平成 28 年度海外炭開発支援事業
海外炭開発高度化等調査
「モンゴルの石炭投資環境調査」
(目次) 1. モンゴル概要 1-1 地理 --- 1 1-2 気候および気象 --- 1 1-3 言語 --- 1 1-4 歴史 --- 2 1-5 文化 --- 2 1-6 人口 --- 3 2. 政治制度 2-1 政治制度の概要 --- 4 2-2 行政組織--- 5 2-3 司法--- 7 2-4 地方行政--- 7 2-5 外交--- 7 2-5-1 日本との関係 --- 8 2-5-2 日本・モンゴル経済 連携協定における投資、鉱業に関する概要 --- 11 2-5-3 モンゴル・ロシア最近の政治、経済関係及びその他 --- 14 2-5-4 モンゴル・中国最近の政治、経済関係及びその他 --- 17 2-5-5 モンゴル・ロシア・中国首脳会合 --- 22 2-6 最近の政治動向 --- 23 3. 現在の経済情勢 3-1 経済構造--- 24 3-2 経済危機、経済成長と経済成長低下、外国投資の減少 --- 24 3-3 マクロ経済の中期展望 --- 26 3-4 貿易--- 28 3-5 外国投資--- 30 4. 投資法 4-1 基本理念--- 32 4-2 定義--- 32 4-3 投資形態--- 33 4-4 法的保障--- 33 4-5 投資家の権利及び義務 --- 34 4-6 投資促進制度 --- 34 4-7 税金安定化 --- 35
4-8 投資協定--- 38 4-9 外国国営企業の投資 --- 38 5. 税法 5-1 税形態--- 39 5-2 その他法人所得税率 --- 40 5-3 免税措置--- 40 5-4 投資減税--- 41 5-5 その他--- 41 5-6 付加価値税 --- 41 5-7 物品税--- 41 5-8 関税--- 42 5-9 輸入関税--- 42 5-10 輸出税--- 42 5-11 追加ロイヤルティ --- 43 6. 鉱物資源に関する税制、鉱業の税金負担及び税金改革・更新 6-1 鉱業を調整する法律、規則リスト --- 50 6-2 鉱業関連税金及び料金の変化(年別) --- 51 6-3 付加価値税が免税される鉱業最終製品リスト(2015年7月7日) --- 52 6-4 鉱業税金負担率-年別 --- 53 6-5 鉱業税金負担率-鉱物別 --- 54 7. 環境法 7-1 基本理念--- 54 7-2 環境影響調査(EIA)制度 --- 55 7-3 環境基準(規制)値(大気、水質、騒音) --- 56 7-4 原子力および放射性物質の処理、削除、埋設の基本条件 --- 59 8. その他の関連法 8-1 閉山法--- 60 8-2 モンゴル労働法 --- 61 9. 鉱業行政機関 9-1 鉱物資源省 --- 64 9-2 産業省--- 65
9-3 鉱物資源庁(Mineral Resources Authority) --- 66
9-4 石油管理庁(Petroleum Authority) --- 66
9-6 投資庁(Invest Mongolia Agency) --- 66 9-7 鉱業政策--- 67 9-8 鉱業公社--- 68 9-9 モンアトム有限会社 --- 68 10. 鉱業概況 10-1 鉱業の現状 --- 69 10-2 探鉱権、採掘権の状況 --- 69 10-3 探鉱状況--- 72 10-4 採掘・生産及び輸出 --- 74 10-5 鉱業部門への外国投資 --- 76 10-6 戦略鉱床--- 77 11. 動向の把握 11-1 鉄道開発--- 80 1-1-1 モンゴル・ロシア・中国の「経済通路構想」 --- 86 11-1-2 経済通路構想の仕組み内に AIIB が関心示したモンゴルの鉄道プロジェクト --- 86 11-1-3 Aspire Mining 社の北部鉄道プロジェクト --- 88 11-2 鉄道開発と組み合わされる Sainshand 産業団地構想 --- 89 11-3 道路開発--- 91 11-4 エネルギー --- 93 11-5 モンゴルの水 --- 100 11-6 モンゴルの石炭 --- 104 11-6-1 Tavan Tolgoi 炭田概要 --- 105 11-6-2 Tavan Tolgoi 炭田の国際入札 --- 107 11-7 Oyu Tolgoi プロジェクト --- 109 12. 地質及び地質構造 12-1、地質関連図 --- 111
1 1. モンゴル概要 ①正式名称:モンゴル国(英語表記:Mongolia) ②政治体制:共和制 ③首都:ウランバートル(Ulaanbaatar) ④面積:156万4,116km2(日本の約4.2倍)
⑤人口:2,995,949人(National Statistics Office:モンゴル国家統計局、以下NSO、2014年 3月) ⑥民族:モンゴル民族(全体の95%)及びカザフ族等(5%) ⑦言語:モンゴル語、ソ連時代の影響を受けてロシア語を話せる国民も多く、また若年層は 英語をはじめ日本語やドイツ語、韓国語、中国語、フランス語等を学んでいる。 ⑧宗教:チベット仏教等、1921年の革命後は衰退していたが、1990 年の民主化以降再び 広ま る。1992年の新憲法では信教の自由を保障。 ⑨平均寿命:男性65歳、女性72歳(NSO、2010) 1-1. 地理 モンゴルは、ロシアと中国の間に挟まれた内陸国で、全面積は1,564.116km2と日本の約4.2倍 である。中国とは西部、東部、南部で4,673kmの国境で接し、ロシアとは北部で3,485kmの国境 で接している。国土の65%はステップとよばれる草原、南部の1/3はゴビ砂漠、森林と山岳地帯 は12%で主に北部に位置している。 1-2. 気候 モンゴルは、中欧・米国北部諸州と同じ緯度(北緯42°から52°)に位置し、海洋から離れた 内陸国で、気候変動が大きく、降雨量は少ない。ウランバートルの降雨量は年平均220mmと、短 い夏に集中し、冬は一般的に乾燥しており非常に寒い。年間の晴天日は約250日で、夏には40℃ 近くになる日もある一方、真冬は零下40℃を下回ることもある。夏は約1か月と短く、1年のう ち約半分は氷点下の日となり、ウランバートルでも8 月末に雪が降ることがある。日中と夜間 及び冬季と夏季の気温差が激しい。気候と地理的環境のため、穀物農業には制約があり、牧畜 業に適している。遊牧による牧畜(主として羊、山羊、馬、牛、ヤク、ラクダ)が、モンゴル経 済の主産業になっている。 1-3. 言語 モンゴル語。表記はキリル文字。社会主義時代はロシアの影響が大きく、義務教育の一環と してロシア語教育が行われていた。民主化以降は、英語及び日本語等、諸外国語教育も盛んに なってきている。
2 1-4. 歴史 近代モンゴルの歴史は、チンギスハーンがモンゴル民族を統一し、アジア・中東・欧州への 一連の軍事侵攻を開始した1206年に始まる。チンギスハーンの息子と子孫たちは、13世紀に歴 史上最大の帝国を築き上げ、領土は現在の北部ベトナムから中東、ロシア及び東欧まで広がっ た。しかし14 世紀の半ば内部闘争により帝国が崩壊し、17 世紀に中国の満州清王朝がモンゴ ル全土を支配した。 1911年の辛亥革命により、北部モンゴルの皇太子はUrgaの生仏と言われたJavzadamba Khutukhtと共にモンゴル自治国を宣言、1921年7月に独立国家として独立を宣言、1924年に生仏 が死ぬまで王国として存続した。 1924年、ソ連支援の下、社会主義に基づく中央計画経済・政治システムによるモンゴル人民 共和国が形成された。ソ連の支援は65年間続いたが、1989年になってソ連軍の撤収及びソ連の グラスノチが起こり、ウランバートルで民主化運動が始まった。多くの東欧諸国と同様に、共 産政権の崩壊が起こり、民主的政治制度が採択された。 1989年末に複数政党制の採用、自由選挙実施等、民主化が急速に進展した。1992年1月に新憲 法が採択され、同年6月に新憲法に基づく初の総選挙が、1993年6月に国民の直接投票による大 統領選挙が実施された。また、1996年6月の総選挙では民主連合が過半数を占め、エンフサイハ ン民主連合議長が首相に選出され、大規模な行政機関統廃合、公共料金大幅引上げ、国有企業 の民営化、自由貿易政策の徹底等の諸改革を実施した。1997年5月の大統領選挙で人民革命党の バガバンディ党首が選出された。1998年1月の法改正及び関連決議により、エンフサイハン政権 は4月総辞職に追い込まれ、与党最大会派の民族民主党エルベグドルジ党首が新首相に選出され た。 2000年7月の第3回総選挙では、人民革命党が76議席中72議席を獲得し、圧倒的勝利で再び政権 につき、エンフバヤル党首が首相に就任。2001年には同党推薦のバガバンディ大統領も再選さ れ、民主化及び市場経済推進、国内東西横断道路建設計画、海外からの投資拡大による経済活 性化政策を展開した。しかし与党人民革命党圧倒的多数で可決された土地私有化法が2003年5月 から施行され、国を大きく揺るがすこととなった。民主化以降、人民革命党及び民主党の2大政 党により比較的安定的に民主政治が継続している。 1-5. 文化 音楽、衣装をはじめ、興味を引くものが多い。 ・ 馬頭琴 馬頭琴は『草原のチェロ』といわれる。さおの先の弦巻きの上端には、その名の由来である 馬の頭の木彫りがあり、モンゴル人にとって「命」とも言える馬の姿が刻まれ「モンゴル人の魂」 を象徴している。小学校の教科書にも載っているモンゴル民話「スーホの白い馬」が馬頭琴の始 まりを伝えており、羊飼いの少年が愛した白い馬が、「ずっとあなたの傍にいられるように、私
3 の骨や皮、毛を使って楽器を作ってください」と言い残して死んでいったのが馬頭琴の始まりと いう伝説である。 ・ オルティンドー 『長い歌』の意味を持つ、モンゴル民謡の代表的な歌唱法である。オルティンドーは、豊か な声量で音を自由に長く伸ばして歌うのが特徴、喉を巧みに操り何とおりものビブラートを使 い分ける。 ・ ボギノドー(ボグンドー) 『短い歌』の意味。この民謡の特徴は、リズムが規則正しくはっきりとしていること。歌詞 は風刺や皮肉を利かせた内容のものが多く、速いテンポで歌われる。 ・ ホーミー(喉歌、ホーメイ) 声帯を振動させながら気管や口腔で倍音を共鳴させ、同時に二つの音声(ときには三つの音 声)を発する技巧です。西モンゴルのアルタイ地方で発生した唱法と言われている。 1-6. 人口 人口 2,995,949人(2014年3月)、世界で最も人口密度の小さい国の一つである。 首都ウランバートルの人口は130万人。人口の6割は都市や定住地に住み、4割は主に牧畜を営 んで生活している。 図1.主要都市の人口(2014年3月) 82.5 千人 1,362 千人 40.2 千人 94.4 千人 32.5 千人 28.2 千人 25.6 千人 21.1 千人
4 2. 政治制度 2-1. 政治制度の概要 1992年1月に新憲法が制定され、2月12日に施行、民主共和国として確立し、統一国家として 『アイマグ』と呼ばれる行政区画を有する統一国家になった。政治制度は、統治機構として立 法府、執行部、法制部、元首としての大統領から成っている。 1) 立法部
立法部は、‟The State Great Hural”(国家大会議)である。76議席からなる一院制である。 国民は投票権を有し、4年毎に選挙が実施され、被選挙権は25歳以上の国民に与えられている。 議会は、法律制定、内外政策決定、大統領及び議会選挙日を設定、大統領の承認、罷免権、首 相の任命、変更、罷免権を有する。更に議会には、国際協定批准・拒絶を行う権限がある。ま た石油、ガス、ウランを含む戦略鉱物についての権限も有している。法律は公布されねばなら ず、公布後10日を経て効力を持つ。 2) 大統領 議会を代表する複数の政党が大統領候補を指名し、国民選挙により選ばれる。 任期は4年で、一度だけ再選が許される。候補者は、選挙前5年間以上モンゴルに居住する45 歳以上の国民でなければならない。大統領は元首として、大統領・首相・国会議長からなる国 家安全委員会の長となる。 大統領は、議会の決定に対する拒否権を持つが、議会の2/3の再議決で覆される。大統領は、 大統領令を発布でき、首相の署名で効力が発生する。大統領は主要政党と協議して、首相候補 を指名する。議会は2/3の多数で、憲法違反、或いは宣誓を破り権利濫用を行った場合、大統領 を罷免できる。 3)政府 国家の最高行政部であり、法律執行に関し議会への責任を有し、長は首相(任期4 年)である。 また経済的、社会的、文化的発展を方向付けする責任がある。2014年5月では、民主党 Ch.Saikhanbileg氏と人民党、Shudraga Yos連合との連立政権になっている。次の議会選挙は、 2016年。 4)司法部 憲法は法廷にのみ、司法機能を与えている。最高法廷としての最高裁判所と、多くの控訴裁 判所、地方裁判所がある。最高裁は刑事事件、民事事件を裁く権限、控訴プロセスを経た下級 裁の決定を審査するなどの多くの権限があるほか、憲法裁判所及び検事総長により移管された 人権問題も審査する。憲法を除く法律の公式解釈を提供する。
5 憲法は、最高裁判所の監督に属さない刑事、民事、行政法廷のような特別法廷の設置を認め ている。裁判所の長官は、司法の独立を確保するため、判事を独占的に選定できる権限を持っ ている。 2-2. 行政組織 大統領を国家元首とする共和制であり、大統領は4年ごとに直接選挙で選ばれる。任期は4年 で、1回のみ再選可能である。議会は国家大会議(The State Great Hural)と呼ばれる一院制 で、76名の議員で構成される。 2014年5月時点は、民主党のエルベグドルジ大統領、民主党、人民革命党・国民民主党の Shudraga Yos連合の連立内閣の下、民主党のCh.Saikhanblige首相の体制になっている。 表 1. 行政組織及び大臣 首相 Prime Minister サイハンビレグ Saikhanbileg.S 民主党 第1副首相
Deputy Prime Minister
フレルスフ Khurelsukh.N
民主党
内閣官房長官
Cabinet secretariat of government of Mongolia バヤルツォクト Bayartsogt.S 民主党 モンゴル国家担当大臣 エンフサイハン Enkhsaikhan.M 人民革命党・国民民主 党のShudraga Yos連合 環境・グリーン開発省
Ministry of Environment and Green Development
オユンホロル Oyunkhorol.D
人民党
外務省
Mininstry of foreign affairs
プレブスレン Purevsuren.L 民主党 財務省 Ministry of Finance エルデネバト Erdenebat.J 人民党 法務省 Ministry of Justice ドリルグジャブ Dorligjav.D 民主党 産業省 Ministry of Industry エルデネバト Erdenebat.D 民主党 国防省 Ministry of Defense ツォルモン Tsolmon.D 人民革命党・国民民主 党のShudraga Yos連合
6 建設・都市計画省
Minstry of Constuction and Urban Development
ツォクトバートル Tsogtbaatar.D
人民党
教育・科学省
Ministr of Education and Science
ガントゥムル Gantumur.L
民主党
道路・運輸省
Mininstry of Road and Transportation
トゥムルフー Tumurkhuu.N 人民党 鉱業省 Ministry of Mining ジグジド Jigjid.R 民主党 労働省 Mininstry of Labour チンゾリグ Chinzorig.S 人民党 人口開発・社会保障省
Ministry of Population Development and Social Welfare
エルデネ Erdene.S
民主党
食料・農牧業省
Ministry of Food and Agriculture
ブルマー Burmaa.R 民主党 エネルギー省 Ministry of Energy ゾリグト Zorigt.D 民主党
Ministry of Healt and Sport 保健・スポーツ省
シーレグダムブ Shiilegdamba.G
人民革命党・国民民主 党のShudraga Yos連合
7 2-3. 司法 司法制度は、最高法廷としての最高裁判所と多くの控訴裁判所、地方裁判所がある。最高裁 判所は刑事事件、民事、法律紛争を裁く権限、控訴プロセスを経た下級裁の決定を審査するな どの多くの権限がある。 図 2. 立法・行政・司法組織図 2-4. 地方行政 行政単位は、21県(アイマグ)及び1首都圏(ウランバートル)である。県は、333郡(ソム)、さ らに郡は1,570バグに分けられる。首都ウランバートルの場合、9地区(ドゥーレグ)、ホローに 分けられる。 2-5. 外交 外交政策は、非同盟中立で、現実的かつ平和主義外交を展開している。大国のロシア及び中 国に挟まれており、国家安全上の配慮からどちらか一方に偏らず、バランスを維持することを 最優先にしている。
次に第3隣国政策(The Third Neighbor Policy)と呼ばれる日本、米国、韓国、ドイツ等との 関係の強化があり、これは地政学上のバランス維持の配慮に基づいている。また、非同盟諸国 国会 憲法裁判所 大統領 内閣 最高裁 国家検査庁 県 ・ 首 都 の 長 行政省長 県・首都の市民代 表会議 首都検査局 県・首都の 裁判所 郡または区の長 郡・区の市民の 代表者議会 県・区の下部行政 組織の長 県・区の下部行政 組織別の市民 代表者会議 郡(単独または 共同)・区の 検査局 郡(単独または 共同)・区の 裁判所
8
会議への加盟、ASEAN地域フォーラム(ASEAN Regional Forum、ARF)への参加、中東湾岸諸国 との関係の重視等、安全保障の見地からも多面的・多角的な外交を展開している。
2016年にアジア欧州会合(ASEAM Asia Europe Meeting)の首脳会談がウランバートル市で 実施される。 2-5-1, 日本との関係 1) モンゴル・日本の交流 • 1972 年-外交関係 • 1996 年-総合的パートナーシップ関係 • 2010 年-戦略的パートナーシップ関係 2) 協力事業の書面 • 1974 年-文化交流取極 • 1977 年-経済協力協定 • 1990 年-貿易協定 • 1991 年-青年海外協力隊派遣取極 • 1993 年-航空協定 • 2001 年-投資保護協定 • 2003 年-技術協力協定 • 2013 年-戦略的パートナーシップ関係の中期行動計画
• 2015 年-経済連携協定(EPA・Economic Partnership Agreement)
出典:モンゴル投資庁データによりBlue Ridge社作成 図3. 日本の直接投資額の推移(年別) 66.2 5.8 4.7 2.4 46.6 5.5 7.1 21.4 24.7 10.3 11.3 206 0 50 100 150 200 250 日本の投資額の推移(百万$)
9 1990-2014年までに日本の投資総額は206百万ドル(全直接投資の1.46%)であり、49.5%は 貿易・食料、13.5%は軽工業、9.5%は銀行・金融、5.9%は観光、5.8%は建築業だった。 出典:モンゴル投資庁データによりBlue Ridge社作成 図4. 日本の投資企業数(百万$/年別) 日本の投資企業数は550社であり、外国投資企業の位置づけで第4位に位置する。 出典:モンゴル統計庁データより Blue Ridge 社作成 図 5. 日本の投資企業数(百万$/年別) モンゴルは日本から主に一般機械、電気機器、車両、輸送用機器などを輸入している。日本 への輸出商品はカシミア、カシミア製品、羊毛靴下、革製品、干し肉、ペットフード、鉱物サ ンプル、土壌及び植物のサンプル、岩塩、蜂蜜など。だが、輸出額は圧倒的に小さい。例えば 2014年の日本貿易額におけるモンゴルからの輸出は6.6%にすぎない。2014年に輸出された主な 製品は下記のとおり。 190 29 56 60 58 35 23 35 22 20 22 550 0 100 200 300 400 500 600 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 輸出額 27.5 4.5 2.9 10.9 5.6 10.5 24.4 輸入額 238.5 97.1 197.5 490.2 501.6 444.2 367.7 0 100 200 300 400 500 600
10 出典:モンゴル統計庁データより Blue Ridge 社作成 図 6. 対日本輸入額、全輸入額に占める日本の割合(百万 US$) 1990年にモンゴルが民主化・市場経済への移行を始めてから現在に至るまで、日本はモンゴ ルの最大援助国1であり、二国間関係は幅広い分野で着実に発展している。1997年から「総合的 パートナーシップ」関係の下で、両国関係が発展してきた結果、「戦略的パートナーシップ」 の構築を目標にした両国の首脳レベルの会談が多数実施されてきた。 2013年3月に安倍総理がモンゴルを訪問した際、日本とモンゴルとが共有する3つの精神「自 由と民主の精神」「平和の精神」「助け合いの精神」に言及し、これが両国関係の発展の基礎 にある旨を述べ、Irch・イニシアティブを提案した。同イニシアティブは「投資ビジネス環境 の整備」「人材育成」「基盤整備・開発」を基礎にし、両国の官民関係を様々なセクターで開 発するイニシアティブになった。 2015年の段階でIrch・イニシアティブに指定されたJBIC・クレジットライン設定、経済連携 協定(EPA・Economic Partnership Agreement)の締結なども実施済。2015年5月に日本を公式 訪問したTs.Elbegdorj大統領が、Tavan Tolgoi炭田から東へ行く1,300kmの鉄道プロジェクトに 協力する案を日本政府へ提案した結果、モンゴル外務省とJBICとの間に融資協力におけるMOUが 締結される。両国間の経済交流、投資は政治的な交流より出遅れている。 両国間の鉱業協力関係としては、2009年7月、バヤル首相が日本国を公式訪日し、麻生総理と 首脳会談を行い、会談終了後、両首脳の立ち会いのもと、「ダルハン市給水施設改善計画」 (無償資金協力)の交換公文及び両国関係当局間の「原子力エネルギー及びウラン資源に関す る協力覚書」への署名が行われた。 12009 年から 2013 年までに円借款として 890.94 億円、無償資金協力として 1055.08 億円、技術協力とし て441.3 億円をモンゴルへ寄与した。 ソース:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/files/000072256.pdf 75.5 97.6 140.2 238.5 97.1 196.5 490.2 501.6 444.2 367.8 6.4 6.8 6.8 7.4 4.5 6.1 7.4 7.4 7 7 0 1 2 3 4 5 6 7 8 0 100 200 300 400 500 600 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 日本対輸入額 全輸入額に占める割合
11 モンゴル鉱物資源エネルギー省D.Zorigt大臣が、2010年7月29日から8月3日までの日程で日本 国を公式訪問した際、2010年7月30日に東京にてモンゴル鉱物資源・エネルギー省と日本の石油 天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)との間で、協力関係の強化を図るMOUに署名した。MOU の内容は、日本がレアアースをはじめ、モンゴル鉱物資源のポテンシャル調査を行うことで、 現在調査が開始されており、モンゴル側をMRAMが代表し活動している。 両国の政治的関係以外にも、日本の民間企業がモンゴル鉱物資源分野へ進出し始めている。 事例として三菱商事のウランプロジェクト「フランスのAreva社と共同のDulaan uulプロジェク ト」が挙げられる。また東芝は、2010年11月30日にモンゴルのコンサルティング企業である MNFCCと、モンゴルの鉱物資源開発に向けた協力を検討することで合意し、MOUを交わした。対 象となる鉱物資源はウラン、レアアース、レアメタルなどである。東芝はMNFCC社とのMOUのほ か、モンゴル国原子力庁との協力関係におけるMOUを締結している。 2014年12月に三菱マテリアルがモンゴルのOyu Tolgoid銅鉱山から5,000tの銅精鉱をロシア経 由で輸入した。 2-5-2, 日本・モンゴル経済連携協定における投資、鉱業に関する概要 1)交渉の経緯 • 2009年7月バヤル首相(当時)が麻生総理(当時)に経済連携協定の締結を要望 • 2010年6月~2011年3月官民共同研究 • 2012年3月野田総理(当時)とバトボルド首相(当時)の首脳会談で交渉開始を決定 • 2012年6月~2014年7月7回の交渉会合 • 2014年7月エルベグドルジ大統領の訪日時に大筋合意 • 2015年2月サイハンビレグ首相の訪日時に署名 2)日本・モンゴル経済連携協定の意義 • 貿易の拡大やエネルギー・鉱物資源分野等における投資環境の改善を通じて、モンゴル との「戦略的パートナーシップ」を一層強化 • モンゴルからのエネルギー・鉱物資源の安定供給に寄与(石炭、ほたる石、レアメタル を輸入。モンゴルは金、銅等も産出) • 民主化・市場経済化し、今後も中長期的な高成長が見込まれるモンゴルの経済成長を、 日本の経済成長に取り込む • 物品貿易、サービス、投資、電子商取引、競争、知的財産等のルールを盛り込んだ包括 的な協定。モンゴルにとって初の経済連携協定 3)日本・モンゴル経済連携協定に含まれる主な分野 ① 物品一般ルール・原産地規則
12 関税の撤廃又は削減、内国民待遇の供与等の義務のほか、二国間セーフガード措置を規定。 エネルギー・鉱物資源を含む両国の関心品目について、輸出入規制措置を導入する場合の 情報提供を規定。特恵関税の対象となる原産品の認定基準・手続等を規定。 ② 税関手続及び貿易円滑化 物品の貿易を円滑化するため、税関手続の透明性の確保、物品の速やかな通関のための措 置、事前教示、両国の税関当局の協力及び情報の交換等を規定。 ③ 衛生植物検疫措置 衛生植物検疫措置(SPS 措置)の国際基準への調和に関する協力、平等性の認定について 規定。小委員会を設置。 ④ 強制規格、任意規格及び適合性評価手続 貿易の促進を目的として、国際規格の利用、強制規格の策定、適合性評価手続の結果の受 入れ等について規定。小委員会を設置。 ⑤ サービスの貿易 両国間のサービスの貿易を促進するため、市場アクセス、内国民待遇、最恵国待遇、透明 性等の規律について規定。GATSの下での約束を超える自由化を約束。 ⑥ 自然人の移動 短期商用訪問者、企業内付加税者、投資家等及びそれらの配偶者・子女等の入国及び一時 的な滞在を保障。入国・一時滞在に関する手続の透明性の確保についても規定。 ⑦ 電子商取引 電子商取引の促進のため、電子的送信に対する関税の不賦課、デジタル・プロダクトの無 差別待遇、消費者保護等を規定。自国でのビジネスの条件として自国内へのコンピュータ ―施設の設置等を求めることの禁止を規定。 ⑧ 投資 既存の日本・モンゴル投資協定を上回る内容。投資許可段階の内国民待遇・最恵国待遇の 付与、技術ライセンス契約に対する政府の介入の禁止(ロイヤルティ規制の禁止)、エネ ルギー・鉱物資源を含むあらゆる分野における公正均衡待遇及び投資家・政府間の契約遵 守の義務付け、投資家と国家間の紛争解決(ISD条項)等を規定。 ⑨ 競争 反競争的行為を規制するため、双方の当局が自国の法令に従って適切と認める措置をとる 旨規定。また、当局間の具体的な協力手続等について規定。
13 ⑩ 知的財産 透明性の確保及び手続簡素化の観点から、出願に関連する情報の公開等について規定。 知的財産の保護及び知的財産権の行使強化のため、周知商標の保護、非開示情報の保護、 商標権・著作権侵害物品の輸入に関する税関当局の職権による取締り権限の付与等を規定。 ⑪ ビジネス環境の整備 両国政府・民間の専門家の参加を得て、事業活動を遂行する両国企業のためのビジネス環 境の整備・向上を検討する小委員会を設置。相手国の企業からの苦情及び照会の受領等を 任務とする連絡事務所の設置を規定。 ⑫ 協力 農林水産(フード・バリューチェーン等)、中小企業、観光、情報通信技術、環境等の分 野において協力を促進する旨規定。 モンゴル経済連携協定における投資に関する主要な条件 • 双方はエネルギー・鉱物資源を含むあらゆる分野における公正均衡条件を投資家へ付与 する。 • 一方は相手側の投資家の投資を、下記を除く条件で収用・国有化しない 公的目的で 公正均衡条件で 適切かつの賠償金を早期に支払った場合 • 賠償金は収用・国有化された投資の市場価値と均衡である。収用・国有化の発表により 変化した価値は反映されない。賠償金は遅滞されない。遅滞された場合に商業的な金利 を投資家に自由利用可能な通貨で支払う。 • 双方の投資家の送金(対外、対内)を自由に遅滞することなく実施できる環境を整備す る。送金には下記の項が含まれるが、下記のみに制限されない。 初期投資及び投資拡大化 投資から利益、利子、キャピタルゲイン、配当、ロイヤルティ、手数料及びその他 の収入 契約とおりに支払われた料金、特に投資と関連する貸付料金 投資を全体的または部分的に売却した収入、融資からの収入 投資家は送金を当日の為替レートで自由に利用できる通貨で遅滞なく実施できる。 双方は上記を保証する • 双方は下記の場合、自国の法律に従い平等・無差別条件で送金を制限できる 破産、支払不能または貸し手の権利保護 株式発行、売却、取引
14 刑事または刑事犯罪 判決または判決の遵守を確保 • 双方の投資家との間の投資紛争解決 「紛争投資家2」と「紛争当事者3」の間の投資紛争を、当事者は、可能な限り協議 により円満解決する 「紛争当事者」が「紛争投資家」に対して協議を書面により要請してから120日以内 に解決できなかった場合、「紛争投資家」は下記の国際仲裁裁判所へ告訴できる。 「ICSID条約4」に伴い設立された仲裁裁判所 国際連合国際商取引法委員会の仲裁規則に基づいて設立された仲裁裁判所 投資分祖当事者達が合意できた場合、他の仲裁規則とおりにある仲裁裁判所 仲裁裁判所の裁定は最終的なものであり、紛争当事者は拘束するもの。仲裁裁判所 による裁定の実施を「ICSID条約」と「ニューヨーク条約」を含む関連国際法に伴 う。 2-5-3、モンゴル・ロシア最近の政治、経済関係及びその他 モンゴル・ロシア交流 • 1921 年-外交関係 • 1996 年-親密な隣国間の伝統的パートナーシップ • 2010 年-戦略的パートナーシップ関係 協力事業の書面 • 1991 年-貿易・経済協定 • 1992 年-料金協定 • 2009 年-戦略的パートナーシップ関係の共同表明 2「紛争投資家」は投資紛争の当事者である投資家を意味する 3「紛争当事者」は、紛争投資家と論争する当事者を意味する 4「ICSID 条約」は、ワシントンにて 1965 年 3 月 18 日に採択された、国家と他の国家の国民との間の投 資紛争の解決に関する条約。
15 出典:モンゴル投資庁データによりBlue Ridge社作成 図7. ロシアの直接投資額の推移(百万US$/年別) 1990-2013年の間のロシア投資総額は約300百万US$であり、45.3%は輸送、36.3%は地質調 査、探鉱及び採掘、8.6%は貿易、食品業だった。 出典:モンゴル投資庁データによりBlue Ridge社作成 図8. モンゴル・ロシア貿易額(百万US$) 2014年にロシアへ61.6百万US$の製品を輸出し、60.7%を蛍石、白りゅう石、霞石(かす 7.5 11.7 39.8 3.8 6.1 2.3 58 129.6 2.1 0 25 50 75 100 125 150 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 輸出 86.3 64.1 79.1 96.3 79.5 61.7 61.6 輸入 1329 841 1129 1721 1927 1624 1611 0 500 1000 1500 2000 2500
16 みいし、ネフェリン)、18%を燃料性製品、6.8%を馬肉が占めた。2014年にロシアから16.1 億US$の製品を輸入し、64.7%は燃料だった。 表 2. モンゴルで事業を行っているロシアの大手企業リスト 社名 Rostec Corporation 事業方針 ロシアの 700 数社が傘下にある • 車両、飛行機、エンジンの製造 • メタル生産、建築、医療機器、武器製造 • 電子、通信など モンゴルと締結した 交渉、協力事業 • Erdenet 銅鉱山に基づいて銅冶金プラントを開発する • Erdenet 銅鉱山の 49%を所有 • Mongolrostsvetmet 社の 49%を所有 社名 Rosneft 事業方針 ロシアの最大石油企業でありカザフスタン、中国、ベトナム、モンゴ ル、ドイツ、ブラジルなどの国々で事業を行っている • 石油及び天然ガスの探鉱、採掘、倉庫、輸送、販売 • 天然ガスの加工、化学プラント開発、化学製品の加工、輸送、 販売など コメント モンゴル 100 箇所でガソリンスタンドを開発し小売を行なう希望を発 言してきたがモンゴル政府はいつも拒否している。 社名 ロシア鉄道公社 事業方針 ロシアの全鉄道の 99%を所有する政府鉄道公社 モンゴルと締結した 交渉、協力事業 ウランバートル鉄道公社(モンゴル横断鉄道)の 50%を所有 コメント モンゴルでの鉄道開発を広がる立場である。N.アルタンホヤガ首相に 対して同社の V.Yakunin 会長が 2013 年 4 月に「モンゴルの鉄道開発 に参加させることを要請した書簡」をも送付。 2011年5月から6月にかけてエルベグドルジ大統領がロシアを公式訪問、メデベージェフ大統 領、プーチン首相などと会談を行い、鉱物資源開発などの経済案件などについて協議を行い、 共同声明を発表した他、4通の協力文書に署名が行われた。2012年12月、アルタンホヤグ首相は、 上海協力機構首脳会合の後、メデベージェフ大統領と会談した。アルタンホヤグ首相は隣国と 構築している協力関係をあらゆる分野に渡って進展させることが、モンゴル外交政策の最優先 課題であることに言及し、アルタンホヤグ内閣として、ロシアとの関係を充填期に発展させ、 直面するいくつかの課題を早期に解決することを希望していると述べた。 メデベージェフ大統領はこれに対し、両国の協力において重要な役割を果たしているエルデ ネト鉱山、モンロスツベトメト・コンビナート、ウランバートル鉄道などの合弁企業の利益向 上や投資拡大などの問題に言及し、その解決のためにロシアは協力する用意があると述べた。 エルベグドルジ大統領は2014年5月21日に上海で開催されたアジア相互協力信頼醸成会議 (CICA)首脳会合に出席するため訪問した際、プーチン大統領と会談した。双方は鉄道による トランジット輸送、ノモンハン事件75周年記念行事などについて意見交換し、モンゴル側は、
17 鉄道によるトランジット輸送の問題に関する中露モンゴル3カ国間協議をウランバートルで開催 したいと表明した。同年5月、アルタンホヤグ首相は、ロシアのサンクトペテルブルクで開催さ れたペテルブルク国際経済フォーラム(ロシア版ダボス会議)に出席し、5月23日にプーチン大 統領と会談した。会談では、鉄道、二国間の合弁会社の問題について協議した。 2014年9月3日にロシア・プーチン大統領がモンゴルを公式訪問した。同訪問はノモンハン事 件勝利75周年に合わせたもの。訪問中に両国政府及び関係機関の間で「両国国民が互いにビザ なしで入国する条件に関する政府間協定」をはじめ、15通の協力文書に署名が行われた。 ロシア・プーチン大統領のモンゴル訪問中、両政府は「ウランバートル鉄道社の改革、開発に おける戦略的パートナーシップ関係に関する協定」を締結した。同協定にて現在の鉄道のほか2 本目の鉄道開発及び車両電動化、さらに輸送量を100百万t/年にすることに合意。 • 2011 年に合意した「港への鉄道によるトランジット輸送協定ドラフト」を、今後早期締 結することで合意。 • ロシア・プーチン大統領は、ロシアは北朝鮮の Rajin 港を利用することにおいて北朝鮮 と交渉してきたが、ロシア側も北朝鮮と交渉を行い、Rajin 港と繋がる 50km の鉄道を開 発し、同港を利用することに合意できた。よって、モンゴル側が Rajin 海港を利用した ければ共同開発しようと提案した。ロシアとモンゴルは今回の訪問において、Rajin 港 の開発プロジェクトに、投資家として共に参加することに合意。 2-5-4、モンゴル・中国最近の政治、経済関係 モンゴル・中国交流 • 1949 年-外交関係樹立 • 1996 年-親密な隣国間の伝統的パートナーシップ • 2011 年-戦略的パートナーシップ関係 • 2014 年-総合的パートナーシップ関係 協力事業の書面 • 1991 年-投資協定 • 1991 年-二重課税防止条約 • 1992 年-経済技術協力協定 • 2009 年-貿易経済協力事業のための中期行動計画
18 出典:モンゴル投資庁データによりBlue Ridge社作成 図9. 中国の直接投資額の推移(百万US$/年別) 1990-2013年の間の中国投資総額は約3,700百万US$であり、68.1%は地質、探鉱及び採掘、 21%は貿易、食品業、2.1%は建築業だった。 出典:モンゴル投資庁データにより Blue Ridge 社作成 図 10. モンゴル・中国貿易額(百万 US$/年別) 2014年に50.7億US$の製品を輸出し(87.8%、モンゴルにとって第1位の輸出相手)、50.5% を銅鉱石、銅精鉱、16.7%を瀝青炭、12.5%を原油が占めた。2014年に中国から17.2億US$の製 品を輸入し(33.7%モンゴルにとって第1位の輸入相手)5.6%が電力、5.2% がセメントだった。モンゴルの輸出入、投資をはじめモンゴル経済は中国に過度に依存して いる。 227.9 172 339.6 497.8 613.1 176 1051.3 225.1 103.8 85.9 0 500 1000 1500 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 輸入 898.7 538.5 1000.2 2032.8 1873.4 1822.7 1768.1 輸出 1635.8 1393.9 2460 4439.8 4059.7 3709.9 5073.3 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000
19 表 3. モンゴルで事業を行っている中国の大手企業リスト 社名 Shenhua Group 事業方針 石炭生産・販売、エネルギー、石炭液化、化学、鉄道、海港 モンゴルと締結した 交渉、協力事業 • Tavan Tolgoi 炭鉱開発
• Tavan Tolgoi 炭鉱→Gashuun Sukhait 国境検問所間の鉄道開発 モンゴル側の関心 • Tavan Tolgoi 炭鉱開発
• Tavan Tolgoi 炭鉱→Gashuun Sukhait 国境検問所間の鉄道開発 社名 The China National Nuclear Corporation/CNNC/ 事業方針 科学調査、電子力発電所の設計・開発、電子燃料の再生産、電子セク
ターの輸出入など
モンゴル側の関心 • ウラン鉱床の一部で共同開発を行う • 医学目的で電子を利用する
• 医療器械を輸入する
社名 China National Petroleum Corporation/CNPC/ 事業方針 石油、天然ガスの探鉱、生産、加工、販売、輸送パイプライン及び化 学プラントの開発、掘削機械、輸送パイプ、エネルギー機械の製造、 不動産マネジメント、金融・保健サービス、非在来型資源、再生可能 エネルギーなど モンゴルと締結した 交渉、協力事業 • 2005 年から東部モンゴル Dornod 県の Tamsag 油田で探鉱、開 発事業を行い、2.8 百万 t の油田を採掘。現在までに 23.4 億 US$を投資 • モンゴル側と長期燃料提供契約を締結した。 • モンゴル産の原油を中国で加工し、燃料をモンゴルへ輸出して いる。2011 年~2014 年に 190 千 t の燃料をモンゴルへ輸出 社名 China Petochemical Corporation/Sinopec Group/
事業方針 • 産業への投資、投資マネージメント、石油及び天然ガスの探 鉱、採掘、倉庫、輸送、マーケティング • 石炭採掘、輸送、石油加工、販売 • 天然ガスの加工、化学プラント開発、化学製品の加工、輸送、 販売 • 石油探鉱事業の設計、コンサルティング、製油所の設計、開 発、整備など モンゴル側と締結した 契約、交渉 • 石炭液化プロジェクトの協力事業における MOU が締結 された 2012年12月に上海協力機構首脳会合に参加したアルタンホヤグ首相は、温家宝首相と会談し た。アルタンホヤグ首相は、モンゴル政府が対外政策の継続性を保持し、対中国関係を最優先 していることを表明し、通商・インフラ開発・鉱物資源開発・エネルギー・農牧業といった分 野における大規模案件の実施を通じ、両国の実質的な協力を集中的に進めていきたいとの考え を伝えた。
20 2013年12月、中国呉邦国・全人代常務委員長がモンゴルを訪問し、大統領、首相などと会談 し、資源開発及びモンゴルのインフラ整備などでの今後の協力について意見交換を行った。 2013年4月、エンフボルド国会議長がボアオ・アジア・フォーラム出席のため中国海南省を訪 れ、習近平国家主席と会談を行った。エンフボルド国会議長は、モンゴルと中国の戦略的パー トナーシップを実質的な内容で強化していくとの意欲を示し、両国のハイレベル相互訪問や会 談を頻繁に行うこと、経済の主要な分野での協力拡大、モンゴル、中国、ロシアの3か国による プロジェクトの実施を提案した。習近平国家主席は、モンゴルとの戦略関係の強化や実質的な 協力関係のレベルを引き上げるために協力することを表明した。 2013年5月、楊潔チ国務委員がモンゴルを訪問し、エルベグドルジ大統領、アルタンホヤグ首 相、テルビシダグワ副首相と会談を行った。 2013年10月、アルタンホヤグ首相が中国を訪問。同年9月の訪日に続き、首相として2度目の 訪問。習近平国家主席と会談を行った他、李克強国務委総理などとの会談では「戦略パートナ ーシップ関係のための中長期行動計画」をはじめ、経済、民間航空、学術、防災、金融、鉄道、 エネルギーなどの分野で10件のMOUに署名した。 2014年1月、ボルド外務大臣は中国を訪問し、王毅外交部長との会談、楊潔チ国務委員などと 会談、李源潮国家副主席への表敬などを行った。ボルド大臣は、王毅外交部長との会談で両国 の政治、経済、文化、教育、人的交流など様々な分野での協力関係拡大について意見交換を行 い、モンゴル・中国外交関係樹立65周年、友好・協力条約締結20周年という記念の年に当たる 2014年をモンゴル・中国友好交流年として祝うため、両大臣は友好交流年記念事業計画に署名 を行った。 2014年5月、エルベグドルジ大統領は上海で開催されたアジア相互協力信頼醸成会議(CICA) 首脳会合に出席するため訪問し、習近平国家主席と会談。両国外交関係樹立65周年、インフラ 部門における協力、石炭開発プロジェクト、トランジット輸送、エネルギー分野における協力 などに関して協議した。 2014年8月21~22日、習近平国家主席がモンゴルを公式訪問し、エルベグドルジ大統領と会談 を行った。同会談にてエルベグドルジ大統領は以下の提案をした。 1. モンゴルの農畜産物を免税・量的制限無しで輸出する。 2. 石炭ガス化プロジェクトに協力する。 3. 中国~モンゴル~ヨーロッパ間の鉄道輸送を拡大化し、2020 年までに 1 億 t/年にする。 4. ロシア~モンゴル~中国間の鉄道の輸送能力を引き上げる。 5. モンゴルの APEC 入会を支援する。
21 習近平国家主席は同提案を審議すると述べ、APECへの入会を全面的に支援すると表明し、 2014年9月に中国で開催されるAPEC審議会に参加するようエルベクドルジ大統領を招待した。ま た、習近平国家主席はモンゴルは農畜産物において大きな潜在性を持っているので、牛肉、羊 肉を加工し付加価値を高めて、中国市場へ輸出できると表明した。双方は石炭業で協力するモ ンゴルで火力発電所を開発し、エネルギーを中国へ輸出する方針で協力することに前向きであ ると述べた。習近平国家主席はロシア、モンゴル、中国経由の鉄道トランジット輸送に関する 交渉を行うことは可能と表明した。習近平国家主席の訪問の際に、下記の書面に署名が行われ た。 1. モンゴル・中国間の総合的パートナーシップ関係を開発する共同表明 2. モンゴル・中国間に 1949 年から 2012 年に締結された両政府の契約 3. モンゴル外務省・中国外務省間の協力事業に関する契約 4. 犯罪者受け渡し契約 5. モンゴルが中国を経由して海に出る際の往復のトランジット輸送に関する両政府間の契 約 6. 鉄道トランジット輸送協力を開発する両政府間の基本契約書 7. 鉄道協力事業の開発に関する両政府間の MOU 8. モンゴル・中国の国境鉄道条約の改革に関するモンゴル道路運輸省と中国鉄道庁間の MOU 9. モンゴル鉱業省・中国開発革新委員会間の石炭加工促進化への協力事業に関する MOU 10. 鉱物資源、エネルギー、インフラへの協力を管轄するモンゴル・中国委員会設立に関す るモンゴル経済開発省・中国開発革新委員会間の MOU 11. モンゴル・中国間の貿易、経済交流開発に関する中期行動計画 12. 経済・技術協力に関する両政府間の条約 13. 中国の協力にてウランバートルに設立される、障害がある子どもの支援センター啓発プ ロジェクト開始に関して交わす両政府間の書簡 14. モンゴル・中国間の自由貿易域開発に関するモンゴル経済開発省・中国貿易省間の MOU 15. “電子健康プロジェクト”への特別なクレジットラインに関するモンゴル経済開発省・ 中国輸出輸入銀行間の条約 16. “新世紀の教育プロジェクト”への特別なクレジットラインに関するモンゴル経済開発 省・中国輸出輸入銀行間の条約 17. “大型トラクター購入プロジェクト”への特別なクレジットラインに関するモンゴル 経済開発省・中国輸出輸入銀行間の条約 18. モンゴル・中国国境マネージメント協力委員会設立に関するモンゴル国境検問所委員 会・中国税関庁間の条約 19. モンゴル文化、スポーツ、観光省・中国文化省間の文化交流に関する議定書 20. 銀行システム管理に関するモンゴル中銀・中国銀行管理委員会間の MOU 21. 石油セクター協力に関するモンゴル石油庁・中国石油国民企業間の MOU
22 22. ウランバートル市スフバートル区第 7 ホローで TOSK(国有住宅企業)により開発される 住宅プロジェクトへのローンに関する TOSK・中国輸出輸入銀行間のローン条約 23. 162 百万 US$の借入に関するモンゴル開銀・中国開銀間の条約 24. ガシューン・ソハイト→ガンツ・モド間の鉄道開発を担当する Gashuun Sukhait 有限会 社・Shenhua Group 及び中国開銀間の基本条約。総合研究所開発に関するモンゴル教育 科学省・中国科学技術省間の MOU 25. 総合研究所開発に関するモンゴル教育科学省・中国科学技術省間の MOU 26. 学術交流に関するモンゴル教育科学省・中国科学技術省間の MOU 2-5-5、モンゴル・ロシア・中国首脳会合 1)モンゴル・ロシア・中国の第 1 回首脳会合 2014年9月12~14日にかけて実施された、上海協力機構の第15回首脳会談にてモンゴル・エレ ベグドルジ大統領の提案により、モンゴル・ロシア・中国の第1回首脳会合がタジキスタン共和 国のドゥシャンベ市で実施された。 エレベグドルジ大統領は、下記を3カ国の首脳会合の精神と強調。 1. 長距離の国境で隣接する 3 カ国にとって協議・解決すべき問題はインフラ、トラン ジット輸送である 2. モンゴルは国境を接しているロシア、中国の領土を通って港に至ることができる 3. モンゴルは地理的にロシアにとってヨーロッパから中国へ、中国にとってアジアか らヨーロッパへトランジットする国である エレベグドルジ大統領は上記の3精神を踏まえ、2カ国の首脳へ下記を提案した。 1. 3か国の首脳会合をウランバートル市で3年ごとに実施する 2. 同会合は公開で3か国の協力事業の総合的なコンセプトに合っている 3. 同会合で3か国の関心を示した問題、特に3か国トランジット輸送、インフラ及び地 域性の問題を会談し解決する ロシア・プーチン大統領は、ロシア・モンゴル・中国は隣接国であるため、インフラ、エネ ルギー、鉱業の協力事業を開発する可能性があることに言及した。3か国の首脳会合をどのよう な形で行うかを考えなければならないが、特に上海協力機構の首脳会合で首脳3名は会談できる。 次回の3か国首脳会合をウファ市で行う。またプーチン大統領は、ロシア、中国領域にあるウラ ンバートル鉄道(モンゴル横断鉄道)の続きを基礎にした上で、新しい鉄道を開発することを 考えていると述べた。また、中国側のシルクロード構想、モンゴル側のタリーン・ザム構想を ロシアのプロジェクトと結びつけて考えられる。中国側、モンゴル側が関心を示せば、送電線 網をモンゴル経由で開発することが計画できる。
23 中国習近平国家主席は、3か国の首脳会合でお互いに関心がある協力事業に関して意見交換を 行うことが重要だと述べ3か国首脳会合を定例化するモンゴル側の提案に賛同した。また、首脳 会合を3か国で順番に実施する、または上海協力機構の首脳会合と同時に行うことも可能。鉄道、 送電線網、経済通路、火力発電所などの面でモンゴル、ロシアと協力できると述べた。 2)モンゴル・ロシア・中国の第 2 回首脳会合 ロシアのウファ市で実施されている上海協力機構の第15回首脳会談中、2015年7月10日にモン ゴル・ロシア・中国の第2回首脳会談が実施された。同会合にて下記4通の書面に調印した。 • モンゴル・ロシア・中国の中期協力事業計画 • モンゴル・ロシア・中国の経済通路開発のプログラム作成に関する MOU • モンゴル・ロシア・中国の貿易開発に関する MOU • モンゴル・ロシア・中国国境検問所開発に関する MOU モンゴル側の要請により「モンゴル・ロシア・中国の中期協力事業計画」に貿易、経済協力 事業が重視された他、ウランバートル鉄道(横断鉄道)のトランジット輸送拡大化、3か国出資 による鉄道輸送・ロジステックの合弁企業設立の可能性を調査することが指定された。 3か国は中国側のシルクロード構想、ロシア側のユーロアジア通路構想、モンゴル側のタリー ン・ザム構想を結び、モンゴル・ロシア・中国の経済通路を開発することに合意。 2-6. 最近の政治動向 2012年第6回総選挙で民主党が勝利したが、単独で政府を成立できない状況に直面したため、 人民革命党・国民民主党のShudraga Yos連合と協力し連立政府を成立し、N.Altankhuyaga代表 が首相になった。しかし、2014年12月にN.Altankhuyaga首相が解任されたため、 Ch.Saikhanbileg氏(N.Altankhuyaga政権の官房大臣)が首相になり人民党、人民革命党・国民 民主党のShudraga Yos連合との連合政権を設立した。現在、76 議席中46 議席を人民革命党、 35議席を民主党、26議席を人民党、人民革命党・国民民主党のShudraga Yos連合の10議席、国 民勇気党が2議席、単独候補者が3議席を占める。2013年の大統領選挙では、民主党Ts.エルベグ ドルジが再当選した。
24 3, 経済の情勢 3-1、経済構造 2014年GDPは120.1億US$、一人あたりGDP は4,320US$である。GDP 構成(2014年)は、鉱業部門 17.08%、農牧畜産林業13.5%、卸小売等流通関連11.0%、運輸・通信・倉庫6.6%、製造業で 8.2%。建設・不動産で4.9%である。 GDPの53%は輸出で占められており、輸出の約80%が鉱物資源であるから、鉱業は外貨獲得の 面で最重要産業である。2014年の主要な輸出品目割合は銅精鉱が44.5%、石炭が14.7%、原油 が10.9%、鉄鉱石が7.7%、金が7.0%、亜鉛鉱石と亜鉛精鉱が1.9%であった。鉱物資源の輸出 先は経済発展の著しい中国である。伝統的輸出産品では、カシミアを主とする繊維・繊維製品 が輸出の約9%を占める。雇用吸収の面では、酪農、カシミア等の伝統的産業が重要である。遊 牧の伝統から山羊、羊、牛、馬等の家畜が6,400万頭を飼育しており、家畜関連産業も比較的優 位にある。 3-2、 経済危機、経済成長と経済成長低下、外国投資の減少 鉱物資源価格の高騰で、2008年までの3年間のGDPは平均9.2%成長し、順調に成長してきた。 この結果一人あたりGDP(名目)も2006年の1,236US$から2008年には1,818US$と47%上昇していた が、2008年10月の世界金融危機により、世界経済の急激な縮小から資源価格が暴落し、輸出収 入が激減したが、輸入削減が遅れたため外貨危機に陥り、MNT 価値が急落した。 政府は金融引き締めの強化、2009年4月にIMFから240.9百万US$のStand By Credit(2010年10 月1日まで)を借り入れ、主要援助国及び世界銀行(WB)アジア開発銀行の間、モンゴルはIMF管理 下でマクロ経済の調整を行い、経済は安定する傾向になった。 ADB等からの緊急支援等で経済調整を行い、危機を回避した。IMFの借り入れにより1年半、 2009年第4四半期からの回復輸出は中国の強力な成長の恩恵を受け、中国向け銅、石炭輸出量の 増加、価格高騰により、回復してきた。 出典:モンゴル国家統計局データよりBlue Ridge社作成 図11. 外国直接投資額 4.1 7.1 16.6 21.9 20.9 18.3 19.4 184.6 306.3 877.6 2273.3 1901.7 1122 849 0 500 1000 1500 2000 2500 0 5 10 15 20 25 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 外国直接投資 パーセント (百万US$)
25 中国向け銅及び石炭輸出の増加、価格高騰と共に2009年10月には数年間の交渉を要したOyu Tolgoi銅・金鉱床開発にかかる投資協定(モンゴル政府-Ivanhoe、Rio Tinto)締結、中国の原料 炭需要の増加などにより、外国直接投資の大量流入、拡張的なマクロ経済政策などから急速成 長し、2011-2013年にかけて3年連続の2桁成長(2011年に17.6%増)を果たし、世界有数の高 成長国となった。 出典:モンゴル国家統計局データよりBlue Ridge社作成 図12. アジア諸国の経済成長比 外国直接投資が最高額に至った2011年に流入した49億US$の86.7%の40億USドルが、鉱業へ 融資された。外国投資の61%以上が香港、中国の証券取引所、銀行、金融機関の経由だった (主な部分は原料炭プロジェクト5)。しかし、2012年以降の資源価格の低迷、不透明な投資環 境、新規探鉱ライセンスの発行停止、最大プロジェクトであるOu Tolgoiプロジェクトの新規投 資停止(坑内掘鉱山へ融資停止)による外国直接投資の激減に加えて、金融緩和政策や財政赤 字、貿易赤字の拡大などの副作用から国際収支が悪化し、外国準備高が減少したことを受けて マクロ経済が全般的に悪化した。 出典:モンゴル中央銀行データよりBlue Ridge社作成 図13. 外資準備額の減少(2011年から2014年) 5モンゴル中央銀行の「対外セクターレポート-2011」 0 10 20 30 40 0 1000 2000 3000 4000 百万 U S$ 左軸:外資準備額 右軸:輸入額を満たす週間 7.1 9.3 5.9 7.8 7.5 7.5 7.2 7.7
17.5
12.4
14.7
7.8
3.0
(予測) 7.2 6.4 6.8 12.3 2011 2012 2013 2014 *2015 アジア諸国の経済成長(%) 中国 インドネシア モンゴル ミャンマー26 出典:モンゴル中央銀行データよりBlue Ridge社作成 図14. モンゴルTGに対するUS$為替レート(2011年から2014年) 3-3、マクロ経済の中期展望 2014年、モンゴルのマクロ経済は外国投資の減少、主な輸出品である鉱物資源の市場価格低 下、最大の貿易及び投資相手の中国の経済成長が低迷状態となった中、2012年に国際市場で発 行された15億US$のChingis国債及びサムライ債の返済(2017年に500百万US$を返済するべく) などの対外債務、財政赤字の増加により、モンゴルの信用格付けは低下して再び経済危機に直 面する可能性も高まっている。 表4. 外貨建債券の償還スケジュール 発行体 発行日 償還日 残高 (百万) 通貨 US $ 換 算 残 高 ( 百 万) クーポン 年利払 (百万USD) 貿易開銀 12.09.20 15.09.20 300 USD 300 8,500 25.5 貿易開銀 10.11.16 15.11.17 25 USD 25 12,500 3.1 貿易開銀 14.01.21 17.01.21 700 人民元 115 10,000 11.5 蒙開銀 14.01.21 17.03.21 580 USD 580 5,750 33.4 MMC-社 12.03.29 17.03.29 600 USD 600 8,875 53.3 政府 12.12.05 18.01.05 500 USD 500 4,125 20.3 政府 12.12.05 22.12.05 1,000 USD 1,000 5,125 51.3 蒙開銀 13.12.25 23.12.25 30,000 日本円 261 1,520 4.0 合計 3,381 202.5 出典:モンゴル経済の現状と課題(IMMA) 1000 1100 1200 1300 1400 1500 1600 1700 1800 1900 2000
2011-I VI XII 2012-I VI XII 2013-I VI XII 2014-I VI XII T
27 表5. モンゴルの長期発行体信用格付 出典:Thomson Reuters モンゴルの外貨準備高は2013年以降、激減した。2014年10月末時点の外貨準備の水準は、輸 入金額の3か月前後の水準と、外貨準備の枯渇が警戒される水準の直前である。前回のIMF支援 では、輸入金額の2 カ月分を切ったラインで支援要請がされたので、現在の水準に当てはめる と9.15 億$前後(2013 年11月~2014 年10月の月ごとの輸入平均金額の2か月分)にあてはま る。 拡張的なマクロ経済政策や為替レートの下落による輸入材価格の上昇を受けて、インフレも 加速している。2014年11月時点のインフレ率は11.5%と、2013年10月以降14か月連続で年率10% を超えており、自国通貨であるトゥグルグも海外との物価格差を反映して下落が続いている。 後任のサイハンビレグ首相はそのような問題を解決すべく、野党人民党を含めた大連立政権 構想を掲げ、結果的に大連立政権の樹立に成功した。経済成長を確保・支援するため、「経済 低迷を乗り越える対策」を発表し、積極的に外国投資を誘い、大規模なOyu Tolgoi,Tavan Tolgoiなどのプロジェクトを実施しようとしている。また、公的債務の管理システムを改善す る目的で、2015年2月に「債務マネージメント法6」を制定し、債務最高限をGDPの40%でに制限 した。 世銀レポートによると鉱業以外のセクターは2016年に少し上昇する傾向であるが、鉱業セク ターの減少により経済成長は0.8%になる見込み。2018年からOyu Tolgoiプロジェクトが品位が 高い鉱石を採掘する他、国際市場も回復する見通し。 Oyu Tolgoiプロジェクトの鉱石品位が減少すると共に、経済市場状況により影響鉱業生産が 減少する傾向。Oyu Tolgoiプロジェクトのフェーズ2により、2016年下半期に商品・サービス提 供業が改善する見通し。大量の鉱物資源が存在するため、長期的にモンゴル経済成長予測は高 い。 しかし、短期的に大きな困難に直面している。2015~2017年、経常収支の増加、高額の対外 債務を返済するため国際資金調達の需要は大きくなる見込み。しかし、それを避ける可能性は 低い。 6財政安定法の改正(2015 年 1 月 20 日)-財政安定法の 6.1.4 に盛り込まれた“国家債務は、GDP の 40% を超えない”という条項に従い、2015 年に 58.3%、2016 年に 55%、2017 年に 50%、2018 年から 40% を超えない。 格付会社 格付 備考 S&P B+ 2014.04.29にBBから格下げ見通しは 安定期 Moody's B2 2014.07.17にB1から格下 Fitch B+ 見通しはネガティブ
28 政府は政策的な調整を維持しようとして、2016年の総選挙が近くなるほど実現できなくなる リスクが高まる傾向。 3-4、貿易 モンゴルの貿易総取引額は小さく、2014年の総取引は110億US$(輸出は58億US$、輸入は52 億US$、収支は5.3億US$:2014年に貿易収支が2006年以降始めて黒字)だった。 過去10年(2004-2013年)に輸出依存度の平均は45%前後だったが、2014年に49.3%の水準に至 った。輸出額に占める鉱物資源の割合(表6)は非常に大きく、2013年に88%、2014年には83%に なった。 出典:モンゴル統計庁データによりBlue Ridge社作成 図15. モンゴルの貿易取引 表6. 2014年の主な輸出入品グループ別 商品グループ 輸出(%) 輸入(%) 鉱物資源 83.0 28.0 機械、機器、電気機器、レコーダー、テレビ &スペアパーツ 1.0 18.8 自動車、航空機及びスペアパーツ 0.6 11.8 織物及び織物商品 5.9 1.3 皮、なめし皮、革製品 0.6 0.1 宝石、貴金属、ジュエリー 7.0 0.1 ベースメタル、メタル製品 0.8 10.3 その他 1.1 29.6 出典:モンゴル統計庁データよりBlue Ridge社作成 2.2 2.9 4 5.7 4 6.1 11.3 11.1 10 11 -5 0 5 10 15 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 貿易総取引 輸出 輸入 収支 10億US$
29 表7. 主な輸出製品額-種類別 2012年 2013年 2014年 輸出額-2014年 (百万US$) 輸出額に占める割合 (2014年) 石炭 20,915.5 18,373.1 19,499.1 849.0 14.7 銅精鉱 574.3 649.8 1,324.4 2,573.6 44.5 鉄鉱石 6,4153 6,724.9 6,324.4 446.3 7.7 原油(千bbl) 3,568 5,243.8 6,885.1 634.6 10.9 亜 鉛 鉱 石 ・ 精 鉱 140.9 130.9 113.1 113.1 1.9 金(t) 2.8 7.6 10.0 405.2 7.0 出典:モンゴル統計庁データよりBlue Ridge社作成 出典:モンゴル統計庁データよりBlue Ridge社作成 図16. 主な輸入製品の割合-種類別 出典:モンゴル統計庁データよりBlue Ridge社作成 図17. 2014年の輸出相手国、輸入相手国の割合(%) 24.5 21.9 18.8 23.4 27.3 27.9 5.9 6.4 7.3 18.8 15.7 11.7 27.4 28.7 34.3 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 2012年 2013年 2014年 機械設備・電気製品 鉱業製品 食品 自動車・航空機 その他 輸入額に占める品目の内訳(%) 90% 7% 1% 1% 1% 中国 イギリス ロシア イタリア その他 34% 30% 7% 4% 5% 3% 17% 中国 ロシア 日本 韓国 アメリカ ドイツ その他
30 3-5、外国投資 2005~2014年末までの間に、99 か国9,450の外国投資企業が登記され、直接投資金額は160億 US$で、そのうち76.8%は2011~2013年に投資されている。 出典:モンゴル投資庁データよりBlue Ridge社作成 図18. 外国直接投資額-国別(1990年~2014年) 出典:モンゴル投資庁データよりBlue Ridge社作成 図19. 外国直接投資額-セクター別(1990年~2014年) 外国投資の減少に、2012年4月に制定された“戦略的なセクター(鉱業、銀行、金融、メディ ア、情報通信)における外国投資法”7による外資規制の強化、Oyu Tolgoiプロジェクトにおけ
7中国のChalco(中国アルミニウム)がSouth Gobi Resources社(南部モンゴルでOvoot原料炭鉱山及び 原料炭鉱区を持つ企業でIvanhoe Mines社の子会社)の株式を買収することが発表された。2012年6月に 国会総選挙があっため、経済政策というより選挙ピーアールの目的で、モンゴル国会が資源輸出国であ る中国からの影響を避けるという理念で同買収に停止をかけ、2012 年5 月に戦略セクター(鉱業、銀行、 金融、メディア・情報通信など)への過半出資に対して事前に政府の了承を取り付けるように義務付け た外国投資管理法を制定。同法では • 外国の国営企業がモンゴルで事業を行う、投資する • 鉱業、銀行、金融、メディア・情報通信などのセクターに外国投資家が投資する • 鉱業、銀行、金融、メディア・情報通信などのセクターで事業する企業の1/3を買収する場合、 29.7% 26.4% 8.5% 8.1% 5.1% 3.5% 2.7% 16.1% オーランド 中国 イギリス ルクセンブルク シンガポール カナダ 韓国 その他 72.5% 17.8% 4.2% 1.4% 0.9% 0.8% 0.4% 0.4% 0.3% 鉱業 その他 建設、建築材 畜産物の加工 通信
31 る課税、権益、投資額の上昇などに関するモンゴル政府とRioTintoとの対立による坑内掘鉱山 への投資停止(2013年8月)、TavanTolgoi炭田国際入札の不透明な状況、資源ナショナリズム 的な対応を強く表明する政治家及び社会の行動、石炭価額の急騰により、2013年、2014年に渡 って外国直接投資は連続に減少し、2014年に580百万US$(前年比45.9%減、最高準となる2011 年と比較し88.3%減)になった。 出典:モンゴル投資庁データよりBlue Ridge社作成 図20. 外国直接投資額(2005年-2014年) 外国投資の急騰、経済成長のダウン、財政赤字を受けてモンゴルが政策のやり直しを行い、 資源ナショナリズム的な“戦略的なセクターにおける外国投資法”の代わりに2013年10月に外 投資を奨励する“投資法”を制定し、投資家にとって有利な投資法を制定。 また、2015年5月にRio Tintoとの交渉を進め、投資問題をクリアし2015年5月に“坑内掘鉱山 への融資計画”に調印したため、2016年から坑内掘鉱山へ投資を再開することに両方が合意済、 2014年12月にTavan Tolgoi炭田の国際入札の再開、新規探鉱権の再発行などの外国投資を奨励 する、ビジネスしやすい環境を整備する政策を積極的に行ってきた。 鉱物資源価額の低下、中国経済低迷などにより、短期的に外国直接投資が減少する傾向であ るが、2016年からOyuTolgoiプロジェクトのフェーズ-2(68億US$)、TavanTolgoiプロジェクト の国際入札・開発により外国直接投資が回復する可能性はある。ただし、大型鉱山プロジェク ト、鉱業のみへの外国投資により経済成長を遂げられたとしても、停滞すればマクロ経済全体 が困難に直面するリスクを避ける対策が必要だとして、モンゴル政府は鉱業の依存度を下げる ため、鉱業以外の産業を支援する、外国投資を奨励する対策の重要性を強調した政策を行って きている。 モンゴル政府から許可を得なければならない、投資額は10百万US$以上の場合、モンゴル国会から許可 を得なければならないと定められた。 同法律は中国の国営企業に対する買収防止策として制定されたが、海外企業の間にモンゴルの外資受け 入れ政策の不透明感が広がり、投資待機に影響した。 0.32 0.37 0.5 0.71 0.8 1.03 4.99 4.4 2.29 0.58 15.8% 36.2% 41.8% 13% 28.06% 386.3% -11.8% -47.9% -45.9% -1000 100 200 300 400 500 0 1 2 3 4 5 6 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 外国直接投資 パーセント 10億US$