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学位名 博士(工学)

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Academic year: 2021

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名古屋工業大学学術機関リポジトリ Nagoya Institute of Technology Repository

建築空間/インテリア空間の活用とデザインにおけ る改修手法と付加価値

著者 中西 正明

学位名 博士(工学)

学位授与番号 13903甲第1010号 学位授与年月日 2015‑06‑24

URL http://doi.org/10.20602/00003207

(2)

学位の種類 学位記番号

学位授与の日付 学位授与の条件 学位論文題目

ナカニシ マサアキ

中西 正明

博士(工学)

博第1010号

平成27年6月24日

学位規則第4条第1項該当 課程博士

建築空間/インテリア空間の活用とデザインにおける改修手法と付 加価値

(Renovation Method and Added−Value in Utihzation alld Design of Architectural Space/ II〕terior Space)

論文審査委員 主査 准教授  北川 啓介

教授   麓 和善 教授   兼田 敏之 教授   村上 心

      (椙山女学園大学)

論文内容の要旨

 建築は根源的に,内部で人問が活動するための有効な空間つまり実体のない虚体を得ること が目的で,建築設計者やインテリア設計者は,その空間に機能的な効果を付与して活用するた めに,また,意匠的な効果であるデザイン性を付与するための手段として,壁や床や天井や階 段を設置しその形状を工夫するといった物到1的操作を行っている。

 空間は実態のない虚体のものであるが,建築は壁や床といった実態のある物理的部位を 意味する場合が多い。実態を対象とする建築デザインでも,虚体を対象とする空間デザイ

ンでも,得られる効果は,活用という機能的効果と,デザインという意匠的効果がある。

 本論文で主対象とする改修においても,改修設計者は,実態のない空間を改修で活用しデ ザインするために,壁の増設といった部位の物理的操作や,床の撤去による吹抜けの設置とい った空間的部位の物理的操作により,改修独自の空間的効果を得ている。

 本論文は,建造物の改修における物理的操作と空間的効果の関係に着目し,改修における設 計者の物理的操作を〈改修手法〉と定義し,建造物あ改修における「空間的効果」を〈付加価 値〉と定義して両者の関係を研究するものであり,一連の考察を通じて,建築空間/インテリ ア空間の改修・活用の根源的な一面にかかわる新たな評価軸を示すことを目的とする。

 本論文は,以下の7章より構成されている。

(3)

 第1章「序章」では,本研究の背景と目的,既往研究と本研究の位置づけを述べている。

 第2章「研究の理論と進め方」では,研究対象と分析の方法について述べている。

 第3章「欧州と日本の近代建造物の改修における編成度と視覚的評価の関係」では,元来,

改修による活用を前提とせずに建造された欧州と日本の近代建造物の改修事例を対象に,〈改修 手法〉と〈付加価値〉の関係を{府磁的に捉えるため,心理実験によるデザイン効果を含めた定 量的な分析を行っている。〈改修手法〉の数値化にあたるものとして建築専門誌の改修事例にお ける建造物の面積など改修前後の変化割合を数値化した各指標を〈編成度〉と定義し,〈空間的 効果〉の数値化にあたるものとして建築専門誌の事例における改修前後の写真を比較した心理 実験による印象尺度を〈視覚的評価〉と定義し,〈編成度〉と〈視覚的評価〉の相関を論考した 結果について提示している。

 第4章「欧州と日本の近代建造物の改修における付加価値」では,元来,改修による活用を 前提とせずに建造された欧州と日本の近代建造物の改修150事例を対象に,〈改修手法〉と〈付 加価値〉の関係を,改修設計者の視点から活用を重点に捉えるため,建築論としての言説の分 析を行っている。建築専門誌における改修設計者の言説をもとに改修計画をフロー図化しジ改 修に至る背景や要求を〈改修目的〉と定義し, 多様な〈改修目的〉と〈改修手法〉による〈付 加価値〉の生成過程に着目しこれを分析・検討した結果,〈付加価値〉の生成過程が6種類に類 型化することができることを示している。この結果を踏まえ,〈改修手法〉とく付加価胸を類 型化し,〈付加価値〉の類型10種類を縦軸に,〈付加価llめの生成過程6種類を横軸にとった図 に150事例の言説の〈改修手法〉にかかわる文章をプロットし,図上で13種類にグループ化す ることで〈付加価値〉と〈付加価値〉の生成過程と〈改修手法〉の関係を示している。そして,

この結果に対する考察を考慮して13種類の〈改修手法〉を端的に命名している。

 第5章「ファッション店舗の改修後の写真における建築要素と内装要素の構成分析」では,

改修による活用を前提として建造されたスケルトンに,インフィルとしてのインテリアの視点 から,店舗の改修後の内観写真の分析を行った。商業建築物の内硯を重点に扱う建築専門誌か ら,ファッション店舗の改修後の内観写真を研究対象とし,内観写真の被写体を建築要素7種 と内装要素9種にレイヤー化して空間要素と定義し,561枚の写真の16の空間要素から,〈改 修手法〉の指標にあたる空間要素の形状の複雑さ〈歪形度〉と,撮影者による描写形式の指標

として空間要素の画面上の面積支配率〈占有度〉を数値化し,両者の特徴マップを作成して類 型化した。設計者の〈改修手法〉と撮影者の〈描写形式〉の組合せにあたる〈画像構成〉にっ いて,〈画像構成〉における〈改修手法〉と〈描写形式〉の類型の組合せの関連および効果を考 察して,得られた知見について述べている。

 第6章健築空間/インテリア空間の活用とデザインにおける改修手法と付加価値」では,

上記の各章で得られた成果を取りまとめ総括論として述べている。

 第7章は結論で,本研究の成果,および今後の研究と展望について述べている。

(4)

論文審査結果の要旨

 本論文は,建築空間/インテリア空間の改修において,設計者による物理的操作と改修後の空 間的効果の関係に着目し,改修における設計者の物理的操作を〈改修手法〉と定義し,建造物の 改修における「空間的効果」を〈付加価値〉と定義して両者の関係を研究するものであり,一連 の考察を通じて,建築空間/インテリア空間の改修による活用という機能面と,デザインという 意匠面にかかわる新たな評価軸を示すことを目的としている。

 第1章では,本研究の背景と目的,既往研究と本研究の位置づけを述べている。

 第2章では,建築の活用とデザイン,空間の活用とデザインについて述べている。

 第3章では,元来,改修による活用を前提とせずに建造された欧州と日本の近代建築の改修事 例を対象に,〈改修手法〉と〈付加価値〉の関係を剛敢的に捉えるため,面積比{こよる活用度合い や心理実験によるデザイン効果を含めた定鮭的な分析を行っている。〈改修手法〉の数値化にあた るものとして建築専門誌の改修コ拘列における建造物の而積などの改修前後の変化割合を数値化し た各指標を活用における〈編成度〉と定義し,〈空間的効果〉の数値化にあたるものとして建築専 門誌の改修事例における改修前後の写真を比較した心理実験によるデザイン的な印象尺度を〈視 覚的評価〉と定漉し,〈編成度〉と〈拠覚的評価〉の相関を諭考した結果について提示している。

 第4章では,元来,改修による活用を前提とせずに建造された欧州と日本の近代建築の改修事 例を対象に,〈改修手法〉と〈付加価値〉の閲係を,改修設計者の視点から活用而とデザイン而で 捉えるため,庄築論としての言説の分析を行っている。建築1脚弓澗こおける改修設計者の言説を

もとに改修計両をフロー図化し,改修に至る背景や要求を〈改修目的〉と定茂し,多様な〈改修 目的〉と〈改修手法〉による〈付加価値〉の生成過程を分析・検討し,〈付加価値〉の生成過程の 類型を示している。この類型をふまえ,〈改修手法〉と〈付加価値〉を狗ll型化し,〈付加佃i値〉の 類型を縦軸に,〈付加価値〉の生成1鋤程を横軸にとった図に改修事例の言説の〈改修手法〉にかか わる文章をプロットし,図上でグループ化することで〈付加価値〉と〈付加価値〉の生成燭程と

〈改修手法〉の関係を示している。そして,この結果に対する考察を考慮して〈改修手法〉を端 的に命名している。

 第5晦では,改修による活用を前提として建造された躯体へのインフィルとしてのインテリァ の視点から,店舗の改修後の内観写真の分析を行った。商業建築物の内観を重点に扱う建築噺『

誌から,ファッション店舗の改修後の内槻写真を研究対集とし,内観写真の被写体を建築要索と 内装要素にレイヤー化して空間要志と定義し,561枚の写真の16の空間要素から,〈改修手法〉

の指標にあたる空間要索の形状の複雑さ〈歪形度〉と,加影者による描写形式の指標として空間 要素の画面上の面積支配率〈占有度〉を数値化し,両者の特徴マップを作成して類型化した。設 計者の〈改修手法〉と冊影者の〈描写形式〉を組合せた〈画像構成〉が〈付力日価値〉にあたると 考え,〈画像構成〉における〈改修手法〉と〈描写形式〉の類型の組合せの関連および効果を考察

して,得られた知見について述べている。

 第6章では,上記の各章で得られた成果を取りまとめ総括論として述べている。

 第7章は結論で,本研究の成果,および今後の研究と展望について述べている。

 特に日本国内では、過去に建設された建造物を後世に残すことが主流である現在の潮流に対し て、本論文では、当該建造物の建築的価値や文化的価値を大切にしつつ現代の人々の生活の中で も利活用していく指針を論考してきた。新築に比重をおくことのみではなく、改修やデザインを 通した過去の建造物の利活用を深めた点で今後の建築計画分野へも大きな寄与があったと認めら

れる。

 以上の成果は、1つの日本建築学会計画系論文集(審査有り論文)と1つの日本建築学会技術 報告集(審査有り論文)へ掲載されることとなり、建築計画や建築設計の分野において、貴重な 研究成果であり、次なる展開も期待さ沁ている。

 以上、本論文は、博士論文として相応しいと判断する。

参照

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