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学位名 博士(工学)

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Academic year: 2021

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名古屋工業大学学術機関リポジトリ Nagoya Institute of Technology Repository

リン酸カルシウム骨ペーストの硬化特性に対する影 響因子に関する研究

著者 澤村 武憲

学位名 博士(工学)

学位授与番号 13903甲第1036号 学位授与年月日 2016‑03‑23

URL http://doi.org/10.20602/00003239

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学位の種類 学位記番号

学位授与の日付 学位授与の条件 学位論文題目

サワムラ タケノリ

澤村 武憲

博士(工学)

博第1036号 平成28年3月23日

学位規則第4条第1項該当 課程博士

リン酸カルシウム骨ペーストの硬化特性に対する影響因子に関する 研究

(lmProving the setting ProPerties of calcium PhosPhate

ce田el]ts)

論文審査委員 主査 教授   春日 敏宏

准教授  橋本 忍 准教授  前田 浩孝

論文内容の要旨

 本研究は、リン酸カルシウム骨ペースト(cPC)の臨床応用において、骨補填材としての有 用性を向上させることを目的とし、CPCの硬化特性に影響を及ぼす要因を制御すると共に、

臨床応用に要求される様々な特性に対する最適な材料設計についてまとめたものである。

各章は次のように要約される。

 第1章は序論であり、近年の高齢化社会が及ぼす骨疾患への影響及びその治療に必要と される骨補填材の研究動向について概説した。また、CPCの硬化原理並びに先行研究にっ いて言及した上で、 CPCを骨補填材とすることの医療的価値及び臨床応用における課題に ついて述べ、本研究の目的を示した。

 第2章では、リン酸四カルシウム(TeCP)及び無水リン酸水素カルシウム(DCPA)を粉体成 分とするCPCにおいて、 DC胞Aの粉体特性の制御による硬化時間及び形態付与性への影響

について述べた。DCPA原料を純水申、若しくはエタノール中で粉砕後、乾燥することに より、形態が異なる2種類のDCPAの調製が可能であることを見出した。また、 CPCの硬 化時間はDCPAの平均粒子径に依存し、 DCPAが微細なほど短縮することを示した。一方、

DCPA原料を純水で粉砕したDCPAは二次粒子を形成しているため、これをCPC原料と

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することによりCPC混練体の形態付与性が向上することを見出し、 DCPAの微細化かつ二 次粒子の形成がCPCの硬化時間の短縮及び形態付与性の向上に繋がることを明らかにし

た。

 第3章では、CPCの成形後の形状の維持を目的として、上記のCPCに対して初期硬化 の過程で異なった温度で加熱することによるCPC硬化体の圧縮強度及び水和反応への影響 を述べた。初期加熱後は、温度の上昇に伴い、高い圧縮強度を示したが、37℃のSBFに 24h浸漬後は、温度の上昇と共に、圧縮強度の増加が抑制されることを明らかにした。 CPC の初期加熱は、形状を維持した状態でのCPCの骨欠損部への補填を可能とし、補填後の崩 壊抑制が期待できるが、水和反応の抑制に繋がることを示した。

 第4章では、CPC硬化体の強度特性の向上を目的として、 CPCへのメグルミンの添加に おける硬化特性への影響を述べた。メグルミンがCPC混練体中でのCPC粉体の分散に寄 与し、混練に必要な液量の低減及びこれによる硬化体の嵩密度の上昇が、硬化体の圧縮強 度の上昇に繋がることを見出した。又、メグルミン添加による硬化環境のpH上昇が著しい 硬化時間の遅延を招くものの、更にクエン酸を添加することたより、硬化時間は短縮し、

その際のCPC硬化体の圧縮強度は、メグルミンのみを添加した際と同等であることを示し、

メグルミンを用いたCPCは骨と同等以上の強度を早期に発現し、又、適切な硬化時間を有 することを明らかにした。

 第5章では、高分子繊維によるCPCの強化について、生体吸収性高分子であるポリヒド ロキシアルカノエート短繊維とCPCの複合化による力学特性の向上について述べた。3一ヒ ドロキシ酪酸4ヒドロキシ酪酸共重合体のCPCとの複合化はCPCの硬化反応を阻害する ことなく、また、破壊時に生じるクラックを繊維が繋ぎ止めることにより圧縮破壊におけ るCPCの崩壊を抑制することを明らかにした。これにより3一ヒドロキシ酪酸4七ドロキシ 酪酸共重合体がCPCの強化繊維として有用であることを見出した。

第6章は総括であり、本研究の成果をまとめた。

 以上のように、本論文はCPCの臨床応用おける課題に対して、硬化特性を制御すると共

にその他の要求特性を充足することを可能とする要因を明らかにしており、骨補填材とし

ての有用性を高める上で実用的にも評価できる。

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論文審査結果の要旨

 本研究は、リン酸カルシウム骨ペースト(CPC)の臨床応用において、骨補填材としての有用性を向上 させることを目的とし、CPCの硬化特性に影響を及ぼす要因を制御すると共に、臨床応用に要求される 様々な特性に対する最適な材料設計についてまとめたものである。各章は次のように要約される。

 第1章は序論であり、近年の高齢化社会が及ぼす骨疾患への影響及びその治療に必要とされる骨補 填材の研究動向について概説した。また、CPCの硬化原理並びに先行研究にっいて言及した上で、 CPC

を骨補填材とすることの医療的価値及び臨床応用における課題にっいて述べ、本研究の目的を示した。

 第2章では、リン酸四カルシウム(TeCP)及び無水リン酸水素カルシウム(DCPA)を粉体成分とするCPC において、DCPAの粉体特性の制御による硬化時間及び形態付与性への影響にっいて述べた。 DCPA原料 を純水中、若しくはエタノール中で粉砕後、乾燥することにより、形態が異なる2種類のDCPAの調製が 可能であることを見出した。また、CPCの硬化時間はDCPAの平均粒子径に依存し、 DCPAが微細なほど短 縮することを示した。一方、DCPA原料を純水で粉砕したDCPAは二次粒子を形成しているため、これを CPC原料とすることによりCPC混練体の形態付与性が向上することを見出し、 DCPAの微細化かつ二次粒 子の形成がCPCの硬化時間の短縮及び形態付与性の向上に繋がることを明らかにした。

 第3章では、CPCの成形後の形状の維持を目的として、上記のCPCに対して初期硬化の過程で異なっ た温度で加熱することによるCPC硬化体の圧縮強度及び水和反応への影響を述べた。初期加熱後は、温 度の上昇に伴い、高い圧縮強度を示したが、37℃のSBFに24h浸漬後は、温度の上昇と共に、圧縮強度 の増加が抑制されることを明らかにした。CPCの初期加熱は、形状を維持した状態でのCPCの骨欠損部 への補填を可能とし、補填後の崩壊抑制が期待できるが、水和反応の抑制に繋がることを示した。

 第4章では、CPC硬化体の強度特性の向上を目的として、 CPCへのメグルミンの添加における硬化特 性への影響を述べた。メグルミンがCPC混練体中でのCPC粉体の分散に寄与し、混練に必要な液量の低 減及びこれによる硬化体の嵩密度の上昇が、硬化体の圧縮強度の上昇に繋がることを見出した。又、

メグルミン添加による硬化環境のpH上昇が著しい硬化時間の遅延を招くものの、更にクエン酸を添加 することにより、硬化時間は短縮し、その際のCPC硬化体の圧縮強度は、メグルミンのみを添加した際

と同等であることを示し、メグルミンを用いたCPCは骨と同等以上の強度を早期に発現し、又、適切な 硬化時間を有することを明らかにした。

 第5章では、高分子繊維によるCPCの強化について、生体吸収性高分子であるポリヒドロキシアルカ ノエート短繊維とCPCの複合化による力学特性の向上にっいて述べた。3一ヒドロキ・シ酪酸4一ヒドロキシ 酪酸共重合体のCPCとの複合化はCPCの硬化反応を阻害することなく、また、破壊時に生じるクラック

を繊維が繋ぎ止めることにより圧縮破壊におけるCPCの崩壊を抑制することを明らかにした。これによ り3一ヒドロキシ酪酸4一ヒドロキシ酪酸共重合体がCPCの強化繊維として有用であることを見出した。

 第6章は総括であり、本研究の成果をまとめた。

 以上のように、本論文はCPCの臨床応用おける課題に対して、硬化特性を制御すると共にその他の要 求特性を充足することを可能とする要因を明らかにしており、骨補填材としての有用性を高める上で 実用的にも評価できる。これらは、4編の有審査論文(うち、第1著者3編)としてまとめられている。

よって、本論文は、学位論文として十分価値あるものと認められる。

参照

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