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学位論文審査の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 経 営 学 ) 菅 原 浩 信

学 位 論 文 題 名

第 3 セクターの経営戦略と組織 学位論文内容の要旨

  本 論 文 は , わ が 国 の 第3セ ク タ ー を 対 象 と す る 実 証 研 究 を 通 じ て , 第3セ ク タ ー の マ ネ ジ メ ン ト に 関 す る 理 論 構 築 を 目 指 し た も の で あ る 。   本 論 文 は5つ の 章 か ら 構 成 さ れ て い る 。

  第1章 で は , ま ず 本 研 究 で 分 析 さ れ る 第3セ ク タ ー の 範 囲 を 明 ら か に す る と と も に , わ が 国 第3セ ク タ ー の 現 状 に つ い て 整 理 し て い る 。 次 に 研 究 の 目 的 と 方 法 を 説 明 し て い る 。

  第2章 で は , 本 研 究 の 分 析 視 角 を 明 ら か に し て い る 。 さ ら に 第3セ ク タ ー の マ ネ ジ メ ン 卜 全 体 を分 析す るた めの 枠組 を示 すと と もに ,こ の枠 組を 構成 する 環境 , 技 術 戦 略 , 組 織 特 性 , 組 織 成 果 の 各 要 素 に つ い て 詳 述 し て い る 。   第3章 で は , 第3セ ク タ ー 鉄 道 企 業 で あ る 北 近 畿 タ ン ゴ 鉄 道 , 松 浦 鉄 道 , 北 海 道 ち ほ く 高 原 鉄 道 , お よ び 第3セ ク タ ー の コ ミ ュ ー タ ー 航 空 企 業 で あ る 日 本 工 ア コ ミ ュ ー タ ー , エ ア ー 北 海 道 , 琉 球 エ ア ー コ ミ ュ ー タ ー の 計6組 織 を 事 例 と し て 取 り 上 げ , 各 組 織 の 環 境 , 技 術 , 戦 略 , 組 織 特 性 , 組 織 成 果 の 各 要 素 と, 各要 素 間 の 相 互 関 係 の 実 態 に つ い て 詳 細 な 分 析 を 行 っ て い る 。

  第4章 で は , ま ず 第3章 の 分 析 結 果 お よ び 営 利 企 業 ・ 非 営 利 組 織 に 関 す る 先 行 研 究 の 成 果 か ら , 第3セ ク タ ー の マ ネ ジ メ ン 卜 に 関 す る5っ の 仮 説 を 提 示 し て い る 。 次 に わ が 国 の 第3セ ク タ ー229組 織 か ら 得 ら れ た 質 問 票 調 査 デ ー タ の 多 変 量 解 析 に よ り , 仮 説 の 検 証 を 試 み て い る 。 こ れ ら の 結 果 か ら , 第3セ ク タ ー の マ ネ ジ メ ン ト に 関 し て , 次 の 命 題 が 妥 当 す る こ と を 明 ら か に し て い る 。     (1) 第3セ ク タ ー は , 公 組 織 へ の 資 源 依 存 性 が 高 い ほ ど 協 調 戦 略 を採 用し ,     公 組 織 へ の 資 源 依 存 性 が 低 い ほ ど 事 業 効 率 化 戦 略 あ る い は 事 業 拡 大 戦 略     を 採 用 す る 。

    (2) 第3セ ク タ ー は , タ ス ク の 不 確 実 性 が 高 い ほ ど 協 調 戦 略 を 採 用し ,タ ス     ク の 不 確 実 性 が 低 い ほ ど 事 業 効 率 化 戦 略 あ る い は 事 業 拡 大 戦 略 を 採 用 す     ―105−

(2)

    

る。

    

(3 )第3 セクターは,市場競争度が高いほど事業拡大戦略を採用し,市場競

    

争度が低いほど事業効率化戦略を採用する。

  

(4 )第3 セクターの組織特性は,公組織への資源依存性,タスクの不確実性,

    

市場競争度,戦略によって規定される。

    

(5 )第3 セクターの組織成果のうち社会的有効性は,組織特性によって規定

    

される。

  

第5 章では,以上の分析結果を整理するとともに,本研究の理論的および実践 的インプリケーションを明らかにしている。最後に今後の研究課題について言及 している。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

第 3 セクターの経営戦略と組織

1.本論文の概要

  本論文は,わが国の第3セクターを対象とする実証研究を通じて,第3セクターの マネジメントに関する理論構築を目指したものである。

  本論文は,5つの章から構成されている。

  第1章では,まず,本研究で分析される第3セクターの範囲を明らかにするととも に,わが国の第3セクターの現状について整理している。次に,研究の目的と方法を 明らかにしている。

  第2章では,まず,本研究の分析視角を説明している。さらに,第3セクターのマ ネジメント全体を体系的に分析するための枠組を提示するとともに,この枠組を構成 する環境,技術,戦略,組織特性,組織成果の各要素および各要素間の相互関係につ いて詳述している。

  第3章では,第2章で提示された分析枠組に則して,第3セクターの鉄道企業3組 織とコミューター航空企業3組織の計6組織を事例として取り上げ,各組織のマネジ メントの実態について詳細な比較研究を試みている。

  第4章では,まず,第3章の比較事例研究の結果および営利企業・非営利組織に関 する先行研究の検討にもとづき,第3セクターのマネジメントに関する5つの仮説を 提示している。次に,わが国の12業種にわたる第3セクター229組織から有効回答 が得られた質問票調査データの多変量解析により,上記の仮説の検証を試みている。

  これらの分析結果から,第3セクターのマネジメントに関して,次の5つの命題が 妥当することを明らかにしてしヽる。

  (1)第3セクターは,公組織への資源依存性が高いほど協調戦略を採用し,公組     織 への資源 依存性が低 いほど事業効率化戦略あるいは事業拡大戦略を採用     する。

    (2)第3セクターは,タスクの不確実性が高いほど協調戦略を採用し,タスクの     不 確 実性が 低いほど 事業効率 化戦略あ るいは事 業拡大戦略 を採用す る。

  (3)第3セクターは,市場競争度が高いほど事業拡大戦略を採用し,市場競争度     が低いほど事業効率化戦略を採用する。

  (4)第3セクターの組織特性は,公組織への資源依存性,タスクの不確実性,市     場競争度,戦略によって規定される。

    (5)第3セクターの組織成果のうち社会的有効性は,組織特性によって規定され     る。

  第5章では,以上の分析結果を要約するとともに,本研究の理論的および実践的含

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意を明らかにし ている。最後に,今後の研究課題について言及している。

2.本論文の評価

  本 論 文 の 学 術 上 の 貢 献 と し て は , 次 の4点 を 上 げ る こ と が で き る 。   第1に, 第3セ クタ ーの マネ ジメ ント 全体を分析するための独自の体系的枠組を提 示している。地方自治論 の分野での断片的分析とは異なり,マネジメント全体の分析 が可能であり,説明力・ 記述カの点で優れている。

  第2に, この提示された分析 枠組に則して,定性的な事例研究と定量的なサーベイ 型 研 究 が 試 み ら れ , 第3セ ク タ ー の マ ネ ジ メ ン ト が 多 面 的 に 分 析 さ れ て い る 。   第3に, 第3セ クタ ーの マネ ジメ ント に関する一般理論を構築しようとしている。

研 究の 結果 析出された命題は,営利企業・非営利組織にも 妥当する命題と第3セクタ ー 固有 の命 題からなっている。これらの命題は,第3セクターに関して今後展開され るであろう研究に対する 重要な指針となり得る。

  第4に, いく っか の 実践 的含 意を 提示していることであ る。今日,第3セクターに 関しては,組織成果の悪化にともない,そのマネジメントの見直しが図られつっある。

本 研究 の分 析結果は,直面する環境状況ごとに第3セクターが展開すべき戦略・組織 特性を具体的に明らかに している。さらに,@環境状況の認識にもとづく組織目標の 特定化,◎市場の深耕を 目指したドメインの再定義,◎公・民パートナーシップの展 開 等の 方策 も検 討さ れて おり ,マ ネジ メントの見直しに際して非常に有益である。

  以 上 の よ うに ,本 論文 は高 い学 問的 価値 を有 する が, 問 題が ない 訳で はな ぃ。

  第1に , 第3章 では ,鉄 道と コミ ュー ター 航空 の第3セク ター6組織 の比 較事 例研 究 が試 みら れているが,他の事業の第3セクターも取り上げられておれば,分析結果 はより説得的なものにな ったのではないかと思われる。

  第2に, 第4章 のサ ーベ イ型 研究 にお いて,経済的有効性を従属変数とする回帰式 が 統計 的に 有意でなかったのは何故かに関して考察がなさ れていない。第3セクター の 経 済 的 有 効 性 を 規 定 す る 要 因 の 析 出 は , 実 践 的 に も 重 要 で あ る 。   しかし,これらの不十 分さは,今後さらに研究を深める際の課題であり,本論文の 学問的価値を損なうもの ではない。

3.結論

  以上の評価にもとづき ,われわれは本論文が博士(経営学)の学位を授与するに値 するものであることを認 める。

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参照

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