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(1)

慢性骨髄性白血病 CML

クリニカルクエスチョン一覧

▶ CQ 1

 小児 CML の標準的治療は何か

▶ CQ 2

 小児 CML 治療における造血幹細胞移植の役割は何か

略語一覧

CML (Chronic Myelocytic Leukemia,慢性骨髄性白血病) TKI (Tyrosine Kinase Inhibitor,チロシンキナーゼ阻害薬) CHR (Complete Hematological Response,血液学的完全寛解) CCyR (Complete Cytogenetic Response,細胞遺伝学的完全寛解) PCyR (Partial Cytogenetic Response,細胞遺伝学的部分寛解) MMR (Major Molecular Response,分子生物学的寛解) SCT (Stem Cell Transplantation,造血幹細胞移植) QOL (Quality of Life,生活の質)

EBMT(The European Group for Blood & Marrow Transplantation) RIST (Reduced−intensity Stem Cell Transplantation)

(ガイドライン掲載順)

(2)

クリニカルクエスチョン

小児 CML の標準的治療は何か

慢性期例には慢性期の維持を目標としてイマチニブ内服を行う。

  エビデンスレベル:Ⅰ

  推奨グレード:A

推奨 1

▪ 解 説

成人の慢性期慢性骨髄性白血病(CML)に対する第一選択の薬剤はイマチニブであ

1)

,小児も同様である

2)

。最近,第二世代チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)のダサチ

ニブおよびニロチニブにおいて,初発慢性期 CML の成人患者を対象にイマチニブとの

ランダム化比較試験の結果が報告され,いずれもイマチニブより細胞遺伝学的効果,分

子遺伝学的効果が高く,耐容性も優れていることが示された

3,4)

。成人では今後,これ

らの第二世代 TKI がイマチニブに代わる第一選択の薬剤として用いられる可能性があ

るが,長期成績が不明のため現時点で標準的治療とするには時期尚早である。

小児に対するイマチニブの投与量は成人標準の 400 mg/日に相当する 260 mg/m

2

/日

から開始する

5)

。イマチニブに不耐容の場合には第二世代 TKI に変更する。定期的に

血液学的効果,細胞遺伝学的効果,分子遺伝学的効果を評価する(表 1)。CML の病態

1

CQ

表 1 治療効果の定義 血液学的効果(HR) 細胞遺伝学的効果(CyR) 分子遺伝学的効果(MR) 血液学的完全寛解(CHR): 以下の全項目を 2 週間以上 持続すること。 ・白血球数 10,000/μL 未満 ・血小板数 450,000/μL 未満 ・白血球分画の正常化  −幼若顆粒球の消失かつ  −好塩基球 5%未満 ・脾腫(触診)の消失 Complete (CCyR) Ph+0% Complete (CMR) 末 梢 血 nestedRT−PCR に よ る 定性検査で BCR−ABL1 キメラ mRNA が検出されない。nested RT−PCR による評価ができない 場合には,末梢血 Amp−CML5 コピー未満を判定の代替とする。 Partial (PCyR) Ph+1〜35% Minor Ph+36〜65% Minimal Ph+66〜95% No Ph+>95% 骨髄 G バンド分染法にて, 20 個以上の細胞の分裂像 を分析する。骨髄細胞の分 裂像が得られない場合や G バンド分染法で評価できな い場合には,CCyR の確認 に限って,FISH 法で末梢 血 200 細胞以上調べること で代替してもよい。 Major (MMR) 国際スケールで,末梢血 BCR− ABL/ABL1mRNA 比が 0.1%以 下。国際スケールでの測定がで きない場合には,末梢血 Amp− CML50 コピー以下を判定の代 替とする。

(3)

慢性骨髄性白血病 CML

には成人と小児に差はないと考えられるため,効果判定に関しては成人の推奨案に基づ

き,イマチニブ開始後,所定の時期に到達目標を達成できたか否かで治療方針を決定す

る(表 2)

6)

。3 カ月時 minimalCyR(Ph

+

66〜95%)と評価した患者については予後に

関するエビデンスが定まっていない。第二世代 TKI へ変更した場合には,ニロチニ

ブ・ダサチニブ治療効果判定基準(CQ2 参照)に従って,変更後からの月数に基づい

て治療効果を判定する。

表 2 イマチニブ治療効果判定基準および治療方針

判定時期 responseOptimal Warnings Suboptimalresponse Failure 診断時 ・高リスク*1 ・Ph+細胞のクロー ン性染色体異常*2 開始後 3 カ月 CHR かつ minorCyR 以上 (Ph+≦65%) noCyR (Ph+>95%) CHR 未達成 開始後 6 カ月 PCyR 以上 (Ph+≦35%) PCyR 未達成 (Ph+>35%) noCyR (Ph+>95%) 開始後 12 カ月 CCyR MMR 未達成 (Ph+PCyR1〜35%) PCyR 未達成 (Ph+>35%) 開始後 18 カ月 MMR MMR 未達成 CCyR 未達成 開 始 後 時 期 を 問わず ・安定した状態ま たは MMR 達成 後 BCR−ABL1 キ メ ラ mRNA 値の上昇なし ・BCR−ABL1 キ メ ラ mRNA 値 の 3 倍以上の上昇*3 ・Ph−細胞のクロー ン性染色体異常 ・MMR の消失*4 ・イマチニブ高度 耐 性 以 外 の BCR−ABL1 キメ ラ遺伝子変異*5 ・CHR の消失*6 ・CCyR の消失*7 ・イマチニブ高度耐性 の BCR−ABL1 キメ ラ遺伝子変異*5 ・Ph+細胞のクローン 性染色体異常*2 治療方針 ・イマチニブ同量 継続 ・イ マ チ ニ ブ を 同 量 継 続 す る が 慎 重 な モ ニ タ リ ン グ の う え, 他 の warnings の 特 徴 が 出 現 し た 場 合 に は suboptimal response に準ずる ・イマチニブ同量 継続  または ・イマチニブ増量 (3 4 0〜5 7 0 m g / m2/日: 上 限 600 mg/日)  または ・第二世代 TKI へ 変更 慢 性 期 か つ T315I 変 異がない場合 ・第 二 世 代 TKI へ 変 更 移行期・急性転化期へ 病期進行または T315I 変異がある場合 ・同種 SCT * 1:Sokal あるいは Hasford スコアによる評価。 * 2:同一の異常を 2 細胞以上に認めることが必要。 * 3:CHR または CCyR の消失を伴わない場合には再検査による確認要。また,5 倍以上の上昇時は BCR−ABL1 キ メラ遺伝子変異解析を推奨する。 * 4:CHR または CCyR の消失を伴わない場合には再検査による確認要。 * 5:IC50 値から G250E,Y253F,Y253H,E255K,E255V,T315I,H396R,H396P,F486S などが高度耐性の遺 伝変異と予測される。 * 6:移行期/急性転化期への進行を伴わない場合には再検査による確認要。 * 7:CHR の消失または移行期/急性転化期への進行を伴わない場合には再検査による確認要。

(4)

移行期・急性転化期例には治癒を目標として同種 SCT を行う。

  エビデンスレベル:Ⅰ

  推奨グレード:A

推奨 2

▪ 解 説

寛解後の再発率が高いため,TKI に良好な反応であっても同種造血幹細胞移植

(SCT)を行う

2,7)

。移植時病期は生存率に影響するため,移植前処置開始までに慢性期

に導入し維持しておく。イマチニブ耐性の遺伝子変異がなければイマチニブ 340 mg/

m

2

から開始し,効果が不十分であれば 570 mg/m

2

(最大 800 mg,分 2)まで増量,あ

るいは第二世代 TKI に変更する。ただし,急性転化期例にはニロチニブの保険適用は

ない。急性転化期および急性転化期に近い移行期の患者には,急性白血病に対する従来

の化学療法を併用する

7)

(5)

慢性骨髄性白血病 CML

小児 CML 治療における造血幹細胞移植の役割は何か

同種 SCT は,移行期・急性転化期例および病期進行する可能性の高い一部の慢性期例に対す

る標準的治療と位置づけられる。

  エビデンスレベル:Ⅳ

  推奨グレード:B

推奨

▪ 解 説

CML は慢性期には通常,生命の危険はなく QOL を損なうような症状も出現しない

疾患である。したがって,イマチニブによる慢性期の維持が治療目標であり,同種

SCT の適応は,①移行期・急性転化期例,②病期進行する可能性の高い一部の慢性期

例に限られる。EuropeanLeukemiaNet による成人 CML 治療の改訂推奨案では,移行

期・急性転化期例に同種 SCT の適応があり,慢性期例はイマチニブ抵抗性のみでは同

種 SCT の適応はなく,第二世代 TKI への変更が推奨されている

6)

。T315I 変異を認め

た場合は早急な同種 SCT の適応である

6,8)

第二世代 TKI に failure は同種 SCT 絶対適応,warnings は同種 SCT 第一選択,

suboptimalresponse は EBMT リスクスコア 2 以下または変更時 warnings の条件で同

種 SCT 第一選択が推奨される(表 3)

6,9,10)

。ただし,小児では治療反応が良好であって

も,TKI 長期投与による成長障害,骨代謝障害,免疫機能障害,性腺機能障害など成

長期特有の問題が生じる可能性がある。QOL を損なうコントロールのできない有害事

象が TKI 内服中に発生する場合には,同種 SCT のリスク

11)

を説明し同意を得たうえ

で同種 SCT を選択するのは妥当である。海外では,成人の慢性期 CML に骨髄非破壊

的前処置による同種 SCT(RIST)を実施し良好な移植成績をあげている

12,13)

。RIST

は慢性期 CML 治療の選択肢の一つである。

2

CQ

(6)

表 3 ニロチニブ・ダサチニブ治療効果判定基準および治療方針

判定時期 Suboptimal

response Warnings Failure

変更時 ・イマチニブに血液学的抵 抗性 ・Ph+細胞のクローン性染 色体異常 ・TKI 高 度 耐 性 の BCR− ABL1 キメラ遺伝子変異 変更後 3 カ月 minorCyR (Ph+36〜65%) minimalCyR (Ph+66〜95%) noCyR (Ph+>95%) TKI 高 度 耐 性 の BCR− ABL1 キメラ遺伝子変異の あらたな出現 変更後 6 カ月 PCyR (Ph+1〜35%) minorCyR (Ph+36〜65%) minimalCyR (Ph+66〜95%) TKI 高 度 耐 性 の BCR− ABL1 キメラ遺伝子変異の あらたな出現 変更後 12 カ月 MMR 未達成 PCyR 未達成 (Ph+>35%) TKI 高 度 耐 性 の BCR− ABL1 キメラ遺伝子変異の あらたな出現 治療方針 ・ニロチニブまたはダサチ ニブ継続  または ・同種 SCT ただし,EBMT リスクスコ アが 2 以下の場合,または 変更時 warnings に該当し ていた場合には同種 SCT を推奨 ・同種 SCT(第一選択) ・ニロチニブまたはダサチ ニブ継続(第二選択) ・同種 SCT

(7)

慢性骨髄性白血病 CML

文献検索と文献採択

初版のガイドラインの更新。 Medline による過去 4 年間(2007〜2010)の文献検索に加えて,専門学会・研究会や班会 議等の研究報告書なども参考にした結果,初版のガイドラインに記載されている文献 12 件 から 9 件を削除し,あらたに 10 件の文献を追加して最終的に 13 件を採用した。

【文献】

 1)DrukerBJ,GuilhotF,O’BrienSG,etal;IRISInvestigators:Five−yearfollow−upofpatients receivingimatinibforchronicmyeloidleukemia.NEnglJMed355:2408−2417,2006. (Ⅱ)(構 造化抄録)  2)SuttorpM:InnovativeapproachesoftargetedtherapyforCMLofchildhoodincombination withpaediatrichaematopoieticSCT.BoneMarrowTransplant42:S40−S46,2008. (構造化抄録)  3)KantarjianH,ShahNP,HochhausA,etal:Dasatinibversusimatinibinnewlydiagnosedchronic− phasechronicmyeloidleukemia.NEnglJMed362:2260−2270,2010. (Ⅱ)  4)SaglioG,KimDW,IssaragrisilS,etal:Nilotinibversusimatinibfornewlydiagnosedchronic myeloidleukemia.NEnglJMed362:2251−2259,2010. (Ⅱ)  5)ChampagneMA,CapdevilleR,KrailoM,etal:Imatinibmesylate(STI571)fortreatmentof childrenwithPhiladelphiachromosome−positiveleukemia:resultsfromaChildren’sOncology Groupphase1study.Blood104:2655−2660,2004. (Ⅲ)(構造化抄録)  6)BaccaraniM,CoresJ,PaneF,etal:ChronicMyeloidLeukemia:anupdateofconceptsand managementrecommendationsofEuropeanLeukemiaNet.JClinOncol27:6041−6051,2009.  (構造化抄録)  7)GoldmanJM:InitialtreatmentforpatientswithCML.HematologyAmSocHematolEduc Program453−460,2009.  8)VelevN,CortesJ,ChamplinR,etal:Stemcelltransplantationforpatientswithchronicmyeloid leukemiaresistanttotyrosinekinaseinhibitorswithBCR−ABLkinasedomainmutationT315I. Cancer116:3631−3637,2010. (Ⅳ)  9)JabbourE,CortesJE,KantarjianHM:Suboptimalresponsetoorfailureofimatinibtreatment forchronicmyeloidleukemia:whatistheoptimalstrategy?MayoClinProc84:161−169,2009. 10)GratwohlA,HermansJ,GoldmanJM,etal:Riskassessmentforpatientswithchronicmyeloid leukaemiabeforeallogeneicbloodormarrowtransplantation.ChronicLeukemiaWorkingParty oftheEuropeanGroupforBloodandMarrowTransplantation.Lancet352:1087−1092,1998.(Ⅲ) 11)CwynarskiK,RobertsIA,IacobelliS,etal:Stemcelltransplantationforchronicmyeloid leukemiainchildren.Blood102:1224−1231,2003. (Ⅳ) 12)CrawleyC,SzydloR,LalancetteM,etal:Outcomesofreduced−intensitytransplantationfor chronicmyeloidleukemia:ananalysisofprognosticfactorsfromtheChronicLeukemiaWorking PartyoftheEBMT.Blood106:2969−2976,2005. (Ⅳ) 13)KebriaeiP,DetryMA,GiraltS,etal:Long−termfollow−upofallogeneichematopoieticstem−cell transplantationwithreduced−intensityconditioningforpatientswithchronicmyeloidleukemia. Blood110:3456−3462,2007. (Ⅲ)

表 3 ニロチニブ・ダサチニブ治療効果判定基準および治療方針 判定時期 Suboptimal

参照

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