はじめに
多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)は, 腫瘍化した形質細胞が全身の骨髄内外で増殖 し,その産物である単クローン性免疫グロブリ ン(M蛋白)および骨髄腫細胞と骨髄間質細胞 から産生される種々のサイトカイン・ケモカイ ンにより,多彩な臓器障害,臨床症状を呈する 疾患である.MMは細胞遺伝学的にヘテロなク ローナルな形質細胞の増殖であり,そのほとん どが意義不明の単クローン性ガンマグロブリン 血症(monoclonal gammopathy of undetermined significance:MGUS)から発症すると報告され ている.約 80%のMMはIgM以外の免疫グロブ リンMGUSから発症し,約20%はlight-chain免疫 グロブリンMGUSから発症する.IgM免疫グロブ リンMGUSは,進展すると原発性マクログロブ リ ン 血 症 を 発 症 す る と 考 え ら れ る.MGUSの 状態から腫瘍細胞が増加し,臨床症状を伴わ な い く す ぶ り 型 骨 髄 腫(smoldering multiple myeloma:SMM)となり,最終的に高カルシウ ム血症(calcium),腎不全(renal),貧血(ane-mia),骨病変(bone)の4症状(CRAB)のいず れかを合併し,骨髄腫と診断される. CRABの診断条件がそろった症例であれば,診 断は比較的容易であるが,MGUS,SMM,形質 細胞性白血病,骨髄中に異常形質細胞を認め ず,骨あるいは軟部組織などに形質細胞が腫瘤 形成する形質細胞腫などきわめて多彩な臨床症 状を呈するため,診断基準の策定は極めて難し く,これまでに複数の診断基準が報告・改訂さ れてきた.診断基準には,簡潔であり,国際的 に も 頻 用 さ れ て い る こ と か ら, 主 にIMWG (International Myeloma Working Group)診断基 準1)が用いられている.これまでは臓器障害が 認められた時点で治療が開始されていたが,最多発性骨髄腫の診断
要 旨 石田 禎夫 多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)は,単クローン性免疫グロブ リンの産生と,特徴的な臓器障害(CRAB(高カルシウム血症(calcium), 腎不全(renal),貧血(anemia),骨病変(bone)の 4 症状))が特徴で ある.しかし,その臨床像は極めて多彩であり,診断基準に関しては,こ れまで様々な診断基準が提唱されてきた.現在は,簡潔であり,世界各国 のmyeloma expertsによって構成されたInternational Myeloma Work-ing Group(IMWG)による基準が幅広く用いられている.2014年に診断 基準が改訂され,新たなバイオマーカーが骨髄腫診断事象に追加された.〔日内会誌 105:1209~1215,2016〕
Key words 多発性骨髄腫,MGUS,SMM
日本赤十字社医療センター血液内科
Multiple myeloma:from diagnosis to the up-to-date treatment. Topics:II. The diagnosis of multiple myeloma. Tadao Ishida:Department of Hematology, Japanese Red Cross Medical Center, Japan.
近の新規薬剤による治療成績の向上により,早 期治療介入による高リスクSMM患者の生存期 間の延長2),さらには画像診断技術や検査法の 進歩,新たなバイオマーカーの登場により,臓 器障害出現前に治療介入する意義が明らかにな りつつある3).このような背景をもとに,2014 年にIMWG診断基準がupdateされた.改訂基準 では,従来のSMMの一部が治療適応を有する骨 髄腫に含まれることになるため,臓器障害の有 無にかかわらず,治療適応のある骨髄腫をMM として定義している4).ここでは,主にupdate された診断基準およびその改訂根拠ならびに病 期分類について解説する.
1.MGUS,SMM,MMの診断
MMの診断は,まずMMを疑うことが重要であ る.CRABの症状がある場合は比較的診断は容易 であるが,CRABを有さない段階で診断すること は困難である場合も多い.MGUS,SMMは原則 的に無症状であるので,健康診断などの検査で 総蛋白が上昇している場合,尿たんぱくが陽性 である場合は,血清電気泳動(図 1),血清免疫 固定法(図2A),血清遊離軽鎖(serum free lightchain:sFLC),尿の免疫固定法(図 2B)などで M蛋白の有無を検査することが必要である. MGUS,SMMと診断された場合はそれぞれ3~6 カ月前後,3カ月前後の間隔で経過観察を行う. MGUSは年に1%,SMMの場合は最初の5年間は 年に 10%がMMに進展する.MMの場合,初診 時に最も多い症状は骨病変に伴う痛みであり, 貧血による動悸・息切れが次に多い.全身倦怠 感は貧血,高カルシウム血症,腎不全に伴って 起こることが多い.このように多くはCRABの臨 床症状をきっかけに診断される.
2.診断・検査のアルゴリズム
MMの診断は,IMWGの国際診断基準に基づい 図1 血清蛋白電気泳動によるM蛋白 電気泳動でM蛋白を認めた場合,骨髄腫を含めた形 質細胞異常症の可能性が高い. M蛋白 ⬇ 図2B 尿の免疫固定法 軽鎖は腎障害がなくとも尿中に排泄される.この症 例ではκ単独のバンドと,腎障害のためにIgG,κの M蛋白を尿中に認める. SP G A M κ λ 図2A 血清免疫固定法 IgG,κのM蛋白を認める. SP G A M κ λて行うことが推奨されている4).まず,MM 診 断のためにスクリーニング検査(CBC,一般生 化学検査,蛋白分画,血清免疫グロブリン値, 血清・尿免疫固定法(免疫電気泳動),sFLC, 骨X線検査などを行い,血清または尿中M蛋白 の存在などの異常を認めた場合は,さらに確定 診断のため骨髄検査や腫瘤の生検によるクロー ナルな骨髄形質細胞BMPC(bone marrow plasma cell)を証明する検査,腫瘍量や予後評価のため の検査,臓器障害の評価のための検査へと進む (表 1).スクリーニング時の免疫グロブリン検 査では,IgG,IgA,IgMが行われ,1つの免疫グ ロブリンが増加し,他の 2 つが抑制されている 場合はM蛋白の存在が強く疑われる.この 3 つ のグロブリンが低値である場合は,BJP型,IgD 型,IgE型,非分泌型の可能性を疑う.電気泳動 でM蛋白を認めた場合は形質細胞異常症の可能 性が高く,M蛋白定量はこのピークの蛋白量を 測定する.M蛋白が少量のため電気泳動でピー クがみられない場合,M蛋白の重鎖,軽鎖を決 定するために免疫固定法(免疫電気泳動),sFLC 検査を行う.M蛋白を認めた場合は骨髄検査を 行うが,MM患者は骨が極めて脆弱で,針が骨 を突き抜けることや骨折する場合があり,腸骨 からの穿刺・生検が望ましい.骨髄検査では, 病理組織学的診断に加えて骨髄腫細胞表面抗原 解析と染色体検査を行う.MMの染色体異常と 予 後 と の 関 係 に つ い て は 様 々 な 報 告 が あ る5~7).染色体検査では,分染法に加えて,リ ス ク 分 類 の た め,FISH(fluorescence in situ hybridization)解析(del 17p,t(4;14),t(14; 16))を行う. その他の検査として,MRI,CT,PET/CTの有 用 性 が 報 告 さ れ, 病 変 の 数 やPET/CTのSUV (standardized uptake value)により予後が予測 できることが報告されている.また,アミロイ ドーシスが疑われる場合は,組織の生検を行 い,アミロイドの沈着の有無を診断する.
3. IMWG(2014年)のMGUS,
形質細胞異常関連疾患の診断基準(表2)
1) 意義不明の単クローン性 ガンマグロブリン血症(MGUS) 2014年の診断基準改訂で,MGUSはNon-IgM-MGUS,IgM-MGUS,lite-chain-MGUSの 3 種類に 分類された.Non-IgM-MGUSは,骨髄腫,孤発 性形質細胞腫,免疫グロブリン関連アミロイ ドーシスなどへの進展が 1 年で 1%とされる. IgM-MGUSは,マクログロブリン血症,免疫グ ロブリン関連アミロイドーシスなどへの進展が 1 年で 1.5%とされる.Light-chain-MGUSはライ トチェーンMM,ALアミロイドーシスへの進展 が 1 年で 0.3%とされる.いずれのMGUSも,血 清M蛋 白 は 3 g/dl未 満, 骨 髄 中 の 形 質 細 胞 が 10%未満,臓器障害を認めないと定義される. MGUSと診断された患者は,3~6 カ月ごとに臓 器障害の有無,血清・尿中M蛋白量の測定,必 要に応じて骨髄検査や骨X線検査が必要である. 表1 MGUS,SMM,MM診断の初期検査 スクリーニング検査 既往歴,現病歴,理学的所見 CBC,総蛋白,アルブミン,BUN,Cr,Ca,LDH, 血清・尿蛋白電気泳動,免疫グロブリン定量(Ig-G, A,M,D,E),病変部のX-p 診断確定のための検査 骨髄穿刺・生検 血清・尿免疫固定法(免疫電気泳動),血清フリーラ イトチェーン(この3つの検査は全て必須) 全身骨X-p,MRI,PET/CT 腫瘍量や予後評価のための検査 β 2MG,LDH, ア ル ブ ミ ン, 骨 髄 の 染 色 体 検 査 (G-band,FISH:17p13 欠 失,t(4;14),t(14; 16)) 臓器障害の評価のための検査 Cr,クレアチニン・クリアランス,Ca,アルブミン, 組織生検によるアミロイド検索 その他 24時間蓄尿中の総蛋白2)孤発性形質細胞腫(solitary plasmacytoma) X線,CTなどで孤発性病変を認め,生検や摘 出によりクローナルな形質細胞腫と診断された 症例で,骨髄に形質細胞の増加を認めない患者 を孤発性形質細胞腫,骨髄でクローナルな形質 細胞の増加を10%未満認める患者を孤発性形質 細胞腫―微小骨髄浸潤と定義した.孤発性形質細 胞腫のMMへの進展は 3 年で10%,孤発性形質 細胞腫―微小骨髄浸潤のMMへの進展は 3 年以内 に骨に60%,軟部組織に20%と報告されている. 3)MMの類縁疾患 POEMS(polyneuropathy,organomegaly, endocrinopathy,M Protein,skin changes)症候 群,全身性ALアミロイドーシスに関しては,本 誌「多発性骨髄腫の関連疾患」の稿で説明され ている.
表2 IMWG(2014年)のMGUSと形質細胞異常関連疾患の診断基準
【non-IgM monoclonal gammopathy of undetermined significance(MGUS)】 ●血清M蛋白(IgM以外)<3 g/dl ●骨髄のクローナルな形質細胞の比率<10% ● 形質細胞増殖疾患が原因の高カルシウム血症・腎障害・ 貧血・骨病変(CRAB),アミロイドーシスを合併しない ● 進展(骨髄腫,孤発性形質細胞腫,免疫グロブリン関連 アミロイドーシス(AL,AHL,AH))は1年に1% 【孤発性形質細胞腫-微小骨髄浸潤】 ● 限局病変の生検によりクローナルな形質細胞の増加を 確認 ● 骨髄のクローナルな形質細胞の比率<10% ● 病変部以外は正常な全身骨所見(全身骨のX-Pおよび脊 椎・骨盤のMRI(CT)) ● 形質細胞増殖疾患が原因の臓器障害(CRAB)を合併し ない ●進展(MM)は3年以内に60%が骨,20%が軟部組織 【IgM MGUS】 ●血清IgMのM蛋白<3 g/dl ●骨髄のクローナルな形質細胞の比率<10% ● 以下の症状がない;貧血,全身症状,過粘稠症候群,リ ンパ節腫脹,肝脾腫,リンパ増殖性疾患に伴う臓器障害 ● 進展(マクログロブリン血症,免疫グロブリン関連アミ ロイドーシス(AL,AHL,AH))は1年に1.5% 【POEMS syndrome】 ●多発神経障害 ●モノクローナルな形質細胞増異常(ほとんどλ) ●3つのメジャークライテリアのうち1つ以上を有する 硬化性骨病変 Castleman病 VEGF増加 ●6つのマイナークライテリアのうち1つ以上を有する 臓器腫大(脾腫,肝腫大,リンパ節腫脹) 血管外体液漏出(浮腫,胸水,腹水) 内分泌異常(副腎,甲状腺,下垂体,性腺,副甲状腺, すい臓) 皮膚異常(色素沈着,多毛,血管腫,多血症,先端チ アノーゼ,発赤,爪の蒼白化) 乳頭浮腫 血小板増加/多血症 【light-chain MGUS】 ●FLC比の異常(<0.26 or >1.65)
● Involved light chainの増加(κが増加する患者はκ/λが >1.65,λが増加する患者はκ/λが<0.26) ●免疫固定法で免疫グロブリンの重鎖の発現を認めない ● CRABや免疫グロブリン関連アミロイドーシスを認めな い ●骨髄のクローナルな形質細胞の比率<10% ●尿中M蛋白は<500 mg/24h ● 進展(ライトチェーンMM,ALアミロイドーシス)は1 年に0.3% 【孤発性形質細胞腫】 ● 限局病変の生検によりクローナルな形質細胞の増加を 確認 ●骨髄検査でクローナルな形質細胞を認めない ● 病変部以外は正常な全身骨所見(全身骨のX-Pおよび脊 椎・骨盤のMRI(CT)) ● 形質細胞増殖疾患が原因の臓器障害(CRAB)を合併し ない ●進展(MM)は3年で10% 【全身性ALアミロイドーシス】 ● アミロイド関連の全身症状(腎,肝,心,消化管,末梢 神経) ● 病理検査:Congo red染色でアミロイド陽性(脂肪吸引, 骨髄,臓器生検) ● アミロイドが軽鎖であることの証明(mass spectrome-try-based proteomic analysis or immunoelectron microscopy)
● モノクローナルな形質細胞増殖のエビデンス(血清中/ 尿中のM蛋白,FLC比の異常,骨髄でクローナルな形質 細胞増殖)
4. IMWG(2014年)の
MM,SMM診断基準(
表3
)
従来の症候性骨髄腫の診断には,骨髄腫診断 事象(myeloma-defining events:MDE)である 高カルシウム血症,腎障害,貧血,溶骨性骨病 変(CRAB)といった臓器障害の存在が必要で あった1). これは無症候の時期に治療介入を 行っても臨床的ベネフィットが得られなかった ことによる.しかし,検査法の進歩や新規薬剤 の導入により,高リスクSMMの一部に治療を行 うことのメリットが明らかになりつつある2). 特に,SMMの中でも短期間で高率にMMに進展 する超高リスク群を抽出するための骨髄腫診断 バイオマーカー(myeloma-defining biomarker) が同定されたことの意義は大きく,2014年の改 訂診断基準に盛り込まれた4).このことは,従 来,治療適応のなかったSMMの一部が治療適応 となることを意味する.表 3にMM,SMMに関 するIMWGの改訂診断基準を示した. 1)多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM) 骨髄におけるクローナルな形質細胞比率≧ 10%または生検で証明された髄外形質細胞腫 の存在,加えて骨髄腫診断事象(myeloma defin-ing events:MDE)を1つ以上有することとされ た.MDEは従来の臓器障害であるCRAB以外に, 骨髄の形質細胞が≧60%,Involved:uninvolved 血清FLC比≧100,MRIで巣状病変>1 が加えら れた. 改訂が行われた背景としては,IMWGは2011 年に,診断2年後に約80%のSMM患者が症候性 骨髄腫に進展するような信頼性のあるバイオ マーカーが存在する場合は,症候性骨髄腫と同 様に治療すべきであると報告したことに始ま る.Rajkumarらは,骨髄の形質細胞(BMPC)比 率が60%以上のSMMがSMM651例中3%に認め られ,診断後2年以内に95%が症候性骨髄腫に 進展すると報告した8).Larsenらは,free light chain比(FLC ratio)が 100 以上のSMM患者が 586症例中90例(15%)存在し,2年後に79% が症候性骨髄腫に進展すると報告した9).さら に,Hillengassらは,149 例のSMM患者症例中 15%にMRIでfocal lesion(巣状病変)を 2 つ以 上認め,2 年以内に約 70%が症候性骨髄腫に進 展すると報告した10).これらの結果を考慮し 表3 IMWGのMMとSMMの診断基準(2014年改訂版) 骨髄腫診断基準 骨髄におけるクローナルな形質細胞比率≧10%または生検で証明された髄外形質細胞腫の存在,加えて下記の 骨髄腫診断事象(myeloma defining events:MDE)を1つ以上有すること形質細胞の増殖に伴う臓器障害 高カルシウム血症:基準値より0.25 mmol/l(1 mg/dl)を超える上昇または2.75 mmol/l(11 mg/l)を 超える高カルシウム血症 腎不全:クレアチニンクリアランス<40 ml/minまたは血清クレアチニン>177 µmol(>2 mg/dl) 貧血:Hbが基準値より>2 g/dl低下または10 g/dl未満 骨病変:1つ以上の溶骨病変(X線,CT,PET-CT) 1つ以上の下記の悪性のバイオマーカーを有する 骨髄の形質細胞が≧60% Involved:uninvolved 血清FLC比≧100 MRIで巣状病変>1 SMM診断基準 以下の2つの基準を満たすこと 血清M蛋白(IgGまたはIgA)≧3 g/dlまたは蓄尿中M蛋白≧500 mg/24時間または骨髄のクローナルな形質 細胞が10%以上,60%未満 MDEを有さない
て,IMWGは治療の必要なMDEとして,CRAB症 状以外に,BMPC≧60%,FLC比≧100,MRIで focal lesion(巣状病変)を追加し,新規の骨髄 腫診断基準を作成した(表 3)4).このように, 新規診断基準では,MDEをもつ患者を骨髄腫: multiple myeloma(MM)と定義した.CRABを 伴わず,BMPC≧60%,FLC比≧100,MRIでfocal lesion 2 つ以上のどれかを満たす患者において も治療が推奨されるが,経過観察が可能であれ ば慎重に経過観察を行い,増悪を認めた時点で 直ちに治療を開始する. 2)くすぶり型骨髄腫(SMM) SMMは血清M蛋白(IgG,IgA)≧3 g/dl,また は蓄尿中M蛋白≧500 mg/24 時間,または骨髄 のクローナルな形質細胞が10%以上,60%未満 であり,臓器障害などのMDEをもたない.SMM は臓器障害がない状態であるため,現時点では MGUS同様,治療の対象とはならない.M蛋白 3 g以上や骨髄形質細胞 10%以上という定義に 明確な根拠はなく,各国のmyeloma expertの日 常臨床の経験から認知され,採用された経緯が ある.SMMは最初の5年間は年10%,その後の 5 年間は年 3%,その後は年 1%の率でMMに進 展する.したがって,MDEが出現するまでは治 療を開始せずに,3カ月に1回程度の外来経過観 察・検査が求められる.SMMに対する臨床試験 の 1 つとして,Moteousらは,独自のSMMのハ イリスク患者の基準を用い,第III相臨床試験を 行った2).レナリドミド+デキサメタゾン投与 群と観察群では,治療開始後 3 年の生存率がそ れぞれ94%,80%と有意差をもって治療群が優 れていた(HR:0.31,p=0.03).しかし,現時 点でのハイリスクSMMに対する治療に関する エビデンスは乏しく,今後の臨床研究により解 明すべき問題と考える.
おわりに
MMの診断における注意点について,2014年 に改訂されたIMWGの診断基準を中心に解説し た.診断の基礎となるM蛋白の定量に関しては, これまで使用されていた電気泳動法,免疫固定 法に加えて,感度の高いFLCが診断,効果判定 に使用されるようになった.また,骨病変の診 断手段として,CT,PET/CT,MRIの評価も標準 化されつつある.一方,様々な新薬の出現に伴 い,治療開始基準に関してもCRAB以外のMDEの 定義が記載され,早期治療が必要な症例の定義 も変化した.今後,さらに多くの新規薬剤が使 用可能になり,大きく予後が改善されることが 予想される.一方,MM患者の正確な早期診断 が予後改善には重要であり,改訂診断基準に精 通し,的確な治療方針を決定することが重要と 考える. 著者のCOI(conflicts of interest)開示:石田禎夫;講演 料(セルジーン,武田薬品工業)文 献
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6) 石田禎夫:多発性骨髄腫:染色体異常と臨床病型・予後.臨床血液 54 : 1856―1866, 2013. 7) 石田禎夫:骨髄腫の染色体異常とclonal evolution.臨床血液 55 : 2036―2045,2014.
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