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佐野哲也 小川 實       大阪大学第1外科

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(1)

日本小児循環器学会雑誌 1巻2号 164〜172頁(1986年)

房室弁騎乗の断層心エコー図

(昭和60年1月22日受付)

(昭和60年12月3日受理)

       大阪大学放射線科

有沢  淳  森本 静夫  曽根 脩輔 池添 潤平  栗山 啓子  審良 正則

       大阪大学小児科

 佐野哲也 小川 實

       大阪大学第1外科

松田  暉  広瀬  一  川島 康生

key words:

       要  旨

 房室弁騎乗は心室中隔への弁口の騎乗overridingとstraddlingと称される弁下組織の両心室への挿

入からなり,三尖弁騎乗では流入路心室中隔に,僧帽弁騎乗では流出路心室中隔を介してこれは存在す

る.1982年から1985年2月までに三尖弁騎乗4例と僧帽弁騎乗2例が断層心エコー図により診断され5

例に根治手術が施行された.各断層面の有用性を検討し,形態的特徴との関連について考察した.三尖 弁騎乗では四腔断面が最も有用で,流入路心室中隔の偏位と弁口騎乗,弁下組織の心室中隔縁への付着 や中隔左室側,左室内異常乳頭筋への付着を認めたが,criss・cross heartでは四腔断面は描出不可能で 肋骨弓下からの冠状面において水平に位置する心室中隔と弁口騎乗,中隔左室側への腱索の付着を認め た.僧帽弁騎乗では左室長軸断面が最も有用で,流出路心室中隔欠損と前尖腱索の右室への付着を認め,

弁口の騎乗の有無を判定できた.短軸断面で僧帽弁前尖にcleftを認めた.このような有効な断層面の相 違は心室中隔欠損口の位置とそれによる房室弁が騎乗する心室中隔の部位の相違によるものと考えられ

た.

         はじめに

 房室弁の位置異常である房室弁騎乗は弁口の騎乗 overridingと腱索の両心室への挿入straddlingより なり,多くは同時に存在するが一方のみが存在する場 合もある1).三尖弁騎乗では右心室側からの欠損口の

閉鎖は困難であり2)3),僧帽弁騎乗では弁口が流出路心

室中隔欠損に騎乗する形をとり欠損口の閉鎖の結果左

室流出路を僧帽弁尖が閉鎖することがある4).また,房

室弁の位置異常に従って心室の低形成を合併すること が多い1).従って手術に際しては詳細な形態診断が重

要な課題である.

別刷請求先:(〒553)大阪市福島区福島1−1−50      大阪大学放射線科     有沢  淳

 心血管造影では弁下組織を直接描出することは不可 能であり,心房に注入された造影剤が両心室へ流入す

る状態5)や弁口が中隔を越えて両心室に開く像6)7)など

間接所見から診断される.また心室中隔を正接像に示 し中隔と弁口を分離して描出することは容易でない.

これに対して断層心エコー図は心内構造物を直接描出 できるのが特長であり,殊に最近は装置の性能が急速 に向上したために弁下組織を比較的明瞭にリアルタイ

ムで観察できるようになった.

 今回,断層心エコー図検査が術前検査法として殊に 有用と思われた房室弁騎乗6例についてその心エコー

図を示しその有用性を検討する.

         対象と方法

 対象は1982年1月以降1985年2月までに断層心工

(2)

Table 1. Materials of overriding and straddling atrioventricular valve

Case Age Sex Type of overriding and straddling Associated anomalles Operatk)n

1

6v.M ン

T.V. overriding TGA, PA ・1)

2 11v.M ピ T.V. overridmg and straddling TGA, hypoplastic RV、 PS 十)

3 3y.M T.V. overriding and straddling Corrected TGA, PS 1十ノ 4 11y.M T、V. overriding and straddling Criss−cross heart,1−TGA, PS 十ノ 5 6y.M ♪vl.V. overridillg and straddling DORV(Taussig−Bing) (十)

6 10d M M.V. straddling Complete TGA, PS

y,:years, d.:days, T,V.:tricuspid valve, M、V.:mitral valve, TGA:transpositlon of great arterles,

PA:pulmonary atresla, PS:pulmonary stenosls, DORV:double outlet right ventricle.

鋤繋LV    驚

RV 三断

    

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  懸鷲

逐聯

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憲㌻㌘漉

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図1 症例1.収縮期四腔断面像.心室中隔(VS)の心房中隔(AS)に対する偏位を  認め,弁口(TV)は心室中隔に騎乗している.三尖弁腱索(矢じり)の心室中隔縁  への付着を認める.RA:右房, RV:右室, LV:左室, MV:僧帽弁.

コー図により診断された三尖弁騎乗4例と僧帽弁騎乗 2例である(表1).共通房室弁口例は除いた.全例男 性で,年齢は10日より11歳である.心房位は全例 solitusで心室中隔欠損を認めた.合併心奇形は症例1 では大血管転換兼肺動脈閉鎖,症例2では高度右室低 形成,大血管転換兼肺動脈狭窄,症例3では修正大血

管転換兼肺動脈狭窄,症例4ではcriss・cross heart,1

型大血管転換兼肺動脈狭窄,症例5ではTaussig・Bing 型両大血管右室起始,症例6では完全大血管転換兼肺

動脈狭窄であった.

 断層心エコー図装置はHewlett−Packard 77020A を用い,使用プローベは症例1から4では3.5MHz,症 例5では2.5MHz,症例6では5.OMHzである.断層面 は傍胸骨から左室長軸と同短軸,四腔断面を,心尖部 から四腔断面をスキャンした.また症例4から6には 肋骨弓下からの冠状面と矢状面のスキャンを追加し

た.

 症例2を除く全例に当院で同時2方向の映画法で心 血管造影を行った.全例に心室造影を行い,症例1,3 および5では肝鎖骨位正側で心室または心房造影を 行った.根治手術は症例1から5に行なわれた.

 断層心エコー図の各スキャン断面において心室中隔 欠損口描出の有無,弁口と心室中隔の関係,弁尖の位

置と腱索の付着部位を検討した.

      結  果  1.三弁尖口騎乗のみを認める例

 症例1では四腔断面において心房中隔に対する心室 中隔の右室側への偏位と三尖弁口の騎乗を認め,中隔 尖腱索の心室中隔欠損口縁への付着を認めたが腱索の 左室腔内への挿入は認められなかった(図1).左室長 軸と同短軸像では弁口騎乗は描出されなかった.血管 造影では弁口騎乗は示されなかった.手術では中隔尖

(3)

166−(30)

腱索の中隔欠損口縁への付着を認めたが左室内挿入は 認められず,弁口騎乗の存在にもかかわらず中隔欠損

口から右室起始の大動脈への導管の縫着が右室側から

可能であった.

 II.三尖弁口騎乗と腱索の左室内挿入を認める例  症例2と3では四腔断面において心室中隔の右室側 への偏位を認め三尖弁口は騎乗を示し,腱索の心室中

日本小児循環器学会雑誌 第1巻 第2号

隔左室側への付着を示した(図2,3−a).症例2では 右室は非常に低形成で左室型単心室と診断した.症例 3では四腔断面のさらに後壁よりの断層面で僧帽弁後 乳頭筋の右室側後壁に異常乳頭筋を認め三尖弁腱索の 付着を認めた(図3−b).症例4では四腔断面を描出で きなかった.左室長軸像は全例無効であった.症例3 の短軸像で左室内異常乳頭筋を認めた(図3℃).肋骨

左室

痕跡的右室         \

      ぐイ曽帽弁 ぺ三尖弁

       左房

右房

図2 症例2.拡張期四腔断面像.右室は低形成で流出路心室(OC)として認められ,

 三尖弁口(TV)の心室中隔(VS)への騎乗と腱索の心室中隔両側への付着(矢印)

 を認める.MC:主心室.

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      左室

三尖弁腱索の中隔への付着「〉

僧帽弁→

       三尖弁

右房

心房中隔

右室

図3−a

(4)

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僧帽弁 後乳頭筋S

左室内

異常乳頭筋

左房

図3−b

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      図3−c

図3 症例3.a.拡張期四腔断面像.房室不一致が認められ三尖弁(TV)の弁口騎  乗と一部腱索の心室中隔(VS)左室側への付着(矢印)を認める. b.同後壁側断  面像.左室内の後乳頭筋(PPM)の中隔側に異常乳頭筋(矢頭)を認め三尖弁腱索  の付着を認める(矢印).c.同短軸像.左室内後乳頭筋(PPM)の中隔側に異常乳

 頭筋の断面像を認める(矢頭).RA:右房, LA:左房, LV:左室, RV:右室.

弓下からの冠状面で症例4において水平に位置する心 室中隔と弁口騎乗,中隔左室側への腱索の付着を認め た(図4).血管造影では症例3と4で弁口騎乗を認め

た.手術では症例2において三尖弁は主に主心室に付 着し一部が流出路心室への騎乗と腱索の挿入を示し主 心室の中隔形成が行われた.症例3では三尖弁は主に

(5)

168−(32) 日本小児循環器学会雑誌 第1巻 第2号

RT TV

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鶴羅∪婿 当華蕪、

騨罐警

LT

左室

図4 症例4.肋骨弓下からの拡張期冠状面像.右室(RV)と左室(LV)は上下に認められ,上方に位置する三尖弁  (TV)の弁口の騎乗と心室中隔左室側への腱索の付着(矢印)を認める. RT:右側, LT:左側.

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図5−a

       /

中隔右室側への腱索の付着

左室 右室

右室内へ開放7

した僧帽弁

左房 k 肺動脈

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    輔

旗肇..  ㌘

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磯  坤\

左室

前乳頭筋

    \

僧帽弁前尖

図5−b

図5 症例5.a.拡張期左室長軸像.僧帽弁の一部(矢じり)は右室側へ開いており,腱索の中隔右室側への付着(矢

 印)を認める.PA:肺動脈. b.収縮期左室短軸像.僧帽弁前尖(AML)にcleft(矢印)を認める.

(6)

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三尖弁 右房

右室

左房

左室

図6−a

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僧巾目弁腱索の声

中隔右室イ則への付

左室 グ

    僧帽弁

左房

       図6−b

図6 症例6.a.収縮期四腔断面像.心室中隔欠損を認めず僧帽弁(MV)に騎乗の  所見を認めない.b.拡張期左室長軸像.大動脈(AO)と肺動脈(PA)は並行に前  後に認められ,肺動脈は細い.僧帽弁口は騎乗していないが,前尖腱索の一部の右

 室への付着(矢印)が認められる.

右室へ付着し弁口騎乗と腱索の中隔左室側と左室後壁 の異常乳頭筋への付着を認め,流入路中隔欠損口は異 常乳頭筋を右室側へ含める形で右房から僧帽弁を介し て左室側からパッチ閉鎖が行われた.症例4では三尖 弁口は低形成で右室も小さく,弁口騎乗と腱索の両心 室への挿入が認められ,Fontan手術が行われた.

 III.僧帽弁騎乗例

 四腔断面では症例5,6とも心室中隔欠損と弁口騎

乗は認められなかった(図6−a).左室長軸像で両例と

もに肺動脈弁下の流出路心室中隔に欠損口を認め前尖

腱索の心室中隔右室側への付着を認めた(図5−a,図 6−b).症例5では弁口の騎乗と拡張期の前尖の右室 内への開放を認めた(図5−a)が,症例6では弁口騎 乗を認めなかった(図6−b).左室の短軸像で両例とも 僧帽弁前尖にcleftを認めた(図5−b).肋骨弓下から の矢状断層面で症例6の前尖腱索の右室への付着を認 めた.症例5では心血管造影により弁口騎乗と前尖の cleftが描出され,手術により弁口の騎乗と右室内異常 乳頭筋への腱索の付着を認めた.症例6の心血管造影

では弁口騎乗は認められなかった.

(7)

170−(34)

      考  察

 房室弁騎乗については文献上多くの呼称があり統一 されていないが1)6)8)9),本報告は弁口の騎乗をoverrid−

ing,弁下組織の両心室への挿入をstraddlingと分離 して記載するMnoら1)に従った.ただしこの場合,最 も多い両者を合併する例では併記する必要がある.

我々は房室弁騎乗という言葉を広義に用い両者を含め て表わすものとし,弁口騎乗と記載する場合には

overridingをさすものとした.

 両房室弁騎乗1)7)9)や一側房室弁閉鎖に伴う房室弁騎 乗も報告されているが1°)11),今回検討した症例には含

まれなかった.

 三尖弁騎乗では心室中隔の後壁付着部が心房中隔に 対して右室側に偏位し,流入路中隔欠損を介して弁口 騎乗を示し腱索が左室に挿入されることが知られてい

る1)3)6)9)12)13).主に中隔尖の腱索が左室に付着するが,

その多くは左室後壁に付着し,僧帽弁の後乳頭筋への

付着も認められる9)13).従って心室中隔欠損の閉鎖に

は三尖弁を右室側に位置させるために左室側からのア プローチが必要であり,弁置換が必要な場合があ

る2)3).

 診断には四腔断面が有効であった.この断層面は両 房室弁と心房中隔,流入路および洞部心室中隔を描出 するため,弁口騎乗の原因である心室中隔のずれを検 出できるものと考えられる.また流入路に大きな欠損 がある場合には心室中隔は直線化することが多く,

従って四腔断面で心室中隔を延長して心房中隔とのず れを認めるものを弁口の騎乗と判定した.流入路欠損 口を介する三尖弁腱索の左室への付着も診断できた.

症例1と3では腱索の付着部位について手術所見とエ コー図所見が一致した.Azizら6)およびSmallhorn

ら14)も四腔断面の有用性を述べている.一方,criss−

cross heartでは心房心室の位置関係のために四腔断 面を描出できず,心室中隔が水平でやや頭側に位置す るため肋骨弓下からのスキャンで超音波ビームに流入 路中隔が垂直となり三尖弁口との関係を観察しやすい と考えられ,症例4ではその冠状面が有用でありAziz ら6)の経験とも一致した.

 三尖弁騎乗は二心室心から左室型単心室への移行を 示す心奇形であると考えられ,単心室か否かは騎乗の 程度に50%ルールを適用して判定する考え方がある15)

が,その判定は容易ではなかった.しかし,臨床的に は心室の形成の程度により手術法が異るため左右心室 の大きさを比較することが重要と考えられる.四腔断

日本小児循環器学会雑誌 第1巻 第2号

面において拡張期の短径で右室と左室の径比をみる

と,症例1では0.77,症例2では0.23,症例3では0.82

で,症例2は明らかに右室の低形成が強く単心室と診 断した.症例1や3のように十分に発育した右室を持 つ症例において腱索の左室への付着を見逃さないこと

がむしろ重要である.

 僧帽弁騎乗は稀な心奇形であり,ほとんどの場合完 全大血管転換またはTaussig−Bing型両大血管右室起 始に合併し,腱索の心室中隔右室側または右室心尖の 異常乳頭筋への付着を特徴とする1)4)9)16}.心室中隔欠 損は中隔の前壁側すなわち肺動脈弁下に存在し,中隔 前壁側が左室側へ偏位する.腱索は前尖を分割する cleft部を中心に右室へ挿入されるが,弁口は左室にの み開くものから両心室に騎乗を示すものまでが認めら

れる1)9).Mustarら4)は心室中隔欠損の閉鎖により騎乗

した僧帽弁前尖が左室から中隔欠損を経て肺動脈に到 る流出路を閉塞したために失った4例を報告してい

る.Mustard法やJatene法あるいはKawashima法

などを施行する際に中隔欠損の修復が困難な場合もあ

り,症例ごとに手術法を工夫する必要を生じる17).

 僧帽弁腱索の右室への付着は左室長軸像で診断でき たが,これはこの断面が流出路心室中隔の描出に適し た断面であるためである.Mustarら4}も左室長軸像で 僧帽弁前尖の一部の心室中隔欠損口縁への付着を報告 している.Smallhornら14)は欠損口が流入路中隔まで 進展し両房室弁に繊維性連続を生じたため四腔断面像 で両弁の心房中隔付着部が同じレベルに認められた例 を報告しているが,通常は膜様部から流出路中隔に欠 損が限局するため四腔断面では本報告例のように僧帽 弁騎乗を捉えることは困難である.弁口騎乗のない症 例6では血管造影による診断は不可能であり,断層心

エコー

図のみによって認めることができた.前尖の cleftのエコー像を述べた報告はないが,両大血管右室

起始や完全大血管転換においてatrioventricular se−

ptal defectを伴わない前尖のcleftの同定は僧帽弁騎 乗を強く示唆する所見でありその検索は重要である,

 房室弁騎乗について形態的特徴と得られた断層心エ

コー図の関連について考察し,診断におけるその有用 性を述べた.弁口騎乗と腱索の両心室への挿入とも三 尖弁騎乗では四腔断面が,僧帽弁騎乗では左室長軸像

が有用であった.また,criss−cross heartに伴う三尖

弁騎乗における肋骨弓下冠状面の有用性と僧帽弁騎乗 における短軸像による前尖のcleftの診断についても

述べた.

(8)

      文  献

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(9)

172−(36)

日本小児循環器学会雑誌 第1巻 第2号

Two Dimensional Echocardiographic Diagnosis of Overriding and

      Straddling Atrioventricular Valve

Jun Arisawa, Shizuo Morimoto, Shusuke Sone, Junpei Ikezoe,

      Keiko Kuriyama and Masanori Akira    Department of Radiology, Osaka University Medical School        Tetsuya Sano and Minoru Ogawa

    Department of Pediatrics, Osaka University Medical School

Hikaru Matsuda, Hajime Hirose and Yasunaru Kawashima

   First Surgical Department, Osaka University Medical School

   We investigated 6 patients with atrioventricular valve overriding and/or straddling by two

dimensional echocardiography. A patient with tricuspid valve overriding, three with tricuspid valve overriding and straddling, one with mitral valve straddling and one with mitral valve overriding and straddling were identified by two dimensional echocardiography and five of them underwent corrective

surgeries and were proved to have these anomalies from 1982 through 1985. There was no false

negative case in the other operated patients at the same period.

   In three patients with tricuspid anular overriding, rightward deviation of inlet ventricular septum,

inlet ventricular septal defect and overriding of anulus were detected by four chambered view. At−

tachment of tension apparatus to the ventricular septal creast was demonstrated in this view in a patient with tricuspid valve overriding without straddling. Chordal attachment to the left ventricular side of the septum was seen in this view in two patients with tricuspid valve overriding and straddling. In one of them chordal attachment to the anomalous papillary muscle in left ventricle was detected by posteriorly tilted four chambered view. In a patient with criss−cross heart, coronal view from subcostal position

demonstrated horizontally positioned ventricular septum, tricuspid anular overriding and straddling

tension apparatus. A mitral anular overriding and a chordal straddling was diagnosed by left ventricular long axial view. A defect of outflow ventricular septum and chordal attachment onto the right side of the ventricular septum was shown in 2 patients and opening of mitral lea且et into right ventricle in a patient with overriding and straddling mitral valve. A cleft was demonstrated in an anterior mitral leaflet by short axial view in both patients with mitral straddling.

   Consequently the diagnostic planes of echocardiography were four chambered view in tricuspid

valve overriding and straddling and left ventricular long axial view in mitral valve overriding and straddling. This difference of diagnostic plane was presumed to correlate to the difference of anatomical position of ventricular septal defect in these anomalies.

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