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鋼床版橋に発生した実き裂を用いた疲労き裂の進展予測手法の検討

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Academic year: 2022

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鋼床版橋に発生した実き裂を用いた疲労き裂の進展予測手法の検討

阪神高速技術株式会社 正会員○塚本 成昭・正会員 山上 哲示 株式会社共和電業 正会員 上杉 太郎・正会員 津田 仁 株式会社ニューテック 正会員 藤田 成敏

1.はじめに

近年鋼床版の疲労損傷が多数発見され問題となっている1).これらは,累積軸数の高まりとともに増大する ため,今後も発生の増大や進展が予想されている.

この鋼床版の疲労損傷は,デッキ貫通き裂のように路面陥没の原因となり第三者災害を引き起こすものや,

第三者災害を引き起こさないまでも局部的な耐荷力の低下の原因となるものまで,さまざまな形態があること が知られている.そのため,限られた維持管理予算の中で,この疲労損傷を適切に優先順位付けて,処置(経 過観察・補修・補強)することが強く求められている.

疲労損傷は動くものであり,事実,疲労き裂の中には短期間のうちに大きく進展するものや,進展していた き裂でも収束するものもある.そのため,発見または点検時のき裂の長さだけでなく,進展速度も把握するこ とが可能になれば,今までよりも合理的な処置(補修・補強)の優先順位付けができるものと考えられる.

このようなことから,本研究ではリアルタイムで,き裂進展を把握可能とするモニタリングシステム2)を構 築し,疲労き裂の長さを監視した.更に,応力拡大係数

K

値に着目した疲労き裂の進展予測手法を,実測値 との比較により検証した.本論文では,これらの結果について報告する.

2.疲労き裂進展モニタリング

本研究で対象としたき裂は,U リブとデッキの溶接 線に発生した,ビードを貫通する 2 つのき裂を対象と した.これらのき裂は,過去の点検の都度進展が確認 さた.本研究では,ストップホールの施工までの約

10

ヶ月間,図-1 に示すクラックゲージと呼ばれる特殊ゲ ージによる,き裂の常時モニタリングを実施した.

モニタリングは

10

分毎に静的計測を行い,直ちに携帯 電話網を利用した伝送システムにより,サーバーに配信し た.サーバーに蓄積されたデータは,サーバーにアクセス することにより,いつでも,どこでも,誰でも入手できる.

この蓄積されたデータを処理することにより,進展量や進 展スピードが把握することができる.

計測結果を図-2に示す.停電や,一部のゲージの断線等 による欠損があるが,平成

22

2

月より

11

月まで

270

日 間計測を実施した.

図-2に示すように,き裂が進展した場合,素線が切断さ

れることからゲージの出力値は階段状を示す.これによりき裂の進展長および進展速度を把握することができ た.また,一部き裂では

6

月~10月にかけて大きく進展している.これは,夏期に舗装の剛性が低下し,鋼 床版に作用する応力が大きくなり,き裂の進展が促進されやすい状態になったものと推測でき,既往の研究3)

とも合致する.

キーワード 鋼床版,疲労き裂,進展予測,K値,モニタリング

連絡先 550-0005 大阪市西区西本町 1-4-1 オリックス本町ビル 阪神高速技術㈱ TEL06-6110-7310 42mm

32mm

き裂進展方向

7mm

18mm

図-1 クラックゲージ詳細 溶接ビード用 平面用

欠損期間

図-2 き裂進展モニタリング結果

き裂進展長さ[mm]

青:き裂3 Uリブ

赤:き裂3 デッキプレート

緑:き裂4 溶接ビード

紫:き裂4 デッキプレート

土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

‑233‑

Ⅰ‑117

(2)

3.疲労き裂進展予測手法について

き裂先端近傍付近の応力分布の強さを示す値として破壊力学 では応力拡大係数 K が用いられる.この

K

値を,直接実測する ためのゲージが

K

値ゲージ4)である.本研究では,この K 値を 一定期間実測し,得られたデータを評価することにより,き裂 の進展を予測することを試みた.

K

値ゲージを図-3に示す.K値ゲージは,4つのひずみ 検出部を

1

枚のゲージベース上に持ち,ゲージ中心をき裂 先端に合わせて貼り付けることにより,K値を実計測する ことが可能である.計測可能な

K

値はグリッド

No.1

2

による

KⅠ(モードⅠ)と,グリッド No.3

4

による

KⅡ(モ

ードⅡ)に対応する.

本研究では,図-2のき裂

3,き裂 4

の赤丸の部位に,K値ゲ ージを設置し計測を行った.計測はサンプリング周波数

1kHz

として,7 日間(168 時間)実施した結果を解析した.頻度分 布解析のフローを図-5に示す.解析にあたり,き裂長を入力す る必要がある.今回,図-4の通り,き裂

3

では溶接ビード部の き裂が方向転換して

U

リブ母材へ,き裂進展が見られた.その ため,き裂長さ

2a

を,①き裂先端から進展方向転換部までの

149mm,②き裂総延長 549mm

とした

2

種類で試算した.き裂

4

では,溶接ビード部からデッキプレートへ,き裂が進展してい たため,き裂先端から溶接ビード部の進展方向転換部まで

45mm

とした.解析は,K 値頻度分布結果をもとに,き裂進展 速度と進展長さを試算した.C,n,⊿Kh は文献 5)の数値を使 用した.表-1にクラックゲージによる

270

日間の実測進展長さ と,K値ゲージによる推定き裂進展長さの

270

日換算した結果 を示す.き裂

3,き裂 4

共に,計算値とクラックゲージによる き裂進展値が,最安全設計と平均設計との中間値となった.

4.まとめ

本研究で得られた結果をまとめる.

 クラックゲージを用いたモニタリングシステムを使用して,き裂進展を常時監視することが可能である.

 モニタリング結果より,き裂の実進展スピードが把握可能となる.

 夏期の舗装剛性低下による応力増大の影響により,き裂が大きく進展する場合がある.

 K 値ゲージを用いた計測・解析から,き裂の進展の実用的な精度での予測が可能である.

すなわち,点検後に K 値ゲージによる要注意き裂の選別を行い,クラックゲージで監視することにより,今 までより合理的な補修の優先順位付けが可能になると考える.

【参考文献】

1)

阪神高速道路(株),(財)阪神高速道路管理技術センター:阪神高速道路における鋼橋の疲労対策,

2012

3

2) 津田ら:鋼床版疲労き裂進展監視モニタリングシステム, 土木学会第 65 回年次学術講演会概要集,pp247-248,2010.9.

3) 例えば,岩崎ら: アスファルト舗装が鋼床版の疲労に及ぼす影響, 土木学会論文集,No.569/Ⅰ-39,pp.161-171,1997.4.

4) 近藤良之:日本機械学會論文集. A編 53495号, pp.1977-1982, 1987.11.

5)(社)日本鋼構造協会:鋼構造物の疲労設計指針・同解説(改定案), 2010. 12

グリッドNo.3 グリッドNo.1

グリッドNo.4 グリッドNo.2

12mm

8mm

-3 K値ゲージ詳細 き裂

K値測定点 K3U

①149mm

②549mm

デッキプレート

Uリブ

図-4 K値ゲージ設置詳細(き裂3)

モード

54mm ~ 78mm

6mm 6mm

16mm ~ 19mm

3mm 3mm

き裂 条件 初期

き裂長

予測長 実測長

予測長

32mm 平均設計

き裂4

最安全設計 45mm

4mm 0mm 0mm

平均設計 0mm

0mm き裂3

最安全設計 149mm

549mm

-1 き裂進展長さの試算結果 図-5 き裂進展速度の解析フロー 土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

‑234‑

Ⅰ‑117

参照

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