臨 床 的 同 等 性 評 価 と そ の 医 薬 品 開 発 へ の 応 用 に 関 す る 研 究
Evaluation of Clinical Equivalence and Its Application to New Drug Development 平 成 28 年度 論 文 博 士 申 請 者 塩 見 真 理 (Shiomi, Mari) 指 導 教 員 高 橋 晴 美
目 次 緒 言 ... 1 第1 章 治療効果を指標とした臨床的同等性の評価法及び統計的問題点の 検 討 ... 5 第 1 節 試験デザインの評価 ... 5 1.1 目 的 ... 5 1.2 方 法 ... 6 1.3 結 果 ... 7 1.4 考 察 ... 18 第 2 節 比率を対象にした検定の問題点の検討 ... 23 2.1 目的 ... 23 2.2 方法 ... 23 2.3 結 果 ... 29 2.4 考 察 ... 38 小 括 ... 41 第 2 章 日本人における抗HIV薬配合錠の血中濃度を効果の指標とした生 物 学 的 同 等 性 評 価 ... 42 第 1 節 生物学的同等性試験 ... 47 1.1 目的 ... 47 1.2 方法 ... 47
1.3 結果 ... 54 1.4 考察 ... 60 小 括 ... 62 第 3 章 日本人における抗HIV薬配合錠の軽食及び普通食摂取時の薬物動 態 の 評 価 ... 63 第 1 節 食事の影響を検討するための臨床試験 ... 65 1.1 目的 ... 65 1.2 方法 ... 65 1.3 結果 ... 70 1.4 考察 ... 78 小 括 ... 80 本 研 究 の 総 括 ... 81 謝 辞 ... 82 参 考 文 献 ... 83
Figure 一覧 Fig. 1 投与量と効果の関係にみられる変動の二重構造 ... 2 Fig. 2 対応のない 2 群比較における有意差検出率、平均検出力と個体間 変 動 の 関 係 ... 29 Fig. 3 同一被験者内比較における測定値の差 (a) または比率 (b) の有 意 差 検 出 率 、 平 均 検 出 力 と 個 体 内 変 動 の 関 係 ... 31 Fig. 4 個体内相関を考慮した同一被験者内比較における有意差検出率 ... 33 Fig. 5 同一被験者内比較においる比率の対数値の有意差検出率、平均検 出 力 と 個 体 内 変 動 の 関 係 ... 34 Fig. 6 観測値の差 (a)、比率 (b) および比率の対数値 (c) における平均 値 の 度 数 分 布 ... 35 Fig. 7 観測値の差 (a)、比率 (b) および比率の対数値 (c) におけるt 値の 確 率 密 度 分 布 ... 37 Fig. 8 血中エルビテグラビル濃度とHIVウイルス量の関係 ... 46 Fig. 9 クロスオーバー試験デザイン ... 49 Fig. 10 単一錠剤レジメン群及び複数錠剤レジメン群におけるエルビテ グ ラ ビ ル (A) 及びコビシスタット (B) の平均血漿中濃度推移 ... 55 Fig. 11 エルビテグラビル (A) 及びコビシスタット (B) の薬物動態パ ラ メ ー タ に お け る 投 与 製 剤 の 影 響 ... 58 Fig. 12 エルビテグラビル (EVG) の薬物動態に対する食事摂取の影響 ... 63 Fig. 13 3 群 3 期のクロスオーバーデザイン ... 67 Fig. 14 普通食 (Treat me nt A) 、空腹時投与時 (Treat me nt B) 及び脂質 含 有 (高蛋白) 栄養ドリンク剤摂取 (Treat me nt C) におけるエルビテ
グ ラ ビ ル の 平 均 血 漿 中 濃 度 推 移 ... 71 Fig. 15 普通食 (Treat me nt A) 、空腹時投与時 (Treat me nt B) 及び脂質
含 有 (高蛋白) 栄養ドリンク剤摂取 (Treat me nt C) におけるコビシス タ ッ ト の 平 均 血 漿 中 濃 度 推 移 ... 73 Fig. 16 普通食 (Treat me nt A)、脂質含有 (高蛋白) 栄養ドリンク剤摂取 (Treat me nt B) 及び空腹時投与時 (Treatme nt C) におけるエムトリシ タ ビ ン の 平 均 血 漿 中 濃 度 推 移 ... 74 Fig. 17 普通食 (Treat me nt A)、脂質含有 (高蛋白) 栄養ドリンク剤摂取 (Treat me nt B) 及び空腹時投与時 (Treatme nt C) におけるテノホビル の 平 均 血 漿 中 濃 度 推 移 ... 76
Table 一覧 Table 1 観察研究によって先発品とジェネリック医薬品 (GE) の臨床効 果 を 比 較 し た 論 文 概 要 ... 9 Table 2 介入研究により先発品とジェネリック医薬品 (GE) の臨床効果 を 比 較 し た 論 文 概 要 ... 13 Table 3 報告症例数と必要症例数の比較 ... 17 Table 4 エルビテグラビル及びコビシスタットの薬物動態パラメータ 56 Table 5 エルビテグラビル及びコビシスタットの薬物動態パラメータの 両 レ ジ メ ン で の 比 較 ... 59 Table 6 エルビテグラビル及びコビシスタットの薬物動態に対する普通 食 お よ び 脂 質 含 有 (高蛋白) 栄養ドリンク剤摂取の影響 ... 72 Table 7 エムトリシタビン及びテノホビルの薬物動態に対する普通食お よ び 脂 質 含 有 (高蛋白) 栄養ドリンク剤摂取の影響 ... 75
緒 言 新 規 薬 物 療 法 が 、 既 承 認 の 有 効 成 分 を 同 一 量 含 み 、 同 一 の 投 与 経 路 及 び 用 法 ・ 用 量 で 投 与 さ れ る も の の 製 剤 特 性 が 異 な る 場 合 、 当 該 療 法 が 既 存 の 治 療 と 代 替 可 能 で あ る こ と を 示 す に は 、 既 承 認 の 治 療 法 と 臨 床 的 な 同 等 性 を 確 認 す る 必 要 が あ る 。 一 方 で 効 率 的 か つ 倫 理 的 な 医 薬 品 開 発 を 行 う た め に は 、 目 的 に 応 じ た 必 要 最 小 限 の 臨 床 試 験 が な さ れ る べ き で あ る 。 全 身 適 用 薬 物 の 場 合 、 薬 物 投 与 の 効 果 発 現 は 、 作 用 発 現 部 位 中 薬 物 濃 度 と 関 連 す る 。 こ の 作 用 発 現 部 位 中 の 薬 物 濃 度 は 、 定 常 状 態 時 の 血 中 薬 物 濃 度 と 平 衡 に あ る た め 、 こ の 場 合 、 血 中 濃 度 が 効 果 の 指 標 と 成 り 得 る 。 同 一 の 有 効 成 分 を 同 一 の 用 法・用 量 で 投 与 す る 製 剤 特 性 を 評 価 す る の で あ れ ば 、 血 中 薬 物 濃 度 の 類 似 性 を 確 認 す る こ と で 臨 床 的 同 等 性 が 評 価 で き る 。 こ れ が 生 物 学 的 同 等 性 の 概 念 で あ り1)、 ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 の 評 価 法 と し て 汎 用 さ れ て い る 。 投 与 量 と 治 療 効 果 と の 関 係 に は 、一 般 的 に 患 者 間 で 大 き な 変 動 が 認 め ら れ る 。 薬 物 が 投 与 さ れ て か ら 効 果 を 発 現 す る ま で に は 、 大 き く 分 け て 投 与 量-血中濃度との関係で表現される薬物動態 (pharmacokinetics、 PK) の過 程 と 、作 用 発 現 上 の い わ ゆ る 薬 力 学 (pharmacodynamics、 PD) である血中 濃 度 と 効 果 の 関 係 の 2 つの過程を経る。効果の変動は、この PK と PD の二 重 構 造 に な っ て お り (Fig.1) 、効果の変動には、PK と PD の変動が含まれ る た め 、 相 対 的 に 血 中 濃 度 の 変 動 よ り 大 き い こ と が 予 想 さ れ る 。
Fig. 1 投与量と効果の関係にみられる変動の二重構造2) そ の 上 、結 果 と し て 引 き 起 こ さ れ る 臨 床 上 の 効 果 、作 用 は 多 岐 に わ た り 、 発 現 の 強 度 、 発 現 の 頻 度 も 異 な る 。 そ れ ら を す べ て モ ニ タ ー し 、 先 発 医 薬 品 と ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 間 の 差 異 を 統 計 的 に 『 同 等 』 と 評 価 す る こ と は 非 常 に 困 難 で あ る 。 個 体 間 変 動 が 非 常 に 大 き い 効 果 や 、 作 用 に よ っ て は 発 現 頻 度 が 非 常 に 少 な い も の の 差 異 を 臨 床 試 験 で 検 出 す る た め に は 、 相 当 数 の 患 者 を 対 象 に す る 必 要 が あ り 、実 施 可 能 性 及 び 倫 理 面 か ら も 問 題 が 生 じ る 。 一 方 、 臨 床 上 の 効 果 ・ 作 用 の 唯 一 の 源 と な っ て い る 作 用 発 現 部 位 中 薬 物 濃 度 あ る い は 血 中 薬 物 濃 度 の 時 間 推 移 は 一 元 的 に 把 握 が 可 能 で あ り 、し か も 、 変 動 性 が 相 対 的 に 小 さ い こ と か ら 、 両 医 薬 品 を 投 与 後 に 得 ら れ た 薬 物 濃 度 の 時 間 推 移 が 類 似 し て い る こ と に 関 す る 統 計 的 評 価 は 、 少 人 数 デ ー タ に よ っ て も 容 易 で あ る 。 こ れ ら の 特 徴 か ら 、 例 え ば 、 先 発 医 薬 品 と ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 の 間 の 臨 床 上 の 同 等 性 を 実 証 す る 試 験 法 と し て は 、 生 物 学 的 同 等 性 試 験 が 第 一 選 択 と な っ て い る 。 生 物 学 的 同 等 性 試 験 に お い て は 、 比 較 の た め の 指 標 と し て 臨 床 上 発 現 す る マ ー カ ー を 用 い て は い な い が 、 血 中 濃 度 と 効 果 の 関 係 が 明 確 で あ る 場 合 に は 、 臨 床 上 の 同 等 性 を 積 極 的 に 科 学 的 に 実 証 す る た め の 試 験 と な っ て い る 。 た だ し 、 全 身 適 用 で な い 医 薬 品 で 、 作 用 発 現 部 位 中 薬 物 濃 度 あ る い は そ の 代 替 体 液 中 薬 物 濃 度 が 測 定 出 来 な い 場
薬 剤 A
合 に は 、 臨 床 上 の 効 果 ・ 作 用 の マ ー カ ー を 用 い た 薬 理 作 用 ま た は 治 療 効 果 に 関 す る 比 較 試 験 が 行 わ れ る 。 つ ま り 、 全 身 適 用 薬 物 に お い て 製 剤 の 同 等 性 を 評 価 す る 際 、 臨 床 的 な 効 果 を 指 標 に と る と PK の個体間/個体内変動に PD の個体間/個体内変動が加 算 さ れ る 。 変 動 の 大 き な 指 標 に 基 づ い て 製 剤 の 相 違 を 検 出 す る 必 要 が あ る た め 、 多 く の 被 験 者 が 必 要 に な り 、 評 価 が 難 し く な る こ と が 考 え ら れ る 。 血 中 濃 度 と 効 果 と で 関 連 が 認 め ら れ る 場 合 、 血 中 濃 度 を 指 標 と し て 生 物 学 的 同 等 性 試 験 を 実 施 す れ ば 、 製 剤 の 差 異 は 、PK の個体間/個体内変動のみ を 考 慮 す れ ば よ い た め 、 よ り 検 出 感 度 は 向 上 す る と 考 え ら れ る 。 海 外 で も 臨 床 上 の 有 効 性・ 安 全 性 の 同 等 性 を 実 証 す る 方 法 は 多 く の 場 合 、 生 物 学 的 同 等 性 に よ っ て 行 わ れ る 。 し か も 、 先 発 医 薬 品 と ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 の 同 等 性 を 臨 床 上 の 効 果 で 比 較 し た メ タ 解 析 が 実 施 さ れ た 結 果 、 臨 床 効 果 に 有 意 な 差 は 認 め ら れ な い と の 報 告 が な さ れ て お り3)、 生 物 学 的 同 等 性 が 確 認 さ れ て い れ ば 、 臨 床 上 の 同 等 性 が 保 証 さ れ る 。 こ の よ う に 、 ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 の 製 造 販 売 承 認 を 受 け る た め の 試 験 は 、 殆 ど の 場 合 、 作 用 発 現 部 位 中 の 薬 物 濃 度 と 平 衡 関 係 に あ る 血 中 薬 物 濃 度 の 時 間 推 移 を 比 較 対 象 と す る 生 物 学 的 同 等 性 試 験 に よ っ て 行 わ れ て い る 。 し か し 医 薬 品 に お け る 臨 床 上 の 同 等 性 は 、効 果 ・ 作 用 を 対 象 に し た 比 較 試 験 で の み 評 価 さ れ る べ き と い う 観 点 か ら 、 薬 物 血 中 濃 度 で な く 臨 床 効 果 の 指 標 マ ー カ ー を 対 象 と し た 臨 床 試 験 が 実 施 さ れ て い る 場 合 も あ る 。 更 に 生 物 学 的 同 等 試 験 に よ り 効 果 が 同 等 で あ る こ と が 保 証 さ れ て い る は ず の ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 と 先 発 医 薬 品 で 、 効 果 に 相 違 が 認 め ら れ た 報 告4-10)が な さ れ 、 そ れ ら を 理 由 に 血 中 濃 度 で 比 較 す る 問 題 点 が 指 摘 さ れ て い る 。 こ れ ら の 背 景 よ り 、 第 一 部 で は 、 治 療 効 果 の マ ー カ ー を 比 較 項 目 と し 、 臨 床 的 同 等 性 を 検 討 し て い る 論 文 を 対 象 に 、 臨 床 試 験 デ ザ イ ン や 統 計 手 法
を 評 価 し 、治 療 効 果 を 指 標 に 用 い る 課 題 を 明 ら か に し た 。次 に 第 二 部 で は 、 第 一 部 で 明 ら か に し た 知 見 を 踏 ま え 、 新 規 に 開 発 し た 抗 HIV 治 療 薬 の PK/PD を考慮し、臨床効果の同等性を評価するバイオマーカーとして血中 濃 度 を 選 択 し 、 臨 床 試 験 の デ ザ イ ン 及 び 適 切 な 統 計 手 法 に 基 づ く 評 価 法 を 構 築 し た 。更 に 第 三 部 で は 、当 該 医 薬 品 で 懸 念 さ れ る 食 事 の 影 響 に 注 目 し 、 食 事 摂 取 時 の 同 等 性 を 血 中 濃 度 に て 評 価 し た 。
第 1 章 治療効果を指標とした臨床的同等性の評価法及び統計的問題点の 検 討 ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 は 、 先 発 品 と 同 一 の 有 効 成 分 を 同 一 量 含 み 、 同 一 の 投 与 経 路 か ら 同 一 の 用 法 ・ 用 量 で 投 与 さ れ る 医 薬 品 で あ る1)。 全 身 適 用 の ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 は 、 先 発 医 薬 品 と 血 中 濃 度 が 類 似 し て い る こ と を 確 認 す る 生 物 学 的 同 等 性 試 験 を 実 施 す る こ と で 、 臨 床 上 、 先 発 医 薬 品 と 代 替 可 能 で あ る 医 薬 品 と し て 位 置 づ け ら れ て い る 。 し か し 先 発 医 薬 品 と 代 替 可 能 で あ る は ず の ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 の 効 果 に 先 発 品 と 相 違 が あ る と の 報 告 が 一 部 で な さ れ て い る4-10)。 製 剤 の 差 異 に 起 因 す る 効 果 を 評 価 す る 場 合 、PK の 変 動 にPDの変動が加算された効果を指標にすると、製剤の差異以外の誤 差 が 大 き く な る た め 、 こ の 誤 差 を 排 除 す る た め に 試 験 デ ザ イ ン 等 に 特 別 な 配 慮 が 必 要 で あ る 。 そ こ で ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 を 例 に 、 我 が 国 に お い て 効 果 を 指 標 と し て 同 等 性 を 評 価 す る た め に 実 施 し た 臨 床 試 験 を 文 献 調 査 し 、 問 題 点 を 明 ら か に し た 。 第 1 節 試験デザインの評価 11) 1.1 目的 我 が 国 に お い て 公 表 さ れ て い る 臨 床 試 験 を 対 象 に 、治 療 効 果 を 指 標 に し て 先 発 医 薬 品 と ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 に つ い て 、 比 較 を 実 施 し て い る 試 験 を 系 統 的 に レ ビ ュ ー し 、 ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 を 対 象 と す る 臨 床 比 較 試 験 の 課 題 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し た 。
1.2 方法 医 学 中 央 雑 誌 (1983 年から 2016 年) を対象に、ジェネリック医薬品およ び 後 発 医 薬 品 の 統 制 語 を 検 索 語 と し 、 系 統 的 に 論 文 検 索 を 行 っ た 。 論 文 を 研 究 主 題 に よ り 分 類 し 、 臨 床 効 果 に 関 す る 論 文 を 抽 出 し た 。 論 文 で 公 表 さ れ た 結 果 の 評 価 研 究 は 、一 般 にPubMedを用いた海外の論文 の 検 索 も 行 う が 、 本 研 究 で は あ え て 行 わ な か っ た 。 そ れ は 、 海 外 で は 既 に メ タ 解 析 で ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 の 臨 床 効 果 は 先 発 医 薬 品 と 有 意 な 差 は 認 め ら れ な い こ と が 報 告 さ れ て い る こ と か ら3)、 我 が 国 に お い て 実 施 さ れ 、 か つ 公 表 さ れ て い る 臨 床 試 験 に 特 化 す る こ と で 、 我 が 国 に お け る ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 を 対 象 と す る 臨 床 比 較 試 験 の 課 題 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し た た め で あ る 。 さ ら に 論 文 評 価 の 際 、 審 査 制 度 を 有 し た 論 文 誌 に 掲 載 さ れ た 論 文 で あ る こ と も 条 件 と さ れ る が 、 こ れ も あ え て 採 用 し な か っ た 。 そ れ は ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 の 臨 床 効 果 が 先 発 医 薬 品 に 比 し て 劣 る と し 、し か も 、 そ の 結 果 が 頻 繁 に 引 用 さ れ る 論 文 を も 対 象 と し て 検 討 し た い と 考 え た た め で あ る 。 1.2.1 試験デザインの評価 有 効 性 を 検 討 し た 論 文 に つ い て 、 実 施 さ れ て い る 試 験 デ ザ イ ン 、 試 験 期 間 、 被 験 薬 、 対 照 薬 、 ブ ラ イ ン ド (盲検) の有無等を調査し、評価した。 1.2.2 必要症例数の妥当性 試 験 計 画 の 妥 当 性 を 検 証 す る た め に 、比 較 項 目 の 20%の差を有意な差と し て 検 出 す る の に 必 要 と な る 症 例 数 を 算 出 し 、 評 価 す る 論 文 中 で 検 討 さ れ て い る 実 際 の 症 例 数 と 比 較 し た 。症 例 数 算 出 に 使 用 し た 式12)を 以 下 に 示 す 。
2 2 2 2 / ) ( 2 ∆ × + = Z Z S∆ N α β こ こ で 、 Δ は 有 意 な 差 異 と し て 検 出 し た い 差 を 示 し 、先 発 医 薬 品 の 比 較 項 目 の 平 均 値 の 20%に設定し、α (第一種の過誤) は有意水準として 5%、 1-β (検出力) は 0.8 の条件を設定した。Zα/2はα/2 = 0.025 に対応する標準正 規 偏 位 、Zβはβに対 す る標 準正 規偏 位、 S∆は標準 偏差 (個 体間 変動) と し て 論 文 中 の 値 を 用 い た 。 尚 、 多 く の 試 験 は 並 行 群 比 較 で は な く 、 同 一 被 験 者 内 の 比 較 試 験 と な っ て い た 。 し か し 、 同 一 被 験 者 内 に お け る 差 の 値 の 変 動 値 が 報 告 さ れ て い な か っ た 。 ま た 、 一 部 の 研 究 で は 、 同 様 に 同 一 被 験 者 内 の 比 較 試 験 で あ り 、 し か も 、 同 一 被 験 者 内 に お け る 差 の 値 の 変 更 直 前 値 に 対 す る 比 率 (変化率) で統計 検定を 行 っていた が、こ の比率 の値の 変動 値 も 示 さ れ て い な か っ た 。そ の た め 、す べ て 、並 行 群 比 較 の 仮 定 の も と に 、 上 式 を 用 い 必 要 被 験 者 数 を 算 出 し た 。 1.3 結果 検 索 語 よ り 、医 学 中 央 雑 誌 (1983 年から 2016 年) から抽出した論文 532 報 中 、 臨 床 効 果 ・ 作 用 に 関 す る 論 文 は 43 報4-10,13-48)で あ っ た 。 1.3.1 試験デザインの評価 臨 床 効 果 に 関 す る 論 文 43 報4-7,10-48)中 で 、 ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 の み を 投 与 し 、 そ の 効 果 ・ 安 全 性 を 検 討 し た 報 告 は 4 報13 -16)、 先 発 品 と ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 の 安 全 性 を 比 較 し た 報 告 は 2 報17,18)、 効 果 ま た は 副 作 用 の 症 例 報 告 は 8 報4,19-25)で あ っ た 。 効 果 を 指 標 と し て 先 発 医 薬 品 及 び ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 の 比 較 を 実 施 し た 論 文 は 29 報5-9,26-48)が 該 当 し た 。こ の う ち 観 察 研 究 は 22 報5 -8,26-48)で あ っ
た 。論 文 の 概 要 をTable 1 に示す。先発品とジェネリック医薬品の臨床効果 を 同 一 被 験 者 内 比 較 で 検 討 し て い る 報 告 は 20 報5 -8,26-32,34-39,41)、先 発 品 と ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 そ れ ぞ れ で カ ル テ 調 査 を 行 っ て 比 較 し た 報 告 は 2 報33,40) で あ っ た 。一 方 介 入 研 究 は 、29 報中 7 報42-48)が 該 当 し た (Table 2)。並行群 で 2 群比較した報告は 4 報42,44,45,48)、 ク ロ ス オ ー バ ー 試 験 を 実 施 し て 比 較 し た 報 告 3 報43,46,47)で あ っ た 。 観 察 研 究 に 基 づ く 報 告 で は 、試 験 に 用 い ら れ た ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 の 医 薬 品 名 が 記 載 さ れ て い な い 論 文 が 5 報5-7,26,27) であった。介入研究では、 す べ て の 医 薬 品 名 が 記 載 さ れ て い た 。 ま た 試 験 に 用 い ら れ た 製 剤 の ロ ッ ト 番 号 は 全 試 験 で 、 記 載 さ れ て い な か っ た 。 す べ て の 試 験 に お い て 、 用 い ら れ た 製 剤 の 含 量 、 不 純 物 な ど の 化 学 的 特 性 、 崩 壊 性 、 溶 出 性 な ど の 製 剤 学 特 性 が そ れ ぞ れ の 規 格 基 準 に 合 致 し て い る こ と の 確 認 の 記 述 は 認 め ら れ な か っ た 。 ま た 、 す べ て の 試 験 で ブ ラ イ ン ド の 設 定 が な さ れ て い な か っ た 。 観 察 研 究 に お い て 、試 験 プ ロ ト コ ル に 主 要 評 価 項 目 が 明 記 さ れ て い た 研 究 は 2 試験5,28)の み で あ り 、 他 の 研 究 で は 評 価 項 目 中 に 有 意 差 が 認 め ら れ た 場 合 の 、 そ の 臨 床 的 意 義 の 軽 重 に 関 す る 事 前 の 規 定 は な さ れ て い な か っ た 。例 数 設 計 が 実 施 さ れ て い る 試 験 は ボ グ リ ボ ー ス28)の 報 告 の み で あ っ た 。
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Table 1-a 観察研究によって先発品とジェネリック医薬品 (GE) の臨床効果を比 較した論文概要
論 文 名 治 療 薬 対 象 患 者 投 与 試 験 デ ザ イ ン 盲 検 化 例 数 例 数 設 計 有 意 差 5) 古 庄 ら, 臨 牀 と 研 究, 80, 179-184 (2003) グ リ チ ル リ チ ン 先 発 品 を 6 ヶ 月 以 上 服 用 し て い る C 型 慢 性 肝 炎 患 者 静 脈 内 投 与 同 一 被 験 者 内 比 較 ;有 意 差 を 認 め た ALTは 変 更 前 ,3 ヵ 月 後 で比 較 。 変 動 率 の み 群 間 比 較 設 定 せ ず 変 動 率 先 発 群; 36 変 更 群; 48 設 定 せ ず ALT 6) 平 野 , Prog. Med., 25, 2415-2417 (2005) プ ラ バ ス タ チ ン 先 発 品 を 3 ヶ 月 以 上 服 用 し て い る 高 脂 血 症 患 者 経 口 同 一 被 験 者 内 比 較;GE切 り替 え 前 と 1-3 ヶ 月 後 の 血 清 脂 質 値 ,変 化 率 で 比 較 設 定 せ ず 30 設 定 せ ず TC, TG 7) 一 森 ら, Ther. Res., 27, 2271-2274 (2006) プ ラ バ ス タ チ ン 先 発 品 を 3 ヶ 月 以 上 服 用 し て い る 糖 尿 病 患 者 経 口 同 一 被 験 者 内 比 較 ;GE切 り 替 え 前 3-4 ヶ 月 後 の 血 清 脂 質 値 ,変 化 率 で 比 較 設 定 せ ず 23 設 定 せ ず TC, TG LDL-C 26) 松 本 ら, 公 立 甲 賀 病 院 紀 要 , 8, 27-32 (2005) プ ラ バ ス タ チ ン 先 発 品 を 4 週 間 継 続 服 用 し て い る 糖 尿 病 患 者 経 口 同 一 被 験 者 内 比 較;GE切 り替 え 前 と 4 週 間 後の 血 清 脂質 値 比 較 設 定 せ ず 14 設 定 せ ず な し 27) 国 領 ら, 医 療 薬 学, 32, 912-916 (2006) プ ラ バ ス タ チ ン 先 発 品 を12 週 間 継 続 服 用 し て い る 2 型 糖 尿病 患 者 経 口 同 一 被 験 者 内 比 較;GE切 り替 え 前 と 12 週 間 後の 血 清 脂 質値 比 較 設 定 せ ず 27 設 定 せ ず な し 28) 貴 田 岡 ら, 薬 理 と 治 療 , 34 , 499-510 (2006) ボ グ リ ボ ー ス 先 発 品 を 8 週 間 以 上 服 用 し て い る 2 型 糖 尿病 患 者 経 口 同 一 被 験 者 内 比 較 ;GE切 り 替え 前 , 8 週 間 後の 血 糖 値 ,グ リ コ アル ブ ミ ン ,HbA1c 設 定 せ ず 55 検 出 力 80 % , 50 例 に 設 定 な し 8) 福 島 ら, 新 田 塚 医 療 福 祉 セ ン タ ー 雑 誌, 3, 17-19 (2006) メ ト ト レ キ サ ー ト 先 発 品 を 1 年 以 上 服 用 し て い る リ ウ マ チ 患 者 経 口 同 一 被 験 者 内 比 較 ;GE切 り 替え 前 , 1, 3,6 ヶ 月 後 の 臨 床 検 査値 設 定 せ ず 102 設 定 せ ず CRP*, ESR** *C 反 応 性 タ ン パ ク ,**赤 血 球 沈降 速 度
10 Table 1-b 観察研究によって先発品とジェネリック医薬品 (GE) の臨床効果を比 較した論文概要 論 文 名 治 療 薬 対 象 患 者 投 与 試 験 デ ザ イ ン 盲 検 化 例 数 例 数 設 計 有 意 差 29) 小 林 ら, 薬 学 雑 誌, 127, 2045-2050 (2007) 塩 酸 マ ニ ジ ピ ン カ ル ス ロ ッ ト 錠 か ら マ ニ ジ ッ プ 錠 に 切 り 替 え が 行 わ れ た 本 態 性 高 血 圧 患 者 経 口 同 一 被 験 者 内 比 較 ;切 り 替 え 前 後 の 血 圧 と 心 拍 数 設 定 せ ず 14 設 定 せ ず な し 30) 石 田 ら, 医 療 薬 学, 33, 967-971 (2007) 塩 酸 メ ト ホ ル ミ ン メ ル ビ ン か ら メ デ ッ ト へ 切 り 替 え 前 後 3 ヶ 月 で 服 用 薬 剤 の 変 化 が な か っ た 患 者 経 口 同 一 被 験 者 内 比 較 ;切 り 替 え 前 3 ヶ 月 、 切 り 替 え 時 、 切 り 替 え 後3 ヶ 月 及 び 6 ヶ 月 後のHbA1c, TC及 びHDL 設 定 せ ず 52 設 定 せ ず な し 31) 田 辺 ら, 医 療 薬 学, 34, 347-354 (2008) プ ラ バ ス タ チ ン メ バ ロ チ ン を 3 ヶ 月 以 上 継 続 し て 処 方 さ れ た 後 メ バ ン を 3 ヶ 月 以 上 継 続 し て 処 方 さ れ た 患 者 経 口 同 一 被 験 者 内 比 較 ;切 り 替 え 前 3 ヶ 月 か ら 、 切 り 替 え 後 6 ヶ 月 間の 1 ヶ 月 ご と の 血 清 脂 質 設 定 せ ず 293 設 定 せ ず な し 9) 丹 羽 ら, ICU と CCU, 33, 575-579 (2009) メ シ ル 酸 ナ フ ァ モ ス タ ッ ト 注 射 用 フ サ ン ま た は 注 射 用 ナ オ タ ミ ン を 用 い て持 続 血 液 濾 過 透 析 を 行 っ た 患 者 静 脈 内 投 与 カ ル テ 調 査 及 び 同 一 被 験 者 内 比 較; 各 投 与 群 の 持 続 血 液 濾 過 透 析 の 回 路 内 閉 塞 時 間 設 定 せ ず 先 発 群; 30, GE 群 ; 30 同 一 被 験 者 比 較; 7 設 定 せ ず 先 発 の 方 が 延 長 32) 澤 田 ら, Ther. Res., 30, 791-797 (2009) ア ム ロ ジ ピ ン ノ ル バ ス ク 錠 を 2 ヶ 月 以 上 服 用 し て い る 本 態 性 高 血 圧 患 者 経 口 同 一 被 験 者 内 比 較 ; 切 り 替 え 時 前 1 ヶ 月 、 切 り 替 え 時 、 切 り 替 え 後 1 ヶ 月 及 び2 ヶ 月 の 診 察 室 血 圧、 家 庭 血 圧 、 脈 拍 設 定 せ ず 34 設 定 せ ず な し 33) 相 宮 ら, 医 療 薬 学, 36, 469-475 (2010) ス ル バ ク タ ム ナ ト リ ウ ム/ア ン ピ シ リ ン ナ ト リ ウ ム 11 ヵ 月 間 に 先 発 ま た は GE 薬 の 注 射 用 ス ル バ ク タ ム ナ ト リ ウ ム/ ア ン ピ シ リ ン ナ ト リ ウ ム を 投 与 さ れ 肺 炎 、急 性 気 管 支 炎 、急 性 細 気 管 支 炎 患 者 静 脈 内 投 与 投 与 群 別 の カ ル テ 調 査 ; 投 与 前 、投 与 終 了 時 の 体 温 、 白 血 球 数 、CRP 設 定 せ ず 先 発 群; 120 GE 群 ; 109 設 定 せ ず な し
11 Table 1-c 観察研究によって先発品とジェネリック医薬品 (GE) の臨床効果を比 較した論文概要 論 文 名 治 療 薬 対 象 患 者 投 与 試 験 デ ザ イ ン 盲 検 化 例 数 例 数 設 計 有 意 差 34) 宮 崎, Prog. Med, 29, 1313-1316 (2011) ア ム ロ ジ ピ ン ア ム ロ ジ ピ ン を 服 用 し 、血 圧 が 安 定 し て い る 30 歳 以 上 の 高 血 圧 患 者 経 口 同 一 被 験 者 内 比 較 ;切 り 替 え 時 、切 り 替 え1 ヶ 月 後 の 診 察 室 血圧 、 家 庭 血 圧 、 脈 拍 設 定 せ ず 108 設 定 せ ず な し 35) 鈴 木 ら, 医 療 薬 学, 37, 449-455 (2011) プ ラ バ ス タ チ ン メ バ ロ チ ン 錠 を 1 ヶ 月 以 上 服 用 後 、マ イ バ ス タ ン 錠 に 切 り 替 え た 患 者 経 口 同 一 被 験 者 内 比 較 ;切 り 替 え 時 、切 り 替 え1 ヶ 月 後 の 血 清 脂 質 設 定 せ ず 1,026 設 定 せ ず な し 36) 青 柳 ら, Ther. Res., 33, 103-108 (2012) ア ミ オ ダ ロ ン ア ン カ ロ ン 錠 を ア ミ オ ダ ロ ン 速 崩 錠 50mg「 TE」 に 切 り 替 え た 心 室 頻 脈/心 室 細 動 、 低 心 機 能 も し く は 肥 大 性 心 筋 症 を 有 す る 心 房 細 動 患 者 経 口 同 一 被 験 者 内 比 較 ;切 り 替 え 時 、切 り 替 え1 ヶ 月 後及 び 3 ヶ 月 後の 自 覚 症 状 、心 拍 数 、QTc及 び ア ミ オ ダ ロ ン 血 中 濃 度 設 定 せ ず 18 設 定 せ ず な し 37) 林 ら, Prog. Med., 32, 1313-1316 (2012) ア ム ロ ジ ピ ン, ベ ニ ジ ピ ン ア ム ロ ジ ンOD 錠 5mg 1 錠 を 6 ヶ 月 以 上 服 用 後 ア ム ロ ジ ピ ン 錠 2.5mg「 タ ナ ベ 」 2 錠 へ の 切 り 替 え 、ま た は コ ニ ー ル 錠 を6 ヶ 月 以 上 服 用 後 、ベ ニ ジ ピ ン 塩 酸 塩 4mg「 タ ナ ベ 」 へ 切 り 替 え た 本 態 性 高 血 圧 患 者 経 口 同 一 被 験 者 内 比 較 ;切 り 替 え 1 ヶ 月 前 と 切 り 替 え 時 、 切 り 替 え1 ヶ 月 後 及 び 2 ヶ 月 後の 診 察 室 血圧 設 定 せ ず ア ム ロ ジ ピ ン; 32 ベ ニ ジ ピ ン; 49 設 定 せ ず な し
12 Table 1-d 観察研究によって先発品とジェネリック医薬品 (GE) の臨床効果を比 較した論文概要 論 文 名 治 療 薬 対 象 患 者 投 与 試 験 デ ザ イ ン 盲 検 化 例 数 例 数 設 計 有 意 差 38) 福 原 ら, 臨 床 薬 理, 43, 387-392 (2012) ニ フ ェ ジ ピ ン ア ダ ラ ー トCR か ら ニ フ ェ ジ ピ ン CR「 サ ワ イ 」 に 切 り 替 え た 透 析 治 療 中 の 患 者 経 口 同 一 被 験 者 内 比 較 ; 設 定 せ ず 77 設 定 せ ず な し 10) 鈴 村 ら, Prog. Med., 33, 1825-1827 (2013) ア ト ル バ ス タ チ ン リ ピ ト ー ル 錠 を 12 ヵ 月 以 上 服 用 し て い る 脂 質 異 常 症 患 者 経 口 同 一 被 験 者 内 比 較;切 り 替 え 前 6 ヶ 月 毎 に 2 回 、 切 り 替 え 後 1~ 4 ヶ 月 間 で 1 ヶ 月 以 上 空 け て 2 回 測 定 し 平 均 し 血 清 脂 質 値 比 較 設 定 せ ず 46 設 定 せ ず LDL-C が GE 薬 で 減 少 39) 大 久 保 ら, ジ ェ ネ リ ッ ク 研 究, 7, 116-123 (2013) ア ト ル バ ス タ チ ン リ ピ ト ー ル 錠 を 2 ヵ 月 以 上 服 用 し た 後 ア ト ル バ ス タ チ ン 「EE 」 へ 変 更 し た 脂 質 異 常 症 患 者 経 口 同 一 被 験 者 内 比 較 ;切 り 替 え 時 と 切 り 替 え 後 1~ 4 ヶ 月 間の 血 清 脂 質 値 比 較 設 定 せ ず 380 設 定 せ ず な し 40) 今 井 ら, 日 本 病 院 薬 剤 師 会 雑 誌 , 52, 409-413 (2016) セ フ ェ ピ ム 塩 酸 塩 水 和 物 マ キ シ ピ ー ム ま た は セ フ ェ ピ ム 塩 酸 塩 静 注 用 1g「 サ ン ド 」を 投 与 さ れ た 血 液 内 科 の 入 院 患 者 静 脈 内 投 与 投 与 群 別 の カ ル テ 調 査 ; 体 温 、感 染 症 に 伴 う 臨 床 症 状 お よ び 検 査 所 見 の 改 善 設 定 せ ず 先 発 群; 62 GE 群 ; 40 設 定 せ ず な し 41) 安 土 ら, 医 薬 品 情 報 学, 17, 199-204 (2016) グ リ メ ピ リ ド ア マ リ ー ル 錠 を 2 ヵ 月 以 上 服 用 し た 後 グ リ メ ピ リ ド 錠 「 タ ナ ベ 」 へ 変 更 し た 患 者 経 口 同 一 被 験 者 内 比 較 ;GE初 回 投与 時 , 投 与 2 か 月 以降 の HbA1c 設 定 せ ず 1,404 設 定 せ ず な し
13 Table 2 介入研究により先発品とジェネ リック医薬品 (GE) の臨床効果を比較し た論文概要 論 文 名 治 療 薬 対 象 患 者 投 与 試 験 デ ザ イ ン 盲 検 化 例 数 例 数 設 計 有 意 差 42) 長 谷 川 ら, ア レ ル ギ ー ・ 免 疫, 13, 882-894 (2006) プ ロ ピ オ ン 酸 フ ル チ カ ゾ ン ス ギ 花 粉 症 患 者 鼻 腔 内 噴 霧 並 行 群 間 比 較 ;投 与 か ら 2 週 間 の 平 均 鼻 状 態 合 計 ス コ ア を 群 間 比 較 設 定 せ ず 先 発 群; 58 GE 群 ; 61 設 定 せ ず な し 43) 斎 藤 ら, 臨 牀 と 研 究, 85, 626-632 (2008) シ ン バ ス タ チ ン リ ポ オ フ 錠 を 2 ヶ 月 以 上 服 用 し て い る 高 脂 血 症 ま た は 家 族 性 高 コ レ ス テ ロ ー ル 血 症 患 者 経 口 2 群 2 期 ク ロス オ ー バ ー ; 投 与 開 始 前 及 び 投 与 後 16 週 間 まで 4 週 間 毎 に1 回 血 清脂 質 を 比較 設 定 せ ず 27 設 定 せ ず な し 44) 安 東 ら , Pharma. Medica., 26, 95-103 (2008) ア ム ロ ジ ピ ン ノ ル バ ス ク 錠 を 1 ヶ 月 以 上 服 用 し て い る 本 態 性 高 血 圧 患 者 経 口 並 行 群 間 比 較 試 験 ;投 与 後4 週 間 毎 に 診 察 室 血 圧 と 脈 拍 を 比 較 設 定 せ ず 先 発 群; 32 GE 群 ; 32 設 定 せ ず な し 45) 河 原, 医 学 と 薬 学, 62, 571-581 (2009) ア ム ロ ジ ピ ン ア ム ロ ジ ピ ン を 少 な く と も 半 年 以 上 服 用 し 、治 療 効 果 が 安 定 し て い る 本 態 性 高 血 圧 患 者 経 口 並 行 群 間 比 較 試 験 ;投 与 後4 週 間 毎 に 診 察 室 血 圧 と 脈 拍 を 比 較 設 定 せ ず 先 発 群; 30 GE 群 ; 30 設 定 せ ず な し 46) 陶 ら, 診 療 と 新 薬, 46, 864-872 (2009) ア カ ル ボ ー ス 日 本 人 健 常 成 人 男 性 経 口 2 群 2 期 ク ロス オ ー バ ー ; グ ル コ ー ス 負 荷 試 験 設 定 せ ず 15 設 定 せ ず な し 47) 福 嶋 ら, Prog. Med, 28, 125-131 (2010) ラ ベ プ ラ ゾ ー ル ヘ リ コ バ ク タ ー・ピ ロ リ 陰 性 の 日 本 人 健 常 成 人 男 性 経 口 2 群 2 期 ク ロ スオ ー バ ー ; 胃 内 pH,
pH3 holding time, pH4 holding time
設 定 せ ず 8 設 定 せ ず な し 48) 樋 口 ら, 医 学 と 薬 学, 68, 827-841 (2012) ア ト ル バ ス タ チ ン リ ピ ト ー ル 錠 で 12 週 間 以 上 治 療 を 受 け 、 LDL-C が 140mg/dL 以 下 の 脂 質 異 常 症 患 者 経 口 並 行 群 間 比 較 試 験;投 与 前 と 投 与 12 週 時 の 血 清 脂 質 を 比 較 設 定 せ ず 先 発 群; 49 GE 群 ; 47 設 定 せ ず な し
29 報中 20 報5-8,26-32,34-39,41)で 、 予 め 一 定 期 間 先 発 品 を 投 与 し た 患 者 を 対 象 に ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 に 休 薬 期 間 を 置 く こ と な く 変 更 し 、 ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 の 投 与 直 前 お よ び あ る 一 定 期 間 継 続 的 に 投 与 し た 後 で の 比 較 項 目 値 を 同 一 被 験 者 内 比 較 で 行 っ て い た 。 グ リ チ ル リ チ ン 製 剤5)の 比 較 研 究 で は 先 発 品 を 投 与 さ れ た 患 者 を 先 発 医 薬 品 の 投 与 を 継 続 し た 群 と ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 に 変 更 し た 群 の 2 群に分け、それぞれの群内での変化を検討する方 法 を と っ て い た 。 介 入 研 究 で 、 試 験 開 始 か ら 被 験 者 を 2 群に分け、並行群 間 比 較 を 実 施 し て い る の は 、プ ロ ピ オ ン 酸 フ ル チ カ ゾ ン42)、シ ン バ ス タ チ ン42)、 ア ム ロ ジ ピ ン44),45) 及びアトルバスタチン48)の 4 報であった。また ク ロ ス オ ー バ ー 試 験 に よ っ て 効 果 が 評 価 さ れ て い た の は 、 シ ン バ ス タ チ ン 43) 、アカルボース46)及 び ラ ベ プ ラ ゾ ー ル37)の 3 報であった。ここで休薬 期 間 が 設 定 さ れ て い た の は ア カ ル ボ ー ス46)及 び ラ ベ プ ラ ゾ ー ル37)の 2 報で あ っ た 。 先 発 医 薬 品 と 比 較 し 、ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 の 効 果 の マ ー カ ー に 有 意 差 が 認 め ら れ る と 報 告 さ れ て い た の は 6 報5 -10)で 、 す べ て 観 察 研 究 に よ っ て 検 討 さ れ て い た 。 ま た 報 告 さ れ た 論 文 の う ち プ ラ バ ス タ チ ン に 関 す る も の 6,7,26,27)に つ い て 、血 清 脂 質 の 変 化 と そ の 変 動 お よ び 検 討 症 例 数 が 報 告 さ れ た 4 報でほぼ同様であるにもかかわらず、統計解析の上の結果に相違が認 め ら れ 、有 意 差 あ り が 2 報6,7)、有 意 差 な し が 2 報26,27)で あ っ た 。介 入 研 究 で 検 討 さ れ た 報 告 は 、 い ず れ の 結 果 も 先 発 医 薬 品 と ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 と で 効 果 に 有 意 差 は 認 め ら れ て い な か っ た 。
1.3.2 必要症例数の妥当性 Table 1-a に示した試験について、それぞれの評価項目について、先発医 薬 品 が 示 し た 項 目 の 平 均 値 に 対 し ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 が 20%の差異を示し た 時 に α= 0.05、1 - β≧0.8 の条件で、その差異を有意な差として統計上 検 出 す る た め に 必 要 な 被 験 者 数 を 算 出 し た (Table 3) 。Δ値を生物学的同 等 性 試 験 で は 20%と規定しているが、一般に、臨床上の効果や作用あるい は そ の 代 替 マ ー カ ー は 更 に 大 き な 差 異 で あ っ て も 臨 床 上 は 同 等 と し て 許 容 さ れ て い る 。 今 回 の 検 討 で は 、 生 物 学 的 同 等 性 試 験 基 準 に 準 拠 し て 検 討 を 行 っ た 。 多 く の 試 験 は 並 行 群 比 較 で は な く 、同 一 被 験 者 内 の 比 較 試 験 と な っ て い た 。 し か し 、 個 体 内 で の 差 の 変 動 値 あ る い は 個 体 内 で の 差 の 比 率 の 変 動 値 が 報 告 さ れ て い な か っ た こ と よ り 、 す べ て 、 並 行 群 比 較 を 仮 定 し て 上 式 を 用 い て 、 必 要 被 験 者 数 を 算 出 し た 。 そ の た め 、 算 出 し た 必 要 被 験 者 数 は 過 大 に 見 積 も っ て い る 可 能 性 が あ る 。 ボ グ リ ボ ー ス28)の 試 験 は 、十 分 な 症 例 数 で 試 験 さ れ て い た が 、そ れ 以 外 の 報 告 症 例 数 は 、 必 要 症 例 数 を 下 回 っ て い た 。 ボ グ リ ボ ー ス の 場 合 、20% 以 上 の 差 異 を 有 意 差 あ り と 検 出 す る に 十 分 な 被 験 者 数 で 試 験 さ れ 、 そ の 結 果 、 平 均 値 が 20%以内であり、しかも、有意な差が検出されなかったこと よ り 、 両 試 験 は 、 試 験 さ れ た ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 が 先 発 医 薬 品 と 同 等 で あ る こ と を 積 極 的 に 示 す 結 果 と な っ て い た 。 一 方 、 プ ラ バ ス タ チ ン6,7,26,27)の 研 究 で は 、20%の差を有意な差として検 出 で き る に 必 要 な 症 例 数 は 用 い ら れ て お ら ず 、 実 際 の 試 験 の 検 出 力 は 0.1-0.4 であった。平均値の差異は 20%以内であった。そのため、有意な差 が 認 め ら れ な か っ た 論 文26,27)に お い て は 、 統 計 的 結 果 の み か ら 積 極 的 に 同 等 と 主 張 す る こ と は 出 来 な い 結 果 と な っ て い た 。 そ れ ら の 中 で 、 有 意 な 差
異 が 統 計 上 検 出 さ れ た と す る 論 文 が 2 報6,7)あ っ た 。 平 野 ら6)、 お よ び 一 森 ら7)の 報 告 で は 測 定 値 の 平 均 値 の 差 は 20%以内であり、しかも、必要被験 者 数 よ り 少 な い 被 験 者 で 試 験 が 行 わ れ て い た に も 拘 わ ら ず 、 脂 質 値 の 変 化 率 に は 統 計 上 は 有 意 な 差 が 認 め ら れ て い た 。 検 討 し た 試 験 の う ち 、ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 へ の 変 更 に よ り 、平 均 値 が20% 以 上 の 変 化 が 認 め ら れ た も の は 、 グ リ チ ル リ チ ン 製 剤5)の 場 合 の み で あ っ た 。 グ リ チ ル リ チ ン 製 剤 の 場 合 、 試 験 は 必 要 被 験 例 数 60 名より少ない 48 名 で 行 わ れ て い た が 、 先 発 医 薬 品 か ら ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 へ 切 り 替 え た 被 験 者 に お い て 切 り 替 え る 前 後 のALT値に 20%以上の大きな変化が認められ て お り 、 そ の た め 、 有 意 な 差 が 認 め ら れ た と 考 え ら れ る 。 た だ し 、 先 発 医 薬 品 を そ の ま ま 継 続 投 与 さ れ た 群 と 先 発 医 薬 品 か ら ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 へ 切 り 替 え た 群 の 平 行 し た 試 験 が 行 わ れ て い る に も か か わ ら ず 、 両 群 間 で の 比 較 は 行 わ れ て い な か っ た 。 ま た メ ト ト レ キ サ ー ト8)に つ い て は 、 変 動 性 を 示 し た グ ラ フ は 掲 載 さ れ て い る も の の そ れ が 標 準 偏 差 か 標 準 誤 差 か の 記 載 が な か っ た た め 、 必 要 被 験 者 数 は 算 出 で き ず 、 以 後 、 検 討 の 対 象 に は 入 れ な か っ た 。
17 Table 3 報告症例数と必要症例数の比較 論 文 名 治 療 薬 評 価 項 目 報 告 症 例 数 投 与 前 の 平 均 値 投 与 後 の 平 均 値 標 準 偏 差 平 均 値 の 20%の差 検 出 力 必 要 症 例 数 5) 古 庄 ら, 臨 牀 と 研 究 , 80, 179-184 (2003) グ リ チ ル リ チ ン ALT 先 発 品 継 続 ;36 61.1 59.9 25 12.2 0.533 67 (IU/L) GE へ切 り替 え;48 64.7 109.9 25 12.9 0.706 60 6) 平 野 , Prog. Med., 25, 2415-2417 (2005) プ ラ バ ス タ チ ン TG (mg/dL) 30 137 158 78 27.4 0.267 128 7) 一 森 ら, Ther. Res., 27, 2271-2274 (2006) プ ラ バ ス タ チ ン TG (mg/dL) 23 129 151 51.7 25.8 0.380 64 26) 松 本 ら, 公 立 甲 賀 病 院 紀 要 , 8, 27-32 (2005) プ ラ バ ス タ チ ン TG (mg/dL) 14 150 168 109 30.0 0.105 206 27) 国 領 ら, 医 療 薬 学 , 32, 912-916 (2006) プ ラ バ ス タ チ ン TG (mg/dL) 27 139 153 77.9 27.8 0.250 124 28) 貴 田 岡 ら, 薬 理 と 治 療 , 34, 499-510 (2006) ボ グ リ ボ ー ス 食 後 2 時 間 血 糖 値 55 224.6 224.6 48.1 44.9 0.998 19 8) 福 島 ら, 新 田 塚 医 療 福 祉 セ ン タ ー 雑 誌, 3, 17-19 (2006) メ ト ト レ キ サ ー ト CRP (mg/dL) 102 0.5 0.8 記 載 無 し 0.1 算 出 で き ず 算 出 で き ず
1.4 考察 本 研 究 は 、我 が 国 で 実 施 さ れ 公 開 さ れ て い る ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 を 対 象 と し 、 そ の 効 果 を 検 討 し た 論 文 に つ い て 評 価 し た 。 試 験 に 用 い ら れ た 先 発 医 薬 品 、ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 の 銘 柄 名 が 記 載 さ れ て い る 論 文 は 24 報14-16,26-46)、先 発 医 薬 品 名 の み が 明 ら か に さ れ て い る の は 5 報4,6,7,12,13)で あ っ た 。ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 全 般 に 関 わ る テ ー マ で 研 究 が な さ れ て い る 場 合 に は 、 検 討 対 象 と さ れ た 医 薬 品 が 全 体 を 表 す 特 性 で あ る こ と 、 即 ち 、 選 択 理 由 が 明 ら か に さ れ れ ば 、 場 合 に よ っ て は 、 検 討 に 用 い た 医 薬 品 銘 柄 名 を 伏 せ て も 研 究 目 的 に 合 致 し 、 論 文 の 価 値 は 低 下 し な い と 考 え ら れ る 。 し か し 、 今 回 検 討 し た 論 文 で は 、 す べ て 、 ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 の う ち の あ る 特 定 医 薬 品 の 臨 床 効 果 を 検 討 し て お り 、 し か も 、 銘 柄 名 を 伏 せ て も 一 般 性 が 主 張 で き る と い う 論 拠 が 示 さ れ て い な い 。 そ の 点 で は 、 ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 の 個 別 を 対 象 と し た 研 究 に 留 ま る も の と 考 え ら れ る 。 そ れ に も か か わ ら ず 、 医 薬 品 の 銘 柄 名 が 伏 せ ら れ て い る こ と 、 し か し 、 結 論 と し て は 、 ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 全 般 に 拡 げ る よ う な 言 及 が な さ れ て い る な ど 、 実 際 に な さ れ た 研 究 内 容 と 考 察 に 大 き な 乖 離 が 認 め ら れ る 論 文 と な っ て い た 。 先 発 医 薬 品 と ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 の 臨 床 効 果 、作 用 の 指 標 の 測 定 値 の 変 動 に は 、 検 討 し た い 製 剤 間 の 違 い に よ っ て 引 き 起 こ さ れ る 臨 床 効 果 、 作 用 の 違 い 以 外 に 、 測 定 値 の 個 体 間 変 動 と 個 体 内 変 動 が 含 ま れ る 。 こ れ ら は 、 臨 床 効 果 、 作 用 の 製 剤 間 の 差 異 を 評 価 目 的 と す る と き に は 、 製 剤 間 の 差 異 の 検 出 を 妨 げ る バ ッ ク グ ラ ン ド の 変 動 (誤差) となる。比 較の際 、可能 な 限 り 製 剤 要 因 の み の 比 較 に な る よ う に 、 試 験 計 画 と 評 価 方 法 を 工 夫 す る 必 要 が あ る 。 こ の 誤 差 を 可 能 な 限 り 小 さ く す る こ と が 、 信 頼 性 が 高 く 、 精 度 の よ い 評 価 を 行 う た め に 必 要 と な る 。
有 効 性 ・安 全 性 を 比 較 す る 際 の 臨 床 試 験 デ ザ イ ン は 大 き く 分 け て 2 種類 あ る 。 被 験 薬 剤 と 対 照 薬 剤 を 異 な る 患 者 に 投 与 し 、 そ れ ぞ れ の 患 者 群 間 比 較 を 行 う 並 行 群 試 験 と 、 同 一 患 者 に 時 期 を 変 え て 被 験 薬 剤 お よ び 対 照 薬 剤 を 投 与 し 、 個 体 内 比 較 を 基 礎 に 置 く ク ロ ス オ ー バ ー 試 験 で あ る 。 一 般 に 個 体 間 変 動 は 個 体 内 変 動 よ り 大 き い 場 合 が 多 く 、 そ の た め 、 後 者 の よ う に 同 一 被 験 者 に 比 較 す る 両 製 剤 を 投 与 す る 方 法 の 方 が 、 前 者 の よ う に 異 な る 被 験 者 に 一 方 の 製 剤 を 投 与 す る 方 法 に 比 べ バ ッ ク グ ラ ン ド の 変 動 は 小 さ く な る 。 同 一 被 験 者 数 で の 比 較 を 基 礎 に 置 く 後 者 の 方 法 の 差 の 検 出 力 は 前 者 に 比 べ 大 き く な る 。 そ の た め 、 後 者 と 同 等 の 検 出 力 を も と に 比 較 す る た め に は 、 前 者 の 方 法 で は 被 験 者 数 を 多 く す る こ と が 一 般 に は 必 要 と な る 。 並 行 群 比 較 で は 、 両 製 剤 が 異 な る 被 験 者 に 投 与 さ れ る た め 、 臨 床 効 果 に 影 響 を 与 え る 可 能 性 の あ る 製 剤 以 外 の 要 因 を 、 そ れ ぞ れ の 製 剤 を 投 与 さ れ る 被 験 者 の 配 置 に お い て 可 能 な 限 り 偏 り の な い よ う に し て お く こ と (ラン ダ ム 化) が必須となる。しかし、クロス オーバー試験では同一被験者が両 製 剤 を 服 用 す る の で そ の よ う な 配 慮 が 特 に 強 調 さ れ る 必 要 は な い 。 ク ロ ス オ ー バ ー 試 験 で は 、両 製 剤 を 同 一 被 験 者 に 投 与 時 期 を 変 え て 投 与 す る 。 投 与 の 時 期 が 異 な る こ と に よ っ て 効 果 、 作 用 の 発 現 が 影 響 を 受 け る 可 能 性 が 他 方 で は あ る 。 ま た 、 観 測 が 長 期 間 に わ た る 場 合 に は 、 病 態 の 進 行 の 可 能 性 も あ る 。 そ こ で 、 被 験 者 に 先 発 医 薬 品 と ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 の ど ち ら を 先 に 服 用 さ せ る か は ラ ン ダ ム に 割 り 付 け 、 結 果 と し て 同 一 時 期 に は 先 発 医 薬 品 と ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 が 投 与 さ れ る 被 験 者 数 は バ ラ ン ス よ く 均 等 に 割 り 付 け ら れ て い る こ と が 必 要 条 件 と な る 。 し か し 、 投 与 す る 順 序 に よ っ て 効 果 、 作 用 の 発 現 が 影 響 を 受 け る (順序効果、 持ち越 し効果) 場 合 に は ク ロ ス オ ー バ ー 試 験 は 組 め な い 。 一 方 、 並 行 に 同 時 に 試 験 が 行 わ れ る 場 合 に は 、 時 期 、 季 節 、 病 態 の 進 行 な ど の 影 響 は 、 同 一 時 期 に 試 験 が 行
わ れ れ ば 、 結 果 と し て 、 こ れ ら の 因 子 に つ い て は 同 一 条 件 で 比 較 試 験 は 行 わ れ る こ と に な る こ と か ら 、 目 的 と す る 評 価 に 対 し バ ッ ク グ ラ ン ド の 誤 差 や 測 定 値 の 偏 り を 発 生 さ せ る こ と は な い 。 海 外 で の メ タ 解 析3)に 採 用 さ れ た 臨 床 試 験 は す べ て 、 被 験 者 を ラ ン ダ ム に 2 群に割り付け後、並行群比較 す る 試 験 デ ザ イ ン で 実 施 さ れ て い た 。 医 薬 品 の 臨 床 上 の 効 果 、作 用 に 関 し て は 患 者 お よ び 観 測 者 に 対 す る プ ラ セ ボ 効 果 が あ る こ と が 示 さ れ て い る49)。そ の た め 、ダ ブ ル ブ ラ イ ン ド で の 試 験 が 必 要 と さ れ て い る 。 一 般 臨 床 の 条 件 で 、 先 発 医 薬 品 か ら ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 に 切 り 替 え た 症 例 を 評 価 の 対 象 に す る 研 究 が 多 い が 、 こ の 場 合 、 当 然 、 ブ ラ イ ン ド 下 の 試 験 と は な っ て い な い 。 検 討 し た す べ て の 臨 床 試 験 で 、 ブ ラ イ ン ド の 条 件 は 取 ら れ て い な か っ た 。 し か し 、 臨 床 に お い て 用 い ら れ て い る 先 発 医 薬 品 と ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 を ブ ラ イ ン ド 下 で 投 与 す る こ と は 困 難 で あ る 。 我 が 国 に お い て 行 わ れ た ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 と 先 発 医 薬 品 の 臨 床 上 の 有 効 性 の 比 較 研 究 の 多 く が レ ト ロ ス ペ ク テ ィ ブ 、 つ ま り 観 察 研 究 に よ っ て 行 わ れ て い る た め 、 先 発 医 薬 品 で 治 療 を 受 け て い た 患 者 を 対 象 に ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 に 変 更 す る 直 前 と ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 を 投 与 後 で の 指 標 項 目 の 比 較 を 行 っ て い る 。 ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 を 投 与 し て い る 期 間 中 の 評 価 項 目 の 変 化 は す べ て ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 が 原 因 と な っ て い る と す る 論 理 が 採 用 さ れ て い た 。 し か し 、 こ の 試 験 方 法 で は 、 一 見 、 ク ロ ス オ ー バ ー 試 験 に 見 え る が 、 ク ロ ス オ ー バ ー 試 験 に と っ て 重 要 な 並 行 で の 標 準 製 剤 に 対 す る 試 験 が な さ れ て お ら ず 、 そ の た め 、 時 期 効 果 、 病 態 進 行 効 果 な ど 製 剤 因 子 以 外 の 因 子 に よ る 効 果 が 、 製 剤 効 果 と 分 離 で き な い 方 法 と な っ て い る 。 仮 に 有 意 な 差 が 検 出 さ れ て も 、 そ の 理 由 を 特 定 す る こ と が 難 し い 試 験 の レ イ ア ウ ト で あ る 。
生 物 学 的 な 同 等 性 を 確 認 す る こ と で 、同 等 性 を 保 証 し て い る は ず の 先 発 医 薬 品 と ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 の 効 果 に 相 違 が 認 め ら れ た と 報 告 し て い る 論 文 は 6 報5 -10)で あ り 、 す べ て 観 察 研 究 に よ る 結 果 で あ っ た 。 臨 床 的 に 明 ら か な 非 同 等 性 を 示 し た グ リ チ ル リ チ ン 製 剤5)で は 、 比 較 さ れ た 先 発 医 薬 品 と ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 間 で 有 効 活 性 成 分 の 含 量 が 異 な っ て い た こ と が 明 ら か と な っ て い る 。 ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 の 品 質 管 理 の 不 十 分 さ が 原 因 で は な く 、 混 合 物 で あ る グ リ チ ル リ チ ン の 含 量 規 格 の 設 定 の 変 更 が 先 発 医 薬 品 と ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 を 含 め す べ て の 医 薬 品 を 対 象 に 一 斉 に 行 わ れ ず 、 新 し い 規 格 の 先 発 医 薬 品 と 古 い 規 格 の ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 を 比 較 し た こ と に よ る 一 時 的 な 問 題 で あ っ た こ と が 明 ら か に さ れ て い る 。 臨 床 試 験 を 行 う 際 に 含 量 の 測 定 が 行 わ れ て お れ ば 、 こ の 結 論 が 裏 付 け ら れ た と 考 え ら れ る 。 ま た メ シ ル 酸 ナ フ ァ モ ス タ ッ ト9)で は 、 主 薬 で は な く 添 加 物 の 相 違 が 原 因 で あ る と 考 え ら れ た 。 メ ト ト レ キ サ ー ト8)及 び ア ト ル バ ス タ チ ン10)に 関 し て は 、 効 果 の マ ー カ ー の 変 動 は い ず れ も 1.2 倍以内の変動であった。個体間 変 動 の 比 較 的 小 さ な 効 果 の マ ー カ ー に 対 し 、 や や 多 く の 症 例 数 に 基 づ い て 検 討 し た こ と に よ っ て 検 出 さ れ た 差 異 と 考 え ら れ た 。 こ こ で プ ラ バ ス タ チ ン の 効 果 を 検 討 し た 報 告6,7,26,27)は 、4 報が該当した。 い ず れ も 高 脂 血 症 患 者 ま た は 糖 尿 病 患 者 と 同 様 な 背 景 を 有 す る 患 者 を 対 象 に 試 験 が 実 施 さ れ て い た 。 試 験 計 画 に お い て い ず れ の 試 験 も 例 数 設 計 が な さ れ て お ら ず 、 し か も 、 統 計 的 な 差 を 検 出 す る に は 不 十 分 な 症 例 数 で 実 施 さ れ て い た 。ま た 、変 動 性 を 表 す 情 報 を 明 記 し て い な い 報 告 も 認 め ら れ た 。 そ の た め 、有 意 な 差 異 が 認 め ら れ な く て も 、「 臨 床 上 の 同 等 性 」を 積 極 的 に 示 す 研 究 結 果 と は な っ て い な か っ た 。 但 し 、 各 研 究 は 同 一 被 験 者 内 で の 指 標 項 目 の 変 化 を 評 価 対 象 と し て い る が 、 同 一 被 験 者 内 の 差 の 変 動 性 に 関 す る 情 報 が 記 載 さ れ て い な い た め 、 異 な る 被 験 者 に よ る 2 群比較を仮定して
必 要 被 験 者 数 は 算 出 し た 。 そ の た め 、 実 際 の 試 験 結 果 は 検 出 力 が よ り 高 く な っ て い た 可 能 性 は あ る 。 そ れ ら の 中 で 、 有 意 な 差 異 が 統 計 上 検 出 さ れ た と す る 論 文 が 2 報6,7)あ っ た 。 平 野6)、 お よ び 一 森 ら7)の 報 告 で は 測 定 値 の 平 均 値 の 差 は 20%以内であり、しかも、必要被験者数より少ない被験者で 試 験 が 行 わ れ て い た に も 拘 わ ら ず 、 脂 質 値 の 変 化 率 に は 有 意 な 差 が 認 め ら れ て い た 。 こ の 一 見 矛 盾 す る 結 果 は 次 の 二 点 の 可 能 性 を 考 え る こ と が で き る 。 一 つ は 、 算 出 し た 必 要 被 験 者 数 は 個 体 間 変 動 を 用 い て お り 、 変 化 率 で は そ の 変 動 性 が 非 常 に 小 さ く な り 、 過 大 な 検 出 力 に な っ て い た 可 能 性 で あ る 。 こ の 場 合 に は 、 上 で 指 摘 し た 様 に 、 統 計 解 析 結 果 だ け で な く 、 臨 床 上 の 意 味 の あ る 差 異 を 重 視 し た 判 断 を 行 う こ と が 必 要 と な る 。 こ の ケ ー ス で は 、平 均 値 の 差 異 は 20%以内であり、しかも、測定値は正常値内での変動 に 留 ま っ て お り 、 臨 床 上 の 有 意 な 差 は な い 例 で あ る と 考 え ら れ る 。 二 つ 目 の 可 能 性 は 、 個 体 間 変 動 が 非 常 に 大 き い 母 集 団 か ら 少 数 の 標 本 を 抽 出 し 、 そ の デ ー タ を 変 化 率 で 評 価 す る 際 に 現 れ る α の 過 誤 の 増 大 傾 向 に よ る も の で あ る 。 こ の 点 を 第 2 節で検討した。
第 2 節 比率を対象にした検定の問題点の検討 50) プ ラ バ ス タ チ ン を 対 象 と す る 4 研究6,7,26,27)に お い て 、解 析 に 用 い ら れ る 統 計 手 法 に お い て も 問 題 が 存 在 す る こ と が 認 め ら れ た 。4 研究とも観察さ れ た 臨 床 検 査 値 の 変 動 の 程 度 は 同 程 度 で あ り 、 ま た 症 例 数 も ほ ぼ 同 数 で 実 施 さ れ て お り 、 被 験 者 数 お よ び 変 動 性 か ら 検 出 力 は 低 い と 推 定 さ れ る 試 験 で あ る も の の 、 4 報告のうち、2 試験6,7)は 効 果 指 標 値 に 有 意 差 を 認 め た と す る 結 果 を 示 し 、 他 の 2 試験26,27)は 有 意 差 が な い と い う 検 定 結 果 を 示 し 、 統 計 評 価 の 結 果 に 相 違 が 認 め ら れ て い た 。 効 果 に 有 意 差 を 認 め た と す る 試 験 は す べ て 、 ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 投 与 後 の 効 果 マ ー カ ー 値 を ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 投 与 直 前 値 に 対 す る 比 率 に 変 換 し て 検 定 を 行 っ て お り 、 一 方 、 有 意 差 を 認 め な か っ た 報 告 は 、 上 記 の 両 測 定 値 の 差 で 検 定 が 実 施 さ れ て い た 。 本 研 究 で は 、 差 あ る い は 比 率 と い う 指 標 に よ っ て 検 定 結 果 が 異 な る 可 能 性 に つ い て 、 本 来 差 が な い 場 合 で も 有 意 な 差 異 が あ る と し て 統 計 的 に 判 定 さ れ る 危 険 率 (第一種の 過誤; α) と試験 デザイン 、統計 手法等 の関連 性を シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 手 法 を 用 い て 検 討 を 行 っ た 。 2.1 目的 統 計 検 定 を 行 う 際 、指 標 に 測 定 値 の 比 率 を 用 い た 場 合 の 問 題 点 を 明 ら か に す る こ と を 本 研 究 の 目 的 と し た 。 2.2 方法 2.2.1 仮想の測定値の発生 正 規 分 布 あ る い は 対 数 正 規 分 布 を 仮 定 し 、試 験 デ ー タ を 発 生 さ せ た 。 平 均 値 を 150 と設定し、対数正規分布の場合は個体間変動に相当する変動係
数 を 20、30、50、70 および 100% (該当する標準偏差は、30、45、75、105 お よ び 150) の条件で、正規分布の場合は、変動係数 20、30% (該当する標 準 偏 差 は 、30、45) の条件で、それぞれ 10,000 点から成る仮想の測定値を モ ン テ カ ル ロ シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ り 発 生 さ せ 、 デ ー タ が 全 て 正 の 値 で あ る こ と を 確 認 し た 。 乱 数 発 生 は S-PLUS (Version 6.2; TIBCO Software Inc., Palo Alto, CA) を使用した。
2.2.2 対応のない 2 群比較試験を想定したシミュレーション 2.2.1 で発生させたデータから 40 点を離散一様分布乱数に基づき、無作 為(ランダム) 抽出した。抽出した 40 点のデータの分布は、仮定したすべ て の 条 件 で 母 集 団 と ほ ぼ 同 一 で あ り 、 偏 り な く 且 つ ラ ン ダ ム に 得 ら れ て い る こ と を 確 認 し た 。こ の デ ー タ を 用 い 、1 群の被験者を 20 名と想定し、抽 出 し た 40 点のうちランダムに 20 点を対照医薬品群、残りの 20 点を試験医 薬 品 群 の 測 定 値 と し 、 そ れ ぞ れ の 群 の 平 均 値 に 対 し 対 応 の な いt検定 (第 1 種 の 過 誤 の 危 険 率 (α) = 0.05) を行った。帰無仮説は、2 群の平均値の差 を 0 とした。検定に使用したt値 (t01) は、以下に示した式 (1)-(3) を用い て 得 た 。 , (1) (2) (3) こ こ で 、 (式(1)) は対照医薬品投与群および試験医薬品投与群での 分 散 、xi、yiは 、 対 照 、 試 験 医 薬 品 投 与 群 に お け るi番目 の 被験 者値 、μ1、 1 ) ( 1 2 1 2 1 − − =
∑
n xi µ σ 1 ) ( 2 2 2 2 2 − − =∑
n yi µ σ 2 ) 1 ( ) 1 ( 2 1 2 2 2 1 2 1 − + − + − = n n n n σ σ σ 2 1 2 1 01 1 1 n n t + − = σ µ µ 2 1 σ 2 2 σμ2は 各 群 の 平 均 値 、n1、 n2は 各 群 の 例 数 と し た (いずれも 20 例とした) 。 ま た 、最 小 検 出 差 を そ の 試 験 で 得 ら れ た 対 照 医 薬 品 群 平 均 値μ1を 基 準 と し て そ の 20%、一群の被験者数を 20、αを 0.05 とした条件で、その試験で 得 ら れ た 対 照 医 薬 品 群 と 試 験 医 薬 品 群 の 標 準 偏 差 を 用 い て 算 出 し た 合 成 分 散 の 平 方 根 (式(2))を用いて検出力(1-β) 12)を 算 出 し た (式(4)) 。
(
)
{
2,α}
Pr{
(
2,α)
}
Pr t01 ≤−t n1+n2 − + t01 ≥−t n1+n2− (4) な お 対 立 仮 説 の 条 件 下 、t01が 自 由 度φ=n1+n2-2、 非 心 パ ラ メ ー タ λ = ) / ) (( ) /( 1 2 1 2 2 1⋅n n +n ⋅ µ −µ σ n の 非 心t分布t’(φ,λ)に従うとした。 以 上 の 操 作 を 1,000 回繰り返し、それぞれの検定における検出力の平均 値 ( 平 均 検 出 力 ) を 求 め る と 同 時 に 、 検 定 に お い て 有 意 な 差 が 検 出 さ れ た 試 験 数 を カ ウ ン ト し て 有 意 差 検 出 率 を 算 出 し た 。 2.2.3 対応のある 2 群比較試験を想定したシミュレーション 2.2.3.1 評価項目に測定値を用いた統計検定 2.2.1 で発生させた平均値 150、個体間変動を想定した変動係数 20、30、 50、70 および 100%の 10,000 点から成る仮想の測定値から 20 測定点をラ ン ダ ム に 抽 出 し 、こ の 値 を そ れ ぞ れ の 20 症例のデータの分布の中央値とし た 。 中 央 値 は 、 仮 定 し た す べ て の 条 件 で 、 母 集 団 か ら 偏 り な く 抽 出 さ れ て い る こ と を 確 認 し た 。 こ の 中 央 値 に 対 し て 、 個 体 内 変 動 を 想 定 し た 変 動 係 数 を そ れ ぞ れ 20、30、50、70 および 100% (該当する標準偏差は、30、45、 75、105 および 150) を有する対数正規分布を仮定し、1,000 データを発生 さ せ 、そ の 同 一 分 布 内 か ら ラ ン ダ ム に 2 観測値を抽出し対にし、それぞれ、 対 照 医 薬 品 値 、試 験 医 薬 品 値 と し た 。20 症例分の対になったデータを 1 試 験 と し 、 対 応 の あ るt検定 (α= 0.05) を行った。帰無仮説は 2 群の差の平 均 値 が 0 であるとし、t値 (t02) は以下の式 (5)、(6) を用いて算出した。 σ(5) (6) こ こ で 、 は20 名分の被験者データ対における差の標準偏差 (式 5) を、 diはi番 目の 被 験 者に お け るデ ー タ 対の 差、 は 差 の平 均 値 、nは 例 数 (20 例 と し た) を示す。参考にしたプラバスタチンの文献6,7)で は 、個 々 の 値 を 対 数 変 換 し て 比 較 は さ れ て い な い た め 、 こ れ を 踏 襲 し 対 数 正 規 分 布 を 仮 定 し た 場 合 に も 対 数 変 換 は 行 わ ず 、 値 を そ の ま ま 比 較 に 用 い た 。 対 照 試 験 値 の 平 均 値 を 基 準 と し て そ の 20%値を最小検出差、対データ総 数 を 20、αを 0.05 とした条件で、差の標準偏差を用い、各試験の検出力12) を 算 出 し た (式(7)) 。
(
)
{
,1α}
Pr{
(
,1α)
}
Pr t02 ≤−t n− + t01 ≥−t n− (7) な おt02が 自 由 度φ=n-1、非心パラメータλ= n⋅∆の 非 心t分布 t’(φ, λ) に 従 う と し た 。 こ こ で∆=d ∂/ とする。これを 1,000 回分試験し、それぞd れ の 検 定 に お け る 検 出 力 の 平 均 値 (平均 検出力) を求める と同時 に、検 定 に お い て 有 意 な 差 が 検 出 さ れ た 試 験 数 を カ ウ ン ト し て 有 意 差 検 出 率 を 算 出 し た 。 2.2.3.2 評価項目に比率を用いた統計検定 2.2.3.1 で得た同一のデータを用い、その比率を算出した。比率 (ratio; R) は 式 (8) に定義した。 (8) Xi、Xgは、それぞれ、対照医薬品値および試験医薬品値を示す。検定は、 1 ) ( 2 − − =∑
n d di d σ n d t d σ = 02 d σ d i g X X R =Rま た は R の 対 数 値 を 用 い 、 対 応 の あ る t検 定 、 Wilcoxon符 号 付 順 位 検 定 (Wilcoxon signed-rank test) をα = 0.05 の条件で行った。帰無仮説は、Rの 平 均 値 が 1、Rの対数値の場合は平均値が 0 とし、t値 (t03) は以下の式に 基 づ い て 計 算 し た 。 (9) (10) こ こ で は 20 名分のデータ対における標準偏差を、Ri はi番目の被験 者 の 比 率 、 比 率 の 平 均 値 を と し た 。Rの対数値の場合も同様にした。 Rの最小検出差は 値の 0.2 とした。Rの対数値においても同様に、20% の 相 違 を 検 出 す る 最 小 検 出 差 と し て 、ln (1.2/1) = ln (1.2) = 0.182 およびln (1/0.8) = ln (1.25) = 0.233 から、より厳しい基準である 0.182 を採用した。 対 デ ー タ 総 数 は 20、αを 0.05 とした条件で、RあるいはRの対数値の標準 偏 差 を 用 い 、各 試 験 の 検 出 力12)を 算 出 し た (式(7)) 。なお式 (7) の条件で、 比 率 は ∆=R ∂/ 、比率 の対数 はR ∆=ln(R ∂)/ R_logと し た 。1,000 回 分試験 し、 そ れ ぞ れ の 検 定 に お け る 検 出 力 の 平 均 値 (平均検出力) を求める と同時 に、 検 定 に お い て 有 意 な 差 が 検 出 さ れ た 試 験 数 を カ ウ ン ト し て 有 意 差 検 出 率 を 算 出 し た 。 2.2.3.3 対応のある 2 群比較における個体内相関の寄与 2.2.3.1 で発生させたデータに個体内相関を仮定し、相関を有する条件下 で 、 評 価 項 目 の 違 い が 有 意 差 検 出 率 へ ど の よ う に 影 響 を 与 え る か を 検 討 し た 。 二 つ の 変 数xとeがそれぞれ分散の等しい母集団から独立に抽出された無 1 ) ( 2 − − =
∑
n R Ri R σ n R t R σ = 03 R σ R R作 為 標 本 で あ る と き 、 相 関ρを も っ た 標 準 正 規 乱 数 をx、 yと す る と 、yはx
とeの線形結合Y = ρX + aeで表現される。a は任意の実数、 Xおよびeは標
準 正 規 確 率 変 数 で あ る 。 確 率 変 数 Y はN (0, (a2+ρ2)1/2) 、 (a2+ρ2)1/2 = 1、 a = (1-ρ2)1/2よ り 、y = ρx + ( 1 -ρ2 ) 0.5 eと表現できる51)。 こ の 関 係 を 利 用 し て 、 デ ー タxに対して、相関をもつ新規データyを発生させた。元にな る デ ー タx は 1-3-1) の 検討 で 使 用し た 対 照医 薬 品 のデ ー タXiを そ の ま ま 使 用 し 、eはXiの 同 一 母 集 団 か ら 無 作 為 抽 出 し て 得 た 。上 記 の 関 係 を 用 い て 相 関 係 数 を 0.5 から 0.8 まで変化させ、データxに対応する 0.5 から 0.8 の 相 関 を 有 す る デ ー タyを発生させ、同一被験者での対照医薬品値 (元データ Xi) と、 試験 医薬 品 値 (xiに 対 し て 相 関 を 仮 定 し て 発 生 さ せ たXg) と し て 対 に し 、被 験 者 1 の試験結果とした。これを 20 症例分実施し、1 試験とし た 。 評 価 項 目 に 測 定 値 の 差 を 用 い た 統 計 検 定 で は 、1-3-1) と同様に、式 (5) 、 (6) を用いてt値 (t02) を算出し、 対応の あるt検定 (α= 0.05) を行った。 評 価 項 目 に 比 率 を 用 い た 検 定 は 、1-3-2)と同様に比 率は式 (8) のように定 義 し た 。検 定 は 、RまたはRの対数値を用い、対応のあるt検定をα= 0.05 の 条 件 で 行 っ た 。 な おt値の算出には式 (9)、(10) を用いた。 2.2.3.4 観測値の差、比率および比率の対数値の分布の確認 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 研 究 で 得 ら れ た 、対 応 の あ る 2 群比較における対照医 薬 品 値 と 試 験 医 薬 品 値 の 差 、 比 率 お よ び 比 率 の 対 数 値 の 平 均 値 の 分 布 を 確 認 す る た め に 、被 験 者 20 名分の平均値を試験毎に算出した。これらの平均 値 を 1,000 試験分集計して、度数をプロットし、その分布の形状を把握し た 。 度 数 分 布 の 階 級 区 切 り (度数の 区切 り、横軸 の刻み) は、カ ーネル 密 度 分 布 を 用 い た 確 率 密 度 分 布52)を 参 考 に し な が ら 、目 視 に よ り 区 切 り を 決