第2章 片面燃焼のメカニズム 第l節序論
第2節 片面燃焼に関する基礎実験
I 実験装置および材料
実験に使用した風洞の測定部(燃焼炉)の大きさは、 42cmX 42cmX 200cm で、 す パて耐熱構造となっており、 一方の側面は耐熱ガラス製で、 実験中の可視観測がで きる。 (写真-2-1および写真一2-2参照)
片面燃焼を観測するための実験材としては、 日本の代表的な造林樹種であ り、 し かも比較的燃焼痕がつきやすい とされてい るスギ丸太63)を用いた。 材の長さは、 風 洞の高さの制限から3 0 crnで一定とした。 次に、 林床可燃物の代用としての燃焼材 料については、 種々の材料について実際に燃焼させて検討したが、 材料の大きさ、
堆積密度等の微妙な変化に対して炎の高さ が敏感に反応するため、 天然材料ではこ れらを均一にすることは難しく、 実験結果に 大きなバラツキが生じることが予想さ れた。 そこで、 比較的一定の条件を保つことができるものとして、 い わゆる中質紙 を燃焼材料に決定し、 実験には写真一2-3に示すように幅3町、 長さ5cmに切り
そろえたものを使用した。
E 実験方法
材の種類、 林床可燃物の状態が同じであれば、 片面燃焼に関係する主な因子とし て、 材径および風向・風速が挙げられ、 実験条件の設定にあたってはこれらの因子 聞の関係が明らかに なるように決定した。 すなわち、 材径階は風洞の幅の制限を考 慮して4crn、 6crn、 8 cmの3段階とし、 風速については、 風に よって実験材が吹き 飛ばされる限界を考慮して1. 0 瞬、 2. 5nrs、 4. 0隣の3段階に設定した。 材 径は各実験材の元口径と末口径の平均値を求めたが、 その値は材径階4cmのときに 3. 8 5,..._, 4. 4 0 crn、 材径階6crnのときに5.' 7 5,..._, 6. 2 0 crn、 および材径階
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写真-2-1 風洞全景
写真一2-2 風洞測定部
写真一2-3 燃焼材料(中質紙)
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8 cm のときで7. 8 0 '"'-' 8. 3 5 cmであった。 風速測定には、 日本カノマックス社 製の定温度型熱式風速計アネモマスターを使用した。 実験は、 燃焼材料である中質 紙を絶乾にし、 1 回の実験に つき 70 gを、 中央に設置した実験材の周り40cmX 10 Ocm の範囲に均一に敷いた。 そ の際、 実験中に燃焼材料が風で飛ばないように、 ゴ ム系のスプレー式接着剤で床面と接着し、 実験は接着剤が乾燥してから開始した。
火の進行方向と風向が一致している場合(火の進行方向に対して順風)と逆の場合 (火の進行方向に対して逆風)とを想定して、 風上側からと風下側からの2種類の 着 火 方法を採用した。 これらの条件 の組み合わせと同一条件での2回の繰り返し に より3 6回の燃焼実験を行った。 さらに、 林床可燃物の量の相違が片面燃焼に与え る影響を調べるために、 上記のうち2つの条件を選び、 燃焼材料の量を変化させた 場合の実験も6回実施した。 したが って、 実験は合計42回とな った。 これらの実 験の諸元を表-2-1、 実験の模式図を図-2-1に、 また、 実験開始直前の写真 を写真-2-2および写真一2-4に示している。 このような 方法で燃焼実験を行 い、 燃焼後、 実験材に残された燃焼痕から風上側、 風下側それぞれの高さをセンチ メートル単位で計測した。 さらに、 実験中の燃焼炉内の温度は熱電対 およびデータ
ロガーによって連続的に計測・記録し、 燃焼の様子はビデオカメラで記録した。
表-2-1 実 験 の 諸 元
材径階 風速 燃料の単位面積 着火方法 繰返し
(cm) (m/s) 当り重量(g/cni) 回 数
4.0 1.0 0.0125 風上着火および風下着火 l
JJ JJ 0.0175 JJ 2
JJ JJ 0.0250 JJ 1
JJ 2.5 0.0175 JJ 2
JJ 4.0 IJ 11 2
6.0 1.0 IJ IJ 2
IJ 2.5 IJ 11 2
JJ 4.0 IJ IJ 2
8.0 1.0 JJ JJ 2
IJ 2.5 JJ 11 2
IJ 4.0 IJ 11 2
IJ IJ 0.0250 11 1
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-gυ悶噌
200 cm
風洞 送風口
実験材
燃料 100 c皿
図-2-1 風洞実験模式図
写真一2-4 実験材料の設定状況
E 風洞内の風速分布
風洞内の風速分布については、 平面的に2 0測点、 各測点につき高さ方向に4カ 所、 計8 0点で風速の観測を行った。 実験材を入れていない、 すなわち、 障害物の ない場合と、 実験に用いた3種類の径の材を入れた場合について、 送風器回転数を 4段階に変化させて風洞内の風速分布を測定した。 ただし、 風洞の底面は、 材を入
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-れた場合も燃焼材料(中質紙)はなく、 障害物がない場合と同様である。 結果の一 部を図-2-2---図-2-9に示している。 また、 図-2-10は送風器回転数が 90rpm、 材径が6. 3 cmのときの側面から見たときの風速分布である。 図には 材を入れていないときのデータも合わせて図示している。 風洞入り口から材 までは ほとんど変化なく、 材の直後では材の高さ 3 0 cmより低いところでは、 風速が著し く低減しているのに対し、 材より高い、 床から3 5 cmの位置では逆に風速がわずか に大きくなる傾向を示している。 材から後ろへ離れていくにしたがって、 風速は元 のレベルヘ向かつて回復していくが、 高さによって回復の程度は異なり、 床に近い 場所では材による風の遮蔽効果がかなり後ろまで続くよう である。 材径 、 風速が変 化した場合は、 当然風速値あるいは材の後ろでの風速の回復速度等は異なるが、 変 化の傾向そのものは図-2-10と同様である。 また、 実験時の風速値は材径や送 風器回転数が変化した場合でも、 安定した値を示し、 しかも高さによる変動が小さ い入り口から4 0 cm、 (床から2 5 cm)の位置を風速測定の基準点とした。