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スモン検診における MCI (軽度認知障害) 診断の試み

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Academic year: 2021

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A. 研究目的

2012 年の全国検診において MMSE を用いた認知症 の有病率は 65 歳以上で 11%であった。 MCI は認知症 の前段階とされる。 認知症の予防のために、 MCI の 診断は有用と推測されているが、 その診断法は様々な 方法がある。 2014 年に愛知県検診で CDR を使用して MCI 診断を試みたが、 診断できなかった。

今回、 診断は、 Petersen の概念に準拠した。 一般的 な認知機能については MMSE を使用した。 神経心理 検査は、 長寿医療研究センターで開発されたタブレッ ト型パソコンを用いる認知機能測定アプリ 「NCGG- FAT (the National Center for Geriatrics and Geronto-

logy functional assessment tool)」1) を 用 い 、 MCI の 診断を試みた。

B. 研究方法

対象は 2016 年の愛知県スモン検診患者のうち、 検 査・研究に同意した患者である。

物忘れの訴えは、 個人票項目で聴取した。 一般的な 認知機能として、 検診前に行われた保健師の訪問調査 時に MMSE を施行しカットオフを 23/24 とした。

神経心理検査は、 検診当日に、 タブレット型パソコ ン iPad の 認 知 機 能 測 定 ア プ リ 「 NCGG-FAT (the National Center for Geriatrics and Gerontology func-

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スモン検診における MCI (軽度認知障害) 診断の試み

齋藤由扶子 (国立病院機構東名古屋病院神経内科) 橋本 里奈 (国立病院機構東名古屋病院神経内科) 寺谷 里代 (国立病院機構東名古屋病院看護部) 木立 雅子 (国立病院機構東名古屋病院看護部)

中西 智子 (国立病院機構東名古屋病院リハビリテーション科) 松本 海音 (国立病院機構東名古屋病院リハビリテーション科) 鷲見 幸彦 (国立長寿医療研究センター)

小長谷正明 (国立病院機構鈴鹿病院)

研究要旨

愛知県スモン検診において、 MCI の診断を試みた。 診断は、 Petersen の概念に準拠した。

一般的な認知機能については MMSE を使用した。 神経心理検査は、 長寿医療研究センター で 開 発 さ れ た タ ブ レ ッ ト 型 パ ソ コ ン を 用 い る 認 知 機 能 測 定 ア プ リ 「 NCGG-FAT (the National Center for Geriatrics and Gerontology functional assessment tool)」1) を用いた。

検診参加者 13 名のうち検診会場に 10 名が来場した。 女性 9 名、 男性 1 名。 年齢 75.2±10.7 歳だった。 MMSE 23 点以下 2 名、 視力障害のため検査が出来なかった患者 1 名、 アプリデー タの保存に失敗した 2 名を除き、 5 名の結果が得られた。 このうち 1 名が非健忘型 MCI と診 断された。 NCGG-FAT はデータを長寿医療研究センターのサーバーを経由することで、 個々 の結果において地域高齢者と比較して評価できる。 また自動的に作成される患者用報告書に は結果 (5 段階評価) と、 生活上の注意点が表示されている。 これらの点において NCGG- FAT は検診ツールとして有用であった。 一方、 問題点として、 検査結果を検診会場で得るこ とができなかった点、 アプリの操作ミスで結果報告ができなくなった点が挙げられた。

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tional assessment tool)」 を用いて行い、 言語聴覚士 および看護師がアプリ操作を補助した。 使用した検査 項目は、 記憶 (単語記憶)、 注意・遂行機能、 処理速 度で、 約 25 分を要した。 各項目はそれぞれ、 ADAS- cog の 単 語 記 憶 課 題 、 オ リ ジ ナ ル TMT (Trail Making Test)、 ウ ェ ク ス ラ ー 成 人 知 能 検 査 の DSCS (Digit Symbol-Coding subtest) を 基 準 と し て 、 信 頼 性妥当性が確認されている1)

アプリは前もって Apple Store からダウンロードし、

長寿医療研究センターのサーバーに登録申請後、 得ら れた認証コードを入力して初めて稼働可能となった。

データは暗号化されており、 その場で判定できない。

検診後データをパソコンに移し、 パソコンから長寿医 療研究センターのサーバーにアップロードした。 結果 は解析され暗号解除データと判定結果をパソコンにダ ウンロードした。 判定基準は、 各年代ごとの平均値と SD か ら 算 出 さ れ 5 段 階 に 評 価 さ れ た (表 1) 。 Petersen の診断基準に従い、 主観的な記憶低下の訴え があり、 全般的な認知機能は正常だが、 年齢に比し客 観 的 認 知 機 能 検 査 が 1.5 SD 以 下 の 項 目 が あ る 場 合 を MCI として判定した。 MCI のタイプを、 記憶障害の ある 「健忘型」 と、 ない 「非健忘型」 とに区別した。

検査結果は、 「脳の健康度」 報告書として自動的に 作成され、 患者にフィードバックした。

(倫理面への配慮)

検査・研究の同意を示した患者のデータのみを使用 した。 データは匿名化され個人の特定はできない。

C. 研究結果

平 成 28 年 11 月 19 日 愛 知 県 豊 橋 市 保 健 所 に て 検 診

を行った。 検診参加者は 13 名で、 検診場に来場した 患者は 10 名 (女性 9 名男性 1 名。 年齢 75.2±10.7 歳) だった。 10 名全員から同意を得て NCGG-FAT を施行 した。 結果を表 2に示した。 MMSE が 23 点以下は 2 名 (20%) だった。 この 2 名は NCGG-FAT を試みた が途中で中止を希望した。 1 名は視力障害のため完遂 できなかった。 2 名はアプリ操作補助者が誤操作した ため、 結果を保存できなかった。 NCGG-FAT は、 約 25 分を要したが、 10 名中 7 名は施行可能であった。

評 価 さ れ た 5 名 の う ち 、 MCI で あ っ た の は 1 名 だ っ た。 タイプは、 記憶障害はない 「非健忘型 MCI」 で あった。

D. 考察

MCI の診断は、 NCGG-FAT の結果のある 5 名中 1 名であったことから、 有病率は 20%だった。 朝田の 報告2)では、 65 歳以上の高齢地域住民では 13%とされ て い る 。 Shimada ら3)は 、 NCGG-FAT を 使 用 し て 65 歳 以 上 高 齢 地 域 住 民 対 象 の 調 査 を 行 い 、 MCI は 18.8

%と報告している。 今回の結果は、 これらと大きな違 いはないと思われた。

NCGG-FAT はデータを長寿医療研究センターのサー バーを経由することで、 個々の結果を地域高齢者と比 較して判定できる。 また自動的に作成される患者用報 告書には結果 (5 段階評価) と、 生活上の注意点が表 示されている。 これらの点において NCGG-FAT は検 診ツールとして有用であった。 一方、 問題点として、

検査結果を検診会場で得ることができなかった点、 ア プリの操作ミスで結果報告ができなくなった点が挙げ

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表 1 判定基準:年代別の平均と比較して判定

(長寿医療研究センターのサーバーで判定される)

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表 2 MMSE・NCGG-FAT の結果

(判定結果:得点が平均値 -1.5 SD 未満の時、 1 と表示し、 MCI と診断)

(3)

られる。 今後の検診に役立つようにするために、 アプ リの手順書を作成する必要がある。 これらを改善して 今後の検診に繋げてゆきたい。

E. 結論

愛 知 県 ス モ ン 検 診 で 、 MMSE と NCGG-FAT を 使 用して MCI の診断を試み、 5 名中 1 名が MCI であっ た。 NCGG-FAT は検診用ツールとして有用であった。

G. 研究発表 なし

I. 文献

1 ) Makizako H. et al.: Evaluation of multidimen- sional neurocognitive function using a tablet per- sonal computer: Test-retest reliability and validity in community − dwelling older adults. Geriatr Gerontol Int 13: 860-866, 2013

2 ) 朝田隆:厚生労働科学研究費補助金 認知症対策 総合研究事業 「都市部における認知症有病率と認知 症の生活機能障害への対応」 平成 23 年度〜平成 24 年度総合研究報告書 2013

3 ) Shimada H. et al.:Combined prevalence of frailty and mild cognitive impairment in a population of elderly Japanese people. J Am Med Dir Assoc14:

518-524, 2013

謝辞

国立長寿医療研究センターの牧迫飛雄馬先生には、

NCGG-FAT の 登 録 、 認 証 、 使 用 法 な ど 全 般 に わ た り ご指導、 ご教示をいただきました。 この場で深謝申し 上げます。

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