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Effect of overexpression of lipoprotein lipase (LPL) on Aβ burden and memory function in LPL and APP-double-transgenic mice ( LPL 高発現マウスおよびLPL/APP ダブルトランスジェニックマウスを用 いたLPLのAβ沈着および認知機能への影響)<内容の要旨及び審査結果の要旨>

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Academic year: 2021

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Nagoya City University Academic Repository

学 位 の 種 類 博士 (医学) 報 告 番 号 甲第1578号 学 位 記 番 号 第1133号 氏 名 布目 真梨 授 与 年 月 日 平成 29 年 3 月 24 日 学位論文の題名

Effect of overexpression of lipoprotein lipase (LPL) on Aβ burden and memory function in LPL and APP-double-transgenic mice

( LPL 高発現マウスおよび LPL/APP ダブルトランスジェニックマウスを用 いた LPL の Aβ沈着および認知機能への影響)

Journal of Systems and Integrative Neuroscience, 2 (4): 213-218, 2016

論文審査担当者 主査: 道川 誠

(2)

論 文 内 容 の 要 旨 【背景と目的】 Lipoprotein lipase (LPL)は、その大部分が脂肪組織や筋組織に発現しており、血中のリポタン パク質中の中性脂肪(トリグリセリド)を加水分解することが知られている。また、脳組織にも 多く存在しているが、その役割はまだ知られていない。これまでの研究で我々は、アストロサイ トの初代培養系において LPL がアミロイドタンパク質(Aに結合し細胞内に取り込む働きがあ ることを明らかにした。 そこで本研究では、LPL およびアルツハイマー病モデルマウスであるアミロイド前駆タンパ ク質 (APP)を高発現させる遺伝子組み換え(トランスジェニック:Tg)マウスを生成し、LPL を高発現させることによるA沈着や認知機能への影響について、生化学的分析及び行動試験を行 い、検討した。 【方法】 APP-TG マウス及び LPL/APP ダブル Tg マウスの作成を行い、15 ヶ月齢にて以下の試験・分 析を行い検討した。 Ⅰ. 行動試験による認知機能障害の確認 ⅰ. 新奇物体試験:マウスが新しいものに興味を示す性質を利用。物体を交換したり物体の位 置を移動させることで物体認識と位置認識の機能を評価。 ⅱ. 受動回避試験:マウスが暗室を好む性質を利用。電気刺激を行い、嫌悪刺激に対する回避 行動をマウスに記憶させ記憶機能を評価。 Ⅱ. 脳組織の生化学的分析 取り出した脳組織(大脳皮質および海馬)をホモジネートし、ELISA を用いて A1-40 及び A1-42 の測定を行い、それぞれのレベルを比較した。 Ⅲ. 脳組織の免疫組織学的分析 取り出した脳組織をパラフィン固定し、A 抗体である 82E1 を用いて免疫組織学的染色を行い Aの沈着を解析した。 【結果】 LPL の発現レベルは APP-Tg マウス脳と比較して LPL/APP ダブル Tg マウス脳の方が高かっ た。これにより、LPL 高発現マウス作成に成功したことを確認した。ELISA 法による A1-40 と A1-42 定量では、脳内における A1-40 と A1-42 のレベルは予想に反して両マウス間において 統計学的に有意な変化は見られなかった。更に、それぞれの脳組織の免疫組織学的分析を行った 場合にも同様にAの沈着レベルは変わらなかった。一方で、受動回避試験では、APP-Tg マウス では認知機能障害が認められ、LPL/APP-ダブル Tg マウスではその障害が改善された。それに対 して、新奇物体試験では両マウス間における認知機能に著しい違いは見られなかった。 【考察】 これらの結果より、LPL は培養細胞系と大きく異なり、脳内において細胞外 Aを除去するた めの重要な役割を果たしてはいないと考えられた。これは他の A分解酵素、(neprilysin, angiotensin-converting enzyme :ACE, endothelin-converting enzyme, gp130, insulin-degrading enzyme :IDE)などの影響が大きいため LPL の作用が相対的に小さいことを 示唆している。一方、LPL/APP ダブル Tg マウスにおいて APP-Tg マウスにおける認知機能障害 を減弱させる効果が認められた点については、単なるA沈着によるものではなく、毒性の強い可 溶性A oligomer レベルなどに影響し、神経細胞、シナプス障害に対して保護的に作用している 可能性が残る。

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論文審査の結果の要旨 審査会では、学位申請者の布目真梨から、以下に要約するような内容の研究成果発表が 20 分 間あり、その後、審査委員から質疑と申請者による応答が行われた。  【背景と目的】Lipoprotein  lipase  (LPL)は、その大部分が脂肪組織や筋組織に発現しており、 血中のリポタンパク質中の中性脂肪(トリグリセリド)を加水分解することが知られている。 また、脳組織にも多く存在しているが、その役割はまだ知られていない。これまでに、申請者 の所属する研究グループでは、アストロサイトの初代培養系において LPL がアミロイド β タ ンパク質(Aβ)に結合し、細胞内に取り込む働きがあることを明らかにした。本研究では、 LPL およびアルツハイマー病モデルマウスであるアミロイド前駆体タンパク質(APP)を高発現 させる遺伝子組み換え(トランスジェニック:Tg)マウスを生成し、LPL を高発現させること による Aβ 沈着や認知機能への影響について、生化学的分析及び行動試験により検討した。  【方法】APP‐TG マウス及び LPL/APP‐ダブル Tg マウスの作成を行い、15 ヶ月齢にて以下の 試験・解析を行った。Ⅰ.認知機能障害は、新奇物体試験ならびに受動回避試験により評価し た。Ⅱ.  脳組織の生化的解析は、脳組織(大脳皮質および海馬)をホモジネートし、ELISA 法 を用いて Aβ1‐40 及び Aβ1‐42 を定量し、それぞれのレベルを比較した。Ⅲ. 脳組織の免疫組 織学的分析として、取り出した脳組織をパラフィン固定し、Aβ 抗体である 82E1 を用いて免疫 組織学的染色を行い Aβ の沈着を解析した。  【結果】LPL の発現レベルは APP‐Tg マウス脳と比較して LPL/APP ダブル Tg マウス脳の方 が高かった。これにより、LPL 高発現マウス作成に成功したことを確認した。ELISA 法による Aβ1‐40 と Aβ1‐42 定量では、脳内における両者のレベルは予想に反して両マウス間において統 計学的に有意な変化は見られなかった。更に、それぞれの脳組織の免疫組織学的分析を行った 結果も同様に Aβ 沈着レベルは変わらなかった。一方、受動回避試験では、APP‐Tg マウスで は、認知機能障害が認められ、LPL/APP‐ダブル Tg マウスではその障害が改善された。それに 対して、新奇物体試験では両マウス間における認知機能に著しい違いは見られなかった。  【考察】これらの結果より、LPL は培養細胞系と異なり、脳内において細胞外 Aβ 除去には大 き な 役 割 を 果 た し て は い な い と 考 え ら れ た 。 こ れ は 他 の Aβ 分 解 酵 素 ( neprilysin,  angiotensin‐converting  enzyme,  endothelin‐converting  enzyme,  gp130,  insulin‐degrading  enzyme)などの影響が大きいため LPL の作用が相対的に小さいことを示唆していると考えら れた。一方、LPL/APP ダブル Tg マウスにおいて APP‐Tg マウスにおける認知機能障害を減弱 させる効果が認められた点については、単なる Aβ 沈着によるものではなく、毒性の強い可溶 性 Aβ  oligomer レベルなどに影響し、神経細胞、シナプス障害に対して保護的に作用している 可能性が残ると考えられた。  【審査会での質疑応答】最初に、第一副査の松川教授から、プロモーターの知識の確認に関す る質問、新奇物体試験と受動回避試験の結果が違うのはなぜか、今後の発展性についてなど 12 問の質問があった。次に、主査の道川から、アルツハイマー病発症の分子メカニズムについ て、今回の研究はそのどこに位置するか、LPL の認知症改善のメカニズムとして何が考えら れ、それをどう証明したらよいか、など 4 問の質問がなされた。最後に第 2 副査の上島教授か らは、認知症発症に影響する可能性を持つ環境因子について、化合物や因子の量反応関係につ いて、今後の研究の発展性についての 3 問の質問がなされた。それぞれの質問に対して、適切 に回答できないものもあったものの、今回の研究内容に関しては、十分に把握できていると判 断し、LPL のアルツハイマー病における役割に新知見を明らかにした申請者は、学位授与審査 試験に合格したと判定した。 論文審査担当者 主査 道川 誠 副査 松川則之、上島通浩

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