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IEC 国際標準化質問と回答事例集 第 1 版 : ISO/IEC Directives について 本書では ISO/IEC Directives (ISO/IEC 専 業務 指針 ) を数多く参照いたします Directives は IEC ホームページまたは JSA ホームページか

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(1)

IEC国際標準化 質問と回答事例集

【第 1 版:2016.03】

ISO/IEC Directives について

本書では、ISO/IEC Directives (ISO/IEC 専⾨業務⽤指針)を数多く参照いたします。 Directives は、IEC ホームページまたは JSA ホームページからダウンロードできます。

IEC(英語版): http://www.iec.ch/members_experts/refdocs/

JSA(英和対訳版): http://www.jsa.or.jp/itn/service/shiryo/shiryo-1.html

⼀般財団法⼈ ⽇本規格協会

Japanese Standards Association(JSA)

国際標準化ユニット

International Standadization Unit

Email: kokusai3@jsa.or.jp

URL: http://www.jsa.or.jp/

(2)

⽬ 次

1 委員会(TC/SC)の設置・編成と参加 ... 6

1.1 TC/SC の設置 ... 6

新たな TC の設置の提案 ... 6

1.2 TC/SC の編成 ... 9

National body と TC/SC の P/O メンバーの関係 ... 9

ノンメンバー ... 10

TC/SC メンバーとしてのリエゾン ... 10

Liaison officer の指名 ... 12

国内審議委員会議⻑が TC/SC 議⻑を兼務 ... 13

Vice-chair の任命 ... 14

Chairʼs Advisory Group の設置 ... 14

台湾の参加 ... 15

業務が終わった TC/SC ... 16

1.3 TC/SC/WG への参加と国内委員会審議 ... 17

IEC 活動に参加するための Expert Management System への登録 ... 17

審議⽂書のダウンロード ... 18 国内審議委員会委員を全員登録 ... 18 2 新たな WG の設置・編成と参加... 19 2.1 新たなWG設置の提案 ... 19 2.2 WGの編成と参加 ... 19 任務が終了した WG ... 19 WG 副コンビーナ(Co-convener) ... 20 WG の参加と登録 ... 20 休眠中の WG の再起動 ... 21 3 規格策定過程:新業務項⽬提案から最終承認まで ... 22

(3)

3.1 新業務項⽬の提案 (New work item proposal : NP) 先を探す ... 22 提案する TC/SC の探し⽅ ... 22 適当な TC/SC がない ... 22 NP 提案と Project committee (PC) ... 24 Stand-by の TC/SC への対応... 25 特定分野の規格開発状況の調査 ... 25 3.2 新規業務項⽬の提案 ... 26

Preliminary work item(PWI)とは? ... 26

NP を CD, CDV 段階に提案 ... 26 改訂のための成⽴要件 ... 27 新規業務項⽬の発掘 ... 28 国家規格を引⽤した NP 提案への対応 ... 28 ⽤語規格と IEV ... 29 3.3 迅速法(Fast track)での提案 ... 30 NP と迅速法の違い ... 30 迅速法の⼿順と FDIS への直接提案 ... 31 3.4 WD から FDIS までの審議に関係して ... 32 著作権と審議⽤⽂書の配布 ... 32 Corrigendum の⼊⼿⽅法 ... 33 特許の取り扱い ... 33 作成中の規格番号の変更 ... 34 作成中の規格のパート分け ... 35 WD/CD/CDV/FDIS の審議⽂書の配布と回答 ... 35 投票結果の集計の仕⽅(1)棄権と無投票の違い ... 37 投票結果の集計の仕⽅(2)投票義務を果たさない国への対処 ... 37 CD 案件の投票結果への対応 ... 38 CD 昇格決定後の WD の修正 ... 38 CDV, FDIS の投票とコメント提出;委員会メンバー間の扱いの違い ... 39

(4)

キャンセルが迫った案件の Target date の延⻑ ... 40 FDIS の修正の仕⽅ ... 41 投票結果の扱いの異議申し⽴て ... 42 3.5 International Standard(IS)以外の⽂書 ... 42 CDV の TS としての発⾏ ... 42 TR の作成⼿順 ... 43 3.6 公式⽂書の管理・保管義務(TC/SC 国際幹事) ... 43 4 規格の⾒直し ... 44 5 国際規格を書く ... 45 5.1 IEC テンプレートを使う ... 45 IEC/TR, TS, PAS 作成⽤のテンプレート ... 45 ⽂字化けの防⽌ ... 46 5.2 規格⽤図⾯の作成 ... 47

5.3 Normative reference と Bibliography の書き⽅ ... 48

IEC 規格への国家規格の引⽤ ... 48 Normative reference と TR ... 49 Bibliography への記載事項 ... 50 企業名の記載 ... 50 5.4 IEC の公式⾔語 ... 51 ⽂書作成での公式⾔語の扱い ... 51 IEC(CDV/FDIS)⽂書の仏語訳 ... 52 5.5 その他の書き⽅等に関して ... 53 Type と Classificarion ... 53 6 国際会議への参加と招聘・開催 ... 54 6.1 国際会議への参加 ... 54 IEC 会議参加の⼿続き ... 54 国際会議に参加する際の留意点 ... 55 国際会議に参加する⼼構えと準備 ... 56 6.2 国際会議の招聘 ... 60

(5)

国際会議招聘と国内⼿続き ... 60 国際会議の開催準備 ... 61 仏語通訳要請への対応 ... 66 6.3 会議開催の運営に当たって(TC/SC 国際幹事の役割) ... 67 会議開催通知の時期 ... 67 IEC TC/SC/WG 会議を開催する際の定⾜数 ... 68 会議結果のまとめ ... 69 会議参加者の確認と記録 ... 71 7 ドレスデン協定 ... 71 並⾏投票のチェック欄 ... 71 CENELEC 規格の IEC への取込み ... 72 8 国際市場性(Global relevance) ... 72 IEC の国際市場性の政策 ... 72

Market difference と Essential difference ... 73

ISO と IEC の政策の違い ... 74

9 その他の⼀般的事項に関る Q&A ... 75

International Standard と international standard との違い ... 75

(6)

1 委員会(TC/SC)の設置・編成と参加 1.1 TC/SC の設置 新たな TC の設置の提案 【質問 1】 JIS をベースに IEC 提案をしようとしていますが、その技術分野を担当する TC/SC が⾒つかりません。従って、新たな TC の設置を提案したいと考えています。どのよ うな⼿続きが必要でしょうか。 【答え】

TC(専⾨委員会)の設置に関しては、【ISO/IEC Directives Part 1, 1.5 Establishment of technical committees 】 に 規 定 が あ り 、 決 定 は SMB(Standardization Management Board) が⾏いますが【1.5.1】、その提案ができる資格者は【1.5.3】 に書かれています。ここでは National Committee(NC)として IEC 中央事務局に 提案する⼿続きと合わせて国内の⼿続きを説明します。

提案は、【IEC書式 Form-NTC.dot

(http://www.iec.ch/standardsdev/resources/docpreparation/forms_templat es/)に所定の事項を書き込みます。その内容は【ISO/IEC Directives Part 1, Annex C4】に⽰されていますが、要点をまとめると以下の通りです。 ・ Subject:提案するTC の名称、簡潔で明快な表現で ・ Scope:対象とする規格策定活動の領域を端的に、具体的に記述する。特にその領域 の境界が分かるように表現することが⼤切です。例えば、「製品の呼称、ただし⽤ 語、試験法を対象にするが、製品仕様は除外する」など。また、近接する活動領域 の⼀部重複する既存のTC がある場合には、その重複領域を除くとの記載を含める (具体的な書き⽅は、幾つかのTC の事例を参考にしてください)。

・ Purpose and justification:新TC の設⽴が妥当であると考える理由を、第3者が 分かり易い表現でまとめ、記載します。その際に考慮すべき事項が【Annex C.4.3】 に挙げられていますので、提案する新TC の理由として相応しいものを選んで、記述 するのがよいでしょう。また、提案するScope が既存のTC に隣接する場合には、

(7)

既存のTC のScope を拡張して扱うことが適当ではない理由を付記する必要があり ます。

・ Programme of work:ここではTC が具体的に取り組む対象を明記します。その内 容は、ScopeとPurpose and Justification に記載した内容を、規格群として具体的 に整理して記述するとよいでしょう。例えば、製品の場合には、⽤語、製品の種類、 材料仕様、性能特性、試験法、データの提⽰法など活動が具体化した場合に、必要 に応じて設置するWG やSC の業務内容を考えながら整理するとよいでしょう。 【Annex C.4.4.4】で求めている優先順位、⽬標期⽇もこのような整理をすると明 らかになってくるでしょう。この場合、差し迫って具体的な要請がない場合には、 ⽬標期⽇は⼤まかのもので⼗分だと思います。

・ Survey of similar work undertaken in other bodies:その分野で、世界的に どのような標準化活動があるのを⽰すのが⽬的ですので、提案する領域に関係する JIS 以外の諸外国の規格を出来るだけ調べて、Programme 分類ごとに、国名と規 格番号、題名をまとめて⼀覧にすると分かりやすいでしょう。完璧なものでなくと も、判る範囲で主要なものが含まれていていればよいと思います。実際、提案が投 票に掛かると、コメントとして各国から⾃国の関連規格のリストが提出されること があります。 ・ Liaison organizations:IEC では規格作成の過程で関連情報を交換して、業務の 重複を避け、適切な規格を策定するために“Liaison:連携”という仕組みがあります。 従って、情報交換を密接に⾏う組織名を、IEC 内部のTC/SC 名と外部機関名で記述 します。例えば、無線・通信に関る場合には外部機関はITU が考えられますし、内 部のTC としては幾つかの無線・通信等に関るTC があります。 ・ Other comments:特別に追記したい事項があればここに記載します。特に、承認 された場合には⽇本(JISC)が幹事国を引き受ける⽤意があるとの意思表⽰をして おくことが⼤切です。さらに、この分野での新規TC の提案が各国との事前妙技の結 果であれば、例えば、これまで⽇・⽶・欧の関係業界で協議した結果であり、その 提案を⽇本が⾏っているなどもここに記載すべき対象になるでしょう。 ・ Signature of proposer::⽇本の提案はJISC を通じて⾏います。従って、ここの 名前はJISC のSecretariat(経済産業省基準認証担当審議官)名になります。 国内の⼿続きは、JISCからSMBへの提案になりますので、まずJISCに相談すること になります。国内の⼿続きを始めるにあたり、まず、国内の担当審議団体を明らかに する必要があります。新TC設置提案の⺟体が既存の⼯業会等の団体であればその団 体が代表として申請することになりますし、無い場合には、新たに審議団体となりう

(8)

る組織を新設する必要があります。担当審議団体(もしくはそう想定される団体)は、 新TC設置の提案をしたい旨を、JISC事務局である、経産省基準認証ユニットの国際 電気標準課宛連絡してください。JISC事務局は、提案者、SMB⽇本代表委員等と検 討して所定書式(Form-NTC.dot)の提案書を完成させ、役所内の決裁を取って、IEC の事務総⻑宛に送付します。 【注】国内の審議団体の⼿続きに関わる事項については、JISCが発⾏しているISO/IEC事務処理 要領(国内審議団体等の⼿続き編)を参照してください。 (https://www.jisc.go.jp/international/isoiec-ref.html) IECでは、SMBの事務局が本件を担当し、提出された⽂書の内容をチェックの上、不 ⾜部分は更に記述を求めてきます。提案はSMB委員に回付されて審議が⾏われます (通常、約4か⽉毎に開催されるSMB会議で議論されます)。SMBでは、その場で決 定するか、Adhoc Groupを設置して検討をすることになります。最終的にSMBで新 TC設置が承諾された場合、IECの全メンバーを対象に投票が⾏われ、有効投票の2/3 以上の賛成と5か国の参加を条件に、SMBの決議で決定します。このIEC全メンバー 対象の投票時、幹事国のポジションを取る意思があるかどうかを表明します。その結 果でSMBが幹事国をアサインします。(議⻑は幹事国がノミネートしSMBで決定し ます。) 新TCを設置するにあたり、通常、提案国が幹事国のポジションを取ることが多いで すが、複数の国が意思を表⽰した場合には、それらの国々の中で調整(例えば幹事国 と議⻑国を分け合うとか、副議⻑をアサインするとか等)するか、調整がつかない場 合にはSMBメンバーの投票で幹事国が決まります。 【質問 2】 TC直轄のWGをSCに昇格させようと考えていますが、どのようにすればよいのでし ょうか。 【答え】

SC の設置に関しては、【ISO/IEC Directives Part 1;1.6】に⼿続きが書かれてい ます。その概要は、SC の設置は National Committee (NC)が幹事国の引き受けを前 提に TC に提案し、投票した P メンバーの 2/3 以上の賛成と親 TC の P メンバー及 び O メンバーの 5 か国以上の参加表明を条件に、SMB の承認を経て決定されます。

(9)

提案⽤の書式は特に決められていませんので、⾃由な⽂書で提案できますが、その記 載内容は、TCが設置を決定したことをIEC中央事務局(IEC CO)へ報告するための書 式【Form-NSC.dot】が参考になります。また、TCで決定されると、TCの国際幹事 は提案国にこの書式でSMB提出書類作成を求めてくる可能性が⾼いので、提案書とし て最初からこの書式を使うことを勧めます。 書式記述の内でTCの設置の提案書と同じ項⽬はそちらを参照ください。異なる2点の み注記します。 ・ National Committees:SCのNCは投票の結果で参加国が決まりますので、JISCか ら提案する段階では空欄です。決まってから、TC国際幹事が記⼊するでしょう。 ・ Secretariat:⽇本が幹事国を引き受けたい場合には、「⽇本が国際幹事を引き受け る」ことを明記します。この意思表⽰を明確にしておかないと、投票時に他国が幹事 国引き受けの意思表⽰をした場合、その国になってしまう場合があります。 国内の⼿続きは、TCの国内受託審議団体及び経済産業省国際電気標準課の担当官の 了解を得た上で、TC国際幹事宛に送付します。提案を受けたTC国際幹事は、TC/Pメ ンバーの投票に掛け、承認条件が満たされると、【Form-NSC.dot】をIEC COに提 出し、SMBの追認を求めます。SMBの追認で正式発⾜の運びとなります。 1.2 TC/SC の編成

National body と TC/SC の P/O メンバーの関係

【質問 3】

ISO/IEC DirectivesではNB(National body)は何れのTC/SCにも参加でき、Pメンバ ー⼜はOメンバーの選択が出来るとありますが、National Bodyとはどういう意味で すか?これらメンバーとそれぞれの委員会内での参加の仕⽅について説明ください。

【答え】

正会員をISOではMember body(MB)と呼び、IEC側はNational Committee(NC)と 呼んでいます。ISO/IEC Directivesは両組織に共通であるため、「正会員」をISO/IEC 折衷のNational body (NB)と呼んでいるものと思われます。従って、IECでは National body= National Committeeと読み替えてISO/IEC Directivesを理解くだ さい。

(10)

NCは希望する何れのTC/SC委員会にも参加でき、その際には委員会での規格策定作 業に参加・貢献する積極的参加(Participating member:Pメンバー)か、委員会活 動の情報を⼊⼿し、必要に応じて意⾒を述べる消極的参加(Obserber member:O メンバー)か、のどちらかの⽴場を選択し、TC/SCに登録します。従って、P/Oメン バーはTC/SCに登録しているNCを指し、単にNCと⾔えば、IECで正会員の会費を払 っている全ての国の代表団体を指します。 PメンバーとOメンバーの違いは、投票資格とその義務にあります。重要な事項の決 定を投票で⾏う場合、Oメンバーは意⾒を提出することはできますが、Pメンバーの 投票のみが賛否の判定材料になり、Oメンバーの票はカウントされません。もう⼀つ の違いは、Pメンバーは登録しているTC/SCが⾏う各種の照会(Enquiry)と審議⽂ 書の投票に必ず回答し、また会議に参加する義務を負っています。Oメンバーは会議 に参加し、意⾒の表明はできますが、そのような義務はありません。 なお、P/Oに無関係に、表明された意⾒(Comment)は同等に扱い、審議されます。 IECでは、会議への参加がなく、照会⽂書への回答率が低い場合、強制的にOメンバ ーに格下げされることがあります。【ISO/IEC Directives Part 1;1.7.4】

ノンメンバー

【質問 4】

TC/SCのノンメンバーという表現をよく聞きますが、ISO/IEC Directivesには”ノン メンバー”という⽤語が⾒つかりません。ノンメンバーについて説明してください。

【答え】

【ISO/IEC Directives, Part 1, 1.7.1】には「PメンバーでもOメンバーでもない地 位を選ぶことができる」とあります。これは、正会員(National Committee:NC) は「希望する」どのTC/SC にでも参加できますが、この裏返しは、「希望しない」 TC/SCには参加しなくともよいということを⾔っています。 これをTC/SC側から⾒ると、その委員会に登録しているNCはP/Oのいずれかですが、 登録していないNCもあるわけで、これをノンメンバー(Non-member)と呼んでいま す。 TC/SC メンバーとしてのリエゾン 【質問 5】

(11)

TC/SC構成メンバーに「リエゾンメンバー」とありますが、このメンバーについて説 明してください。 【答え】 リエゾン(Liaison、連携の意)の制度は、IECの規格開発の上で重要な仕組みで、関連 するIEC内・外の組織と規格開発に関わる情報交換を⾏い、できるだけ幅広く利害関 係者の意⾒を吸収すると同時に、規格内容の重複とダブルスタンダード化を回避して います。 リエゾンには、IECおよびISO内の相互に関係するTC/SC間で情報を交換する内部リ エゾン(Internal liaison)とIEC、IEC以外の組織と情報交換する外部リエゾン (External liaison)があります。内部リエゾンの実務としては、TC/SC国際幹事は、 委員会の公式⽂書類をP/Oメンバーに配布する際に、同時にリエゾンメンバーにも送 付します。リエゾン関係にあるTC/SC国際幹事は⽂書を受け取ると、内容をチェック し、⾃らのTC/SC活動に関係するものは委員会メンバーに配布し、相⼿のTC/SCに意 ⾒を述べる必要があれば、議⻑と相談の上、⽂書で意⾒書を提出します。このように、 TC/SC設置に際しては、このリエゾンも検討すべき重要な事項です。 外部リエゾンには、A,B,C及びDの4つの異なるカテゴリーがあります【ISO/IEC Diectives Part 1,1.17】。 カテゴリーA:TC/SCレベルのリエゾンでTC/SC活動に積極的に参加・寄与するリエ ゾン;TC/SC会議、WGに参加でき、意⾒の表明ができるが、投票には 参加できない。 カテゴリーB:TC/SCレベルのリエゾンですが、情報を受け取り、必要に応じて意⾒ の表明ができる。TC/SC会議/WGには参加できない。 カテゴリーC:JTC1 のリエゾン カテゴリーD:WG/Projectに参加する外部団体で、⼯業会やコンソーシアム・フォ ーラムが含まれますが、そのメンバーシップが単⼀国内に閉じていな いことが条件(Multi national)となります。 カテゴリーA,Bの設置は、TC/SCと外部機関との合意に基づき、中央事務局を介して ⾏いますが、カテゴリーDリエゾンの設置はSMBの承認が必要になります。カテゴリ ーDリエゾンについては、リエゾン設置を望む団体からの裏付け⽂書(レター等)と 団体の概要がわかる⽂書をつけてTC/SC国際幹事からIEC CO宛に要請し、IEC COは QP(Question of Principle)としてSMBに回付します。

(12)

リエゾンは相互の情報交換が前提です。⼀⽅の委員会がリエゾンと認識しても、その 相⼿がそれに呼応しなければリエゾンとなりません。 【質問 6】 TC全体に関わる外部の団体とカテゴリーAリエゾンを締結しようとIEC COに掛け合 いましたが、拒否され、カテゴリーDリエゾンを締結するよう指⽰されました。TC レベルのリエゾンをカテゴリーAリエゾンというのではないのでしょうか? 【答え】 ISO/IEC Directives上はTCレベルのリエゾンがカテゴリーA、WG/Projectレベルの リエゾンがカテゴリーDリエゾン、と規定しています。しかし、IEC COの⽴場とし ては、カテゴリーAリエゾンを結べる団体は、IECと同等の会員構成を持つ団体、す なわち、1国1代表組織をメンバーとしている国際団体と定義しているようです。し たがって、TCレベル全体に関わる外部団体であっても、その会員構成が企業であっ たり、個⼈会員であったりする場合には、カテゴリーAの対象とみなされません。こ の背景には、IECは⺠間団体であるが故に、国際機関としての威厳を保つためには、 1国1代表組織をメンバーとする団体が真の国際機関(カテゴリーA)であるとして 他のSDOと差別化したい、ということがあるのだろうと思います。ちなみにISO/IEC Guide 2によるinternational standards organizationの定義は下記のように、1国 1代表組織であることを⽰唆しています。

4.4.3

international standards organization

standards organization whose membership is open to the relevant national body from every country

【注】IECでは、Ecma InternationalやICC(International Color Consortium)が特定のTCと カテゴリーAリエゾンになっていますが、これらは例外と思われます。(ICCはCIEと間違 えたのではないかと思われます)IECとしての⽴場があるので、これらの点でIEC COを追 及するべきではありません。

Liaison officer の指名

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リエゾン関係のあるTCがLiaison officerを指名しました。特に当TCではその必要を 認めないのですが、此⽅も指名せねばならないでしょうか。 【答え】 Liaison officerについて、まとめると次の通りです; (1)Liaison officerは、双⽅にとって特に重要な案件があり、両委員会が特別に連 携を密接にし、調整等が頻繁に必要になる場合に指名されます(多いのは CENELECの委員会とIEC委員会の間、ISOとIECの委員会の間など)。両組織 の動きを互いに情報として把握しておけばよく⽂書交換で⼗分な場合は、 Liaison officerを設けず、TC/SC国際幹事が取り計らうこともあります。 (2)Liaison officerは通常、両⽅向のリエゾンを担える⼈を指名するのが望ましい とされています。国の代表等として双⽅の委員会に参加している⼈に委託され ることが多くなります。会議への参加は経費が掛かりますが、双⽅の委員会に 派遣されている⼈であれば、追加の経費は⽣じません。Liaison officerは通常、 両分野の専⾨家で、技術⾯を含めて的確に情報伝達と、必要に応じて調整の橋 渡しが出来る⼈を選びます。 回答としては、当TCでLiaison Officerを指名する必要がなければ、TC国際幹事が Liaison officerの役⽬を代⾏するよう連絡すればよいでしょう。 IECでは各TCにリエゾン・コーディネータを置き、リエゾン関係や情報交換を確実な ものにするよう奨励しています。 国内審議委員会議⻑が TC/SC 議⻑を兼務 【質問 8】 IEC/SC議⻑から任期満了に伴い辞退したいとの申し出がありました。国内審議委員 会委員⻑が後任候補ですが、【ISO/IEC Directives Part 1;1.8.2 a】に「議⻑は、 ⾃⾝の委員会で⾃国の代表を兼務することは出来ない」とあります。国内の委員会委 員⻑が国際議⻑を兼ねることはできるでしょうか。 【答え】 結論は「可能です」。ただし、TC/SCの議⻑は国際的に中⽴な⽴場であることが求め られますから、できれば避けた⽅がよいでしょう。さもないと、委員会の各国の 代表からの信頼が得られにくく、委員会運営も難しくなりえます。

(14)

指摘されているISO/IEC Directivesの記載は、国際議⻑を務めるTC/SC会議では、国 の代表を兼ねることができないとの意味です。今回の場合は、国際議⻑が公平な⽴場 で議事を進めるために、⽇本の参加者の代表者(HoD:Head of delegation)を別 に選び、会議ではこの代表を通じて⽇本の主張を述べるようにする必要があります。 この国際議⻑が担当以外のTC/SC 会議で⽇本代表者を務めることは何の問題もあり ません。 Vice-chair の任命 【質問 9】 TC/SCで、Co-Chairという体制は可能なのでしょうか? 【答え】 DirectivesにCo-Chairに関する記載はありませんが、Vice chairを任命してもよいと いうルールがあります【ISO/IEC Directives, IEC Supplement 1.8.3】。職務を明 確に規定し、3年以内の任期でVice chairの任命が可能です。ただし、議⻑が個⼈的 事情で会議を⽋席する場合には、現在でも、議⻑が代⾏者(Deputy)を都度指名し て会議の進⾏を託すことは許容されています。

Chairʼs Advisory Group の設置

【質問 10】

CAG(Chair's Advisory Group)をTCに設ける場合に、その構成と役割、設⽴に際し ての⼿続きに関する規定があるでしょうか。 TC国際幹事が⼀⽅的に設⽴を宣⾔して もよいでしょうか。

【答え】

【ISO/IEC Directives, Part 1, 1.13】にGroup having advisory functions within a committee があります。 その要点は以下の通りです。 (1)設置提案は、幹事国が発議する場合が多いと思いますが、設置決定にはTC/SC 委員会の承認が求められます【1.13.1】。 (2)構成は影響を受ける関係者を⼗分に代表できること、⼈数は極⼒制限すること を念頭に、メンバーを各国が指名し、構成案をTC/SC が承認する【1.13.2】。

(15)

(3)役割はTC/SC に規格作成、WG設置等を含めた提案・勧告をすること 【1.13.3;1.13.4】。 (4)Advisory Group内部⽂書はその構成員に配布し、写しをIEC中央事務局へ⼊れ る【1.13.5】。 (5) 指定された役割が終了し次第、解散する【1.13.6】。 このAdvisory Groupの構成は、TC/SCの運営等に関する諮問会議としての位置づけ で、メンバーはSCの議⻑・事務局(幹事国)・WGコンビーナ及びTC/SCの主要な NCの代表者で構成するのがよいでしょう。参加国はテーマによって関⼼のある国が 異なりますので固定せず、議⻑、幹事国、コンビーナを出していない国から、都度 Agendaに応じて参加国を募っている例もあります。 台湾の参加 【質問 11】 台湾の企業から,IECのTC/SCのメンバーになりたいとのメールがTC/SC国際幹事に 来ています。どのように扱えばよいのでしょうか。 【答え】 ISO/IECの場合は台湾が正式に参加することは、制度上できません。中国からは、次 のような⾒解が公表されています。台湾からのISO/IEC会議への参加希望については この⾒解に沿って処置するようISO/IEC中央事務局は求めています。

IEC Administrative Circular No.118A/1992;26 June,1992

[http://www.iec.ch/members_experts/refdocs/ac_cl/1992118ba.pdf]

1. The IEC, as well as ISO, consider Taiwan as being a Province of China. Article 5 of the IEC Statutes stipulates that “there shall be only one National Committee for each country”. Therefore, as there is already one Chinese National

Committee whose seat is in Beijing, Taiwan is not and cannot be a member of the IEC.

2. As a consequence, the National Bureau of Standards of Taiwan cannot send representatives as observers to Technical Committee/Sub-Committee meetings, since no observer is allowed at such meetings.

3. With reference to the possible participation of Taiwanese experts in Working Group activities, it should be noted that, in accordance with the IEC/ISO

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Directives, Part 1, Paragraph 1.10.1, Working Group members are appointed by a National Committee having a P-member status in the TC/SC concerned or by an organization having an A-liaison with this TC/SC.

Therefore, any Taiwanese expert wishing to participate in the work of a Working Group must be appointed by the Chinese National Committee. 4. Chairmen and Secretaries of Technical Committees/Sub-Committees are also

reminded that they may communicate to the National Bureau of Standards of Taiwan, general information on their activities (such as work programmes), but they are not allowed to send working documents to this body, even on an occasional basis.

すなわち

1.台湾は中国の⼀部である。IECのルールでは1国1NCとなっており、中国がNC を保持している以上、台湾はIECのメンバーになれない。

2.したがって、台湾標準局(National Bureau of Standards of Taiwan)はTC/SC 会議にオブザーバとして代表を派遣することはできない。 3.台湾の専⾨家のWG活動への参加については、WGメンバーはPメンバー国が指名 することになっているので、参加したい者は中国NCにより指名されなくてはなら ない。 4.TC/SC議⻑、TC/SC国際幹事は、どんな場合であっても、TC/SCの審議⽂書を台 湾標準局に送ってはならない。 要は、台湾の専⾨家をWG等に参加させるには中国国内委員会から登録してもらわな いとできないと考えられます。 業務が終わった TC/SC 【質問 12】 SCで予定した規格策定が全て終わり、新たな提案も予⾒できません。今後、どうす ればよいのでしょうか。また、解散した場合に、発⾏済み規格のメンテナンスはどう なるのでしょうか。 【答え】 その分野の規格策定が終り、役割を完了した段階では、TC/SCは⼀時休眠状態 (Stand-by)にするか、解散します。その決定は、TC/SCが⾃ら建議し、その上の委

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員会が審議し、決定します。TCの場合は、TCの決議に基づき幹事国がSMBに申請を すると、正式に活動の中断(Stand-by)⼜は解散が認められます。 発⾏済み規格については、Stand-byの場合、IEC中央事務局(IEC CO)の指⽰を受け て、TC幹事国がメンテナンスを引き続き⾏いますが、解散の場合には全ての規格を 他のTCに移管するか、廃⽌した上で初めて認められます。 作業が終わったSCの休⽌は申請を受けてTCが決定し、解散はTCの決議を受けてSMB が承認します。 SCが担当していた発⾏済み規格のメンテナンスは、休⽌の場合はSC幹事国が引き続 き⾏いますが、解散の場合にはTC国際幹事の責任で⾏われます。TCの解散は全ての 担当規格を他のTCに移管するか、⼜は廃⽌にする⼿続きが終わった時点で、SMBが 決定します。 なお、WG の休眠・解散は所属するTC/SC が⾏います。 1.3 TC/SC/WG への参加と国内委員会審議

IEC 活動に参加するための Expert Management System への登録

【質問 13】

TC/SC/TA/WG/PT/MTに参加するためにMember/Expert登録が必要と⾔われまし た。どうすればよいでしょうか。

【答え】

IECではTC/SC/TA/WG/PT/MT等のメンバー管理をExpert Management System (EMS)というIECのサーバー上で⾏うようしています。メンバー毎に、所属・連絡 先等の個⼈情報、参加委員会、役割等が登録されており、IECの⽂書サーバや電⼦ツ ール(IEC Collaboration tools)へのアクセス権が管理されています。EMSや電⼦ ツールにアクセスするには、個⼈ごとに与えられるIDとPWが必要です。また、会議 への参加登録をIEC Meeting Registration Systemで⾏う場合にも、このIDとPWが 必要になります。

EMSへの登録は、次のようにIEC中央事務局(IEC CO)が登録するメンバー(主に役職 者)とNCが登録するメンバーに分かれます。

・IEC COが登録する⼈:TC/SC議⻑、TC/SC国際幹事、WGコンビーナ、プロジェ クトリーダー、リエゾンメンバー

(18)

・NCが登録する⼈:国代表者(delegates)、WG・プロジェクト参加者(エキスパー ト) 役職者の登録は、⼀般に回付⽂書(AC、INF、RVN等)を元にIEC COが⾏います。 NPが提案され、新しいプロジェクトが設置されると、RVNを元にIEC COがPLおよび Expertの登録を⾏います。プロジェクトが設置された以降は、NCが⾃由にExpertを 登録、削除することができます。 我が国のNCが⾏う登録は、JISCの委託を受けてJSA IEC活動推進会議(IEC-APC) 事務局が⾏っています。TC/SCの受託審議団体事務局を通じて、IEC-APCに登録、削 除を依頼してください。 審議⽂書のダウンロード 【質問 14】 Expert登録をしてもらいましたが、TC/SCの審議⽂書にアクセスできません。どう したらよいでしょうか? 【答え】 ⽇本代表委員(Delegate)及びExpertの審議⽂書へのアクセス権は各国NC(⽇本は JISC)に任されており、JISCでは、⽇本代表委員(Delegate)及びExpertには、審 議団体からの要請により、所属するTCの⽂書⼊⼿権限を付与することができる、と しています。TC⽂書へのアクセスを希望する場合には、IEC-APC事務局にExpert登 録を依頼する際に、申請書のPermissions欄でプルダウンメニューから【希望する】 を選択して、審議団体から依頼してもらってください。(登録後の変更も同様) 国内審議委員会委員を全員登録 【質問 15】 国内委員会委員をプロジェクトに全員登録したいのですが可能でしょうか。プロジェ クトの推進上,国際会議に参加しない国内委員がIECの⽂書サーバにアクセスできる ことは重要です。 【答え】

(19)

ISO/IEC DirectivesではNCからの参加者を制限していません。しかし、IECのメンバ ー、Expert登録は本来、国際的な活動のために登録するものであり、基本的に国際 会議あるいは議論への参加が前提となります。 国内委員会の関係者が国際の⽂書にアクセスできるよう、受託審議団体毎に共通の ID、PWが配布されています。国内関係者はこのID、PWを使って⽂書にアクセスし てください。 2 新たな WG の設置・編成と参加 2.1 新たなWG設置の提案 【質問 16】 新業務項⽬の提案に合わせて、WGを提案しようとしています。WG設置の提案はど のように⾏い、どのように決まるのでしょうか。 【答え】

WGの設置については【ISO/IEC Directives Part 1, 1.12】にルールがあります。 TC/SCの決定(決議)で設置し、NPの提案・承認を受けて、その作業を進めるため に設けることになります。しかし、WGは規格毎に設置するのではなく、TC/SCの技 術領域を必要に応じて細分化したものですので、予め設けるべきWGの構想を持って おき、NPの承認後に、担当させるべきWGの設置をTC/SCで審議・決議することにな るでしょう。 WG設置の⼿続きは、TC/SC決議の上で、TC直下のWGはIEC中央事務局(IEC CO)に、 SCのWGはIEC COとTC国際幹事に併せて報告すればよく、SMBの承認は不要です。 2.2 WGの編成と参加 任務が終了した WG 【質問 17】 WGの解散はどのように⾏われるのでしょうか。 【答え】

(20)

WG担当の技術領域での役割が終わり、関係分野の規格作成作業が全て終了して、規 格の提案・改訂を受け⽌める必要が無くなったWGは、解散します。解散した場合の 発効済み規格のメンテナンスは、その上のTC/SC国際幹事が担当します。 WGの役割が終わる時点とは、担当技術領域の「出版物が発⾏され、⼀般に購読され、 特に正誤表等の発⾏の必要がないことが確認された時点」と考えればよいでしょう。 作業が終わった段階で解散するのは、WGだけでなくTC/SCも同様です。TC/SCの場 合は、【質問 12】を参照ください。 WG 副コンビーナ(Co-convener) 【質問 18】 WGにコンビーナの他に副コンビーナ(Co-convener)を設けることが委員会で議論 されています。しかし、DirectivesにはCo-convenerの記載がありません。どのよう に考えればよいのでしょうか。 【答え】 WGコンビーナについては、明確な規定はありませんが、実際にCo-convenerあるい はCo-project leaderが指名されているケースを⾒受けます。Expert Management System上でもProject leaderが2名にアサインされている例がありますので、IEC COとしても実質的に認めていると⾔ってもよいでしょう。 なお、WGコンビーナやプロジェクトリーダが何らかの事情で会議に参加できなくな った場合には、WGコンビーナが推薦したエキスパートか、会議参加エキスパートの 互選で選ばれた臨時の取りまとめ役がWG会議を進める場合がありますが、この場合 には、”Acting convener”と呼ばれます。 WG の参加と登録 【質問 19】 WGの「参加者」とはメンバー国(NC)が指名したエキスパートと指名したNCのど ちらを指すのでしょうか。また、専⾨家を指名しないPメンバーにはWD関連⽂書は 配布されないと考えてよいのでしょうか。 【答え】

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「WGに参加」とは、⼆通りの意味があります。⼀つは、P-メンバーとして、NCとし てエキスパートを指名し、WG活動に参加すること(⽇本の場合はJISC として参加)、 もう⼀つは、指名されたエキスパートがWGの活動に直接参加(個⼈の能⼒で参加) することです。WGに参加するエキスパートは、NCの指名とはいえ、個⼈の専⾨能⼒ で寄与することが求められていますが、⼀⽅、⾃国の利害関係者の意向を把握の上で、 持ち寄ることも求められています。

WGへの参加は、NCがExpert Management System (EMS)上で、当該WGにエキス パートを登録することによって可能になります。(新たにEMSに登録があると、TC/SC 国際幹事およびコンビーナ宛にEMSから登録についての⾃動メールが発信されます。) WGにはNC以外に、Category AとDのリエゾンメンバーからのエキスパートも参加 します。 WGの内部⽂書(審議中のDraft を含む)は、WG内でエキスパートに配布され、派 遣元のNC宛には配布されません。ただし、エキスパートが⾃国の委員会などに情報 提供として関係資料を配布することは許されています。 休眠中の WG の再起動 【質問 20】 TR作成のために休眠中のWGを再起動しようとしています。このWGは別のIEC規格 を⽬的に設けられましたが、TRのみの作成でも、問題はないでしょうか。 【答え】 WGは規格の種類等で取扱いが変ることはありません。TRを作るWGで何の問題もあ りません。しかし、気になるのは、質問の背景にある「WGはもともと別のIEC規格 を作るために設けられ・・・」です。 ⾔い換えると、休眠中のWGがどのような技術領域をカバーしているかです。TRの技 術内容がWGのScope(活動領域)に適合している場合には休眠中のWGを再起動さ せることを、もし不適合な場合には新たなWGを設けることをお勧めします。例えば、 ⽤語のWGに試験法を担当させるのは不都合です。

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3 規格策定過程:新業務項⽬提案から最終承認まで

3.1 新業務項⽬の提案 (New work item proposal : NP) 先を探す

提案する TC/SC の探し⽅ 【質問 21】 新規の作業項⽬(NP)をIECへ提案する場合に、どのTC/SCへ提案すべきかが分りませ ん。どのように考えて調べればよいのでしょうか。 【答え】 IECはTC毎に、Scope(活動範囲)を定めており、このScopeの範囲内で、TCが活動 することとなっています。従って、先ず、該当するTCをそのTitleとScopeで探しま す。TCの下には、SCがあり、TCのScopeの範囲内での技術的課題によって、それら を各SCが分担するとの考えです。このTC/SCの情報は次のようにして得られます。 IECのホームページ(http://www.iec.ch/)に⼊り、” Standards development” タ ブの” List of Technical Committees (TC/SC)”をクリックすると、IEC/TCの⼀覧が 現れます。 ここで、TCのタイトルを⾒て、該当しそうなTCを探します。次に、TC番号をクリッ クするとそのTCのより詳しい内容が分ります(幹事国・議⻑、メンバー国名、既刊 の規格⼀覧、作成中の規格⼀覧、戦略ビジネスプラン、TC内部の委員会構成:SC/WG など)。特に、戦略ビジネスプランを⾒るとそのTCの活動内容が具体的に分かりま す。SCに⼊っていくと、同様なSCの情報が得られます。ここで、発⾏済み及び開発 中の規格のタイトルを調べ、そのTC/SCが相応しいかを判断します。 適当な TC/SC がない 【質問 22】 提案先の適当なTC/SCが⾒つかりません。その場合にはどうすればよいのでしょうか。 【答え】 次の場合が考えられます; (1)TCは⾒つかったが、妥当なSCまたは直轄WGがない場合 この場合は、直接TC国際幹事宛てにNPを提出することになります。まずその TCの国内受託審議団体に問合せをして、提案したい旨をご相談ください。審議

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団体は、しかるべき国内委員会に諮り、了解が得られたらその国内委員会経由 でTC国際幹事に提案書を送付することになります。 受け取ったTC国際幹事は直轄のプロジェクトにできないかを先ず検討し、でき ない場合には直轄WG⼜はSCの新設か、他の直轄WG・SCの業務拡張を検討し ます。NPの領域で多くの関係規格が予想される場合には、必要ならNCからTC へSC新設を提案するのもよいでしょう。SC新設は幹事国引き受け国の存在と親 TCのPメンバー5か国以上の積極参加を条件に、投票したTCのPメンバーの2/3 以上の賛成で、TCが決議し、SMBが追認します。直轄WGの設置、SC/直轄WG の業務の拡張はTCの決議で決まります。 (2)妥当なTCが⾒つからない場合 妥当なTCが⾒つからない場合にはいくつかの⽅法があります。 (2-1)隣接、関連する領域のTCに提案 TCのScopeそのものに⼊らなくても、隣接したあるいは関連した技術であれば、 そのTCのScopeを拡張して対応できる場合があります。そのTCの国内受託審議 団体に相談して可能性を検討してもらってください。可能性があり、国内委員 会の賛同が得られれば、そのTCに規格案と同時に、TCのScopeのその領域への 拡張を提案します。提案の採択に伴うScope変更はTCで決議し、SMBの承認を 得て決まります。 (2-2)新たなTCの⽴ち上げを提案 既存のTCのScopeの隣接する領域にはなく、新たな領域になる場合は、NCから IECのSMBに新技術領域規格化の提案を⾏います。SMBは内容を検討し、既存 のTC/SCで対応できるか、新たなTCを⽴ち上げるかを審議します。対象領域の 標準化が拡がりそうで、今後NPが期待できる領域であれば、新TCを⽴ち上げ、 単発の規格化になりそうであればProject Committee(PC)を⽴ち上げます。 このような新技術領域の標準化を⽀援するために、JISCには新市場創造型標準 化制度が設けられており、随時、相談、申請を受け付けています。 http://www.jisc.go.jp/std/newmarket.html を参照してください。 (3)複数のTC/SCに関連する場合 提案の内容が、複数のTC/SCに関連する場合、国際ではいくつかのやり⽅があ ります。⼀つは、主たるTC/SCを定めて、関連するTC/SCがリエゾンとして参 画する⽅法、もう⼀つは、ジョイントでWG(JWG)を作って共同で作業する

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⽅法。前者では投票は主たるTC/SCのみで⾏われ、関連するTC/SCはコメント の提出で対応しますが、後者では両TC/SCで投票が⾏われます。提案に際して は、まず主と思われるTC/SCの国内受託審議団体にご相談ください。 (4)複数のTC/SCに跨る場合 提案の内容が、複数のTC/SCの上位概念であるなど、既存TC/SCの国内受託審 議団体で対応ができない場合には、新TCの⽴ち上げをJISCの新市場創造型標準 化制度で対応します。 http://www.jisc.go.jp/std/newmarket.html を参照してください。 NP 提案と Project committee (PC) 【質問 23】 Project Committeeが最近、設けられていますが、これはどのような委員会でしょう か。また、NP提案の先としてはどのように考えるのでしょうか。 【答え】 ISO/IECでは、既存のTCのScopeに⼊らない独⽴した規格化を⾏うために、Project committee(PC)を設けて規格開発ができるように規定しています。独⽴した規格 は単⼀の規格を意味しますが、必要な場合にはPartに分かれた⼀連の規格⼀式もつ独 ⽴した規格とみなすことになっています。Partの数は、⽬下は、数に制約はなく、PC の趣旨と常識の範囲内となっています。 Project Committee設置の⼿続きは、新規分野で担当するTC/SCがない場合で、作成 する規格が独⽴した規格で済むと判断した場合に、SMB事務局にNP提案書を提出し ます。SMB事務局はSMBの了解を経て、PCの設置を前提に、IEC全NCを対象にした NP投票を⾏います。承認条件は、投票資格が全NCである以外は通常のNP投票と同じ 「投票したNCの2/3以上の賛成と参加5か国以上からの専⾨家の指名」です。NP承認 後、SMBの承認でPC設置が認められます。NP提案したNCを幹事国とし、NP投票時 に参加を表明したNCを最初のCommittee memberとして、PCを⽴ち上げます。な お、PCは当該規格策定が終わると解散し、幹事国NCは継続して発効済み規格の⾒直 しの事務責任を負います。なお、PC委員会の番号はTC委員会と⼀緒の連番になって います。

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PCを考える前に、先ずは既存のTC/SC の業務範囲(Scope)内で可能か、Scopeの変 更が可能かを検討することから始めることが肝⼼です。個々のケースについてはご相 談ください(表紙のe-mail アドレス kokusai3@jsa.or.jp)。 Stand-by の TC/SC への対応 【質問 24】 TC/SCの中にはStand-byのものがありますが、これらはどのような状態なのでしょ うか。このようなTC/SCへNPを出すことは可能でしょうか。 【答え】 Stand-byとはいわゆる休眠状態のTC/SCで、⾏う作業がないが、TC/SCとして存続 させて、いつでも新規提案やメンテナンスに活動が再開できるように待機している状 態のことを⾔います。Stand-byの指定、解除は、当該TC/SCからの要請でSMBが決 定します。 したがって、Stand-byのTC/SCへのNPの提案は可能です。Stand-byのTC/SCでも 幹事国はいますので、NPはそのTC/SC国際幹事に提出し、通常の⼿続きで、委員会 内のP メンバーの投票に掛けられます。その結果でTCからSMBにStand-by解除の申 請がなされます。Stand-byのSCでは、国際幹事が空席になっている場合があります が、その場合には、SCに関する案件の処理はTC の国際幹事の責任下で⾏われます。 特定分野の規格開発状況の調査 【質問 25】 新規業務提案のために、関連する複数のTC/SCに跨る少し広い領域で、⽬下どのよう な規格が策定段階にあるのかを知りたいと思っています。どのようにすれば分かるの でしょうか? 【答え】 IECのweb-siteでは、発⾏規格類、ワークプログラムと審議⽂書について、検索でき るようになっています。また、最近⼀か⽉以内に発⾏された規格類は、IECのWeb StoreでJust Publishedという⼀覧表を⾒ることができます。 (https://webstore.iec.ch/justpublished)

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Advanced search機能を使うと特定の期間内での、或いは分野や⽂書の種類を絞っ ての発⾏規格、ワークプログラム、審議⽂書の検索が出来ます。

先ず、IEC ホームページ(www.iec.ch)で、右上にある“Advanced search”をクリ ックし、現れた画⾯の”Publications / Work in Progress”タブで発⾏規格

類、”Documents / Projects / Work Programme”タブでワークプログラムと審議⽂ 書を検索することができます。

3.2 新規業務項⽬の提案

Preliminary work item(PWI)とは?

【質問 26】

ワークプログラム(Programme of work)にPWIと表⽰されているプロジェクトが ありますが、これはどのようなものなのでしょうか?

【答え】

PWIとはPreliminary Work Itemの略号で、NPになる以前の段階のプロジェクトを 意味しています。TC/SCは、NPを準備するために、Preliminary projectをNCの過半 数の賛成で設置することができるようになっています。このプロジェクトはステージ コードが0のため、別名でStage 0 projectと呼んでいる⼈たちもいます。プロジェク トでの検討の結果、NPが準備されることが⽬標ですが、今後のNPの可能性を⽰した 技術報告書(TR)が発⾏される場合もあります。期限(Target date)はありません が、TC/SCである程度の予定を⽴てるよう奨励されています。PWIからNWI (New Work Item)(Stage20.00)に格上げするには、改めてNP投票が必要になります。 NP を CD, CDV 段階に提案 【質問 27】 NPを委員会(CD)段階、照会(CDV)段階で審議するよう提案してはどうかとの⽰唆を 受けていますが、それは可能でしょうか。 【答え】

(27)

NP書式Form NPには、NP 提案に添付された規格がCD ⼜はCDVにふさわしいと TC/SC 国際幹事が判断した場合には、その可否を含めてNP投票に掛ける仕組みがあ ります。

CD/CDVからの業務開始は、TC/SC国際幹事がForm NPのTC/SC国際幹事が書き込む 欄(Comments and recommendations from the TC/SC Officers)の該当項⽬に チェックして、投票に掛けた場合にのみ、回答が求められます。 これ等に該当するNP 提案としては次のものが考えられます; ① キャンセルされた作業項⽬の再⽴ち上げ(キャンセル時点の段階に)の提案 ② 既存規格のScopeを超えた⼩規模な改訂(Amendment:追補)提案 ③ PASをそのまま、格上げする提案 ④ 完成度が⾼く、国際的に使⽤実績がある規格の国際規格としての提案 最後の④に該当するNPは、世界的に実績があるコンソーシアムやフォーラム等の規 格策定組織(PSDO)が作成した規格など考えられますが、多くの場合、NPのCD,CDV からの審議の提案は①〜③の場合に適⽤されるようです。 改訂のための成⽴要件 【質問 28】 規格の改訂を提案する場合、NPと同様に投票が必要になるのでしょうか?成⽴条件 もNPと同じですか? 【答え】 規格を改訂する場合、NPのような投票はありません。TC/SCが必要と判断したら改 訂することができます。 規格の改訂提案はいつでも誰でもTC/SC国際幹事宛提出することができますが、規格 には有効期限とみなされる安定期⽇(Stability date)が規格毎に定められています ので、規格開発期間を⾒越してその2〜3年前くらいから作業が始まります。⼀般に は、ある規格が安定期⽇(Stability date)の約2年前を迎えたら、TC/SC国際幹事が その規格の改訂、確認、廃⽌の意向をNCに問うDC⽂書を回覧します。それまでに TC/SC国際幹事が改訂提案を受け取っていれば、それを添付して回覧することになり ます。(回覧期間は最低6週間以上、通常2〜3か⽉を設定します。)TC/SC国際幹事 は各国からのコメントを検討し、Observationを記⼊して、改訂・確認・廃⽌を宣⾔

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するReview Report(RR)を発⾏します。RRの発⾏により、改訂プロジェクトが起 動します。 なお、NP提案では5か国(Pメンバーが20以上)の専⾨家の参加が必要ですが、改訂 では必要ありません。これはTC/SCは既存の規格を最新の状態にメンテナンスする責 務があるため専⾨家が⼀⼈でも実施しなくてはいけないからです。 安定期⽇を待たずに改訂したい場合には、TC/SCの決議を以って改訂作業を⾏うこと が可能です。 新規業務項⽬の発掘 【質問 29】 幹事国が新たな作業項⽬の発掘を委員会メンバーに図っていますが、どのように受け ⽌めればよいでしょうか。 【答え】 新作業項⽬の掘り出しについては、好意的に⾒る⾒⽅と懐疑的に⾒る⾒⽅とあるでし ょう。Strategic Business Planの政策・戦略策定のためにTC/SCとして新たな標準 化対象の議論を⾏い、その領域で新たな活動を進めることを⽬的とするのであれば良 いでしょう。この意味で幹事国がそのように委員会を誘導することは有意義だと思い ます。⼀⽅で、特定の企業やNCの意向により、画策される場合もないとは⾔えず、 「不要な規格は作らない」との⽴場から、NCに無理強いをするようなことが無いよ うにすることも必要と思います。 TC/SC運営の責任者としての議⻑、幹事の⽴場であれば、常に政策・戦略的な意識を 持って適宜委員会に投げかけることは重要でしょう。 国家規格を引⽤した NP 提案への対応 【質問 30】 IEC規格にはIEEEやDINなどの規格は引⽤できないと聞いていますが、DINを引⽤・ 添付したNPが回付されています。DINの引⽤を理由に反対⼜は棄権することは、適 切な対応でしょうか。 【答え】

(29)

IECではISO/IECの国際規格を引⽤することが原則ですが、引⽤すべき妥当な国際規 格がなく、国家規格等しかない場合には、使⽤者が英語版の購⼊ができることを条件 に、TC/SCの判断で国家規格等の引⽤も認めています。特に、今回のようにNPに添 付された規格は、今後の審議の中で、各国の意⾒をいれて修正され、引⽤規格も対応 するISO/IEC規格に置き換えられて⾏くことになると思われます。従って、その提案 が⽇本にとって、或いは国際的に有益であるかどうかで判断すべきであり、単にDIN が引⽤されているとの理由で反対するのは妥当ではありません。 ⽤語規格と IEV 【質問 31】 TCで⽤語の規格を作ることになり、NPが可決されてプロジェクトが起きました。 TC 1のOfficerからコンタクトがあり、IEVに⼊れてはどうか、との⽰唆がありまし た。どうすればよいでしょうか? 【答え】 IECではTC 1でIECで使⽤される⽤語をとりまとめており、IEV(International Electrotechnical Vocabruary)という規格IEC 60050を策定しています。このIEV はデータベース規格となっておりElectropedia(IEV online)として公開しています。 ⽤語は本来統⼀的に使⽤されるべきものですので、個別分野の⽤語であっても、なる べくIEVに登録するよう推奨されています。 IEVは分野ごとにパート分けされており、データベースからそのパートを切り出して、 個別規格IEC 60050-xxx等として購⼊することも可能です。 ⽤語に関する規格作成及びIEV登録のルールは、IEC補⾜指針 Annex SKに記載され ています。また、データベース規格のメンテナンス⽅法については同じくAnnex SL に記載されています。 まず、⾃⾝のTC内で、策定しようとしている⽤語集が、そのTC内でのみ使⽤される ことを意図したものか、それとも他のTCも含めて使⽤されることを意図したものか どうかを確認します。そのTC内でのみ使⽤されることを意図した場合には、IEVによ らず個別の規格として策定することが許されています。(IEC補⾜指針Annex SK 4.8) この場合、TC 1のオフィサーにその旨通知して、以降は、TC内で規格を策定します。

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他のTCも含めて使⽤されることを意図した場合には、IEV内のパートまたはセクショ ンとして策定することになります。その旨TC 1のオフィサーに伝え、TC 1に、まず IEVの中のパート、セクション番号を決めてもらいます。決まったら⾃⾝のTC内で規 格を策定し、CD回付までは⾃⾝のTC内で作業を⾏います。CDとそのコメント対応に ついて合意が得られCDVを回付することが合意されたら、TC 1のオフィサーに送付 し、TC 1でCDVの回付、投票が⾏われます。常にTC 1のオフィサーと連絡を取り合 って進めるようにしてください。 3.3 迅速法(Fast track)での提案 NP と迅速法の違い 【質問 32】

Fast track (迅速法)を使ってIEC規格を提案してはとの⽰唆を受けています。通常の NP提案とは何処が違うのでしょうか。

【答え】

IECへの規格提案には⼆つの⽅法があります。新規作業項⽬提案(New work item proposal: NP)とFast Track (FT)です。Fast Track(FT: 迅速法)とは正規のNP 提案のプロセスを経ずに、特定の組織による規格案⼜は発⾏済み規格からCDV/FDIS として投票に付すために申請する⼿続きをいい、次の3種類があります。

① TCのPメンバーとリエゾンメンバー(カテゴリーA)【ISO/IEC Directives Part 1,F2.1.1】が既存の規格をCDV原案として提出する⼿続きを提案できる ② ISO/IEC理事会が認めた国際標準化団体【同、F2.1.2】がIEC COに発⾏済み規格 をFDIS原案として提出する⼿続きを提案できる ③ 及びISOまたはIECと正式な専⾨業務協定を結んだ機関【同、F2.1.3】がIEC CO へ規格案をCDVとして提出する⼿続きを提案できる IECとCENELECの関係で、CENELECはドレスデン協定でCDVのFT提案【F2.1.3】が できる承認団体と定められています。 IEC COはNCから出されたFT提案⽂書をTC/SC幹事国と協議の上、その⽂書を評価し、 他の国際規格と⽭盾が無いことを確認した上で、CDV投票にかけます【F2.2】。こ

(31)

の投票で承認されるとFDISへ進みますが、否決されると当該TC/SCへ差し戻され、 通常の⽂書審議と同等に扱われます【F2.4】。 この⼿続きで、重要なことは、IEC COへ提出されたNCからのFT提案は、TC/SC幹事 国に相談があり、評価した上で、投票に掛かることです。FT案件が提案国とIEC CO とで、⼀⽅的に処理されるとの誤解ありますが、相談を受けたTC/SC国際幹事には、 提案国に真意を確認する余地が残されています。ISOにて、審議中の規格案の戦略的 な審議の妨害・牽制ために、⼀⽅的に⾃国の規格をFTで出す例がありましたが、TC 国際幹事とISO/CSと協議の結果、TMBへ挙げ、審議の結果、拒否されました。JTC-1 は、FTを活発に活⽤し、IECはドレスデン協定でCENELECを【F2.1.3】の対象組織 と認めて、有効に使っています (次の【質問 33】を合わせて参照ください)。 完成度が⾼く、国際的に実績のある規格は、NP提案で出した場合でも早い時期にCD 段階を経て、CDV段階に達します。⼀⽅、国家規格の形態のままにCDV投票にかかっ てくるFTは、IECの⼀般のTC/SCでは、初回のCDV投票で承認されることは期待し難 いかもしれません。従って、国際的に受け⼊れ可能な内容にまで、審議を⼗分に⾏う ことを考えると、FTは⼤きな審議期間の短縮に、必ずしも繋がらないともあります。 従って、他国が提案してきても、冷静に、厳しく対処すること、また、NP やFT も それぞれの仕組みを理解して、上⼿に使い分けることが⼤切でしょう。 迅速法の⼿順と FDIS への直接提案 【質問 33】

【ISO/IEC Directives Part 1, Annex F.2】の迅速法の⼿順の【F2.1.2】のISO/IEC の理事会が認めた国際標準化団体、【F2.1.3】のISO/IECとの間に正式な専⾨業務協 定を結んだ団体とはどんな団体でしょうか。 【答え】 IEC ではドレスデン協定でCENELECの規格をCDVとして直接に受け⼊れるという 迅速法を取り決めています。 【F2.1.2】の特定の団体は決められていませんが、【F2.1.3】の団体はIEEEとドレ スデン協定のCENELECとが対象団体になっています。迅速法が適⽤できるかどうか

(32)

は別にして、IECがパートナー関係を結んでいる外部団体の⼀覧を下記リンクで⾒る ことができます。 http://www.iec.ch/dyn/www/f?p=103:218:0 3.4 WD から FDIS までの審議に関係して 著作権と審議⽤⽂書の配布 【質問 34】

【ISO/IEC Directives, Part 1:2014】には全ての規格原案、国際規格及びその他の 発⾏物の著作権は、ISO⼜はIEC(該当するいずれか)に所属し、中央事務局が代表 するとしています。「その他の発⾏物」とはどの範囲を指すのでしょうか。また、規 格の審議に際して参照する必要がある規格類は購⼊しなければならないのでしょう か。 【答え】 「その他の発⾏物」とは、IECが作成したIECのweb-siteに掲載されている⽂書全て、 即ち、Web site上の諸々のガイド⽂書、IEC eTech newsなどの機関紙、Directives など全ての⽂書を指します。JSAがホームページに掲載している和英対訳の⾊々な資 料は全てIEC COの翻訳・公開の了解を得ています。 規格案を含む全ての規格類、WD, CD, CDV, FDIS等の審議⽂書及びIS, TS, TR及び PASの出版物は、配布に当たって、著作権の制約を受けます。 ただし、IECは規格開発の過程で、規格審議を⽬的にこれらの⽂書を使う場合に限り、 無料での配布を認めています。審議⽂書の配布に当っては、⽬的を明確にし、規格策 定に携わる専⾨家に限って配布する必要があります。 IECはNCが、審議⽤などの⽬的で無償配布する場合には、ウオーターマーク(⽬的限 定配布でることが明⽩になるように⽂書の各ページに付けるマーク)を付けるよう求 めています。 著作権に関する事前了解や質問についてのIECの窓⼝については下記リンクをたど ってください。 http://www.iec.ch/about/copyright/

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対象⽂書、使⽤⽬的、公開の範囲等を明記して、e-mailで問い合わせることを勧めま す。 Corrigendum の⼊⼿⽅法 【質問 35】 Corrigendum2件が発⾏されました。JSAのホームページには,未だアップロードさ れていませんので,IECのホームページから無料でダウンロードする⽅法がありまし たら,教えください。 【答え】 IECのWeb Storeから無料でダウンロードできます。JSAのホームページからは、誰 でも無料でCorrigendumをダウンロードできますが、少々時間差があります。 特許の取り扱い 【質問 36】 標準化に際して不可避な特許が存在する場合に、出願済みで未公開の特許についても、 公表すべきですか。また、サンプル提供などにより、標準化を進める過程(ラウンド ロビンテストなど)で新たな特許出願がされる場合、その特許は、どう扱われますか (単独、共願、特許化しないなど)。更に、⼀般に⾏われる守秘契約、共同開発契約 などに似た契約、概念はありますか。 【答え】 特許の取り扱いは、代表的な国際標準化機関であるIEC、ISO及びITU(WSC: World Standards Cooperation の構成団体)の間で、その政策の統⼀が図られました。 その⾻⼦は次の通りです。 ・NPの提案者は、関連特許の存在を調べ、必要な情報を提供すること。 ・関連特許とは、特許そのもの、実⽤新案(Utility models)及び発明に基づく公的 権利を指し、公開済のほか、未公開の出願 (pending patent application)を含む。 ・NP成⽴後、特許権者は「無償ないし、妥当で⾮差別的 (Reasonable And

Non-discriminatory: RAND) 条件でライセンスするか否か」について、所定の

(34)

場合には、その特許番号と当該規格と関連する請求内容についての説明を求めて いる。 ・特許権者が保有する複数の特許で、⼜は複数の請求事項で異なる選択をする場合に は、それぞれ別の声明書とすることが望ましい。 ・ライセンスの同意がない場合は、規格にはその特許に関る仕様は含めてはならない。 ・規格の最終承認は、同意の声明書の提出を確認の上で⾏われる。しかし、発⾏後に 特許の存在が明らかになった場合は、特許権者に声明書の提出を求め、ライセン スの同意が得られない場合には、当該特許の請求内容が影響する仕様を規格から 削除するか、規格を廃⽌する。 ・特許権の保有者と規格使⽤者との間のライセンス交渉には国際標準化機関は関与 しない。 ・上記の⼿続きは、規格策定中、⼜は成⽴後に存在に気が付いた関連特許にも適⽤さ れ、委員会メンバーは、その旨を⽂書で委員会幹事に通知し、所定の⼿続きを促 すこと。 ・規格の策定と使⽤を⽀援するため、中央事務局は特許情報データベースを設ける。 上記の⾻⼦を踏まえて、ご質問にお答えします: お尋ねの出願済みの未公開特許は審査済の特許と同様に対象になり、公表が求められ ます。また、上記のように、規格の検討を進めている途中で、関連特許が明らかにな ったり、出願されたりする場合も、直ちにTC/SC国際幹事とIEC COに通知し、所定 の⼿続きに⼊ることを求めています。 IEC規格開発中にTC/SC委員会の活動の中から特許権が⽣じるような発明・発⾒が ある場合、その権利は、発明者個⼈とその議論に加わっていた専⾨家が共同発明者と して保持するものと認められると思われます。出願⼿続きは、発明者が帰属する企 業・団体を通じてなされることになるでしょう。その場合の、共同発明者の特定、費 ⽤の分担については当事者の協議によるものとなるでしょう。 作成中の規格番号の変更 【質問 37】 規格の番号を変えることはできるでしょうか? 【答え】

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⼀般に、⼀度アサインされた規格の番号を変えることはできません。他の規格とマー ジして新たな規格を開発する場合でも、マージする前のどちらかの番号を選択するよ う指⽰されます。 作成中の規格のパート分け 【質問 38】 現在開発中の規格をパート分けするにはどうしたらよいでしょうか? 【答え】 WGもしくはProject Team内の議論でパート分けすることが合意されたら、TC/SC の幹事・議⻑の判断で、パート分けすることが可能です。IECのデータベースを更新 する必要がありますので、その旨、TC/SCの総会で報告して決議に⼊れるか、INF⽂ 書を発⾏してNCに周知するのがよいでしょう。この⽂書を元にIEC COがデータベー スを更新します。また、パート分けした審議⽂書をNCに回覧する場合には、Formの 表紙のIntroductory Noteにパート分けした旨を記載しておくのがよいでしょう。 なお、既存規格の改訂においてパート分けを⾏う場合、Edition番号が1.0にリセット されますのでご注意ください。 WD/CD/CDV/FDIS の審議⽂書の配布と回答 【質問 39】 TC/SCにはP/Oメンバー、リエゾンメンバーと、TC/SCに所属しないNC(ノンメン バー)がいますが、審議の過程でWD,CD,CDV及びFDISはこれらのメンバーにどの ように配布され、審議されるのでしょうか。 回答の仕⽅に違いがあるのでしょうか。 【答え】 ISO/IECの合意形成の過程は、規格案の完成度に応じて利害関係者の範囲を次第に拡 ⼤し、最終的には全NCの合意が成⽴した規格を発⾏する仕組みになっています。先 ず、新規項⽬(NWI)をPメンバーが指名した専⾨家(エキスパート)がWGで練り (作成段階)、WGで合意に達した案をTC/SC委員会に挙げます。この段階では、検 討に参加する範囲を委員会メンバー(TC/SCのP/Oメンバーとリエゾンメンバー)に 広げて審議し、委員会での合意形成を図ります(委員会段階)。

参照

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