736 (126) 口本小児循環器学会雑誌 第ll巻 第5号
第6回長野小児循環器談話会
日 時 場 所 世話人
平成7年6月3日
長野県立こども病院 会議室 坂井 昭彦(波田総合病院小児科)
特別講演
先天性心疾患に対する外科治療の最近の進歩 岡山大学医学部心臓外科教室教授 佐野 俊二先生 司会:原田 順和
(長野県立こども病院心臓血管外科)
一般演題
1.左室前側壁に限局性心筋障害を呈した心筋炎の 1女児例
信州大学医学部小児科
中山 佳子*,竹岡 正徳,笹野 拓也 牛久保誠一一,藤原 道雄,片桐真由美 田村 秋穂,松岡 高史,小宮山 淳 *現 伊那中央病院小児科 司会:長沼 邦明(飯田市立病院小児科)
症例は11歳女児.1995年2月に心筋炎と診断され,
心不全に対する治療に加え免疫グロブリン大量療法を 施行された.3日後より左室収縮能の改善は得られ心 不全は軽快したが,左室前側壁に限局性の心筋障害を 残した.冠動脈造影では左右冠動脈に異常を認めず,
右室心筋生検は亜急性期心筋炎の像を呈した.虚血性 心疾患との鑑別と心筋炎に対する免疫グロブリン大量 療法の効果を評価するうえで貴重な症例と思われる.
2.総肺静脈還流異常症を伴った無脾症候群に対す る姑息的開心術の検討
長野県立こども病院心臓血管外科1),循環器 科2)
後藤博久*の原田 順和1)竹内 敬昌り 坂本 貴彦 )太田 敬三1)里見 元義2}
安河内 聰2)加納 洋2)太田 喜義1)
*現 信州大学医学部第2外科
司会:吉井 新平(山梨医科大学第2外科)
新生児期,乳児期早期に肺静脈閉塞(PVO)を来す 総肺静脈還流異常症(TAPVR)を伴った無脾症群4例 に対し,姑息的開心術を施行し3例救命した.
症f列1:CA, SRV, DORV, TAPVR(Ib), PS,
CAVVR.症例2:CA, DORV, ECD(c), TAPVR
(III), PDA, PS, CAVVR.症例3:SRV, DORV,
PA, PDA, ASD, TAPVR(III), RAA, CAVVR.
症例4:CA, ECD(a), TGA, TAPVR(III), PS.
手術は,中等度低体温,心停止下に心房と肺静脈の吻 合を行った.術後の肺血流調節のためには,TAPVR の修復とともにBT短絡, PDA結紮, PABなどを同 時に行い,容量負荷軽減のため,CAvVRにたいして
も,弁輪縫縮などを行うべきである.
3.小児開心術中における術中経食道心エコーの使 用経験
山梨医科大学小児科
駒井 孝行,矢内 淳 同 第2外科 吉井 新平,鈴木 章司 司会:青沼袈佐賜(篠ノ井総合病院小児科)
我々は,最近の小児開心術3症例で術中経食道心エ コーを行ったので報告する.
症例はECDの心内修復術2例, VSD+ARでVSD
閉鎖と大動脈弁置換術を行った1例である.手術室で 全身麻酔がかかった後,および人工心肺から離脱した 術直後に経食道エコーを施行した.房室弁,大動脈弁 の様子は明瞭に観察でき,術前後での弁逆流の評価が 可能であった.弁の狭窄,閉鎖不全などが問題となる 心内手術にさいして術中経食道エコーは有用と思われる.
別刷請求先:(〒390−14)長野県東筑摩郡波田町 4417−180
波田総合病院小児科 坂井 昭彦
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