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学 位 記 番 号 健博 第

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Academic year: 2021

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(1)

氏 名 伊東

イ ト ウ

大輝

ダ イ キ

所 属 人間健康科学研究科 人間健康科学専攻 学 位 の 種 類 博士(放射線学)

学 位 記 番 号 健博 第

186

号 学位授与の日付 令和

2

3

25

課程・論文の別 学位規則第4条第1項該当

学 位 論 文 題 名

生体応用を志向した高精度な棘上筋MR Elastography

技術の開発 論 文 審 査 委 員 主査 准教授 沼野 智一

委員 教 授 西条 寿夫(富山大学)

委員 教 授 水原 和行(東京電機大学)

【論文の内容の要旨】

野球,テニス等の腕を使うアスリートにとって,肩の損傷は深刻な問題となっており,

その損傷が原因で満足にスポーツができなくなる場合も少なくない.肩の損傷は,特に回 旋筋腱板で頻発し(回旋筋腱板断裂),その中でも棘上筋腱の損傷が第一に起こることが報告 されている.腱損傷の主な原因は,オーバーユースにより繰り返される遠心性収縮であり,

その負荷の初期症状として,筋硬度の上昇が挙げられる.したがって,棘上筋の硬度を正 確に計測することができれば,回旋筋腱板断裂が生じる前に筋異常を検出できる可能性が ある.一般的に,組織の硬度計測には触診が行われている.しかし,触診による硬度計測 は,主観的な評価となる他,体表面に位置する組織に限られる.棘上筋は僧帽筋の下部に 位置するため,直接的に触診することは困難にある.それゆえ,棘上筋の硬度を定量的か つ正確に計測できる新たな技術が必要である.

近年,生体内の組織の弾性率(剪断弾性率)を検出できる新たな技術として,magnetic

resonance imaging(MRI)

装置を用いたMR elastography(MRE) が開発された.MREは外部振 動からの伝播波の波長変化を捉えることで,非侵襲的かつ定量的に弾性率を算出できる.

そのため,MREは振動さえ対象組織に伝えることができれば,触診が困難な深部組織であ っても弾性率を正確に算出することが可能である.実際に,僧帽筋の下部に位置する棘上 筋に対しても,MREを適用可能であることをこれまでの研究により実証している.一方,

臨床応用には至っておらず,それに向けた棘上筋MREのさらなる精度向上や精度検証が必 要である.

上記で述べたように棘上筋は僧帽筋の下部に位置するため,触診での評価が困難である.

仮に棘上筋と僧帽筋のMREを同時に行うことができれば,両筋の弾性率を定量的に判別す

(2)

ることが可能となる.そこで,棘上筋と僧帽筋を同時に加振できるMREシステム(振動パッ ド)の開発を行った(実験1).また,棘上筋MREを臨床応用していくためには,高い再現性だ けでなく,高い精度で弾性率算出を行う必要がある.そこで,振動周波数(75–125Hz) と画 像フィルタ(bandpass filter vs. bandpass-directional filter) を変化させ,高い再現性かつ高い精 度で弾性率算出を行うことができる組み合わせを検証した(実験2).現在のMREにおいては,

伝播波が一定方向に進行する(コヒーレント)領域を手動で選択し,その領域の弾性率を記録 する.それゆえ,計測者によって得られる弾性率が変化してしまう問題がある.これを改 善するべく,弾性率計測領域を自動認識するプログラムを開発した(実験3).

実験1に関しては,新たな振動パッドの開発により,

MREを棘上筋と僧帽筋へ同時に加振

できることを実証した.この技術を用いることで,棘上筋の弾性率をより正確に評価でき るだけでなく,筋異常が棘上筋と僧帽筋のどちらに生じているかを識別することも可能に なる. 実験2に関しては,

bandpass-directional filterで処理されたMRE画像の方が,bandpass filter

で処理されたMRE画像よりも弾性率算出の再現性と精度ともに向上した.また,振動周波 数は再現性に影響を与えなかったものの,精度においては100Hzが良好な傾向を示した.し たがって,棘上筋MREを高い再現性かつ高い精度で行うためには,

100Hzの振動周波数で加

振し,

bandpass-directional filterで処理することが望ましいといえる.実験3に関しては,開発

したプログラムを用いることで,画素ごとの伝播波の進行方向を推定することが可能にな り,コヒーレントな領域の自動認識が可能となった.これにより,弾性率計測が評価者に 依存しないため,高精度でMREを実施できる可能性がある.

今後,本研究により開発された棘上筋MRE技術を実臨床に応用していくことで,回旋筋 腱板断裂等の筋腱障害や筋疾患,またトレーニングによる筋疲労の効果に対し,「硬度」

という新たな視点からの評価が期待される.

参照

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