Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
創製した人工タンパクの医療応用 : 特にTBP 融合BMP に
ついて
Author(s)
湯浅, 算章; 国分, 栄仁; 吉成, 正雄; 國分, 克寿; 松
坂, 賢一; 井上, 孝
Journal
歯科学報, 111(4): 432-432
URL
http://hdl.handle.net/10130/2574
Right
目的:骨形成タンパク(BMP)は強力な骨誘導能 を有し,BMP を骨欠損の再生医療に応用しようと いう試みが数多く報告されている。また,チタンは 骨組織の組織工学での Scaffold や歯科インプラント 材料として使用されている。本研究では,合成ペプ チド(TBP)が特異的にチタンと結合する性質を 用いて,BMP-2 との融合タンパク質をチタン Scaf-fold に結合させ,生体内での機能活性について検討 を行った。 方法:用いる rhBMP-2(BMP)が ラ ッ ト に 作 用 す るか確認する為,まず SD 系雄性ラットの腹直筋よ り採取した細胞を培養した。細胞は BMP 混合培養 液(BMP:50ng/ml)で 培 養 し,7日 後 に mRNA を抽出して骨関連タンパク mRNA 発現量を検索し た。また,in vivo の実験では5週齡のラット腹直 筋内にコラーゲンゲル,TBP,BMP をそれぞれ組 み合わせて含浸させたチタン蒸着ポーラスカーボン Scaffold を埋入した。埋入7日後に屠殺し,周囲組 織から mRNA を採取して PCR 検索および,ホル マリン固定後に標本作成した。 成績:培養細胞は7日例において,BMP 添加群は コントロール群と比較して Runx-2,ALP お よ び OCN の mRNA の発現量が明らかに増大した。In vivo で は,埋 入 後3日 で BMP 含 浸,TBP 融 合 BMP 群ともに Runx-2,ALP,BSP の mRNA の発 現が対照群と比較して高い値を示した。7日例でも 同様に骨関連 mRNA の発現が高い値を示した。組 織学的観察では BMP を含浸させていない群には骨 形成が認められず,BMP 含浸,TBP 融合 BMP 群 を比較して骨形成に差は見られなかった。14日例で は成熟した線維骨が見られた。また,一部でチタン から離れた箇所においても認められた。 考察:本研究で用いた BMP はラットにも作用し, 骨誘導能を有する事が認められ,また,TBP 融合 BMP も BMP と同様に生体内での骨誘導能を有す ることが認められた。骨形成がチタン表面および周 囲でもみられたことから,チタン表面に吸着してい ない TBP 融合 BMP が作用したと考えられる。以 上の結果から人工創製した TBP 融合 BMP は,臨 床応用できる可能性が示唆された。 目的:歯根膜組織は歯周組織の恒常性維持に重要な だけではなく,歯周組織の修復・再生に必須の役割 を果たす未分化間葉系細胞群の供給源となってい る。このような歯根膜組織に特徴的な形態,機能, 分化,組織修復および再生過程を分子・遺伝子レベ ルで理解することは,次世代の歯周治療を創出する 上で重要な知見を与えるものと考えられる。そこ で,我々はヒト歯根膜組織完全長 cDNA ライブラ リーを作製し,歯根膜組織における遺伝子発現状況 を網羅的に解析した。 方法:1)ヒト歯根膜組織完全長 cDNA ライブラ リーを用いた歯根膜特異的遺伝子の選出:矯正治療 患者から便宜抜去された歯根膜組織を用いて完全長 cDNA ライブラリーを作製し,約2万クローンを DNA シークエンスすることにより遺伝子発現デー タベース(Full-PerioGen データベース)を構築し た。同データベース解析の結果,歯根膜において高 頻度で発現が認められ,これまでに歯根膜での機能 が報告されていない遺伝子を選出した。 2)ヒト歯根膜細胞の硬組織形成分化過程における 各遺伝子の発現解析:ヒト歯根膜細胞を石灰化誘導 培地にて長期培養し,各遺伝子の発現動態をリアル タイム PCR 法により解析した。 3)ヒト各組織における FLJ25143の発現解析:ヒ トの全身各種組織より採取した RNA を用いて,リ アルタイム PCR 法にて FLJ25143の発現解析を行っ た。 成績および考察:Full-PerioGen データベース解析 の結果,発現頻度30以上の高発現遺伝子を26種見出 した。その中で,これまでに歯根膜組織においてそ の発現や機能が報告されていない遺伝子8種を選出 し,ヒト歯根膜細胞の硬組織形成分化過程における 発現を解析したところ,システインプロテアーゼの Cathepsin K,鉄イオン貯蔵関連タンパクの Ferritin が認められた。さらに新規遺伝子である FLJ 25143 は,ヒト歯根膜細胞の分化誘導時において発現が上 昇する遺伝子であることが明らかとなった。さらに ヒト歯根膜組織においても高い発現を認めた。歯根 膜組織において FLJ 25143 は,組織の恒常性の維 持,歯周組織の修復・再生に関与している可能性が 示唆された。 尚,本研究は大阪大学大学院歯学研究科山田 聡 講師および村上伸也教授の指導の下に行われた。