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Standardization

ドキュメント内 「○○技術開発」 (ページ 185-200)

経済産業省のwebsiteで公開された直近の「再生医療の実用化・産業化に関する報告書」(平 成25年2月)によれば、再生医療への取り組みは研究活動において我が国は世界のトップレベ ルにあるにもかかわらず、その実用化においては、格差の拡大が懸念される状況にある。一方、

欧米等各国では多能性幹細胞の臨床・医療応用を巡る市場規模の将来予測及び自己・同種の 各特性を見極めながら産業化に向けた動きが加速され、ISO における関連 TC の新設がこれら の現状にも呼応して平成25年2月中旬に正式承認された。

ISOの動向に対峙し、当初5年間の実施計画を3年前倒し、2年間で掲題に係る用語のISO 国際規格原案の作成を完了した。

概要を次に示す。

注記 再生医療周辺産業の将来市場規模予測(経済産業省、試算)

国内:170億円(平成2.1.4年)⇒1.3兆円(平成62年)

世界:2.1.400億円(平成2.1.4年)⇒15兆円(平成62年)

実在又は潜在の問題に関し、与えられた状況の下 で最大限の秩序を実現するため、共通かつ繰返し 使用するための取決めを確立する活動。

(ISO/IEC Guide 2)

自由に放置すれば多様化、複雑化、無秩序化する事柄を 少数化、単純化、秩序化する行動。具体的には、様々な「も の」や「事柄」について、「品質・性能の確保」、「安全性の確 保」、「互換性の確保」、「試験・評価方法の統一」等を目的に、

一定の基準を定めること。

標準化

Standardization

図2.2.1-1 標準化の定義

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注記 ISO の役割:ISO は工業製品およびサービスなどの国際的な商取引の促進を目的と する国際標準化機関(参加国、163 ヶ国)であり、国際標準規格文書(ISO 規格)を制定して いる。ISO規格は単独では法的拘束力を持たないが、各種規制や認証制度などに引用され ることで強制力が生ずる。

2.2.1-1 標準化案(用語と定義)の策定(図2.2.1-1)

国内外のコンセンサス形成に向けて ISO 中央事務局及び主要各国に対するロビー活動の一 環として ISO ワークショップ(於、スイス・ジュネーブ)(2.6.2.1 参照)に参加した。次いで、再生医 療学会、国研、アカデミア(生物工学分野)、産業界(FIRM)の各有識者、府省(内閣府、文科 省、厚労省、経産省)担当者参画による研究討論会で国内コンセンサスを形成し、幹細胞技術分 野の用語と定義に関するISO標準化原案の暫定日本案をISO仕様にて作成した。

引き続き、ISO/TC276-Biotechnology(P メンバー登録済)国内検討委員会(事務局、FIRM)に おいて国の平成25年度新規予算措置でISO国際提案に向けた検討を継続し、平成25年秋の ISO国際提案(NWIP)及び平成 27 年秋の ISO国際規格(ISO/IS)発行(いづれも予定)を目指 す。

掲題に係る平成25年4月以降の取り組みは、ヒトiPS細胞技術の応用研究及び革新的技術 開発の動向調査及びiPS細胞の大量培養技術・自動培養装置に係る周辺要素技術の標準化に 重点を移し、その成果の開発目標への速やかな反映を図る。

ヒトiPS細胞技術を含むバイオテクノロジー領域の

ISO/TC276(幹事国:ドイツ)新設(H25年2月、TMB決議)に呼応

ISO中央事務局及び主要各国の合意形成。(H23年10月)

ヒトiPS技術関連領域の用語と定義の事例を国際的かつ網羅的に収集。

再生医療学会、国研、アカデミア(生物工学分野)、産業界の有識者 及び府省(内閣府、文科省、厚労省、経産省) 参画による研究討論会開催。

用語と定義のISO国際提案に向けて国内のコンセンサスを形成。

ISO仕様にて、用語と定義のISO規格、日本原案を作成。 (H25年3月)

用語の国際標準化主導に向けて、国内体制の基盤を構築

図2.2.1-1 幹細胞技術分野の用語と定義のISO国際標準化への取り組み

2.2.1-1.1 ISO/IS規格「ヒト幹細胞技術:用語と定義」(案)の作成

国際標準化の分野で世界を主導する英国・BSIでは標準化の段階に応じて、次に示す7種類 に分類される。

1. a specification(仕様、要求事項)

2. a code of practice(規則、指針)

Ⅲ-2-55 3. a guide(手引)

4. a method of test(試験方法)

5. a method of specification(指定方法)

6. a vocabulary(語彙:用語と定義)

7. a classification(分類)

一方、ISO 規格の種類は、国際規格としての要件であるコンセンサスの程度に基づく、次に示 す6種類で構成される。

1. International Standard(IS)(国際規格)

2. Technical Specification(TS)(技術仕様書)

3. Publicly Available Specification(PAS)(公開仕様書)

4. Technical Report(TR)(技術報告書)

5. International Workshop Agreement(IWA)(国際ワークショップ協定)

6. Guide(ガイド)

本事業では、全てのISO会員による最高レベルのコンセンサスのプロセスを経て開発されるISO

分類1(注、ISO/IEC専門業務指針第一部に準拠してISO会員および当該TCのPメンバーに

よって賛成 2/3 以上、反対 1/4 以下で承認され、ISO/中央事務局より発行される。)(図

2.2.1-1.1-1)に該当する規格文書としてISO/IS規格「ヒト幹細胞技術:用語と定義」(案)を作成し

図2.2.1-1.1-1 ISO規格の作成手順

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http://www.iso.org/iso/home/standards_development.htm

1) ISO/IS規格の付属書(参考)(案)作成

主要な国際学会、アカデミア、国際機関、国内団体、国内標準化機関の幹細胞技術に関連す る各用語集から約6,000語を網羅的に収集した。

次いで、用語の重なり等を排除した約3,000語についてISO仕様(規定すべき内容をひとつの パラグラフで記述する)にて定義案を作成し、標題を次に示す4種類の付属書(参考)(案)として 取りまとめた。

1. Glossary related to stem cell technology

2. Glossary related to clinical and medical applications of stem cell technology 3. Glossary related to regenerative medicine and tissue engineering

4. Glossary in the field of biotechnology

2) 研究討論会の開催

国内のアカデミア、学会、産業界の各有識者及び府省関係者による「幹細胞技術及び再生医 療分野の用語と定義の標準化に関する研究討論会」(別紙1参照)を開催(合計3回)し、用語の 標準化に向けた国内コンセンサスを形成した。

(第1回研究討論会)(平成2.1.4年11月)

当該分野の要素技術及び応用産業の分類及び重要な用語(再生医療及び細胞治療)の定義 について既存の定義事例を踏まえて意見交換し、今後の進め方として、工学分野に馴染む定義 の策定等を確認した。

(第2回研究討論会)(平成2.1.4年12月)

ASTM 及び BSI のヒト幹細胞技術に係る用語集を事務局にて編集した主要な用語及び定義

(案)の事例(約100語)を参考にして意見交換し、以下の方針を確認した。

1) iPS細胞と再生医療を組み合わせる日本独自の取り組みを主張する。

2) iPS細胞の定義を日本から発信し、再生医療の実現に資する。

(第3回研究討論会)(平成25年2月)

ISO 提案等に係る我が国唯一の窓口である経済産業省/JISC の仕組み、経済産業省の公募 提案型国際標準開発事業の平成 25 年度新規公募情報、再生医療学会における「医家向けの 手軽な用語集」編纂の動向等を踏まえて、ISO/IS規格の本文(案)では、ヒト幹細胞に加えて、前 駆細胞についても定義すること、及び ISO 提案に向けて公式の場で検討継続することを確認し た。

3) ISO/IS規格(案)作成

第1回~第3回研究討論会の結果を踏まえて、ヒト幹細胞の種類及びこれらの加工・製造に関 する合計10種類の用語と定義の規格案を「ヒト(自己)iPS(様)細胞加工医薬品等の品質及び安 全性の確保に関する指針」第1章第2定義1(薬食発0907第4号、平成2.1.4年9月7日、厚 生労働省医薬食品局長発信)に準拠して標題“Human stem cell technology ― Selected terms and definitions”にて作成した。

なお、規格本文(案)では現行の関連4規格を引用規格とした。引用規格を次に示す。

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ISO 13022, Medical products containing viable human cells — Application of risk management and requirements for processing practices

ISO 18113-1, In vitro diagnostic medical devices — Information supplied by the manufacturer (labelling) — Part 1: Terms, definitions and general requirements

ASTM F2.1.1-3-12.1.1, Standard Terminology Relating to Tissue Engineered Medical Products

BSI PAS 84:2012,Cell therapy and regenerative medicine — Glossary

第1回研究討論会で課題として指摘された、幹細胞技術分野における加工及び利用技術の 分類を取りまとめ付属書(参考)とした。

2.2.1-1.2 ISO国際提案に向けた国内体制の構築及び今後の取り組み

1) 国内体制の構築

平成2.1.4年2月のISO/TMB(技術管理評議会)シドニー会議において新規設立が承認され

たISO/TC276‐Biotechnology(幹事国:ドイツ)(事務局及び議長:ドイツ・DIN)に対する新規国際 提案に向けて、当該TCの国内検討委員会(事務局:FIRM(一般社団法人再生医療イノベーショ ンフォーラム))を新設する方向で経済産業省関係部署の同意を得た。なお、予算措置は、「ISO 国際規格の開発を目的とする国際標準開発事業(閣議決定等で示された国際標準化戦略分 野)」の「再生医療の用語のISO化及び周辺産業機器類の基準のISO化に向けた素案作成を目 指す」新規テーマ(名称:再生医療の基盤技術に関する国際標準化)(事業期間:平成25年度か ら3年間))による。

2) 今後の取り組み

FIRM(平成25年4月現在の法人会員数約50社)の作業部会(規制制度WG、サポーティン

グインダストリーWG、標準化WG)等と連携して、ISO/TC276の第1回総会(開催予定時期:平成 25年12月上旬)における「ヒト幹細胞技術:用語と定義」(案)のISO国際提案(NWIP)を目指す。

注記 ISO/TC276 -Biotechnology参加登録国(平成25年5月現在)

P メンバー(11 カ国):ベルギー、カナダ、ドイツ、日本、韓国、オランダ、スペイン、スリラン カ、スウェーデン、タンザニア、英国

Oメンバー(14カ国):アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、チェコ、エクアドル、フィン ランド、フランス、ハンガリー、イスラエル、イタリア、リスアニア、ノルウェー、スイス、米国

2.2.1-2動向調査

2.2.1-2.1 標準化の動向調査

iPS 細胞の自動・大規模培養を巡る周辺技術の産業化及び標準化の動き等について平成 23 年6月から平成2.1.4年10月にかけて欧米(米国、カナダ、ドイツ、英国)7都市で予備調査した。

また、ISO中央事務局の主導で開催されたワークショップ(平成23年10月)において幹細胞技 術分野の用語の国際標準化について提言し、主要各国より一定のコンセンサスを得た。さらに、

ドキュメント内 「○○技術開発」 (ページ 185-200)

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