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博士(工学)竹内啓五 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)竹内啓五 学位論文題名

     ロ バ ス ト 背 景 差 分 に 基 づ く 画像計測法の開発とその空間解析への適用

学位論文内容の要旨

  我々が日々活動する(生活)空間は,さまざまな側面を持っている.これを解析研究す るにあたり,多くの場合観察という検査行為をもって行われる.その中でも人の目による 事象の直接観察は,最も一般的かつ基礎的な手段である.一方,近年の情報技術の発達に は著しいものがある.特にカメラなどの映像情報の利用に基づく画像処理の分野は「機械 の目」として応用の範囲が拡大しつつある.当然ながら,この「機械の目」の技術を前述 の観 察 ・ 検 査 活 動 に 適 用 す る こ と は 画 像処 理の 大きな テー マの ーっ とな って いる .   人や生物などの観測を考えた場合,画像処理は最も適した観測アプローチのひとっとぃ える.それは測定対象に対し非接触・無侵襲であることから,対象の活動を乱さないとぃ う特徴を有しているためである.また,多数の対象を一度に把握できる面的計測であるこ とも有効である.画像処理技術による生物観測の自動化が実現することは,従来工業分野 で語られることの多かった同技術の利用分野が拡大されると共に,生物観測に基づく環境 関連技術の向上にも寄与することになる・

  これらの観測行為に画像処理の適用を考えた場合,観測対象の領域分割・抽出手法が課 題となる.領域分割の主な手法としては,輝度情報に基づくクラスタ分析や,対象の特徴 情報に基づく画像照合,画像特徴量照合がある.移動・運動を伴う対称の場合,画像間差 分やオプチカルフローに基づく領域特定がある.また,参照画像として対象の写りこみの ない背景画像を利用する背景差分法もよく利用される手法である.これらの手法は夫々長 短所を兼ね備えているため,画像処理の適用に当たっては対象の特徴を明らかにし,最適 な処理の設計を行うことが肝要である.

  筆者が携わる建築・環境の分野においても,目視観察は最も日常的な観測手段のーつで ある.そこで筆者らは建設活動に関わる観測行為のうち,次に示す2つの課題にテーマを 絞り,観察自動化のためのアプローチを検討した・

  1.快適環境構築のための微小生物(ダニアレルゲン)観察.

  2. 建 物 運 用 状 況 評 価 技 術 の 構 築 と し て の 建 物 内 人 間 行 動 観 察 .   第1のテーマは,ダニの観察の自動化である.最近の住環境においてダニはアレルギー の発生要因(アレルゲン)としての認知が高まっている.アレルギー対策には,要因たる ダニの観察が基本となるが,従来の目視観測は,有柄針等にて活動しているダニの数を選 別 計数 す る と ぃ う 手 段 が と ら れ て い る. しか し多 量の 標本に 対し ては 限界 があ る.

  第2のテーマは,人の行動の解析に関するものである.建物設計においては,施設計画の

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前後の交通量変動や,施工後の施設利用状況等が解析されるが,評価は人の行動解析に基 づぃている.これらの解析も目視観測を元にしているため,利用状況(人の行動)の一面 を 捉 え て は ぃ る も の の , 施 設 利 用 の 全 て を 反 映 す る こ と は で き な い .   そこで,本論分では各テーマについて対象の特徴を明らかにした上で,作業を自動化す る手法の提案を行う.今回扱う対象は,(特に人の場合)輝度特性が各対象において違い,

さらに変形・接触・分離を伴う.またダニの場合は,長期培養観察を行うため,ダニと同 色同サイズの「培地」と呼ばれる粒子状の餌と混在した状態での観察を強いられる.故に 輝度に基づくクラスタ分析や,特徴量照合に基づくマッチング手法は適用し難い.一方,

背景差 分法は移 動する対称 の抽出に 対して非 常に有効であるため,本論分では背景差分 に基づく手法を提案する.背景差分における課題は,背景推定と対象抽出があげられる.

背景差分を行うためには,正確で且つ適切な参照画像を取得することが必要である.対象 抽出処理では環境条件,特に明度条件に対し口バスト性のある手法の適用が必要になる.

  本論分 では,背 景推定問題 に対してLMedS推定の適 用を提案 する.同 手法の適用によ り,人や生物の移動に伴う例外値の影響を軽減させた背景を推定することができる.また LMedS推定の 統計的特 性に基づき 背景画像 の適用時 点に着目 すること で抽出精 度の向上 を計る.対象抽出の手法としては,背景輝度の状態に対してロバスト性の高い増分符号相 関を発展させた.「周辺増分符号相関」の適用を提案する.更に,抽出情報を累積すること で,生物の不定期な行動の影響を軽減し,傾向としての情報を取得評価する手法を示す・

本 論 分 で は 上 記 評 価 手 法 を 「 ロ バ ス ト 差 分 累 積 法 」 と し て 提 案 す る ・   さらに,人の活動評価として,従来の画像処理研究ではあまり取り上げてこられなかっ た人の「滞留」状態の解析技術の提案を行う.滞留は,建物利用等の評価では歩行と同程 度に重要な行動とされている,そこで本論文では,同行動解析法として,推定した背景画 像間の 比較に基 づく解析手 法を提案 する.背 景画像間の輝度の変化を「背景交替」と呼 ぴ,その発生傾向から滞留を起こしている領域を分割抽出する.本論文では同手法を「背 景交替解析法」として提案する.これにより,歩行中の人の影響を受けることなく,滞留 をしている人の位置と時間を推定することができる・

  以上まとめる.本論文の目的は,画像情報から人や生物の空間の利用の状態として数・

分布などの情報を自動的に抽出する手法を確立するものである.ロバストな画像解析手法 を 提 案 し , そ の 実 応 用 に お け る 可 能 性 に つ い て 検 討 す る こ と で あ る .   本論文の構成は,以下のとおりである・

  第 1章 で は , 研 究 の 背 景 と 位 置 づ け , 目 的 お よ び 意 義 に つ い て 述 ぺ る ・   第2章で は,画像 処理による移動体抽出に関する一般的なアプローチとその課題につい て 述 ベ , 本 研 究 に お け る 基 本 的 な 処 理 ア プ ロ ー チ に つ い て 説 明 す る .   第3章で は,第1の テーマであ るダニの 解析方法 について説明する.ダニの解析に対し ては,「ロバスト差分累積法」の適用を行う.さらに,反応領域の発生傾向の解析から,ダ ニの数と活動分布評価を行う.

  第4章で は,第2の テーマの人 の行動か ら,特に 歩行状態に対する解析について説明す る.ここでは「ロバス十差分累積法」と「周辺増分符号相関」の適用を示す.実際の解析 結果に基づき,建物評価に有効なパラメータの取得と利用空間の解析を行い,その有効性 を示す.また,滞留行動抽出の課題も示す・

  第5章では,第4章にて課題とした,滞留状態の人の行動を解析する方法として,「背景

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交替解析法」の説明を行い,その適用事例を示す.解析の結果として,滞留位置・時間な どのパラメータを示し,有効性を評価する.

  第6章 で は , 本 論 分 の ま と め と し て , 提 案手 法 を 総 括 を し た うえ で結 論を 示す .

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学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

小野里 土谷 島 金子

雅彦 武士 公脩 俊一

     学位論文題名

ロバスト背景差分に基づく

画像計測法の開発とその空間 解析への適用

  我 々が 日 々 活動 す る (生 活 ) 空間 は , さ まざ まな側 面を持っ ている .これを 解析研 究す る に あ たり , 多 くの 場 合 観察 と ぃ う検 査 行 為 をもっ て行われ る.そ の中でも 人の目 による 事 象 の 直接 観 察 は, 最 も 一般 的 か つ基 礎 的 な 手段で ある.一 方,近 年の情報 技術の 発達に は 著 し いも の が ある . 特 にカ メ ラ など の 映 像 情報の 利用に基 づく画 像処理の 分野は 「機械 の 目 」 とし て 応 用の 範 囲 が拡 大 し つっ あ る . 当然な がら,こ の「機 械の目」 の技術 を前述 の 観 察 ・ 検 査 活 動 に 適 用 す る こ と は 画 像 処 理 の 大 き な テ ー マ の ー っ と な っ て い る .   人 や生 物 な どの 観 測 を考 え た 場合 , 画 像 処理 は最も 適した観 測アプ ローチの ひとっ とい え る . それ は 測 定対 象 に 対し 非 接 触・ 無 侵 襲 である ことから ,対象 の活動を 乱さな いとぃ う 特 徴 を有 し て いる た め であ る . また っ 多 数 の対象 を一度に 把握で きる面的 計測で あるこ と も 有 効で あ る .画 像 処 理技 術 に よる 生 物 観 測の自 動化が実 現する ことは; 従来工 業分野 で 語 ら れる こ と の多 か っ た同 技 術 の利 用 分 野 が拡大 されると 共に, 生物観測 に基づ く環境 関 連 技 術の 向 上 にも 寄 与 する こ と にな る ・

  著 者の 携 わ る建 築 ・ 環境 の 分 野に お い て も, 目視観 察は最も 日常的 な観測手 段のー っと さ れ て い る . 本 論 文 で は こ の 建 設 活 動 に 関わ る 観 測行 為 の うち , 次 に 示す2つ の課 題 に テ ー マ を 絞 り , 観 察 自 動 化 の た め の ア プ ロ ー チ を 検 討 し て い る ・

1. 快 適 環境 構 築 の ため の 微 小生 物 ( ダニ ア レ ルゲ ン ) 観察 . 2. 建 物運用 状況評価 技術の 構築とし ての建物 内人間 行動観察 ・

  第1の テ ー マは , ダ ニ の観 察 の 自動 化 で ある . 最 近の 住 環 境に お い てダ ニ は アレ ルギー の 発 生 要因 ( ア レル ゲ ン ) とし て の 認知 が 高 まっ て いる. アレル ギー対策 には, 要因たる ダ ニ の 観察 が 基 本と な る が ,従 来 の 目視 観 測 は, 有 柄針等 にて活 動してい るダニ の数を選 別 計 数 す る と ぃ う 手 段 が と ら れ て い る . し か し 多 量 の 標 本 に 対 し て は 限 界 が あ る .   第2の テ ー マは , 人 の 行動 の解析に 関する ものであ る.建物 設計に おいては ,施設 計画の 前 後 の 交通 量 変 動や , 施 工 後の 施 設 利用 状 況 等が 解 析され るが, 評価は人 の行動 解析に基 づ ぃ て いる . こ れら の 解 析 も目 視 観 測を 元 に して い るため ,利用 状況(人 の行動 )の一面

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を 捉 え て は ぃ る も の の , 施 設 利 用 の 全 て を 反 映 す る こ と は で き な い .   これらの観測行為に画像処理の適用を考えた場合,観測対象の領域分割・抽出手法が課 題となる.領域分割の主な手法としては,輝度情報に基づくクラス夕分析や,対象の特徴 情報に基づく画像照合,画像特徴量照合がある.移動・運動を伴う対称の場合,画像問差 分やオプチカ´レフローに基づく領域特定がある.また,参照画像として対象の写りこみの ない背景画像を利用する背景差分法もよく利用される手法である.これらの手法は夫々長 短所を兼ね備えているため,画像処理の適用に当たっては対象の特徴を明らかにし,最適 な処理の設計を行うことが肝要である・

  本論文では上記趣旨に沿い,各テーマについて対象の特徴を明らかにした上で,作業を 自動化する手法の提案を行っている.人の場合は輝度特性が各対象において違い,さらに 変形・接触・分離を伴う.またダニの場合は,長期培養観察を行うため,ダニと同色同サ イズの「培地」と呼ばれる粒子状の餌と混在した状態での観察を強いられる.故に輝度に 基づくクラスタ分析や,特徴量照合に基づくマッチング手法は適用し難い.一方,背景差 分法は移動する対称の抽出に対して非常に有効であるため,本論文では背景差分に基づく 手法を提案している.背景差分における課題は,背景推定と対象抽出があげられる.背景 差分を行うためには,正確で且つ適切な参照画像を取得することが必要である.対象抽出 処理では 環境条件 ,特に明 度条件に 対し口バ スト性のあ る手法の 適用が必 要になる.

  本論文で は,背景 推定問題 に対してLMedS推定の適用を提案している.同手法の適用 により,人や生物の移動に伴う例外値の影響を軽減させた背景を推定することを示してい る.またLMedS推定の統 計的特性 に基づき 背景画像 の適用時点に着目することで抽出精 度の向上を計っている.対象抽出の手法としては,背景輝度の状態に対してロバスト性の 高い増分符号相関を発展させた「周辺増分符号相関」の適用を提案している.更に本論文 では,抽出情報を累積することで,生物の不定期な行動の影響を軽減し,傾向としての情 報を統合し取得評価する手法として「ロバスト差分累積法」の提案を行い,密度等評価指 標を目視観測と比較することでその有効性を確認している.

  さらに,人の活動評価として,従来の画像処理研究ではあまり取り上げてこられなかっ た人の「滞留」状態の解析技術への取り組みを行っている.滞留は,建物利用等の評価で は歩行と同程度に重要な行動とされている.本論文においては,同行動解析法として,推 定した背 景画像間 の比較に基づく解析手法を提案している.背景画像間の輝度の変化を

「背景交替」と呼ぴ,その発生傾向から滞留を起こしている領域を分割抽出手法を示して いる.本論文では同手法を「背景交替解析法」として提案を行っており,歩行中の人の影 響を受けることなく,滞留をしている人の位置と時間を推定できることを確認している.

  これを要するに,著者は,実環境における生体の群挙動の画像計測について,ロバスト 背景差分 法に基づ く安定な推定方法を独自に提案し,実験を通してその効果に関する新 知見を得たものであり,システム情報工学に対して,貢献するところ大なるものがある.

よって著 者は,北 海道大学 博士(工 学)の学 位を授与さ れる資格 あるもの と認める.

参照

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