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博士(工学)浜 幸雄 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)浜   幸雄 学位論文題名

耐寒促進剤による寒中コンクリート施工技術に関する研究 学位論文内容の要旨

  寒中コンクリートでは 、初期凍害と低温による強 度発現の遅れが施工上の問題となる。

これらの対策として、従 来よルコンクリートの凍結 温度の低下に主眼をおぃた混和剤の利 用が考えられてきた。し かし、近年、これらの混和 剤が鋼材の腐食やアルカル骨材反応を 引き起こす可能性のある ことが明らかとなり、現在 ではその成分が従来とはまったく異な るものとなっている。こ の種の混和剤は、保温養生 を必要としない寒中コンクリートの施 工効率化の手段のひとっ として期待されているもの であるが、その目的とする初期凍害防 止の性能が明確化されて おらず、また寒中コンクリ ートヘ適用するための具体的なシステ ムが確立されていない。

  本研究は、寒冷地にお けるコンクリート工事の新 技術としての耐寒促進剤の利用技術を 確立することを目的とし て行ったものである。この ため、耐寒促進剤として耐久性上の問 題のない無塩化・無アル カリ型の薬剤を選び、この 混和剤を用いたコンクリートの初期凍 害防止効果と圧縮強度増 進性状を把握し、耐寒促進 剤を用いたコンクリートの性能を明ら かにするとともに、建築 の実務における施工指針を 提案した。

  本 論 文 は 、 全7章 か ら 構 成 さ れ て お り 、 各 章 の 概 要 は 次 の と お り で あ る 。   第1章は本研究の序論であり、 研究の背景と目的を述ぺ、 耐寒促進剤の現状と国内外の 関連する既往の研究を示 すとともに、本論文の構成 を示した。

  第2章では、耐寒促進剤を用い たコンクリートについて、 コンクリート中の水分の凍結 温度、コンクリートの凝結・硬化性状および初期凍害に対する抵抗性に関する実験を行い、

その性能を評価した。さ らに、凍結環境下のコンク リートの冷却過程について、部材の熱 容量を考慮した温度履歴 解析を行い、耐寒促進剤に よるコンクリートの初期凍害の防止効 果について検討した。そ の結果、従来、コンクリー ト中の水分の凍結温度を低下させる防 凍剤として位置づけられ ていたこの種の混和剤の融 点降下作用は過大に評価されていたも のであり、耐寒促進剤に よる初期凍害の防止効果が 、わずかな凍結温度の低下と低温下で の硬化促進作用、構造体 の熱容量の複合作用である ことを明らかにした。なお、この章で は、耐寒促進剤溶液の凍 結温度、成分分析、セメン トベーストの凍結温度、初期性状に関 する基礎的な実験も行っ ている。

  第3章では、耐寒促進剤を用い たコンクリートの性能を調 合設計およぴ実施工時の強度 管理に反映させるため、 積算温度関数式による強度 増進曲線を誘導し、気温による強度補 正値についての検討を行 なった。その結果、耐寒促 進剤を用いたコンクリートは、水セメ ント比が同じ普通コンク リートに比ぺて長期強度が 増大するため、気温による強度補正値 を大幅に低減できること を示した。また、この結果 を現場施工実験で検証し、耐寒促進剤 は 、 そ の 早 強 性 と 強 度 増 大 の 性 質 を 利 用 し た 使 い 方 が 望 ま し い こ と を 指 摘 し た 。   第4章では、早強ポルトランド セメントに耐寒促進剤を併 用したコンクリートの凍結温

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度、凝結性状、初期強度増進性状、初期凍害に対する抵抗性および圧縮強度増進性状につ いて、第2章および第3章と同様の試験を行い、普通ポルトランドセメントの場合と比較 検討した。早強セメントに耐寒促進剤を併用した場合、普通セメントの場合と同様に、低 温による凝結遅延が抑制され、初期強度、長期強度ともに増大するものの、経済性を考慮 すると耐寒促進剤と併用する効果は小さいことを指摘した。

  第5章では、耐寒促進剤を用いたコンクリートの凍結状態での強度増進性状について検 討した。凍結状態での強度増進は、常温での強度増進に比ぺて著しく綾陸になるものの、

耐寒促進剤の利用によりその程度は一般のコンクリートよりも改善され、その理由が耐寒 促進剤を用いたコンクリートの中の水分がシャーベット状の氷として成長し、不凍結水率 が増加するためであることを明らかにした。また、この不凍結水率は、耐寒促進剤の使用 量が多いほど、材齢が進行するほど増加することを示した。

  第6章は、耐寒促進剤を建築の実務に適用する技術として確立するための施工指針の提 案である。最初に、わが国で市販されている無塩化・無アルカリ型の耐寒促進剤について JISA6204「コンクリート用化学混和剤」に準じた共通試験を行い、耐寒促進剤の品質標 準を定め、それに適合するものについて、寒中コンクリート工事の計画、施工、管理上の 留意点を整理した。ここでは、耐寒促進剤を用いたコンクリートの特徴を生かした調合方 法を提示し、第5章までの結果を踏まえ、効率的な寒中コンクリート工事を可能とするた めの施工指針を提案した。

  第7章 は 総 括 で あ り 、 本 研 究 で 得 ら れ た 成 果 を 要 約 し た も の で あ る 。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

耐寒促進剤による寒中コンクリート施工技術に関する研究

  寒中コンクリートでは、初期凍害と低温による強度発現の遅れが施工上の問題となる。

これらの対策として、従来よルコンクリートの凍結温度の低下に主眼をおいた混和剤の利 用が考えられてきた。しかし、近年、これらの混和剤が鋼材の腐食やアルカリ骨材反応を 引き起こす可能性のあることが明らかとなり、現在ではその成分が従来とはまったく異な るものとなっている。この種の混和剤は、保温養生を必要としない寒中コンクリートの施 工効率化の手段のひとっとして期待されているものであるが、その目的とする初期凍害防 止の性能が明確ではなく、また寒中コンクリートヘ適用するための具体的な仕様が確立さ れていなかった。

  本研究では、寒中コンクリート用化学混和剤としてのこれらの混和剤の性能を検討し、

その作用機構を考慮して耐寒促進剤の用語を提唱するとともに、その種類をAE.減水成 分を含むタイプエとそれらの成分を含まないタイプIIの2つに分類することにより、それ ぞれの役割を明確化し、寒冷地におけるコンクリート工事のための耐寒促進剤の利用技術 を確立している。具体的には、耐寒促進剤を用いたコンクリートの初期凍害防止効果と圧 縮強度増進性状を把握し、その要求性能を明らかにするとともに、建築の実務における施 工指針を提案している。なお、対象とした混和剤は鋼材の腐食やアルカリ骨材反応に対し て問題のない無塩化・無アルカリ型としたが、研究の過程で従来市販されていた尿素系成 分をもつ混和剤はコンクリート中のアルカりと反応してアンモニアガスを発生させる問題 を有することが明らかとなり、尿素系成分を全廃する方向での商品化を混和剤メーカーに 対して指導するとともに、研究の対象から除いている。

  本論文の成果とその評価を要約すると、以下のようになる。

1)従来、コンクリート中の水分の凍結温度を低下させる防凍剤として位置づけられてい たこの種の混和剤の融点降下作用が過大に評価されていたことを指摘し、耐寒促進剤によ る初期凍害の防止効果が、わずかな凍結温度の低下と低温下での硬化促進作用、構造体の 熱容量の複合作用であることを明らかにしている。これらの成果は、これまで暖味だった

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治 昇

志 智

英  

  博

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こ の 種 の 混 和 剤 の 効 果 の 概 念 を 明 確 に し たも ので あり 、極 め て有 用な 知見 で ある 。 2) これまでは耐寒促 進剤のタイプによる作用機 構の違いは意識されていなか った。著者 は、 混和剤のタイプ により強度増進特性が異なる ことを示している。夕イプIの耐寒促進 剤を用いたコンクリ ートは、水セメント比が同 じ普通コンクリートに比ぺて早強性があり その後の強度も増大 するため、調合設計におい て気温による強度補正値を大幅に低減でき るの に対して、夕イ プHの耐寒促進剤ではこのよ うな効果は期待できないこと を指摘して いる。この結果は、 現場施工実験でも検証され ており、耐寒促進剤を用いるコンクリート の 調 合 設 計 お よ び 強 度 管 理 の 実 務 に 有 益 な 知 見 を 与 え る も の で あ る 。 3) 耐寒促進剤は比較 的高価な混和剤であること から、著者は、早強ポルトラ ンドセメン トとの併用によるコ スト低減の可能性について 検討している。早強ポルトランドセメント に耐寒促進剤を併用 した場合には、普通セメン トの場合と同様に低温による凝結遅延が抑 制されるが、セメン ト―自体の早強性が大きいため硬化促進に及ぼす耐寒促進剤の影響は小 さいことを明らかと し、経済性を考慮すると、 耐寒促進剤を早強セメントと併用する効果 は小さいことを指摘 している。このことは、耐 寒促進剤を選択する上での有益な指標とな り、実務上の価値が 大きい。

4) 耐寒促進剤を用い たコンクリートの凍結状態 での強度増進性状について検 討し、凍結 状態での強度増進は 、常温での強度増進に比ぺ て著しく緩慢になるものの、耐寒促進剤の 利用によりその程度 は一般のコンクリートより も改善されることを示し、その理由が耐寒 促進剤を用いたコン クリートの中の水分がシャ ーベット状の氷として成長し、不凍結水率 が増加するためであ ることを明らかにしている 。また、この不凍結水率は、耐寒促進剤の 使用量が多いほど、 材齢が進行するほど増加す ることを示している。このことは、凍結時 に は 強 度 増 進 が な い と し て い た 従 来 の 仕 様を 変え るこ とを 促 す重 要な 知見 で ある 。 5) 耐寒促進剤を建築 の実務に適用する技術とし て確立するために耐寒促進剤 の品質標準 を定 め 、タ イプIお よび タイ プuそれぞれに対応 させた寒中コンクリート工事 の施工指針 を提案している。こ れらの成果は、日本建築学 会・寒中コンクリート施工指針に反映され ており、耐寒促進剤 の特徴を生かした効率的な 寒中コンクリート工事を可能とするもので ある。

  これを要するに、 本研究は、これまでその有 効性の評価が十分になされていなかった耐 寒促 進 剤の 効果 と寒 中コ ン クリートにおける適 切な使用法について、詳細な 実験と系統 だった考察をもとに 明らかにしており、今後の 寒中コンクリートの施工技術の向上に有益 な知見を与えるもの であり、コンクリート工学 、建築材料学の今後の進歩発展に貢献する ところが大きい。

  よ っ て著 者は 、北 海道 大 学博士(工学)の学 位を授与される資格あるもの と認める。

参照

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