九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
林野火災の延焼拡大予測に関する基礎的・応用的研 究
井上, 章二
https://doi.org/10.11501/3065600
出版情報:Kyushu University, 1992, 博士(農学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
林野火災の延焼拡大予測に関する 基礎的 ・応用的研究
井 上 章 一
1 992
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I 緒言
E 林野火災に関する国内外の研究の動向と問題点
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第l章 日本における林野火災の実態
第1節 統計的検討
I 意義
E 林野火災の経年変化
E 大規模林野火災の経年変化、 季節性および地域性
W 日本の林野火災の地域的特性
V まとめ
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第2節 林野火災跡地の荒廃と回復の実態
I はじめに
E 火災および被災地の概況
E 調査方法
N 7..K土流出の長期的傾向
V 植生回復と浸透能の変化
13 13 13 14 17 19
V-1 浸透能の変化 V-2 植生の回復 VI 侵食量
VlI 水質
V1II まとめ
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第3節 大規模林野火災事例の火災動態の検討 26
はじめに 26
E 愛媛 ・ 香川県境林野火災の実態 26
II-1 火災および被災地の概況 26
II-2 燃焼に影響を及ぼす要因について 27
E 広島県における大規模林野火災の解析 32
ill-1 資料 32
ill-2 延焼拡大の要因の計測と解析方法 33
ill-3 主燃焼方向と地形および風向 ・風速 34
ill-4 主燃焼速度と地形および風向 ・風速 36
ill-5 主燃焼方向の推定 37
N まとめ 39
第4節 林野火災跡地にみられる樹木の片面燃焼
I はじめに
E 片面燃焼とは
E 林野火災事例における片面燃焼
ill-1 調査方法および資料
ill-2 片面燃焼の実態
40 40 40 41 41 43
IV まとめ 48
第2章 片面燃焼のメカニズム
第l節 序論
50 50
第2節 片面燃焼に関する基礎実験 1 . 実験装置および材料
II. 実験方法
ill. 風洞内の風速分布
114 司14 1よ
』生 Fhυ
「円υ FhU Fhυ
第3節 片面燃焼方向と風向との関係 Fhu Fhυ
第4節 風下側および風上側燃焼高の特性 68
第5節 片面燃焼におよぽす燃焼材料の量の影響 71
第6節 まとめ 72
第3章 林野火災における燃焼速度
74第l節 林野火災の拡大機構 74
第2節 Rothermelの燃焼速度式 1. Rotherme 1式の概要
Fhυ Fhυ ワI けi
ll. 燃焼速度に関与する因子の特性 78
第3節 燃焼速度に関する風洞実験 I . 実験方法
ll. 実験結果および考察
8佳 A斗品
』伎 の6 06 00
第4節 ロサメール式の修正 90
第5節 まとめ 92
第4章 山焼きそ利用した現地ヘの応用
94第1節 目的 94
第2節 試験地の概況 95
第3節 実験方法 96
第4節 風向・風速と片面燃焼の測定結果 I 秋吉台試験地
E 平尾台試験地
96 96 102
第5節 片面燃焼痕による風速の推定 I 風洞実験と現地のスケール
112 112
E 風速推定式の検討 皿 風速推定式の検証 N まとめ
第6節 燃焼速度式の検証
第7節 燃焼動態の解析 I 秋吉台試験地 E 平尾台試験地
E 燃焼動態に関する結論
第8節 林野火災の延焼拡大予測へ向けて I 延焼拡大の予測方法
E 延焼拡大予測における本研究の位置づけ
第5章結論
第ぽ総括および今後の課題 謝辞
引用文献
114 117 118
119
121 121 125 128
129 129 131
133
137
139
141
114
緒論
I 緒言
林野火災は、 林業における経済価値の消滅、 周辺地域の環境の悪化のみならず、
時として直接的に人命を危機にさらすものである。 たとえば、 1 987年5月6日 に中国屈指の森林地帯、 大興安嶺の北部で林野火災が発生したが、 この 火災は約1
ヶ月近くにわたって燃え続け、 6月l日の完全鎮火にいたるまでに焼失した面積は、
1,010,000haとも1,330,000haとも言われる。 いずれにしても四国の面積の半分以上
に相当し、 大興安嶺地帯の森林面積の12. 50/0にも達するということであり、 死 者が193人と近年希にみる大災害となった。 その他、 1 9 8 8年のアメリカ合衆 園、 イエローストーン公園の林野火災(延焼時間:約3ヶ月、 焼失面積:450,OOOha) 等、 世界に注目された林野火災も多い。 日本は湿潤な国であり、 世界的にみれば林
野火災は発生しにくい環境にあると考えられるが、 それでも現在は、 年間3000 件を越える林野火災が発生しており、 焼失面積も年平均5000haを越える。 近年、
日本に限らず世界中で地球の環境問題についての論議が活発であり、 その中で、 熱 帯雨林の乱開発による地球の温暖化問題等はその最たるものであろう。 このような 社会情勢も相まって、 大面積の森林を焼失させる林野火災は経済的にも、 環境保全 的にも重要な問題となっている。
日本における林野火災の発生原因は、 タバコ、 焚火の不始末が圧倒的に多く、 人 災的な様相を呈している。 アメリカでは落雷による林野火災がかなりの割合を占め、
さらに火山活動によって発生する林野火災も地域によっては多い。 日本では、 この ような自然発火の林野火災の割合は全体からみれば少なく、 自然災害としての認識 を得るまでには至っていないようである。 しかしながら、 発生原因は人為的なもの
- 2ー
であっても、 一度発生した林野火災が自然、に鎮火していくにせよ、 前述のような大 規模林野火災になるにせよ、 森林に火が燃え広がる現象そのものは自然現象であり、
気象、 植生、 地形等の自然、条件が大きく影響してくる。 したがって、 林野火災を自 然災害として捉える方が防災上は有効で、あると考えられる28)。 しかも、 林野火災跡 地の保全に関して は、 降雨による土砂災害、 乾燥による裸地化の進行等、 自然条件
との対応に終始するといっても過言ではなく、 この意味からも林野火災を自然、災害 として扱うべきであると考える。
本研究は多発する林野火災の大規模化のメカニズムを明らかにし、 延焼拡大の予 測を可能にすることを目的としたものである。 これが達成されれば、 最終的には理 論的にも体系化された林野火災に対する防火、 消防等の施策が可能となると考えら れる。 研究の方針としては、 まず、 過去の林野火災の事例について現地調査、 文献 資料の収集によって解析し、 さらに、 林野火災跡地の環境保全の問題にも触れなが ら、 日本における林野火災の実態を明らかにするとともに、 研究をすすめていくう えでの問題点を抽出し、 それを理論的な基礎実験として風洞を用いた燃焼実験を行 い、 その結果を、 現地にフィードバックして実際、に適用可能な、 延焼拡大予測理論 の構築を目指した。
1 林野火災に関する国内外の研究の動向と問題点
林野火災に対する考え方あるいは生態学的、 社会科学的な位置づけは日本を含め て各国によって著しく異なるため21 • 3 9 )、 本研究の位置づけを明確にするためには、
林野火災に関する研究全体の流れをある程度理解しておく必要があると考える。 こ こではまず、 その点を踏まえて林野火災の延焼拡大予測にとどまらず、 林野火災に 対する考え方、 林野火災の全体的な研究動向についても若干触れながら、 林野火災
- 3 -
研究の先進国といわれる国の一つである、 アメリカ合衆国と対比させながら日本の 実状について整理をすすめてみたい。
アメリカでは森林の管理の一部として、 火を導入、 管理する “fire management"
の思想が定着しつつある7・8・32)。 これは、 火を徹底的に森林から排除するのではな く、 火の効用を認め、 場合によってはむしろ積極的に森林ヘ火を導入し、 その火を 制御、 管理することを意味している。 北アメリカ大陸全体に分布するジヤツクパイ ンやロッジポールパイン等は、 林野火災に遭遇してはじめてその球果が開いて、 種 子を散布し、 更新が可能となる。 すなわち、 このような植物にとって、 その種の保 存には火あるいは火災に遭遇することが必要なのである。 また、 アメリカでは落雷 原因の林野火災がかなりの割合を占めており、 このような落雷等に起因する林野火 災は、 生態学的な更新に不可欠のものとして、 自然の摂理であるという受けとめ方 をしているように見受けられる。 日本においては、 一般的には落雷は豪雨とともに 発生することが多いので、 たとえ林野火災が発生したとしてもそれほど大規模な火 災に結びつくことが少ない。 ところが、 アメリカでは前に示した1 9 8 8年のイエ ローストーン公園の林野火災17 )は、 落雷に起因するもので、 消火活動はまったく行 われず、 自然、に鎮火するまで放置していた。 これについてはアメリカでも賛否両論
あると聞くが、 このように自然発火の林野火災を放置するばかりでなく、 人工的に 火を入れることも多いようで、 その火の制御、 管理のために林野火災に関する研究 も進展してきたといえよう。
アメリカにおける林野火災に関する研究テーマは、 次の5つに大別することがで きる5 5 )。 それは、 ①火災の履歴、 ②可燃物の燃え易さの評価、 ③火災の動態、 ④火
災の影響、 および⑤火災の防御であり、 それぞれお互いに関係しているものの、 林 野火災延焼拡大に直接関連するのは、 ②可燃物の燃え易さの評価と③火災の動態で
あり、 これらは最終的に⑤火災の防御ヘとつながっていくものと思われる。
可燃物に関する研究では、 林野火災危険度評価システム6・10) CNFDRS:National
- 4 - Fire Danger Rating Systern)として、 1 972年から実用化されているが、 これ は林野の可燃物の状態を類型化し13)、 それぞれについての 火災発生および拡大の危 険度を評価するシステムである。 しかしながら、 植生その他の条件が異なる日本で は、 直接そのまま適用することはできず、 独自のシステムを構築する必要がある。
火災の動態においては、 Rotherrne156・57)、Anderson3)、Andrews4)等によって、
燃焼速度の算出、 延焼拡大域の大きさと形状の予測が行われた。 本研究のテーマで もある林野火災の延焼拡大予測に関しては、 この燃焼速度の算出等が根幹になると 考えられる。 これらはある程度物理要因に支配されるので、 日本でも適用できる可 能性はあるが、 植生因子や気候、 気象因子等の影響も大きく、 十分な吟味が必要で ある。 また、Albini1・2)は確率論的な要素を取り入れた、 飛び火に関する予測につ
いて論じている。
一方、 わが国における林野火災研究は、 近代に入ってからは、 関東大震災におけ る火災の調査によって、 森林、樹木の防火性に関する研究がすすみ43)、 昭和に入っ
た頃から、 前述の “④火災の影響" に関する研究、 特に、 林野火災後の植生回復の プロセス等に関する生態学的なアプローチが主体となった23・44・45)。 しかしながら、
②可燃物の燃え易さの評価、 および③火災の動態に相当する分野に関しても、 前述 の関東大震災における防災的な捉え方の流れを継承して研究されており、 特に戦後 は林野火災の延焼拡大に関する基礎的研究も見られるようになった。 岡上ら52)は林 野火災の焼け止まり線について、 また、 中村ら46. 47・48・49 )は可燃物の状態と延焼 拡大との関係等について一連の研究を行った。
日本では、 198 3年に東北地方で多発した林野火災34・35・3g)を契機に、 一段と 林野火災全般にわたる研究が活性化してきた。 大谷ら53・54• 6 4 )は、 先行降雨と乾燥 との関係から林野火災発生の危険性について検討を行い、 気象因子を中心に林野火
災への取り組みを始めた。 また、 山下ら43・71.72)によって、 可燃物(各樹種の落葉 等)の着火のしやすさについての基礎的な実験、 研究もおおいに進展した。 さらに、
林野火災跡地の樹木に残された火傷痕をもとに火災時の様子を推定する試みも始ま った1B. 1 9 )
このように、 日本における林野火災に関する研究も着実な進展を示しているが、
林野火災研究の先進国といわれるアメリカ、 カナダ等に比べると、 まだ、 一つ一つ の基礎的な研究を積み重ねている段階のように思える。 カナダにおいてもアメリカ の林野火災危険度評価システム(NFDRS)に相当する林野火災気象指数システ ム(Canadian Forest Fire Weather lndex System)を構築しており、 積み上げられ た基礎的な研究成果を結合できる総合的なモデルの構築がすすんでいる。 ところが、
林野火災は気候、 気象、 植生、 地形等20・69)に依存するところが大きいため、 この ような先進的な研究の成果をそのまま他の国や地域で利用できないところに林野火 災の研究の困難性があるともいえよう。
わが国においても、 これら、 林野火災研究の先進国と同様に、 総合的なシステム の構築が望まれるところであるが、 日本は、 アメリカ、 カナダ、 オーストラリア等 の国々と違って、 国土が狭く、 林野火災が居住地、 人命の危険へと直結する場合も ある。 それゆえ、 日本においてこのようなシステムを構築し、 実用化を図るために は、 精度についての吟昧が特に重要となってくるであろう。 また、 今後は地域性に それほど依存しない、 物理的モデルの構築も検討されるべきであろう。
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第1章 日本における林野火災の実態
第l節統計的検討
I 意義
わが国では、 昭和4 9年に記録した8, 3 5 1件を最高に、 現在最低でも、 年間 3, 000件近い林野火災が発生している61 )。 昭和45年から昭和6 3年までの1 9年間の年平均被災面積は、 約6, 300haに達しており、 林業的見地からも環境 保全的見地からも重大な問題となっている。 しかしながら、 林野火災は建物火災と 比べれば、 避難する時間的余裕がある場合が多く、 また、 現代の超過密となった都 市における単位面積当たりの財価に比べて、 林野火災で失われるものは比較できな いほど小さい、 等の理由によって建物火災と比較して林野火災に関する研究はそれ ほどすすんでいない。 さらに林野火災には、 植生、 気象、 地形等の自然、的要因が複 雑に絡み合っており、 林野火災の延焼拡大機構も十分解明されているとはいいがた い。 この延焼拡大機構の解明が本研究の目的でもあるが、 その目的達成のために、
まず本節では、 過去の林野火災の統計資料をもとに、 日本における林野火災実態の 全体像を統計的手法によって把握し、 林野火災の自然的要因の特性(時間的、 空間 的特性)を明らかにしようとするものである36)。
E 林野火災の経年変化
火災年報58)の統計資料をもとに経年的な林野火災の傾向について検討した。 統計 項目としては、 昭和24年から昭和5 9年までの林野火災件数と面積を取り上げ、
比較のために建物火災についても同様の項目について検討を行った。 なお、 林野火 災面積50 ha以上の資料は、 昭和52年以降しか入手できなかったので、 大規模林
- 7 -
野火災の検討のため、 火災年報より、 各都道府県の各月の林野火災面積が500ha 以上あるものを、 大規模林野火災があったものとし、 『林野大火月』と定義し、 そ の月の林野火災面積の合計を『林野大火月面積』とした。 さらに、 昭和52年以後 の5 0 ha以上の大規模林野火災については、 林野火災対策資料59 )をもとに検討を行 った。
図-1-1に、 林野火災件数および面積それぞれの7年移動平均による経年変化 を示す。 林野火災件数は、 昭和4 0年代後半までは、 直線的な増加傾向を示してい るが, それ以後は、 滅少傾向を示している。 これに対し、 林野火災面積は、 昭和2 0年代から現在まで、 ほぽ直線的な減少傾向を示している。 この結果によると、 林 野火災件数と面積には、 それぞれ異なった要因が関係しているものと考えられる。
また、 図-1-2に、 建物火災についての7年移動平均による経年変化を示す。 建 物火災面積には、 明瞭な変化がみられないのに対し、 建物火災件数の経年変化は、
林野火災件数の変化傾向と同様に、 昭和4 0年代後半をピークに、 その後、 減少し ている。 林野火災の発生件数の昭和4 0年代後半からの減少傾向は、 林野への人の 出入りが減少したこと等によるものであり、 建物火災については、 難燃材の使用や 暖房器具等の近代化によるものと考えられる。 また、 林野火災面積の減少は、 火災 警防の整備によるものと思われる。
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q, -g〉図-1-1 林野火災件数, 面積の経年変化 ( 7年移動平均)
30 35 40 45 50 55
昭和 (年) 図-1-2 建物火災件数, 面積の経年変化
( 7年移動平均)
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E 大規模林野火災の経年変化、 季節性および地域性
図-1-3に、 林野大火月面積の7年移動平均による経年変化を示すが、 林野火 災面積と同様な減少傾向がみられる。 また、 林野大火月面積と林野火災面積との相 関係数が、 O. 9 8と非常に高く、 林野火災面積の減少に林野大火月面積の減少が 深く関わっていると考えられる。 また、 表-1-1は、 昭和5 2年から昭和5 9年 までの8年間の林野火災件数および面積と50ha以上の大規模林野火災件数 ・面積 を示したものである。 件数では8年間の総林野火災件数の1%にも満たない大規模 林野火災が、 面積では全体の46. 6 %と約半分を示しているように、 大規模林野 火災が、 いかに重大な問題であるかがわかる。
次に、 図-1-4に、 建物火災と林野火災についての発生件数と面積の月別分布 を示す。 建物火災の月別分布は、 件数 ・ 面積とも、 冬季に若干多くなっているもの の、 年間を通じてあまり大差はみられない。 これに対し、 林野火災の発生件数は、
強い季節性を示し、 冬季から春先にかけて多く発生している。 さらに、 200ha以 上の大規模林野火災をみると、 8月のl件を除けば、 そのほとんどが、 2月から5 月にかけて集中しており、 また、 発生面積の集中も非常に高い。 この時期に林野火
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図-1-3 林野大火月面積の経年変化 ( 7年移動平均) 。
図-1-4
ハHU
表-1-1 林野火災に対する大規模林野火災(5 0 ha以上)の比重
�
林件 数野火災 林面積野火Cha災) 大火規災模件林数野大火規災模面林積野Cha) 数大率規模C% 件 ) 積大規率模C% 面) 昭和5 2年 4,834 5,320 8 2,503 0.16 47.05 3年 6,990 7,620 16 3,063 0.23 40.2
54年 5,316 3,920 5 683 0.09 17.4
5 5年 3,934 5,260 21 3,089 0.53 58. 7
5 6年 3.506 1,860 4 565 0.11 30.4
5 7年 4,494 2,910 9 1,064 0.20 36.6
5 8年 3,844 7,360 13 5,483 0.34 74.5 5 9年 4, 733 3,540 7 1,171 0.15 33.1
合 計 37,651 37, 790 83 17,621 0.22 46.6
降水量 (皿m ) 口 ---1000 口1000---1500
� 1500 ---2000 園2000---2500
・2500---
.�W判市は1 6地点
図-1-5 大規模林野火災の発生地点 (昭和5 2年から6 0年)
図-1-6 年平均降水量の分布
災の多くが大規模化する原因としては、 気象 ・植生の要因が考えられる。 すなわち、
2月から5月には、 まだ、 秋の落葉にともなった枯れ葉が地上に堆積し、 下草も枯 れているうえに降水量も少なく乾燥し、 季節風が吹く、 等の原因が考えられる。
図-1-5は、 昭和5 2年以降に消防庁に報告された5 0 ha 以上の大規模林野火 災の発生地点をプロットしたものであるが、 大規模林野火災は、 太平洋沿岸部と瀬 戸内海沿岸部および北部九州に多く発生し、 特に瀬戸内海沿岸部と北九州に集中し ている。 全国の大規模林野火災の中で瀬戸内海沿岸の大規模林野火災が占める件数 - 面積の割合は、 それぞれ、 65%、 45%と非常に高くなっている。 これらの地
- 10 - 域に集中している原因としては、 降水量が少なく、 乾燥しやすいということが主な 原因と考えられ、 図-1-6に示す年平均降水量の少ない地域と対応している。 さ らに、 昭和5 2年から昭和6 0年までのわずか9年間に、 大規模林野火災が2度も 発生している市町村が、 6市町村にもおよび、 特に、 北九州市では、 1 6件もの大 規模林野火災が同一地域に発生しており、 大規模林野火災の地域的集中性を示す典 型的な事例であると考えられる。
以上の検討により、 林野火災においては、 大規模化するということが最大の問題 であり、 大規模林野火災には、 ( 1 )季節的集中性、 ( 2 )地域的集中性という大 きな特徴があり、 これらの原因として、 植生 ・気象等が関与していると考えられる。
N 日本の林野火災の地域的特性
大規模林野火災は、 皿で述べたように、 地域的集中性を示している。 そこで、 各 都道府県別に林野火災に関する5変量をとりあげ、 因子分析を行し\林野火災の地 域的特性についてさらに詳細に検討した。 変量は、 各都道府県別林野面積で除し、
単位面積当たりの値として補正し、 ①林野火災件数率、 ②林野火災面積率、 ③大規 模林野火災面積率、 ④大火月面積率、 ⑤大規模林野火災件数率の5変量を用いた。
表-1-2に、 各変量の因子負荷量の値を示す。 この結果から、 第1因子は③、 ⑤ の因子負荷量が大きく、 大規模林野火災面積率に関連が深く、 第2因子は、 林野火 災件数率に関係のあることがわかる。 次に、 図-1-7に、 因子分析の結果より得 られた、 各都道府県別の因子スコアを、 第l因子を横軸に、 第2因子を縦軸として プロットしている。 このスコア分布図より次のようなことが読み取れる。
1 )第I、 第W象限にプロットされた地域は、 第l因子がプラスの地域、 つまり、
大規模林野火災が多く発生している地域である。 なかでも、 第I象限にプロットさ れた、 香川、 福岡の両県は、 第2因子も高く、 大規模林野火災・林野火災ともに多 い地域である。 一方、 第W象限にプロットされた地域は、 林野火災件数率は低いが、
- 11 -
林野火災が大規模化しやすい、 非常に危険な地域といえる。 また、 第I、 第W象限
にプロットされた地域は、 瀬戸内海沿岸と東北の太平洋沿岸に集中し、 図-1-5 の大規模林野火災の発生地点と よく一致しており、 大規模林野火災の地域性を示し
ている。
2 )第E象限にプロットされた地域は、 大規模林野火災が少なく、 林野火災件数
率の非常に高い地域で、 人口の集中している、 首都圏、 中京圏、 近畿圏に代表され、
人口密度が高く、 失火の機会が多い地域である。
3 )第E象限にプロットされた地域は、 大規模林野火災、 林野火災ともにマイナ
スであり、 比較的危険性の少ない 地域である。 ただし、 林野火災多発地域の一つで
ある危険地域である北海道が第3象限に分類されたのは、 林野面積が大きく、 単位
面積当たりの値が小さくなったためである。 さらに、 表-1-3は、 各象限別の林
野火災件数率、 および大規模林野火災面積率の各都道府県の因 子ス コ アの平均値の
表-1-2 因子負荷量一覧表
l 変 量 第l因子 第2因子
林野火災 0.093 0.992
件数率
林野火災 0.329 0.346
面積率
大規模林野 0.905 0.140 火災面積率
林野大火月 0.236 -0.018 面積率
大規模林野 0.958 0.053 L火災件数率
第2因子
象限 平 均 値
A B
24.50 10.09 E 28.02 0.60 E 8.14 0.42
W 4. 79 2.93
大阪.
E
表-1-3 象限別因子 スコア
E 四
北海道・ -1.0 ・
手岩 鍛
率災災林火模率野規積林大面
AB
図-1-7 都道府県別の因子スコア分布図
- 12 -
一覧表を示したものであるが、 林野火災件数率では、 第I、 第E象限が、 大規模林 野火災面積率では第I象限が非常に高くなっている。
このように、 因子分析の結果、 日本における林野火災の地域的特性として、 林野 火災件数と大規模林野火災をもとに、 4つのグループに分類することができた。
V まとめ
本節では日本における林野火災の統計的検討を行い、 以下のような結果を得るこ とができた。
1 )林野火災の発生件数、 焼失面積は現在、 経年的には減少傾向を示している。
5 0 ha以上の大規模林野火災は件数では全体の1%に満たないのに対し、 焼失面積 は46. 6 %と約半分近くを占め、 林野火災において大規模林野火災の重要性が確 認された。 その大規模林野火災も焼失面積は減少してきている。
2 )大規模林野火災の発生は2月から5月に集中しており、 季節的集中性が顕著 である。 また、 大規模林野火災の発生地点を調べると、 東北地方の太平洋側、 瀬戸 内地方、 九州北部に集中しており、 地域的集中性のあることも確認された。 これは、
年平均降水量の比較的少ない地方と対応しており、 乾燥が影響しているものと考え られる。
3 )林野火災ならびに大規模林野火災について、 都道府県別のデータを元に因子 分析を行った結果、 その発生危険度によって、 全国を4つのグループに分けること ができた。 その中で、 特に重要な危険度の高いグループとして、 一つは福岡、 香川 両県の林野火災、 大規模林野火災ともに多いグループと、 愛媛、 広島、 岡山、 岩手 等の瀬戸内および東北の太平洋岸地域に代表される、 林野火災そのものの発生は少 ないが、 大規模化しやすいグループの二つが抽出された。
内ぺU1ム
第2節 林野火災跡地の荒廃と回復の実態
I はじめに
林野火災による被害は林木の焼失等の直接的被害ばかりでなく、 林野火災によっ て生じる種々の間接的な被害も多い。 本研究の目的は、 林野火災の延焼拡大の予測 方法の確立にあるが、 これらの被害実態を把握することによって本研究の重要性を 明らかにしたい。 林野火災による被害は多方面に及ぶが、 ここでは主として林野火 災跡地の水土の流出特性ならびに植生の回復状況等を明らかにし、 被災地周辺の環 境に及ぼす影響について論ずる。
林野火災跡地においては、 これまで表土を覆っていた森林植生が消失し、 表層部 が裸地化することによって、 表面流の増大、 土壌流亡等、 山林地の水土保全機能の 急激な悪化が予想される。 このように環境の破壊された森林における植生の回復、
あるいは逆に荒廃地化の進行にともなう水土保全機能の変化の実態を明らかにする ことは、 林野火災跡地の保全対策を確立するために重要であり、 また、 森林の水土 保全機能定量化の立場からは、 貴重な基礎資料になるとも考えられる。 そこで、 昭 和6 0年2月に発生した愛媛・香川県境林野火災の跡地において、 水土流出および 水質、 さらに植生回復等について2年間の経時的観測調査を行った11.12.29.50)。
E 火災および被災地の概況
愛媛・香川県境林野火災29.31.70)とは、 昭和6 0年2月2目、 愛媛県川之江市金
生町で発生し、 その後県境を越えて香川県側へも延焼し、 2月5日に鎮火するまで 約6 3. 5時間も燃え続け、 その被災面積は3 9 1 haにも達した大規模林野火災で ある。 本火災の位置図を図-1-8に示す。
被災地付近の地質は、 一部に花商岩もみられるが、 大部分は和泉砂岩である。 ま
- 14 -
た、 この地域は沿岸部に位置しているが、 標高は尾根筋で350---400mもあり、
山腹は斜面長も大きく、 急斜面のところが多い。 火災以前の植生は、 ヒノキ(1 2 年生)、 アカマツの人工林が多く、 コナラ、 アカマツを上木層とする二次林も残さ れていた。 中木から低木層には、 リョウブ、 ソヨゴ、 ネズミサシ等が生育し、 林床 においてはウラジロ、 ススキが全面的に繁茂していた。
E 調査方法
図-1-8 試験地 位 置図
No.1-No.5:水土ÙIr出調査プロ ット No.A. No.B-l. No.B-2:渓涼水深志位置
まず、 火災直後に実施した現地調査、 同じく火災直後に撮影された空中写真およ び火災前後のランドサットデータを参考にしながら、 現地の燃焼程度の分類図を作 成した。 それを図-1-9に示しているが、 燃焼程度の分類は、 a. 燃焼程度 ・激
(樹冠 ・樹幹ともに完全に燃焼し、 地表には黒焦げの立木が散在し、 黒い灰が空中 写真でも識別できる程度堆積している状態)、 b. 燃焼程度・中(立木に若干の緑 が残っている状態)、 c . 燃焼程度・微(地表あるいは立木の一部が燃焼した状態)、
およびd . 燃え残り(火災跡地内に点在する燃え残り部分)の4段階に分けた。
図版余wm制時騒怒 ∞lH|図
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- 16 - 水土流出に関しては、 図-1-8に示すように、 燃焼の程度別に 3区(激: 2、 中: 1)、 対照区として隣接健 全林に1区の試験区を設けた。 各試験区は、 すべて 平衡斜面で下端から尾根まで設定し、 昭和6 0年 5月から幅2mのLプロットで水 土流出の観測を、 また、 Lプロットから1 mの間隔をおき、 幅2mのコドラートを 設け、 植生遷移の調査を同時に開始した。 Lプロット全長の左右両端に2m間隔で 杭を打ち、 斜面全体の土砂移動量計測を行った。 さらに、 同年8 月からは集水面積 を確定するため、 コドラートの下部に2mX2mのSプロットを対照区を除く3試
験区に設定した。 なお、 雨量はNo.3試験区の尾根に1ヶ月巻の自記雨量計を設定し、
2 0分単位で計測した。 水土流出の観測は、 斜面表面からの流出水および流出土砂 を集水タンクに貯留し、 一降雨毎に水量を現地で計測した。 土砂は乾燥重量と粒度 を測定した。 また、 各プロットからの流出水、 渓流水および雨水の電気伝導度とpH を測定し水質の変化を調査した。 植生調査は帯状トランセクト法により実施し、 被
覆度はスケッチしたものを プラニメータによって測定した。 また、 土壌表面の浸透 能はコドラート外の斜面上部、 中央部および下部において、 直径1 0 cm 、 高さ20 cmの塩ピパイプを土壌表面に打ち込み、 1回目1,500cc、 2回目500---1,500ccの水を
注入し、 浸透時間を測定後、 1 0 0 mm浸透時間に換算した。 植生、 浸透能および斜 面土砂移動量については 年1回の調査を実施した。 各プロットの 諸元を表 -1-4
に示す。
表-1-4 7](土流出調査プロット諸元
プロット 燃焼程度 中高 斜(面m長) 傾( 斜。 角)
傾受斜水角口付(。近)
番 号 ( m)
1-L 激 2 61 . 9 8 3 7. 8 3 O. 6 1-8 激 2 2. 0 0 42. 0
3-L 激 2 75 . 5 0 36 . 0 47. 5 3-8 激 2 2. 0 0 3 6. 0
4 -L 健全林 2 6 9 . 5 0 30. 3 42. 0 5-L 中中 2 4 0. 8 0 33. 0 3 O. 9 5-8 2 2. 0 0 42. 0 一
-17 -
水土流 出の長期的傾向
W
図-1-10に、 観測開始から昭和6 2年1月までの一雨降雨 量と単 位降雨当り の水土流出量の 経 時 変 化を示す。 水流出、 土流出ともに健全林恥.4および燃焼程度 -中のぬ5に比較して燃焼程度の激しいNo.1、 No. 3からの流 出が多く、 燃焼による 表層部の浸透能の低下とそれにともなう植生回復の遅れが原因であると考えられる。
昭和6 0年7月以降のぬ5-Lからの水流出、 昭和6 1年からのNO.4-LおよびNo.
5-Lの土砂流出がほとんど認められないのは受水口付近を草本植生が完全に覆つ No. 3 オーダー的な差は LプロットとSプロットを比較すると、 No.1ではSが、
しかしながら、
ではLの方が流出水量、 流出土砂量ともに多い。
また、
た結果である。
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単位降雨あたり水土流出量の経時変化 図-1-10
- 1 8 -
なく、 一雨降雨による表面流出に関与しているのは、 斜面全長ではなく、 斜面のー
部であり、 その局部的条件に水土流出量が左右されていると考えられる。
図-1-10から明らかなように、 水流出は昭和6 0年8月に急激に増加し、 そ の後増減をくり返しており、 土砂流出もほぼ同様の傾向である。 このよう な変化の 長期的傾向、 あるいは周期性は、 植生の回復状態との関連において重要な問題であ る。 そこで、 まず、 水土流出の長期的傾向について時系列観測データのトレンド解
析62)を行った。 表-1-5に各プロ ッ ト別のトレンド示数( 1 T)を示す。 1 T> 1 で増加、 1 T <-1で滅少の傾向と判断できるとされており、 水流出、 土砂流出と もに減少傾向を示すプロッ トが多く、 全体として水土流出は安定化の方向に すすん でいるようである。
このように水土の流出は長期的には減少傾向を示しているものの、 図-1-10 に示したように、 水流出では2月---3月と8月---9月、 土砂流出においても水流出 とほぼ同じ時期に流出量が多くなっており、 水土の流出には何らかの周期性がある のではないかと考えられるため、 コレログラム分析62)を行った。 図-1-11に分
表一日ト
枕客足融
果プロット 水 流 出 番 号 IT 傾向
1-L -0.2389 0 3
3 1-S
-1. 3 減少
-L o. 76 7
-8 -2 .1 7 4
議Z
4-L L
-200...1742323 3 9 5-5-8
プロット 土 流 出 番 号 IT 傾向
1-L -2 .6 58 8 減少 1-8 -0. 7 85 3-L -1.2 62 7
減減少少 4
3-S 3.020 - 5--L L 一一
5- 8 3.986 - 減少
- 降雨量
一一一 水流出(l'hl -S) 山山川H 土流出(l'hl -S)
ハU
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0.5 紙 店長区 o
� 旧
国
一0.5
-1. 0
0 2 4 6 8 10 12 14
遅れ時間 (月) 図-1-11 降雨量および水土流出量の
コレログラム
- 19 -
析結果の一例を示しているが、 この分析においてはデータの時間間隔を一定にする 必要から、 月別に集計したデータを用いた。 降雨量は1 年の周期しかみとめられな いのに対して、 水流出では6ヶ月、 土砂流出では約8ヶ月の周期 を示すものが多く、
水土の流出に降雨以外の因子が関与しているものと推察される。 すなわち、 水流出 では、 図-1-10とも比較してみると、 植生が枯れて地表が露出している時期 ( 2月'"'-'3月)と表層が乾燥している時期( 8月---...-9月)に流出が多くなっており、
植生の生育状況、 地表の乾湿状態によって表面流出の周期性があらわれるものと判 断される。 また、 土砂流出については、 プロット聞での周期のバラツキが比較的大 きいものの、 降雨と植生被覆の年間の周期が異なるため、 それに応じて侵食量の周 期が決定されるというKirkby等32)の理論に沿った結果となった。
V 植生回復と浸透能の変化 V-l 浸透能の変化
浸透能の変化を表-1 -6に示す。 2年目の浸 透能はl年目に比べ、 全体的に低 下傾向を示している。 これは火災跡地の地表面が降雨によって侵食されていること と、 それを保護する植生の回復が不十分であるためと思われる。 特にこの傾向は、
燃焼程度・ 激の地域で著しく、 燃えた灰が流出し、 その下の土層が露出しているよ うな場所で顕著である。 さらに、 降雨
のたびに土砂が移動しているために、
木本・草本類の種子がなかなか固定さ れず、 わずかなくぼ地、 小石、 焼け残 りの恨株等で固定されて発芽しでも、
夏から秋にかけての水分不足で枯死し、
しだいに侵食されつつある箇所が拡大 していく。 このような悪循環によって、
No.
l
3
4
5
表-1 -6 1 0 0 mm浸透時間
場 所 浸透時間 浸透時間 (斜面) (' 85. 05.30) (' 86. 11. 28)
, I " , I
1 : 07 10 : 39
25 1 50
1 : 21 2 59
幸夫3
5 : 3 50 21 03 10 : 7 : 5 : 40 15 34l
12 23
9 13
8 1 17
3 29 4 : 15
l 10 2 40
t 53 2 : 20
"
- 20 -
このまま自然に放置された状態では早急な植生の回復と浸透能の改善は期待できな
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V-2 植生の回復
図-1-12はコドラート下部に設定したSプロットにおける火災後l年目およ び2年目の植生の一覧ならびに成長量を示している。 図から明らかなように、ぬ1 プロットでは、2年目にサルトリイバラ5本とネジキ1本が新たに根および株萌芽 した。 特にサルトリイバラの2年目の成 長が著しく、ヤシャブシがこれに次いでい る。 草本ではワラビとススキが2年目に1 8本(株)ずつ増加しているし、新たに シシガシラl本が侵入した。 No.3プロットは、ぬlと同様にサルトリイバラの侵入、
成長が著しく、また草本についてもNo.1とほぼ同様の傾向である。 ぬ5プロットで は、1年目に侵入したヤマハギ、キイチゴ、 コガンピ、ヤマグワ等の種の2年自の 成長も旺盛であり、新たに侵入、萌芽した数も多い。
これら3プロットの被覆率をみると、燃焼程度・激の地域のNo.1は1年目25%、
2年目35%、同じく燃焼程度・激のNo.3はl年目50%、2年目65 010であ った。
これに対し、燃焼程度・中の地域のぬ5は1年目20%、2年目60%とl年目か ら2年目にかけて大幅に増加した。 燃焼程度・激の地域のぬ1とぬ3においては、
1年目から2年目にかけての増加率はそれほど大きくなく、前述の浸透能の低下傾 向が影響していると考えられる。 また、同じ燃焼程度・激のNo.1とぬ3を比較する と、被覆率そのもの、あるいは被覆率の増加率においてもぬ1よりぬ3の方が高く なっている。 これは、ぬlは南向き斜面であり、ぬ3と比べて乾燥が著しいためと 推察される。
VI 侵食量
ノリ面侵食におけるこれま での研究において、 流出土砂量は短時間最大降雨量と の間に高い相関を示し24 )、表面侵食には雨滴衝撃力による土粒子の飛散および地表
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図-1-12 プロット別各植生の成長量
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面の撹乱が大きく関係していることを明らかにした25・26・27)。 火災跡地のデータに おいても同様に降雨因子の中で短時間最大降雨量と の相関が高く50)、 土砂流出の機 構に差異はないと考えられるので、 ノリ面侵食において提案した次式を適用し、 土 砂流出特性の検討を行った。
Er ( i \ b
ア ・d502 =
a \
d50) -
c 一一一一一一一一一 ( 1. 1)ただし、 E r:単位幅当りの流出土砂量(g/cm)、
γ:土の単位体積重量(g/cm3)、
d 50 :土粒子の中央粒径(cm)、
i : 20分最大降雨量(cm)、
a, bおよびc:定数 である。
( 1. 1)式を適用するにあたっては、 前述のように水土流出は、 植生状態等の 斜面表層の条件に影響されると考えられるため、 ここでは植生の生育との関係から、
l年を3つの期間に分けて検討した。 すなわち、 再生期( 5月---6月)、 繁茂期 ( 7月---11月)、 落葉・枯死期(1 2月---4月)と考え、 火災後l年目を期間l
~期間3、 2年目を期間4---期間6とした。
横軸にi/d50を、 縦軸にEr/γd502をとってプロットすると、 図-1-13のよ うになる。 全体的に両対数紙上で直線関係がみとめられ、 相関係数もo. 79 (有意水 準99.9%)と高く、 この侵食量式が適用できると判断される。 期間別にみると、 期 間1に対して、 期間2のEr/γd502が減少している。 d 50およびγがほぼ一定であ
るので、 20分最大降雨量のきき方が減少したことになり、 植生被覆の効果と考えら れる。 期間3では、 期間1とほぼ同様の傾向を示している。 これは、 植生が落葉・
枯死期に入り、 表層の裸地部分が増加したためであると考えられる。 期間4、 5、
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ト
較すると、 Er/γd502が滅 少しており、前述のように、
10 0・- ロ 土砂流出が安定化の方向に
占
10 2 占-
10 1
• ト
nu nu のL・1・・ハU-z・・a・
すすんでいることを反映し
10 3
i/d50 ている。
Er/ァd50Z との関係 i/ d50と
図-1-13
この問、災 このことは、
害的な水土流出をともなうような大きな強度の降雨がなかったためであり、平成元 この火災跡地に6 0箇所を越える表層崩壊が発生し、 多量の 年9月の豪雨により、
土砂が下流に流出した。 火災後4年で大規模な崩壊が発生した事例は他にも報告42 ) されており、皆伐跡地に類似しているといえよう。
杭打ちによる斜面土砂移動量の調査結果は、ぬlはl年目、O.71t/ha/yr、2年目、
2年目、1.95t/ha/yr、No.5はl年目、
l年目、O.93t/ha/yr、
1. 07t/ha/yr、No.3は、
それ アメリカにおける火災跡地での調査結果は、
O.49t/ha/yrの侵食が認められた。
ぞれ斜面傾斜、地質等の条件は異なっているが、O.24�6.84t/ha/yrであり、平均は O.77t/hr/yr程度であるという報告67.7 1 )があり、本火災跡地が平均的な土砂流出の たとえ、豪雨に遭遇せず、崩壊等による 様態を示していると考えてよいであろう。
急激な土砂移動がなかったとしても、健全林であるぬ4プロットでは、 ほとんど表 面侵食による土砂流出がないことを考えると、一降雨による流出量はわずかではあ っても年間を通じての土砂流出、養分流亡をみれば、火災跡地さらには下流域八の 影響は相当大きなものと考えられる。
土壌の表面侵食に影響するタト力として、雨滴衝撃力と地表流下水の掃流力とが挙 げられるが、雨滴衝撃力については、 火災跡地では地表を被覆する植生がなく、 直 また、火災後は浸 接地表面を打撃することによって、侵食量は飛躍的に増大する。