ケアワーカーの規模・ 構成 と経済的な貢献
論 説
ケアワーカーの規模・ 構成 と経済的な貢献
三 富 紀 敬
は じめ に
本稿 は、「 福祉国家の忘れ られた人 々」
(『
東京経済大学会誌 (経済学)』 第241号「 川辺平八郎教 授退任記念号」2004年11月)を初発 にす るケアワーカー研究の一環であり、表題 に掲げる事項の検 討を直接の目的にす る。1.ケア ワー クの範 囲
ケア (Care)と いう用語の意味を探 る上では、 い くつかの方法がある。そのひとっは、英語に 言 うケアの言語学的な起源 とその変遷をイギ リス的な文脈の中で把握することである。いまひとつ は、介護 と保育が労働や教育あるいは医療などと同 じように、ある時期か ら法的な規制の対象になっ た事実に着 目して、 ケアに関する法律上の扱 いを探 ることである。
古期英語 (約 700‑1000年の時期の英語)におけるケアの言語学的な起源 は、心配 (an対ety),負 担 (burden)及び配慮 (concern)に関係 し、中期英語 (1100年頃‑1500年頃の英語)になると、
保護 (prOtection)あ るいは責任 (responsibility)と しての意味が組み込 まれ、誰かに対す る心 遣 いや気遣 いの意味 も取 り入れ られた、 と言われる(1ヽ こうした言語学的な起源 は、今 日のイギ リ スにおける英語表現にも見 ることが出来 る。他者のために責任を負 う場合を指 して「世話をする」
(take care Of)と い う表現などが、 それである。 ケアとい う用語 は、見 られるよ うに心配す る者 とされる者、保護する者 とされる者あるいは世話をする者 とされる者 といった人間の諸関係を表 し て きた し、今 日もこれに変化 は無いと言えよう。
ケアの意味を高齢者介護 に関する法律の中に探 るな らば、高齢者が日常生活を送 る上で他者への 依存を余儀 な くされた場合に、 こうした人々を援助す る一連 の措置 ということである。 もとより日
常生活 に関わる援助の主な責任 は、対人サー ビス、家事援助、余暇活動のような高齢者向けのサー ビスが第2次世界大戦時の経験を踏 まえて戦後に拡充 されたにもかかわ らず、依然 として家族に置 かれる。保護あるいは責任 としてのケアの言語学的な意味は、高齢者介護 に関する法律 に家族 によ る保護あるいは家族の責任 として受 け継がれ:る。同時に、 自立の条件を提供することによつて高齢 者の能力を高めようとする動 きが、 イギ リス│こおいて も近年盛んであり、 これを背景に広 く使用 さ れる自立化 (empowerment)の概念が、 ケアの重要 な一部をなすに至 った ことも、 これまた確か である。
児童 に関す る法律 は、19世紀 に遡 る。 幼 児 の生活保護 に関す る1872年法 (the infant life protection act 1872)を は じめ児童 の虐待防止 と保護 に関す る1889年法 (the prevention of cruelty and protection of children act 1889)及 び児童 に関す る1908年法 (the 1908 children act)は、両親 もしくは親 と思われる人 による危害か ら児童を保護 しようとす る目的の下 に制定 さ れる(2ゝ ヶァとぃう用語 は、児童の成長に責任を負 う成人にかかわつて使用 される。 ここで も、ケ アの言語学的な起源が継承 される。児童 に関す る1948年法 (the 1948 children act)は 、両親 の 居ない、 もしくは児童の養育 に不適格 な親の下 にある児童 の福祉 (welfare)を 確保す るために、
必要 な施設を地方 自治体 として確保 しなければな らない、 と定 める。 ケアは、新設 された児童官 (childrers officer)に 担われ、 自治体 の責任 としての意味を与え られる(3)。 この1948年法 は、児 童 に関す る1989年法 (the 1989 children act)に 、 その後取 って代わ られる。89年法 は、児童 の 福祉 に関す る考えを強めるとともに、親 の責任 (parenta respOnsibility)に ついての構想を新 し く取 り入れる。政府 は、児童の福祉や関心に応えるために各種のケアサ=ビスを拡充する。 もとよ り政府 は、両親による児童の養育に取 って代わるわけではない。その養育を補完するのである(4ゝ 親の責任が初めて法文化 された意味は、 ここにある
b
用語 としてのケアは、2人の当事者の生活 に関わる事項 として人間の諸関係を表現す る。その上 で、有給のケアワークを理解するためには、一方では無給のケアワーク、他方では保健、教育及び ソ‐シャルヮークとケアサ‐ビスとの境界、 この両者 についての理解が求め られる。その意味は、
こうである。介護 と育児は、性別役割分担 に沿 って女の仕事 とされ、家庭において専業主婦をはじ めとする女性に担われてきた。社会的な性差による家族内の分業 は、社会的にも再生産 される。職 業 としてのケアワークは、 このために主 として女性に担われる。他方では、ケアサービスの領域 は、
イギ リスの実情 に即す る時保健や教育及びソーシャルワークなどの諸領域 と重な り合い、一見す る ところ判然 としないことも確かである。ケアサービスは、高齢者向けの医療や就学前児童あるいは 学齢期児童の教育 と重な り合いなが ら存在す る。 ソーシャルヮークの領域 においても、虐待の被害 者 としての児童を保護する諸措置 と一緒 に存在す る。里親制度のようなケアサービスとも連携する。
それゆえに単独でケアワークと称 される職業は少な く、多 くのサービスとこれを担 う職業 は、 ケア
‑2‑
ケアヮーカーの規模・ 構成と経済的な貢献
の構成要素 をその うちに含 む。加 えて、 いくつかの職業 は、政策上 の変更 に影響 されてある時代 に ケア ワー クと しての位置 を与え られなが ら、別 の時代 には、医療管理 と しての位置を与 え られ るこ ともあ る。
しか し、ケアヮークという用語を当てはめてよいサービスと職業の領域 は、現に存在する(5ゝ 障 害者 と高齢者向けのデイケアと施設 ケアは、 これである。里親制度 と施設ケアのように児童 と若年 者 を対象 にす る施 設 サTビスを含 む児童保護 (child care)も 、 これで あ る(6)。 就学前保育 (childcare)と学齢期の児童に関わ る学童保育 (childcare)も 、同 じくこれである。 これ らのサー ビスを担 う職業 は、ケアワークである。
高齢者を含む成人に蘭わるケアワークは、在宅ケァの担い手 という形態で存在する。有給のケア ワークは、か ってホームヘルプと称 され、今 日ではホTムケアとして知 られる (表
1)。
ホームケ:ア
は、 家事援助 や買 い物 あるいは公 的年金 の引 き出 しな どに止 ま らず、 伝統 的 に地域看護 師 (district nurses)の職分 とされて きた対人援助を傾斜的に担 う。 ケアワークは、 デイセ ンターの 職員 によって も担われる。 デイセ ンターは、何 らかの身体的 もしくは知的な障害を抱える高齢者 は もとよ り、同様の障害を持う65歳未満の人々を対象に、各種の余暇活動や作業療法及び実際的な援 助を提供す る。ケアワークは、 日常生活のうえで限定的であるとはいえ何 らかの援助を要する人々 に宿泊の設備を供する保護宿泊施設 (sheltered accommodation)の職員 にも担われる。有給のケ アワークは、それが とりわけ在宅ケアとしてなされる場合に無給の介護者(7)ゃ
有給のボランティア によるケアワークと一部重なり合 う。高齢者を含む成人に関わるケアワークは、施設ケアの担い手 という形態で も存在する。高齢者や障害者の居住する施設では、いずれ も自立の促進に力点が置か れ る。居住施設 (residential homes)は 、 日常生活上の絶えぎる援助を要する高齢者を対象 にす る。 ナーシングホーム (nurSing homes)は、慢性疾患を抱 える人 々をサー ビスの対象 にす る。さらに、 ホスピス (hOspices)は 、末期患者を対象に緩和 ケアを手がける。 これ らの施設 は、居住 者の生活の質を維持 し高めることを目的にする。施設では、看護師やカウンセラーなどとともに介 護助手や看護助手を雇 ってサー ビスを提供する。 これ らの施設 は、明 らかにケアワークの行われる 場所である。
児童 と若年者 に関わるケアワークは、前出の表 に示すように里親 (foster carer)と いう担い手 の形態で存在する。里親制度 は、虐待などの理由か ら家族 とともに生活するわけにいかない児童や 若年者のためのもっとも大 きな安全網である。里親 は、伝統的に自治体社会サニ ビス部 (SSD)に よって募集 され支援 されてきた。近年 には、民間部門の参入が図 られたことか ら、公共部門以外に よ る募集 がその比重 を増 しつつぁる電 ケアワークは、 重度 の障害児 に関わ る レスパ イ トケア (respite care)の 形態で も存在す る。 レスパ イ トケアは、障害児や障害者を抱えその保育 と介護 にエネルギーを割かれる家族 に休息の機会を設 けることを目的に、特別の訓練を受けた別の家族や
(資斜叫)Claire Calneron and Peter Moss,Care work,current understmdings and future directions in Europe, national report, UK,WP3, Thomas Coram Research Unit, University of London, 2001,p.32.よ り借用。
http://144.82.35.228
(注
)(1)原表では,その他の欄が施設の欄の前 に置かれているが、筆者の判断で上のように した。 ちなみに この原表は,以下の文献で も引用 されている。 この引用文献 は、施設の欄を地域の次 にお き、 その他 の欄 を最後 にもって きている。Christine Eborall, The State of the social care workforce in England,Vol.l of the first annual report of the Topss England Workforce lntelligence Unit, Topss England, 2003,p.24.http://wwW.tOpss.org.uk/uk̲eng/comp̲dOCs/142.PDFO)以下の文献を参考に筆者が新 しく付 け加えた。Surestart,Crёches,nadonal stalldards for under 8s day care and childlninding, Department for Education and Skills, 2003.
表1 ケアサー ビスの対象別場所別分類
家 庭 地 域 施設ω その他°
1.高齢者 (600
65歳以上
)
ホームヘルプ/ホー ムケア、終末期ケ ア
デ イ セ ンター 施設介護 (長期、
レスパ イ トケア
)
保護宿泊施設 ホス ピス
2.成人 (18022 歳‑60065歳
)
略 向けホーム、
対人援助,終末期 ケア
障害者 向 けデイセ ンター
障害者 向 け介護施
訊 保瓢 訊
ホス ピス
3.児童及 び若年 者 (405歳一 18022月発
)
保母,里親、障害 児 (者)向け レス パイ トケア、終末 期ケア
放課後学童 ク ラブ 休 日活動 ク ラブ、
フア リーセ ンター 託児所②
施設介護 (長期、
短期、 レスパ イ ト ケア、殆 どが10歳 以 上
)、
全 寮 制学 校 (障害児 のそれ を含 む)、 援 助 つ き齢 (11境蔵災上)、ホス ピス
レセプション学級 特別学校
4.乳幼児(0歳一
4・
5歳)
保母、乳母、里親 終末期ケア
保育所・ 近隣保育、
プ レ イ グ ル ー プ (民営保育所
)、
幼 児 クラブ、 フア ミリーセ ンター、複 合 セ ンター・ 乳幼 児 エ クセ レン トセ ンター、託児所②
ホ ス ピス 保育園 (幼稚園
)
入園前教育施設 と 学級、プレイグルー プ、就学前無認可 一 時 グループ
‑4‑
ケアヮーカーの規模・構成と経済的な貢献
施設 に障害児 (者)を一時的に預 けることを言 う
(3)
障害児 (者)のケアが預 けられた先の家族や施設においてなされることは、言 うまで もない。不 幸に して終末期を迎えた児童 には、児童向けのホス ピスがある。終末期のケアは、児童の自宅で も 行われ る。 ケアワークは、居住期間の長 さに関わ らず施設 において も行われる。児童や若年者が自 宅や親戚の住居で暮 らす ことが出来ない場合に利用 される施設である。 これ らの施設に働 く職員は、
児童 と若年者の日常生活に関わる援助を行 うことはもとより、児童 と若年者が次の生活設計に向け て確かな一歩を築 くことが出来 るように手を差 し伸べる。 これ らの職員は、 ソーシャルワーカーを はじめ教師、看護師、カウンセラー、介護助手などか ら構成 される。看護師や教師及びカウンセラー は、通常専門的な職業資格を持 ち、施設に勤めるソーシャルワーカーは、専門的な教育訓練を受 け る3しか し、ケアワークの主な担い手である職員の多 くは、介護助手に典型的に示 されるように専 門的な職業資格を持たず、教育訓練 の機会にも乏 しい。
乳幼児を含む14歳までの児童 に関わるケアワークは、実に多様な形態の下 に存在する。全国監査 事務局 (NAO)が年次報告
(9)で
取 り上 げるだけで も、8つ存在す る。 しか し、年次報告の対象 にな らなか った形態 も含めると、前出の表 に示すように文字通 り多岐に亘 る。
ケアワークは、今 日では主 として民間の非営利及び営利部門に属する保育所をは じめファミリー セ ンターや乳幼児期 エクセ レン トセ ンター (early excellent centres)な どの施設 における保育 と して行われる。 このうち保育所 は、児童の自宅以外の施設 において
1日
当たり4時間以上の保育サー ビスを継続的に提供する施設をさす。の。保母 (childminders)は 、 自らの住居においてフルタイム もしくはパー トタイムの保育サー ビスを提供す る。特定の日に合計2時間以上のサー ビスを提供す ることが、要件である①。19世紀 に女性の高い労働力率を記録 した地域で最初に発展 したといわれ、その歴史 はいかにも長い。前述の1908年法をは じめ1948年法及び1989年法の対象にな ったことで も 知 られる。保母の殆 どは、児童の両親か ら費用の支払いを受 ける。保母を直接に雇用 してサービス を提供す る自治体 は、皆無 とはいえないものの、 ごく稀である。乳母 (nannies)は、一組 あるい は二組の両親によって採用 され、両親の自宅で乳幼児の保育 に当る。自治体に登録する義務は無い。
登録の義務が無 いことでは、オー・ ペア (au pair)も同 じである。 オー・ ペアとは、 イギ リス人 の家庭に滞在 させて貰 う代わ りに家事や保育などを手伝 うことをさす。ケアサー ビスは、プ レイグ ループ (playgrOups)と一般 に呼ばれ、2歳6ヶ 月か ら4歳の児童を対象 にす る民間保育所で も 提供 される。 日に継続する4時間を超えないサー ビスの提供を要件 にする°の。 自治体立保育所の不
足が1960年代に顕在化する中で、民間非営利部門が自助的なサービスとして着手 したことを端緒に
す る。 ケアワークは、就学中の児童を対象にす る学童保育において も確かめることができる。 この 種のサービスは、学校の終業後 はもとより始業前 と長期休暇の間に も提供 され る。 日に2時間以上 及び年間 5日 以上のサー ビスの提供を要件 にす る⑩
学 齢 期 に属 す る児 童 の保 育 は、 休 日活動 ク ラ ブ (holiday play SChemeS)や 宿題 ク ラブ (homework dibs)な どの形態で も存在す る。 これ らは、保育所や学校 に併設 される例 はもとよ り、民間非営利団体が独 自に設置することもある。保育学級 Gursery dasses)と レセプ シヨン 学級 (reception classes)は 、保育所補助教員 (ntrsery nuree)の雇用 に加えて ボランテイアな ども活用 しなが らサービスを提供する。学級を構成する児童の上限は、それぞれ26人と30人である。
ケアプークは、8歳以下の児童を対象にする託児所
(crё
ches)において も提供 される。託児所 は、1日 2時間以上、年間 5日 以上のサービスを提供 しなければな らない彎)。 年間を通 してほぼ恒常的 に開設 される場合に加えそ、 ごく臨時的にサービスを提供する場合 もある。
1イ ギリスの`
ケアヮニ:ク は、このように高齢者や障害者の介護にとどまらず、乳幼児を含む児童の 保育と介護とを広く包括する。ケアワークの範囲は、これを高齢者やせいぜいのところ障害者を対 象にする介護にとどめて理解する傾向の著しく強い日本に比べて、明らかに広いる
しか し、ケアウエクの範囲は、イギ リスといえどもデ ンマークのそれに比べ ると狭い。英語に言 うケアやケア ワ‐クは、デ ンマーク語では通常6msorgや omsorgsarbejd6と 表現 される。 この用 語omsOrgは、 ケアが第二者 に担われ る時、高齢者や疾病 を抱え る人 々に関す る諸措置 として理 解 され、そのように用 いられる°
D。 'こ
の用語 は、社会政策の議論 においては、高齢者 と障害者及び 疾病を抱える人々の生活の質を改善するための諸措置 として、 しば しば用いられる。また、 これは、理論的にも実際的にも看護 (pleje)という別の用語 と多かれ少なかれ対をなす。
同時 に、用語omsbrgは、人間の発達 とい う意味をその うちに含 まない。 こうした事情 もあっ て
'デ
ンマー クで は、 児童 とその保育 に関 わ る中心 的 な用語 と して教 育 (poedagogik,英語 の pedagogy)、 教育労働(poё
dagogisk arbeide,同 じく英語 のpedagogical work)と い う別の用 語が広 く用い られる。 この 2つ の用語 は、教育 という表現か ら容易に推測 されるように個人の学習 能力の向上 という意味をその うちに含む:最近‐では、児童 とその保育 にとどまることな く高齢者 と その介護の分野で も,徐
々に用い られているようである。0。
「 ヨーロ,パのケアワ‐ク」(Care work in Europe)と題す る国際比較研究の一部をなすデ ンマークの国別報告の表題が,OmsOrgsarbejde og poedagogisk arbeide i Europa(Care work and pedagogical work in Europe)で あったことは、 こめ国の歴史的は事情に根 ざす といえよう。
が くしてデ ンマークでヶアワークとい う場合 には、社会・ 保健 サー ビス全ルパ ー (sOcial̲og sundhёdshio6pere)や同 名 の 助 手
(social―
og sundhedsassistenter),あ る い は 教 育 助 手 (poedagogmedhjoelpere)などに加えて、保育施設の教師 (poedagoger)や ソ■シャルワーカー (socialradgivere)な ども担 い手 を構成す る°つ。事情 は、 スウエーデンにおいて もほぼ同様であ る(10)6ケアワークの範囲は、 こうしてみるとデンマークとスウエーデ ンにおいて広 く、イギ リスで狭い。
‑6‑
ケアワーカーの規模・構成と経済的な貢献
前者におけるケアワークは、教師などをそのうちに含むかどうかを基準に判断すれば、その専門的 な職業としての地位がおおむね高 くt後者のそれは専門的な職業をそのうちに含まないことから、
その社会的な地位は低い、と言い換えてもよい。 もとよリイギ リスにおける範囲の狭さは、先にも 述べたように日本に比べるならば狭いとは言いがたい。
2。
ケアヮ…カーの規模 と構成ケアワークの範囲は確定 されたことか ら、 これを拠 り所 にケアワーカーの規模の推計作業に進む: ことが出来よう。 ケアヮークに属する職業を標準職業分類 もしくは国際標準職業分類に即 して抽出│ し、全国統計局 (ONS)『労働力調査』(LFS)を調査統計上 の拠 り所 に しなが ら規模の推計 を行 うことである。ちなみにこの調査 は、およそ6万世帯を対象 に4半期 ごとに行われる定期調査であ:
る。
結果 は、130万人 を超すケアヮーカーの存在である (表
2)。
これは、就業者総数 (2:744万 2,000 人、1999年)との対比で4.8%を占める°の。また、ケアヮーカーの殆 どは女性である (93:3%)こ とか ら、女性 ケアワーカーの実数 は、120万人 を超す (121万 6,107人)。
これ は、女性 の就業者,(1,230万
4,000人)の 9.9%を 占める。就業者のおよそ20人に1人、女性の就業者 に限定 して言えばおよそ10人に1人が、 ケアヮークを担 う勘定である。
̀
この規模推計には、いくつかの限界があり、やや控えめな推計であることは否定できない。まず( 高齢者 と障害者の介護 は、拙訳「英国在宅介護者協会 :在 宅介護者 による援助の経済的価値」
(『
経 済研究』8巻 1号、2003年8月)でも明 らかに したように、その多 くを無給の介護者によって担わ れ る。 日常生活上の援助を要する人々のおよそ80%は、家族や友人あるいは隣人による無給の介護 を受 けているという試算 もある。の。こうした無給の介護者 は、 コ ミュニテーケア (直接現金給付)に関す る1996年法 (community care(direct payment)act 1996)及 び介護者 と障害児 に関す る2000年法 (carers and disabled children act 2000)に よって、現金の直接給付を自治体か ら受 け、 これを原資に介護を担 う人々 を雇 うことが出来 る。 これは、障害者団体 と介護者団体の要請に応 じて介護を要する人々に選択の 機会を提供 し、 これによってその自立を促す目的の下 に制定 される。最初 は、障害者の援助に当る 介護者を対象 に、次いで高齢者、最終的に障害児 もしくは若年の障害者の世話に当る介護者に適用 を拡大する。問題 は、現金の直接給付を原資に雇われた有給の介護職に関する公式の調査結果が、
存在 しないことである。 この制度以前な らば、介護を要する人々にアセスメントが行われ、 この結 果 に沿 いなが ら必要なサービスが確定 され、ケアヮーカーが派遣 されてきた。 この員数 は、官庁統 計に記載 される。 しか し、新 しい制度の下で、 こうした保証 は判然 としない。有給の介護職が、 自
表
2
ケアワーカーの規模(1997‐
99年)°ケア集国内の個々 の職業
標 準 職 業 分 類 (SOC) コ ー
ド
国際標準職業分 類 (ISCO)コ ー
ド
労 働 力
実 数 (人
)
比率 (%)1.成人及 び 高 齢 者 介 護
(18022歳一
6006帥
補助看護師 護助手 介護助手②
′
lヽ・ 看
計
640 644
3231 3232 5132、 51
33、 5139
156,979 517,893 674.872
(12。 0) (39。 7)
51. 8
2. 灌学句=畜ントヨ艶・ 保育 (4・
5
歳‑1802励家政婦長 父母°
/jヽ
・ 寮
計
370 3460 71,249
71,249
( 5. 5)
5. 5
3.保育(0歳一
4・ 5歳
)
保 育 所 補 助 教 員°
プ レイグループ 保育 リーダー° 教育助手° 他の保育職業° 小
計
650
651 652 659
3320
5131 5131 5131
111.410
27,270 154,129 264,507 557.316
(
( 2. 1)
(11. 8) (20. 3) 42. 8
4.派遣労働者 23,190‑
25,000
5.計 1,303,437 (100。 0)
(資
料)表1に 同 じ、p.65よ
り借用。(注)(1)国際標 準 職 業 分 類 は、 筆 者 が新 し く付 け加 え た。 ILO,ISCO‑88,International standard classifimtion of occupations,ILO,1990,pp.106‑10五 pp.110‑111,pp.125‑126,pp.147‑149.( ) 内の比率 は、内数である。比率の合計 は、四捨五入のため
100.0に
な らない。派遣労働者 は、合計 に含 まれない。筆者が参考 までに付 け加えた。υ)これには、デイセンターの労働者 と居住施設の労働者を含む。
侶)これには、里親、居住施設のソーシャルヮーカーを含む。
14)こ れには、保育施設で働 く助手 と監督者を含む。
傷)・ これには、就学前保育施設に働 く助手 と監督者を含む。
(6)こ れには、学習援助助手を含む。
)これには、 フア ミリーセ ンター労働者、 ホームヘルパー、在宅介護職 (home carers),乳母、就学 前サー ビス労働者
(out̲of―
school service workers)を 含む。‑8‑
ケアヮーカーの規模・構成と経済的な貢献
営業者 (self―employed)と してサー ビスを提供する場合に、 それがどの程度官庁統計 に補足 され
るか定かではない。先の推計結果 は、 こうした事情か らこれ らの有給の介護職の一部を含まない。
また、私的な里親 は、先の推計作業では1万人 と見積 もられる。 この種の里親 は、 自治体 にその 旨を告げるであろうと想定 される。 しか し、実際は、その通 りに進んでいるとは言 いがたい状況 に ある。私的な里親 に関する情報 は、研究の対象 として確たる位置を確保 し得なか ったことともあい まって、著 しいまでに乏 しく、 これが、推計値の検証を難 しくさせているという事情 もある。無登 録、それゆえに非合法の保母が存在す ることも、 しば しば指摘 される。ちなみにこの種のサー ビス の利用 は、家計所得の少ない母子世帯 に多い。母子世帯 とその増加が、非合法 に働 く保母の土壌を なす といってよい。また、乳母 は、登録を義務付 けられないことか ら、規模の把握 は困難である。
もとよ り乳母 は、その所得に対 して課税 されることか ら、彼女を雇 う人々が課税記録を彼女に手渡 すであろうと想定 される。 しか し、乳母が被雇用者でな く自営業者 として自らの社会的な地位を主 張するな らば、課税手続 きの責任 は、乳母 自身が負 うことになる。彼女を雇 った人々が、課税記録 を作成す る義務 は消える。乳母が自営業者 として課税の手続 きをす るかどうかは、定かではない。
オー・ ペアは、通常公民権を持たずに家事や保育を担 う。か くして、 これ らの数の正確な把握 は、
拠 り所 となる調査統計の限界か ら難 しい。
さ らに、家事奉公人 (domestic workers)が、家事 とともに育児や介護 を担 うことは、良 く知 られる。 この種の労働者 は、 ロンドンなどの非 白人の人口比率が著 しく高い地域 において移民か ら 構成 される。 しか し、育児や介護を担 う家事使用人の正確な把握 は、 これ も難 しさを伴 う。
最後 に、 ケアワークは、慢性的な労働力の不足を抱える分野の一つ として良 く知 られる。派遣労 働者の一時的 もしくは半ば恒常的な利用 は、労働力の不充足 とその深刻化を契機 にする。 ケアワー クを担 う恒常的な派遣労働者 (long term agency workers)に 限 って も、 イ ングラン ドで2万
3,190人あるいは2万5,000人 (2001‑2002年)を数えるという推計作業 もなされている。つ。 しか し、
これは、 自治体 と民間非営利部門、同 じく営利部門のケアヮークを担 う派遣労働者 に関する計数で ある。 この計数 は、作業を手が けた著者 も率直に認 めるよ うに国民保健サー ビス (NHS)に派遣 されてケアヮークを担 う労働者 について把握 し得ないことか ら、関係する派遣労働者を含まない。
同 じ問題 は、前出の表に示す規模推計 にも残念なが ら含まれる。
ケアワーカーの規模推計 は、 こうしたことか ら実際よりもやや控えめな計数を算出 したに過 ぎな い。 しか し、 自営業者を含む就業者全体のおよそ20人に1人、女性就業者に限 って言えば同 じく10 人に1人に相当するケアワーカーの存在 は、決 して小 さいとはいえないであろう。
イギ リスのこの規模 は、他の ヨーロッパ諸国のそれ と比較す るな らば、 どのような位置にあろう か。 この国の就業者比 4.8%と いう計数 は、各国の『 労働力調査』をもとにする推計作業、すなわ ち、ハ ンガ リーの比率 (3%)よ りは高いとはいえ、オランダ (7%)やスウエーデン (9%)あ
るいはデ ンマーク (10%)よ りも低 い響)。 ヨァロッパ委員会統計局 (SOEC)『 ヨーロ,ッパ労働力 調査』 に依拠す る推計作業で もイギ リスの比率 (5。7%)は、 スペイ ン(2,4%)よ り明 らかに高い とはいえ、デンマーク (10%)やスウエーデン(13.5%)よ りも低い。特に北欧 2カ 国との格差 は、
見 られるように大 きい。
上 に示 した推計作業 とは、異なる作業 もある。 これに対す る見解を示す ことが努めの一つであろ う。
C.エ ボラル (Christine Eborall)氏 は、対人サー ビスを担 う労働力の規模 について各種の推計 作業があるとして、最低で87万 5,000人か ら最高125万人の結果が導かれると、議論の状況を紹介 さ れる②)。 その上で97万5500人 (1999年)とい う独 自の推計結果を示 される・ )。 これは、高齢者を はじめ身体障害者、知的障害者及び児童などへの対人サービスを担 う労働力に関する規模の推計で あるい)。 サービスの提供 される場所 は、家庭、地域及び施設の別を問わない。 しかiし、児童への対 人サー ビスとして取 り上げられるのは、地方 自治体が関与 した上で世話をするサ早ビスに限定 され る。保母をはじめ里親及び就学前プ レイグループ (民間保育施設)職員の担 うサー ビスは、氏 も明 示 されるように推計結果に含 まれない°の。 また、 自治体が直接 に関与 して世話をす る児童の数 は、
5万5,300人 (1998‑99年)と し、 これを基 に関係す る労働力の規模を算定 されてお られること ネ を考えると、氏は、先の保母や里親 にとどまらず保育サービスとそれを担 う労働力のかなりの数に ついて算定 されていない、 と判断 される。氏の推計結果が、前出の表に示 したそれをかな りの程度 下回るのもやむをえないところである。
氏の作業 とはまった く反対 に、 ケアワーカァの規模 を246万3,000人 (1997‑99年)と算出す る推 計 もある°の。A.シモ ン(Antonia Simon)氏他による集団的な作業の結果である。 この作業 は、
保育 もしくはソーシャルケアのサー ビスを担 う人々をケアヮーカーとして理解 し、個々の職業を標 準職業分類 に沿 って特定す る。 しか し、 この作業 に言 うケアワーカーには、 ソー シャルヮーカー (9万7,000人)をはじめ看護師 (40万 4,000人)と助産師 (2万8,000人
)、
初等教育等の教師 (30万 9,000人)、
中等教育教師 (29万 6,000人)及び特殊教育教師 (3万 8,000人)も含まれる。 これ らの専 門的な職業 としての社会的な地位を確立 した労働力の合計 は、117万 2,000人である。ソーシャルヮーカーや教師が、高齢者の介護や児童の保育 と介護 に無縁であるとは、前 にも述べ たように考えていない。 しか し、その関与 は、殆 どの場合にあ くまで間接的である。 しか も、その 社会的な地位 は、看護助手や教育助手 などと明 らかに異なって、総 じて高 い。標準職業分類 と国際 標準職業分類が、看護師と看護助手、教師 と教育助手 とをはっきりと区分す る根拠 もそ こにある。
保育 とソーシャルヮークの双方を視野 に収めてケアヮークの範囲を定め、規模の推計作業 に乗 り出 す態度には、反論の余地 は無 く、賛成する。 しか し、国際的にも広 く通用する標準職業分類を事実 上無視 されるかのような手法に、与するわけに行かない。
一‑10‑―
ケアワーカーの規模・構成と経済的な貢献
そこで、246万 3,000人か ら専門的な職業 としての地位を確立 した人々117万 2,000人を除す るな ら ば、答えは、129万 1,000人である。 この計数 は、前出の表 に示す規模を実数 に して1万2,437人、 比率で1%の違 いに過 ぎない。
ケアワークの規模について紹介 した文献 は、筆者の知 る限 りにおいて も少 な くない。雇用機会均 等委員会 (EOC)は、実数で100万人、労働力人 口比5%(イ ングラン ド)とい う計数を紹介す るの。 キ ングス・ ファンド(Kingi s Fund)の調査研究報告書 は、90万か ら120万人 という推計結 果が既に示 されるとして、 この うち前者の90万人 は、過小な評価であると批判的な見解を述べた上 で、後者の120万人を妥当な規模であること示唆す る°の。 しか し、かか る妥当性の根拠 について論 及す ることは、残念なが ら無い。 また、地方政府協会 (LGA)の報告書 は、 イギ リスにおける労 働力の5%を占めると紹介す る①。 しか し、 これ以上 に言及す ることはないことか ら、紹介の域を 出ないといってよい
6
ところで、ケアワーカーの規模 に関する推計作業は、浦辺史氏が「社会福祉労働の現状」 と題す る論考の中で、 日本の「社会福祉に働 く労働者 は推計約30万人 は下 らないであろう」⑫ と、現在か ら30年以上前に述べ られたことがある。 しか し、筆者の知 る限 り同種の作業 はその後に行われては いないようである。 このような調査研究の現状 にあって、 イギ リスのケアヮーカーに関する推計作 業 は、 これまで 日本の研究者によって手がけられていない。 しか し、イギ リスのケアワーカーに関 す る定義 は、例えばイギ リスの社会福祉研究に確た る業績を もたれる田端光美氏によってなされて いる。ケアウークの範囲を定め、 これを担 う労働力の規模について検討 してきたことか ら、最後に、
田端氏による定義に言及する勤めを果た しておきたいと思 う。
氏 は、 まず、 ケアワーカーという職業 は何か と問い「…… ケア"は日常生活の質を維持、ある いは向上するための援助 として、 ケアヮーカーはそれを担 う職業 としての意味である」 と定義をさ れた上で、
│「
イギ リスでケアワーカーという場合には、一般 に資格認定制がある施設関係の職種 と、特 に資格認定のないホームヘルプが対象である」。のと述べ られる。具体的な職名 としては、児童・
青少年施設の施設指導者、施設 ソーシャルヮーカー、視覚障害者・聴覚障害者のソーシャルヮ■カー、
知的障害者施設の指導員、里親、その他在宅や病院などでソーシャルケアに従事する人々などをあ げ られる。
氏の規定か らは、見 られるよ うにソーシャルケアに関わる職種、 しか も専門的な職業資格を有す ると思われる職種に限定することか ら、保母や乳母、保育所の職員、プ レイグループ職員、学童 ク ラブの職員など、乳幼児を含む児童の保育に関する職種が、里親を除いて抜 け落ちる。介護の分野 に限定 して も看護助手や介護助手が落 とされる。 このうち保育関係の殆 どの職種が抜け落ちるのは、
ソーシャルケアに視野を限定され るか らである。 しか し、イギ リスの代表的な研究者や研究機関が、
ケアワークあるいはケアワーカーという時、 ソーシャルケアとチャイル ドケアの双方がその視野に
収め られていたことは、既 に述べてきたように規模の推計結果の相違にもかかわ らず、 ほぼ共通 に 確かめ られる( )。 いかがであろうか。
130万人 を超すケアワーカーの構成 は、 どのように特徴付 けされるであろうか。 い くつかの指標 に沿いなが ら検討 してみよう (表
3)。
ケアワークの担い手 は、有給 と無給の別を問わず女性である、 と指摘されてきた。1970年代以降 にジェンダー分析の対象 として実に多 くの調査研究が蓄積 されてきたのも、そ うした事情を拠 り所 にする。 ケアワーカーの殆 どは、前出の表に示 されるように女性である。女性が労働力全体の40%
を僅かに越す程度であ ることと比較するな らば、 ケアワークにおける女性 占有率の際立つ高 さが、
一段 とはっきりとす る。女性比率 は、 なかで も就学前教育の教育助手 (93.9%)及び保育労働者 (97.5%)で高 いい)。 いかにも高い女性比率を前 にす るとき、思い起 こされるのは、無給の介護者 における女性比率の相対的な低 さである。すなわち、無給の介護者 は、16歳以上人 口の13%、 性別 には女性 (14%)と男性 (11%)である。実数でいえば570万人、性別 には順 に330万人 と240万人
である(1995年
)。
介護者に占める女性の比率 は、57.9%で ある (男性42.1%)。の。女性の占有率は、5年後の2000年調査になると、 さらに低下する。無給の介護者 は、16歳以上人口の16%、 性別 には
18%(女性)と14%(男性)である。実数では680万人、性別には、順に353万 6,000人と326万 4,000 人である。女性介護者 の割合 は、95年よ りも 6ポ イ ン ト低下 して52.0%である (男性48.0%)Ψ 。´ 特 に要介護者と同 じ世帯 にある介護者の性別構成 は、2000年になるとまった く均等であり、そこに
「社会的な性差 は存在 しない」⑩。要するに社会的な性差は、無給の介護者において時代 とともに薄 くなりつつあるということである。
では、有給のケアワーカーにおける女性 占有率の際立つ高 さく言い換えれば社会的な性差の強固 な存在 は、何ゆえに生 じているのであろうか。それは、最低賃金制度に定める時間当たり賃金に踵 を接す るほどに低い賃金水準の故であり、パー トタイム比率の高 さとも相侯 って、男性の自発的な 参入を妨 げるのである。キ ャリア形成の機会が、 この種の職業分野に乏 しいことも、男性 による参 入の阻止要因 として働 く。
ケアヮーカーの年齢構成 は、女性労働力全体 のそれに比べて も35歳以上49歳以下 に集中す る。そ の他の25歳以上34歳以下 と50歳以上の年齢階層 は、前出の表に示 されるようにやや少ない。 これ ら の構成 は、婚姻状態別構成にも連動 し、既婚者の相対的な多 さと独身者の相対的な少なさとして現 れる。 また、子供 との同居比率の相対的な高 さとして も現れる
6
イギ リスは、多民族社会であり、少数民族の中では、イ ンド人をはじめパキスタン人あるいはア フ リカ人などが多い。 これは、ケアワーカーの構成にも反映 される。 ケアワークを担 う少数民族の 人々は、全般的にやや少ないとはいえ、在宅 ケアに携わる人々の比率に関す る限 り、相対的に高 い
(6.596)。
一‑12‑―
(単位 :%)
ケ ア ワー カ ー° 女性労働者全体
1.女性比率 93. 3 44. 8
2.年齢階層別比率
a。 25歳未満
b.25歳以上34歳以下
c.35歳以上49歳以下
d。 50歳以上
17. 0 19. 6 41. 0 22. 3
14. 1 26. 0 36. 6 23. 3
3.白人比率 95. 4
4.婚姻状態別比率
a.既婚
b。 同棲
ё。 独身
d.未亡人 な ど
61. 6
8. 1
18. 6 11. 7
57 11 21 11
5。
同居 の子供有 り 39‑696.Aレベル以上の資格保有率 35. 7 7.全国職業資格1級の保有率 33‑4
8。
公共部門雇用者比率 38‑99.企業規模別構成②
a.0人
b。 1‑10人 c.11‑25人 d.26‑50人 e.51人以上
5。
931. 7 47. 3 11. 2
3. 9
10。
パ ー トタイム比率 38‑8411.臨時的雇用比率 5‑35 7. 5
12.,自営業者比率 2‑ 8 1l14}
13.労働組合加入比率 10') 33. 4{4)
ケアヮーカーの規模・ 構成と経済的な貢献
表3 ケ アワー カーの構成 に関す る諸指標 (1997‑99年)
(資
料)Cldre Caneron md Peter Moss,Care work,current understalldings and future directions in Europe, national report、 UK, WP3, 6p.cit., p.47 and pp.66‑67, Antonia Siinon et als, Mapping the care workforce;supporting ioined̲up thinking,Institute of Education,University of London, 2003, pp.54‑63, p.65, p.69 and pp.73‑74, Hans van Ewiik et als, Care work in Europe, current understandings and future directions, WP3, Inapping of care services and the care workforce, consolidated report, IIstitute of Edumtion, University of LondOn, 2002, p.81, http://144.82.35.228, Sue Ba1loch et als, East Sussex, Brighton and Hove social care workforce mapping study,U五versity of Brighton,2004,p.11,ONS,Annual abstract of statistics,2001 edition, No.137, The Stationary Office, pp.81‑83 and p.114よ リイ乍成。(注
)(1)実数 は、129万4,290人
か ら130万3,438人
である。合計 は、四捨五入のために100.0に
な らない場合 も あ る。9)イース トサセ ックス州の施設介護、デイケアー及び在宅介護 に従事する労働者についてである。
13)保育に関する数値である。
(41 男女の合計である。
教育水準 と全国職業資格水準の構成に照 らす時、ケアワーカーの水準 はいずれ も低い。学位の取 得者 を含むAレベノン以上の資格保有率 は、女性労働力全体のそれより8ポ イ ン ト強低い。全国職 ヽ業資格の格付 けは、5級で最 も高 く1級で低い。 日本 とはまった く反対の格付 けである。 これを念 頭 におきなが ら前出の表を見 るな らば、格付 けの低いケアワーカニがいかにも多い。その多 さは、
女性労働力全体を4‑11ポイ ント上 まわる③)。 さらに、全国職業資格を持たないケアワ‐力‐は、
在宅介護 (93.5%)や施設介護 (73.6%)な どを含めて平均3人中2人近 くにのぼる(63.6%、 1977
‑79年
)の
)。.パー トタイムで働 くケアワーカーの存在 も特徴の一つである。前出の表中38‑84%と示す うちの 38%は、若年者を対象に地域などで ソーシャルケアの一端を担 う労働者のパー トタイム比率である。
この計数 は、女性労働力全体のパー トタイム比率を確かに下 まわる。 しか し、 これ以外 は、看護助 手 (51%)、 介護助手 (55%)、 保育労働者 (66%)、 教育助手 (68%)な どのようにいずれ も女性 労働力全体の関係する比率を上 まわる°
D。
パ̲ト タイム比率は、 自治体社会サー ビス部 に働 く職員 に限 って も63.6%である (1998‑99年)ω
)。 ちなみにパ ー トタイム比率 は、公共部門で相対的に低く、民間部門で高いと一般的に指摘 される。にもかかわ らず60%を越す比率である。
` イギ リス女性のパー トタイム比率は、欧米諸国の中で も早 くか ら高い。その理由の,つは、労働 者の諸権利が週労働時間や勤続期間の長 さを基準に定め られることか ら、少なくないパー トタイマ∵
が権利の適用を受 けず、雇い主にとっては、パー トタイマーの利用によって人件費の圧縮を手にす ることが出来 るか らである。 たとえば週8時間未満の労働者 は、労働契約の書面化を含む19項目の 権利の内14項目の適用を労働時間の短 さのゆえに受 けない。週8時間以上16時間未満の労働者 は、
同 じく19項目の権利の内13項目について勤続5年を経 ることによって、ようや くその利益を享受す る。 また、週16時間以上のパ ー トタイマーでさえ、19項目の権利の内7項目に関する限 り勤続2年 を経 ることな しに、その利益を享受することが出来ない(俎 )。 こうした法制度 は、一方でパー トタイ ムの就労形態で働 く労働者 に不利益を生 じさせるとともに、他方では、雇い主に人件費の節約を可 能にする。ケアワニカーにおけるパー トタイム比率の高 さは、かかる事情を映 し出す といってよい。
労働組合への加入率 は、 い くつかの全国組合 による地道 な取 り組みにもかかわ らず、前出の表 に 示すようにはっきりと低い。
イギ リスにおけるケアワーカーの構成 は、北欧諸国 と比べるならばどのような特徴を持つであろ うか。必ず しも十分な比較 とは言いがたいものの、非力を顧みずに検討 してみよう。
まず、パー トタイム比率 は、イギ リスで高い。 たとえば国際標準職業分類にいう対人ケア (513) でデ ンマーク (46%)、 スウエーデ ン (51%)に対 してイギ リス (61%)である。同 じくホームヘ ルパ ー (913)も、順 に61%、 50%、 76%である (2000年)の。 また、パー トタイマ ーの週当たり労 働時間は、 スウエーデ ン(28時間)に比べてイギ リス (18。6時間)と、判然 とした短 さである〈⑤。
‑14‑
ケアワーカーの規模・ 構成と経済的な貢献
ケアワークが対人サービスの=種であることから、時間帯や曜日あるいは季節による需要の少なく ない変動は、規制 しがたいし、人道上 も規制を認めるわけにいくまい。かかる需要の変動には、労 働力供給の変化をもって対応 しなければならない。パー トタイム比率の高さは、その現れである。
しか し、国際間格差の存在は、この要因によって説明できるわけではない。対人サービスに関わる 需要の変動と規制の難 しさは、万国に共通するからであ―る。また、週労働時間の格差 も、 この要因 とは無縁である。イギ リスにおける比率の際立つ高さは、 ヨーロッィヾ連合 (EU)加盟国の中でも いささか特異な存在というべきパー トタイムに関する法制度の産物である。
ケアワークの大半は、公共部門であれ民間部門であれ労働契約を交わして雇われた労働者である。
同時に、その一部は、自営業者からなる。ケアワァクを担 う自営業者の比率は、 これもイギ リスで 相対的に高い。 自営業者比率は、 これも国際標準職業分類にいう対人ケアでデンマーク (0.5%未 満
)、
スウエーデン(0%)に対 してイギ リス (6%)である。同 じくホームヘルパーも、順に1
%、 3%、 6%である (2000年
)
)。 デンマークのケアヮーカーの殆ど100%は、労働契約の下に雇 用されているという別の指摘 もあるの。1
イギ リスのケアヮークにおける自営業者比率の相対的な高さは、何に由来するであろうか。筆者 は、その要因について十分に指摘するに足る知見を今のところ持ち合わせていない。 しかし、少な くとも以下のことは指摘できるであろう。すなわち、ケアヮークが公共サービスの一つとして、そ れに相応 しい地位を北欧諸国において与えられてきた。労働者を労働契約の締結をもとに保護 し、
これによって公共サービスの質を担保したといってよい。他方、イギリスでは、とりゎけ保育を公 共サービスとして位置付ける発想が歴史的に乏しく、保育サービスヘの需要の高まりを背景に自営 業者 としてサービスを提供する人々が地歩を築いてきた し、政府が、 これへの法的な規制にさえ消 極的であったことか ら、 自営業者の経営基盤を大 きくゆすがすには至 らなか った。
ケアワーカーの組織率 と労働組合の力量 は、北欧2カ国において先駆的である。 デ ンマークの組 織率 は、全体で82%である (2001年
)。
ケアワーカーのそれ も高い水準を維持す る。例えば自治体 ュ保育施設などに働 く職員の81.5%は組合員であるり。ケアヮーカーの労働組合 は、強い影響力 と 存在感 とを示 し、賃金 と労働条件に関する交渉はもとより、 ケアサービスの質の向上にも同 じよう に取 り組む。 スウェーデ ンで は、被雇用者 のおよそ16人中13人が労働組合 に加入す る (81.9%、2000年 )の。性別 には、女性の組織率が男性のそれを上 まわる (85%、 79%)。 スウエーデ ン自治体 職員労働組合 は、ケアヮークを担 う職員の組織化に乗 り出す代表的な組合の一つである。組合員は、
およそ60万人、その5人中4人は女性である。組合員の50%近くは、ケアヮーカーである。看護助手 や保育職の殆 どは、 この組合の構成員である。
イギ リス労働組合会議 (TUC)が、 この国の労使関係 に果た して きた役割 は、改めてい うまで もな く大 きい。 しか し、 この国の労働組合 は、ケアワークの分野に限 って言えば、少な くともこれ