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論文(武藤)決定版

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Academic year: 2021

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意欲的に観察・実験に取り組む生徒の育成

当事者意識を大切にした授業を通して

村上市立村上第一中学校 武藤 重之 主題設定の理由 1 これまでの実践より これまでの私自身の実践を振り返ると、生徒が学習内容を理解するには分かりやすい説明が必要不可 欠だと考えてきた。数式や法則をいかに噛み砕いて伝えるか、いかに実験を手順通りにやらせるかを重 要視してきた。しかし、全国標準学力検査や定期テストの結果を見ても通過率が低く、教科書に出てく る用語であっても、彼らの中では既習事項として定着しておらず、理解に結びついていないことが多か った。 しかし、ある時「回路を流れる電流と加わる電圧」の単元で、実技テストを兼ねて、直列回路・並列回 路の接続、電流計・電圧計の接続と測定について一人一人パフォーマンステストを行った。できた場合 、 、 。 はプリントにシールを貼ってやったところ 非常に意欲的に取り組み 1人を除く全員が合格であった 目の前にある課題を自分の力でやらなければいけない状況が整うと、生徒たちは高い集中力を持ちうる ことが分かった。その後の定着度も比較的高かった。個々が自分の問題(課題)として捉える環境を作 り出す必要があると考えるようになった。 県中教研理科部会の重点方針は 「目的意識を持って科学的に調べる能力と科学的な思考力を育てる学、 習活動の展開に努める」とあり、そのために「地域の環境や学校の実態を生かした自然体験、科学的な 体験を通した実感を重視し、自然事象の認識と科学への興味、関心を一層高める」ことが重要であると 示された。また、PISA2006 の調査では「科学の身近さ・有用さを感じている」の項目で、肯定的な回答 をする割合が低かったと指摘している。 生徒がいかに学習課題に対してどれだけ目的意識をもてるか、そして、そのために課題にどのように して興味・関心をもたせるかが重要であると考える。先に述べた方針や調査結果からその内容として身近 な素材や親近感を抱かせるものであることが望ましいと考える。 2 生徒の実態より 理科授業において 「課題に興味がもてるか」と尋、 ねたところ、図1のように 75 %もの生徒がプラス傾 向の回答をした。多くの生徒は、理科という教科に 興味があるのである。その理由として、観察や実験 が楽しいことが挙げられると考える。授業あるいは グループ実験の中心となり、積極的に観察・実験に 、 、 。 臨んだり まとめたり 発言したりする生徒もいる しかし一方で、受身的で、教師の指示待ちであっ たり、人任せにして観察や実験に参加しない(ある いは参加できない)生徒もいる。生徒アンケートと 照らし合わせてみると、自己有用感が低い生徒にそ の傾向が強い。理科の授業においても、生徒自ら課 題を解決し 「分かる楽しさ、うれしさ」を味わわせることによって、自己有用感を高めたい。、 。 。 そのために重要なことは授業改善である 生徒自ら主体的に取り組めるような授業にすることである 私は、キーワードとして「当事者意識」を挙げる。当事者意識については 「Ⅱ、 研究の実際」で述べる が、学習課題を「自分自身の生活に役立てる」とか「よりよく生きるため」といった意識をもって受け 止め、学習後に振り返ったとき、生徒が自分自身の成長を自覚できるような授業を行いたい。そうする ことで、生徒は自己有用感を高め、受身的な授業態度から脱却できるであろう。 この主張の実現がいかに難しいことかは、私自身自覚しているつもりである。しかし、私は、一人で も多くの生徒に自信をつけてもらい、主体的に学ぶ楽しさを実感してもらいたい。このように願い、標 記研究主題を設定した。 課題に興味がもてるか 図1

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Ⅱ 研究仮説 教師が意図的な動機付けを行うことができれば、生徒は課題を解決するために当事者意識を持ち、意欲 的・意欲的にに観察実験に取り組むであろう。 Ⅲ 研究の実際 1 単元名 中学校第1学年 「変動する大地」 2 主題達成のための視点・方策 「当事者意識」とは、身近な教材や地域教材の提示を通して、生徒が自分の問題として「なぜだろ う 「調べてみたい」という強い願いをもった状態のことを指す。」 教師が観察実験の動機付けを行い、生徒は観察や実験に対して当事者意識を持って関わっているかが 最も大切である。生徒にとって、距離的・心理的に「身近な教材」との出会いは、具体的な事象として 捉えやすいため、関心を高めることは容易である。また、そうした身近な教材を活用した事象の提示が 生徒の既存概念とほどよくずれていると、生徒の「なぜだろう 「調べてみたい」という願いにつながっ」 ていく。つまり、教師が意図的な動機付けを行い、その課題が生徒にとってどうしても解決したいもの であれば、生徒は観察・実験に対して当事者意識を持つことが期待できる。そして、生徒は課題を解決 するために目的意識を持ち、自らの予想を立てて主体的に課題解決に立ち向かい、自分自身で解決した 喜びや満足感といった類の感情を得ることができるであろう。こういった体験の積み重ねこそが生徒の 自己有用感を高め、理科学習と生徒自身、あるいは理科学習と日常生活の距離を近づけることになる。 自己有用感の低い生徒がマイナスのスパイルから抜けだし、プラスのスパイラルに移るには、このよう な授業を教師が展開するよう頑張るしかない。少なくても、そのような教師の姿を生徒に示すことは、 必ずプラスになると信じている。 では、具体的にどうするか。本単元における実践では、以下の手立てをとる。 ( )課題(動機付け)の工夫1 (ア)地域素材の導入 生徒自身の「知りたい 「調べてみたい」という興味・関心は、地域素材のような身近なもので」 あることでより喚起される。また、実験結果や考察から得られた知識を再び地域へ返すことで、意 欲・関心が高まると考える。 (イ)身近な教材の導入 実験に用いる器具や材料について、初めて聞くような材料や薬品ではやはり心理的な距離が生じ る。生徒達の日常生活の中に見られる材料等を用いることで、心理的距離が近いものを準備する。 (ウ)予想と結果にずれが生じる課題提示 地域素材や身近な教材だけでは当事者意識をもつとは言いきれない。(ア)(イ)を兼ね備えた上で、 その事象に興味・関心を抱き、調べてみたくなるような課題を提示する。特に生徒達が生活体験か ら身に付けた素朴概念あるいは素朴な予想を覆すような課題とし、動機付けとする。 (2)グループ作業による連帯感 (ア)生徒同士が自分の意見や考えを交流しあえる場の設定 生徒が疑問に感じる課題提示をする。また、生徒一人一人が予想や仮説をたてやすい課題を与え ることで、参加意識をもった実験・観察へとつなげる。生徒一人一人がたてた予想や仮説をお互い に発表したり、考えを交流させたりしていく過程を大切にしたい。結果や考えは、詳細な点では一 人一人が微妙に違ってくるであろうが、生徒間の相談や相互協力の場の機会を増やしたい。そのた めに、個人の考えをまとめるための教材やワークシートの工夫など、生徒達が抵抗なく取り組める 環境を設定する。また、生徒同士が関わり合う活動を意図的に繰り返すことで、自己有用感の高ま りもねらいとしたい。

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(イ)確実な実験・観察用具の準備 班に1セットの実験器具を準備し、演示ではなく生徒自身の手で作業させる。そこから予想の検 証とともに新たな発見などを期待したい。そのためには、誰が見ても明らかな結果が出る実験であ った方がいいと考える。なぜなら、生徒の実態でも述べたが、理科の実験においても 「分かる楽、 、 」 。 、 しさ うれしさ を味わわせたいからである 生徒が実験や作業に消極的になる理由の1つとして できる生徒が独断専行で実験を進めるため、何をしているか分からない上、与えられた結果が何を 意味するか分からない、ということがある。そこで、シンプルかつ分かりやすい結果が出る実験を 、 、 。 することで 結果を班のメンバーと共有しやすくなり 班に対し連帯感をもちやすくなると考える また、実験に対し成功する体験を積み重ねることで、苦手意識や始めから敬遠する気持ちを軽減さ せていきたい。 3 単元について 本研究では、1年生2分野「変動する大地」を研究対象の単元とした。本単元は、第1章「激しく活 動する大地」と第2章「地球の歴史をきざむ地層」に分かれている。第1章では主に地震と火山を、第 。 、 。 2章では地層を扱う 第1章の第1次・第2次は地震の内容であるが 観察・実験の場面があまりない 。 。 、 第3次・第4次は火山の内容である 第3次も生徒が行う観察・実験は少ない 第4次では観察が多く 本主題達成のためには効果的な学習内容が続く。第2章は第1次・第2次からなるが、比較的観察も多 く、科学的思考を要する内容が多い。そのため、本研究では、第1章と第2章の順序を入れ替えて実践 する。 事前に行ったアンケート結果では、化石を採集したり、実際に露頭を観察したりした経験がない生徒 が多い。そのため、授業では、地層モデルを用いて、実際に断層や褶曲の地層をつくり、地球が動いて いることを実感させる。本単元は、大地の変動が、断層や褶曲など、地形の変化として大地に記録され ていることを気づかせるとともに、大地形などの成因をプレートの動きと関連づけて理解させることが ねらいである。 4 指導と評価の計画(全22時間) 次 学習内容 学習活動 評価と方法 第 1 地層はどのよう ・地層が流水のはたらきのよってできることを理解する。 観察法 2 にできたのだろ ・堆積岩を構成する物質と 粒子の大きさについて理解する、 。 プリント結果 章 うか( )4 ・ 観察】堆積岩の特徴を確かめる。【 プリント考察 ・地層のつくりや重なりを考える。 地 球 2 地層から何がわ ・堆積した場所によって、堆積岩のようすが異なることを 観察法 のき かるのだろうか 理解する。 プリント結果 歴ざ ( )3 ・堆積岩には化石が含まれ、環境や年代を見分ける際に使用 プリント考察 史む できることを理解する。 を地 ・地質年代について理解する。 層 ○断層や褶曲について理解する 【本時】。 第 3 地震のゆれはど ・震度とマグニチュードの違いを理解する。 観察法 1 のようにして伝 ・地震の波の伝わり方には2種類あることを知る。 プリント結果 章 わるか( )4 ・ 実習】地震のゆれの伝わり方を確かめよう。【 プリント考察 ・地震のゆれの伝わり方について理解する。 激 し 4 地震はどのよう ・震央と震源の分布から 地震発生のメカニズムを理解する、 。 プリント結果 く にして起こるか 活 ( )3 動 す 5 火山の活動につ ・火山の起源がマグマであることを理解する。 観察法 る い て 調 べ よ う ・火山の形はいくつかの種類に分けられることを理解する。 プリント結果 大 ( )3 ・火山の形や活動のようすの違いをマグマの粘性の違いと関 プリント考察 地 連づけて理解する。 6 マグマからでき ・ 観察】火山灰の中に、鉱物が見られることを理解する。【 観察法 た岩石を調べよ ・鉱物の種類を知る。 プリント結果

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う( )5 ・ 観察】火成岩は火山岩と深成岩に分類できることを理解【 プリント考察 する。 ・ 観察】火成岩の種類によって、含まれる鉱物の種類や割【 合が異なることを理解する。 。 ・安山岩と花こう岩の違いがその成因にあることを理解する 5 評価規準 Ⅰ 自然現象への関心・意欲・態度 Ⅱ 科学的な思考・表現 Ⅲ 観察・実験の技能 Ⅳ 自然現象についての知識・理解 火山や岩石に興味・関 断層や褶曲、段丘など 断 層 や 褶 曲 の で き 方 地層や地形に見られる 心をもち、それらの成因 から、大地が過去に力を を 地層モデルを使って、 、 土地の変化は、プレート に つ い て 考 え よ う と す 受けたことを推測する。 説明する。 の動きが関係することを る。 理解する。 6 本時の計画(7/22時間) ( )ねらい1 ・地域素材や身近なものを利用した実験を通して、褶曲や断層が強い圧力によって形成されることを理解 する。 ( )本時における主題達成のための構想2 初めに、地域素材を中心とした様々な褶曲や断層のスライドを見せることで、生徒の知的好奇心を喚 起し、学習への取り組みへの意欲を引き出す【( )(ア)地域素材の導入 。しかし、実際の褶曲や断層は、1 】 中学生には分かりにくいものや形成過程が複雑なものがあるため、分かりやすく、インパクトのあるも のを選ぶようにする。 提示したスライドをもとに褶曲や断層のような地形がどのようにできたのか考えさせる。主としてど のような力がはたらいたことによって形成されたかを問いかける。大きな力がはたらいたことは容易に 想像できると考えられるが、どのような力(向き)がはたらいたかに焦点をしぼらせる。断層の場合、 上下に互い違いの力がはたらいたと考察するケースが多いと思われる 【( )(ウ)予想と結果にずれが生じ。 1 る課題提示 および ( )(ア)生徒同士が自分の意見や考えを交流しあえる場の設定】2 その後、身近にあるココアなどのパウダー類を使用したモデルを用いて検証実験をさせる。ココアと 小麦粉を用いたモデル実験では、圧縮する力を加えると比較的逆断層が現れやすい。本時では、褶曲と 断層それぞれを、個別にはっきりと認知させるために、2つの実験をさせる。ぬかとグラニュー糖を組 み合わせた地層モデルを用いることで、確実に褶曲が見せる 【( )(イ)確実な実験・観察用具の準備】。 2 その後、ココアや小麦粉で断層を見せる。食品のように生徒達の身のまわりにある材料で検証実験させ 、 、 。 ること 演示ではなく生徒の手による操作を行わせることで 生徒が自分の問題として捉えると考える 【( )(イ)身近な教材の導入】1 始めに見せたスライドのような地形が、理科室の実験で再現でき、実際の地形にかかった力を想像さ せることで、断層・褶曲のような地形でも身近なものとして捉えるとともに、私たちが住む日本、新潟 県、村上市にも地球レベルのダイナミックな力がはたらいていたことを想起させたい。 ( )展開3 学習活動 教師の働きかけと予想される児童・生徒の反応 支援・評価・留意点 時間 *スライド等で提示 25 ○本時の学習課題の確認 ・地域素材を中心とした 褶曲や断層の写真を見せる、 。 (問題を見いだす) 。 T このような地形はどのようにしてできたのだろう S 地震が起きた。 S 堆積するときに混ざった。 S 大きな力がはたらいた。など

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波のように曲がっているつくりのことを T 地層が 「褶曲」といい、割れ目に沿ってずれたつくり のことを「断層」といいます。 T これまで勉強してきた「地層」に、ものすごい力 がはたらいた結果できたのです。 ○断層と褶曲の図を用いてどのような力がはたらい たかを考える。 ◇用語を理解し、使 用することができ T 実際に力を(矢印で)加えて考えてみよう。 たか。 どんな力がはたらくと断層が動くでしょうか。 *プリント1を配布 ○プリントにどんな力がはたらいたかを記入する。 【断層】 ◇課題を確認、理解す S 上下に互い違いの力がはたらいた。 ることができたか S 両側から押されて、ひびが入ってずれた。 S 地震の波のような力 【褶曲】 S 両側から押しつぶす力がはたらいた。 S 盛り上がっているところは上向き、下がってい るところは下向きの力がはたらいた。 S 川や海など水が流れる力 ◇自分の考えを書く ことができたか。 (プリント) ○検証活動 ◇ 実 験 目 的 ・ 方 法 を 20 T 実際に地層の模型(グラニュー糖とぬか)に力 確認、理解すること を加えてみましょう。 ができたか S 褶曲ができた。 (観察・プリント) ・褶曲や逆断層が左右 S 断層ができない。 からの力によってで S 断層は違う力がはたらくんだ。 褶 曲 が で き や す い きることを確認する * ぬ か と グ ラ ニ ュ ー 糖 を 層 に し た モ デ ル を 、 班 に 1 つ ず つ渡す。 コ コ ア と 小 麦 粉 の T 実はもう1セット実験セット ココアと小麦粉( ) * セ ッ ト を 、 班 に 1 を準備してあります。この地層モデルで 実験し つずつ渡す。 たらどうなるか、もう一度やってみましょう。 S 断層ができた。 ◇ 褶 曲 や 逆 断 層 が で S 褶曲みたいなものもできている。 き る 理 由 を 理 解 す ることができたか。 (プリント) T 褶曲と断層は 何の違いでできたと思いますか、 。 S 地層の成分が違う。 S 力の強さが違う。 S 地層の柔らかさが違う。 ・次時の内容を聞き、後片付けをする。 5 ○まとめ ( )評価4 ・生徒一人一人が自分の考えや意見をもち、目的意識をもった観察・実験へとつなげることができたか。 ・地域素材や身近なものを用いた活動や実験が、当事者意識をもたせることに有効であったか。 ( ) 、 。 どのような力 向き がはたらいて これらの地形ができたか考えてみよう

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Ⅳ 研究のまとめ 1 授業の実際と考察 ( )課題(動機付け)の工夫について1 授業の導入に、身近な地域にある地層や地形をスライドで見せ た。図2のような褶曲(黒川石油公園・シンクルトン記念館近く の露頭)や図3のような断層(旧勝木漁港北部にある岩塊)であ る。また、生徒達が住んでいる村上市内からも泥岩・砂岩の互層 や火山灰のかぎ層なども見せた。生徒達は、その地形がどこにあ るかが分かると、親近感をもち、驚きと感心の声を出していた。 この学習活動は、生徒の知的好奇心を喚起し、学習への取り組み への意欲を引き出す上で有効であったと考える。 また、身近な教材の活用として、図4・図5にある食材を用い た褶曲・断層モデルを準備した。それぞれ確実に褶曲と断層がで きるモデルであるため、提示する順序を意図的にコントロールす ることができるのが利点である。 【褶曲モデル】 ・ポリプロピレン製の容器(100円均一ショップで購入)に ぬかとグラニュー糖を互層にしたモデル ・ぬかもグラニュー糖もパウダー状でサラサラしている ため、褶曲にしかならない。 【断層モデル】 ( ) ・ポリプロピレン製の容器 靴箱専用脱臭剤のケースを利用 に、ココアと小麦粉を互層にしたモデル ・堅めに押しておくと、割れるように断層ができる。柔らか 、 。 い部分は崩れるが 誰の目にもはっきりした断層が見える 褶曲及び断層モデルの班別実験を行ったが、全ての班で褶曲及 び断層を観察することができた。力を入れすぎて少々こぼした班 、 。 もあったが 褶曲や断層ができたときは驚きの声が上がっていた 綺麗な褶曲や断層を見てくれと声をかけてくる生徒もいた。 時間の関係でスケッチは断層のみ行った。図6のように特徴を 捉えてはっきりと描くことができた。断層のようすを一人一人に じっくり観察させたいときにもこのモデルは有効であった。自分 たちの班の断層はとても綺麗に現れたという自負心が、ぜひ記録 を残したいという欲求に変化したと考える。実験の成功は、意欲 の高まりに効果的であり、結果について考察するときに、思考力 の高まりが見られた。 、 、 これらの工夫を行うことで 生徒達を意欲的 主体的に取り組めると考え、授業を行った。 、 。 図7は 事後に行ったアンケートの結果である 授業で改善して欲しいところとして、特に「課 題の出し方」を上げる生徒が 18%から 11%に 減少した。また、指示説明の分かりやすさを選 んだ生徒が 22%から 0%と大きく減少した。課 題の内容をよく聞こうとした生徒が増え、こち らの説明内容がよく伝わったものと考える。 図2 図3 図4 図5 授業で改善してほしいところ 図7 図6

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図8のアンケート内容では、課題に興味がも てると答えた生徒がり 25%から 51%へ上昇し た。肯定的な意見は合計 87%となり、大半の 生徒が今回の課題について、興味・関心をもっ たと考える。地域素材を用いた導入や身近な素 材を用いた実験モデルが有効であったと考え る。 (2)グループ作業による連帯感について 生徒同士が自分の意見や考えを交流しあえる場を設 定することを目的として、断層や褶曲にどのような力 がはたらいたかを考察させた。 図9は、ワークシートに記入されていた断層・褶曲 にはたらいた力である 「左右から押す力」と正しい考。 察をしたのは 29%ほどで、断層の形状から「斜め・上 下方向から押す力」とした生徒が半数である。このこ とは、生徒達の素朴概念による予想結果であることを 示していると言っていいだろう。 しかし、予想結果が分かれたため、班での話し合い は難航していた。また、班の意見を集約する時間が大きく確保できなかったため、一部の班員の意見 に流されてしまった班も見受けられた。 後述の成果と課題でも述べるが、班の話し合いによる意見の集約の仕方、全体への提示方法、様々 な意見・仮説への検証方法など、いくつかの反省点もみられた。特にこれだけの多くの意見・仮説が 、 、 、 出た状態で 教師主導で検証実験を指示したため 生徒にとっては何を確かめる実験であったのかが 不明確になったと考える。 図10は、定期テストにおける本時の学習内容に関する問題の正答率である 「断層 「しゅう曲」と。 」 いう用語を答えさせる問題では正答率が高く、学習内容が定着していた様子が分かる。また、褶曲が 、 。 できるときに加わる力についても ぬかとグラニュー糖の実験が生徒達の印象に残っていたと考える しかし、逆断層のずれに加わる力を答える問題では、正答率が53%と低い結果になった。本時で、意見 ・仮説を出した時の初期の知識(素朴概念)が検証実験を通しても修正されずに、残ってしまったも のと考える。 2 成果と課題 研究仮説については、図8のアンケート結果、生徒の実験時の様子、学習内容の定着率から、生徒が当 事者意識をもつことによって、意欲的に実験に取り組むことが明らかとなった。しかし、その方策の1 つである生徒同士が自分の意見や考えを交流しあえる場の設定については、次項に詳しく述べるが、有 効性を検討する上で不十分な展開となったため、更なる検証が必要であると認める。また、地域素材や 身近な教材の有効性だけでなく、課題提示・授業展開との関連についても検証をしていく必要があると 考える。 29% 左右から押す力 50% 斜め・上下方向から押す力 7% 揺れ・波状の力 14% 無回答 課題に興味がもてるか 図8 図9 定期テストより 関連した問題の正答率 88% 「断層」という名称を答えさせる問題 84% 「しゅう曲」という名称を答えさせる問題 53% 逆断層のずれがどのような力を受けてできていたかを答える問題 84% 褶曲の地形がどのような力を受けてできていたかを答える問題 図10

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〈成果①〉地域素材を用いた導入は、生徒の興味・関心を喚起する活動として有効であった。 当事者意識とはこれから行われる課題や学習内容が、自分の問題としてとらえられるかどうかが重 要となってくる。地元にある地形や地層を見せることで、断層や褶曲に親近感を抱かせるのに十分で あったと考える。 〈成果②〉身近な教材の導入及び確実な実験・観察用具の準備で生徒の主体的な取り組みが見られた。 本時において、褶曲・地層モデルを紹介し、使用した材料がぬかやグラニュー糖、ココアに小麦粉 であることを伝えると、驚きや歓喜の声があがった。一刻も早く触りたい、見たいという意識が芽生 えたといえる。また、未熟な生徒の手による実験であっても、確実に褶曲や断層を起こさせることが できたことは、記録活動や考察の活動においても生徒の意欲的な取り組みにつながったと考える。 〈成果③〉予想と結果にずれが生じる課題提示は、生徒の興味・関心を喚起する上で有効であった。その 、 、 、 。 結果 いくつもの仮説や考えを生徒にもたせることができ 比較検討 検証実験への可能性を示した 本時では、そのギャップに混乱した部分もあったが、図8のアンケート結果より、課題に興味を持っ た生徒が9割弱に増加したことからも、生徒の知的好奇心をくすぐる課題は重要であると考える。 〈課題①〉班の話し合いによる意見の集約の仕方、全体への提示方法が不十分であった。 個人で断層にはたらく力を考えさせたときは、素直な発想で多くの考え・仮説が生まれた。本時の ねらいとしては、班で話し合いをして、班として1つの考えにまとめてもらいたかったのであるが、 時間不足及び話し合い活動の不慣れのため、有意義な話し合いができなかった。 また、班の意見を口頭発表のみにし、せっかくまとめた考えを全体へ再投影させることができなか ったことも反省の点の1つである。ホワイトボードや拡大コピー等を用いて、意見のまとめ上げと全 体への提示がしっかりできる方法が必要であったと考える。 〈課題②〉様々な意見・仮説への検証方法として想定不足、準備不足であった。 上述したが、多くの意見・仮説が出た状態で、教師主導で検証実験を指示したため、生徒にとって は何を確かめる実験であったのかが、不明確になったと考える。最も意見の多かった上下から力を加 える検証方法なども想定しておくべきであった。 3 おわりに 本研究では、生徒達に当事者意識を持たせるために、地域素材や身近な材料による実験道具などを 中心に、実践を行った。生徒の興味・関心を喚起したり、実験への主体的な取り組みを見せたり、一 定の成果があったと考える。しかし、本研究の課題でもあったが、意見の集約や仮説に対する検証と いう意味での実験については、不十分といえる結果となった。 本時の公開後の検討会でいただいた意見を元に、翌週別のクラスで実践を行った(新潟県中学校教 育研究会指定 1年目 プレ公開授業 。この実践では、有効であった地域素材と身近な材料による実) 験道具はそのままに、ホワイトボードを用いて話し合いと意見集約が効果的に進むよう工夫をしてみ た。しかし、断層の力の加わり方については生徒達からあらゆる意見・仮説が出た。その集約が不十 分となり、検証実験としてのココア・砂糖モデルが不十分な形で終わった。 断層にかかる力を考察させると様々な意見が出てくる。とても興味深い展開ではあるのだが、これ らの考えを1つ1つ検証実験で確かめていったのでは、時間も不足するし、準備が大変である。よっ て、もう1つのクラスでは、あえて褶曲を先に見せて、褶曲ができるときにかかる力を考察させた。 断層の時とは違って、スポンジやこんにゃくをイメージしたのか、左右から押しつぶす力という意見 ・仮説が多くを占めた。その後、検証実験という形でぬかとグラニュー糖の実験を行い、追加で小麦 とココアの実験をやらせた。小麦とココアでは、褶曲にならないということを発見し、断層という地 形であることを教えた。 、 、 残念ながら3つ目のクラスはどこにも公開はしなかったが これまでの実践の反省を生かした結果 もっとも自然に流れる授業展開にすることができた。このことから、何か新しい提案をするときは、 1時間のみの実践で終わるのではなく、反省を元に変更、アレンジし、積み重ねていくことが大切で あると感じた。もちろん、そのことが生徒達にとってもプラスになることは言うまでもない。 今後も生徒達の当事者意識を高めるために必要な材料、条件等を試行錯誤しながら見いだしていく ことになるであろうが、たゆまぬ努力を続けていきたい。 《参考資料・文献》 ・PISA調査のアンケート項目による中3調査集計結果(速報) www.nier.go.jp/pisa2007_press/pisa2007_press.htm

参照

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