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博士(工学)高野智宏 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(工学)高野智宏 学位論文題名

高温加熱を受ける高強度コンクリートの 繊維補強による耐火性能に関する研究

学位論文内容の要旨

  

1

章 は 序 論 で あ り 、 本 研 究 の 背 景 お よ び 研 究 の 対 象 を 概 説 す る と と も に 、 関 連 す る 既 往 の 研 究 を 調 査 し て 問 題 点 を 指 摘 し 、 本 研 究 の 位 置 づ け と 目 的 を 示 し て い る 。

  

2

章 で は 、 高 温 加 熱 を 受 け た

FRHSC

の 結 晶 変 化 お よ び 微 細 構 造 を 把 握 す る た め 、

X

線 回 折 と 走 査 型 電 子 顕 微 鏡 (

SEM)

に よ る 観 察 を 中 心 に 高 強 度 コ ン ク リ ー ト (

HSC

) と ポ リ プ ロ ピ レ ン 繊 維 補 強 高 強 度 コ ン ク リ ー ト (

PPRC

) を 比 較 検 討 し て い る 。 そ の 結 果 、 次 の こ とを明らかにしている。

  

加 熱 温 度

200

℃ ま で は

HSC

で は コ ン ク リ ー ト の 強 度 を 司 る 結 晶 系

C‑S‑H

( カ ル シ ウ ム ー シ リ ケ ー ト 水 和 物 ) が 多 少 増 加 し 、 次 章で 述べ る残 存 圧縮 強度 比が 増加 する こと 、一 方PPRC で は 結 晶 系

C‑S

H

が 減 少 す る 傾 向 を 示 し 、 残 存 圧 縮 強 度 比 の 低 下 を 誘 導 し て い る こ と 、 さ ら に 、

SEM

の 観 察 に よ り

PPRC

中 の

PPF

の 一 部 は 存 在 し て い る が 、 多 数 が 溶 融 し 空 隙 を 形 成し、緻密性が低下して残存圧縮強 度比の低下を引き起こしている。

  400

℃ で 加 熱 し た

HSC

で は 結 晶 系

C‑S‑H

の 種 類 に も よ る が 一 部 に 結 晶 系

C‑S‑H

の 増 加 が 認 め ら れ る が 一 部 の 結 晶 系

C‑S

H

の 低 下 が 多 数 あ り 、 残 存 圧 縮 強 度 比 が 低 下 す る 傾 向 を 示 し て い る こ と 、 一 方

PPRC

で は 結 晶 系

C‑S‑H

の 出 現 が

200

℃ よ り 少 な く 、 さ ら に

PPF

は 完 全 に 消 失 し チ ュ ー ブ 状 の 空 隙 を 形 成 す る こ と に よ り 残 存 圧 縮 強 度 比 が 全 体 と し て 低 下 す る 。

  400

℃ 〜

  600

℃ に 加 熱 し た 供 試 体 で は水 和物 のポ ル トラ ンダ イト (Ca (OH)2) が脱 水分 解 し

Ca0

H20

に 変 化 す る た め ポ ル ト ラ ン ダ イ ト の 結 晶 が 減 少 し 、

Ca0

の 増 加 が 認 め ら れ る こ と 、 こ の 脱 水 分 解 で は

H20

が 生 成 し 、 水蒸 気圧 が発 生し てい ると 考え られ 、爆 裂 現象 が450

  550

℃ で 発 生 し て い る こ と か ら ポ ル ト ラ ン ダ イ ト の 脱 水 分 解 が 爆裂 に影 響を 及ぼ すこ と が推察されることなどを明らかにし ている。

  

3

章で は、 高温 加熱 を受 けた

HSC

の 残存 特性 につ いて 分散 分析 より 有 意検 定を行っている。

セメントベースト、モルタルの圧縮強度と曲げ強度実験を行い、各要因(繊維,混和材混入量(Vf)、 水 セ メ ン ト 比

(W/C)

、 含 水 率

(Vw)

、 繊 維 ,混 和材 の種 類(Tf)、 粗骨 材の 種類 (Ta))が 加熱 後 の強 度低 下に 対 する 影響 を合 理的 に判 断す るた めに 、残 存強 度比 を用 い て分 散分析を行い残存 強 度 比 と の 相 関 性 に つ い て 考 察 し て い る 。 そ の 結 果 、 次 の こ と を 明 ら か に し て い る 。

  

セ メ ン ト ペ ー ス ト の 残 存 強 度 保 持 で は

Tf

が 有 意 を 示 し

SF

が 残 存 強 度 保 持 に 有 効 で あ る こ と 、 モ ル タ ル の 場 合

W/C

Tf

が 有 意 を 示 し 、

W/C

が 小 さ ぃ ほ ど 、 ま た

SF

の 混 入 が 有 効

    

ー1073―

   

   

   C

‑)

z

2

t

  

     

(2)

ddvfej(D JiA e1§KJK駿eQ K‑Kpjnee      11pp S LJtLJb§q  rle4KJK     pjpG(D KJqKqeu4Gu uQCiq(DJn jG‑1veJ n00 00900 00JSHe uvKoIpp009Oo OOtopcoco :)SHpp002 C (0uIddubpqQpu§qUdd     Qq  C‑ ‑co(OuIddJSH     jp P9bb6gH(O ddd b6´pj6Hu Q(DbClQuSHcoUcI     j´bg 6K  rlvvQQfeoe no92orlJA(Dj b(D(D  (JLJA)j       1 11e ‑1PQ6coPCtq (bQqQ jQq6rluS§qJSHp  rlup ca(DuldduIdS9IAH qCivKgqvfQquIAH vKQqudsrl r/QqJlIcdeQIO6q     jPCiqu pDQHUHuKQqeuddu GcOr,QqdSddd CivKpe vK Ciq(D JlldS§quIdduIAH CDj (or(CoIdduKqNCi qcouldduIdSvKQqeuddu     juRuQmmHupKp Quddv§eudsQe6O     jb KQq  dcIdvCiqcouIdSd0 (DpH CojQ UuSd0 (0 (uIAH)nu bpjuJlldS bQvK         CrqcoUldcIuIS6     DYepqol Jbepn§6 J廿He§6Op(D Iea‑§6jJ廿HeJ nGpqGemvR GuSenjdSdd)uSH pje(D  JSH>ld     pjq Ku´KcoCiHUSHUldSjK ?JSHIddpco009jcopp009Jsid pr/ CiH:)SHeUJn KeuJSHju§q ddpPQp 00900 002      rlR oeojpQJnu

(3)

癌 魁 渋 南 茸 叫 d 冖 阿 帶 霊 ず サ 百 r べ ぐ ノ い 。

    H S C 3 V w V f h T f 斟 囃 心 湖 「 ′ こ ュ ヾ ヾ に ー ア ヨ 9 吟 浄 懴 カ 畫 J ヽ 叶 八 ´ 譁 讌 繭 ッ

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    繭 魁 丶 廿 ニ 二 H p O ぐ ノ ペ 再 遡 2 d イ 匕 憮 ふ 齢 剏 ′ 澣 A d 蒔 藩 哲 壽 百 h d 蝉 滞 ´ 織 6 d 7 壽 丙 H い 髞 黼 帶 諦 O べ ´ / d

澣 ∞ 僻

d

再 斟 皐 甜

d

誚 ず ぎ 沖 舜 湘 帯 謬 諒

L k

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

高温加熱を受ける高強度コンクリートの 繊維補強による耐火性能に関する研究

  

近年、国 の内外において長大トンネルが建設され交通の大動脈を 形成しているが、トンネル内の 火災によっ て大きな被害が発生している。構造材料として高強度コ ンクリートが用いられ、損傷の 特徴として 強度劣化はもとよルコンクリートの爆裂による急激な劣 化挙動が起こり、重要な問題と なっている 。従来の火災等によるコンクリートの劣化挙動について は、主に普通強度のコンクリー トを対象と した研究は多く行われているが、高強度コンクリートの 高温環境下での劣化挙動には未 解 明の 問題 も残 され て いる 。本 論文 では高強度コンクリートの耐火性向上を目的とし て各種繊維

(ポリプロ ピレン繊維:PPF、鋼繊維:

SF

、ハイブリット繊維(PPFとSFの混合):HY)で補強するこ と を考 え、 これ ら繊 維 補強 高強 度コ ンクリート(FHC)について高温加熱によるセメン ト硬化体の 化学的変化 、微細構造の劣化、伝熱特性および緻密性などの物理的 性質、残存強度特性、靭性なと のカ学的性 質およひ爆裂性状を明らかにして、それらの劣化挙動お よび爆裂に関する耐火性能を評 価している 。次の点が成果として挙げられる。

(1) 高温 加熱 を受 けた

FHC

に おけ るセ メン卜硬化休の結晶変化および微細構造を把握す るため、

X

線 回 折 と 走 査 型 電 子 顕 微鏡 (SEM)に よる 観察 を 行い 、高 強度 コン クリ ート (HSC)と ポリ プ口 ピレ ン繊 維補 強高 強度 コ ンク リー ト(

PPRC)

を比較検討して いる。その結果、加熱温度200℃まで はHSCではコ ンクリートの強度を支配する結晶系C―S−H(カルシウムーシリケート水和物)が増加 し、残存圧縮強度比が増加すること、一 方PPRCでは結晶系C‑S ‑Hが不完全化する傾向を示し、残存 圧縮 強度 比の 低下 を誘 導 して いる こと 、400℃まで加熱した 場合、コンクリート中のPPFは完全に 消失 しチ ュー ブ状 の空 隙 を形 成し てい るこ と、

PPRC

はHSCに比 して残存圧縮強度比の低 下が大き いこ と、

400

℃ 〜600℃ に 加熱 した 供試 体で は水 和物 のCa(OH)2が脱水分解しCa0とHz0に 変化する ことによる水蒸気圧が発生していること 、爆裂現象が450〜550℃で発生していることからこの脱水 分 解 が 爆 裂 に 影 響 を 及 ぼ し て い る 可 能 性 が 高 い こ と な ど を 明 ら か に し て い る 。

(2)

高温 加熱 を受けたHSCの残存強度特性などの要因について、分散分析より 有意検定を行い、

‑ 1076

志 紀

   

   

障 史

伯 沼

澤 口

大 友

授 授

授 授

   

   

教 教

教 助

査 査

査 査

主 副

副 副

(5)

各 要因( 繊維など の混入 量:

Vf

、水 セメン ト比:W/C、含 水率:Vw、 繊維な どの種類 :Tf、粗骨 材 の種類 (

Ta

))と 残存強 度比との 相関性 について 考察し ている。  SF混入が残存強度・弾性係 数 特性な どの向上 に有効 であるこ とを川 らかにし ている。

3) 高 温 加 熱 を 受 け たFHCの 靭 ↑ ′I! に 対 す る 劣 化 挙 動 に つ い て3種 の 破 壊 靭 性 の 評 価 指 標 、 す な わ ち 荷 重 一 開 口 変 位 曲 線 に よ る 靭 性 浄I;Jil[iエ ネ ル ギ ー (Gi ) 、有 効 ひび 害0れ によ る |眼 界ひ ず みェ ネル ギ ー 解 放 卒 (Gic:)お よ び ひ び 剖 れ 発 ′ ・1‐ 仏 橋 の 仮 旭1長 さ を 示 す 脆 性 指 数 (lch)に よ って 破壊 靭 性に 対す る 耐火 Plを評イllliした結米、Gl;ヽGぼ、Iじhとも惻゛Pltに>、tしてほほlIdじ1;`lf価の似Ifljをノ亅:したこと、SFRC は加熱 前後の制 『′・Iイ氏I`.が少ないこと、PPRCは丿J‖熱|]H後で翻 1型t低ト.がかなり人きし、こと、HYRC SFの 効 果 に よ っ て 加 熱 前 後 の 靭 ゛ ド it低 ト を 抑 制 で き る こ と な ど をIリ ・ 亅 ら か に し て い る 。

4

 HSC

およひFHCに高 温加熱し 、内音15温度と熱ひずみを実験により測定し、加熱状態での熱拡 散 率を差 分法によ り求め ている。 これを 雛認する ために熱 拡散率の実験値を用いてFEM解析によっ て 加熱下 の内部温 度、熱 ひずみを 求めて実験結果と比較した結果、求めた加熱下の熱拡散率の数値 が 妥 当 で ある こ と を確 認してい る。ま た実験結 果から 、

PPRC

の熱拡 散率は

HSC

と比 較して 高い値 を 示し、

PPF

の溶 融消失 により高 温蒸気 の伝導が 容易にな り、PPRCは熱が伝わりやすいこと、高温 加 熱によ る熱ひず みに関 しては低 い含水 率ほど高 い熱ひず みを示すこと、さらに、PPFの混入によ り 熱拡散 率が高く なり、 熱ひずみ を低減 する効果 が生じ、

PPF

が 爆裂抑制効果に有効に働いている こ とを明 らかにし ている 。

5

) 高温加 熱を受け た後の

HSC

、PPRCの 緻密性 の評価に ついて 透水試験 を行い 、加熱前後による 透水 係 数 の変 化 につい て試験を 行った 。その結 果、PPRCお よびHSCとも加 熱温度の 上昇と ともに 透水係 数が増加すること、

PPRC

の透水係数は

PPF

の溶融消失によりかなり大きくなること、さらに、

深さ 方 向 の内 部 温度分 布と透水 係数分 布からHSCは400℃から

600

℃に かけて 内部の深 いコン クリ ートほ ど透水性 が小さく なる傾 向を示し 、気体 、水分の 移動が 難しいこ と、水分 移動が

PPRC

のよ うにス ムーズな 場合、水 蒸気圧 あるいは水圧の緩和が考えられ、爆裂の可能性が低減されることを 明らか にしてい る。

6

)高 温加熱時 における 表層部 の薄い部 分の飛 散爆裂は セメン トペース卜ならびにモルタルに関 係し 、それ らの実験 および 分散分析 結果から 、表眉 部の含水 率を小さく保っこと、PPF、

SF

をコン クリ ートに 混入する ことに より飛散 爆裂を低 減する ことがで きるこ と、

HSC

の爆裂 発生挙動 はPPF を混入することにより爆裂発生率が低減し有効であることを明らかにレている。さらに、(2),(3) に 述 べた 残 存 強度 、 靭 性 など に 対 する

SF

およ び

HY

の有 効性お よび

HSC

爆裂抑 制に有効 なPPFと の 性 能 を 合 せ 持 つ

HYRC

が 耐 火 性 能 の 向 上 に 対 し て 有 効 で あ る こ と を 明 ら か に し て い る 。

  

これ を要す るに、著 者は、 トンネル火災などで高温加熱を受ける高強度コンクリートの強度劣化 およ び爆裂 損傷を抑 制するた めに、繊維の使用方法、特に鋼繊維とポリプロピレン繊維を混合した ハイ ブリッ ト型補強 によるコ ンクリートが有効であることなどの新知見をえたものであり、コンク リー ト工学 の発展に 寄与する ところ 大なるも のがあ る。

よ っ て 著 者 は 、 北 海 道 大 学 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。

1077

参照

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