Title
Characterization of CD133^+ hepatocellular carcinoma cells as
cancer stem/progenitor cells( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
末次, 淳
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)甲 第687号
Issue Date
2006-12-20
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/23069
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氏名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与要件 学位論文題目 審 査 委 員 末 次 淳(岐阜県) 博 士(医学) 甲第 687 号 平成18年12月 20 日 学位規則第4条第1項該当
Characterization of CD133+hepatoce[luIar carcinoma cells as cancer
Stem/progenitor cells (主査)教授 森 脇 久 隆 (副査)教授 囲 貞 隆 弘 教授 清 島 満 論文内容の要旨 背景と目的 幹細胞は,自己複製能と多分化能の2つの能力を併せ持つ細胞である。近年再生医学の発展に伴 いさまざまな臓器に幹・前駆細胞が存在するという報告がなされている。一方,癌細胞にも多様性 がみられ,癌組織の中には活発に増殖している細胞とほとんど増殖していない細胞とが混在してお り,癌組織内にも癌幹・前駆細胞が存在するという概念が定着しつつある。腫瘍組織内の癌細胞の 多様性を説明するために2つのモデル(確率モデル,階層モデル)が提唱されている。 従来から考えられていた確率モデルでは,腫瘍産生細胞はある一定の確率によって決められるた めに,癌幹・前駆細胞は存在しない。一方,階層モデルにおいては,腫瘍産生細胞は癌細胞群のう ちの一部の集団であり,この腫瘍産生細胞から生じた他の癌細胞は増殖能を失っている。階層モデ ルにおける腫瘍産生細胞が癌幹細胞に相当していると考えられる。 近年,急性骨髄性白血病や脳腫瘍,乳癌において癌幹細胞と呼べる幹細胞様の細胞が存在すると いう報告がなされている。しかし,消化器癌における癌幹・前駆細胞の報告はわずかである。そこ で今回,肝細胞癌における癌幹・前駆細胞の存在について検討した。 方法 (l)肝癌細胞株Huh-7細胞,HepG2細胞と胎児肝細胞由来のHc細胞の3種類の細胞株を使用し, CD34(未分化な多能性造血幹細胞と造血前駆細胞に発現),CD133(造血幹細胞 血管内皮細胞 ニューロン グリア細胞の幹細胞に発現),CD29(インテグリンβ1鎖),CD44(ヒアルロン酸結 合タンパク),CD177(c-Kit)(StemCellFactorのレセプター)の5種類の表面マーカーをFlow cytometryにて解析した。 (2)Huh-7をCD133陽性細胞と陰性細胞に分離し,96穴プレートに1ウェルに1×103個撒き,in vitroにおいて細胞増殖アッセイを行った。さらにCD133陽性細胞と陰性細胞において,肝細 胞分化マーカーであるalbumin(Alb)mRNA,alfaイetoprotein(AFP)mRNA,glutamine synthetase(GS)mRNA,CytOChromeP450(CYP3A4)mRNAの発現をRT-PCRにて測定した。CD133陽性 細胞を7日間培養し,CD133の発現をFlow cytometryにて解析した。 (3)分離した1×107個のCD133陽性細胞と陰性細胞をinvivoにおいて各々,免疫不全マウス(SCID マウス)の皮下に移植し,CD133陽性細胞と陰性細胞の腫瘍形成能を比較した。さらに形成さ れた腫瘍をコラゲナーゼにて分離し,腫瘍細胞をFlow cytometryにて検討した。
-19-結果 Huh7細胞にはCD133(46.79%)が,Hc細胞にはCD44(87.05%)が発現していた。今回の実験では, Huh7細胞のCD133に注目し検討を行った。細胞増殖アッセイの検討では,培養1,3日目までは CD133陽性細胞と陰性細胞の増殖能に差は認めなかったが,5,7日目においてCD133陽性細胞が 有意に高い増殖能を示した。CD133陽性細胞と陰性細胞の遺伝子発現を検討したところ,Alb mRNA は有意差を認めなかったが,AFP mRNAはCD133陽性細胞で発現が強く,グルタミン合成酵素であ るGSmRNAや薬物代謝を制御しているCYP3A4mRNAは,CD133陰性細胞に強く発現していた。CD133 陽性細胞を培養し,7日後に培養細胞をFlow cytometryにて解析したところ,CD133陽性と陰性 の細胞が共在しており,もとの表現系に類似する細胞集団となっていた。またinvivoによる検討 では,1×107個のCD133陽性細胞と陰性細胞をSCIDマウスの皮下に移植し,移植6週間後の腫瘍 形成を評価すると,CD133陰性細胞移植群に比べ陽性細胞移植群において有意に腫瘍形成が観察さ れた[長径:CD133(+)14.5±5.3cm vs CD133(-)1.0±1.4cm,pく0.001]。CD133陽性細胞移植群 の腫瘍を組織学的に検討すると,腫瘍内に肝癌組織が確認された。さらにCD133陽性細胞群から形 成された腫瘍を取り出し,コラゲナーゼにより細胞分離し再びFlow cytometryにて解析したとこ ろ,in vitroと同様,CD133陽性細胞と陰性細胞の共存が確認された。 考察・結語 本研究は,肝細胞癌の癌幹・前駆細胞に注目した。今回の検討にて,肝癌細胞株Huh7にCD133 が発現することを示し,CD133陽性細胞がCD133陰性細胞に比べ高い増殖能力を持ち,幼弱な肝細 胞分化マーカーを強発現することを確認し,さらに自己複製能と多分化能を有することを証明し た。それにより肝細胞癌においても階層モデルが存在し,CD133陽性細胞が階層モデルの頂点に近 い位置に存在し,癌幹・前駆細胞の性質を有していることが示された。 癌治療においては,いかにして癌全体を退縮させるかは重要である。癌治療後,組織内にもし癌 幹細胞が存在すれば,再び癌組織が形成されることになる。したがって癌組織中の癌幹細胞をター ゲットとした治療は,癌組織全体の退縮の可能性を秘めている。よって一部の癌幹細胞についての 治療を重点的に行うことにより,癌全体が縮小されると考えられる。癌を構成する癌細胞は,均質 なものでなく,階層性を有した不均一な細胞集団であるという認識が重要であり,膨大な患者数を 有する肝癌において,癌幹細胞を同定し,その表現型や細胞生物学的特性を解明することは,癌制 圧に向けた突破口になりうると思われる。本研究により,CD133陽性細胞が肝臓癌治療における 標的分子のひとつになる可能性があると考えられた。 論文審査の結果の要 旨 申請者 末次 淳は,肝癌細胞株において,肝臓癌幹・前駆細胞が存在すること,CD133陽性細 胞がヒエラルキーの上位に位置する細胞集団であることを証明した。本研究の成果は消化器病学, 肝臓病学の研究の進歩に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌] CharacterizationofCD133+hepatocellularcarcinomacellsascancerstem/progenitorcells BiochemicalandBiophysicalResearchCommunications351,820-824(2006).