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学 位 記 番 号 理工博 第

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Academic year: 2021

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(1)

氏 名 白川

シ ラ カ ワ

和博

カ ズ ヒ ロ

所 属 理工学研究科 電気電子工学専攻 学 位 の 種 類 博士(工学)

学 位 記 番 号 理工博 第

306

号 学位授与の日付 令和元年

9

30

課程・論文の別 学位規則第4条第1項該当

学 位 論 文 題 名 車載電力変換器の低ノイズ化に関する研究 論 文 審 査 委 員 主査 教授 清水 敏久

委員 准教授 和田 圭二 委員 准教授 五箇 繁善

【論文の内容の要旨】

2015

年に国連気候変動枠組条約締約国会議でパリ協定が採択され,途上国を含む主要排 出国において温室効果ガスの削減努力が求められている。この決定を受け,日本において は

2030

年における温室効果ガスを

26 %(2013

年度比

)

削減する旨の中間目標が掲げられ,

自動車分野においても電動化による

CO2

排出低減対策が積極的に進められた。代表的な電 動化はパワーステアリングやコンプレッサの駆動の電動化である。

2017

年における世界の

4

輪車生産台数は

9730

万台に達し,年間

10

億個以上の電動モータが使用されるに至って いる。また,欧州の

CO2

規制

95 g/km(2020)

や米国カリフォルニア州の

ZEV

規制

(2019)

を 背景にハイブリッド自動車(

HEV

)が急速に普及し,今後は家庭のコンセントから主機バ ッテリを充電するプラグインハイブリッドや電気自動車

(EV)

の普及が進み,

2020

年には

100

万台を超える市場規模に到達すると予測されている。

自動車の電動化には電気エネルギーを高効率かつ自在に変換する電力変換器が不可欠で ある。そこで,電力変換器の小型・高効率化を目的としてパワーデバイスの高速スイッチ ングを行うが,これにより電磁ノイズ放出量が増加する問題がある。電力変換器の電磁ノ イズは,車載ラジオ等への雑音混入はもとより,様々な車載電子機器の動作障害を引き起 こし,自動車の安全性にも深刻な影響を及ぼしかねない状況となっている。さらに近年活 発に研究が行われている自動車の自動運転においては,自動車内部だけではなく,自動車 周辺の情報機器との間の通信が不可欠となるため,電力変換器と電子機器間の電磁環境両 立性(

EMC

Electro Magnetic Compatibility

)が強く求められ,関連ノイズ規格の強化も 予想されている。

このように自動車の電動化に不可欠な電力変換器の搭載数は増加の一途を辿っている一

方で,限定された自動車内の空間に収納する制約に対応するために電力変換器の究極の小

(2)

型 ・ 高 効 率 化 が 求 め ら れ る 。 近 年 実 用 化 が 進 ん で い る 高 速 ・ 低 損 失 特 性 に 優 れ た

SiC-MOSFET

を用いた小型・高効率電力変換器の開発に期待が寄せられている。しかし,

SiC-MOSFET

の高速スイッチングによる電磁ノイズ放射量の増加に対応するために,従来

以上にノイズフィルタの増強や,高価なシールドケーブルなどのノイズ低減対策の強化が 必要となることが深刻な問題となっている。

以上の背景を踏まえ,本論文では自動車の電動化の中核を担うモータ駆動用インバータ,

車載充電器,および

DC-DC

コンバータ等の車載電力変換器のノイズ低減技術について論じ る。本研究の特長は,電力変換器から発生する電磁ノイズ発生量そのものを低減する手法 を開発することである。これによりノイズフィルタやシールドケーブルなどのノイズ低減 デバイスの使用量を大幅に削減し,今後一層の電力変換器搭載量が増加する自動車の電動 化に貢献することである。

本論文では,技術手段として,1)従来の

LC

型ノイズフィルタではなく,小型増幅器を 用いてノイズ電圧を相殺するアクティブノイズキャンセラ,2)電力変換器で発生するノ イズ電流を変換器内部に環流させて外部への流出を抑制するバランス回路方式に着目し、

これらをモータ駆動用変換器,車載用充電器への具体的な適用技術に発展させることを本 論文の目的とする。本論文の構成と概要は以下の通りである。

1

章では本論の背景と研究目的について論じている。

2

章では車載電力変換器のノイズ発生要因とノイズ抑制技術の先行事例について考察し,

本論文の取り組むべき技術課題について論じる。

3

章では,モータ駆動用変換器から放出される

AM

帯域のコモンモードノイズ電流を効 果的に抑制するインピーダンスマッチ型アクティブコモンモードノイズキャンセラについ て論じる。はじめに,従来の電圧型アクティブコモンモードノイズキャンセラの問題点を 分析し,ノイズ抑制限界の原因がモータ負荷のインピーダンス特性にあることを指摘する。

その解消手段として,モータのコモンモード経路の位相特性と同一特性を持つインピーダ ンスマッチ回路をコモンモードトランスとグランド電位の間に配置することを特長とした 新方式を開発した。新方式は従来方式では抑制効果が得られなかった

1MHz

以上の周波数 帯域のノイズ量を

30 dB

低減できることを理論解析と実験により実証した。

4

章では,車載充電器に使用される力率改善整流回路(

PFC

Power Factor Correction

) のコモンモードノイズ抑制手法について論じる。従来の低コモンモードノイズ

PFC

回路で は,整流部に使用する複数のダイオード間のリカバリ電荷の差に起因して直流出力端子と 対地間に電位変動が発生し,コモンモードノイズ抑制性能が悪化することを明らかにした。

その解決手段として,リカバリ電流の差分を回収するバイパス回路を設ける方式を開発し た。これによって素子性能のばらつきが生じた場合でも,系統電源側に流出するコモンモ ード電流を従来方式と比較して

1/10

以下に抑制できることを理論解析と実験により実証し た。

5

章,高効率化が期待されるプッシュプル方式の

DC-DC

コンバータのコモンモードノイ

(3)

ズ抑制方式について論じる。プッシュプル方式の

DC-DC

コンバータでは,高耐圧かつ高速 スイッチング特性に優れた

SiC-MOSFET

を用いることで,Si-IGBT を使用する場合に比 べて大幅な高効率化が期待できる。しかし,一次側スイッチの高速なオン・オフ動作に伴 う転流動作に起因して,二次側の整流用ダイオードに過大なサージ電圧とこれに起因する コモンモードノイズ電流が増加することが問題となる。その解決の手段として,一次側と 二次側の間に接続される絶縁変圧器の励磁電流を所定値に設定し,その電流を転流動作に 利用して整流ダイオードの転流を緩やかにすることにより,過大なサージ電圧とコモンモ ードノイズ電流を効果的に低減できる手法を開発した。本方式によって,整流用ダイオー ドの過電圧を抑制するスナバ回路とこれに伴う損失(

10

20W

)を無くすことができるた

め,

DC-DC

コンバータの変換効率の向上と小型化にも寄与することを明らかにした。

6

章では,本論文の総括と今後の課題について言及する。

参照

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