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学位名 博士(工学)

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Academic year: 2021

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名古屋工業大学学術機関リポジトリ Nagoya Institute of Technology Repository

地方自治体における施策満足度調査活用を通じた行 政の品質向上に関する研究

著者 山岡 泰幸

学位名 博士(工学)

学位授与番号 13903甲第989号 学位授与年月日 2015‑03‑23

URL http://doi.org/10.20602/00003167

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学位の種類 学位記番号

学位授与の日付 学位授与の条件 学位論文題目

論文審査委員

ヤマオカ ヤスユキ

山岡 泰幸

博士(工学)

博第989号

平成27年3月23日

学位規則第4条第1項該当 課程博士

地方自治体における施策満足度調査活用を通じた行政の品質 向上に関する研究

(AS叱udy on Quaiity I町〕rovement of Administration Through

Policy Satisfaction Survey in Local GoveTn団ent)

主査教授 秀島 栄三

    教授  仁 科  健

    准教授 鈴木 弘司

論文内容の要旨

 多くの地方自治体が今後の施策に住民の意見や要望を反映させる方法として,現在取り 組んでいる施策への満足度に関してアンケート調査を実施している.このような施策満足 度調査が行政過程のサイクルに取り込まれっっも,より開かれた地方自治の実現になかな か結びついていかないという実態がある.また自治体の調査主体が満足度調査の分析結果 を出すまでに与えられる時間は一般に限られている.市民の意識を測る目的で行われる施 策満足度調査の実施件数が増加する一方で,統計の処理・分析を担う専門家数は限られて おり,貴重なデータが必ずしも有効に利用されているとはいえない.そこで,本研究では,

行政の品質を向上させる一つの方策として,施策満足度調査に着目した.

 上記の問題を解決するには,行政過程サイクルにおける,施策立案(Plan)から決定

(Decide),実施(Do),そして評価(See)の市民の声が評価基準になり得る分析手法の確立と,

市民が求める施策の優先順位を施策担当者が的確に捉えることが求められる.また,満足 度と品質の関係の研究は,工業製品における品質向上の取り組みとして,製品品質の安定 化から始まり,企業の経営そのものの品質を評価する手法へと発展した長い歴史を持って いるが,地方自治体への応用を考察している研究は数少ない.

 このような問題意識のもと,ある地方自治体が実施する施策満足度調査に基づいて,定

量的な実証研究を行った.

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 第1章では,行政過程サイクルと行政法に基づいて市民の声を取り入れることの意義.本 質を理解し,次に品質という概念の歴史をレビューし,一般企業向けに作られた市場調査 手法が公的サービスに適応可能であることを確認した.

 第2章では,施策満足度調査を実施する上で避けることのできない誤りについて着目し,

統計的誤差だけでなく,登場する主体間の関係性から生じる誤りを定義し,その解決のた めの方図を示した.調査プロセスの開始から終了までの間の各主体間に存在する誤りを最 小限にできれば,データの質を向上させ,その後の分析の信頼性を上げることが可能とな る.ある主体と別の主体との関係性の中で生ずる誤りと,主体内で生ずる誤りを明らかに し,それらを最小限にする方法について考察を行った.さらに,三つの論理モデルに着目 し,それらの特徴について考察した.そして実証研究で対象とする自治体の選択理由を明 らかにし,施策満足度調査が,統計調査に耐えうるだけのサンプリング妥当性を備えてい るかの検証を行った.

 第3章では,第2章で述べた調査における誤りの認識を踏まえ,ある自治体の施策満足度 調査の結果を対象にして,少数の市民の意見を可視化することを試みた.ここでは,満度 と重要度の二つの観点から,平均値法が持つ,少数者の意見が埋没するという問題を避け るために,施策への回答を不満足とした市民と重要であるとした市民を層別するための視 覚化技術の提案を行った.また,目本経営品質賞モデルを適用し,新たに打たれた施策が 市民の声を反映したものか,施策立案主体主導の結果であったかを明らかにした.

 第4章では,二年間の間隔を置いた二回の施策満足度調査を対象に,サービスクオリティ モデルに依拠した分析を行った.市民から期待される施策は「口伝えによる評判」 「市民 の要求」そして「過去の経験」からもたらされるとの既往研究に立脚し,全層市民データ での比較だけでなく,転入市民層のデータを用いることで,全層市民データ分析だけでは 見えなかった二年次の満足度の変化を浮き彫りにすることに成功した.

 第5章では,二元的品質モデルに依拠し,xy軸を持っ図上に,横軸に満足度を,縦軸に重 要度平均および重要度の標本分散をおくことにより,二種類の図を作成し,図上に現れる

曲線や傾きから,少数者の意見を無視することなく,市民が発するメッセージを読み取る ことができる分析技術の開発を行った.

 第6章では,本研究で分析技術および考察によって得た知見を総括するとともに,今後の 行政過程サイクルでの課題と施策満足度調査の将来の可能性に言及した、

 本研究で得られた知見は,行政過程サイクルでの施策立案フェーズや,総合計画策定フ

ェーズにおいて,地方自治体の施策立案主体,調査主体,ならびに外部有識者が計画策定

に携わる際に活きるであろう.

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論文審査結果の要旨

 多くの地方自治体が今後の施策に住民の意見や要望を反映させる方法として,現在取り組んでいる施策 への満足度に関するアンケート調査を実施している.このような施策満足度調査が,行政過程のサイクルに 取り込まれっつも,より開かれた地方自治の実現になかなか結びっいていないことを問題意識として,本研 究では,施策満足度調査に着目し,市民が求める施策の優先順位を施策担当者が的確に捉えるための分析手 法を提案することを目的として研究を行った.

 本論文は全6章により構成されている.第1章では本研究の背景,必要性そして目的を述べている.

第2章では,施策満足度調査を実施する上で避けることのできない誤りについて着目し,統計的誤差だけ でなく,登場する主体間の関係性から生じる誤りを定義し,その解決のための方図を示した.第3章では,

ある自治体の施策満足度調査の結果を対象にして,少数の市民の意見を可視化することを試みた.ここでは,

満度と重要度の二つの観点から,施策への回答を不満足とした市民と重要であるとした市民を層別するため の視覚化技術の提案を行った.また,日本経営品質賞モデルを適用し,新たに打たれた施策が市民の声を反 映したものか,施策立案主体主導の結果であったかを明らかにした.第4章では,二年間の間隔を置いた二 回の施策満足度調査を対象に,サービスクオリティモデルに依拠した分析を行った.市民から期待される施 策は「口伝えによる評判」「市民の要求」そして「過去の経験」からもたらされるとの既往研究に立脚し,

全層市民データでの比較だけでなく,転入市民層のデータを用いることで,全層市民データ分析だけでは見 えなかった二年次の満足度の変化を浮き彫りにすることに成功した.第5章では,二元的品質モデルに依拠

し,横軸に満足度を,縦軸に重要度平均および重要度の標本分散をおくことにより,図上に現れる曲線や傾 きから,少数者の意見を無視することなく,市民が発するメッセージを読み取ることができる分析技術の開 発を行った.第6章では,各章の研究で得た知見を総括するとともに今後の課題と展望をまとめている.

 以上,本研究では,従来は行政学,政策科学などの分野で考察が加えられてきた行政プロセスの問題に対 し,工学的かつ実践的なアプローチを試みたことにより,上述のような新たな知見を得ている.これらの知 見は,行政過程サイクルでの施策立案フェーズや,総合計画策定フェーズにおいて,地方自治体の施策立案 主体,調査主体,ならびに外部有識者が計画策定に携わる際に活用しうるものとなる.

 なお,本研究の内容は,土木学会論文集,日本経営品質学会,社会経営研究会の論文集に掲載され,

また,土木学会土木計画学研究発表会等で発表されている.

 以上により,本論文は博士(工学)の学位論文として価値あるものと認められる.

参照

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