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時所人  話

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日本小児循環器学会雑誌 12巻4号 620〜622頁(1996年)

第60回東海小児循環器談話会

時所人

日場世

平成8年2月10日

名古屋第二赤十字病院

岩佐 充二(名古屋第二赤十字病院小児科)

 1.心房粗動で経過観察中に筋緊張性ジストロ

フィーと診断された1例

    名古屋第二赤十字病院小児科

      矢守 信昭,岩佐 充二,安藤恒三郎  筋緊張性ジストロフィー(MD,成人例)は伝導障害,

僧帽弁逸脱などの心合併症を伴うことが知られてい る.今回我々は13歳より動悸があり15歳,学校検診で

偶然心房粗動を発見され経過観察中percussion

myotoniaより筋緊張性ジストロフィーと診断された 男児を経験したので報告した.MDに心房粗動を合併 する頻度は文献上まれであるが,小児特発性心房粗動 の基礎疾患としてMDを考慮する必要があると思わ

れた.

 2.運動時失神発作を契機に発見された多源性心室 頻拍の7歳女児例

    名古屋第一赤十字病院小児医療センター循環     器科

      加藤 太一,瀧本 洋一       中村 重男,羽田野為夫  症例は7歳女児.運動時意識消失発作を主訴に当科 受診.初診時心電図でAIVR.トレッドミル負荷心電 図にて反復する非連続性の多源性心室性頻拍が出現し たが,βプロッカー静注後その頻度は減少した.心エ コー及び心カテーテル検査では左室の収縮力低下を認 めた.同年6月,EPS施行.プロタノール持続静注後 のRV rapid pacing(rate=140,160/min)数発の多 源性心室性期外収縮が誘発された.

 3.若年者WPW症候群における突然死及び心房

細動例

    名古屋大学小児科,中京病院小児循環器科*

      後藤 雅彦,長野 美子,馬場 礼三       長嶋 正實,松島 正気*

 WPW症候群の経過観察中に突然死(2例)あるい は心房細動(2例)のエピソードを認めた4例(男3

別刷請求先:(〒466)名古屋市昭和区鶴舞65      名古屋大学医学部小児科  長嶋 正実

例,女1例)を経験したので報告した.突然死の2例 は14歳および15歳男児で学校管理下に心肺停止状態で 病院に運ばれたが死亡した.心房細動例は19歳男児お よび8歳の女児で,PSVTから心房細動に移行し緊急 入院し治療を受けた.このようにWPW症候群におい ては致死性不整脈の発現による突然死の危険性を考慮

して慎重な経過観察を必要とする症例が少数例ある.

 4.Coronary artery−Pulmonary artery fistula を合併した肺動脈弁閉鎖の3例

    静岡県立こども病院循環器科

      河崎 知子,金  成海,深澤ちえみ       田中 靖彦,黒嵜 健一,斎藤 彰博

 肺動脈閉鎖では動脈管または体肺側副血行路

(MAPCA)などから肺血流を確保する場合が多いが,

今回我々は肺動脈弁閉鎖に冠動脈肺動脈痩(CPF)を 合併した3症例を経験した.いずれの症例も動脈管に 血流を認めず,MAPCAを合併していた.CPFはsteal 現象から心筋虚血をおこす可能性もあり,手術時には 慎重な対応が必要となる.肺動脈弁閉鎖を合併する疾 患では,CPFの有無を検索する必要があると思われ

た.

 5.初診時に肺高血圧を呈し,lipo−PGE1を用いた 総肺静脈環流異常III型の1例

    県立岐阜病院新生児科

      長澤 宏幸,桑原 直樹,増江 道哉       高橋 一浩,内山  温,松井 永子       市橋  寛

    同 小児科

      山崎 嘉久,伊在井 馨,加藤 智美     同 胸部外科        滝谷 博志  症例は1カ月男児.38週5日,2,796gで出生.1カ

月健診でチアノーゼを指摘される.入院時体重は2,904 g.心エコーにて右房,右室の著明な拡大と左房,左室

の狭小および肺高血圧を認め,胸部X−Pでは10w

flow.肺高血圧と心不全治療としてlipo−PGE1を使用

し,肺血流は増加した.翌日に手術.術後3日より右 肺全体に警血を認め,術後7日で心カテ施行.右上中

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日小循誌 12(4),1996

葉の血流はほとんど認められなかった.対症療法のみ で経過をみたところ軽快した.後日施行した肺血流シ ンチでは異常を認めていない.

 6.当院にて経験した1型(Kirklin分類)心室中隔 欠損について

    豊橋市民病院小児科

      白谷 尚之,大林 幹尚,大呂陽一郎       岡本 優子,石濱 広美,小山 典久       鈴木 賀巳,西村  豊

    同 胸部外科  小林 淳剛,大原 啓示       山崎 武則,中山 雅人  1992年6月1日より1996年1月31日までの間に当院 で心臓カテーテル検査を行ったKirklin I型の心室中 隔欠損は15例あり,14例に大動脈弁右冠尖の逸脱を合 併していた.そのうち1例は16歳の男児で大動脈弁閉 鎖不全を,もう1例は1歳11カ月の男児でバルサルバ 洞破裂と大動脈弁閉鎖不全を合併していた.6カ月毎 に経過観察していたにもかかわらず大動脈弁閉鎖不全 などに進展する症例があり,経過観察,治療方針を再 検討する必要があると思われた.

 7.TOF術後,高度A−Vブロックに伴ったtor・

sades de pointes(TdP)の1例     大垣市民病院小児循環器科

      西端 健司,安田東始哲,田内 宣生     同 胸部外科

      成田 裕司,加藤 紀之,村山 弘臣       原  修二,玉木 修治

 症例は4歳4カ月の女児.母親はSLE.2歳3カ月

時,TOFの根治術施行,術後よりIlc AVブロック

(Wenckebach型)を認めた.術後1年頃より,2:1 blockから高度AVブロックが認められ,徐脈傾向が

進んできた.EPSではAHブロックを示した(HV=

40msec).徐脈時には, QT=0.60, QTc=0.54と延長 し,TdP様のVTが認られた.4歳4カ月時,ペース メーカー(DDD)植え込みを行い,以後VTは消失し たが,閾値が高く現在ステロイド投与中である.

 8.機械弁による僧帽弁置換,ペースメーカーの使 用の下に妊娠,分娩を経過した部分型心内膜症欠損,

肺動脈弁狭窄の1例

    名城病院小児循環器科

      木村  隆,牧  貴子     同 産婦人科  杉山 正子,堀  好博  27歳時にSJM弁による僧帽弁置換を受け,完全房

室ブロックを来したためにVVIRモードのペース

621  (133)

メーカー使用した女性が32歳時に2,850gの女児を分 娩した.妊娠の判明した4週より16週まで,ワーファ リンをヘパリンの点滴静注に変更し,その後一旦ワー ファリンに戻したが35週より再びヘパリンを使用して 分娩に臨んだ.妊娠中期に基礎心拍数を15%増やした.

母児ともに無事であった.

 9.最近経験した人工弁機能不全の3例     社会保険中京病院小児循環器科

      松島 正氣,生駒 雅信,小川 貴久     同 心臓血管外科

      前田 正信,佐井  昇,岩瀬 仁一       桜井  一,竹村 春起

    名古屋大学小児科      長嶋 正實  人工弁機能不全の3例にウロキナーゼを投与した経 験を報告した.ラステリー手術後で肺動脈弁位が2例,

三尖弁置換後が1例で,全てBjork−Shiley弁であっ た.mechanical soundの減少または消失を契機に,透 視下に診断した.ウロキナーゼはO.4〜1万単位/kg/

日投与し,成功例2例は20日間と24日間使用した.無 効であった1例は真菌性の疵状物による機能不全で再 手術が必要であった.

 10.コイル塞栓術を施行したグレン術後の1例     名古屋市立大学小児科

      水野寛太郎,早川  聡  症例は3歳8カ月の男児.右室低形成とMultiple

VSDを有するd−TGAePS症例で,1歳11カ月時

Glenn手術を施行.術中, SVC圧上昇をきたしたため 奇静脈を温存したところ,術後1年半頃より奇静脈を 介した右左短絡量が増加し,チアノーゼの増悪をみた.

本症例に対し,閉塞試験を行った後,コイルによる奇 静脈塞栓術を施行した.塞栓術後,一過性の顔面浮腫 を認めたが,一般状態は良好に推移し,酸素飽和度の 上昇を得た.

 11.MAPCAを伴うAsplenic heartに対して TCPCを施行した1例

    大垣市民病院胸部外科

      成田 裕司,玉木 修二,村山 弘臣       加藤 紀之,伊神  剛

    同 小児循環器科

      田内 宣生,西端 健司,安田東始哲     社会保険中京病院心臓血管外科

      前田 正信  症例は2歳5カ月の男児で,単心房,単心室,共通 房室弁,肺動脈狭窄,左上大静脈遺残,右側大動脈弓,

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622  (134)

無脾症候群と診断.術前PAindex=532,肺血管抵抗=

1.7,肺動脈模入圧=9mmHg.まずMAPCAに対し coil embolizationを行ってからFontan型手術

(TCPC)をした.手術は体外循環心拍動下にLSVC,

RSVCの順に肺動脈と吻合し, 16mm ringed PTFEを 用い,IVCと肺動脈を吻合した.体外循環離脱時に静 脈圧が上昇したがNO吸入により容易に離脱できた.

術後管理でもNOの吸入は非常に有効であった.

 12.心内膜床欠損を伴うファロー四徴候の1例     名古屋市立大学第1外科

      鵜飼 知彦,三島  晃,浅野 実樹       吉冨 裕久,山本 茂樹,斎藤 隆之       真辺 忠夫

 稀な心内膜床欠損を伴うファロー四徴症に対し,

biventricular repairを施行したので報告した.症例は 幼児期より心内修復術が困難と考えられた11歳男児 で,チアノーゼが増強し治療方針決定のため再評価を 行った.共通房室弁逆流軽度で両室容量の発育を認め たためtwo patch technique,右室流出路形成による 根治術を施行した.各房室弁逆流も両心室流出路狭窄

も認めず,術後経過は順調であった.

 13.総動脈幹症,PAPVC, ASI)を合併した新生児 に対する2期的根治術の経験

    名古屋第一赤十字病院胸部外科

      秋田 利明,城田 和明,前川 厚生       早瀬 修平,矢野  洋,阿部 稔雄

日本小児循環器学会雑誌 第12巻 第4号

    同 小児医療センター小児循環器科       羽田野為夫,中村 重雄,滝本 洋一  総動脈幹症(1型),ASD, PAPVC,1−isomerismを

合併した新生児に対して生後7日目にBarbero−

Marcial法(肺動脈右室直接吻合+ 弁付き右室流出 路パッチによる右室流出路再建)による総動脈幹症根 治術及びASDパッチ閉鎖術を行い,生後19日目に上 大静脈右側心耳吻合術,心房中隔パッチ形成術を行っ た.両術式とも再建部に自己組織を用いるため成長が 期待でき新生児期根治術として極めて有用と考えられ

た.

 14.左心低形成症候群に対するNorwood手術成功 例

    社会保険中京病院心臓血管外科

      岩瀬 仁一,前田 正信,佐井  昇       櫻井  一,竹村 春起

    同 小児循環器科

      松島 正氣,生駒 雅信,小川 貴久  日齢22体重2,815g男児のHLHS(AA/MA)症例に 対しNorwood手術を行った.上行大動脈最狭部1.7 mm右腕頭動脈に3.5mm PTFE graftを吻合し体外 循環送血路およびBT shuntとした.術後7日目に胸 骨閉鎖10日目に人工呼吸器より離脱した.術後心臓カ テーテル検査で圧差約20mmHgのCoA.がみられた ため現在入院経過観察中である.

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