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学位名 博士(工学)

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Academic year: 2021

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名古屋工業大学学術機関リポジトリ Nagoya Institute of Technology Repository

内部浸食による粒状材料の不安定化メカニズムと粒 度変化に着目した陥没発生予測に関する研究

著者 近藤 明彦

学位名 博士(工学)

学位授与番号 13903甲第983号 学位授与年月日 2015‑03‑23

URL http://doi.org/10.20602/00003161

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氏 名

学位の種類 学位記番号

学位授与の日付 学位授与の条件

学位論文題目

論文審査委員

コンドウ アキピコ

近藤 明彦

博士(工学)

博第983号

平成27年3月23日

学位規則第4条第1項該当 課程博士

内部浸食による粒状材料の不安定化メカニズムと粒度変化に 着目した陥没発生予測に関する研究

(A Study on the II]stability Mechanism of Granular Materials due to II]ternal Erosion and the Prediction of

Ground Depression with Changing Gradin9)

主 査   教 授 教 授 教 授 教 授

前 田 冨 永 張

晃 宏 鋒

桑野 玲子(東京大学)

論文内容の要旨

 近年,世界各地で地盤の陥没災害が発生しており,その発生箇所も水位変動を受ける護 岸背後地盤等の水際,都市の劣化したライフライン周辺など多岐にわたる.陥没災害は,

ミクロスケールにおける比較的長期間の細粒分のダイナミクス(内部浸食・目詰り現象)

が空洞の発達を経て,短期間で陥没というマクロなスケールの被害に至る,時間的・空間 的にマルチスケールな問題である.さらに,気候変動に伴う洪水・浸水・海水面の変化が 局所的な浸透をもたらし,被害を助長している.そこで,細粒分のダイナミクスが土や地 盤を不安定化させるメカニズムを解明するために,内部浸食に関する一次元浸透実験,模 擬管渠周辺の陥没模型実験,流体力を考慮した数値解析などを実施した.また,メカニズ ムを踏まえ,陥没発生・進展の予測において重要な課題について検討した.

 第1章では,近年の内部浸食に起因する陥没災害事例,既往の研究についてまとめ,本 研究が対象とする問題とその着目点について説明している.

 第2章では,ミクロスケールにおける内部浸食メカニズムを解明するために,透水模型

実験と個別要素法を用いた数値解析を実施し,一次元透水場における粒子流出・目詰まり

現象を粒状体の間隙構造に着目して観察した.実験では,既往の研究から内部浸食に対し

て不安定とされる粒度分布形状ほど流出量が多いことを確認し,供試体内の粒子移動量を

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測定することで流出と目詰りによる局所的な材料の不安定化を定量的に明らかにした.

従来は,間隙比という平均量に着目されていたが,数値解析を用いて,間隙径や間隙の繋 がりについて詳細に調べた.流出量が多い下に凸な粒度分布形状ほど,大きな間隙径を有 するだけでなく,間隙空間の連続性が高いことを明らかにした.さらに,平均配位数が高

く粒子骨格構造の安定度が高い条件にある材料ほど耐内部浸食性が高いことを示した.

 また,豪雨・洪水時などの急速な透水作用,長時間の作用や繰り返し作用など透水力の 載荷履歴が内部浸食に与える影響について調べた.急速載荷では載荷直後に流出量が増加 するが早く目詰りが発生すること,長時間の載荷では流出と目詰まりを繰り返すこと,透 水力の除荷時においても,目詰まり構造が崩れ,流出が発生することが明らかになり,透 水力の載荷履歴が浸食による不安定化をもたらすことが分かった.このメカニズムとして,

目詰りによる粒子のアーチ構造が,透水力増加時に比べ,外力の増減や方向の変化によっ て構造が不安定になりやすい,ということが示された.

 第3章では,従来までは着目されなかった,内部浸食による土要素レベルにおいての変 形・破壊による不安定化とそのモデル化について検討した.個別要素法を用いた内部浸食 のモデル化によって,一定応力下におけるひずみの発生と発揮できる潜在的な強度の低下 を示した.さらに,得られた挙動について限界状態土質力学に基づく整理をすることで,

内部侵食の不安定化と塑性変形とを定量的に関連付けることに成功し,構成モデルを開発 した.内部浸食の効果を粒度変化で表現し,粒度変化による材料自体の限界状態の変化と 透水性の変化を考慮した数値解析手法のフレームを提案した.さらに,提案した手法の,

堤防の基盤透水による破壊,矢板周りの浸透破壊,メタンハイドレート採掘プラント安全 性と生産性の評価,地すべりなどへの応用例を示した.

 第4章では,マクロスケールにおける検討として,都市部における埋設管渠周辺の陥没 災害を対象に,模擬管渠への粒子流出を模擬した土槽実験による検討結果を述べている.

ここでは,粒子流出による陥没に至るまでの一連の現象を再現し,水の流速,内部浸食速 度,粗粒分の移動,ひずみ速度,空洞の進展速度を定量化した.この結果から,様々なス ケールの現象が相互作用しながら陥没という崩壊現象に至ることを示した.また,空洞の 強度を模型実験によって調べ,空洞形状,含水比,土被り層厚の影響をまとめた.この結 果と空洞進展のメカニズムを踏まえ,埋設管渠周辺の陥没災害を対象に,空洞調査方法や 空洞調査後に空洞の進展速度を予測し管理上対処する時期を判断する方法を検討してい

る.

 第5章では,本論文のまとめを述べている.陥没災害について,粒度分布形状と間隙構

造特性に関するミクロスケールの考察,内部浸食による土要素のスケールの不安定化,地

盤スケールでのゆるみや空洞進展などの不安定化など,マルチなスケールで陥没発生のメ

カニズムを考察し,それに基づく陥没発生予測に関する結果をまとめている.

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論文審査結果の要旨

 都市部を中心に頻発する地盤の陥没災害は,現在全国で年間4000件もの発生が報告されており,今 後は高度経済成長期に布設された下水インフラの経年劣化に伴う発生数の増加を未然に防ぐ対策が求 められている.また,陥没災害の発生場所は,下水道だけでな。く水位変動を受ける護岸背後地盤等の 水際でも多く発生している.この問題の難しさは,内部浸食という粒子移動のミクロなスケールのお ける数十年に渡る期間の後,数日間という短い時間スケールの申で陥没発生に至る時間的・空間的な

点にある.

 本論文の目的は,陥没災害の被害軽減と有効な対策方法を提案するために,陥没災害に関する様々 なスケールにおける検討だけでなく,そのスケール間をっなぐメカニズムの解明としている.また,

その検討においては,模型実験と数値解析の両面からなされている.

 本研究により得られた研究成果は以下のとおりである.

 ミクロスケールにおける成果として,粒子の流出に関するK斑nyらの粒子流出に関する安定・不安 定な粒度分布という成果をもとに,模型実験では粒子の移動量とその速さを粒子一粒の移動の観察す ることや,数値解析を用いて間隙構造の連続性と粒子の拘束度合いと示す配位数といった定量的な比 較から内部浸食に強い粒度分布の判定基準を示している.さらに,既往の研究では示されていなかっ た進行速度という観点について,粒子の移動量と粒子濃度を用いて算出する方法を提案している.ま た,護岸背後の埋戻土の陥没について発生しやすくなる点にっいて,豪雨・洪水時などの急速な透水 作用,長時間の作用や繰り返し作用など透水力の載荷履歴が内部浸食に与える影響を定量的に示した.

急速載荷では載荷直後に流出量が増加するが早く目詰りが発生すること,透水力の除荷時においても,

目詰まり構造が崩れ,流出が発生することが明らかになり,透水力の載荷履歴が浸食による不安定化 をもたらすことが分かった.このメカニズムとして,目詰りによる粒子のアーチ構造が,透水力増加 時に比べ,外力の増減や方向の変化によって構造が不安定になりやすい,ということが示された.

 要素レベルの成果として,実験等で報告されている強度低下を踏まえ,内部浸食による変形・破壊 による不安定化メカニズムとそのモデル化について検討している.個別要素法を用いた内部浸食のモ デル化によって,一定応力下におけるひずみの発生と発揮できる潜在的な強度の低下を示した.さら に,得られた挙動について限界状態土質力学に基づく整理をすることで,内部侵食の不安定化と塑性 変形とを定量的に関連付けることに成功し,構成モデルを開発した.内部浸食の効果を粒度変化で表 現し,粒度変化による材料自体の限界状態の変化と透水性の変化を考慮した数値解析手法のフレーム

を提案した.

 マクロスケールにおける検討として,都市部における埋設管渠周辺の陥没災害を対象に,模擬管渠 への粒子流出を模擬した土槽実験による検討結果を述べている.ここでは,粒子流出による陥没に至 るまでの一連の現象を再現し,水の流速,内部浸食速度,粗粒分の移動,ひずみ速度,空洞の進展速 度を定量化した.この結果から,様々なスケールの現象が相互作用しながら陥没という崩壊現象に至 ることを示した.また,空洞の強度を模型実験によって調べ,空洞形状,含水比,土被り層厚の影響 をまとめた.この結果と空洞進展のメカニズムを踏まえ,埋設管渠周辺の陥没災害を対象に,空洞調 査方法や空洞調査後に空洞の進展速度を予測し管理上対処する時期を判断する方法を提案している.

 以上の結果に基づき,本論文で得られた知見は工学的応用価値が十分にあり,博士(工学)論文と

して十分価値あると認める.

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