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日本内科学会雑誌第106巻第9号

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(1)

はじめに

 膵臓癌(膵癌)の罹患率は60歳頃から著しく 上昇し,年齢と共に増加する.高齢者に多い癌 であり,超高齢社会に突入した我が国では,膵 癌による死亡者数は年々増加している.膵癌 は,悪性腫瘍のなかでも特に予後の悪い癌であ り,その克服は今世紀の医学・医療における大 きな課題の 1 つである.近年,抗癌薬の開発が 進み,治療の選択肢が広がったとはいえ,治癒 を望み得る唯一の治療法は外科手術による完全 切除のみである.高い治癒率が期待できる上皮 内癌の診断や腫瘍径 10 mm以下の小膵癌の診 断法の開発,スクリーニングに有効な危険因子 の同定や画期的バイオマーカーの開発が急がれ る.効果的かつ戦略的な化学療法の在り方,癌 幹 細 胞 を 標 的 と し た 治 療 法 の 開 発 や, 免 疫 チェックポイント阻害薬の有効性等課題も多 い.本稿では,2016年に改訂された「膵癌取扱 い規約第 7 版」(日本膵臓学会  編)1)と「膵癌診

療ガイドライン2016年版」2)(日本膵臓学会膵癌 診療ガイドライン改訂委員会  編)を基礎とし て,最近の話題を交えて膵癌診療の現状と今後 の展望について述べたい.

1.概念

 「膵癌取扱い規約第 7 版」によると1),浸潤性 膵管癌とは,「間質浸潤を伴う癌腫で,膵管類似 の腺腔形成や膵管上皮への分化がみられるも の」と定義される.膵癌細胞周囲にdesmoplasia と呼ばれる高度な線維化を伴うのを病理組織学 的特徴とする.浸潤性膵管癌は多彩な組織形態 を示すが,優勢な組織像によって,1)腺癌,

2)腺扁平上皮癌,3)粘液癌,4)退形成癌に 分類され,腺癌を通常型膵管癌と呼ぶことが多 い.腺癌は分化度により,高分化型,中分化型,

低分化型に分類される.「膵癌登録報告 2007」

によれば3),組織学的に確定診断された浸潤性 膵管癌 2,590 例の内訳では,腺癌のうち管状腺

東北大学大学院医学系研究科消化器病態学分野

114th Scientific Meeting of the Japanese Society of Internal Medicine:Invited Lecture:4. The clinical practice of pancreatic cancer: current  status and prospect.

Tooru Shimosegawa:Department of Gastroenterology, Tohoku University Graduate School of Medicine, Japan.

本講演は,平成29年4月16日(日)東京都・東京国際フォーラムにて行われた.

1 2 3 4 5 4

招請講演

膵癌診療の現状と展望

下瀬川 徹 Key words 病態,診断,治療,膵癌取扱い規約第 7 版,膵癌診療ガイドライン 2016

(2)

癌(高分化型,中分化型)が 94.3%と大多数を 占め,低分化腺癌 1.1%,腺扁平上皮癌 0.18%,

粘液癌 0.11%,退形成癌 0.7%であった.

 膵癌主病巣の局所進展度はT分類で表される

(表1)1).原発腫瘍を認めないものをT0,腫瘍が 膵臓に限局し,最大径が 20 mm以下のものを T1,なかでも 5 mm以下の腫瘍をT1a,5 mmを 超 え る が 10 mm以 下 をT1b,10 mmを 超 え 20 mm以下のものをT1cに細分類する.腫瘍径 が 20 mmを超えるが膵臓内に限局するものを T2,膵臓を超えて進展するが腹腔動脈(celiac  artery:CA)もしくは上腸間膜動脈(superior  mesenteric artery:SMA)に及ばないものをT3,

浸潤がCAやSMAに及ぶものがT4 である.

 進行度(Stage)は,膵局所進展度(T)とリ ンパ節転移(N),遠隔転移(M)の有無によっ てStage 0,IA/B,IIA/B,III,IVに 分 類 さ れ る

(表 2)1).N0 は領域リンパ節に転移を認めない もの,N1 は転移のあるもので,N1aは領域リン パ節の 1~3 個の転移,N1bは 4 個以上のリンパ 節転移である.遠隔転移のないものをM0,認め るものをM1 とする.

2.疫学

 厚生労働省人口動態統計によると,2015年に おける膵悪性新生物による死亡数は 31,866 人

(男性16,186人,女性15,680人)であり,悪性 新生物による全死亡数 370,346 人に占める割合

は8.6%であった.同年における膵癌の死亡率は 男性 26.5 人/男性人口 10 万人,女性 24.4 人/女 性人口 10 万人と報告され,高齢化と共に罹患 数,死亡数が急速に増加している.臓器別にみ ると,全体では肺癌,大腸癌,胃癌に次いで第 4 位,男性では肺癌,大腸癌,胃癌,肝臓癌に 次いで第 5 位,女性では大腸癌,肺癌,胃癌に 次いで第 4 位であった.年齢調整死亡率は,男 女とも緩やかな上昇傾向を示す4)

 死亡数は罹患数とほぼ同数であり,本疾患の 予後が極めて悪いことを物語っている.国立が ん研究センターがん対策情報センターによる と,部位別がんの5年生存率は膵癌が最も低く,

7.7%であった.日本膵臓学会の膵癌登録データ では,膵癌生存率は近年わずかに改善傾向を示 しているものの,2001~2007 年の膵癌全症例 の生存期間中央値は14.7カ月,切除例で21.0カ 月,非切除例では8.2カ月であり,5年生存率は 全症例,切除例がそれぞれ13.0%と18.8%,非 切除例の3年生存率は3.1%と悲惨な結果であっ た5).膵癌患者の生存率は腫瘍径と密接に関連 す る. 腫 瘍 径 10 mm以 下 で は 5 年 生 存 率 が 80.4%,10~20 mmで 50.0% と 比 較 的 良 好 だ が,20 mmを超えると20%以下に低下する.一 方,腫瘍径20 mm以下の腫瘍が全体に占める割 合はたかだか 5%ほどであり,早期発見の重要 性と共に早期診断の難しさが窺える(図 1).

表1 膵局所進展度 膵臓

T1

膵内に限局 ≦ 20 mm  T1a 5 mm以下

 T1b 5 mmを超えるが10 mm以下  T1c 10 mmを超えるが20 mm以下 T2 膵内に限局>20 mm

T3 膵外に進展

T4 腹腔動脈(CA)または上腸間膜動脈(SMA)に浸潤

表2 進行度

Stage 0 Tis N0 M0

Stage I A T1(T1a,T1b,T1c) N0 M0

Stage I B T2 N0 M0

Stage II A T3 N0 M0

Stage II B T1(T1a,T1b,T1c),T2,T3 N1(N1a,N1b) M0

Stage III T4 Any N M0

Stage IV Any T Any N M1

Tis:上皮内癌

(3)

3.膵癌の分子機序

 浸潤性膵管癌の大部分は,微小な膵管分枝 を発生母地とした前癌病変である膵上皮内腫 瘍性病変(pancreatic intraepithelial neoplasia:

PanIN) から発生する.2001 年に提唱された PanIN分類原案では,異型の程度によりPanIN-1  A/B(軽度異型),PanIN-2(中等度異型),PanIN-3

(高度異型)の 3 段階に分類された.PanIN-1 は

KRAS

遺伝子の活性化変異とテロメア長の短縮,

PanIN-2 では癌抑制遺伝子

CDKN2/P16

の変異や 欠失による機能異常が加わり,PanIN-3 には腫 瘍抑制遺伝子

TP53

の異常,次いで

SMAD4

の欠 失等による発現消失がみられる(図 2)5).これ ら遺伝子異常の蓄積と膵癌の進展は密接に関連 しており,マウスの各種遺伝子改変モデルにお いて,この多段階発癌モデルが実証されてい る.2014年の国際コンセンサス会議では,切除 を想定した臨床的有用性からPanINはlow grade  PanINとhigh grade PanINの 2 段階に再分類され た.「膵癌取扱い規約 第7版」では,この2段階

分類が採用されている1)

 癌遺伝子の活性化と癌抑制遺伝子の機能消失 によって異型度を増した上皮内病変は,増殖と 共に悪性ポテンシャルの高いクローンが選択さ れる.そのような細胞は上皮間葉転換(epitheli- al-mesenchymal transition:EMT)と呼ばれる形 態変化,すなわち,上皮細胞間の接着や細胞極 性を失い,高い細胞遊走能,浸潤能を獲得して 間葉系細胞様となり,ついには上皮基底膜を 破って間質浸潤や遠隔転移を起こす(図 3)6). Yachidaらは,遺伝子変異のパターンや腫瘍の増 殖速度等から,膵管上皮に遺伝子異常が誘導さ れてから,膵癌の親クローンが生じるのに約12 年,浸潤性クローンが分化・増殖するのに約 7 年,転移クローンの発生と増殖による全身進展 により死に至るまで約 3 年を要すると推定して いる7).浸潤癌発生までの時間がかなり長いこ とが示唆され,治癒可能な段階での膵癌の診断 に希望を与える.

 EMTの過程において癌細胞周囲の膵星細胞が 活性化され,細胞外基質を産生してdesmoplasia 図1 腫瘍径別にみた生存率(Egawa S, et al:Pancreas, 2012)

MST:median survival time

1 cm 未満

5%

1~2 cm

2 cm 以上が95%

2~4 cm 4~6 cm 6 cm以上

Log rank:p<0.0001 1.0

0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0

Cumulative Survival

0 12 24 36 48

Time after initial treatment(month)60 72 84 96 108 120 N MST 1-yr 3-yr 5-yr TS1a(3-10 mm) 189 ― 96.5% 81.9% 80.4%

TS1b(10-20 mm) 962 59.5 84.0% 59.1% 50.0%

TS2(2-4 cm) 9657 13.1 53.0% 22.0% 15.4%

TS3(4-6 cm) 6581 7.6 32.3% 11.2% 8.4%

TS4(>6 cm) 5553 5.1 22.3% 9.5% 7.8%

(4)

を形成する.膵癌細胞と膵星細胞は液性因子を 介して,あるいは直接刺激によって相互に作用 を及ぼし,癌の微小環境を形成すると考えられ る(図 4).しかし,癌周囲の線維化が膵癌の進 展や転移に促進的に働くのか,抑制的に働くの かについては議論が分かれる.膵星細胞培養上 清を膵癌細胞株に添加すると癌細胞の形態変化 と共に,上皮細胞マーカーの発現低下,間葉系 細胞マーカーの増強がみられる.また,癌幹細 胞の特徴であるスフェロイド形成や癌幹細胞 マーカーの発現上昇が観察されることから,膵 星細胞はIL(interleukin)-6 等の液性因子を介し 図2 膵発癌の分子機構:多段階発癌モデル

正常上皮 PanIN-1A PanIN-1B PanIN-2 PanIN-3 K-ras

p16

p53 Smad4

図3 上皮間葉転換(EMT)

基底膜

細胞外基質

間質細胞活性化 膵癌細胞

サイトカイン/ 増殖因子 上皮細胞マーカー 間葉系マーカー 細胞遊走能

図4 膵癌の微小環境

星細胞 膵癌細胞

間質

(5)

て,癌細胞の浸潤,転移を促進する可能性が示 されている.一方では,sonic hedgehog(SHH)

伝達因子のノックアウトによる長期的なシグナ ル抑制,

α

―平滑筋アクチン(

α

-SMA)を標的と した星細胞除去によって未分化癌の発生と遠隔 転移が増強され,膵癌モデルマウスの生存期間 が明らかに短縮する.このような結果は,癌間 質が膵癌進展に抑制的に働く可能性を示唆する.

4.危険因子とバイオマーカー

1)危険因子

 膵癌の危険因子として,膵癌家族歴や家族性 膵癌などの家族歴,遺伝性膵炎や遺伝性乳癌卵 巣癌症候群,Peutz-Jeghers症候群,家族性異型 多発母斑黒色腫症候群,遺伝性非ポリポーシス 大腸癌(Lynch症候群),家族性大腸腺腫ポリ ポーシス等の遺伝性疾患,糖尿病,慢性膵炎,

膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍(intraductal papillary  mucinous neoplasm:IPMN),膵囊胞,肥満等の 合併疾患,嗜好としての喫煙,大量飲酒,塩素

化炭化水素暴露に関わる職業等が挙げられてい る(表 3).リスクファクターを有する場合に は,膵癌を念頭に置いたスクリーニングを定期 的に行うことが望ましい2)

◆トピックス 1:IPMNは膵癌の危険因子  IPMNは膵癌の発癌母地と考えられている.

IPMN由来浸潤癌は約半数が主膵管型IPMNに,

約半数が分枝型IPMNに発生し,組織型は約1/3 が粘液癌である8).一方,IPMNに合併する併存 癌はその約 90%が分枝型IPMNに発生し,組織 型は管状腺癌が大多数を占める.1 cm未満の分 枝型IPMNを平均 87 カ月経過観察した報告で は,通常型膵癌の年間発生率は1.1%と推定され ている9)

2)バイオマーカー

(1)CA19-9

 CA19-9は,現在でも臨床上最も有用な膵癌の バイオマーカーである.糖鎖LewisaのN端にシア ル酸が結合した糖鎖抗原で,膵癌や胆道癌等で 陽性率が高いが,大腸癌,肺癌,乳癌等でも陽 性を示す.Lewis陰性血液型の患者では検出不能 表3 膵癌リスク(日本膵臓学会:膵癌診療ガイドライン 2016年版)

家族歴 家族性膵癌 散発性膵癌

6.79倍

家族の膵癌発症者が50歳未満では9.31倍 1.70~2.41倍

遺伝性

遺伝性膵炎 遺伝性膵癌症候群  遺伝性乳癌卵巣癌症候群  Peutz-Jeghers症候群

 家族性異型多発母斑黒色腫症候群  家族性大腸腺腫ポリポーシス  遺伝性非ポリポーシス大腸癌

60~87倍 4.1~5.8倍 132倍13~22倍 4.4倍~8.6倍

合併疾患 糖尿病肥満 慢性膵炎 IPMN

1.94倍

20歳代にBMIが30 kg/m2以上の男性では3.5倍 診断から4年以内は14.6倍

診断から5年以降は4.8倍 分枝型では年間1.1~2.5%

嗜好 喫煙

アルコール 1.68倍,喫煙本数と相関

3ドリンク以上で1.22倍

職業 塩素化炭化水素曝露 2.21倍

BMI:body mass index

(6)

になること,胆道閉塞,胆管炎,肝硬変や糖尿 病等でも上昇し,偽陽性を示す欠点がある.早 期膵癌のスクリーニングに有用性はなく,術 前・術後の測定による患者の予後予測,化学療 法の有効性や再発のモニタリングに用いられて いる.糖鎖抗原を利用した他の膵癌バイオマー カーに,DUPAN-2,Span-1,CA125 等があり,

DUPAN-2 はLewis陰性でCA19-9 が偽陰性を示す 例に有用とされる.癌胎児性抗原CEA(carci- noembryonic antigen)の膵癌に対する感度は30

~92%,特異度は 58~95%である.

(2)新規バイオマーカー

 小膵癌に対するCA19-9の感度,特異度は低く,

早期診断には適さない.研究段階ではあるが,

新規バイオマーカーの探索が検討されている.

 miRNA(micro RNA(ribonucleic acid))は 17

~25 個のヌクレオチドからなる蛋白をコード し な いnoncoding RNA(ribonucleic acid) で あ り,mRNA(messenger RNA)発現を抑制性に制 御し,発癌や転移の調節に重要な役割を果た す.腫瘍細胞からは脂質二重膜で覆われた微細 小胞(micro-vesicle)に含有されて分泌される ため,体液中において安定であり,血液,唾液,

尿,便等で測定が可能である.膵癌に特異性が 高い複数のmiRNAあるいはその組み合わせ診断 の有用性が報告されており,単独またはCA19-9 との併用による早期段階にある膵癌の診断に期 待が寄せられている.網羅的miRNA解析チップ の開発も進められている.

 担癌患者の血中には,癌病巣から遊離した腫 瘍細胞あるいは微小な腫瘍細胞塊が循環してい ることが明らかにされており,血中循環腫瘍 細 胞(circulating tumor cells:CTC) あ る い は 循環微小腫瘍塞栓子(circulating tumor  micro- embolus:CTM)と呼ばれる.その頻度は,血 液細胞 109個あたり 1 個とされ,高効率な検出 装置の開発が必須である.最近,渦流の発生と EpCAM(epithelial cell adhesion molecule)抗体 で内面コーティングした微小回路を用い,高効

率にCTCを捕捉する装置が開発された.膵癌で は,CTMの検出頻度が予後に関連するとの報告 がみられる.

 一方,血中には細胞フリーのDNA(deoxyribo- nucleic acid)が循環していることが古くから知 られており,cell  free DNA(cfDNA)と呼ばれ る.腫瘍はその全DNAの3.3%を毎日血中に分泌 するとされ,腫瘍由来のcfDNA,すなわち,血 中循環腫瘍DNA(ctDNA)を検出する試みがあ る.ctDNA量はcfDNAの1%未満と想定されてお り,高感度の検出法が必要であった.近年のデ ジタルPCR(polymerase chain reaction)法の開 発や次世代シークエンサーとの組み合わせによ り,血中cfDNAのうち

KRAS

変異をマーカーとし たctDNA検出とディープシークエンスによる治 療標的遺伝子の検出が報告され,膵癌に対する

「precision medicine」の開発が期待される.

5.臨床症状・所見

 初発症状として,腹痛,黄疸,腰背部痛,体 重減少,消化不良等が多い.膵頭部癌では,約 半数に腹痛,黄疸,体重減少が認められるが,

体部及び尾部癌では,腹痛が約90%と高率であ る.無症状の膵癌は約15%あり,腫瘍径が2 cm 以下の場合,約 24%が腹痛を有し,約 18%が 無症状である.急激な糖代謝異常を契機に膵癌 と診断される症例がみられる.新規発症の糖尿 病や急な血糖コントロール悪化例では,膵癌の 可能性を念頭に置く.腫瘍により主膵管や分枝 膵管が狭窄または閉塞すると,尾側膵に急性膵 炎を併発することがある.アルコール多飲や胆 石等がない初発の急性膵炎症例,特に高齢者で は,原因として膵癌の可能性も考慮し,各種画 像検査を確認する.膵頭部癌では,腫瘍進展と 共に閉塞性黄疸が認められる.胆道通過障害に よる圧痛のない胆囊腫大は,Courvoisier徴候と して知られる.癌が膵周囲の神経叢に浸潤する と高度な背部痛,腹痛を生じ,時に下痢,便秘

(7)

等の便通異常を生じる.消化管への膵癌の浸潤 は悪心・嘔吐の原因となり,消化管内腔に癌が 露出すると消化管出血を起こすことがある.癌 性腹膜炎を併発した場合は,腹水や消化管の蠕 動運動の低下,イレウス様症状が見られること もある.

6.診断

 膵癌診療ガイドライン 2016 が提唱する膵癌 診断のアルゴリズムを示す(図 5)2).臨床症状 や血液検査,膵癌危険因子,超音波検査(ultra- sonography:US)所見から膵癌が疑われる場 合,造影CT(computed tomography),造影MRI

(magnetic resonance imaging), 超 音 波 内 視 鏡

(endoscopic ultrasonography:EUS) の い ず れ か,または組み合わせ診断が推奨される.

1)US/CT/MRI/EUS

 USは簡便で侵襲のない安全な検査であり,膵 癌のスクリーニングに推奨される[D1:推奨の 強さ2/エビデンスレベルC].外来診療や健診に おいて有用である.造影USは膵癌の診断能を向 上させる.膵癌の詳細な画像診断には造影CTま た はMRI(MRCP(magnetic resonance cholan-

giopancreatography)),あるいは両者の組み合 わせが用いられる[D2―1:1/B].CTは病変の 大きさ,位置や広がりが捉えられるばかりでな く,造影効果により病変の血流動態が把握でき るため,質的診断において欠くことができない 検査である.多列検出器CT(MDCT(multidetec- tor computed tomography))による,単純,動 脈相,膵実質相,門脈相による多時相撮影,

3 mm以下の薄層撮影と,必要に応じて多断面再 構築が望ましい.膵癌の存在診断のみならず,

血管浸潤等の進展度診断に関しても感度 85~

100%,特異度 82~92%と報告されている.3 テスラの高分解能のdynamic MRIによる膵癌診 断能は造影CTとほぼ同等の感度,特異度を有す る.拡散強調画像やMRCPによる膵管像の評価 が可能な点も,MRIの利点である.

 EUSは,他の画像診断と比べて高感度に膵癌 診断が可能であり,膵癌を疑ったときには行う ことが薦められる[D2―2:2/B].他の画像検査 で同定が困難な小さな病変の診断に優れ,直径 20 mm以下の病変に対する検出感度は,CTで40

~67%,MRIで 33%に対し,EUSは 90~100%

と高い.他の画像で検出できない小病変を認め た場合には,造影ドプラ法,造影ハーモニック 法,エラストグラフィ等を用いた画像エンハン スメントにより,他の腫瘍性病変との鑑別が行 える.

2)ERCP/PET(positron emission tomography)

 US,CT,MRI,EUS等で診断困難な場合にERCP が選択される[D3―1:2/B].ERCPで膵管の限 局的な狭窄,狭窄部の分枝膵管の描出不良を確 認 し た 後 に, 内 視 鏡 的 経 鼻 膵 管 ド レ ナ ー ジ

(endoscopic  nasal  pancreatic  drainage:ENPD)

を留置して複数回,膵液細胞診を行うことが膵 上皮内癌の術前診断に有用と報告されている.

比較的長い主膵管の狭細像で,上流膵管の拡張 の程度が軽い場合や主膵管の多発狭細像では,

自己免疫性膵炎も想定して鑑別診断を行う.

図5 膵癌診断のアルゴリズム

(日本膵臓学会:膵癌診療ガイドライン2016年版)

造影CT and/or 造影MRI(MRCP)and/or EUS

ERCP and/or PET

細胞診/組織診 ERCP, EUS,US,CT 診断確定

臨床症状,膵酵素/腫瘍マーカー /リスクファクター /US

(8)

 膵癌診断における良悪性の鑑別にPET(PET/

CT)が有用とされる[D3―2:2/C].感度は90%

程度と高いが,2 cm以下の小膵癌の検出能や微 小な遠隔転移の診断には限界がある.

3)細胞診/組織診

 超音波内視鏡下穿刺吸引法(endoscopic ultra- sound-guided fine  needle  aspiration:EUS-FNA)

の膵癌診断能は感度約 90%,特異度 96%と高 く,膵癌の病理診断法としては第一選択とされ るべき検査法である[D3―3:2/C].現在は保険 収載された診断手技である.採取検体の

KRAS

遺 伝子変異解析は病理学的補助診断と位置付けら れる.EUS-FNAによる進行膵癌の病理診断は,

他腫瘍との鑑別による適切な治療薬の選択にも 有用である.一方,EUSによる正確な診断には 熟練を要するため,消化器一般診療においては 未だ十分普及していない点が課題である.ERCP 下の膵液細胞診,ブラシ細胞診の膵癌に対する 感度は低く,偶発症としての急性膵炎も問題と なる.

4)病期分類と切除の可否

 膵癌に対して根治が得られる可能性のある唯 一の治療法は外科切除であり,切除適応の可否 を判断する病期診断が極めて大切になる.最も 重要な因子は主要血管への浸潤と遠隔転移の有 無である1).ガイドライン2016では,膵癌の病 期分類に造影MDCT/造影MRI(拡散強調を含む)

のいずれか,または両者を行うことが推奨され ており[D4:1/B],必要に応じてEUSを追加す る[D4:2/B].肝転移,腹膜播種の評価には PET(PET/CT)や審査腹腔鏡を必要に応じて行 う[D4:2/B].

 膵癌切除の可能性は,切除可能(R:resect- able), 切 除 可 能 境 界(BR:borderline resect- able),切除不能(UR:unresectable)の 3 群に 分類される.大血管浸潤がなく,標準切除によ り,肉眼的(R2)にも組織学的(R1)にも癌遺

残がないR0 切除が可能なものがR膵癌,遠隔転 移がある,あるいは多臓器浸潤や大血管浸潤を 伴い,標準切除では肉眼的に癌遺残が生じるR2 切除となるものがUR膵癌であり,BR膵癌とは標 準切除のみではR0 達成が困難なものと考えら れる.「膵癌取扱い規約  第 7 版」1)では,切除後 の予後の違いから,BR膵癌が門脈系への浸潤の みが見られるBR-PVと,動脈系への浸潤がある BR-Aに分類された.ガイドライン 2016 は,膵 癌の局所浸潤の程度をMDCTで評価することを 推奨し[D5:1/B],必要に応じてEUSを行うよ う提案している[D5:2/B].遠隔転移の有無に ついては,造影MDCT/造影MRI(拡散強調画像 を含む)または両者を用いた評価が推奨され

[D5:1/B],これらを用いても遠隔転移が見つ からない場合に,必要に応じてPET(PET/CT)/

審査腹腔鏡のいずれか,または両者による評価 が行われる[D5:2/B].

◆トピックス 2:早期膵癌の臨床的特徴

 最近,国内14施設で集積された40例のStage  0,119例のStage I症例に関する臨床的特徴が報 告された10).平均年齢は68.5歳,男女比は1.24 で男性に多く,危険因子としては,糖尿病,喫 煙が約 30%,IPMNが 25%,飲酒や慢性膵炎が 12~14%の症例に見られ,膵癌家族歴を有する ものは3.8%であった.受診時に症状を有するも のが23.9%,健診による異常指摘が17.0%,他 疾患のスクリーニング中の異常指摘が53.5%の 症例の受診契機であった.CTでは77.7%の症例 に膵管拡張が指摘されており,腫瘍の描出は 58.0%,膵実質の脂肪化が41.4%に認められた.

一方,Stage 0症例に限ると,97.5%にERCPが行 われ,EUSによる診断は 12.5%と限定的であっ た.予後は比較的良好で,Kaplan-Meier法によ る解析では,Stage 0,Ia,Ib(UICC(Unio Inter- nationalis Contra Cancrum)分類による)の全生 存率はそれぞれ 90.0%,86.7%,81.6%であっ た.一方では,14.5%の患者で切除後の経過中 に残膵に膵癌が発生したことが明らかとなり,

(9)

新たな問題を提起している.

7.治療

 膵癌診療ガイドライン 2016 で推奨される膵 癌治療のアルゴリズムを示す(図 6)2).切除可 能膵癌(R)に対しては外科切除[RS1:1/B]

と術後補助化学療法が推奨される[RA4―1:1/

A].切除可能境界膵癌(BR)に対しては,術前 補助療法が切除率及びR0率を向上し,予後改善 につながる可能性がある[RS3:-/B].局所進 行または遠隔転移がある切除不能膵癌(UR)に 対しては,化学放射線療法[LAR1―5]や化学療 法[LAC1―4,MC1―3]が選択される.

1)外科治療

 膵癌患者は,診断時にすでに局所療法の限界 を超えていることが多く,切除のみで治癒する 症例は非常に少ない.膵癌に対する切除は,全 身療法である化学療法と組み合わせた集学的治 療の一部分と考えるべきである.化学療法の確 立に伴い,切除後補助療法を行うことで,再発

率を低下させ,生存率が向上することが大規模 比較試験で証明されている[RA4―1:1/A].我 が国で行われたJASPAC-01試験11)で,S-1療法が ゲムシタビン塩酸塩(gemcitabine:GEM)療法 に比べ,有意に生存率を改善したため,膵癌診 療ガイドラインでは,根治切除後の補助療法と してS-1 単独療法が推奨された[RA4―2:1/A].

S-1に対する忍容性が低い症例には,GEM単独療 法が用いられる[RA4―3:1/A].外科術式とし ては,膵癌の発生部位や進展度により,膵頭切 除や尾側膵切除,膵全摘が行われる.膵癌は周 囲リンパ節や膵外神経叢浸潤を伴うため,所属 リンパ節及び膵外神経叢(周囲結合織)の郭清 を伴う膵切除が標準術式である.拡大リンパ 節・神経叢郭清は生存率向上に寄与しないこと が明らかにされている[RS7:1/B].膵頭切除,

膵 全 摘 共 に 胃 温 存 術 式 が 主 流 と な っ て い る

[RS5:2/B].

2)全身化学療法

 切除不能例に対する化学療法の目的は予後の 延長と症状緩和が基本であり,治癒を目指すも 図6 膵癌治療のアルゴリズム

診断確定

cStage 0,Ⅰ cStage Ⅱ cStage Ⅲ cStage Ⅳ

切除可能 切除可能境界

(BR) 切除不能

(局所進行) 切除不能

(遠隔転移あり)

外科的療法 化学放射線療法 化学療法

補助療法

ステント療法,バイパス療法,放射線療法,緩和療法 補助療法

(10)

のではない.現在,膵癌に有効性が確認されて いる化学療法には,GEM単独治療,S-1 単独治 療,GEM+S-1併用療法,GEM+エルロチニブ塩 酸塩併用療法,FOLFIRINOX療法(5-FU+ホリ ナートカルシウム+イリノテカン+オキサリプ ラチン),GEM+ナブパクリタキセル(G-nP)療 法がある.膵癌診療ガイドライン2016は,遠隔 転移を有する膵癌には,FOLFIRINOX療法または G-nP療法を推奨する[MC1―1:1/A].これらが 適さない患者には,GEM単独,GEM+エルロチ ニ ブ 併 用 ま た はS-1 単 独 療 法 が 推 奨 さ れ る

[MC1―2:1/A].局所進行切除不能膵癌に対す る一次化学療法としては,GEM単独,S-1 単独,

FOLFIRINOX療法またはG-nP療法が提案されて おり[LAC1―1:2B/C],GEM+S-1併用も症例に よっては考慮されてよい[LAC1―2:-/-].化 学放射線療法には,S-1単独またはGEM単独と放 射線療法の併用が提案されている[LAR1:2/B].

3)放射線療法

 放射線療法は,局所進行切除不能膵癌の局所 制御[LAR1―1:2/B,LAR5―1,2:-/B,C]や 骨転移による疼痛緩和に推奨される[MR1:1/

A].前者の場合,放射線単独よりも転移予防を 考慮した化学放射線療法が行われる.放射線治 療には三次元照射計画を行い,腫瘍に対する正 確 な 照 射 と 正 常 臓 器 の 照 射 線 量 低 減 を 図 る

[LAR1―2:1/B].

8.今後の展望

1)術前化学(放射線)療法

 化学(放射線)療法を手術に先行して行う術 前補助療法の有効性が検討されている.利点 は,術後補助療法に比べて患者の全身状態が良 好であるため,化学(放射線)療法へのコンプ ライアンスが良好であること,微小転移の制御 や癌の進行度を下げ,切除率の向上が期待で

き,治療成績が改善する可能性があること,癌 細胞の術中遺残や散布を減らせる可能性がある こと,術前治療の薬剤感受性から術後補助化学 療法の薬剤選択に応用できること等がある.一 方,術前補助療法に効果がなかった場合に外科 切除の機会を失う可能性,術前の化学(放射線)

療法により周術期合併症のリスクを上昇させる 可能性がある.現在,国内では切除可能膵癌を 対象として,手術先行群とGEM及びS-1併用によ る術前治療群を比較する多施設共同ランダム化 第III相試験(Prep-02/JSAP-05)やBR膵癌に対す るGS放射線併用療法を用いた術前放射線化学 療法の第I相/第II相臨床試験(Prep-03/NSO14―

1)が進行中である12). 2)膵癌幹細胞

 癌腫を構成する細胞は均一ではなく,一部に 癌幹細胞と呼ばれる自己複製能と多分化能を有 し,癌の特徴を強く示す細胞があると考えられて いる.癌幹細胞は細胞周期進行が遅く,細胞周 期の静止期に存在し,腫瘍形成能が高い.癌幹 細胞は自己と同じ性質を持つ細胞と,多様な癌 細胞に分化する前駆細胞に不均等に分裂するこ とができるが,非癌幹細胞は多分化能を持たず,

非癌幹細胞から癌幹細胞が生じることはない.

癌幹細胞と非癌幹細胞に形態的な違いはなく,

細胞表面マーカーで識別される.CD44CD24 ESAの 三 者 陽 性 細 胞 群,CD133細 胞 群 や CD44c-MET,ALDH陽性細胞群に膵癌幹細胞 の比率が高いが,膵癌組織中のこれらマーカー 陽性細胞は 0.2~5%程度とされる.膵癌の克服 のためには,癌幹細胞を特異的に制御する治療 法の開発が求められる.表面マーカーに対する 抗体,増殖シグナルの抑制,代謝経路の遮断等,

新たな薬剤の開発が検討されている(表 4)13). 3)免疫チェックポイント阻害薬

 非小細胞肺癌,悪性黒色腫,腎細胞癌等に 対する免疫チェックポイント阻害薬の有効性

(11)

が示され,注目を浴びている.T細胞にはPD-1

(programmed cell death 1)やCTLA-4(cytotoxic  T-lymphocyte-associated antigen 4)等の「免疫 チェックポイント分子」が備わっている.抗原 刺激により活性化したT細胞にはPD-1 が高発現 し, リ ガ ン ド で あ るPD-L1(programmed cell  death 1 ligand 1)と結合することによって過剰 な免疫系の活性化が抑制される.癌細胞は細胞 表面にPD-L1 を発現し,T細胞上のPD-1 を介し てT細胞を抑制し,T細胞による自らへの攻撃を 回避する免疫逃避機構を有する.PD1,PD-L1や CTLA-4 に対するモノクローナル抗体はT細胞の 抑制シグナルをブロックし,その腫瘍障害活性 を高めて癌を死滅させようとする画期的な治療 法であり,膵癌に対する効果が期待された.し

かし,各種癌患者に抗PD-L1 抗体を投与した臨 床研究では,膵癌に対する効果は認められな かった14)

 膵癌患者で免疫チェックポイント阻害薬が無 効な理由として,膵癌の腫瘍中でT細胞数が特 異的に減少していることが挙げられる.膵星細 胞が分泌するIL-6 とそれによって活性化する STAT3(signal  transducer  and  actibator  of  tan- scription  3)シグナルや,活性化好中球や骨髄 由来免疫抑制細胞(myeloid-derived suppressor  cells:MDSC)がケモカイン受容体CXCR2 を介 してT細胞遊走を阻止する結果が膵癌動物モデ ルで示されている(図 7).抗IL-6 抗体と抗PD-1 抗体の組み合わせ,CXCR2阻害薬と抗PD-1抗体 の組み合わせが,膵星細胞の活性化を抑制し,

腫瘍内T細胞数を増加させて膵癌モデル動物の 生存を有意に延長させる結果も示されており,

膵癌に対する免疫療法には腫瘍の微小環境への アプローチが重要であることを示唆している.

4)膵臓認定指導医制度

 近年,我が国では高齢化に伴い,膵癌の罹患 数が急速に増えており,また,膵癌や重症急性 膵炎によって死亡する有名人の報道が相次ぎ,

一般市民の膵疾患への関心が高まっている.こ 表4 膵癌幹細胞制御薬の開発

薬剤名 作用

XL184 c-Met 阻害薬 SB431542 Alk4/7 阻害薬

Anti-DLL4 DLL4 阻害抗体 MRK-003 γ-secretase阻害薬 CUR199691 Smoothened 阻害薬 Quercetin 不明

図7 膵癌細胞の免疫逃避機構 膵癌細胞

膵星細胞

骨髄由来抑制細胞 細胞障害性T細胞 MDSC

のリクルート

免疫抑制 IL-6,STAT-3 CXCR2

EMT

IL-6,STAT-3

抗PD-1抗体 抗PD-L1抗体

(12)

れまで膵疾患に関する専門医制度は設けられて おらず,膵疾患が疑われた場合の紹介先や相談 窓口が解りにくい現状があった.また,小膵癌 の発見に重要なEUSの普及率が十分でないた め,膵癌高リスク群や膵癌が疑われた症例を精 査する診療体制の整備が求められている.診療 ガイドラインは,手術関連合併症の低下,全死 亡率の低下の視点から,膵癌の手術は手術例数 の多い施設で行うことを提案している[RS2:

2/B]2).このように,膵疾患の専門医,専門施 設の必要性が高まっており,日本膵臓学会は「認 定指導医制度」の準備を進め,2020年からの本 格実施を目指している.

おわりに

 「膵癌取扱い規約  第 7 版」および「膵癌診療 ガイドライン 2016 年版」を中心に,膵癌診療 の現状について概説した.また,今後の展望と して,臨床研究が進行中の術前化学(放射線)

療法,膵癌幹細胞へのアプローチ,免疫チェッ クポイント阻害薬の課題,そして,より効率的,

効果的な膵癌診療の体制作りについて触れた.

膵癌克服のために,画期的早期診断法や革新的 治療法の開発が待たれる.

著者のCOI(conflicts of interest)開示:下瀬川徹;寄附 金(アステラス製薬,エーザイ,LSIメディエンス,大塚 製薬,サンメディックス,鳥居薬品)

文 献

1) 日本膵臓学会編:膵癌取扱い規約.第 7 版,金原出版,東京,2016.

2) 日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会編:膵癌診療ガイドライン 2016 年版.第 4 版,金原出版,東京,

2016.

3) 田中雅夫,他:膵癌登録報告 2007.膵臓 22 : e1―427, 2007.

4) Katanoda K, et al : An updated report on the trends in cancer incidence and mortality in Japan, 1958-2013. Jpn  J Clin Oncol 45 : 390―401, 2015.

5) Egawa S, et al : Japan pancreatic cancer registry ; 30th year anniversary : Japan Pancreas Society. Pancreas 41 :  985―992, 2012.

6) 佐藤賢一,下瀬川徹:膵癌の病因と病態:膵癌発生から悪性化の分子機序.日内会誌 101 : 7―16, 2012.

7) Yachida  S,  Iacobuzio-Donahue  CA : Evolution  and  dynamics  of  pancreatic  cancer  progression.  Oncogene  32 :  5253―5260, 2013.

8) Yamaguchi  K,  et  al : Pancreatic  ductal  adenocarcinoma  derived  from  IPMN  and  pancreatic  ductal  adenocarci- noma concomitant with IPMN. Pancreas 40 : 571―580, 2011.

9) Uehara H, et al : Development of ductal carcinoma of the pancreas during follow-up of branch duct intraductal  papillary mucinous neoplasm of the pancreas. Gut 57 : 1561―1565, 2008.

10) 菅野 敦,他:膵癌早期診断の現状―膵癌早期診断研究会における多施設研究の結果をもとに―.膵臓 32 : 16―

22, 2017. 

11) Uesaka K, et al : Adjuvant chemotherapy of S-1 versus gemcitabine for resected pancreatic cancer : a phase 3,  open-label, randomised, non-inferiority trial(JASPAC 01). Lancet 388 : 248―257, 2016.

12) 海野倫明,元井冬彦:膵癌術前化学療法の進歩と展望.膵臓 29 : 873―877, 2014.

13) Abel EV, Simeone DM : Biology and clinical applications of pancreatic cancer stem cells. Gastroenterology 144 :  1241―1248, 2013.

14) Brahmer JR, et al : Safety and activity of anti-PD-L1 antibody in patients with advanced cancer. N Engl J Med  366 : 2455―2465, 2012.

 

参照

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