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しかし、池干しの効果を定量評価した事例はみ られない

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Academic year: 2022

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(1)土木学会東北支部技術研究発表会(平成27年度). VII-1. 池干しの温度と期間が 底質の溶存酸素消費に及ぼす影響 日本大学工学部 土木工学科 学生会員 ○佐野宏樹 日本大学工学部 土木工学科 正会員. 手塚公裕. 1. 研究背景・目的 伝統的な溜池の水質浄化法である「池干し」は、水を抜くのみと、低コストかつ簡便な方法であり、有機物の好気分解、酸 化作用によるリンの不活性化、ため池容量の増加などの効果が期待されている。既往の研究では、渡良瀬貯水池 1)の実証 実験等が行われており、底質による DO 消費の抑制効果が確認されている。しかし、池干しの効果を定量評価した事例はみ られない。また、池干しの実施時期(温度)、期間が定まっておらず水域により大きく隔たりがあり、不適切な管理で水質が悪 化する場合もある。本研究では、池干しの温度と期間を段階的に設定した管理条件で底質の DO 消費実験を行い、池干しの 温度と期間が底質の DO 消費に及ぼす影響を検討した。 2. 実験方法 2.1 池干しと底質分析の方法 実験に用いた底質は 2015 年 11 月 19 日に白河市南湖東部の有機分の多い場所で採取した。不撹乱柱状採泥器(HR 型、 離合社)を用いて複数回採取した底質の表層 15cm をよく混合し、異物を取り除き、2L のディスポーザブルカップに高さ 15cm まで詰めて池干しを行った。池干しの条件は、温度条件を 10℃、30℃に設定し、微細藻類による光合成等の影響を無くすた め暗条件とした。池干し期間は 0、1、5、10、20、30 日とした。池干し後の底質の含水率、強熱減量(有機分の指標)を底質調 査法(環境省)に従い測定した。 2.2 底質による DO 消費実験の方法 各条件で池干しした底質と各温度設定(10、30℃)でエアレーションして DO 飽和度 100%にした蒸留水を用いて、SS 濃度 0.5mg・L-1 の検水を作成し空気が入らないように 4L ガラス瓶に満たした。暗所で温度条件 10、30℃で静置し、0、1、2、3、4、5、 10、20、30 日目に DO 等の水質を測定した。また、池干し 0、30 日間の条件では、実験開始後 5、10、20、30 日目に DO 飽和 度が 100%となるように再曝気する条件を設定した。これは、池干し 0、30 日間の条件 の DO 濃度変化の最大値を把握するためである。 DO の測定は光学式携帯用溶存酸素計(MonoLine Oxi3310 型 WTW 社)を用い. 表-1 池干し条件 温度条件 明暗条件 池干し期間. た。 3. 底質分析の結果 底質の含水率、強熱減量の経日変化を図-1 に示す。30℃条件では、池干し 10 日 目まで表面に水が浮いており、10 日目を過ぎてから表面が空気に触れていた。含. 10℃. 30℃ 暗条件 0、1、5、10、20、30日間. 表-2 DO 消費実験条件 温度条件 明暗条件 再曝気条件 分析間隔. 10℃. 30℃ 暗条件 無・有(池干し0、30日間) 0、1、2、3、4、5、10、20、30日間. 30℃条件の含水率の減少は 30 日間で 57.4%、1 日あたりでは 1.98%であった。 30℃条件の強熱減量の減少は 30 日間で 7.0%、1 日あたりでは 0.24%であった。 10℃設定では、池干し 20 日目まで表面に水が浮いており、30 日目で表面が空気に 触れていた。含水率は一定の割合で減少した。10℃条件の含水率の減少は 30 日 間で 7.6%であり、1 日あたりでは 0.26%であった。10℃条件の強熱減量の減少は 30 日間で 1.0%であり、1 日あたりでは 0.08%であった。含水率、強熱減量は共に 30℃. 100. 40. 75. 30. 含水率(%). 10 日目を過ぎた頃から表面に加えて側面からの蒸発が生じたものと推測される。. 50. 20 含水率(30℃) 含水率(10℃). 25. 強熱減量(10℃). 0. 0. 10. 20 経過日数. 連絡先:〒963-8642 福島県郡山市田村町徳定字中河原 1 TEL:024-956-8724. 0. 30. 図-1 含水率、強熱減量の経日変化. 設定の方が減少しており、底質の有機汚濁を改善するためには温度の高い 30℃の方が効果的であると考えられる。 キーワード:池干し、溶存酸素消費、底質、溜池. 10. 強熱減量(30℃). 強熱減量(%). 水率は、池干し 10 日目までは緩やかに減少し、その後の減少は急になった。これは.

(2) 土木学会東北支部技術研究発表会(平成27年度). 4. DO 消費実験の結果. 8. 池干し 0 日間で 0.27mg・L-1・day-1、池干し 5 日間で 0.23 mg・L-1・day-1、池干し 10 日間 で 0.19mg・L-1・day-1、池干し 20 日間で 0.18 mg・L-1・day-1、池干し 30 日間で 0.13 mg・ -1. 7 6. DO濃度(mg・l-1). DO 濃度(30℃)の経日変化を図-2 に示す。実験 30 日間の平均 DO 消費速度は、. 5. 3 2 1 0. -1. L ・day であった。なお、池干し 0、1 日間の条件では DO 濃度が 0mg・L-1 に達した。. 0. DO濃度(mg・l-1). 12 11. 10 池干し0日 池干し1日 池干し5日 池干し10日 池干し20日 池干し30日 蒸留水. 9 8 7 6 0. 10. -1. 30 日間で 0.05 mg・L day であった。10、30℃の温度条件では共に、池干し期間が長. 12. DO濃度(mg・l-1). 10 8 6. 2. 再曝気した条件の DO 濃度を図-4 に示す。各条件における DO 濃度の減少速度は、 底質単位質量あたりの DO 消費量を正しく評価できないと考えられる。各条件の累積 DO 減少量を図-5 に示す。累積 DO 減少量は、30℃の池干し 0 日間の条件では、再曝 気をした方が大きかった。一方、30℃の池干し 30 日間の条件では、再曝気をしない方 が大きく、逆の傾向となった。今後は、この原因を明らかにし、底質単位質量あたりの. 0. 0. 5. 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0. 30. 30. ). ) 再曝気なし. 日. (30℃). 10℃. (30℃). 10℃. 日 (. 池 干 し. 30. 池 干 し 日. 0. 0. 日. (30℃). も加わるため、池干しの管理は日数ではなく、強熱減量か含水率を用いるのが妥当と. 25. 池 干 し. 池 干 し 日 (. 池 干 し. 再曝気あり. 図-5 累積 DO 減少量 DO消費速度(mg・l-1・day-1). おける強熱減量と DO 消費速度、10℃における含水率と DO 消費速度には正の相関が. 今回の池干し条件では温度のみの影響を考慮したが、現場では風、雨等の他の影響. (30℃). (10℃). (10℃). 日. 池 干 し 日. 30. 30. 0. 池 干 し. 1、5 日間のデータは条件設定が不十分であったため除外した。温度条件 10、30℃に. 要な池干し期間の選定に、強熱減量もしくは含水率を用いることが可能と考えられる。. 20. データ なし. 0. 池 干 し 日. 強熱減量、含水率と DO 消費速度の関係を図-6 に示す。なお、0℃設定の池干し 0、. これらのことから、目標とする池干し効果(底質による DO 消費の抑制)を得るために必. 15. 経過日数. データ なし. DO 消費量を正しく評価する方法を検討する予定である。. みられた。一方、30℃における含水率と DO 消費速度には曲線的な関係がみられた。. 10. 図-4 再曝気した条件の DO 濃度 累積DO減少量(㎎). 時間経過と共に変化することはなかった。従って、更に長期間の実験を行わなければ、. 池干し0日(30℃) 池干し30日(30℃) 池干し0日(10℃) 池干し30日(10℃). 4. 0.30. DO消費速度(mg・l-1・day-1). 様の結果となっている。. 30. 14. 分が少なかったためと考えられる。条件は異なるが、渡良瀬貯水池の池干し実証実験 においても、池干しによる底質の DO 消費の抑制効果が確認されており 、本実験と同. 20. 経過日数. 図-3 DO 濃度の経日変化. いほど DO 濃度の減少速度が小さくなった。これは、池干し期間が長いほど底質の有機 1). 30. 13. は、池干し 10 日間で 0.10 mg・L-1day-1、池干し 20 日間で 0.08 mg・L-1day-1、池干し -1. 20. 経過日数. 14. て、本実験により底質単位質量あたりの DO 消費量を正しく評価することはできない。 定温度よりも低下しており条件設定が不十分であるが参考値として示す。DO 消費速度. 10. 図-2 DO 濃度の経日変化. また、底質を入れた全条件で実験 30 日目では DO 濃度の減少が止まらなかった。従っ DO 濃度(10℃)の経日変化を図-3 に示す。池干し 0、1、5 日間の条件では初期に設. 池干し0日 池干し1日 池干し5日 池干し10日 池干し20日 池干し30日 蒸留水のみ. 4. 30℃ 0.25. 10℃. 0.20 0.15 0.10 0.05. 0.00 0.0. 10.0. 20.0. 強熱減量(%). 30.0. 0.30. 30℃. 0.25. 10℃. 0.20 0.15 0.10 0.05 0.00 0.0. 50.0. 100.0. 含水率(%). 考えられる。また、底質の概観(水の浮き具合やヒビ割れ状況等)と含水率の関係を把握. 図-6 DO 消費速度と強熱減. することで、底質分析を行わずに概観のみで池干し期間の継続、終了の判断ができる可. 量、含水率の関係. 能性がある。 5. まとめ 1)10、30℃の温度条件では共に、池干し期間が長いほど DO 濃度の減少速度が小さくなった。これは、池干し期間が長いほ ど底質の有機分が少なかったためと考えられる。 2)温度条件 10、30℃における強熱減量と DO 消費速度、10℃における含水率と DO 消費速度には正の相関がみられた。一 方、30℃における含水率と DO 消費速度には曲線的な関係がみられた。これらのことから、目標とする池干し効果(底質によ る DO 消費の抑制)を得るために必要な池干し期間の選定に、強熱減量もしくは含水率を用いることが可能と考えられる。 参考文献: 1)佐藤弘明、天野正秋(2009):貯水池の好気性保持およびリン溶出のための水位低下・干し上げに関する考察, ダム工学,19,pp.5-16. 謝辞:本研究では(公財)河川財団の平成 26 年度河川整備基金助成事業によって実施しました。また、実験試料の採取では、 白河市と(有)水月の竹内政美氏のご協力を頂きました。ここに記し謝意を表します。.

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