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博士(エ鞘張 旭 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(エ鞘張    旭 学位論文題名

相関法を用いた単一超音波ビームによる変位・流速ベクトルの計測

学 位論 文 内容 の要旨

  本研究は,相関法を用いた単一超音波ピームによる組織変位・血流速度ベクトル の計測について,研究成果をまとめたものである.

  超音波を用いた血流速度の計測には,一般にドプラ法が用いられている.しか し,ドプラ法は原理的に超音波ビーム軸に直交する流れを計測できない.これに対 し,従来よルピーム軸に直交する流れを計測しようとする研究がなされ,これまで に,超音波工コー信号が散乱体の移動とともに揺らぐことに着目し,ゆらぎの周波 数から速度を検出するfluctuation velocimeter,直交する流れによルドプラスベク 卜 ルが拡 散す るこ とを利 用し ,そ のス ペクト ルの 拡が りか ら速度 を検 出する transverse Doppler法が提案されている.これらは,いずれも包絡線検波あるいは 直交検波されたェコー信号を対象としているが,本論文では,検波前のRFエコー信 号を対象とし,RFエコー信号間の相関を利用して変位あるいは速度を検出する手法 を提案した.本手法は,一定時間間隔で取得したェコー信号の相関の低下よルピー ム軸直交成分を,相関ピーク値の時間偏移からビーム軸方向成分を検出し,単一超 音波ピームで変位・流速ベクトルを計測する手法である.本論文では,本手法の理 論式を導出し,シミュレーションでその妥当性を検証するとともに,計測特性の系 統的解析を行い,さらに基礎実験と生体計測でその有効性を確認した.本論文は7 章で構成されている.

  第1章では本研究の背景,目的,論文の構成を述べた.

  第2章では,本手法の計測原理に関する理論解析を行い,変位と相関関数の関係を 記述する理論式を導出した,理論解析より,散乱体の移動に伴う相関関数の減少に は2種の原因があることを見いだした.ひとっは超音波ピームヘの不規則散乱体の 流入と流出によルビーム内の散乱体が入れ替わることに起因する粒子交代因子であ り,他のひとっは波面の進行方向と粒子の移動方向が直交しないことによる非直交 因子である.さらに,理論式を実際の非集束ピームと集束ピームヘ適用する場合の ビーム形状とビーム幅を音場解析により検討した.

(2)

  第3章では,シミュレーションにより,理論式の妥当性を検討した.非集束ビーム と集束ピームの両者について3次元モデルを構成し,不規則散乱体を移動させなが らェコー信号の相関値を計算した.ピーム軸直交成分と相関値,ピーム軸方向成分 と時間偏移の関係を求め,理論値とシミュレーションの結果がよく一致することを 示した.また,種々のビーム入射角でシミュレーションを行い.単一超音波ピーム によルピーム入射角を測定する妥当性を検証した,

  第4章では,各種バラヌータと計測特性の関係を,理論値とシミュレーションの 比較により系統的に解析した,非集束ピームと集束ピームの両者について,サンプ リング位置,振動子径,超音波中心周波数などが相関値にどのように影響するかを 解析した,その結果,十分な遠距離音場では非直交因子が,近距離では粒子交代因 子が支配的であること,集束ピームでは非集束ビームに比べ粒子交代因子の影響が 大きいこと,超音波ビームがガウシアンで近似できれば導出した理論式を任意の場 合に適用できることなどを明らかにした.

  第5章では,基礎実験により本手法の計測精度に関する検討を行った.計測精度を 検証するために,散乱体の変位と速度,および流速分布に関する実験を行い,いず れも変位・流速測定値の最大計測誤差は10%,ピーム入射角の計測誤差は3゜以内 であることを確認できた.また,管内の定常流の流速分布を高い精度で計測する可 能性を示した.

  第6章では,本手法を用いて実際に生体内の組織変位や血流速度を計測する応用計 測について検討した.ヒト肝臓実質の微小変位をin vivo測定し,1mm以下の拍動 を十分な精度で検出できることから,超音波エラストグフィの新たな手法としての 可能性を見いだした.また,ヒト頸動脈の血流計測を試み,ピームと直交し,かつ 拍動流である血流を測定することができた.さらに,血管内超音波法(IVUS)に本 手法を応用し,流れの有無による血管内腔像の明瞭な描出に有効であることを示し た.

  第7章では,結論として本研究の成果を総括した.

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主査教授   山本克之 副 査 教 授下 澤楯夫 副 査 教 授栗 城眞也 副 査 教 授河 原剛一

学 位 論 文 題 名

相関法を用いた単一超音波ビームによる変位・流速ベクトルの計測

  超 音 波 を 用 い た 血 流 速 度 の 計 測 に は , 一 般 に ド プ ラ 法 が 用 い ら れ て い る が , ド プ ラ 法 は 原 理 的 に 超 音 波 ピ ー ム 軸 に 直 交 す る 流 れ を 計 測 で き な い . こ れ に 対 し , ピ ー ム 軸 に 直 交 す る 流 れ を 計 測 し よ う と す る 研 究 が な さ れ て お り , こ れ ま で に , 不 規 則 散 乱 体 の 移 動 と と も に 超 音 波 エ コ ー 信 号 が 揺 ら ぐ こ と に 着 目 た fluctuation velocimeter, 直 交 成 分 に よ ル ド プ ラ ス ペ ク ト ル が 拡 散 す る こ と を 利 用 し たtransverse Doppler法 が 提 案 さ れ て い る . こ れ ら は , い ず れ も 包 絡 線 検 波 あ る い は 直 交 検 波 さ れ た ェ コ ー 信 号 を 対 象 と し て い る が , 本 論 文 は , 検 波 前 のRFエ コ ー 信 号 を 対 象 と し ,RF工 コ ー 信 号 間 の 相 関 を 利 用 し て , 不 規 則 散 乱 体 の 変 位 あ る い は 速 度 を ビ ー ム 軸 直 交 成 分 と 軸 方 向 成 分 の 両 者 に 関 し て 同 時 計 測 す る 手 法 を 提 案 し た も の で , 本 手 法 の 計 測 特 性 を 理 論 的 , 実 験 的 に 解 析 す る と と も に , 生 体 計 測 へ の 可 能 性 を い く っ か の 実 測 に よ り 検 証 し て い る . 本 論 文 の 成 果 は , 以 下 の よ う に 要 約 さ れ る .

  1. 提 案 手 法 の 理 論 解 析 を 行 い , 変 位 と 相 関 関 数 の 関 係 を 記 述 す る 理 論 式 を 導 出 し て い る . 理 論 解 析 よ り , 散 乱 体 の 移 動 に 伴 う 相 関 関 数 の 減 少 に は2種 の 要 因 , す な わ ち 超 音 波 ピ ー ム ヘ の 不 規 則 散 乱 体 の 流 入 と 流 出 に よ ル ピ ー ム 内 の 散 乱 体 が 入 れ 替 わ る こ と に よ る 粒 子 交 代 因 子 , お よ び 波 面 の 進 行 方 向 と 粒 子 の 移 動 方 向 が 直 交 し な い こ と に よ る 非 直 交 因 子 が あ る こ と を 見 い だ し て い る . ま た , 理 論 式 を 実 際 の 非 集 束 ビ ー ム と 集 束 ピ ー ム ヘ 適 用 す る 場 合 の ピ ー ム 形 状 と ピ ー ム 幅 を 音 場 解 析 に よ り 検 討 し て い る .

  2.非 集 束 ピ ー ム と 集 束 ピ ー ム の 両 者 に つ い て3次 元 モ デ ル を 構 成 し , 不 規 則 散 乱 体 移 動 時 の エ コ ー 信 号 の 相 関 値 を 計 算 し , ビ ー ム 軸 直 交 成 分 と 相 関 値 ,

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ビーム軸方向成分と時間偏移の関係を求め,理論値とシミュレーションの結果 がよく一致することを確認している,また,種々のピーム入射角でシミュレー ションを行い.単一超音波ピームによルビーム入射角を測定する妥当性を検証 している.

  3.非集束ピームと集束ビームの両者について,サンプリング位置,振動子 径,超音波中心周波数など各種バラメータが相関値にどのように影響するかを 理論とシミュレーションにより系統的に解析している.その結果,十分な遠距 離音場では非直交因子が,近距離では粒子交代因子が支配的であること,集束 ビームでは非集束ビームに比ベ粒子交代因子の影響が大きいこと,超音波ピー ムがガウシアンで近似できれば導出した理論式を任意の場合に適用できること を見いだしている. ̄

  4.本手法の計測精度を明らかにするため,散乱体の変位と速度,および流 速分布に関する基礎実験を行い,変位・流速測定値の最大計測誤差は10%,

ピ ー ム 入 射 角 の 計 測 誤 差 は3° 以 内 で あ る こ と を 確 認 し て い る .   5.本手法を用いて実際に生体内の組織変位や血流速度を計測し,本手法の 実用性を検討している.ヒト肝臓実質の微小変位を血vivo測定し,1mm以下 の拍動を検出して,超音波エラストグフイの新たな手法としての可能性を見い だしている.また,ヒト頸動脈の血流計測を試み,ピームと直交し,かつ拍動 流 である血流速を測定している.さらに,血管内超音波法(IVUS)に本手法 を 応用 し, 流れの 有無 によ る血 管内腔 像の 明瞭 な描出 を実 現し ている.

  これを要するに,本論文は,超音波ビームに直交する変位・流速の計測手法 を考案し,その計測特性を理論,シミュレーション,基礎実験で系統的に解析 するとともに,生体計測でその有効性を確認したもので,医用超音波工学の分 野に寄与するところ大である,よって著者は,北海道大学博士(工学)の学位 を授与される資格あるものと認める.

参照

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