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結論

ドキュメント内 自動車用大型ディーゼル機関の (ページ 130-134)

り,NOx排出率一定の条件下では,二段過給による燃料消費率の改善効果は得にくい.

低負荷域では,どちらか効率の良い方の過給機のみで運転することで,ポンプ損失の相 対的な低減ができるため,燃料消費率がよくなる.小型の過給機は,大型の過給機に比 べて慣性モーメントが小さいことから,過給圧の応答が良く,不可変動に対する応答性 が改善する.

中速域,高速域では,二段過給によって,高い空気過剰率を得ることができるが,小 型過給機容量が小さいことから,PMEPの著しい増大を招いてしまい燃料消費率の改善 は得られない.低速低負荷や,中・高速域のPMEPの制御方法の一つとして,大型過給 機の容量を大きくするなどが考えられる.

6.3 二段過給システムの低圧ループEGRの効果

前章の結果から,低速低負荷と中・高速域のPMEP(ポンプ損失)低減と,低速域の 高トルク化を実現するため,低速域に適した低流量域で効率が高い小型の過給機と,高 速域に適した高流量域で効率が高いより大きい大型の過給機に変更した.

これにより,低速低負荷域においては,大型過給機は動作せず,効率の高い小型過給 機が主となる運転条件が得られ,低速低負荷域の燃費改善が得られた.また,2つの過 給機を用いることで,低速高負荷運転も実現が可能であった.しかしながら,選定した 過給機は最適容量とではなく,容量差が大きい.このため中速域では,それぞれ過給機 の効率が悪くなってしまった.特に中速中負荷域では,排出ガスの低減を狙って,高過 給が必要であるが,排出ガス低減を狙って過給圧を高めれば,過給機の効率が悪いため にポンプ損失が増大してしまうため,燃費と排出ガスの同時低減が得られなかった.

EGRと空気のマネジメント方法として,高圧ループEGRと低圧ループEGRがある.

ここでは,低圧ループEGRの採用についても検討した.低速域の使用を考慮した小型 の過給機を用いているため,低速域では,LP-EGRを用いることで,タービン通過ガス 量が増加し,タービン効率が高い領域で運転が可能な運転域がある.しかしながら,燃 料消費率,排出ガスレベルが振るわなかった中速域では,LP-EGRを用いても,燃料消 費率の改善や,排出ガスの改善が得られなかった.これは,採用した過給機の容量が,

最適でなく,中速域の流量に合わせた容量でないために,LP-EGRを用いても,過給機 の効率の高い領域が利用できなかったためと考えられる.大型過給機の容量を小さくす

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るなどの変更が必要と考える.

6.4 広い機関速度域の高過給化と高圧縮比化の組み合わせ効果

第1章では,低速から高速域のすべての機関速度で,二段過給を実施することで,高 過給・高EGR率条件を得られることがわかった.しかし低速低負荷では,既に十分な空 気過剰率が得られており希薄化による燃料消費率の改善効果がないことや,中速・高速 荷域ではPMEPが増大するため二段過給システムを用いた希薄化による燃料消費率の改 善効果が得られないこともわかった.第3章では,これらの解決策として,低速用の小 型過給器と,高速用の大型過給機という組み合わせのシーケンシャル過給システムと,

LP-EGRシステムの組み合わせを評価した.この結果中速域では,過給器の効率が低下

する為,高過給とすると,PMEPが増大し,十分な燃料消費率の改善効果が得られない ことがわかった.

ただし,小型の過給器を用いると過給応答性が良くなることは,明らかであるため,

小型過給器はそのままに,中速域での過給ができるように大型過給機を低容量化するこ とにする.この場合,第2章で示した通り,低負荷域では,同等NOx排出率では,排圧 が高まるためPMEPが増大する為,燃料消費率が増加してしまう.PMEPの低減のため に,高EGR率を高める方法をとることができる.これによりさらに圧縮比を高めても NOx排出率の増加が抑えられる.

圧縮比を高めることで,理論熱効率の改善を狙って圧縮比を高める.一般に圧縮比を 高めるとNOxの排出が増加するが,低速域の高過給化を狙って小型の過給機を組み合わ せた二段過給によってEGR率を高められるため,低負荷域を除きNOxもSmokeも同等 以下に抑えられた,高圧縮比化によって,膨張仕事が増加したため,燃料消費率は改善 するが,最高筒内圧は上昇した.

6.5 さらなる高圧縮比化と吸気弁遅閉じの適用と燃焼室形状の検討

理論熱効率の改善を狙った幾何学的圧縮比化の増大は,燃焼圧の上昇とピストンの燃 焼室容積の低減を伴う.燃焼圧の上昇は機関部品に影響があるため,吸気弁の閉じ時期 変更による有効圧縮比の低減が必要である.有効圧縮比を低減させるための吸気弁閉弁 時期変更法には,吸気弁早閉じ;EIVCと吸気弁遅閉閉じ;LIVCがある.

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EIVCは,ピストンが下降中にバルブが閉じることで筒内容積が膨張し,その結果筒内 温度が低下する.このため圧縮端温度も低下する.吸気の期間は短くなるため,十分な ガスを取り込むには,過給圧を高める必要がある.

一方,LIVCは,ピストンが上昇中にバルブが閉じるため筒内ガスは吸気マニホールドへ 吹き戻されEIVCと同様に十分なガスを取り込むには高い過給圧を得られる過給システ ムと組み合わせる必要がある.機関速度が高速な場合には,吸気期間がより長くなる LIVCが有効である.ここでは,自動車用の機関として広い運転範囲をもっていることか ら,LIVCを選択して,有効圧縮比の低減を行うためのカムシャフトを用意した.圧縮比 を高めたピストンを用いた試験では,吸気弁の閉じ時期の違いによらず排出ガス性能

(CO,Smoke)が増加した.このため,燃焼室内の噴霧とガス流動を流体解析を用いて 検証した.その結果,噴霧が既燃ガスと干渉し,燃焼室内の流動低下を招いていると考 えられる.このため,噴霧と既燃ガスが干渉しにくい浅皿燃焼室形状を検討し,実機に おいて検証した.この結果,排出ガス性能の悪かった燃焼室では,熱発生率が低く熱発 生期間も長かったが,新しい浅皿燃焼室では,熱発生率が高く短くなって熱効率が改善 した.排出ガス性能は,中高負荷ではSmokeが低減した.高圧縮比で高負荷の燃焼を実 現するには,このような既燃ガスと噴霧が干渉しにくい燃焼室とすることが重要と考え られる.一方でCOは大きな変化が得られなかった.燃焼室形状に依存しないことから,

小章噴孔径化による微粒化など噴射諸元の最適化が必要と考えられ,今後の課題である.

6.6 結言

これらのことから,今後も燃料消費率の低減と排出ガスの低減を狙ったディーゼル機 関の開発が行われると考えられる.

排出ガスの低減については,ディーゼル機関での排出低減と,車両システム相当とし て,後処理装置と組み合わせた状態での排出ガス低減が考えられる.ディーゼル機関用 の後処理装置の歴史は浅く,今後も改良が進むと考えられ,ディーゼル機関単体の排出 ガスレベルが緩和することも考えられる.一方で車両への搭載を考慮した場合には後処 理装置の小型化が必要であり,結果ディーゼル機関からの排出ガスレベルの改善も必須 と考えることができる.

ディーゼル機関単体で排出ガスと燃料消費率の同時低減を狙う場合,従来より用いら

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