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幾何学的圧縮比の増大と有効圧縮比低減の効果

ドキュメント内 自動車用大型ディーゼル機関の (ページ 95-98)

第 4 章 広い機関速度域の高過給化と高圧縮比化の組合せ効果

5.3 幾何学的圧縮比の増大と有効圧縮比低減の効果

第 5 章 さらなる高圧縮比化と吸気弁遅閉じの適用と燃焼室形状の検討

コードはRicardo社一次元エンジン性能シミュレーションソフトWAVEを用いた.図5.2 は使用したモデルと運転結果の比較である.燃料流量の高い領域では,熱損失の評価が 過少となり,過給圧が高めとなっているが,最高筒内圧については,おおむね良い一致 が得られた.図5.3に最大トルクを発生するもっとも低い機関速度;Ne=1000 rpmでの最 高筒内圧を20 MPaとして,圧縮比を変更した際の部分負荷性能のシミュレーション結 果を示す.

圧縮比18.0では筒内圧の制約がなければ,高圧縮比化することで,BMEP>0.8 MPaの 中高負荷域において燃料消費率の改善が得られる.しかし,最高筒内圧を20 MPaに制 限すると高負荷域(BMEP≧2.0 MPa)で燃焼開始時期;SOCを遅延する必要があるため燃 料消費率が増加する.ここでは実車両で使用頻度の高いBMEP=0.8 ~1.8 MPaの中高負 荷での燃料消費率の改善を目的とし,図5.3のシミュレーション結果から高負荷におい ても燃料消費率の増加の比較的少なかった幾何学的圧縮比;C/R=18.0を選択し試験を実 施した.

図5.4にC/R=17.0C/R=18.0のエンジン運転結果を示す.ここで,燃焼開始時期;SOC は噴射時期;SOIを変更することで調整している.低負荷においては,機械損失の増加 にもかかわらず,わずかに燃料消費率の改善効果が確認できたが,一方高負荷域におい ては,最高筒内圧の制約からSOCを遅延した結果,図5.3の結果よりさらに燃料消費率 は増加した.従って,次に主に中高負荷域での燃料消費率改善を狙ったIVC遅延による 有効圧縮比の低減を試みた.なお,LP-EGRとHP-EGRの比率については,従来から用 いられている全体のEGR流量に対するHP-EGRの流量の割合を示すHP-EGR比率を参 考文献に倣い次式を用いて示している[2][3][4]

( HP LP )     ( HP - EGR HP 流量 EGR LP 流量 - EGR 流量 )

HP +

= − +

5.3.2 有効圧縮比の低減効果

有効圧縮比を低減させるための吸気弁閉弁時期変更法には,吸気弁早閉じ;EIVCと吸

気弁遅閉閉じ;LIVCがある.

EIVCは,ピストンが下降中にバルブが閉じることで筒内容積が膨張し,その結果筒内 温度が低下する.このため圧縮端温度も低下する.吸気の期間は短くなるため,十分な

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ガスを取り込むには,過給圧を高める必要がある.

一方,LIVCは,ピストンが上昇中にバルブが閉じるため筒内ガスは吸気マニホールド へ吹き戻されEIVCと同様に十分なガスを取り込むには高い過給圧を得られる過給シス テムと組み合わせる必要がある.機関速度が高速な場合には,吸気期間がより長くなる LIVCが有効である.

LIVCの効果については,図5.5のように圧縮比がほとんど効かず,膨張比だけで決ま ることを系統的に示されている[5].ここでは,自動車用の機関として広い運転範囲をも っていることから,LIVCを選択して,有効圧縮比の低減を行った.

図5.6,5.7はIVCを変化させた時の有効圧縮比;C/Reffの変化と,1次元シミュレーシ

ョンを用いて求めた中負荷(40%相当)の体積効率;ηvの変化である.

有効圧縮比;C/Reffは以下の式を用いて算出した.

𝐶𝐶/𝑅𝑅𝑒𝑒𝑒𝑒𝑒𝑒 = 𝐼𝐼𝐼𝐼𝐶𝐶での筒内容積 上死点での筒内容積

ベースのIVC=563 degCAからIVCを遅延させると徐々に有効圧縮比を低減することが でき,さらにNe=1200 rpm以上の中高速域では,体積効率の向上が見込まれるが,低速 域ではかえって体積効率の低下を招く.ここでは,摩擦損失が少なく,燃料消費率の良 好な低速域においても体積効率が90%程度確保できるIVC=590 degCAを選択した.排気 弁開時期(EVO)については,従来同様にEVO=121 degCAとし,C/R=18.0のピストンを用 いて,吸気条件をそろえて試験を行った.

図5.7はIVC遅延前後の運転結果を示す.IVC遅延を行うことで,C/R=18.0のIVC遅 延前の状態に対して,高負荷域では圧縮端圧力の低減により,IVC=563 degCAよりもSOC を進角することが可能である.さらに低負荷においても燃料消費率の改善効果が認めら れ,低負荷から高負荷にかけて一様な燃料消費率の改善効果が得られた.一方燃料消費 率の改善効果は得られたものの,図5.8に示すように,排出ガス特性については,IVC 遅延前と同じようにCO排出レベルとSmokeレベルがC/R=17.0に対して高い結果となっ た.IVC遅延では有効圧縮比の低減を行っているため,着火遅れの相違だけでは説明が つかず,噴霧の発達や混合気形成に対して燃焼室形状との相互作用が影響したと考えら れる.

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5.4 熱効率と排出ガスを改善する燃焼室形状の検討

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