Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College,
Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
院外における医療活動
Author(s)
寺嶋, 毅
Journal
歯科学報, 115(6): 6i-6i
URL
http://hdl.handle.net/10130/3916
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巻 頭 言 ⑥ ��������������
院外における医療活動
寺 嶋
毅
私は昭和63年に医師免許を取得し27年になります。呼吸器内科を専門とし,総合病院内での診療業
務,教育,研究が主な活動ですが,年に数回,院外活動に従事しています。
ひとつは,日本体育協会認定のスポーツドクターの資格を取得し,競技会の医療面のサポートをし
ていることです。慶應大学医学部呼吸器内科の先輩が日本陸上連盟の医事関係に携わっておられ,声
をかけていただき,以前よりマラソン大会の医療スタッフとして参加しています。東京マラソンが開
催される以前の東京国際女子マラソン大会のころは,レースを伴走するバスに乗って競技中に具合が
悪くなった選手の様子をみて,競技継続を判断したり,棄権した選手の応急処置などをしていまし
た。東京マラソンが開催されてからは,ゴール付近に設営した救護室で救護にあたっています。広い
ホールや会議室,あるいは屋外のテント内などに設営することから始まります。搬送されてくる選手
が入りやすい動線,軽症者と重症者を効率よくトリアージできるように,選手のプライバシーが守れ
るように,などを考慮してイスやベッドを配置します。行うことは問診,バイタルサイン(意識状
態,血圧,脈拍,呼吸数,体温)測定,診察,聴診です。消毒,保温,経口による水分摂取,アイシ
ングが主な処置であり,必要と判断すれば救急隊を要請します。内科医である私でもストレッチやア
イシングをしたり,とりあえずテーピングしたこともあります。レントゲンや血液検査などはできま
せんから,身体所見からの診断,重症度や必要な処置を判断すること,自分の専門の如何にかかわら
ず医師としてできることを行うことが求められます。日常の診療では診察もそこそこに検査,検査に
なりがちですが,院外の活動においては,問診と診察の重要性を痛感します。ボストンマラソンでの
爆発テロをきっかけに,東京マラソンの医療救護活動には,テロがおきたときの災害訓練も加わりま
した。トリアージタッグをもって現場で対応する訓練を行っています。
もうひとつは,JMECC(日本内科学会内科救急・ICLS 講習会)の指導活動です。内科医として,疾
病救急に迅速に対応する能力を実践型教育によって修得する講習です。目的は突然の心停止に対する
最初の10分間のチーム蘇生ができること,日常臨床で遭遇する予期せぬ容態悪化に対応する能力を実
践型教育によって習得することです。この講習会もいろいろな場所で行われます。会議室などで行わ
れる時には,備品を配置することから始まります。受講者が参加しやすいように,救命処置の訓練人
形,パソコン,スクリーンなどの設置場所を決めます。今年は新しく開設されたスキルスラボで東京
歯科大学市川総合病院として2回目の JMECC を行いました。昨年に施行した1回目は初めての開催
であり,会議室での講習であったため準備が大変でしたが,今年は昨年の経験もあり,スキルスラボ
を使用することができたのでスムーズに行うことができました。当院での講習会では受講者は研修医
や専修医ですが,一般には研修医から総合病院の部長,大学病院のスタッフなどまちまちです。
これらの活動に共通していることは,多様な症状を呈する競技者,幅広い年齢や背景の受講者に対
してであり,その場の対応,臨機応変が大切であることです。医療チームも JMECC の指導チームも
医師,看護師,救急隊員,トレーナー,事務員などいろいろな職種から構成され,初対面の人も少な
くありません。多様なバックグラウンドや技術ももったメンバーが一つのチームとしてよきパフォー
マンスを発揮することが求められます。自分の専門が何であれ,自身の病院ではスペシャリストで
あっても,院外の活動では,協調性,チームをまとめるリーダーシップ,診療科を超えた総合力(世
間一般が医師に期待していること)が大切であるといつも感じます。今日,感染症対策や災害医療の
場においても同じことが求められるでしょう。診療科や病院の枠組みを超えて苦手意識なく活動でき
るように,日々の勤務や生活において心の準備をしておくことも必要であると思います。
(東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科 教授)