52-1
鉄筋内蔵 CFT 継手のせん断強度に関する実験的研究
長嶋 龍太朗 1. はじめに 本研究は、コンクリート充填鋼管(CFT)部材を鋼管の溶接 を行わずに、コンクリートに内蔵した鉄筋により応力伝達する 新しい継手方法の開発を目的とした実験的研究である。本 継手方法を用いることにより、 溶接が困難な超高強度鋼や 劣悪な気象条件下による継手、 異種構造を上下に積み重 ねた合成構造への適用が可能になる。 本研究では、 本継 手のせん断力下における基礎的な力学性状を把握するため に実施した曲げせん断実験の結果を示し、実験結果と鋼管 横補強RC部材に関する既往の研究の知見を加えることで、 本継手のせん断強度について考察するものである。 2. 実験概要 試験体の一覧を表1に、試験体形状およびその寸法を図 1 に示す。 実験変数は、 鋼管の断面形状(角形 ・ 円形)と幅 厚比である。 材軸中央の継手部では、 鋼管を直接接合せ ず10mmの隙間を空けており、鋼管端部にはリブプレートを 片側すみ肉溶接した。載荷は5000kN万能試験機を用いて 単調載荷した。 反曲点位置を継手部中央に設け、 試験部 分のせん断スパン比 a/D を 1.0(a : せん断スパン ,D:試験体 のせい)とし、 試験部分に載荷荷重Pの半分のせん断力(P/ 2) を生じさせた。 図 2 に示す測定装置により、 試験部分の 材軸直交方向の相対変位 () および材軸方向の相対変位 (1,2) を測定した。 また、 鉄筋に 1 軸ゲージを、 鋼管のフ ランジに2軸ゲージを、 ウェブに3軸ゲージを貼付してそれ ぞれのひずみを測定した。 3. せん断力 - 部材角関係 図 3 にせん断力 Q と部材角 R の関係を示す。 部材角 R は、 を測定区間の長さ (600mm) で除した値である。 S-25 において、 降伏後に小刻みに荷重が増減する現象は加力 装置の不調によるものである。いずれの試験体とも大変形時 まで耐力低下を生じず、 高い変形能力を示している。 各試 験体の最大耐力は、円形断面と角形断面では円形のC-35 の耐力が幅厚比の値が径厚比の値より小さい角形のS-25よ り高く、 角形CFTでは幅厚比が小さいS-25が幅厚比が大き い S-50 より耐力が高い。 4. 破壊性状 図4に示すように継手中央部では鋼管に上下のずれが生 じている。 角形 CFTでは鋼管フランジの中央が膨らんでい るが、 円形 CFTは目立った鋼管の膨らみは確認できない ( 表 2 参照 )。 図 5 に角形 CFTのコンクリートのひび割れ状 況を示す。 角形CFTは、 継手中央部に材軸方向から45~ 65°程度の斜め方向のひび割れが集中して生じている。試 験部分の端部では載荷点と支点を結ぶ方向に材軸方向から 30°程度の斜め方向の小さな幅のひび割れが生じている。 ※sy:鋼材の降伏応力度、su:鋼材の引張強さ、 :ポアソン比、 B:コンクリートの圧縮強度 ※ 1:□ -300 × 12 および○-318.5 × 9 の鋼管では、 明確な降伏棚が見られなかったため、 0.2%オフセット法より求めた。 ※2:降伏応力度をヤング係数実測値で除した値としている。 ※ 3:ヤング係数実測値とポアソン比を用いて、 E/(2(1+))で算定した値としている。 表 1.試験体一覧 3 0 0 3 1 8 .5 16-D19 14-D19 0 500 1000 1500 2000 0 5 10 15 20 25 30 S-25(B/t=25) S-50(B/t=50) C-35(D/t=35) 部材角R(rad) せ ん断 力 Q (k N ) S-25のRC終局せん断耐力計算値 S-50のRC終局せん断耐力計算値 C-35のRC終局せん断耐力計算値 最大耐力点 (x10-3) 図 3. せん断力 Q と部材角 R の関係 図 1.試験体形状およびその寸法(正面) 寸法単位:mm 図 2.測定装置 1900 3 0 0 3 6 0 100 10 300 300 600 600 Rib Plate PL-12×30 l = 40d PL-32 高強度鋼棒36φ PL-28 Reinforcment PL-16×100×340PL-16×100×100 1 5 0 試験部分 P/4 P/4 3P/4 3P/4 載荷点 支点 寸法単位:mm コンクリート 断面寸法 (公称値) (mm) sy su (N/mm2) ヤング 係数E (x105 N/mm2 ) 降伏*2 ひずみ (%) せん断*3 弾性係数G (x104 N/mm2 ) sy su (N/mm2) ヤング 係数 (x105 N/mm2 ) 降伏*2 ひずみ (%) B (N/mm2) S-25 □-300×12 360*1 460 1.90 0.32 0.19 7.20 S-50 □-300×6 326 437 1.84 0.30 0.18 7.08 C-35 ○-318.5×9 345*1 410 1.61 0.29 0.21 6.28 試験 体名 709 893 1.97 0.36 71.2 鋼管(BCR295・STK400) 内蔵鉄筋(USD685(ネジ節)) 300 300 3 0 0 アングル アングル 部材角R=δ/600 変位計A(δ) 変位計B(δ2) 変位計B(δ1)52-2 また、幅厚比によるひび割れ角度の差異は明確には確認で きない。 角形 CFTで角度が異なる斜め方向のひび割れが 生じていることは、せん断力の伝達機構が複雑なものである ことを示唆している。 5.鉄筋のひずみ性状と鋼管ウェブの応力度 図 6 に継手中央部の内蔵鉄筋の軸方向ひずみ r と部材 角 R の関係を示す。 継手中央部では、 すべての内蔵鉄筋 に引張ひずみが生じている。角形CFTのrの最大値は、表 1 に示す降伏ひずみの6割程度であるため、 鉄筋は降伏し ていないと考えられる。 また、 rの値は、 幅厚比による違い は明確には確認できない。 円形CFTのrの値は、 角形CFT よりも大きく、 降伏ひずみに達しているものもある。 鋼管表面に貼付したひずみゲージの測定値 (ウェブ2面 の測定値の平均値)から、平面応力状態と線形弾性体を仮 定して算定した、 軸方向応力度 eL、 直交方向応力度eT、 せん断応力度 eと部材角R の関係を図 7 に示す。 Eおよび は材料実験から得た値を用いた。ミーゼスの降伏条件を用 いて降伏判定を行ったところ、 円形 CFTでは降伏を生じて いた。 角形 CFTでは、eLは部材角が小さい範囲は引張応 力が増大していくが、部材角が大きくなると減少に転じてい る。 eTは部材角が大きくなるとともに引張応力が増大してお -50 0 50 100 150 0 5 10 15 20 25 S-25(B/t=25) S-50(B/t=50) C-35(D/t=35) 軸方向応力度 e L (N /m m 2) 最大耐力点 (x10-3) 部材角R(rad) 図 7. 鋼管ウェブのeL、eTおよびe と部材角 R の関係 (a)軸方向応力度eL (b)直交方向応力度eT -50 0 50 100 150 0 5 10 15 20 25 せ ん 断 応 力 度e ( N /m m 2) 部材角R(rad) (x10-3) 最大耐力点 (c)せん断応力度e -50 0 50 100 150 0 5 10 15 20 25 直交方向応力度 e T (N /m m 2) 最大耐力点 (x10-3) 部材角R(rad) 55 190 3P/4 105 135 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 0 5 10 15 20 25 30 上端筋(内) 上端筋(外) 下端筋(内) 下端筋(外) 中段鉄筋 鉄筋の降伏ひずみ 最大耐力点 (x10-3) 部材角R(rad) 軸 方 向 ひ ず みr ( ) 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 0 5 10 15 20 25 30 上端筋 中段鉄筋 下端筋 鉄筋の降伏ひずみ 最大耐力点 (x10-3) 部材角R(rad) 軸 方 向 ひ ず みr ( ) 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 0 5 10 15 20 25 30 上端筋(内) 上端筋(外) 中段鉄筋 下端筋(外) 下端筋(内) 軸方向ひず みr ( ) (x10-3) 部材角R(rad) 鉄筋の降伏ひずみ 最大耐力点 図 6. 継手中央部の鉄筋の軸方向ひずみr と部材角 R の関係 (b)S-50 (a)S-25 (c)C-35 外 外 内 内 表2.継手部の鋼管のずれ(mm) 図 4.鋼管のずれ(S-25の正面) ※ 2:測定位置を左図 に示す。 なお円形は 白丸で示す。 ※1:右側鋼管に対して 左側鋼管 が下がって いる場合の相対変位を 正とする。 A点 C点 B点 フランジ C点(円形) A点(円形) (a)S-25(背面) (b)S-50(背面) 図 5.コンクリートのひび割れ状況 り、 幅厚比が大きいS-50の方が値が大きい。eは部材角が 小さい範囲は増大していくが、降伏後はほぼ一定である。ま た、 幅厚比による違いは明確ではない。 円形CFTでは、 降 伏を生じるまで部材角が大きくなるとともに eL、eTおよびe が増大している。 6. 本継手と鋼管横補強 RC 部材の比較 本継手と類似している鋼管横補強RC部材の既往の実験 結果1)2)3)4)を用いて、 力学性状やせん断強度について比較 する。 対象とする試験体は、 表3に示す文献にてせん断破 壊したと記述されていた11体で、全てせん断スパン比が1.0 である。 なお、 すべての試験体は一定圧縮軸力下で水平 力を静的繰り返し載荷されたものである。 実験結果とし ては大変形時にも耐力低下を生じず、高い変形能力を示し ており、 図8 に文献1の破壊性状の一例を示すが、 材軸方 向から20~30°程度の斜め方向のひび割れが発生してい る。 この斜め方向のひび割れは、 本継手の継手中央部分 に発生しているひび割れの角度より角度が小さく、せん断力 の伝達機構が本継手と鋼管横補強RC部材とで異なることを 示唆している。 図9に鋼管横補強RC部材の終局せん断耐 力Q suを比較的精度良く算定できるとされている 2)修正大野・ 荒川式を用いて算定したQsuに対する最大せん断力実験値 S-25 S-50 C-35 A点 3.0 5.0 3.0 B点 2.0 -1.5 3.0 C点 3.0 5.5 3.0 A点 2.0 6.0 2.5 B点 -0.5 0.0 2.0 C点 3.0 6.0 2.0 上 フランジ 下 フランジ 試験体 図 8. 鋼管横補強 RC 部材の 破壊性状の一例(文献1) eQuの比eQu/Qsuと幅厚比B/tの関係 (T6-33-2D(B/t=43)のひび割れ状況を引用) 25°
52-3 図10. せん断力の伝達機構の仮定 載荷荷重 :3P/4=cP T1+cPA1+sPL1、 P/4=cPT2+cPA2+sPL2 sPL1,sPL2: 鋼管が負担する力、cPT1,cPT2,cPA1,cPA2: コンクリートが負担する力 T: 鋼管に生じる直交方向応力度、 L1,L2: 鋼管に生じるせん断応力度 T A,TT,TL: 各機構に生じる引張力、 CA1,CA2,CT1,CT2,CL1,CL2: 各機構に生じる圧縮力 A,T,L: コンクリート圧縮束の角度、 LA,LL: 各機構の長さ、 Dc: コンクリートせい を本継手の実験結果とあわせて示す。 せん断補強筋比 pw は鋼管を等量の帯筋に置換したものとしている。鋼管横補強 RC 部材は B/t の値に関わらず、eQu/Qsuの値が 1.02 ~ 1.32 程度であるが、 本継手の eQuはQsuを大きく上回っている。こ れらのことから、本継手のせん断強度を精度よく評価するた めには、せん断力の伝達機構を適切に反映した他の方法を 取る必要があると考えられる。 7.せん断強度の決定要因 本継手の耐力評価方法を探るために、比較的評価が容易 だと考えられる角形CFTを対象として検討を行う。本継手の せん断強度を決定づける要因として、 充填コンクリート内に 形成される圧縮束の破壊、鋼管ウェブの降伏、内蔵鉄筋の 引張降伏、 リブプレート部分におけるコンクリートの支圧破 壊、圧縮束が及ぼす面外方向の力による鋼管フランジの局 部的な降伏が考えられる。 角形 CFTの実験では、 内蔵鉄 筋および鋼管ウェブは降伏しておらず、2段目のリブプレー ト支圧面ではコンクリートはほとんど破壊してない。一方、充 填コンクリートには斜め方向のひび割れが多くみられ、継手 中央部でずれが生じ、鋼管フランジの中央が膨らんでいる。 従って、耐力が充填コンクリート内に形成される圧縮束の破 0.8 1.2 1.6 2.0 2.4 2.8 20 40 60 80 100 120 0.20 0.33 0.35 0(本継手) e Qu /Q su B/t 軸力比 1.0 S-25 S-50 図 9.eQu/Qsuと B/t の関係 壊あるいは面外力による鋼 管フランジの降伏により決定 されたのではないかと考えら れる。 ここでは、 鋼管フラン ジの降伏により耐力が決定さ れていたとしても、 いわゆる せん断強度としての評価は 安全側になると考えられるこ とから、 コンクリートが破壊したものとして検討を進める。 8.せん断力伝達機構の仮定 せん断耐力の評価方法を確立するにあたり、本継手のせ ん断力の伝達機構を図10のように仮定し、それらのせん断 力を足し合わせることでせん断強度が決まるとする。 即ち、 載荷点からコンクリート圧縮束により伝達され、 継手内にて 鋼管ウェブにより引張り上げられ、再度コンクリート圧縮束に より支点までせん断力(図(a)中のQT)が伝達される機構(以 後トラス機構と呼ぶ)、 載荷点と支点を結ぶコンクリート圧縮 束により直接せん断力(図(b)中のQ A)が伝達される機構(以 後アーチ機構と呼ぶ )、 載荷点から鋼管に力が伝達される が、継手中央部付近で鋼管の負担しているせん断力がてこ 作用によりコンクリートに伝わり、鋼管が繋がっていない部分 ではコンクリート圧縮束によりせん断力 ( 図(c) 中の QL) が伝 達される機構 ( 以後てこ機構と呼ぶ) が存在するとし、 以下 の式により評価する。 なお、 図中においてコンクリート圧縮 束を単に線で示しているが、実際にはある幅をもって存在し ているものである。 ここで、 Qu:せん断強度 (N)、 QT、 QA、 QL:各機構が負担 するせん断力 (N)、 cT、cA、cL:各機構のコンクリート圧縮 束に生じる応力度 (N/mm2)、 b c:コンクリート幅(mm)、 T:鋼 管の直交方向応力度 (N/mm2)、 p w:2t/bc(t: 鋼管の厚さ (mm))、 LA、 LL:アーチ機構とてこ機構の長さ (mm)、 c:コ ンクリート強度有効係数、 B:コンクリート圧縮強度(N/mm 2)、 Tu:継手中央部の全鉄筋に生じる引張力 (N)、 TT、 TA、 TL: 各機構の圧縮束により生じる引張力(N)である。(2)(3)(4) 式は、 文献 6 に示されているせん断強度式における右辺1 項と2項のトラス機構とアーチ機構が負担するせん断力の評 価式を参考としている。(2)式は、本継手の横補強の位置が RC部材と異なることからDcを用いて、 簡略化のためTを45 °としている。(5)式のコンクリート有効圧縮強度 cBは、簡 略化のため各機構の角度の違いは無視し、コンクリート圧縮 束に生じる応力度の足し合わせとしている。 9.せん断力伝達機構に関する考察 せん断力の伝達機構の仮定に基づき、せん断強度を算定 するにはてこ機構の圧縮束角度Lとコンクリート強度有効係 (a) (b) (c) (1)
bD /2
tan QAcA A c c L A T u Q Q Q Q L c A c T c B c ν c A 2 c A A (L /D ) 1 L /D tan
T
2 c c T c T bD /1 tan Q
T
w T 2 T c 1cot p L A T u T T T T
bD /2
tan QLcL L c c c L 2 c L L (L /D ) 1 L /D tan (2) (3) (4) L L L A A A T TT Q /tan ,T Q /tan ,T Q /tan
T (5) (6) (7) (8) (9) (10) cPA2 TA/2 TL/2 QL CL1 φA φL CA2 TA/2 cPA1 cPA1 cPA2 QL sPL2 sPL1 sPL1 sPL2 QL QL CA1 CA2 てこ作用 による伝達 鋼管 コンクリート コンクリート コンクリート アーチ作用 による伝達 CL2 LL LA=600mm Dc Dc CA1 TA QA 載荷点 支点 載荷点 支点 cPT2 φA cPT1 cPT1 cPT2 CT1 コンクリート トラス作用 による伝達 Dc 載荷点 支点 CT1 σT σT TT 鋼管によるもの Dc・cotφT CT1 TT QT TT CT2 CT2 φA CL2 TL/2 CL1 TL QL τL2 τL2 τL1 τL2 τL2 τL1 τL1 τL1
52-4 数cを確定する必要がある。 そこで、(4)式のQLと(5)式の Tを、 最大耐力時にひずみゲージ貼付位置における鋼管 ウェブのせん断力 sQと直交方向応力度eTとして検討する。 図11に試験部分に生じているせん断力Qに対するsQ (=QL と仮定 ) の比sQ/Q および QTの比 QT/Q と部材角 R の関係を 示す。 5節で述べた eにウェブの断面積を乗じてsQを、(2) 式によりQ Tを算定した。sQ/Qは部材角が大きくなるとほぼ一 定となっており、 sQ/Q の値はS-25 では0.47、 S-50 では0.40 である。QT/Qは部材角が大きくなるとともに増大しており、最 大耐力時の Q T/Q の値は S-25 では 0.22、 S-50 では 0.28 で ある。 以上の仮定を用いて、 Lと cを算出する。 (5)式により cTを求め、(2)式により QTを算出する。 QT、 QL、 最大せん断力実験値eQuから、(1)式によりQu=eQuとし て QAを算出する。(10)式により、 TT、 TAを求め、 最大耐 力時に継手中央部の鉄筋に生じている引張力 eTuから、(9) 式により T u=eTuとして TLを算出する。 QL、 TLから、(10)式 により Lを算出する。(3)(4)式によりcA、cLを求め、(8)式 により ecを算出する。 表 4 にその結果を示す。 どちらの試 験体もQLが最も大きく、 Lの値は鋼管横補強RC部材の斜 め方向のひび割れ角度より大きい。 鋼管横補強RC部材に はないと考えられるてこ機構により、本継手の耐力が鋼管横 補強RC部材より大きくなっていると考えている。また、幅厚 比により各機構が負担しているせん断力の割合が変化してい る。 ecは幅厚比が小さいS-25 のほうがS-50 よりも1.75倍程 度大きい。 これは、 幅厚比が小さいほうが鋼管がコンクリー トを強く拘束することと直結する。 参考文献 1) 安田健太郎他 : 鋼管横補強正方形 RC 短柱の変形性能に関す る実験的研究,コンクリート工学年次論文集,Vol.20,No.1,pp551-556,1998 2) 孫玉平他 : 正方形横鋼管横補強鉄筋コンクリート柱の耐震性能 その 3, 日本建築学会構造論文集第 547 号 ,pp.129-136,2001.3 3)Tomii M, K Sakino, Y Xiao : Ultimate Moment of Reinforced Concrete Short Columns Confined in Steel Tube, Proceedings of Pacific Conference on Earthquake Engineering, Vol.1, New
Zealand, pp.11-22, 1987.8 4) 熊本明弘他 : 鋼管横補強 RC 短柱のせん断破壊防止のための 鋼管の最適板厚に関する実験的研究その 3, 日本建築学会学 術講演梗概集 ( 中国 ),pp.853-854,1999.9 5) 高橋鉄平他 : 角形鋼管横補強 RC 柱の耐震性能に関する研究 その 1,日本建築学会学術講演梗概集 (北陸),pp.439-440,2002 6 ) 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針 ・ 同解説 ,pp.106-120,1990 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 0.55 0.6 0 5 10 15 20 25 S-25(B/t=25) S-50(B/t=50) s Q /Q 部材角R(rad) 最大耐力点 (x10-3) 図 11.sQ/Q および QT/Q と部材角 R の関係 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0 5 10 15 20 25 QT /Q 部材角R(rad) 最大耐力点 (x10-3) 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 ec1 ec2 ec pw(%) c S-25 S-50 (a)sQ/Q (b)QT/Q 表 4. せん断強度の検討 図 12.ecと pwの関係 表 3. 既往の研究の試験体諸元 文献 6 のcの算定式に基づき算定したc(=0.34)よりecが かなり大きな値であるため、 鋼管横補強 RC 部材の実験結 果を用いて、トラス機構あるいはアーチ機構のみでせん断力 が伝達されていると仮定して ec1、ec2を逆算し(算定方法は 表 3 参照 )、 比較を行う。 図 12 にec1および ec2と pwの関 係を本継手の ecとあわせて示す。ec2の値はec1より大きく、 ec1はいずれの試験体も0.5 程度であるが、ec2はpwが大き いほど高くなる傾向にある。 このことから、 トラス機構とアー チ機構が混在している部材では、アーチ機構が負担してい るせん断力が大きいほど、p wが大きいほどcが高くなると考 えられる。 本継手のせん断力の伝達機構の仮定では、 トラ ス機構、 アーチ機構、 てこ機構が混在しており、 鋼管横補 強 RC 部材の cの傾向を考慮すると、 本継手の ec(S-25: 1.28、 S-50:0.73)は、 比較的妥当な値であると考えている。 10. まとめ 本研究では、 内蔵鉄筋を用いた CFT継手のせん断力下 における力学性状を述べるとともに、せん断強度について実 験結果と既往の研究を用いて検討した。 eQu (kN) eTu (kN) QT(QT/eQu) (kN) 321 (0.22) 251 (0.28) QA(QA/eQu) (kN) 460 (0.31) 298 (0.33) QL(QL/eQu) (kN) 706 (0.47) 359 (0.40) L (deg) ec S-25 S-50 1487 908 0.73 62.6 68.1 1.28 1605 1058 ※軸力比:N/(bcDcB),bc:コンクリート幅 ,Dc:コンクリートせい ,t:鋼管の厚さ ,pw:せん断補強筋比(2t/bc),wy:鋼管の降伏応力度 ,B:コンクリー ト圧縮強度 ,eQu:最大せん断力実験値 ,Qsu:修正大野 ・ 荒川式によるせん断耐力 ,pg:主筋比(ag/bcDc),ag:主筋全断面積 ※1:文献 6 のc=0.7-B/200 で計算したもの。 ※2:トラス機構のみでせん断力が伝達されている仮定して逆算したもの (算定方法は文 献 5 を参考にした)。 ※3:アーチ機構のみでせん断力が伝達されている仮定して逆算したもの。 ※4:※2に当てはまらなかったもの。 ※2 ※3 ) 2 / p , (ec1BcT wwyc1B ( トラス機構のみ ) 0 . 1 p D b / Qu c c w wy e のとき eQubcDcec1B/2 ) D / L 1 ) D / L ( tan , ( 2 c c A c B 2 c e bD/2 tan Qu c A c c e ( アーチ機構のみ ) *4 T2.3-6D13-300 6-D13 (0.036) 27.2 124 102 (1.21) 0.56 0.43 1.88 T2.3-4D19-300 4-D19 (0.054) 29.0 129 111 (1.16) 0.56 0.45 1.84 T2.3-6D16-300 6-D16 (0.056) 27.0 141 108 (1.31) 0.57 0.49 2.16 T2.3-6D19-300 6-D19 (0.081) 28.9 137 117 (1.17) 0.56 0.48 1.96 T3.2-6D19-300 143.6 3.2 47 6-D19 (0.083) 0.045 300 31.0 166 126 (1.32) 0.55 0.49 2.29 T2-33-2D 2.17 117 0.017 323 30.3 364 302 (1.20) 0.55 - 1.63 T3-33-2D 3.11 82 0.025 285 30.4 406 318 (1.28) 0.55 0.43 1.81 T4-33-2D 4.29 60 0.034 292 29.8 390 342 (1.14) 0.55 0.42 1.77 T6-33-2D 6.09 43 0.049 305 29.3 396 375 (1.06) 0.55 0.43 1.83 T9-33-2D 9.46 28 0.076 279 27.8 410 402 (1.02) 0.56 0.47 2.00 SH-8-0.35Nc-T 3 0.35 163 6 29 8-D13 (0.038) 0.074 330 32.2 233 196 (1.19) 0.54 0.54 2.46 S-25 276 12 25 16-D19 (0.060) 0.087 360 1487 548 (2.71) 0.34 S-50 288 6 50 16-D19 (0.055) 0.042 326 908 496 (1.83) 0.34 試験体名 文献 番号 軸力 比 bc,Dc (mm) t (mm) 4 0.2 Qsu(eQu/Qsu) (kN) 316 145.4 2.3 65 0.032 eQu (kN) B/t 主筋 (pg) pw σwy (N/mm2) σB (N/mm2) - 0 71.2 1,2 0.33 250 12-D13 (0.024) c *1 ec1 *2 ec2 *3 -