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第23回東北小児心臓病研究会 期 日

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日本小児循環器学会雑誌 8巻4号 581〜583頁(1993年)

〈研究会抄録〉

第23回東北小児心臓病研究会

期 日 会 場 事務局

平成4年5月30日(土)

仙台市戦災復興記念館 山形大学医学部小児科

 1.人工ペースメーカーを装着した先天性完全房室 ブロックの2未熟児例

    東北大学医学部小児科

      田中 高志,山田 美保,柿澤 秀行       村田 祐二,堺  武男

    東北大学医学部胸部外科

      佐藤  香,中目 貴彦,東福寺元久       近江三喜男,佐藤  尚,羽根田 潔  胎児エコーにて診断がついた先天性完全房室ブロッ

ク症例のうち,妊娠の継続が胎児にとって危険と判断 され,早期に帝王切開にて娩出した2例を経験したの で報告した.一例目は妊娠32週6日1,670g,二例目は 29週4日1,766gで,いずれも一時的ペーシングの後,

適応の有無をしらべた上で永久的ペースメーカーを装 着した.同方法は重症の先天性完全房室ブロック症例 に対し安全確実な方法と思われた.

 2.乳児早期のバルーン肺動脈弁形成術の2症例     本多記念東北循環器科病院小児科

      本村 栄章,山村 英司,瀬口 正史     同 外科    本多 正知,浜脇 正好  新生児,乳児期発症の重症肺動脈弁狭窄症(PPS),

及び肺動脈弁閉鎖症(PPA)に対して,近年バルーン による肺動脈弁形成術(Balloon Pulmonary Valvo−

plasty:BPV)が広く行われるようになり,当院でも 2症例で上記の弁形成術を施行し,有効であったので 報告する.

 症例1はPPSの患児で,日齢10にBPVを施行し,

形成術直後の右室圧/左室圧比は110%より66%へ低下 した,外来時の心エコーでも推定右室圧は60〜70%と 変化は認めなかった.症例2はPPAの患児で,日齢23 日にBrock手術, B−T shunt術を施行したが, PO2が

30mmHg前後と低値のため,日齢56日にBPVを施行

し,右室圧/左室圧比は97%より63%へ低下した.外来 時の心エコーでも右室圧は60%と変化を認めなかっ

た.

 乳児早期のBPV施行時は,全麻下の深鎮静下で,呼

吸管理を充分に行い,バルーンサイズは弁輪径より約 30%大きいものを使用し,血流遮断時間は短時間(7 秒以内)とし,安全かつ有効であった.

 3.バルーン肺動脈弁形成術を施行した17例の遠隔 成績

    山形大学医学部小児科

      秋場 伴晴,芳川 正流,中里  満       鈴木  浩,佐藤  哲,佐藤 哲雄  1988年2月から1991年1月までの3年間に,肺動脈 弁狭窄症を有する男6例,女11例,計17例の小児に経 皮的・ミルーン肺動脈弁形成術を施行した.年齢は9カ 月から13歳6ヵ月(平均6歳2ヵ月)であった.弁形 成術に用いたバルーンの最大径は肺動脈弁輪径の 99〜144(平均117%)であった.全例で弁形成術直後 に右室圧の低下と右室・肺動脈圧較差の縮小をみた.

術中,術後に重篤な合併症は生じなかった.術後経過 観察期間は1年から3年11ヵ月(平均2年8ヵ月)で,

ドップラー心エコー法から求めた右室・肺動脈圧較差 を指標に遠隔成績を評価し,30mmHg未満の場合を有 効と判断した.その結果,15例においては有効で,そ の効果も持続する傾向を示したが,肺動脈異形成弁を 有する2例では50mmHg以上の圧較差が残存した.バ ルーソ肺動脈弁形成術は肺動脈弁狭窄症に対しては第

一一に試みるべき手段であるが,異形成弁に対する効果 は期待できない.

 4.術後肺高血圧クリーゼを合併した多脾症候群の 1例

    福島県立医科大学心臓血管外科

      丹羽 雅博,岩谷 文夫,星野 俊一  術後頻回のPH crisisを合併した多脾症候群の1例 を経験したので報告する.

 症例は6ヵ月の女児で,主訴は多呼吸,哺乳力低下.

現病歴は在胎38週,2,520gにて出生し,生直後より心 雑音,多呼吸,哺乳力低下を認めたため生後4ヵ月入 院となった.入院時体重4,800g.精査にて多脾症を伴 うincomplete ECD, infundibular muscular VSD,

Presented by Medical*Online

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582−(100)

PDA, PAPVR, Mr, Tr, PHおよびLSVC左房還流,

azygos connectionと診断した.心臓カテーテル検査 ではroom airで肺動脈圧は82/21mmHg, Pp/Psは O.91と高度の肺高血圧を認め,Qp/Qsは2.98, Rpは 4.3単位であった.純酸素吸入試験で肺動脈圧は70/13 mmHg, Pp/Psは0.82, Rpは3.1単位と低下し,手術 適応とした.手術は体外循環下に,PAPVRを含めた incomplete ECDのパッチ閉鎖, VSDの直接閉鎖,僧 帽弁cleft縫合,三尖弁輪縫縮, PDA, LSVCの結紮術 を施行した.術直後Pp/Psは一時0.53と低下したが,

術後2日目より頻回のPH crisisを繰返し,徐々に PGE1,塩酸トラゾリソも無効となり術後11日目死亡 した.剖検時の肺血管病変所見では,肺小動脈内膜に 病変は認めなかったが,中膜は直径30 一 100μの範囲で 極度に肥厚していた.しかし30μ以下の肺小動脈に中 膜の肥厚が少ない血管が含まれており,原発性肺高血 圧症の合併が考えられた.以上,原発性肺高血圧症を 合併した多脾症候群の1例を報告した.

 5,三心房心との相違が問題となったDarling IIb 型総肺静脈還流異常症の1例

    山形大学医学部第2外科

      深沢  学,折田 博之       後藤 智司,鷲尾 正彦     山形大学医学部小児科

      秋場 伴晴,芳川 正流,中里  満       鈴木  浩,佐藤  哲,佐藤 哲雄  症例は生後5ヵ月の女児であり,生後2日目より著

明な心不全症状が出現し,同症状はPDAが主体と判 断,また生下時体重1,926gと低体重児のため3日目に PDA結紮のみをうけている.体重3,320gにて根治手 術を施行した.手術所見にて共通管は心房中隔上縁,

左房上壁に沿って右房に直接開口していた.左房共通 管の接する部位を切開拡大すると共に,豚心膜を用い 心房内に共通管一左房交通を形成した.手術所見より

TAPVC(IIb)と判断したが,本例はLS分類のIIA

三心房心との相違が問題となる比較的稀な病型と考え

られた.

 6.小児に対する弁置換術     東北大学医学部胸部外科

      東福寺元久,羽根田 潔,近江三喜男       佐藤  尚,毛利  平

 小児の弁置換16症例(MVR 10例, AVR 1例,

MVR+TVR 2例, Bentall手術1例,共通房室弁置換 術1例,Apicoaortic conduit repair 1例)を対象と

日小循誌 8(4),1993

し,その成績,及び,外科治療上の問題点について報

告した.

 7.最近の先天性心疾患手術死亡例の検討     明和会中通病院心臓血管外科

      大久保 正,金子 兼喜       星野 良平,郷古 親夫  1989〜1991年の先天性心疾患手術例は102例,1歳未 満の乳児は18例,10歳未満の症例は77例であった.開 心術で2例,非開心術で3例の死亡があり,手術適応 と手術手技に問題があった2症例に関して検討を加え

た.

 第1例は3歳女児,総肺静脈還流異常,右室型単心 室,共通房室弁,肺動脈閉鎖症.乳児期に右のoriginal B−Tshuntを行い,比較的経過良好であったが,3歳 はじめ頃からvertical veinの狭窄と共通房室弁逆流 による心不全となった.総肺静脈還流異常の修復と共 通房室弁の置換を行ったが,術後2日目死亡した.

 第2例は3ヵ月の男児,先天性大動脈弁狭窄,心室 中隔欠損症.急性左心不全で入院,部分体外循環下に 人工血管を用いたDamus吻合を置き, modified B・T shunt作成, ASD拡大を行ったが,術後低酸素血症が 続き術後3日目死亡した,

 8.左単冠動脈一右心室痩の1例     福島県立医科大学小児科

      佐藤 守弘,市川 陽子       紺野  守,鈴木  仁  今回,私達は学校検診での心雑音を契機に診断され た左単冠動脈一右心室痩の6歳女児例を経験し,その 手術適応と発生機序について考察した.症例は6歳女 児で,平成3年の学校検診で心雑音を指摘されたため に当科に紹介され,入院した.心臓カテーテル検査で は,圧は正常であったが左右短絡は28%であった.心 血管造影では,左冠動脈は起始部から前下行枝が拡張,

蛇行し,逆行性に右冠動脈が造影され,その末梢で右 心室に痩孔を形成していたが,バルサルバ洞での造影 では,右冠動脈は順行性に造影されず,右冠動脈の起 始は不明であった.以上より,本症例を左単冠動脈一右 心室痩と診断した.本症例では右冠動脈の近位部に痩 孔形成という発生異常が生じたため,末梢の血管網と の交通が遮断され,左単冠動脈になったものと推測さ れた.その手術適応については,本症例が左単冠動脈 であるため,その手術適応および方法を十分に検討す る必要があると思われた.

 9.Axial angiocardiographyの有用性にっいて

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平成5年1月20日 583−(101)

    明和会中通病院小児科

       高田  修,三浦 靖徳

 当院では設備の都合上single−plane cine・

angiographyをおこなっており, axial angiography を多用している.そのなかで形態診断上有用と思われ る経験をしたので報告した.

 造影はSotoらの方法に従った. ASDは4−chamber

viewが有効であった. VSDの部位診断には4−

chamber view,左室長軸像,側面像が有用であった.

Sotoらは流出路のVSDは左室長軸像が最も見やす

いとしているが,当科の経験では右室流出路との関係 を見るには側面像が有用であった.

 複雑心奇形例として4・chamber viewが有用であっ たdextrocardia, situs Inversus,1−loop, TGA, PA,

VSD, ASD, criss・cross heartの1例と左室長軸像が 有用であったanatomically corrected malposition of great arteriesの1例を提示し,シネフィルムを共覧し

た.

 10.小児循環器領域における磁気共鳴画像診断の経 験

    東北大学医学部小児科

       柿澤 秀行,山田 美保        田中 高志,村田 祐二     東北大学医学部放射線科   洞口 正之  1988年9月から1992年4月までに施行した120例の MRIのうち,代表的な症例を提示し, MRIの有用性お

よび問題点について報告した.提示した症例CX PTA,

coarctation(術前およびBalloon dilation angioplas−

ty後), polysplenia, criss−cross heart, tumor,

TAPVC, absent P valve, MAPCA, vascular ring,

MCLSによる巨大冠動脈瘤である.さらにシネMRI の1例としてTAPVC上心臓型を提示した. MRIは

その構造上,intensive careを必要とする場合は施行 困難であるという制約が有るが,心内構造および大血 管の客観的かつ立体的空間的な把握に非常に有用で

あった.

 11.心内膜床欠損症における共通前尖および後尖の 形態

    山形大学医学部小児科    秋場 伴晴     アムステルダム大学心血管病理学

      Anton E. Becker  完全型心内膜床欠損症の心臓病理標本30個を対象 に,共通前尖および後尖の形態について検討した.共 通前尖はRastelliらの分類にほぼ一致した形態が認 められた.共通後尖の形態は心室中隔の峰との付着様 式により4つの型に分類した.1型(5個)は共通後 尖が直接心室中隔に付着しているもの,II型(2個)

は共通後尖と心室中隔との間に膜様構造物が介在して いるもの,III型(13個)は両者の間に多数の腱索が存 在するもの,IV型(10個)は少数の細い腱索で両者が つながれているものとした.1型およびII型では,共 通後尖下に有意の心室間交通がなく,心室パッチの挿 入は不要であったが,III型およびIV型では有意の心室 間交通が存在し,根治手術に際してはパッチによる閉 鎖が不可欠と考えられた.共通後尖の我々の分類した 型とRastelli分類との間に相関は認められなかった.

完全型心内膜床欠損症における共通後尖の形態は手術 手技を決定する上で重要である.

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