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最適化手法を用いた内部平面き裂の検出に関する基礎的研究

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Academic year: 2022

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最適化手法を用いた内部平面き裂の検出に関する基礎的研究

長崎大学工学部 学生会員 ○永田佳世 長崎大学工学部 正 会 員 中村 聖三 長崎大学工学部 フェロー 高橋和雄 長崎大学工学部 学生会員 Farhat Fadi

1. 序論

わが国における本格的な社会資本整備が始まった 1960 年代に架 設された多くの道路橋で溶接部の疲労損傷が発見されており,かつ その多くが当初予定された設計供用寿命を迎えつつある.しかし,

社会的役割やその周辺環境を考慮すると全面的取替えは困難であり,

それらを継続して利用せざるを得ない状況である.これら膨大な数 の既設構造物の疲労性能評価を行うためには,簡易かつ精度の高い 疲労き裂の検出が必要になってくる.そこで本研究では,FEM解析 と最適化手法を組み合わせることで,鋼材表面の変位あるいはひず み分布から,鋼材内部に存在するき裂の位置やサイズの推定が可能 であるか否かを検討した.

2. 推定方法 2.1 推定の流れ

本研究では,内部き裂の推定問題を,一定の制約条件下で計測値と 解析値の誤差を最小化する最適化問題として以下のように定式化し,

その解を求めるシステムの構築を試みる.

① 設計変数:図-1に示すき裂の位置とサイズを表現する(x1, x2, x3, x4)である.今回はこれらの値は整数であるものとする.

② 目的関数: n

( ) (

i i

)

i

i

F i 1 2

1

2

1 −∆ −∆' −∆'

=

=

③ 制約条件:

(

x3 x1

)(

x4 x2

)

A

f

y ≥ − − −

σ

2≤x1≤n-2,2≤x2≤n-2,3≤x3≤n-1,3≤x4≤n-1,x1<x3,x2<x4

ここに,∆1i,∆2iはそれぞれ図-2 に示す ∆1,∆2上の節点i の測 定変位,∆’1i,∆’2iは対応する解析変位であり,fは作用力,σyは降伏 応力,A はき裂が存在する面の断面積である.き裂位置およびサ イズの推定の流れは以下のとおりである(図-3参照).

(1) 何らかの方法(全視野測定法等)で鋼材表面の変位あるいは ひずみ分布を求めておく.

(2) 2.2に示す方法で表面の変位分布からき裂面位置を推定する.

(3) き裂面を仮定したFEM解析モデルを作成する.

(4) き裂の位置およびサイズを仮定し,対象物のFEM解析を行う.

(5) 変位あるいはひずみ分布について解析値と測定値の誤差(目的関数)を算定する.

(6) 最適化手法を用い,目的関数が最小化されるまで(4),(5)を繰り返す.

キーワード:内部き裂検出,最適化,表面ひずみ,有限要素解析

連絡先:〒852-8521 長崎市文教町1-14 長崎大学工学部社会開発工学科 TEL/FAX 095-819-2613 初期値の設定

FEM解析

解析 変位

測定 変位 Pattern

search

目的関数 は最小?

き裂推定の終了 き裂の

再設定

No

Yes

図-3 推定の流れ き裂面直上 図-2 変位抽出位置

1

2 1 2 3・・i・n

x1

x2

x4

x

3

図-1 断面内のき裂位置 き裂

1-055 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

-109-

(2)

-5 0 5 10 15 20

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 繰り返し回数

F10-4 )

図-5 目的関数の変化(ケース1)

2.2 き裂面位置の推定方法

き裂面位置を推定するためには鋼材表面の変位を用いる.発生ひず みの応力方向分布は,き裂をはさむ2点またはき裂直上で最大になる

1).そこで,図-4に示すように,変位抽出位置として応力方向と平行 に2つのラインを定め,その上に存在する2点間の変位差(∆3i-∆4i)を 計算し,その値が極値を取る点を求め,それが1点であればその位置 に,複数であれば中央の極値位置にき裂面が存在するものと仮定する.

2.3 FEM 解析

本研究では図-2,4に示すような,サイズα×β(板厚方向×板幅方 向)で,幅t=0mmのき裂を挿入した幅b,厚さt,長さL=2bの平板 を解析対象とし,線形弾性解析を行う.解析には汎用有限要素解析 ソフトウェア MARC を使用し,8 節点アイソパラメトリック要素 (No.7)でモデル化する.解析対象をき裂面で分割してモデル化し,

両モデルの節点を一体化するかどうかを指定し,き裂を作成した.

2.4 最適化手法

最適化ルーチンはMATLABのGA and direct search Toolbox 2)を 用いて構築した.本研究で対象とするのは内部き裂であり,き裂 サイズが鋼材断面の大きさを超えないという条件が加わってくる ため,制約条件を扱うことのできるPattern Search GPS 2Nを用い た.Mesh sizeは1,収束条件は|Fn-Fn+1|≤1×10-6とした.

3. 適用事例

モデルサイズはt=10mm,b= 20mm,要素分割数はx方向に20,

y方向に10,z方向に20とする.荷重条件は一軸引張とし,一端

に10N/mm2(f=2000Nに相当)を載荷し,もう一端は固定する.

使用鋼材はSM490(σy=315N/mm2)とし,弾性係数は200kN/mm2

ポアソン比は0.3とする.図-4に示すき裂面位置の推定に用いる変位抽出位置∆3は左縁端から3mm,∆4 は右縁端から4mmの位置,図-2に示す誤差を評価するための変位抽出位置は,き裂面直上からz軸方向

±2mmの位置とする.なお本適用事例では,あらかじめFEM解析を実施して得られた変位分布を測定値と して推定を行った.表-1 に示す 7ケースの推定を行った結果,き裂のサイズと位置の推定が可能なもの とそうでないものがあった.推定できたものは,き裂のサイズが大きい,仮定した初期き裂に近い等の場 合であった.正解が得られた場合の目的関数の収束状況は,図-5に示すように比較的良好であった.

4. 結論

今回は解析解を測定値として用いているため,き裂面位置については全て推定可能であったが,き裂位 置・サイズについてはうまく推定できないケースもあった.その原因としては,最適化手法として初期値 の近傍しか探索できないPattern Searchを用いたことに一因があると考える.また縁端近傍や深い位置にき 裂があると変位が小さく,目的関数の値があまり変化しなかったことも考えられる.今後の課題としては より適切な最適化手法の選定,初期値や変位抽出位置の設定方法の検討等が挙げられる.そうした検討を 実施した後,より現実的な問題に対する適用性を検証する必要がある.

参考文献

1) 中村聖三,江藤亮太,高橋和雄,松田浩:内在する平面き裂が鋼板の表面ひずみに及ぼす影響,鋼構造年次論文報告集,

Vol.13pp.143-1482005.11.

2) The MathWorks, Inc. : Genetic Algorithm and Direct Search Tool box 2 User’s Guide

表-1 適用事例の一覧 き裂 図-4 き裂面推定のための

変位抽出位置

4

3

2 1

・・ i

n

正解 推定値

(x1,x2,x3,x4,)(x1,x2,x3,x4,

1 9,4,13,8) (9,4,13,8 2 18,2,20,4)(18,3,20,7) ○ × 3 (2,2,20,10)(2,2,20,10) ○ 4 14,3,20,9)(14,3,20,9) ○ 5 (4,3,12,6) (6,3,12,7) × 6 (2,8,4,10) (7,3,13,9) × × 7 10,5,12,7)(15,6,18,9) × ×

位置 サイズ

1-055 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

-110-

参照

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