「ヒト幹細胞産業応用促進基盤技術開発/
ヒト幹細胞実用化に向けた評価基盤技術の開発」
中間評価報告書
平成25年12月
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
研究評価委員会
平成25年12月
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川 一夫 殿
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
研究評価委員会 委員長 西村 吉雄
NEDO技術委員・技術委員会等規程第33条の規定に基づき、別添のとおり
評価結果について報告します。
「ヒト幹細胞産業応用促進基盤技術開発/
ヒト幹細胞実用化に向けた評価基盤技術の開発」
中間評価報告書
平成25年12月
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
研究評価委員会
目 次
はじめに
1
分科会委員名簿
2
審議経過
3
評価概要
4
研究評価委員会におけるコメント
6
研究評価委員会委員名簿
7
第1章 評価
1.プロジェクト全体に関する評価結果
1-1
1.1 総論
1.2 各論
2.個別テーマに関する評価結果
1-14
2.1
ES 細胞領域
2.2
iPS 細胞領域
2.3 滑膜由来間葉系幹細胞領域
2.4
Muse 細胞領域
2.5 間葉系幹細胞領域
3.評点結果
1-26
第2章 評価対象プロジェクト
1.事業原簿
2-1
2.分科会における説明資料
2-2
参考資料1 評価の実施方法
参考資料
1-1
参考資料2 分科会議事録
参考資料
2-1
1
はじめに
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構においては、被評価プロ
ジェクトごとに当該技術の外部専門家、有識者等によって構成される研究評価
分科会を研究評価委員会によって設置し、同分科会にて被評価対象プロジェク
トの研究評価を行い、評価報告書案を策定の上、研究評価委員会において確定
している。
本書は、
「ヒト幹細胞産業応用促進基盤技術開発/ヒト幹細胞実用化に向けた
評価基盤技術の開発」の中間評価報告書であり、第35回研究評価委員会にお
いて設置された「ヒト幹細胞産業応用促進基盤技術開発/ヒト幹細胞実用化に
向けた評価基盤技術の開発」
(中間評価)研究評価分科会において評価報告書案
を策定し、第37回研究評価委員会(平成25年12月4日)に諮り、確定さ
れたものである。
平成25年12月
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
研究評価委員会
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「ヒト幹細胞産業応用促進基盤技術開発/
ヒト幹細胞実用化に向けた評価基盤技術の開発」
中間評価分科会委員名簿
(平成25年6月現在)
氏名
所属、役職
分科
会長
上田
う え だ実
みのる名古屋大学大学院 医学系研究科 頭頸部・感覚器外科
学講座 顎顔面外科学 教授
分科会長
代理
中西
なかにし淳
あつし武田薬品工業株式会社 医学研究本部 先端科学研究所
主席研究員
委員
赤澤
あかざわ智宏
ち ひ ろ東京医科歯科大学大学院 保健衛生学研究科 分子生命
情報解析学分野 教授/副医学部長
國
くに貞
さだ隆
たか弘
ひろ岐阜大学大学院 医学系研究科 組織・器官形成分野
教授
粂
くめ昭
しょう苑
えん熊本大学 発生医学研究所 幹細胞部門
多能性幹細胞分野 教授
小室
こ む ろ一成
いっせい東京大学大学院 医学系研究科 循環器内科学 教授
中村
なかむら幸夫
ゆ き お独立行政法人理化学研究所 バイオリソースセンター
細胞材料開発室 室長
敬称略、五十音順
注*:実施者の一部と同一大学であるが、所属部署が異なるため(実施者:名
古屋大学 大学院創薬科学研究所、名古屋大学 細胞生理学研究センター、
東京大学 医学研究所、独立行政法人理化学研究所 基盤研究所)
「
NEDO
技術委員・技術評価委員規程
(平成23年7月7日改正)」第34条(評価に
おける利害関係者の排除)により、利害関係はないとする。
3
審議経過
● 第1回 分科会(平成25年6月26日)
公開セッション
1.開会、分科会の設置、資料の確認
2.分科会の公開について
3.評価の実施方法について
4.評価報告書の構成について
5.プロジェクトの概要説明
非公開セッション
6.プロジェクトの詳細説明
7.全体を通しての質疑
公開セッション
8.まとめ・講評
9.今後の予定、その他
10.閉会
● 第37回研究評価委員会(平成25年12月4日)
4
評価概要
1.総論
1)総合評価
ES/iPS 細胞のみならず、体性幹細胞の重要性にも着眼して、幹細胞領域全体
を俯瞰している見識は高く評価できる。体性幹細胞に関しては間葉系に絞って
実用化に必要な研究を進めることは、プロジェクトが散漫に陥るのを防止し、
わが国が大きく遅れを取っている間葉系幹細胞を用いた再生医療の一般化・産
業化の促進のためには正しい判断である。さまざまな幹細胞の特性を活かした、
我が国独自の培地・大量培養技術を集約的に支援する取り組みは極めて意義深
い。また、産業化に直結する技術や周辺産業の活性化につながる技術が複数創
出されており、研究成果の一部は既に製品化され、今後の再生医療への応用も
期待でき、順調に進捗しているように見受けられる。中間目標は概ね達成され
ており、評価できる。
一方、
ES 細胞と iPS 細胞、滑膜細胞と間葉系幹細胞など、技術開発が連携する
ことなく独立して走っている。細胞種が異なっても、培養法、選別法など、共
通する部分も多いので、細胞腫間での連携を密にして効率的な開発を考慮すべ
きである。また、今後のマーケット戦略や国際的な特許戦略を具体的に検討す
る必要がある。
2)今後に対する提言
世界におけるこの分野の開発競争は非常に激しい。常に世界の研究状況や市
場を予測して、ユーザーニーズを意識した開発を進めることが重要である。プ
ロジェクト前半の予算配分は適切であったと判断できる。プロジェクトの後半
においては進捗著しい領域や産業化への波及効果のある技術に重点的に追加資
金を投下し、研究開発の加速を図ることを望む。また、プロジェクトの実施期
間中であっても、開発された技術に関して、可能なものは出来るだけ早期の実
用化・ユーザー評価を進め、パブリシティーの向上を目指すべきである。
2.各論
1)事業の位置付け・必要性について
我が国が先導している
iPS を始めヒト幹細胞はこれからの再生医療への貢献
度が大きく期待される。特に、
iPS 細胞分野は日本発の技術であり、発信国とし
ての国際貢献が強く求められている。その産業応用のため、ヒト幹細胞の安定
な培養・保存方法の開発、品質評価指標の開発、品質管理・安定供給技術の確
5
立は非常に重要だが、新たな技術開発はリスクを伴う長期の投資が必要である
ため、
NEDO の関与が必須である。
2)研究開発マネジメントについて
幅広い、適切な実績のある企業との産学連携により、効率の良い技術開発を
行っていると評価できる。また、全体として目標達成の要素技術が適切に組ま
れており、目標達成度を測定・判断できる具体的かつ明確な開発目標も設定し
ている。また、各テーマは、適切にマネジメントされており中間評価時点での
成果も計画を上回るものが多く、グループによっては、成果の実用化・事業化
につなげる戦略が明確になっている。
一方、テーマ間の連携が必ずしも図られておらず、特に
ES 細胞と iPS 細胞
との間でさらに連携を進めることが望まれる。そのためにも、全体を統括する
プロジェクトリーダーのリーダーシップと
NEDO のマネジメントに期待する。
3)研究開発成果について
ES 細胞や iPS 細胞の大量培養法や培養基材など、世界的にも競争力のある成果
が数多く出ており、中間目標は概ね達成されている。成果の製品化も出てきて
おり、将来的に市場の拡大あるいは市場の創造につながることが期待できる。
一方、いくつかの細胞領域で独自の市場調査等が行われていたが、本プロジ
ェクトにおける機器開発・培地開発等に有効な調査が行われたか疑問である。
細胞の特性を活かした開発技術に対するニーズの把握が必要。一部特許出願数
(特に国際特許)と論文発表数が少ない領域もあり、研究成果の積極的な発信
が望ましい。
4)実用化・事業化に向けての見通し及び取り組みについて
ES 細胞の閉鎖式浮遊大量培養方法、成長増殖因子(bFGF)代替化合物、iPS 細
胞の培養基材、滑膜間葉系幹細胞の大量培養法など、早期の実用化・事業化が
期待できる複数の成果が短期間で出ていることは、評価できる。
一方、実用化・事業化に向け、競合技術と比較し性能面、コスト面を含み優
位性を世界市場で確保する道のりは厳しいが、コスト意識をさらに高めた製品
開発を行うことが必要。また、内外の技術動向、市場動向等を踏まえ、特許戦
略、あるいは製品化についての今後の目標、計画を具体的に検討する必要があ
る。
6
研究評価委員会におけるコメント
第37回研究評価委員会(平成25年12月4日開催)に諮り、以下のコメ
ントを評価報告書へ附記することで確定した。
● ES 細胞や iPS 細胞では、その分化誘導が一番難しいので、更に力を入れるべ
き。
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