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IRUCAA@TDC : インプラント治療の潮流(VI) : 医療安全

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Academic year: 2021

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(1)Title Author(s) Journal URL. インプラント治療の潮流(VI) : 医療安全 田口, 達夫; 関根, 秀志; 佐々木, 穂高; 本間, 慎也; 古谷, 義隆; 伊藤, 太一; 矢島, 安朝 歯科学報, 110(1): 57-59 http://hdl.handle.net/10130/1213. Right. Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/.

(2) ―――― カラーアトラス ――――. インプラント治療の潮流(Ⅵ) −医療安全− た. ぐち. たつ. お. せき. ね. ひで. し. さ. さ. き. ほ. だか. ほん. ま. しん. や. 田 口 達 夫1),関 根 秀 志1),佐 々 木 穂 高2),本 間 慎 也2) ふる. や. よし. たか. い. とう. た. いち. や. じま. やす. とも. 古 谷 義 隆2),伊 藤 太 一2),矢 島 安 朝2). 1). 東京歯科大学口腔健康臨床科学講座口腔インプラント学分野 2) 東京歯科大学口腔インプラント学講座.

(3) カラーアトラスの解説 近年,インプラント治療に関する医療事故やトラ ブルが急増しているといわれている1)。特に,イン プラント関連の医療紛争は,テレビ,新聞等で大き く取り上げられ社会的な問題になりつつある。イン プラントに関する医療紛争の実態は,(社) 口腔外科 学会の顧問弁護士である永松が以下のように報告し ている2)。 ・対象者:中高齢で多数のインプラントを埋入して いる患者。 ・部位:90%知覚が上顎,下顎の場合は神経麻痺が 主流。 ・提訴内容:ガイドラインの確立がないため,患者 にとって不適切な治療であることは立 証が困難。したがって説明義務違反で 提訴。 ・紛争内容:期待と効果に相違。 ・傾向:最近,有病者のトラブルが増加傾向。 したがって,本稿では当科に来院した医療事故症例 を供覧し,事故の対応法とその予防策について述べ てみたい。 1.神経損傷→知覚麻痺(図1,2) インプラント手術に伴う神経損傷のほとんどは, 下歯槽神経,オトガイ神経の知覚麻痺である。神経 損傷が疑われる場合は,図2のような手順で対応す る必要がある。対応として最も重要なことは,患者 に対して原因,損傷の程度,麻痺の範囲,予後を明 確にし,今後の治療方針を分かりやすく説明するこ とである。同時に自らの過ちを認め謝罪することも 大切であり,心からの謝罪は,失いかけた信頼を取 り戻す最後のチャンスとなるかもしれない。 麻痺後の治療としては,インプラントの除去,投 薬,星状神経節ブロック等が一般的であり,損傷後 早ければ早いほど有効であることが明らかとなって いる。当然,定期的な知覚検査(S­W 知覚テスト) により,神経の回復過程を患者とともに確認するこ とも大変重要な事項である。 2.血管損傷→異常出血(舌下動脈損傷) (図3,4) インプラント手術に伴う舌下動脈の損傷は,埋入 窩の形成時に下顎前歯部舌側皮質骨を穿孔すること により発生する可能性が高い。出血が激しい場合は 口底部の急速な腫脹により舌根が沈下し,側咽頭隙 や後咽頭隙に血液が貯留し,気道閉鎖による呼吸困 難が出現することになる。つまり,舌側皮質骨をド リルで穿孔し,口底部の急速な腫脹が認められた場 合は,「生命の危機を意識した行動」が必要とされ る。このような場合の対処法を図4に示す。予防策 としては,舌側の骨膜と骨の間にプロテクターを挿 入し,万が一舌側皮質を穿孔しても,プロテクター により骨膜とその外側にある舌下動脈をガードする. ことが大切である。 緊急時の一次止血法は,術者の指で顎下部軟組織 を上方に持ち上げ,舌下腺とともに破綻した舌下動 脈も含んだ組織を,もう片方の手指で下顎骨舌側骨 面に強く圧迫する。これにより,さらなる口底部の 腫脹がなければ,このままの状態で救急病院へ搬送 することになる。この方法でいったん止血したと思 われても再出血の可能性が高いため,そのまま帰宅 させることは危険である。 3.上顎洞粘膜損傷→上顎洞炎(図5,6) インプラント治療において上顎洞粘膜の損傷は, 通常,上顎洞底挙上術時に発生し,上顎洞炎の発現 が大きな問題となる。上顎洞内と挙上部とを完全に 遮断する必要があるため,当科では吸収性バリアメ ンブレンを敷き,吸収性糸で周囲骨に固定している。 その後通法どおり骨移植を行い,抗菌薬の投与を継 続することとなる。慢性上顎洞炎に移行してしまっ たら,ニューマクロライド(クラリスロマイシン, ロキシスロマイシン) の少量長期投与で対応する必 要がある。 4.インプラント埋入手術に伴う事故の予防策(図 7,8) 事故予防策として最も重要なことは,インプラン ト関連医療事故に関する大規模な実態調査である。 現在,わが国におけるインプラント事故症例の統計 データは全く把握されておらず,発生件数すら不明 である。他の歯科医師が起こした事故の状況を詳し く分析し,この情報をすべての歯科医師が共有でき れば,同一事故の発生は抑制できるものと考えられ る。事故症例の詳細な分析は,最大の医療安全対策 となるであろう。今後,学会等により全国規模のイ ンプラント関連医療事故調査が行われることに期待 したい。 さらに近年,安全・安心なインプラント治療を確 立させるために,インプラント埋入手術用シミュ レーションシステムが注目集めている。CT データ をもとにシミュレーションソフトを使用し,仮想の 手術をソフト上で行う。このデータを使用して,ド リルの径に合致した複数のサージカルガイドが作製 できる。これを埋入手術に用い,シミュレーション 手術どおりにインプラントの埋入が可能となってい る。今後さらに安全・安心を担保する医療機器の開 発に期待したい。 文. 献. 1)矢島 安 朝,中 川 洋 一 編 著:イ ン プ ラ ン ト の ト ラ ブ ル シューティング;第1版,永末書店,122−127,2009. 2) 永松栄司:インプラント治療におけるトラブル・訴 2007年度口腔四学会合同研究会,第29回(社) 日本口腔 訟, 外科学会教育研修会資料;46−49,2007..

(4) インプラント治療の潮流(Ⅵ) −医療安全− 田 口 達 夫1),関 根 秀 志1),佐 々 木 穂 高2),本 間 慎 也2) 古 谷 義 隆2),伊 藤 太 一2),矢 島 安 朝2) 1). 東京歯科大学口腔健康臨床科学講座口腔インプラント学分野 2) 東京歯科大学口腔インプラント学講座. 図1. 図3. 下歯槽神経損傷症例. 舌下動脈損傷症例(東京歯科大学解剖学講座のご厚 意による). 図2. インプラント埋入手術後神経損傷を疑った場合. 図4. 舌下動脈の損傷を疑った場合(口底部が急速 に腫脹). 図6. 上顎洞底挙上術(サイナスリフト) 時に洞粘膜 を損傷. a:矢印は洞粘膜穿孔部 b:矢印は吸収性糸 (※)でメンブレンを 周囲骨に固定 c:通常通り骨移植 d:術式のシェーマ. 図5. 上顎洞挙上術時に上顎洞粘膜を損傷. 図7. インプラント埋入手術に伴う医療事故の予防法. 図8. シュミレーションによる治療計画 とサージカルガイドによる手術.

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