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博士(工学)中村和幸 学′位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)中村和幸 学′位論文題名

核融合装置用プラズマ対向材料の損耗特性に関する研究 学位論文内容の要旨

  核融合プラズマを閉じ込める容器の内壁は、プラズマと直接接することからプラズマ 対向壁と呼ばれている。これを構成する材料であるプラズマ対向材料は、プラズマから の高熱負荷および粒子負荷により著しく損耗する。その結果、プラズマ対向壁の寿命が 著しく短くなるばかりではなく、プラズマ中に混入した構成物質を不純物源とした放射 冷却によってプラズマ温度が急激に低下してしまう。最悪の場合にはプラズマそのもの が消滅(ディスラプション)してしまう。従って、プラズマ対向壁の寿命を長くし、か っプラズマのエネルギー閉じ込め特性を劣化させないため、高熱負荷および粒子負荷に 対して損耗の小さなプラズマ対向材料が要求されている。特に、工学的観点からは、プ ラズマ対向材料の損耗特性を明らかにし、損耗しにくい材料の開発とその適合性を評価 することが重要な課題となっている。

  本研究においては、世界三大トカマク装置のーつであるJTー60のプラズマ対向材 料と して 、熱負荷の大きなりミター部にはTiC被覆Moを、熱負荷の比較的小さなラ イナ ー部 にはTiC被 覆イ ンコ ネル625を 提案した。損耗が最も過酷となるTiC被覆M oに対して高熱負荷試験を行い、その耐熱特性について評価した。特に、プラズマのディ スラプション時に予測される瞬間的で極めて高い熱負荷、および通常運転時に予測され る繰返し熱負荷に対する耐熱特性について研究を行った。TiCの被覆方法として物理 蒸着 (PVD)法 及び 化学 蒸着 (CVD)法 を選 択レ 、耐熱 特性 、特 に、 被覆方法や被 覆条件の違いが、膜の剥離にいかに影響を与えるかについて検討した。その結果、CV D法が最も耐熱衝撃性に優れた被覆法であること、および高い基板温度(約800゜C以上)

下での被覆が耐熱衝撃性の向上に効果があることを明かにした。CVD法で基板温度を 900℃ と し て 作 製 し たTiC被 覆Mo材 は 、 デ ィ ス ラ プ シ ョ ン 時 に 想 定 され る 約20 MW7m2、0.3秒 の 熱 負荷 に対 して 健全 であ るこ とを 確認 した 。この 結果 から 、Ti C被覆Mo材 がJTー60の第 一期 プラ ズマ 対向 材料 として 採用 され た。 実際の放電で は、 プラ ズマ対向壁の一部に20 MW/rTi2を越える熱流束がかかり、TiC皮膜の一部 は溶融してしまったが、溶融部近傍の皮膜は全く剥離せず、優れた皮膜の密着性が実証 された。放電中のプラズマ対向壁からは、加熱によってガスが放出され、これらが不純 物となるため、上記の損耗特性の他、これら材料からのガス放出特性についても評価し た。 昇温 脱離 法でTiC被 覆Mo及びTiC被 覆イ ンコ ネル625を1000℃ま で加熱し、そ の間放出されるガス種を定量的に測定した。これらの材料からの主な放出ガスはH20で あり 、そ の脱 離ピ ークは 約1500Cとな った 。こ の結果 から 、TiC被 覆Mo及びTiC被 覆インコネル625からのガス放出を抑えるためには、予め250゜Cで18時間のべーキン グを行えば良いことがわかった。この結果は、JTー60真空容器のぺーキング条件に 採用された。

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  JTー60のTiC被 覆Mo及 びTiC被 覆 イ ン コ ネ ル625は 、 良 好 な 耐 熱 特 性 を 示 し たものの、スパッタリング等により、Ti等の比較的高原子番号の不純物が混入してし まった。従って、より低原子番号で耐熱特性に優れている黒鉛の適用が考えられてきた。

現在 の大型ト カマク装 置の内壁 には主として黒鉛系材料が使われており、JTー60を 改 造 したJTー60Uでも、 その内壁 は全て等 方性黒鉛お よび炭素 繊維強化 複合材(C FC)で 被 わ れて い る。 黒 鉛 材の 欠 点 は、500〜600゜Cで の化学ス パッタリ ングが 大きいこと、酸素不純物によりCOの形で著しく損耗されること、水素の吸蔵量が大き いことである。一方、B4Cは黒鉛より反応性や水素吸蔵量が低く、有望な材料である。

しかしながら、B4C材は熱伝導率が低く耐熱衝撃性に劣るため、実機に適用するために は黒鉛にB4Cを被覆した材料を開発しなければならなかった。そこで、種々の方法でB 4Cを被覆した黒鉛を作製し、これらの耐熱衝撃性を熱負荷試験により評価した。その結 果、 コンバー ジョン(CVR)といわれる方法で作製したB4C被覆材が卓越した耐熱衝 撃性を示した。これは、B4C成分が黒鉛表面から内部に向かって徐々に小さくなるいわ ゆる傾斜機能材料となっているためと考えられる。また、コンバージョン法で作製した B4C被覆 黒鉛材は 、皮膜の 厚さが600 lun以上になると表面が溶融されやすくなるこ とが わかった 。しかし 、多少の 溶融があ ってもJTー60Uのダイバータの熱負荷条件

(10MWhr12,Ss)に対してかなりの放電回数にわたって、十分使用可能であることを明ら か に し 、 こ の 成 果 を基 に 、JTー60Uの ダ イ バー タ にB4C被 覆CFC材 が 使わ れ る こ とに なった。 このB4C被覆CFC材の使用とボロニゼーションといわれる内壁表面をボ ロン 膜で覆う 技術によ り、JTー60Uでは核融合三重積(プラズマ密度xプラズマ温度 xエ ネ ル ギ ー 閉 じ 込 め 時 間 ) の 世 界 最 高 値 を 達 成 す る こ と が で き た 。   現在の大型トカマク装置による核融合プラズマの閉じ込め実験の後には、国際協カに よ る 国際 熱 核 融合 実 験炉 (ITER) が建 設 され る こ とに な って い る。 このITERの 物理 実験の段階では、ダイバー夕部のプラズマ対向材料としてCFC材の使用が考えら れて いる。ITERで の熱負荷 は著しく 大きく(15〜30MW恤2)、特にディスラプショ ンと云われる瞬間的にプラズマが消滅する場合には更に熱負荷が大きくなる。特に、ディ スラプション時の損耗がこの材料の寿命を決定的にすることから、ディスラプション時 の熱 負荷条件下でCFC材に対する熱衝撃試験を行った。この結果、損耗量は照射前の CFC温 度が高 いほど、 また、CFCの 熱伝導率 が低いほど 大きくな ることを 示した。

また、損耗は蒸発,と粒子飛散の形で起こることを確認するとともに、熱解析によって蒸 発 お よび 粒子飛散 の温度依 存性につ いて調べた 。これら の結果か ら、CFC材はITE Rで想定されているディスラプション条件(10〜20MJ/h12、0.1〜3ms、500回)に対して 十分 使用可能 であるこ とを示し た。ITERでは、熱負荷に加えて粒子負荷も著しく大

・きく、粒子負荷による損耗も無視できない。そこで、ITERのプラズマ対向壁への粒 子負荷を模擬できる高粒子束低エネルギープラズマ源を開発し、高粒子束下におけるC FCの損耗量を測定した。その結果、粒子束が大きいとスパッタリング率が増大する可 能性 を指摘した。今後、このデータをも考慮してCFCの損耗量を評価していく必要が ある。

  以上 のように 大型核融 合装置の プラズマ 対向材料 として、TiC被覆Mo材およびB4 C被覆CFC材に対し て熱負荷 条件下での損耗特性を評価するとともに、損耗を低減化 で き る 材 料 に つ い て提 言 した 。 こ れら はJT―60、JT―60Uの プ ラズ マ 対向 材 料 として使用され、プラズマ閉じ込め特性の向上に大いに寄与した。次期核融合実検炉の 候補 材料であるCFCに関しても熱負荷および粒子負荷に対する損耗量を評価し、この 結果 は、現在 進捗して いるITERの工学設計に活かされている。これらのデータおよ び 提 言 は 次 期 核 融 合 開 発 研 究 に と っ て き わ め て 重 要 な も の で あ る 。

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学位論文審査の要旨 主 査    教 授    山 科 俊 郎 副 査    教 授    大 橋 弘 士 副査    教授    高橋平七郎 副査    助教授    日野友明

学 位 論 文 題 名

核融合装置 用プラズマ対向材料の損耗特性に関する研究

  核融合 プラズマを閉じ込める容器の内壁、すなわちプラズマ対向材料は高熱流束と高粒子 束にさら され著しく損耗する。その結果、プラズマ対向壁の寿命が短くなるとともに、プラ ズマ中に 不純物が混入して放射冷却を高めてプラズマ温度を低下させる。このためプラズマ 対向材料 の損耗特性を評価して、損耗の少ない材料を開発することが強く要求されている。

この課題 に関する研究は未開拓の分野であり、今後の発展が待たれる状況にある。本論文は、

核融合炉 開発にとって、最も重要な研究課題のーつであるプラ ズマ対向材料の開発研究を行 ったもの である。

  ま ず 世 界 の3大 核融 合装 置で あるJT−60の プラ ズマ 対向 材 料と して 、種 々の 方法 で炭 化 チ タ ン(TiC)を 被 覆 し た モ リ プ デ ン(Mo) 及 び イ ン コ ネ ル625に 対 す る 熱 衝 撃 お よび熱サ イク試験を系統的かつ詳細に実施し、その耐熱特性を評価した。その結果、化学蒸 着 (Chemical Vapor Deposition,CVD)法が 最 も耐熱衝撃性に優れた被覆法であることを 明 らか にし た。 こ の成 果に より 、こ の被 覆法 によ る材 料はJT−60の プラ ズマ対向材料と して採用 され、従来の材料よりかなり損耗が少ないことを実証した。また真空技術を駆使し てこれら の材料からのガス放出特性を昇温脱離法で評価し、その結采、主な放出ガスは水で あ り、 ガス 放出 を 抑え るた め250℃ で18時間 の ぺーキングが必要となることを提案した。

こ の結 果はJT−60の内 壁の クリ ーニ ング 処理 法と して 用い られ 、プ ラズ マ閉じ込め性能 の向上に 寄与した。

  次 に 、JT→60を 改 造 し たJTー60Uの プ ラ ズ マ 対 向 材 料 と し て の 炭 化 ホ ウ 索(B4C) 被覆黒鉛 材料の開発研究を行い、その耐熱特性を詳細に調べた。その結果、コンバージョン 法 とい われ る新 し い方 法で 作製 したBIC被覆 材 が、卓越した耐熱特性をもつことなどを明 ら か に す る と と もに 、JT―60Uに適 用さ れ、 プラ ズマ 性能 の 向上 に多 大に 寄与 した 。ボ 口ン系材 料はプラズマ中の酸索不純物の低滅にも有効なことから、この材料の使用により、

JT―60Uで は プ ラ ズマ 温度 、プ ラズ マ密 度お よび エネ ルギ ー 閉じ 込め 時間 の積 (核 融合 三重積) の世界最高値を得ることに成功した。この材料の適用は、コンバージョン法で作製 し たB4C被覆 材が 高熱 流束 負荷 に対 して 極め て 安定であるという評価試験結果によるもの で あ り 、 将 来 多 く の 大 型 核 融 合 装 置 に 利 用 さ れ る も の と 期 待 さ れ て い る 。   現在、 核融合三重積で大きな値が達成されており、核融合炉の実現に向かって、国際熱核 融 合実 験炉 くInternational Thermonuclear Experimental Reactor.  ITE R)の工学設計 が 日 、 米 、EU、 口 シ ア が 協 カ し て 鋭 意 進 め られ てい る。 著 者はITERのプ ラズ マ対 向材 料 の候 補と なっ て いる 炭素 繊維 強化 複合 材(Carbon Fiber Composite,CFC)の熱衝撃試

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参照

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