第 2 章 二段過給による低速域の高トルク化と燃料消費率の同時改善
3.4 実験
3.4.1 計測設備
エンジンの動力性能は東洋電機製の低慣性ダイナモメータを使用して計測した.排出 ガス濃度および吸入ガス濃度の計測は堀場製作所MEXA-7100EGRを使用した.スモー クの計測は司測研GSM-10を使用し,AVLオパシメータも使用した.圧力線図などの燃 焼解析データは小野測器DS-2000を使用して取得した.データの収集は小野測器
FAMS-8000を使用した.
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3.4.2 供試燃料と潤滑油
供試燃料はJIS 2号軽油(S ≦ 10 ppm)である.潤滑油は硫黄分と硫酸灰分の少ない低 アッシュ油(JASO DH-2)である.
3.4.3 LP-EGRの効果
図3.6はNe=800 rpm,BMEP=1.24 MPaの時のHP/(HP+LP)を変化させた時の運転結果 を示す.□印は二段過給運転を示し,▽印は高圧段のみを用いた単段過給運転を示す.
また,●印は単段過給システムの参考データを示す.噴射圧と燃焼開始時期は同一とし た.タービン通過ガス量が増加し,Pb,Pexmが上昇しているがHP/(HP+LP)=0.4におい てもPexm - Pb=30 kPa程度と低く抑えられ,PMEPの増加も少ない.過給圧の上昇にと もないλも上昇し,結果的にBSFCが改善している.この傾向は,▽印の高圧段のみを 用いた単段過給運転でも同様であるが,□印の二段過給運転では,さらに過給圧を高め られるためBSFCの改善効果が大きい.
図3.7にNe=1000 rpm,BMEP=1.64 MPaの運転結果を示す.ここでは二段過給運転の み示す.HP/(HP+LP)を低下させることで,Pb,Pexm,λが増加する. Pbの増加に対し てPexmの増加幅が大きく,HP/(HP+LP)=0.4ではPexm - Pb=70 kPaになりPMEPが増加 する.このため,二段過給を実施し,LP-EGRを使用した場合,HP-EGRのみの場合と 比べてBSFCの改善効果は得にくい.このようにLP-EGRを使用することでPexm-Pbが 増加する傾向は,絶対値は異なるものの,シミュレーションと同様である.
図3.8にNe=1600 rpm,BMEP=1.20 MPaでの運転結果を示す.ここでは低圧段のみで の運転を示す.HP/(HP+LP)を低下させ,LP-EGRを増加させても,図3.6,図3.7のよう な明白な空気過剰率の増加は見られずにPexmのみ増加し,BSFCの改善には至らなかっ た.
図3.9にNe=600 ~ 2000 rpmまで運転を実施し,得られたBSFCマップを示す.高負 荷域のBSFCの低い領域について,単段過給を点線で示し,二段シーケンシャル過給を 実線で示す.二段シーケンシャル過給では単段過給に比べて低速域のトルクが高く,ま たBSFCの低い領域は,低速域に移動している.排出ガスレベルは単段過給システムと 同等としながら,BSFCを改善した運転は次のような状態で得られた.まず2台の過給 機の使用区分については,図3.10に総過給仕事に対する高圧段過給仕事の比率;Rwhpc
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のマップを示す.Rwhpcは総過給仕事に対する高圧段過給仕事の比率と定めて以下の式 により求めた.
Wlpc Whpc
Rwhpc Whpc
= +
Whpc:高圧段過給機の過給仕事 Wlpc:低圧段過給機の過給仕事
これは2台の過給機の運転方法の目安であり,Rwhpc = 1.0の時HP-T/Cが過給を実施 し,Rwhpc = 0の時LP-T/Cによって過給が行われている.低速低負荷域のRwhpc > 0.8 の領域ではLP-T/Cを全開としたHP-T/Cのみの運転,低速高負荷域の0.2 <Rwhpc < 0.8
の領域はLP-T/CとHP-T/Cを制御した二段過給運転である.中速域から高速域にかけて
のRwhpc < 0.2の領域は, HP-T/Cをバイパスし,LP-T/Cのみでの運転である.低速低 負荷域でシーケンシャル化での効果を出すために採用した低圧段タービンは従来の単段 過給システムのものよりも容量が大きく,結果として中速中負荷域で十分な過給圧が得
られずLP-T/Cのみでの運転ではスモークレベルが増大した.このため, HP-T/Cと
LP-T/Cを用いて運転した.
図3.11に実験により得られたHP/(HP+LP)マップを示す.このように小型の過給機を 搭載した二段過給システムにおいては,二段過給とLP-EGRの組み合わせは,図3.6の ように低速域の排気ガス流量の低い領域では有効であり,高速域においては,低圧段タ ービン容量を大きくしたため,図3.8のようにLP-EGRを導入しHP/(HP+LP)=0.4程度ま で低下させても, BSFCの優位性は得られなかった.
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