量を高めた運転も可能である.

次いで単段過給システムの40%負荷,低速中負荷に相当するNe=800 rpm,q=63 mm3/st での比較を示す.

図2.4は単段過給システムとシリーズ過給モードのπtを変化させた時の状態量変化で ある.まず単段過給システムでは高負荷同様にπtの増加に伴ってPbとA/Fの増加が得 られる.しかし高負荷と異なり,既にA/Fが高いため,πtを高めてもBSFCの改善効果 は限定的で,むしろPMEPの増大によりBSFCが増加する.中負荷以下の様な,既にA/F の高い領域については,PMEPの低減によりBSFCの改善が得られると考えられる.シ リーズ過給モードでは,単段過給システムと異なり,2台のタービンでπtを分割させる.

このため,高い過給圧が必要でない運転状態では,どちらか効率の良い方のタービンの πtを高めて必要なPbを維持することでPMEPの増大が抑制できる.低速低負荷のよう な低流量域では,低流量域でタービン効率の低いLP-T/Cの過給仕事を抑制し,低流量域 でタービン効率の高いHP-T/Cの過給仕事を高めた運転,ここではLP-T/CのVGT開度

を60%や100%としたシリーズ過給モード(図中○,△)でも, 2台のタービンでπt

を分割するLP-T/CのVGT開度20%(図中□)と同様に良好なBSFCが得られる可能性 がある.

2.3.2 低速トルクの向上

前述のように,低速高負荷域では,シリーズ過給モードで高過給化が可能である.こ のため従来の単段過給システムに比べて,高い噴射量での運転が可能と考えられる.こ こでは,機関の制約条件であるPmax=20 MPaに到達するまで,噴射量を増大させ,高ト ルク(BMEP)化の実施について検討を行った.

図2.5に二段過給システムによるBSFC改善と高BMEP化の検討結果を示す.単段過 給システムではA/Fの低下による燃焼悪化によりBMEP=1.24 MPaまでの運転であるが,

シリーズ過給モードを用いることで,高いPbとA/Fを得ることができ,BMEP=1.88 MPa までの運転が可能と推定できる.

33

(42)

このように低速域は,シリーズ過給モードを用いることで,低負荷から高負荷まで BSFCの改善が得られ,さらに単段過給システムよりも高いBMEPでの運転が可能であ る.

2.3.3 中・高速域の過給

低速域での使用を考慮した小型のHP-T/Cを採用した場合,シリーズ過給モードでは,

HP-T/Cのタービン通過ガス量が過剰となる中・高速域では高圧力比化によりPMEPが増

大しやすい.中・高速域では低速域の低・中負荷同様に,PbとPMEPの制御によりBSFC 増加が抑制できると考えられる.ここでPMEPの制御には次の3通りが考えられる.

(a) HP-T/Cのタービン容量の増加[8]

(b) HP-T/Cのタービン通過ガス量の抑制

(c) HP-EGR流量の増加

まず,(a) HP-T/Cのタービン容量の増加については,低速域で過給不足を起こす可能 性や,タービンホイールの大型化に伴い慣性モーメントが増加し過給応答性が損なわれ る可能性がある.

次いで,(b) HP-T/Cのタービン通過ガス量の抑制については,HP-T/Cのタービン通過

ガス量をバイパスの回路を開閉することで制御し,HP-T/Cのタービンで消費する排気エ ンタルピを抑制し,LP-T/Cのタービンへ流入する排気エンタルピを増加させ,LP-T/C の過給仕事の増加が期待できる.

最後に,(c) HP-EGR流量の増量については,高速高負荷域においても,高EGR化に よるNOxの低減効果が得られる可能性があるが,タービン通過ガス量の低下,および高 EGR化による燃焼温度の低下・排気温度の低下により排気エンタルピが低減し,十分な 過給仕事が得られない可能性が懸念される.これを実施する場合には,LP-T/Cのタービ ンの小容量化,LP-EGRの利用なども検討する必要がある.(a)HP-T/Cの容量,(c)はLP-T/C 容量を変更することも考慮する必要があるため,ここでは (b)のHP-T/Cのタービン通過 ガス量の抑制を採用し,NOxの排出率を一定の条件の下,PMEPの低減とBSFCの改善 効果を調査した.

図2.6に単段過給システムの40%負荷相当,中速中負荷に相当するNe=1200 rpmq=99 mm3/stでのπtと状態量変化の比較を示す.また,図2.7には,さらに機関速度を高めた,

34

(43)

高速中負荷に相当するNe=1600 rpm,q=100 mm3/stでのπtと状態量変化の比較である.

図2.6,図2.7ともに,シリーズ過給モードでは,高圧力比運転を実施することでPbと

A/Fを高くできるが,PMEPの増大を招く.一方シーケンシャル過給モードは,HP-T/C を用いずにLP-T/Cのみで過給するため,PbとA/Fは低いがPMEPの増大を抑制でき,

良好なBSFCを得られる.このように,中・高速域では,NOxとSmokeの低減のために 高いPbとA/Fが必要な場合には,シリーズ過給モードを選択し,必要十分なPbとA/F を得ながらBSFCの改善を狙う場合には,PMEPを抑制したシーケンシャル過給モード を選択することが望ましい.今後,中・高速域でもNOxと Smokeの低減を実現しなが らBSFCの低減を図る場合には,高EGRによる排気エンタルピの低減を考慮して,LP-T/C を小容量化することで,高過給・希薄化を狙うことが必要である.

2.3.4 過給機の組み合わせによる過渡特性の変化

定常運転では低速域で高トルク運転が実施可能な見込であるが,応答性が低い場合に は,過渡時に高トルクを発生することができない.ここではNeを一定として,負荷の ランプ応答について検討した.Ricardo社リアルタイムシミュレーションソフト

WAVE-RTを用い,前述の性能シミュレーションを実施したモデルのリアルタイム化と,

制御モデルにはMathWorks社MATLAB/Simulinkを用いた.図2.8のようにNeを一定と し,BMEPを0.2 MPaから2.0 MPaまで,20秒間で変化させた時の状態量変化について 調査した.実機同様に,黒煙抑制を考慮して,瞬時の吸入空気質量流量と燃料質量流量 と理論空燃比から算出される空気過剰率を基に燃料噴射量;qを制御している.なお,

ここではHP-EGRのみを用いた定常マップを作成し,オープンループ制御(マップ参照

運転)において過渡時を模擬した.HP-T/Cの慣性モーメントはLP-T/Cの約20%程度で ある.

図2.9にランプ応答のシミュレーション結果を示す.単段過給システムでは,慣性モ ーメントの大きな過給機であるため,過給機回転速度;Ntが十分に高まらず,Pbが低い ため,qが制限される.特に高負荷域では,応答が緩慢になる.これに対して小型の過 給機を追加した今回の過給システムでは,HP-T/Cの慣性モーメントが小さいため,Nt の上昇が早く,Pbが高くでき,qも増加させることができる.このため単段過給システ ムと比べて目標トルクまで到達する時間が短くなっているのがわかる.このようにPb

35

(44)

の応答が慣性モーメントの小さいHP-T/Cに依存するため,負荷変動にも比較的容易に 追随できると考えられる.

2.4 低速域の定常運転結果

図2.10に検討した過給システムを用いて低速域;Ne=800 rpmでの部分負荷試験を示す.

検討結果から,低負荷域でのPMEPの低減を目的としたLP-T/CのVGT開度を100%

としたシリーズ過給モードと,中負荷より高い負荷域での高過給化を狙ったHP-T/Cと

LP-T/Cの両方を用いて高過給を行うシリーズ過給モード,およびこれまで評価を実施し

てきた単段過給システムの結果を比較した.ここでは,過給システムによるBSFCの改 善効果を確認するため,試験は単段過給システムと同一のピストン,噴射系を用いてい る.単段過給システムの運転結果より得られたNOx排出率に合わせてRegrを制御した.

BMEP=0.5 MPa以下の低負荷域では従来の単段過給システムに対してLP-T/CのVGT

開度を100%としたシリーズ過給モードで,BSFCは2%改善した.BMEP=1.2 MPa以上

の高負荷域ではHP-T/CとLP-T/Cの両方を用いて高過給を行うシリーズ過給モードによ り3%のBSFCの改善を得られた.このような良好なBSFCを得られる過給機の使い方に ついてはシミュレーションと同じ傾向にある.またトルクアップについては,従来の単 段過給システムでは燃焼悪化を抑制するため,BMEP=1.24 MPaを上限としていたが,シ リーズ過給モードを採用することで高過給化により高負荷まで燃焼悪化を抑制すること ができ,BMEP=1.86 MPaまで高められた.

2.5 ま と め

大型ディーゼルエンジンの実用運転条件下で,使用頻度の高い低速域を主体とした燃 料消費率の改善を目的として,小型の過給機を追加した二段過給システムの効果的な空 気とEGRガスのマネジメントについてシミュレーションと実験による検討を実施した.

得られた知見を以下に示す.

(1) 低速高負荷領域においては,2つの過給機を用いて高圧力比運転するシリーズ過給モ ードで,従来の単段過給システムより高い過給圧,A/Fを得ることができ,希薄化の効 果によりBSFCの改善が得られる.また更なる燃料噴射量の増加による高BMEP化も可

36

(45)

能である.

(2) 低速域での使用を考慮した慣性モーメントの小さい小型の過給機を用いると,過給 圧の応答が高く,噴射量の増加率も高くできるため,負荷変動に対する応答性が改善す る.

(3) 低速低負荷域では高圧力比化しても既にA/Fが十分高く,NOx排出率一定の条件下 での希薄化によるBSFCの改善効果は限定的である.このため低流量域でタービン効率

の高いHP-T/Cで主に過給することで,PMEPが低減され,BSFCの改善が得られる.

(4) 中・高速域ではシリーズ過給モードによる高圧力比運転を実施することで,過給圧,

A/Fを高くできるが,PMEPの著しい増大を招く.これらの領域では高過給による低排 出ガスと低燃費の同時改善は得られなかった.しかしながらPMEPの制御方法の一つと してシーケンシャル過給モードでBSFCの改善が得られる.

37

(46)

図2.1 エンジンシステム

表2.1 エンジン諸元

Engine type DI Inline 6 Bore & Stroke mm φ122×150 Displacement cm3 10.5×103

Compression ratio 15.3

Injection Nozzle mm φ0.173×8-155°

Target

Max.

Output

Engine Speed rpm 2000 Output kW {PS} 298 {405}

BMEP MPa 1.7

Max.

Torque

Engine Speed rpm 1000 - 1400 Torque Nm {kgm} 1842 {188}

BMEP MPa 2.2

38

(47)

図2.2 シミュレーションモデルの検証

(Ne=1000 rpm)

Fuel Flow Rate kg/h

39

(48)

図2.3 シミュレーションによるタービン圧力比が平均有効圧に与える影響調査

(低速高負荷: Ne=800 rpm, q=119 mm3/st)

40

(49)

図2.4 シミュレーションによるタービン圧力比が平均有効圧に与える影響調査

(低速低負荷: Ne=800rpm, q=63 mm3/st)

41

(50)

図2.5 シミュレーションによる性能の予測結果

(低速:Ne=800 rpm)

42

(51)

図2.6 シミュレーションによるタービン圧力比が平均有効圧に与える影響調査

(中速中負荷:Ne=1200 rpm, q=99 mm3/st)

43

(52)

図2.7 シミュレーションによるタービン圧力比が平均有効圧に与える影響調査

(高速中負荷:Ne=1600 rpm, q=100 mm3/st)

44

(53)

図2.8 ランプ応答シミュレーションの目標BMEP遷移(Ne=1000 rpm)

図2.9 ランプ応答シミュレーションの結果 (Ne=1000 rpm)

45

(54)

図2.10 低速域での運転結果(Ne=1000 rpm)

46

(55)

第2章の参考文献

[1] 青柳友三ほか,“単気筒エンジンによる超高過給ディーゼル燃焼の研究(第4報)”

自動車技術会学術講演会前刷集, No.127-05,p.1-5(2005).

[2] Hiroshi Horiuchi et al,“The Hino E13C:A Heavy-Duty Diesel Engine Developed for Extremely Low Emissions and Superior Fuel Economy”, SAE paper, No.2004-01-1312.

[3] 足立隆幸ほか,“高過給・広域多量EGRの多気筒ディーゼルエンジンにおけるハ イプレッシャループおよびロープレッシャループEGRの効果”,自動車技術会論 文集,vol.40,No.4, p.1047-1052 (2009).

[4] 小林雅行ほか,“低圧LoopEGRを搭載した大型多気筒ディーゼルエンジンにおけ る高過給,広域多量EGRの効果”, 自動車技術会論文集,vol.40,No.4,

p.1053-1058(2009).

[5] 足立隆幸ほか, “高過給・広域多量EGRディーゼルエンジンにおける過渡の排出 ガスと性能“, 自動車技術会学術講演会前刷集, No.58-10,p.11-16(2010).

[6] Akira Yamashita et al.,“ Development of Low Pressure Loop EGR System for Diesel Engines”, SAE paper, No.2011-01-1413.

[7] Kihoon Nam et al.,“Improvement of Fuel Economy and Transient Control in a Passenger Diesel Engine Using LP(Low Pressure)-EGR”, SAE paper,No.2011-01-0400.

[8] 石井森ほか, “商用車用大型ディーゼルエンジンの燃費低減”, 自動車技術会学術 講演会前刷集, No.143-12, p.9-12(2012).

47

表 1.5  モード走行比率(参考文献[4]より引用)  貨物自動車  乗用自動車  種別  トラクタ以外  トラクタ  一般バス  路線バ ス  車両  総重量  20 t 以下  20 t 超  20 t 以下  20 t 超  14 t 以下  14 t 超  -  都市内 0.9  0.7  0.8  0.9  0.9  0.7  1.0  都市間 0.1  0.3  0.2  0.1  0.1  0.3  0.0  図 1.8  10・15 モード(参考文献[4]をもとにグラフ作成)  図 1.9
図 1.11  可変容量タービン(VGT)の構造
図 1.13  高圧比ターボチャージャの一例
図 16  三段過給システム(参考文献[16]より引用)
+7

参照

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