乾燥地の灌漑農地 における塩類動態 に関する研究
Studies on Behavior and Distribution of Salts
under lrrigated Agriculture in Arid Regions
常
一最
次 目 第
1章
緒 言 1,1.乾 燥 地 にお ける灌漑農業∼そ の歴史的背景 と現状∼ 1.2.乾燥 地灌漑農 業 に起 因す る土壌劣化 1,3.乾 燥地土 壌,
とくに塩類評価 に関す る これ まで の研 究 と課題 1.4.研究 の 目的 第2章
乾 燥地域 の灌漑農地 の土壌環境 2.1.はじめ に 2.2.メ キ シヨ・カ リフ ォルニ ア半 島 中央部 の灌漑農地 の土壌環境 2.2.1.背 景 2.2.2.調 査地域 の概 況 2.2,3.供 試土 壌お よび分析方 法 2,2.3.1。 供試土壌 2.2.3.2.分 析方法 2,2.4.結 果 お よび考察 2,2.4.1.灌 漑水 の特徴 2.2.4.2.自 然土壌 の特徴 2.2.4.3.灌 漑土 壊 の特徴 2.2,4.4.粘 土鉱 物組成 2.2.4.5,土 壌生成要 因 2.2.4.6。 土 壌 断面 内の塩類 動態、 2.3.カ ザ フス タ ン・ シル ダ リア川下流域 の灌漑農地 の土壌環境 2.3.1.背 景 2.3.2.調 査地域 の概 況 2.3,3.供 試土壌お よび分析方 法 2.3.3.1,供 試土 壌 2.3,3.2.分 析方 法 頁 1 1 3 4 6 8 8 8 8 9 ︲2 ︲2 ︲2 ︲4 ︲4 6 0 4 6 9 34 34 35 38 38 38 1 一 9 留 9 留 9 ω 9 μ
2.3.4.結 果 お よび考察 2,3.4。
1.耕
作土 壌 の特徴 2.3.4.2.放 棄 土壌 の特徴 2,3.4,3.粘 土鉱物組成 2.3.4,4.灌 漑水 の特徴 2.3.4.5。 土壌 生成 要 因 2.3.4.6.土 壌断面 内の塩類動態 2.4.総合考察 2.5.要 約 第3章
乾 燥地土壊 中の塩類 の溶解特性 3.1.はじめ に 3。2.供
試土壌お よび分析方 法 3.2.1.供 試土壌 3.2,2.分 析方 法 3.3。 結果 お よび考察 3.3,1.土 液 比の変化 に伴 うイ オ ン濃度 の変化 とそ の機構 3,3.2.土 液 比 の変化 に伴 う塩類 の存在 形態 の変化 とそ の機構 3.3.3.土 壌水抽 出溶液 中のEC値
に対す る塩 類 の存在 形態 の影 響 3,4。 要 約 第4章
乾燥地上壊 中におけるナ トリウムーカル シウム交換 ・溶解平衡 ―粘上の種類 および量 に伴 う土壊 固相/,容液相 間の化学平衡 ― 4.1.は じめ に 4.2.理 論 4.2.1.イ オ ン交換平衡 反応 4,2.2.拡散電気二重層 4.3.分析方 法 4,3.1.吸着型粘土試料 の調 整 4.3.2.陽 イ オ ン交 換平衡 実験 38 38 46 5 . 52 X И 58 59 62 62 62 62 68 67 67 74 8︲ 83 5 6 6 7 8 8 9 8 8 8 8 8 8 84.4.結果 お よび考察 4,4。 1.粘土層 間 中の水 分子 層 の形成 4,4.2.交換 ・溶解 平衡 に伴 う水 素イオ ンの関与 4,4。
3.交
換 ・溶解 平衡 に伴 う塩化 物 イオ ンの関与 4.4.4.溶液 濃度 に対す る交換 ・溶解 平衡 の影 響 4.4.5.ナ トリウム吸着 比 に対 す る交換 ・溶解 平衡 の影 響 4.4.6.陽イ オ ン交換容量 に対す る交換 ・溶解 平衡 の影 響 4.4.7.交換平衡定数 の算 出 4.5。 要 約 第5章
総 合 考 察5,1.塩
類 の 溶 解 特 性 の 把 握 の 意 義 5.2.土 壌 固相 /溶 液相 間の化学平衡 の把 握 の意 義 5,3.灌 漑農地 にお け る塩 類 動 態 の要 因 5.3.1.メ キ シヨ・カ リフォルニ ア半 島 中央部 の灌漑農地 5。 3。2.カザ フス タ ン・ シル ダ リア川下流域 の灌漑農 地 5,4.塩類 の多様 性 を考慮 に入れ た土 壌管 理 5。4.1.砂
質 農 地 の 土 壌 管 理 へ の 提 言5,4.2.粘
質 農 地 の 土 壌 管 理 へ の 提 言 5。 5。 長期 的視野 に立 った灌漑農業 の あ り方 第6章
要約 引用文献 付表 お よび付 図 英文要約 謝辞 学会誌公表 論文 リス ト 98 98 05 90 90 90 90 93 93 106 106 107 108 108 113 113 113 116 119 122126
133 147 152 153第 1章
緒
言
近年
,世
界各地の急速な開発は種々の環境破壊 を引き起 こし
,今
や地球環境の修復
は人類の大きな課題 となちている
,現
在
,地
球上の全陸地の約
3分の
1を占める乾燥地
,半乾燥地
(科学技術庁研究開発局
,1989)イ
こおいて も
,不
適切な灌漑農業による土壌
の塩類化・アルカ リ化 に起因す る土壌劣化が年 とともに増加 しつつあり
,防
止及び修
復対策は農業生産の面か らも
,環
境の面か らもきわめて重要である
.乾
燥地域 におけ
る灌漑農地の上壌の塩類化 。アルカ リ化は, これまで乾燥条件下で平衡状態にあった
環境 に対 して
,人
間が不適切かつ大規模に水循環 を変えたために引き起 こされた水 と
塩 類 の再 分 配 の結果 で あ り,そ
の拡 大 は止 ま る兆 しをみせ ず,今
後 の世 界 の食 糧 生産 情勢 に大 きな陰 を落 とそ うと して いる (第1-1図).
多 くの土 壌 劣化 がそ うで あ るよ うに,乾
燥 地 の灌 漑 農 地 の劣 化 の原 因 は,複
合 的で あ り,土
壌管 理 ・水 管 理 な どの技術 的 な 問題 とともに,管
理 が 不 適 切 にな る社 会 的, 経 済 的背 景等 も無視 で きな い。 また,こ
れ まで の歴史 が証 明 して い るよ うに,乾
燥地 の灌漑 農 業 が どこまで持続 的な のか は,疑
問 の残 る点 で あ る。 しか し,今
後 の人 口 と 食糧需 要 のバ ラ ンス を考 慮 す る と,灌
漑 に伴 う土 壌劣 化 を技術 的 に阻止 す る方 策 を見 い出す挑戦 は,行
い続 けな けれ ばな らな い,極
めて重 要で緊急性 の高 い課題で ある。 本研 究 で は,乾
燥地灌漑農業 にお ける水 と土 壌 の適切 な管理法確立 の一助 とすべ く, 水 資源 の分布 ・利 用様 式 の大 き く異 な る二 つ の軋 燥 地域 を対 象 と して,塩
類 の溶解 平 衡 論 ・交 換 平衡 論 を理 論 的 手法 と して用 い,灌
漑 に伴 う土 壌 中 の塩 類 動態 と塩 類 化 ・ アル カ リ化 のメカニ ズム解 明へ の アプ ローチ を した。 1.1.乾燥地 にお ける灌漑農業 ∼その歴 史的背景 と現状 ∼ 乾 燥 地 の 中 で も,砂
漠 の よ う に極 め て 乾 燥 して い る地 域 は 高 々5%で
あ り,(千,1999),多
くは豊富 な 日射量 に恵 まれ,水
さえあれ ば農業 生産 が期待 で き る環境 にあ る.乾
燥 地 域 の大 半 は,現
在 で も伝統 的な ドライ フ ァー ミングが行 われ て い るが,不
安 定 な降雨 に依 存 して い るた め,作
物 収量 は きわ めて不 安 定 で あ る。一方,灌
漑農 業 は,他
の農 法 に比べて 生産量 の害J合が高 く,
しか も安定 した生産 が期待 できる. 灌漑 農 業 の歴 史 は古 く,約
六 千年 前 に さか の ば る。 当Π寺,メ
ソポ タ ミアの入 植 者 た ちは,乾
燥 した大 地 にユ ー フ ラテ ス川 か ら水 を引 くこ とによ り食 糧 生産 を可 能 に し , 文 明が 誕 生 した 。 メ ソポ タ ミア以外 に も,エ
ジ プ トの ナイ ル 川 下流 域,現
在 のパ キ ス 1ヒ 、 s
ム
1 , , 3 4□
■
≡
囲
N 司Л8 砂 漠 化 の 危 険 度:1.現
在 の 砂 漠2.非
常 に 高 い3.高
い4.中
程 度へ
J
︵
p
ヽ
第
1-1図
世
界
の
砂
漠
化
地
図
(市川
,1988)
タンにあたるイ ンダス川流域
,中
国中北部の黄河流域な どに灌漑社会が盛え
,こ
れ ら
の社 会 は いず れ も独 特 の文化 的・科学的発展 を築 いた
(レス ター ・ ブ ラウ ン
,2000).灌
漑農業は劇的に農地 と人間社会を変容させ
,文
明を支え
,社
会的発展 を基
本的に形づ くる新たな基盤 となった。しか し, これまでの灌漑農業に立脚 した社会は
,長 い年月のうちに崩壊の方向をたどってきた ことを歴史は証明 している。土壌の衰退
が文明の滅亡を引き起 こした。 このような文明の崩壊は
,灌
漑農業についての安易な
取 り組みが
,い
かに危険であるかを我々に警告 している。
過去の多 くの崩壊 した社会 と同様
,近
代社会においても様々な形で灌漑農業が営ま
れている。 しか し
,今
なお
,多
くの耕地が塩類集積の障害によって生産力が低下 し
,放棄 され続けている
.例
えば
,中
国 。内モンゴル 自治区では河川か ら灌漑水 を多量に
導入 し
,過
乗
J灌漑を行い続けた結果
,土
地が荒廃化 した例もある
(松本
,1999).
一方
,乾
燥地 にはそれぞれ伝統的な農業体系があ り
,そ
の中で確立されてきた灌漑
技術がある。適切に管理されている灌漑農地では安定 した生産が行われているのは確
かであり
,一
時的には高い農業生産 をあげることができた地域 もある
(長,1973).
乾燥地域における昔か らの伝統的な水利 による農業が併存 している一方
,近
代的な水
利による大規模農業開発が盛んに行われている中で
,い
ずれにして も利用可能な水は
限 られた貴重な資源であ り
,供
給可能な水資源を有効 に利用 して灌漑農業 に取 り組む
ことが必要である。
灌漑農業 に起因す る土壌塩類化・アルカ リ化の問題は
,そ
の機構 を十分に理解する
ことで防止技術を考案 し
,取
り組まなければな らない。いずれの灌漑農地において も
,長期的視野に立って農業生産を持続向上させるため
,そ
の技術を駆使 して
,地
域にあっ
た有効な方策 を見 い出す ことが重要である。そのためにはまず
,土
壌の塩類化・アル
カ リ化の進行過程 を明確 に把握 し
,そ
れぞれの風土 に適 した農業の安定 を目標 とす る
技術を確立をすることが必要である。
I
1.2.乾燥地濯漑農業 に起 因す る土壊 劣化 靴 燥 地,半
乾燥 地 の灌 漑農 業 は,激
しい蒸発 散 量 を灌漑 水 の利用 によ って 補給 し, 作 物 生産 を可能 とす るが,そ
れ は 同時 に,灌
漑水 中の塩 類 を土 壌 中 に付 加す る こ とに もな る。 いった ん生成 され た塩 類 土 壌 ・ アル カ リ土 壌 を耕 地 と して改 良す る には,莫
大 な量 の 良質 な水 と労 力お よび コス トを必 要 とす るた め,土
壌 の塩 類 化 ・ アル カ リ化 の進行 した耕地 は放棄 され る ことが多 い。そ の結果,土
壌劣化 は確実 に進行 して いる。-3-一方
,世
界 人 口は今 後 急速 に増加 す る ことが予測 され てお り,食
糧 の増産 は将 来 に わ た って急 務 の課題 で あ る。乾燥 地,半
乾燥地 域 には世界 人 口の約18%に
相 当す る約9 億 人が住 んでお り,な
お 人 口増加 の一途 をた どって いる (茅,1991).乾
燥 地 の土壌 劣化 も こ う した背 景 か ら生 じて い る。す な わ ち,増
え続 け る人 口を養 うた め,風
土 条 件 を無視 した不 適 切 な農 地管 理 が行 われ,土
壌 の酷 使 が続 け られ た結 果,土
壌 の作 物 生産 性 が低 下 した といえ る.土
壌 はわ れ わ れ の生活 に密着 した存 在 で あ るが,そ
れ が 強 く認 識 されず,お
ろそ か に され て きた結果 といえ る。排 水 施 設 を設 けず に灌漑 した り,過
剰 灌 漑 を続 けた りす る こ とな どの不 適 切 な管 理 によ る土 壌 の塩 類化 ・ アル カ リ 化 の 拡 大 と,そ
れ に 伴 う 土 壌 劣 化 及 び 食 糧 生 産 の 低 下 が 懸 念 さ れ て い る(FAO,UNESCO and WMO, 1977).UNEP and GCSS(1991)イ
こよ る と, 乾燥 地,半
乾燥 地域 の灌 漑農 地 (146万km2)の
30%(43万
kュn2)が
土 壌塩 類化 ・ アル カ リ 化 によ り荒廃 して お り,少
な くとも年 間1,0∼1,3万km2の
灌漑農 地が失 われて い る と推 定 されて いる. しか し,今
後 の人 口l曽加 とそ れ に伴 う食糧不足 を考 える と,乾
燥地 にお け る農業 は , ます ます そ の重 要 性 を増 して くる。 この よ うに土 壌劣化 によ る土 地 の作物 生産 性低 下 の進行 を防止 す る と共 に,そ
の地 域 で生活 を営 ん で い る地 域住 民 の食糧 不足,栄
養 不 足等 を解 消す るた め に も,一
刻 も早 く灌 漑農 業 を向上維 持 させ る方 策 を見 い 出す 必 要 が ある。 土壌 と水 は有 限な資源 で あ り,取
水 可 能 な 水 資 源 の有 効 利 用 に最 大 限 の 努 力 を配 慮 しな が ら,適
切 な土壌 管 理,水
管 理 が必須 な条 件 とな る。そ の解 決 のた め には灌 漑 農 業 下 の水 ・塩 類 の動態 をよ く把握 した うえで,農
地 を適 切 に管 理 す る こ とが必 要 と な って くる. 1.3.乾燥地上壊
,と
くに塩類評価に関するこれまでの研究と課題
世界各地の研究者は, これまでにも乾燥地で灌漑農業 を実践するための有用な知見
を蓄積 してきた
(前垣内
,1990).乾
燥地農業に取 り組んでいる地域は広 く
,自
然条
件は複雑で
,土
壌中の塩類集積量や組成・特徴 も異なってお り
,農
業経済状況 もまた
一様ではない。 しか し
,土
壌の塩類化・アルカ リ化の背景には普遍的な側面 もあ り
,その対策や評価 については
,地
域 を超えた比較・検討が必要である。世界各地の土壌
の塩類化・アルカ リ化の現状や対策 に関する知見 を統合 し
,有
効な対策の方向性 を見
い出す ことが必要である。いずれの地域においても
,灌
漑農業に起因する土壌塩類化・
4
アルカ リ化 の機 構 を十 分 に理解 す る ことで
,防
止技 術 を考 案 し,取
り組.ま な けれ ばな らな い,そ
の た め に も,灌
漑 によ る塩 類 動態 を明確 に した上 で,適
切 な土 壌 管 理,水
管理 をす る ことが必須 な条件 とな る。 しか し,灌
漑農地 の塩類動態 を把握す る上で,制
限 因子 とな って い る ものの一つ に, 土 壌 中 に存 在 して い る端 類 が あ る。乾燥 地土 壌 中の塩 類 は,農
地 に よ って集 積 量 ・塩 類組成が異 な るため,同
一農地内で も,灌
漑法 によ り塩類動態 が異な る。 したが って, 土 壌 中の集 積 塩 類 の量 と組 成 の的確 な把 握 は,塩
類 動態 を解 明 し,土
壌塩 類 化 ・ アル カ リ化 の機 構 を理解 す るた め の有効 な手段 といえる。土 壌 中の集 積 塩 類 量 ・ 塩 類 組 成 の多様 性 は土 壌溶液 に も反映 されて い る,つ
ま り,灌
漑 に よ る塩 類 動 態 を解 明 し,土
壌塩類 化 ・ アル カ リ化 の機 構 を理解 す るた め に,土
壌 中 の集 積 塩 類 の量・ 組 成 と土 壌 溶液 との関係 を把握す る ことは重 要 な課題 で ある。 土壌溶 液 につ いて の研 究 の重 要性 がCameron(1911)に
よ って報 告 され た後,現
場 の土 壌溶液 組成 と土壌水 抽 出液組成 に関 して,1920∼
1960年
代 に精 力的 に研 究 が行 わ れて きた (Hoagland eよ が., 1920;
[artin eよ a′., 1920,Parker, 1921;Burd and
卜
Iartin, 1923;Hibbard, 1923;Eaton and Sokoloff, 1935;Kelly, 1939;
Reitmeier,1946;Moss,1963).こ
れ らの研 究 の結果,可
溶性塩 類 を含 む土壌 で は 塩 類 の量 ・組.成によって土 壊 溶 液 組 成 が 異 な る こ と,さ
らには水 分 量 に よ って溶 出イ オ ン濃 度 も変化 す る こ とが 明 らか にな った。 しか し,こ
れ らの研 究 は,土
壌 溶 液 と水 抽 出液 の溶 質 組 成 の大 きな差 異 を指 摘 す るに と どま り,水
分 量 の変 化 によ る溶 質 組 成 変 化 の機 構 を理解 す る まで には至 らなか った 。す なわ ち,土
壌 溶 液 の溶 質 の大 部 分 は 土 壌 の 固相 部 との間 のイ オ ン交 換 ・ 吸脱 着 反応,沈
澱 ・溶解 反応 な どに関与 して い る た め,水
分 量 の変化 に伴 う溶 質組 成 の変 化 を解 明す る には,イ
オ ン交 換 の研 究 が 不 可 欠 で あ る と認 識 され るよ うにな った 。そ れ に伴 い,移
動 相 と して の土 壌溶 液 の組 成予 測 の重 要性 も土 壌 中の溶質移 動 に関連 して ます ます 重要 にな って きて い る。特 に1975
年 以 降,多
成 分 イ オ ン交 換 の研 究 は飛躍 的 に進歩 し,現
在 で は実 用 に耐 え る経 験 的多 成分 陽イ オ ン交換 モデル も利用 可能 にな りつつ あ る(Feigenbaum eど
a′.,1989;
Wada and Seki, 1994).
乾 燥 地 土 壌 を対 象 と した土 壌 溶液 の評価 は
,ア
メ リカ合 衆 国塩 類研 究 所 の ス タ ッフ らを中心 にすす め られ,現
場 の実態 に即 した塩 類 の評価 が議論 され (Rhoades eよ a′.,1989a;IRlloades eよ a′
.,1989b),近
年,同
研 究所 のRlloades(1996)が
そ の内容 をくわ しくま とめ た 。そ の後 もヨ ン ピュー ター によ る解 析 が 導入 され
,シ
ミ レー シ ョンによ るモデル化 も行 われ るよ うにな って きた
(Suarez and Simunek,1997;Rieu cど
aF.,1998)。
一方,土
壌 中の水 ・塩類 の動態 の解 明 には,土
壌 中のイ オ ン交 換 現 象 の研 究 が 不 可 欠 で あ る こ とか ら
,乾
燥 地土 壌 を対 象 と したイ オ ン交 換 特 性 につ いて も,多 くの研 究者 によ って研 究 され て きた
(Mehlich,1939;Bower eよ
河.,1952;Levy
and l■
illel, 1976;Mario and Rhoades, 1977;Harron et a′ ,, 1983;Flenkel and
Alperovitch, 1984;Alnrherin and Suarez, 1990,Snmner, 1996)。
しか し, イオ ン交 換 特 性 は適 切 な土 壌 管 理 の た め に必 要 で あ る に も関わ らず
,研
究 者 に よ って見 解 がそ れぞ れ 異 な って お り,そ
の結果 の もつ 意 味 も異 な って い る。例 え ば これ まで に も,交
換平衡 定 数 につ いて は0.005以
下 (」urinak eょ a′.,1984)と
い う報告 か ら0.03以上二
(Sinanuwong and EI Swaify, 1974;Miller eよ aF., 1990)と
い う報告 もあ り,そ れ らは現 在 で も一致 した見解 を示 して いな い。そ の理 由 と して は
,乾
燥 地 土 壌 中 に 多量 に沈積 して いる塩類 によ って,土
壌 固相 に吸着 して いる塩基 の定 量が複雑 性 を伴 っ て い る こ とが 挙 げ られ る。 また,土
壌 中 に含 まれ る塩 類 の量 お よび 組 成 がそ れぞ れ 異 な るた め,集
積 塩 類 の溶解 特 性 はそ れぞ れ の土 壌 によ って 異 な る。そ の た め,灌
漑 に よ る土 壌 固相/溶液 相 間 の相 互作用 が解 明 されず,塩
類集積 過 程 お よび洗脱 過 程 にお け る塩類 動態 の機 構 が十分 に明 らか にな って いな い. 1.4.研究の 目的 本研 究 の背 景 には,以
上 に述 べ て きた よ うに,乾
燥 地土 壌 中の塩 類 が 極 め て多 様 性 に富 む た め,灌
漑 に伴 う土 壌 中 の塩 類 動態 と塩 類化 。アルカ リ化 の機構 が十 分 に解 明 されて いな い とい う現 状 が あ る。そ の こ とか ら,乾
燥 地 の灌 漑 農 地 で は,土
壌・ 水管 理 が必 ず しも適 切 にはな され て いな い。 したが って,乾
燥 地 の灌 漑 農 業 にお いて 適 切 な土 壌 管 理,水
管 理 を行 うた め には,土
壌 中で の水 ・塩 類 の動 態 (塩類 集 積 過程 あ る い は洗 脱 過 程)を
明確 に把 握 す る こ とが極 め て重 要 で基 本 的 な ことで あ る。 つ ま り, 乾 燥 地 の灌 漑 農 地 で は,土
壌 の性 質,集
積 して い る塩 類 の量・ 組 成 が 異 な るた め,土
壌 と水 の管 理 法 も地域 によ って適応 させ な けれ ばな らな いので ある。 本研 究 の 目的 は,乾
燥 地 灌 漑 農 業 にお け る土 壌 と水 の適 切 な管 理 法確 立 の一助 とす べ く,塩
類 の溶解 平衡 論 ・ 交 換 平衡 論 を理 論 的 手 法 と して 用 い,灌
漑 に伴 う土 壌 中の 塩 類 動態 と塩 類化 ・ アル カ リ化 の機 構 を明 らか に し,土
壌 劣化 防止 の た め の有 用 な知 見 を得 る ことで ある。 そ の た め本 研 究 で は,は
じめ に灌 漑 農 業 が 営 まれ て い る乾 燥 地 の調 査 を行 い,そ
れ6
らの土 壌 の特 徴 を明 らか に し
,灌
漑 によ る土 壌 中の塩 類 動態 の実態 を比較 ・検 討 を し た 。そ して,塩
類 集積 量 と組 成 の差 異 が土 壌 中の塩 類 動態 に及 ぼす影 響 を検 討す るた め,土
壌 水 分 条件 の違 い によ る土 壌 溶液 組 成 の変 化 を明確 に した 。 さ らに,土
壌 の性 質 によ る土 壌 の塩 類化 過程 お よび アル カ リ化 過程 を土 壌 固相/溶液相 間 の化 学平衡 を考 慮 して論 じた。そ の上で,灌
漑農地 にお ける適切な土壌・水管理 の あ り方 を提言 した。 具体 的 な本 論文 の構成 は以下 の通 りで ある. 第2章の『乾燥地域 にお ける灌漑農地 の土壌環 境』で は,乾
燥 地 域 にお け る灌漑農地 の土 壌環 境 の実 態 につ いて取 り上 げた。水環 境 にお いて極 めて対称 的 な二 つ の地域, メキ シヨ・ カ リフ ォル ニ ア半 島 中央 部 とカザ フス タ ン・ シル ダ リア川下 流 域 にお け る 調査事 例 を元 に,灌
漑 によ る塩 類動態お よび土 壌塩類化 の実態 につ いて述べ た. 第3章の『乾 燥地土 壌 中の塩類 の溶解特性』で は,乾
燥地土 壌 の塩 類集積 量 と組 成 の 差 異 が土 壌 中で の塩 類 動 態 に及 ぼす 影 響 を検 討す るた め,土
壌 水 分 条 件 によ る土 壌溶 液 中の塩類組成 の変化 を明確 に した。す なわ ち,塩
類 の水 に対す る溶解 特性 に着 目 し, 集 積塩 類 の量 と組 成 の異 な る土 壌 に対 す る水添 加 量 の差 異 によ る土 壌溶 液 中 の塩 類 組 成変化 を,土
壌 の性質 と関連 させ て解 析 した。 第4章の『乾 燥 地土 壌 中 にお け るナ トリウムーカル シ ウム交 換 ・溶解 平衡 』 で は,土
壌塩類化 ・ アル カ リ化 過程 にお け る土壌 固相/溶液相 間の相互作用 が塩 類 動態 に及 ぼす 影 響 を考 慮 して 論 じる こ とを 目的 と して,二
種 類 の粘 土 鉱 物 (モンモ リロナ イ ト,イ
ライ ト)を
用 いて,ESR一
SAR関
係 式 の確 立 を試 み る と同時 に,乾
燥地土 壌 の陽イ オ ン 交換特性 につ いて検 討 した。 第5章 の『総合考察 』で は,各
章で得 られた結果 を取 りま とめて,塩
類 の溶解 平衡 論 。 交換 平衡 論 を理 論 的手 法 によ り,塩
類 動態 の要 因 を考 察 し,灌
漑農 地 にお け る適 切 な 土壌 ・水管理 のあ り方 を提言 した.7
第
2章
乾燥地域 の灌漑農地 の上壊環境 2.1.は じめ に 乾燥地 で灌漑農業 に取 り組 んで いる地域 は広 く,気
象,水
文,土
壌,地
形 な どの 自 然条件,作
物栽 培技術,農
業経 済状況,労
働 力,工
業技術 力な どの営農 条件 お よび社 会 条件 な どによ って土壌管 理,水
管理 も異 な って いる。一方,
これ らの地域 の灌漑農 業 には普遍 的な側面 もあ り,い
ずれ の地域 も絶 えず 水資源 の確保お よび作物 生産 の維 持 とい う大 きな 問題 に直面 して いる。 したが って,乾
燥 地 で農業 生産 を向上維 持 させ る方法 を長期 的視 野 に立 って確立す るため,そ
の対策や評価 につ いて は,地
域 を超 え た比較 ・検 討が必要 で ある。そ のため に も,灌
漑農 業が行 われて いる現地 で の水 ・塩 類 の動態 を十 分 に把握 した上 で,
これ を適切 に管理す る ことが必要 とな って くる. そ こで,本
研 究 で は メキ シヨ 。カ リフォル ニ ア半 島 中央部 とカザ フス タ ン・シル ダ リア川下流域 の二つ の地域 で現地調査 を行 った。 これ らの地域 は ともに年降水量が100mm前
後 の乾燥地域 で あ るが,水
資源 の面 で大 き く異な って いる。両地域 の水 資源 の基本 的な違 いは量的な相違 で ある。メキ シヨ・カ リフォルニ ア半島で は大 きな河川 がな く全 て地下水 を利用 して いるの に対 して,カ
ザ フス タ ン・ シル ダ リア川 下流域 で は大 量 の河 川水 を取水 して灌 漑農業 を営んで いる。各地域 とも,
これ らの水 をいか に 有効 に利用す るかが重要 な課題 とな って い る。 本 章で は,水
環 境 の極 めて対称 的 な これ ら二つ の地域 にお いて土 壌調査 を行 い,そ
れ らの土壌 の特徴 を明 らか に し,土
壌塩 類化 ・ アルカ リ化等 の土 壌劣化 の実態,灌
漑 によ る塩類動態等 の比較 ・検 討 を行 った。 2.2.メキ シコ 。カ リフ ォルニ ア半島 中央部 の灌漑農地 の上壌環境 2.2.1.背景国連環境 計画 によれ ば
(Nick and David,1997),メ
キ シヨ合衆 国 (以下 メキ シ ヨ と称す)の
乾 燥 地 は国土 の46.8%を
占めて お り,北
部 の砂 漠 地 域 と中央 部 お よびユ カ タ ン半 島 の砂 漠化 地 域 に三 分 され る。 た だ し,面
積 的 には北 部砂 漠 地 域 の ソ ノ ラ・ チ ワ ワ両砂 漠 が大 半 で あ り,国
上 の41,4%を
占め る.メ
キ シヨ北部 に広 が る ソ ノ ラ砂 漠,チ
ワワ砂漠 は亜熱帯砂 漠で ある。 メキ シヨ政府 は,1991年
にエ ヒー ド制度 (共同体 土地 利 用 制度)を
根本 的 に見 直す 憲 法改正 を断行 した (藤井,1992).そ
こで,国
土 の ほ ぼ半分 を 占め る乾燥 地 の農 業8
開発 は非常 に重要 な課題 とな って いる。 メキ シヨの乾燥地 の農 地 は
508万
haで
,メ
キ シ ヨ全農 地 の18.7%を
占め,そ
の うち灌漑 農 地 は ±98万
haで
,メ
キ シ ヨの全灌 漑農 地 の34%を
占めて いる(CONAZA,1993)。
す で に,民
間資本 の投入 によ る農 業近代 化 が 進行 しつ つ あ るが,未
だ に正確 な土 地資 源,水
資 源 等 の評価 が行 わ れ な い ま ま農 業 開 発 の規 模 が大 き くな る一 方 で あ る。 これ らの多 くの地 域 で は不 適切 な水管 理 のた め, 土 壌 の塩 類化 ・アル カ リ化 が深 刻 な 問題 にな って いる。そ れ に伴 い,砂
漠化 等 の大規 模 な環境破壊 が生 じる危 険性 が高 くな って きて いる。 本 節 で は,カ
リフォル ニ ア半 島 中央 部 の寡 雨 地 域 に分布 す る海 岸 砂 漠 地 帯 と,そ
の 内陸狽1に位 置 す る砂 漢 地帯 の,土
壌 の断 面 形態 と一般 理化 学 性 お よび土 壌 生 成要 因 に つ いて述 べ る とと もに,こ
の地 域 の灌 漑農 地 にお け る土 壌塩 類化 ・ アル カ リ化 の実態 を明確 に した。 2.2.2.調査地域 の概況 カ リフ ォル ニ ア半 島 は ア メ リカ合 衆 国か らの シェ ラネバ ダ 山脈 の延 長 上 にあ り,西
岸 は太 平 洋,東
岸 は カ リフ ォル ニ ア湾 に面 して い る南 北 に細 くの び た 半 島 で,全
長1,280kmに
も及 ぶ,半
島全体 の ほ とん どが 山岳 と高地 か ら成 り,そ
の大 部分 は砂 漠 で あ る,半
島 の主 要な基盤 岩 は花 南岩 で (ウ ィ リアム ・ ウェーバー ら,1980),半
島 中 央部 は花 向岩 質 の風成第 四紀 系 の堆積物 で覆 われて いる (Universidad National Aut―onoma de
[exico, 1992)。 第2-1図
に調査対 象地域 を示 した。土 壌調査 は,カ
リフ ォル ニ ア半 島 内で も比較 的農 業 の歴 史 が 浅 い地 域 で行 った 。調 査対 象 地 域 は,半
島 の ほ ぼ中央 部 に位 置す る ビスカ イ ノ砂 漠 に分布 す るゲ レロネ グ ロ (北緯28度
,西
経114度
),ビ
スカ イ ノ (北緯27度
55分
,西
経113度
45分
),ヘ
ス スマ リア (北緯28度 30分
,西
経114度
)の
三 地域 で あ る。ゲ レロネ グ ロは太 平 洋 岸 の ラグー ンに面 した砂丘地帯 で,海
岸 砂 漢 が形 成 されて い る.ビ
スカ イ ノはゲ レロネ グ ロの南東約70kmに
位 置す る。 また,ヘ
ススマ リア はゲ レロネ グ ロの北約40kinに
位 置す る小高 い台地 面 で ある。ヘススマ リアはカ リフォルニ ア半 島 中央 部 の砂 漢 を代 表す る地域 の一 つ で あ り,砂
丘地 帯 よ りもや や 内陸 に位 置す る。 この地域 で は,比
較 的粘 質 な土 壌が分布 して いた, ゲ レロネ グ ロの気 象概 要 を第2-1表
に示 した。 この地域 の年 降水量 は周辺地 域 と比較 す る と少 な く約80mmで
,冬
季 に集 中 して い る。一方,年
蒸発 量 は約1,400mmと
非常 に高 い地域 で あ る。平均 気温 も約19℃ と年 間 を通 じて低 く,冷
涼 海岸 砂 漠 に区分 され て いる。9
︲゛〇 ︲
第
2-1図
土
壌
調
査
地
点
(メキ
ン
コ
・
カ
リ
フ
ォ
ル
ニ
ア
半
島
)︲おい ︲ 1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
平 均 /総 量 ★ 安i元 品 (て,) 16.5 16.0 17.4 17.4 18.2 19.2 20,9 21.5 22.1 20.9 18.5 15.4 18.7
離
∽
8と
07a07207■
0 8aO制
Ю
7aO‐
o7&0兆
ち
'Ьち
古Ь
姑
すま
: 煽 乱 美 祖 (ms1) 2.9 3.5 4.9 5.9 6.26.4 5,8 5.7 4.8 4.1 3.2 3.0 4.7
蒸 景 :!曇(mm) 62.2 80.0 128.4 140.9 146.7 143.0 173.7 148.6 133.3 107.4 77.5 59.0 1400.7★
降 雨 ,ど重
(mm) 24.5 33.5 2.O o,o o.o
O.0 0.o o.o O.0 1.o 9.5 9.5 80★
土 壊 温 度
(Ocm:℃
) 17.1 17.6 22.7 24.1 25.9
26.8 29.7 29.9 29.6 26.0 20.9 16.4 23.9
土 壌 温 度(-10cm:℃
) 17.1 17.5 21.5 24.0 25.8
‐ 芝==口 と ′ ■ 「ぉ͡ 、
´ _…
26.9 29.7 29.9 29.6 26.0 20.7 16.3 23.8
土壊 温 度(-15cm:℃
) 17.1 17.6 21.4 23.8
23.7 ★ 蒸 発 量 と降 雨量 は総 量 で示 し た .2.9 3.5 4.9 5.9
62.2 80.0 128.4 140.9
24.5 33.5 2.O o,o
6.2146.7
0.0 25.925.8
25.5
6.4 143.0 0.0 26.8 26.9 26.6 5,8173.7
0.0 29.7 29.7 29.3 5.7 148.6 0.0 29.9 29.9 29.6 4.8133.3
0.029.6
29.6
29.4
4.1107.4
1.026.0
26.0 26.2 3.2 77.5 9.5 20.9 20.7 21.1 3.0 59.0 9.5 16.4 16.3 16.72.2.3.供試土壊 および分析 方法 2.2.3.1.供試土壌 ゲ レ回ネ グロの農 地 は
,ラ
グー ンか ら約300m離
れ た緩や かな起伏 の あ る砂丘 の丘 陵 地 をブル ドーザ ーで均平 に して二つ造成 された。二つの農地 は管理歴 が異 な ってお り, それぞ れ の農 地 につ いて調査 した,一
つ は1年 間の耕作歴が ある2,Ohaの 農地,も
う一 つ は4年間 の耕 作歴が ある0.6haの農地 で ある。そ れぞ れ点滴灌漑 で管理 されて いる。 2,Ohaの農地 で はカ ラバ シー タ(CucurЫ
tt pttοL,;メ
キ シヨ・米 南 西部産 の野生 の ペポカボチ ャの一種)収
穫後 (Gl)イこ,0,6haの
農地 で はメロンを栽 培 して いる株 間(G2)で
土 壌調査 した。 また,農
地 内で作土 層 の メ ッシュサ ンプ リング (30×15m)
を52地点行 った。 また,灌
漑 の影 響 を受 けて いな い 自然土壌 と して,農
地 とラグー ン の ほぼ中間地 点(G3)と
農 地近傍 の丘 陵地(G4)を
土 壌調査 した。G3は
ラグー ンか ら約150m離
れた低地 で,G4は
G3よ
りさ らに約250m離
れてお り,低
地 よ り約4m高
い 丘 陵地 で土 壌調査 を した。 ビス カイ ノで は,畝
問灌 漑 で10年
以上管 理 歴 が あ る トウモ ロヨ シ耕 作 地 で,収
穫 直 後 に土 壌調査 した. ヘ スス マ リアで は,畝
間灌 漑 で11年間 の管 理歴 が あ るカ ラバ シー タ耕 作 地 で,収
穫 直 後 (」1)に
土 壌 調 査 した,灌
漑 の影 響 を受 けて い な い 自然 土 壌 と して,農
地 近 傍(J2)を
土壌調査 した。 そ れぞ れ の土壊 断面調査 を行 い,試
料 を採取 し,分
析 に供 した。 調査土壌 断面形態 を第2-2図
に示 した.2.2.3,2,分
析方法2mm以
下 の風乾細土 につ いて,以
下 の方 法 によ り分 析 を行 った。粒 径組成 は前処理 と して1.Omolc L l酢
酸 ナ トリウム緩衝液(pH5,0)で
塩類 を除去 後 (浅見,1971),
分 散 処 理 を行 い,常
法 に従 って ピペ ッ ト分 析 した (土壌 標 準 分 析 ・測 定 法 委 員 会,1986),交
換性塩基 は0.2molcビ
1塩
化バ リウムートリエ タ ノール ア ミン(pH8.1)で
抽 出 され た カル シ ウム,マ
グネ シ ウム,カ
リウム お よび ナ トリウム イ オ ンを測定 した (」ackson,1958).陽
イ オ ン交換容量(CEC)は
土 壌 中の水溶性塩類 を水 で除去後 ,0,4molc Ll
酢 酸 ナ トリウムー0.lmolc L・
塩化 ナ トリウムー60%エ
タ ノール混液(pH8,2)で
交換基 を飽和 させ,交
換基 に吸着 され たナ トリウムイ オ ンを1.Omolc Ll
硝酸 マ グネ シウム溶液(pH7.0)で
抽 出 した(Mario and fuloades,1977)。
全炭 酸 カル シウム量 (″ΓNV)は
0.lmOlcビ
1塩
酸 を土 壌 に加 え
,加
熱後,過
剰 の端酸 量 を消定-12-ゲ
レ
ロ
ネ
グ
ロ
(砂質
農
地
)ビ
ス
カ
イ
ノ
(砂質
農
地
)ヘ
ス
ス
マ
リ
ア
(粘質
農
地
) ︲おω ︲ 地 下 水 (塩 水 )赤
褐
色
層
粘
土
含
量
(%): o∼
lF :ill´
│・25年
45Ⅱ
第2-2図
調 査 土 壊 断 面法 で 求 め
,中
和 に 要 した 塩 酸 量 を 全 炭 酸 カ ル シ ウ ム 量 と し,百
分 率 で 表 示 した(Black,1965)。
pHは
水 お よびlmolcビ
1塩
化 カ リウムの1:2.5懸
濁液 につ いてガ ラス電極 によ り測 定 した。水 溶性塩類 の評価 と して,土
壌飽和 抽 出法お よび土:液
比=1:5法
で行 った。土 壌 飽 和 抽 出液 は,土
壌 に水 を少 しず つ添 加 して土 壌ペ ー ス トを調 整 した,一
夜 静置 後,土
壌 溶 液 採 取 用 の遠 心 分 離 管 に入 れ,遠
心 分 離 し,土
壌飽 和抽 出液 を採 敗 した,靴
燥 地 土 壌 の土 壌 溶液 組 成 を把 握す る場 合,上
述 の よ うに土壌 飽和 抽 出法が推奨 されて いる(US Salinity政
おoratory Staff,1954)が
,土
壌 中に存在して いる可溶 性塩類 の存 在 形態 を確認す るため に
,土
:液
比=1:5に
お いて も行 った, す なわ ち,土
壌1に対 し水 を5の 割 合 で加 え,1時
間浸透後 に濾過 した 。分離 したそ れぞ れ の濾 液 のカ ル シウム,マ
グネ シウム,カ
リウム お よび ナ トリウム イ オ ン濃 度 は原子 吸光光 度 法 で,硫
酸,硝
酸 お よび塩化物 イオ ン濃度 はイ オ ンク ロマ トグ ラフィー法 で, 重炭酸 イ オ ン濃度 は微 量拡散 法 (三宅 ら,1991)で
測 定 した。 また,pHは
ガ ラス電 極 法,電
気伝 導 度(EC)は
電 気伝 導 率 計 によ り測 定 した 。結 晶性 粘 土 鉱 物 組 成 は,2μ
m以
下 の粘土 画分 を分離採取 し,Mehra and」
acksonの
方 法(1960)で
脱鉄処 理 した のちマ グネ シ ウム飽和粘土,カ
リウム飽和粘土 を調 整 し,定
方位 試料 を用 いX線
回折 を 行 い,同
定 した. 2.2.4.結果 および考察 2.2.4.1.灌漑水の特徴 調査 地域 では,山
岳地帯 に降 った雨が浸透 した地下水 を灌 漑水 と して利用 して い る。 調査 地 点 の灌 漑 水 の水 質 を黄 河 (中華 人 民共和 国 ・寧夏 回族 自治 区 中衛 県 沙岐 頭) と千代川 (鳥取市)の
河川水 と比較 して,第
2-2表
に示 した。ゲ レロネ グロの灌漑水 は, 数十km南
の地 点 の井戸 か らパ イ プ ライ ンで運 んで いる。米 国農務省 の灌漑水 の水質評 価基準 による と(US Salinity&お
oratory Staff,1954),黄
河 流域 の灌 漑水 で はC2-Sl(塩
性 害 中 ・アル カ リ害 弱)に
分類 され る (本名 ら,1996)の
に対 し,ゲ
レロ ネ グ ロの灌 漑水 はC3-Sl(塩
性 害強 ・ アル カ リ害 弱)に
分類 され た 。EC値
お よび ナ ト リウム 吸着 比(SAR)は
,中
国 の黄 河 流域 の灌 漑 水 と比較 して も高 く,良
質 とは言 え な い。 しか し,半
島内の ほ とん どの地域 で は,EC値
で4dS ml以
上 の塩 分濃度 の高 い 灌 漑水 を利用 して いるよ うで あ る。 また,重
炭 酸 イ オ ン濃 度 が 高 く,そ
の影 響 につ い て は 「問題 が増大 しつつ あ る」 と区分 された(FAO,1986).計
画 で は2mm dlの
灌 水 を行 うことにな って いるが,実
際 はそ れ以上 に灌 水 して いるよ うで あった. ビス カイ ノお よび ヘ ス スマ リア の灌漑水 につ いて は,詳
細 な成分 測 定 は 出来 な か っ-14-︲お切 ︲ 箕 2-7寿 メ ■ ラ ¬ BhHラ +!:´ -7半 由 ∴ rh ttPハ 常 ェ ″ J´ ͡ J^熊 ― ― ―一 ‐
=デ
ー 三 生 ≧ 生 生 生 三 生 工 旦 工 杢 型 υノ 虐 嵐 小 り 小R
… ― ― ― 一 ヽイ
=
デ ー ≦ 坐 フ ア コ フ レ ツ T ttrTフ ヽ口 JaVノ J圭 J‖ 専 み 刺 \Vリ ツ ト 浮 寺採
取
士 也
pH EC
Cations and Anions (rYlmOiC L1) SAR
し
ations and Anfons(mmoic Lり
SAR
(dS m1) Na+
(dS rnりNa+百
__K+ Mg2+ c92主
Hcc)3 Nc)3 CII
こ
6'透と
う
°
レ
ロ
身
(`ダロ
7.97 1.21 6.45 0.16 2.41 1.87 2.43 0.Oo 7.23 0.48 4.41
ビ
ス
カ
イ
ノ
8.30
2.40
0.80 15.00 2.70
黄
河
(沙波
頭
) 3.74
0.38
1.94 0.43 0.84
0.84 2.64
0.91 0.61
2.00
千
代
川
(鳥取
) 6.18
0.06
0.10 0.01
0.11
0.11
0.31 0.o7
0.32
たが
,EC値
でみると
,そ
れぞれ
2.4dS m〒1,4dS mlの
灌漑水を利用 していた。両地域
では
,一
週間に一度
10mm程
度の畝間灌漑を行 っている。 しか し
,生
育状況 によって
灌水量を増減させている。ビスカイノでは灌漑水中の窒素濃度で
10mg
ビ
1以上の値を
示 し
,地
下水の硝酸態窒素汚染が進行 していた。
2.2.4.2.自然土壊の特徴
写真2-1∼ 写真2-3に 土壊断面写真
,第
2-3表 に土壌断面形態 を示 した。
2.2.4.2.1.ゲレロネグロ
2.2.4.2.1,1.ラグーン近 くの低地
(G3)ラグーン近 くの低地で土壌調査をした
,ラ
グーンの入 り江は広大な海成縄地帯 となっ
てお り
,ヨ
シ等が群生 していた。陸に入るとアカザ科ハマアカザ属チャミソ 彼 は
riplex c河ユ
hmFca)が
自生 してお り
,調
査地点では無数に散在 していた。
土壌 断面 形態:土
壌 断面 は数 層 の砂 の地積 物 で構 成 されてお り,土
壌 と して の発達 程 度 は 未 熟 で あ っ た 。 砂 の 堆 積 物 は,浅
黄 色 層 (0∼58cm),赤
褐 色 層(58∼
100cm),灰
黄 色層(100cm∼
)の
三 つ の層 に大 き く分 け られ た。表 層 は非常 に乾燥 してお り,チ
ャ ミソの細 根 が多 く確 認 され たが,有
機 物 の集積 は ほ とん ど認 め られ な か った 。浅黄 色 層,赤
褐 色 層 には小 さな亜 円礫 と貝 殻 の小片 が含 まれ て いた 。赤 褐 色 層 は他 の層 よ り,比
較 的緻 密 な層 にな って いた。灰 黄 色 層 には炭 酸 カル シウム の 白色 沈積 物 が斑点 状 に認 め られ た。下 層 ほ ど土 壌 の湿 り気 が増 し,地
下水 位 が高 い こ とが うかが え られ た. 物理 的性 質:全
層 にわ た り細 砂 を主体 (75∼90%)と
した土 性 で あ った。微砂,粘
土画分 は極 めて少ない(1%未
満)が
,赤
褐色層 にはやや多 く (3∼5%)含
まれて いた。 下層 ほ ど水分含量 が増加す る傾 向が顕著 に認 め られ た。 化 学 的性 質 :調査 断面 内のpHは
全層 にわ た り7.6∼ 8.6で,特
に上 層 で高 い値 を示 し た。下 層 の灰 黄 色層 は,他
の層 に比較 してTlれたが 非常 に高 く,多
量 の炭 酸 カル シウム の存在 が うか が え られ た 。 また,赤
褐 色 層 お よび灰 黄 色層 には多 量 の硫 酸 カ ル シ ウム の存在 が うか が え られ た。地 下 水面 が高 い位 置 にある事 に起 因 し,下
層 ほ ど水分含 量 が 増 加 し,そ
れ に伴 い,ナ
トリウム イ オ ン,塩
化 物 イ オ ンが 多 量 に含 まれ て いた 。CECは
全層 にわ た り低 く,土
壌 の吸着能 は小 さか った。腐植 が 少 な いた め,土
壌 の 吸 着 能 は,粘
土 表 面 の陽イ オ ン交 換基 に起 因す る もの と考 え られ た 。 しか し,塩
基 飽 和度がいずれも
100%を
超えてお り
,塩
類は交換態として土壌固相に吸着されている形態
よりも
,難
溶性の形態で土壌環境中に沈澱 している方がはるかに多かった
.-16-写真2-1・ ゲ レロネグロ ラグーン近 くの低地 (G3) 写真2-3・ ヘススマ リア 自然土壊 (」2) 写真2-2・ ゲ レロネグロ 丘 陵 地
(G4)
17-封 う・ 日 然 主 壊 ) 封 う・ 日 然 主 壊 ) 調 査 地 点
土 深
土 色
構 造
乾 湿 度 硬 度 柄 物 網
詩 酵 恒
日 型 ピ
屁 軍 お よ び層 位
(cm)
湿ψ 「 Eヨ ′空 乾 度 硬 度 植 物 根 炭 酸 塩
貝
殻 片層 界 (mm)
ゲ
レ
ロ
ネ
グ
ロ
・
ラ
グ
ー
ン
近
く
の
低
地
(G3)
(A) o∼
8 2.5Y7/2 2.5Y7/2
C1 8∼
37 2.5Y7/3 2.5Y7/2
Cy2 37∼
58 2.5Y6/3 2.5Y7/2
2Cy3 58∼
74 1 0YR5/4 10YR6/2
2Cy4 74∼
10o l oYR4/6 1 0YR6/3
3Cky4 1oo∼
120+2.5Y6/3 2.5Y7/1.5
ゲ レ ロネ グ ロ ・丘 陵 地(G4)
(A)Cl
2C2
3Cy3
4Cy4
ヘ ス ス マ リ ア (」 2) 単 粒 状 単 粒 状 単 粒 状 単 粒 状 単 粒 状 単 粒 状 単 粒 状 単 粒 状 単 粒 状 単 粒 状 単 粒 状 団 粒.強
度 亜 角 塊 状 強度 亜 角 塊 状 中 度 亜 角 塊 状 弱 ∼ 中 度亜 角塊 状 壁 状 壁 状 壁 状0
細 富8
細 富4
細 富9
細 あ り5
細 ま れ14
な し ― 細 富 ― 細 富 ― 細 富 ― 細 含 む ― 細 あ り 強 石 灰 質 強 石 灰 質 強 石 灰 質 極 強 石 灰 質 極 強 石 灰 質 極 強 石 灰 質 強 石 灰 質 強 石 灰 質 強 石 灰 質 極 強 石 灰 質 極 強 石 灰 質 弱 石 灰 質 弱 石 灰 質 中 石 灰 質 中 石 灰 質 弱 石 灰 質 中 石 灰 質 中 石 灰 質 平 坦 明 瞭 平 坦 明 瞭 波 状 判 然 波 状 判 然 波 状 画 然 平 坦 漸 変 波 状 明 瞭 波 状 画然 平 坦 明 瞭 平 坦 明 瞭 平 坦 明 瞭 平 坦 漸 変 平 坦 漸 変 平 坦 判 然 平 坦 明瞭2.5Y7/2
2.5Y7/2
2.5Y7/2
2.5Y7/3
7.5YR5/6
1 0YR5/3
1 0YR5/3
1 0YR5/3
1 0YR5/3
1 0YR5/3
1 0YR5/3
1 0YR5/3
乾乾乾棉濶赳増辿 乾乾乾乾乾 細 富 細 富 細 含 細 含 細 含 細 あ り 細 あ り /1ヽ ナ十 十
+
/1ヽ '十+
/1ヽ サ十++
/1ヽ 'キ+
/1ヽ 片 + な し /1ヽ片
十
++
/1` 'キ十
++
/1ヽナ十
+++
/1ヽ 'キ+++
71ヽ片
+
な
し
な
し
な
し
な
し
な
し
な
し
な
し
︲い∞ ︲0∼
30 2.5Y7/2
30∼
60 2.5Y7/3
60∼
65 2.5Y7/3
65∼
85 2.5Y6/3
85へ
´10o+ 7.5YR5/6
A
Bwl
Bw2
BC
Cl
C2
C3
0へ ´10
10∼
21
21∼
30
30へ
,41
41へ
′55
55へ
, 82
82へ
,10o+
1 0YR5/3
10YR5/3
1 0YR5/3
1 0YR5/3
10YR5/3
1 0YR5/3
1 0YR5/3
乾 乾 乾 乾 乾 乾 乾
2.2.4.2.1.2.丘陵地
(G4)
低地か らさ らに陸 に入 り
,ラ
グー ンか ら約400m離
れて いる丘 陵地で土 壌調査 を した。 植 生 と して,チ
ャミソ 欲 しriplcx caFFんmFca)の
他 に ビッ ドリー ジ ョ いそsemb23/aFa山
eFalum
αys回
加mm)な
どの耐塩性植物が多 く自生 して いた。調査地点 は,ラ
グー ン近 くの低地 よ り約4m高
い地点であった, 土 壌 断面 形態:土
壌 断面 は数 層 の砂 の雄積 物 で構 成 され てお り,土
壌 の発 達程 度 は 未 熟 で,土
壌 有 機物 に乏 しか った 。低 地 に比較 して高 い地 点 に位 置 して い るた め,全
層 にわ た り土 壌が乾 燥 して お り,地
下水位 が 低 い位 置 にあ る こ とが うか が え られ た。85cmま
で の深 さは浅黄 色 を呈 し,ビ
ッ ドリー ジ ョの細 根 が多 く確認 され,小
さな亜 円 礫 と貝 殻 の小片 が含 まれ て いた。 また,85cmか
ら下層 には,や
や緻 密 な赤褐 色 層 が現 れ,細
根 がわずか に確認 され た。 物理 的性質:全
層 にわた り乾燥 してお り,細
砂 を主体 (80∼90%)と
した土性 で あっ た。微 砂,粘
土画分 は極 めて少 な い(1%未
満)が
,下
層 の赤褐 色層 には微 砂,粘
土 画 分がやや多 く (3∼5%)含
まれて いた。 化 学 的性 質:調
査 断面 内 のpHは
全層 にわ た り8以上 を示 し,上
層 ほ ど高 い傾 向 を示 した。下 層 の赤褐 色層 には硫酸 カル シウムが多 量 に沈積 されて いた事 が うかが え られ たが,TNVは
全 層 にわ た り低 く,炭
酸 カル シウム の過剰 な存 在 は認 め られ なか った 。 また,CECは
全 層 にわ た り低 か ったが,赤
褐 色 層 は比較 的高 い値 で あ った 。腐 植 が 少 な く,土
壌 の吸着 能 は粘 土 表 面 の陽 イ オ ン交 換基 に起 因す る もの と推察 され た。塩基 飽 和度 が いず れ も100%を
超 えてお り,塩
類 は交換態 と して土 壌 固相 に吸着 されて いる 形態 よ りも,難
溶性 の形態 で土壌環境 中 に沈澱 して い る方 が はるか に多 か った 。 2,2.4.2.2.ヘ ススマ リア (」2) この地域 に生育す る植 生 と して,マ
メ科 ネム リグサ属 の メスキーテ(PrOwtts
sp.)な
どの塩 性低灌木や ビッ ドリー ジ ョ(Aresembrttnhemum ttstaL駒
9 ura2)などの耐塩 性植 物が 散在 して いた。
`
土壌断面形態
:土壌断面は非常に均質で細粒な堆積物で構成され
,礫
は確認されな
かった
.ま
た
,全
層にわた り非常に乾燥 してお り
,土
壌が緻密で硬 く締まっていた。
表層にはわずかに腐植が集積 し
,暗
色を呈 していた
,断
面内全体 に耐塩性植物の細根
が若千含 まれていた。表層か ら約
40cmま
で
,土
壌構造
(亜角塊状
,角
塊状
)の
発達が
認め られた
,そ
れより下層では
,土
層全体が緊密に凝集 してお り
,一
定の構造は認め
られず壁状構造であった
.-19-物理 的性質
:約
80cmま
で砂20∼40%,微
砂30∼
50%,粘
±30∼
50%で
構 成 され る 軽埴土,埴
壌土(LiC,CL)で ,そ
れ よ り下層 は,約 70%の
細砂 で構成 され る粗粒 な 土性(SL)で
あった。 また全層 にわた り水分含 量が低 く,土
壌が乾燥 して いた。 化 学的性 質:全
層 にわ た り水溶性塩 類 は少なか つたが,塩
基 は交換態 と して多量 に 土壌 に吸着 されて いた。有機物 がわず かで あ り,土
壌 の吸着能 は粘土表 面 の陽イ オ ン 交換基 に起 因す る もので あった。CECは
粘土含 量 をほぼ反映 してお り,粘
土 質 で構成 されて いた約80cmま
で は20∼30cmolc kg l,細
砂 で構 成 されて いた下層 は約13cmolc
lcg 1であった。塩基麓和度 は約100%で ,交
換性 カル シウムが50%以
上 を 占めて いた。 割鴎′は全層 にわた り低 く,炭
酸 カル シウム の過剰 な存在 は認 め られ なか った. 2.2.4.3.灌漑土壊 の特徴 写真24∼
写 真2-7に
土壌 断面写真,第
2-4表
に土 壌断面形態 を示 した。 2.2.4,3.1.ゲ レロネグ ロ 2.2.4.3.1.1.1年間の灌漑歴 の耕 作地(Gl)
2.Ohaの
農地 で,点
滴灌 漑 で 1年 間 の耕 作歴 が あ る。カ ラバ シー タ(CALABAZILLA
…Cucur所
勉 pttοL.;メ
キ シヨ 。米南 西部産 の野 生 のペポカポチ ャの一種)収
穫後, 2ヶ 月経過 した後 に調査 した, 土 壌 断面 形態:土
壌 断面 は数 層 の砂 の堆 積 物 で構 成 され てお り,土
壌 と して の発 達 程度 は未熟 で あった.表
層 は浅黄色層 を呈 して いたが,作
土 層直下 (10∼48cm)に
非 常 に緻 密 な赤褐 色層,そ
れ よ り下 層 に灰 黄 色 を呈す る層 が存 在 して いた 。 この こ とか ら,調
査 地 点 は造 成 され る際 に,も
とも との表 層 が切 り取 られ た地 点 で あ る と推察 さ れ た.灰
黄 色 層 には炭 酸 カル シウム に起 因す る と思 われ る 白色沈 積 物 が 斑点 状 に認 められた。全層にわた り小さな円礫 と細根がわずかに確認された。また
,48cmよ
り下層
に若干の湿 り気が感 じられた。
物理的性質 :全 層 にわた り細砂 を主体 (80∼
90%)と
した土性で あった。10∼
48cmの
赤褐 色層 には微砂,粘
土 画分 がやや多 く (3∼5%)含
まれて いた。 化 学 的性 質:10∼
48cmの
pHは
8.0∼8.8と 非常 に高 くな って いたが,48cmよ
り下層では
7.8と低かった。また
,10∼
32cmま
での赤褐色層には多量の塩類の集積は認め ら
れず
,ECeで
約0.8dS m lで あったが
,32cmよ
り下層では3dS m 1と 非常に高 くなって
お り
,多
量の塩類が含 まれていた。集積塩類の主体は硫酸カルシウム
,炭
酸カルシウ
ム
,重
炭酸カルシウム等であった。また
,48cmよ
り下層の灰黄色層では■
1鴻/が非常に
高いことか ら
,多
量の炭酸カルシウムの存在がうかがえられた
,-20-命t‖∫息 IP(, NI(IPィ)`ク) ドIIめ(,Nク
イ引
日
Ц
日
P
牌
旧
写真24・
ゲ レロネグロ 1年間灌漑歴の耕作地 (Gl) 写真25・
ゲ レ回ネグロ 4年 間灌漑歴の耕作地 (G2)芦
:i
伴 常 ′・ ´ ′ ′ ″ り ′ h ﹂ r ︲i'f!イ
│■
●
li
写真2-6。 ビスカイノ 10年間以上灌漑歴の耕作地ヽ
│ 写真27。
ヘ ス スマ リア ヽ ‘ ヽぃ ︱ ︲ 山 ヽ ︲ ︱ 1 l J / -21-11年間灌漑歴の耕作地 (」2)調 査 地 点 土 深 (cm) お よ び 層 位
峯
全
上
圭
_調
査
土
壊
形 態 (メ キ シ コ カ リ フ ォ ル ニ 半 島 中央 部 ・濯 漑 土 色 構 造 乾 湿 度 植 物 根 炭酸 塩 員殻 片 層 界 湿 硬 度 (mm) 乾 ゲ レ ロネ グ ロ ・1年 間 の濯 漑 歴 の耕 作 地 (Gl) ︲NN︲Ap O∼
10 2.5Y7/3
2Cl 10∼
32 7.5YR5/62C2 32∼
48 1oYR5/6
3Cky3 48∼
65 2.5Y6/3
3Cky4 65∼
1lo+ 2.5Y7/2
ゲ レ ロネ グ ロ ・4年 間 の 濯 漑 歴 の 耕 作 地 (G2) Ap Oヘ タ12 2.5Y7/3
2Cl 12∼
55 1 oYR5/62C2 55∼
93 1oYR5/6
3Cy3 93∼
1lo+ l oYR5/4
ビ ス カ イ ノ ・ 10年 以 上 の 灌 漑 歴 の耕 作 地2.5Y7/3
7.5YR5/6 1 0YR6/42.5Y7/1.5
5Y8/1
2.5Y7/3
1 0YR6/310YR6/3
1 0YR6/2単 粒 状 単 粒 状 単粒 状 単 粒 状 単 粒 状 単 粒 状 単 粒 状 単 粒 状 単 粒 状 単 粒 状 単 粒 状 単 粒 状 単 粒 状 単粒 状 中 度 亜 角 塊 状 中 ∼弱 度 亜 角塊 状 中 度 角塊 状 弱 度 角 塊 状 壁 状
0
細 あ り16
細 あ り16
細 あ り11
細 あ り14
細 ま れ0
細 含12
細 合,中
あ り11
細 まれ,中
ま れ5
な し ― 細 富,小
合 ― 細 含,小
あ り ― 細 あ り ― 細 ま れ ― な し 強石 灰 質 強 石 灰 質 強石 灰 質 極 強 石 灰 質 極 強石 灰 質 強 石 灰 質 強 石 灰 質 強 石 灰 質 強石 灰 質 乾 乾 乾 半 湿 ∼湿 半 湿 ∼ 湿 乾 半 湿 半 湿 半 湿 乾 乾 乾 乾 乾 乾 乾 乾 半 湿 半 湿 /1ヽ サ十 +十 /」 ヽ 片 + な し な し な し /1ヽ 片 ++十 /1ヽ 片 + な し な し な し な し な し な し な し 平 坦 画 然 平 坦 明 瞭 波 状 明 瞭 波 状 明 瞭 平 坦 漸 変 平 坦 漸 変 平 坦 明 瞭 平 坦 明 瞭 平 坦 明 瞭 波 状 画 然 平 坦 明 瞭 平 坦 漸 変 平 坦 漸 変 平 坦 明 瞭 平 坦 明 瞭 平 坦 明 瞭Ap
CllC12
C2 2CS Apz]Apz2
Apz3
Apz4
Czl Cz20∼
24 2.5Y5/2 2.5Y5.5/2
24∼45 2.5Y6/2 2.5Y6/2
45∼63/70 2.5Y6/2 2.5Y6/2
63/70∼77 2.5Y6.5/2 2.5Y6.5/2
77へ ´120+ 2.5Y6.5/1 2.5Y6.5/1
0へ ″lo 10YR4/2 1oYR5/3
10へ ´15
丁 oYR4/2 1 oYR5/3 15∼ 28 1oYR4/2 1 oYR5/3 28∼ 45 1 oYR5/3 1oYR5/3 45∼ 68 1 oYR5/3 1 oYR5/3 一 一 一 一 一 ヘ ス ス マ リ ア ・ 11年 間 の濯 漑 歴 の 耕 作 地 (」 1) 10 1520
2220
21 細 富 細 富,小
含 細合,小
あ り 細 合,小
あ り 細 あ り,小
あ り 中 石 灰 質 中 石 灰 質 中 石 灰 質 中 石 灰 質 中石 灰 質 な し な し な し な し な し な し 68∼1lo+ l oYR5/3
1 0YR5/3 状 細 あ り,小
あ り 中 石 灰 質2.2.4.3.1.2,4年 間の灌漑歴 の耕 作地 (G2)
0,6haの
農 地 で,点
滴 灌 漑 によ る4年間 の耕 作歴 が あ る。栽 培 中の メ ロンの株 間で土 壌調査 した。 土 壊 断面 形態 :土壌 断面 は砂 の堆積物 で構 成 されてお り,土
壌 と して の発 達程 度 は 未熟 で あ った。上層 は浅黄色 層 を呈 して いたが,55cmよ
り下層 は非常 に緻 密 な赤褐色 層 が存 在 して いた。表 層 には小 さな貝殻 が多 く確 認 され た。浅黄 色層 には小 さな亜 円 礫 と細根 がわず か に確 認 された。 また,12cmよ
り下層 に若干 の湿 り気 が感 じ られ た 。 物 理 的性 質:全
層 にわ た り細砂 を主体 (80∼90%)と
した土 性 で あ った.微
砂,粘
土画分 は極 めて少な いが,55∼
110cmの
赤褐 色層 には微砂,粘
土画分 がやや 多 く (3∼5%)含
まれて いた. 化 学 的性質 :調査 断面 内 のpHは
8.2∼ 9,0で 全 層 にわた って非常 に高か った。 また , 全層 にわた り塩 類 の集積 はあま りみ られず,ECe値
はldS ml前
後 で あった.こ
の こと か らも,塩
類 が土 層 内 に集 積 され る傾 向 は認 め られ なか った.ま
た,TNVは
全層 にわ た り低 く,炭
酸 カル シウム の過剰 な存在 は認 め られ なか った。 2.2.4,3.2.ビ ス カイ ノー10年以上 の灌漑歴 の耕作地― 畝 間灌漑 で10年以上管理歴 が ある トウモ ロコシ耕作地 で,収
穫 直後 に調査 した。 土 壌 断面 形態:土
壌 断面 は全 層 にわ た り,非
常 に緻 密で硬 く締 ま って いた 。 また層 位 の分化 が 明瞭 に認 め られず,土
壌 断面 全体 と して の発 達程度 は未熟で あった。28cnl
まで土 壌 が乾 燥 して いたが,そ
れ よ り下 層 は若干 湿 り気 を感 じた.作
土 層 に は土 壌 構 造 (亜角 塊 状 ・角塊 状)が
発 達 して お り,そ
れ よ り下 層 は土 層 全体 が緊 密 に凝集 して お り,一
定 の構造 は認め られ なか った。 また,15cmま
で は若子 の有機 物 の集積 が認 め られ た 。貝 殻 片 は認 め られず海岸付 近 で生成 され たゲ レロネ グ ロ とは異 な る堆積 様式 を して いる と推察 された。 物 理 的性 質:全
層 にわ た り砂 質 な土 性 で あ ったが,ゲ
レロネ グ ロと比較 し,粘
土 ・ 微 砂 画 分 が若千 多 く含 まれ て いた.ま
た,細
砂 画 分 と粗 砂 画 分 が ほ ぼ 同量づ つ含 まれ て いた。 化 学 的性質 :調査 断面 内 のpHは
8,0∼ 8,3で 全層 にわた って高か った,ま
た,表
層 のECe値
が4dS m 1を
超 え,集
積塩類 の主体 は塩化 ナ トリウムお よび重炭 酸 ナ トリウム等 のナ トリウム塩 で あ った,TNVは
全層 にわ た り低 く,炭
酸 カル シウム の過剰 な存 在 は 認 め られ なか った。CECは
粘土含 量 をほぼ反映 して低 く,3.7∼
8.Ocmolc kglで
下層 ほ ど減 少 して いた.塩
基飽和度 が全層 にわ た りほぼ100%で
あった.-23-2.2.4.3.3.ヘ スス マ リア (」